説明

シリンダヘッドガスケット

本発明に従って構成されるシリンダヘッドガスケットは、組立時にシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に確実な気密/流密封止を提供し、使用中に組立時にガスケットによって提供される接触応力を実質的に失わずに、使用時に封止を維持する。シリンダヘッドガスケットは、環状自由端縁によって境界を付けられる開口部を有する第1の機能層を含む。第1の機能層はフルビードおよびハーフビードを有する。ハーフビードは、フルビードと自由端縁との間にある。ハーフビードは第1の軸方向において平坦部まで延在し、フルビードは第1の軸方向とは反対の第2の軸方向においてピークまで延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2009年6月24日に出願された米国仮出願連続番号第61/219,916号の利益を主張し、この米国仮出願連続番号第61/219,916号は、全文が引用によって本明細書に援用される。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本発明は概して、シリンダヘッドガスケットなどの、互いに締付けられる2つの部材同士の間に気密/流密封止を確立するために用いる種類の静的ガスケットに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
シリンダヘッドとシリンダブロックとの間などの、互いに締付けられる2つの部材同士の間に気密/流密封止を確立する際、多層ガスケットと称される1つ以上の層を有する静的シリンダヘッドガスケットを用いることが一般的である。一般に、機能層とも称される多層ガスケットの層のうちの少なくとも1層は、流密封止を確立するのを促進するための1つ以上の封止ビードを有する。距離層とも称される別の層は、流密封止を確立するのを促進するために機能層に当接するように構成される。取付けられると、ビード全体に接触応力が典型的に確立され、接触応力は、たとえばシリンダボアなどの、封止される開口部の境界を付ける環状端縁に及ぶ。しかし、当初は確実な封止を提供できるが、時間とともに使用するにつれて、互いに締付けられて封止される表面が損傷を受けて、封止材の気密および/または流密維持能力に悪影響を及ぼし得る。これは、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間のシリンダボア端縁などの、封止される周囲端縁で特に問題となる。使用時、ガスケットは、ピストンの各フルストロークの間中、封止される周囲端縁において周期的な応力サイクルを受ける。周期的な応力によって、たとえばシリンダヘッドとシリンダブロックとの間などで、ガスケット材料が、封止されるそれぞれの表面に接触して相対的に動く。ガスケット材料が合わせ面に接触して動くことによって、腐食などによって上述の表面損傷が発生する。したがって、締付け面全体にわたって確実な封止を維持する封止アセンブリの能力は、典型的に時間とともに減少する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要約
本発明に従って構成されるシリンダヘッドガスケットは、組立時に確実な気密/流密封止を提供し、使用中にシリンダヘッドとシリンダブロットとの間に組立時に確立された接触応力を失わずに、または実質的に失わずに、使用時に確実な封止を維持する。本発明の1つの局面によると、シリンダヘッドガスケットは、距離層および機能層を含む。距離層および機能層は、中心軸の周りに延在する環状自由端縁を有し、環状自由端縁は、封止される開口部と実質的に同一平面上に一致するように構成される。機能層は、自由端縁から径方向外向きのフルビード、およびフルビードと自由端縁との間のハーフビードを有する。ハーフビードは、第1の軸方向において、ストッパ層と軸方向に並び、かつストッパ層から軸方向外向きに平坦部まで延在し、フルビードは、第1の方向とは反対の第2の軸方向に延在する。
【0005】
本発明の別の局面によると、シリンダヘッドガスケットは距離層を含み、1対の機能層が距離層の両側にあり、距離層と少なくとも一方の機能層との間にストッパ層が位置決めされる。距離層、機能層およびストッパ層の各々は、中心軸の周りに延在する環状自由端縁によって境界を付けられる開口部を有し、中心軸および環状自由端縁は互いに軸方向に並んでいる。少なくとも一方の機能層が、自由端縁から径方向外向きのフルビード、およびフルビードと自由端縁との間のハーフビードを有する。ハーフビードはストッパ層の上にあり、ストッパ層に圧縮当接するように構成される。ハーフビードは、弛緩した非圧縮状態では、ストッパ層から軸方向外向きに、ストッパ層から軸方向に間隔を空けられた平坦部まで延在するので、使用時の環状自由端縁における接触応力は実質的に無視できるものであり、使用時に環状自由端縁から径方向外向きに形成される接触応力が増大する。
【0006】
本発明のさらに別の局面によると、距離層の両側の両機能層が、互いに鏡映関係に構成されたハーフビードを有し、ハーフビードは、非圧縮状態では、軸方向に互いに離れて環状自由端縁まで延在する。
【0007】
本発明のさらに別の局面によると、ガスケットアセンブリは、中心軸の周りに延在する環状自由端縁によって境界を付けられる開口部を各々が有する、1対の機能層を含み、軸および環状自由端縁は互いに軸方向に並んでいる。機能層の各々は、互いに当接するように構成されたフルビードを有する。少なくとも一方の機能層が、他方の機能層から間隔を空けられた関係で、自身の自由端縁まで軸方向外向きに延在するハーフビードを有する。
【0008】
本発明のさらに別の局面によると、ガスケットアセンブリは、実質的な平面部と、中心軸の周りに延在する環状自由端縁によって境界を付けられる開口部とを有する機能層を含む。機能層は、第1の軸方向において平面部から軸方向外向きに延在してシリンダブロックに当接するフルビード、および第1の軸方向とは反対の第2の軸方向において平面部から軸方向外向きに延在してシリンダヘッドに当接するハーフビードを有する。
【0009】
本発明に従って構成されるガスケットアセンブリでは、たとえばシリンダボアなどの、封止される開口部の環状自由端縁における接触応力は無視できるものである。環状自由端縁から径方向外向きに形成される接触応力が増大することによって、気密/流密封止の維持能力が向上する。ガスケットアセンブリ全体にわたって確立されるいずれの接触応力も、使用時に大きく変動することが避けられるため、腐食および摩耗の可能性を最小限に抑えることができる。さらに、本発明に従って構成されるガスケットアセンブリは、シリンダヘッドとシリンダブロックとが互いにさらに距離を空けられている場合でも、ピストンのフルストロークの間、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間の接触応力を維持する。したがって、本発明に従って構成されるガスケットアセンブリは、確実な気密/流密封止を確立および維持するだけでなく、長い耐用寿命を示す。
【0010】
本発明のこれらおよび他の局面、特徴および利点が、現在の好ましい実施例および最良の態様の以下の詳細な説明、添付の請求項ならびに添付図面と関連して考慮されるとより容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【図1A】圧縮状態下のシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に組立てられた、図1のガスケットアセンブリを示す図である。
【図1B】図1Aとは異なる圧縮状態下のシリンダヘッドとシリンダブロックとの間に組立てられた、図1のガスケットアセンブリを示す図である。
【図2】本発明の別の局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【図3】本発明の別の局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【図4】本発明の別の局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【図5】本発明の別の局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【図6】本発明の別の局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【図7】本発明の別の局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【図8】本発明の別の局面に従って構成されたガスケットアセンブリの部分断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
現在の好ましい実施例の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図1は、本発明の1つの局面に従って構成された、以下ガスケット10と称するガスケットアセンブリを示す。ガスケット10は、距離層12と、少なくとも1つの、ここでは1対として示される第1および第2の機能層14,16と、ストッパ層18とを含む。機能層14,16は距離層12の両側に配置され、ストッパ層18は、一方の機能層、ここでは上部機能層14と、距離層12の上面20との間に配置される。距離層12、機能層14,16およびストッパ層18は、シリンダボアと一致するように構成される燃焼室開口部などの、中心軸32を有する共通の開口部30の境界を付ける環状自由端縁22,24,26,28をそれぞれ有する。自由端縁22,24,26,28は、シリンダヘッド34とブロック36との間に圧縮されると、互いに実質的に同一平面上に、軸方向に並ぶ(軸方向とは、本明細書中では軸32を基準とすることが意図される)ように構成される(図1A、図1B)。少なくとも1つの、ここでは上部機能層14として示される機能層が、自由端縁24まで延在し、かつストッパ層18の上に軸方向に並んだハーフビード38を有する。ハーフビード38は、弛緩した非圧縮状態では、ストッパ層18から軸方向外向きに延在するように構成される。シリンダヘッド34とシリンダブロック36との間の圧縮下で、かつシリンダボア内のピストンのフルストロークの間の、動作条件下での試験中に、機能層14、ストッパ層18および距離層12の自由端縁領域37(図1Aおよび図1B)全体の接触応力は、実質的に0MPaであった。したがって、使用時、腐食によるガスケット10またはシリンダヘッド34に対する摩耗はないか、実質的にない。
【0013】
機能層14,16は、たとえばばね鋼などの弾性金属からなり、意図する用途に求められる厚みを有して提供され得る。機能層12,14の各々は、平面42に沿って延在する、全体的に平面の本体部40を有し、フルビード44が平面42から軸方向外向きに延在する。機能層14,16のフルビード44は、距離層12の両側で互いに鏡映関係に配置され、各フルビード44は、距離層12に向かって軸方向内向きに、距離層12に当接するように構成された頂点またはピーク46まで延在する。上述のハーフビード38は、ハーフビード38がフルビード44と開口部30との間に配置されるように、フルビード44の径方向内向きに形成される。ハーフビード38は、平面42から径方向に、かつ軸方向外向きに、機能層14の対応するフルビード44と反対側の方向に延在する傾斜部48を有する。したがって、傾斜部48は、距離層12から所定の軸方向距離ADだけ軸方向に離れるように延在する軸方向成分と、予め定められた径方向距離RDにわたって径方向に延在する径方向成分とを有する。軸方向および径方向の距離AD,RDは用途ごとに異なり得、所望に応じて開口部30の周囲の周りに環状に異なり得る。したがって、距離AD,RDは一定であってもよいし、異なっていてもよいし、所望に応じて一定部分および変化部分を有してもよい。ハーフビード38は、傾斜部48から自由端縁24まで延在する平坦部49を有する。平坦部49は、距離層12と反対の方向を向き、かつ平面42と全体的に平行に延在してシリンダヘッド34と流密封止当接する、上部平面50を有する。傾斜部および平坦部48,49を含むハーフビード38は、全体がストッパ層18の上にあるように構成される。シリンダヘッド34とエンジンブロック36との間に圧縮されると、フルビード44もハーフビード38も完全には平坦化状態に圧縮されない。したがって、フルビード44およびハーフビード38の両方とも弾性的に付勢され続け、高い封止圧力を確立する能力を保つので、使用時、かつピストンの完全なサイクルの間中、気密/流密封止を維持する。
【0014】
距離層16は、たとえば冷延鋼板またはステンレス鋼などの、比較的剛性の金属材料から構成され得る。距離層16は、全体的に平坦な平面体を有して構成されてもよいし、ここに示されるように、平面体部52と、平面部52から軸方向にずれた段差部54とを有して形成されてもよく、段差部54は自由端縁22まで延在する。平面部52から軸方向にずれた段差部54は、内部に部分的にストッパ層18を受けるようにサイズ決めされた軸方向凹型面56を提供し、ストッパ層18は、隣接した非凹型の平面部52の上方に部分的に軸方向外向きに延在する。したがって、凹型面56の深さ(d)はストッパ層18の厚み(t)よりも小さい。また、段差部54は、凹型面56の反対側に軸方向隆起面58を提供する。なお、距離層12は他の方法で構成されてもよく、好適な材料からなる純粋に平坦な平面部品を使用してもよいことを認識すべきである。
【0015】
組立時、シリンダヘッド34がエンジンブロック36に締付けられると、フルビード46が部分的に平坦化されて平面部52と圧縮当接し、気密/流密封止を確立する。フルビード46が完全に平坦化されるのを防止するため、機能層14上のハーフビード38がストッパ層18と部分的に圧縮当接する。ストッパ層18が平面部52よりも若干高いため、ハーフビード38およびフルビード44は完全には平坦化されない。同様に、距離層12の反対側では、隆起面58によって、組立時、および使用時の荷重下で、隆起面58に隣接するフルビード44が完全には平坦化されない。したがって、組立時にフルビード44同士の間に気密/流密封止が形成され、使用時に距離層12が維持される一方で、開口部22,24,26に直接隣接した応力は実質的に0MPaであるため、腐食の可能性を最小限に抑えることができる。
【0016】
図2に、本発明の別の局面に従って構成されたガスケット110が示され、100番台になった同一の参照番号を用いて、上記と同様の特徴を示す。ガスケット110は、距離層112と、1対の機能層114,116と、ストッパ層118とを含む。ガスケット110の全体構成はガスケット10に関連して説明したものと同一であるが、ハーフビード138は、フルビード144から延在する、制御半径移行部を有して構成される。1つの制御半径が全体的に60で表わされており、ハーフビード138のフルビード144から傾斜部148への移行領域として機能する。別の制御半径が全体的に62で表わされており、ハーフビード138の傾斜部148とハーフビード138の平坦部149との間の移行領域として機能する。制御半径60,62は、滑らかな応力勾配を提供するように、かつ、ストッパ層118および上に横たわるシリンダヘッド(図示せず)に接するハーフビード138全体の接触応力を低減するように機能するため、ガスケット110の封止機能をさらに向上させることができる。
【0017】
図3に、本発明の別の局面に従って構成されたガスケット210が示され、200番台になった同一の参照番号を用いて、上記と同様の特徴を示す。ガスケット210は、距離層212と、1対の機能層214,216と、ストッパ層218とを含む。ガスケット210の全体構成はガスケット10に関連して説明したものと同一であるが、機能層216は、機能層214上のハーフビード238に加えて、ハーフビード238′を有する。ハーフビード238,238′は互いに対称的な鏡映関係に構成されているため、それぞれの傾斜部248,248′によって軸方向に互いに離れるように反れる。したがって、隆起ストッパ層238に接して軸方向に圧縮されるハーフビード238に加えて、ハーフビード238′が、距離層212の隆起面258に接して軸方向に圧縮される。したがって、ガスケット210によって確立および維持される気密/流密封止は、それぞれのフルビード244と組合されて作用する1対のハーフビード238,238′によってさらに向上する。その他の点では、ガスケット210はガスケット10に関連して説明したものと同一である。
【0018】
図4に、本発明の別の局面に従って構成されたガスケット310が示され、300番台になった同一の参照番号を用いて、上記と同様の特徴を示す。ガスケット310は、距離層312と、1対の機能層314,316と、ストッパ層318とを含む。ガスケットアセンブリの全体的な構成はガスケット10に関連して上記で説明したものと概して同一であるが、機能層314,316の向きが逆になっている。したがって、下部機能層316はハーフビード338を有するが、上部機能層は有していない。下部機能層316のハーフビード338は上記と同様に形成されているため、ストッパ層318と軸方向に並んで配置されるが、ハーフビード338は、距離層312の隆起面358と軸方向に並んで、距離層312のストッパ層318とは反対側にある。
【0019】
図5に、本発明の別の局面に従って構成されたガスケット410が示され、400番台になった同一の参照番号を用いて、上記と同様の特徴を示す。ガスケット410は、1対の機能層414,416およびストッパ層418を含むが、距離層を含まない。含まれるガスケットアセンブリ構成部品の全体構成はガスケット10に関連して上記で説明したものと同一であるため、上部機能層414は環状自由端縁424から延在するハーフビード438を有し、両機能層414,416は互いに対称的な鏡映関係に形成されたフルビード444を有し、フルビード444のピーク446は互いに当接するように配置されている。ストッパ層418は機能層414と416との間に挟まれており、下部機能層416の自由端縁426に直接隣接し、自由端縁426と同一平面上または実質的に同一平面上に、下部機能層416の平面部に置かれて示される。ストッパ層418は、たとえば接着継手または溶接継手などによって、機能層416の平面部に固定され得る。したがって、距離層を有していないこと以外は、ガスケット410の構成は上述のガスケット10と同一である。
【0020】
図6に、本発明の別の局面に従って構成されたガスケット510が示され、500番台になった同一の参照番号を用いて、上記と同様の特徴を示す。ガスケット510は、図3のガスケット210に関連して上記で説明したものと概して同一に構成された1対の機能層514,516を含む。しかし、ガスケット510は、距離層もストッパ層も含まない。機能層514,516の各々は、互いに対称的な鏡映関係に構成され、かつ自由端縁524,526まで延在するハーフビード538,538′を有する。ハーフビード538,538′は、それぞれの傾斜部548,548′によって軸方向に互いに離れるように反れる。また、機能層514,516の各々は、互いに鏡映関係に配置されたフルビード544を有し、各フルビード544は、軸方向に互いに向かって頂点またはピーク546まで延在する。したがって、ピーク546は互いに係合するが、ハーフビード538,538′は、使用時に少なくとも若干互いに軸方向に間隔を空け続けられる。ハーフビード538,538′は、上述のすべてのハーフビードと同様に、使用時、それぞれのシリンダヘッドおよびシリンダブロックと接触し続ける。したがって、シリンダヘッドおよびシリンダブロックが、使用時に最も極端な燃焼力下で互いに離れるように付勢されている場合でも、流密/気密封止が維持される。
【0021】
図7に、本発明の別の局面に従って構成されたガスケット610が示され、600番台になった同一の参照番号を用いて、上記と同様の特徴を示す。ガスケット610は、環状自由端縁624まで延在するハーフビード638を有する単一の機能層614を有する。ハーフビード638は、傾斜部648によって、シリンダヘッド(図示せず)に向かう一方向において、平面本体部640から平坦部649まで軸方向外向きに反れる。また、機能層614は、ハーフビード638から径方向内向きにフルビード644を有する。フルビード644は、シリンダブロック(図示せず)に向かって、ハーフビード644から軸方向に離れる方向において頂点またはピーク646まで延在する。したがって、ピーク646および平坦部649は互いに反対の方向を向き、ピーク646はシリンダブロックに係合するように構成され、ハーフビード638の平坦部649はシリンダヘッドに係合するように構成される。
【0022】
図8に、本発明の別の局面に従って構成されたガスケット710が示され、700番台になった同一の参照番号を用いて、上記と同様の特徴を示す。ガスケット710は、距離層712と、1対の機能層714,716と、ストッパ層718とを含む。ガスケットアセンブリ210と同様に、両機能層714,716は、互いに鏡映関係に構成されることによって、それぞれの傾斜部748,748′によって軸方向に互いに離れるように反れる、ハーフビード738,738′を有する。また、両機能層714,716はフルビード744を有するが、フルビード744のピーク746は距離層712に向かって軸方向内向きではなく、ピーク746は軸方向外向きであるため、距離層712から離れる向きである。したがって、ピーク746は、組立時に圧縮されるとシリンダヘッドおよびシリンダブロックに係合されるように構成される。さらに、ストッパ層718は、上述の実施例と同様に、ハーフビード738,738′の下方で径方向外向きにシリンダボアから延在し、かつフルビード744の前で終端する全体的に平坦な材料片ではなく、シリンダボアと全体的に同一平面上の自身の自由端縁728から、径方向外向きに、機能層714,716のフルビード744を完全に越えて延在する。また、ストッパ層718は、ストッパ領域として機能する、エンボス加工されるか他の方法で形成される波形区分64を有し、波形区分64は、自由端縁728に隣接して、ハーフビード738,738′全体にわたって径方向外向きに延在し、フルビード744の前で終端する。
【0023】
明らかに、上記の教示内容に鑑みて本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で、本発明は具体的に説明したのとは別の方法で実施可能であることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケットであって、
環状自由端縁によって境界を付けられる開口部を有する第1の機能層を備え、前記第1の機能層はフルビードおよびハーフビードを有し、前記ハーフビードは前記フルビードと前記自由端縁との間にあり、前記ガスケットはさらに、
前記第1の機能層の前記開口部と実質的に同一平面上に並んでいる開口部を有する距離層を備え、前記ハーフビードが、前記距離層の少なくとも一部と軸方向に並び、かつ前記一部の上にあり、前記ハーフビードは、非圧縮状態では、前記距離層から離れる第1の軸方向において平坦部まで延在し、前記フルビードは、前記第1の方向とは反対の第2の軸方向に延在する、ガスケット。
【請求項2】
前記距離層と前記機能層との間に配置されたストッパ層をさらに備え、前記ハーフビードは前記ストッパ層に当接するように構成される、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記第1の機能層の前記開口部と実質的に同一平面上に並んでいる開口部を有する第2の機能層をさらに備え、前記第2の機能層は、前記第1の機能層の前記フルビードと鏡映関係に構成されたフルビードを有する、請求項2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記第2の機能層は、前記第1の機能層の前記ハーフビードと鏡映関係に構成されたハーフビードを有する、請求項3に記載のガスケット。
【請求項5】
前記距離層は、前記第1の機能層と前記第2の機能層との間に挟まれている、請求項4に記載のガスケット。
【請求項6】
前記距離層は、前記距離層の前記開口部に隣接した凹型の深さを有する凹型面を提供する環状段差部を有し、前記ストッパ層は、前記凹型面と当接して配置され、前記凹型の深さよりも大きい厚みを有する、請求項2に記載のガスケット。
【請求項7】
ガスケットであって、
環状自由端縁によって境界を付けられる開口部を有し、かつフルビードおよびハーフビードを有する第1の機能層を備え、前記ハーフビードは前記フルビードと前記自由端縁との間にあり、前記ハーフビードは第1の軸方向において平坦部まで延在し、前記フルビードは前記第1の軸方向とは反対の第2の軸方向においてピークまで延在し、前記ピークおよび前記平坦部は互いに反対の方向を向いている、ガスケット。
【請求項8】
第2の機能層をさらに備え、前記第2の機能層は、環状自由端縁によって境界を付けられ、かつ前記第1の機能層の前記開口部と実質的に同一平面上に並んでいる開口部を有し、前記第2の機能層は、前記第1の機能層の前記フルビードと鏡映関係に構成されたフルビードを有する、請求項7に記載のガスケット。
【請求項9】
前記第1および第2の機能層の前記フルビードは互いに当接する、請求項8に記載のガスケット。
【請求項10】
前記自由端縁と前記フルビードとの間に配置されたストッパ層をさらに備える、請求項9に記載のガスケット。
【請求項11】
前記第2の機能層は、前記第1の機能層の前記ハーフビードと鏡映関係に構成されたハーフビードを有する、請求項9に記載のガスケット。
【請求項12】
前記第1の機能層と前記第2の機能層との間に挟まれた距離層をさらに備える、請求項8に記載のガスケット。
【請求項13】
前記距離層は、前記距離層の前記開口部に隣接した凹型の深さを有する凹型面を提供する環状段差部を有し、
前記凹型面と軸方向に並んで配置され、かつ前記凹型の深さよりも大きい厚みを有するストッパ層をさらに備える、請求項12に記載のガスケット。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−531567(P2012−531567A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517709(P2012−517709)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/039744
【国際公開番号】WO2010/151616
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】