シリンダ式バルブ
【課題】シリンダ式バルブにおいて、別体となしたシリンダ弁体と弁軸部との軸方向の結合強度を強固となすことができるとともに、それらの組付けを容易となすことを目的とする。
【解決手段】シリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体26の雌嵌合部92に、弁軸部38の雄嵌合部90を軸方向に嵌入させて組付けを行う。その雌嵌合部92には係合爪98を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、雄嵌合部90の外周面には、径方向外方に突出し、係合爪98に対して弁軸部38の抜き方向に係合する係合突起108を設け、それら係合爪98と係合突起108との係合によりシリンダ弁体26と弁軸部38とを軸方向に抜止状態に連結する。
【解決手段】シリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体26の雌嵌合部92に、弁軸部38の雄嵌合部90を軸方向に嵌入させて組付けを行う。その雌嵌合部92には係合爪98を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、雄嵌合部90の外周面には、径方向外方に突出し、係合爪98に対して弁軸部38の抜き方向に係合する係合突起108を設け、それら係合爪98と係合突起108との係合によりシリンダ弁体26と弁軸部38とを軸方向に抜止状態に連結する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はシリンダ式バルブに関し、詳しくは円筒形状をなすシリンダ弁体と、これを回転駆動する弁軸部とが別体をなすシリンダ式バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓等におけるバルブとして、円筒形状のシリンダ弁体を外側の円筒形状の弁ケースに回転可能に内嵌させるとともに、それぞれの周壁を内外に貫通する通水用の開口を形成し、弁軸部にてシリンダ弁体を回転させることによって、弁ケースの開口に対するシリンダ弁体の開口を位置変化させ、以って水路の開度変化を行うようになしたシリンダ式バルブが用いられている。
この種シリンダ式バルブでは、従来、シリンダ弁体と弁軸部とが樹脂の一体成形品にて構成されていた。
【0003】
しかしながらこの場合、シリンダ弁体の肉厚が必然的に厚くなるとともに、樹脂製のシリンダ弁体はその外面即ちシール面に、成形時の樹脂の収縮等に起因して凹凸が生じ易く、また外面が砂等の異物を噛み込むことによって傷付き易く、そして外面にそのような大きな凹凸形状が生じたり傷付きが生じたりすると、このことが水漏れの原因となり、シールの信頼性を損なう原因となる。
【0004】
そこでシリンダ式バルブにおいて、シリンダ弁体と弁軸部とを別体となして、弁軸部を樹脂で構成する一方、シリンダ弁体を金属で構成してそれらを連結し、組み付けるようになしたものが提案されている。
例えば下記特許文献1に、シリンダ弁体を金属で、弁軸部を樹脂で構成してそれらを連結したものが開示されている。
【0005】
この場合、シリンダ弁体と弁軸部との組付構造(連結構造)が問題となる。
特許文献1に開示のものでは、その組付構造を図18に示すような組付構造としている。
同図において200は円筒形状をなす弁ケースで、この弁ケース200には、周壁を内外に貫通する通水用の開口202が備えられている。
204は円筒形状をなし、弁ケース200に回転可能に内嵌する金属製のシリンダ弁体で、弁ケース200と同様に、周壁を内外に貫通する通水用の開口206が備えられている。
【0006】
208は樹脂で構成された弁軸部で、軸端部に大径の雄嵌合部210が設けられ、この雄嵌合部210が、シリンダ弁体204の軸端の開口を通じ雌嵌合部212に嵌入させられている。
ここでシリンダ弁体204の雌嵌合部212には小円孔からなる貫通の抜止孔214が、また弁軸部208の雄嵌合部210には円形の小突起からなる抜止突起216がそれぞれ設けられ、それら抜止孔214と抜止突起216とが嵌り合うことによって、弁軸部208がシリンダ弁体204から軸方向に抜止めされている。
【0007】
尚、シリンダ弁体204には軸端部に回止め用の切欠き217が、また弁軸部208にはこれに対応した回止め用の凸部218が設けられており、切欠き217に凸部218が嵌り合うことによって、弁軸部208とシリンダ弁体204との相対的な回転が規制されている。即ちシリンダ弁体204と弁軸部208とが一体回転するようになっている。
【0008】
しかしながらこのシリンダ式バルブの場合、弁軸部208をシリンダ弁体204に押し込んで抜止突起216を抜止孔214に嵌め入れる際、樹脂製の小突起からなる抜止突起216が折れたり欠けたりする等損傷を生じ易い問題があるとともに、弁軸部208とシリンダ弁体204との軸方向の結合力が弱く、更にシリンダ弁体204に対する弁軸部208の押込みによる組付けがし辛い問題がある。
更に、シリンダ弁体204の製造に際して抜止孔214のための部分的な加工が別途の加工として必要であり、シリンダ弁体204の製造のための工程数が多くなって、このことがコストを高める要因となる問題がある。
【0009】
【特許文献1】特開2004−11814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情を背景とし、互いに別体をなすシリンダ弁体と弁軸部との軸方向の結合強度を強固となすことができるとともに、それらの組付けが容易なシリンダ式弁体を提供することを目的とする。
また本発明の他の目的は、シリンダ弁体を製造するに際して少ない工程数で簡単に製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースと、該シリンダ弁体と別体をなし、該シリンダ弁体に連結されて該シリンダ弁体を回転駆動する弁軸部と、を備え、該シリンダ弁体は該弁ケースに回転可能に内嵌されるとともに、それらシリンダ弁体と弁ケースとには周方向の所定個所に周壁を内外に貫通する通水用の開口がそれぞれ形成され、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させ、水路の開度変化を行うシリンダ式バルブにおいて、前記シリンダ弁体の軸端部の雌嵌合部に、前記弁軸部の対応する軸端部の雄嵌合部を、該シリンダ弁体の軸端の開口を通じて軸方向に嵌入させて、それら雌嵌合部と雄嵌合部とを嵌合させるとともに、該雌嵌合部には、前記軸端の開口に向って小径化し該開口に到る係合爪を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、前記雄嵌合部の外周面には、径方向外方に突出し、該係合爪に対して前記弁軸部の軸方向且つ抜き方向に係合する係合突起を設け、それら係合爪と係合突起との係合により前記シリンダ弁体と該弁軸部とを軸方向に抜止状態に連結したことを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記係合突起は前記軸方向に延びる長手形状をなしていることを特徴とする。
【0013】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記雄嵌合部には前記係合突起が周方向の複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0014】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記係合突起には、該係合突起を前記雌嵌合部に対し軸方向に嵌入させる際の嵌入ガイドをなす傾斜面が嵌入方向の先端側に設けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記シリンダ弁体が金属板材を絞り加工して底部を打抜いた絞り加工品であって、該シリンダ弁体の前記軸端部が前記軸端の開口に至るまで該開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が前記全周に亘る係合爪を形成しているとともに、外面が該軸端の開口に至るまで該開口に向って漸次小径化する曲面を成していることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、シリンダ弁体の雌嵌合部に、軸端の開口に向って小径化し開口に至る係合爪を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、弁軸部の雄嵌合部の外周面に、径方向外方に突出する係合突起を設けて、それら係合爪と係合突起との係合により、シリンダ弁体と弁軸部とを軸方向に抜止状態に連結するようになしたものである。
【0017】
本発明では、シリンダ弁体側の係合爪が全周に亘って設けてあるため、弁軸部側の係合突起を全周に亘って設けることが可能である外、周方向所定個所にかかる係合突起を設ける場合において、これを周方向の任意の位置に設けることができる。
更にかかる係合突起を周方向の複数個所に設けて、それらすべてを係合爪に対し係合させることが可能となる。
【0018】
而してこのように係合突起を周方向の複数個所に設けて、それらを係合爪に係合させるようになした場合(請求項3)、シリンダ弁体と弁軸部との係合力、即ち軸方向の抜き力を大きくし得て、シリンダ弁体と弁軸部との軸方向の結合強度を高強度となすことができる。
【0019】
本発明では、図18に示す小円形の抜止孔214と異なって、シリンダ弁体側に軸端の開口に向って小径化し開口に至る係合爪を設けていることから、弁軸側の係合突起を軸方向に延びる長手形状で設けることが可能であり(請求項2)、而してこのようになした場合、係合突起の軸方向の強度を高強度となし得て、シリンダ弁体に対し弁軸部を軸方向に押し込んでそれらを連結する際、係合突起が折損等の損傷を生じるのを有効に防止することができ、また係合突起と係合爪との軸方向の係合力を大となし得て、シリンダ弁体と弁軸部との結合強度を強くすることができる。
【0020】
請求項4は、弁軸部側の係合突起をシリンダ弁体側の雌嵌合部に軸方向に嵌入させる際の嵌入ガイドをなす傾斜面を、係合突起の嵌入方向の先端側に設けたもので、このようにしておけば、弁軸部をシリンダ弁体に押し込む際に、傾斜面の嵌入ガイド作用によって容易に係合突起をシリンダ弁体の雌嵌合部に嵌入させることができる。
【0021】
本発明では、シリンダ弁体側の係合爪が全周に亘り設けられ、且つその形状が軸端の開口に向って小径化し開口に至る形状をなしていることから、かかる係合爪を備えたシリンダ弁体を金属板材の絞り加工品、具体的には絞り加工後に底部を打抜いた絞り加工品にて簡単に構成することができる。
【0022】
この場合、周壁から底部にかけて湾曲した部分を残して底部を打抜くことで、爪を形成するための特別な加工を施さなくても、単なる絞り加工と底部の打ち抜きとによって、シリンダ弁体を形成するとともに係合爪を形成でき、爪形成のための特別な加工を施すことなくシリンダ弁体に係合爪を備えることができる。
【0023】
具体的には、周壁から底部にかけての湾曲部分の内側を全周に亘って径方向内方に突出する係合爪となすことができ、またその外面を、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面となすことができる(請求項5)。
【0024】
この場合、全周に亘る係合爪を備えたシリンダ弁体を安価に製造することができるとともに、上記曲面によって、シリンダ弁体を軸端から弁ケース内に軸方向に嵌め込む際に、曲面の嵌込みガイド作用によって、シリンダ弁体を弁ケース内に容易に嵌め込み、組付作業することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗濯機水栓,トイレの手洗用水栓等に用いられる水栓(ここでは単水栓)で、壁Wから前方に突出する状態で設けられている。
【0026】
12は円筒形状をなす水栓10の本体ボデーで、この本体ボデー12から吐水部14が前方斜め下向きに突き出しており、また本体ボデー12の先端側には回転式のハンドル16が設けられている。
ここでハンドル16は、回転操作によって吐水開始と止水及び水量調節を行う。
このハンドル16には、周方向所定個所に突出形状の摘み18を備えている。また吐水部14は先端に吐水口20を備えている。
【0027】
本体ボデー12は、図2及び図3に示しているように軸方向端部に雄ねじ管21を備えており、この雄ねじ管21が壁Wを貫通して裏側に突き出している。そして壁Wの裏側に突き出した雄ねじ管21に対し、図示を省略する固定ナットがねじ込まれることにより、本体ボデー12が大径のフランジ部23にて壁Wの表側を挟み付ける状態に壁Wに取り付けられるようになっている。
【0028】
図2及び図3に示しているように、本体ボデー14の内部には水路22の開度(遮断又は開放を含む)を制御するシリンダ式バルブ(以下単にバルブとする)24が組み込まれている。
このバルブ24は、ハンドル16に作動的に連結されてこれと一体回転する円筒形状のシリンダ弁体26と、その外側の円筒形状の弁ケース28とを有している。
【0029】
図12にも示しているように、シリンダ弁体26には周方向に180°隔たった2個所に周壁を内外に貫通する一対の通水用の開口30,32が形成されている。
また同じく弁ケース28の側にも開口30,32に対応する位置において、弁ケース28の周壁を内外に貫通する開口34,36が設けられている。
【0030】
これらシリンダ弁体26,弁ケース28を有する本例のバルブ24の場合、ハンドル16の操作によってシリンダ弁体26を回転させて位置変化させ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32を弁ケース28の開口34,36に完全一致させた状態で水路22が完全開放され、水路22を通じて送られてきた水が吐水口20から外部に吐水される。
【0031】
また一方ハンドル16の操作によって、シリンダ弁体26が上記の位置と異なる位置に回転させられ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32が弁ケース28の開口34,36に完全不一致となった状態で水路22が遮断され、吐水口20からの吐水が停止(止水)する。
更にシリンダ弁体26の開口30,32と弁ケース28の開口34,36とが重なり合った状態で、且つその重なり合った面積が変化することで、吐水口20から外部に吐水される水量が調節される。
【0032】
シリンダ弁体26には、これとは別体をなす弁軸部38が一体回転状態に組み付けられており、それらシリンダ弁体26と弁軸部38とが弁体組付体40を成している。
弁軸部38には、図4,図6,図10及び図14に示しているように細幅のリング溝42が形成されており、そこに止め輪(ここではEリング)44が弾性的に嵌められている。
【0033】
そして弁軸部38が弁ケース28の挿通孔46を軸方向に挿通した状態で、この止め輪44と弁軸部38の後述の大径の雄嵌合部90とが弁ケース28の内向きのフランジ部48を軸方向に挟み込む状態に弁軸部38が、即ち弁体組付体40が弁ケース28に固定され組み付けられている。
【0034】
図3,図4,図6,図8に示しているように本体ボデー12の図中左端部の内面には雌ねじ50が形成されており、そこに外面に雄ねじ52を有する固定リング54がねじ込まれている。
そしてこの固定リング54の本体ボデー12のねじ込みにより、バルブ24が後述の位置決リング56を介し本体ボデー12に軸方向に固定され抜止めされている。
【0035】
図4及び図5において、58はハンドル16に加えられた回転の操作力を上記弁軸部38に伝達して一体回転させる軸状の伝達部材(ここでは樹脂製)で、図中左端部の外面に図4に示しているように雄セレーション部60が設けられている。
一方ハンドル18の内面には、図4に示しているように雌セレーション部62が設けられていて、この雌セレーション部62が雄セレーション部60に噛み合わされている。そしてこれら雄セレーション部60と雌セレーション部62との噛み合いにより、伝達部材58がハンドル16と一体回転するようになっている。
【0036】
一方、伝達部材58は図5,図6に示すように図中右端側に嵌合孔64を有しており、この嵌合孔64において弁軸部38に嵌合させられている。
そしてその嵌合状態の下で、弁軸部38の中心部に形成された雌ねじ部66に、固定ねじ68がねじ込まれることによって、弁軸部38と伝達部材58とが軸方向に締結されている。
図4に示しているように、弁軸部38は図中左端部が略四角形状をなしているとともに、軸直角方向に突出する突条70を備えている。
【0037】
一方これに嵌合する伝達部材58の嵌合孔64には、図6中左側の奥部に弁軸部38の先端部に対応した四角形状の係合部72と、突条70に対応した凹溝74が備えられており、それら係合部72及び凹溝74が、弁軸部38の四角形状の先端部及び突条70に嵌り合って回転方向に係合している。そしてそれらの係合に基づいて、伝達部材58に伝えられた回転方向の操作力が弁軸部38に伝えられ、それらが一体回転するようになっている。
【0038】
上記位置決リング56は、図4,図5及び図7に示しているように軸方向に所定長さを有する円環状の部材であって、外周面の周方向に隔たった2個所に、径方向外方に突出する第1位置決凸部76を有しており、これら一対の第1位置決凸部76が、図4及び図8に示しているように水栓10の本体ボデー12の内面に形成された、対応する位置決凹部78に嵌り込み係合することによって、位置決リング56自体の本体ボデー12に対する回転方向の位置が定められるようになっている。
【0039】
位置決リング56はまた、第1位置決凸部76と同じ周方向位置において、軸方向に突出する一対の第2位置決凸部80を有しており、これらが図4及び図9に示しているようにバルブ24、詳しくはバルブケース28の対応する一対の位置決凹部82に嵌り込み係合することによって、位置決リング56とバルブ24との回転方向の位置が定められるようになっている。
即ち、バルブ24の本体ボデー12に対する回転方向の組付位置が、位置決リング56を介して規定されている。
【0040】
これら一対の第2位置決凸部80の内面には、径方向内方に突出する爪部88が設けられており、これら爪部88によって、位置決リング56をバルブ24に対し簡単に組み付けることができる。
詳しくは、図10に示しているように位置決リング56をバルブ24に対し軸方向に押し込むと、爪部88がバルブ24のリング溝42に装着されている止め輪44を弾性的に乗り越えて通過し、そして止め輪44を爪部88が乗り越えたところで爪部88が止め輪44に対し軸方向に引っ掛かって係合した状態となる。これにより位置決リング56がバルブ24に対し組み付いた状態となる。
尚、各爪部88には図7及び図10(II)の部分拡大図に示しているように、位置決リング56を図中軸方向(図7中下方向)に押し込むときに、止め輪44を乗り越えるための傾斜形状の乗越ガイドが押込方向の先端側に設けられている。
【0041】
位置決リング56にはまた、更にその内面の2個所に、具体的には外面の第1位置決凸部76と同じ周方向位置の2個所において、径方向内方に突出する一対のストッパ部84が設けられている。
これらストッパ部84は、ハンドル16の回転を一定角度範囲内に規定するハンドルストッパ部として働くものである。
【0042】
詳しくは、ハンドル16の回転方向の操作力を弁軸部38に伝達する上記伝達部材58には、図5,図8に示しているように径方向外方に突出する一対の当接部86が備えられており、図11に示しているようにハンドル16を回転させたときにこれら当接部86が、位置決リング56の一対のストッパ部84に当接することによって、ハンドル16の回転が一定角度範囲内に規制される。
【0043】
尚、ハンドル16を正方向に回転させたときには伝達部材58の一対の当接部86の一方が、位置決リング56の一対のストッパ部84の一方に当接し、また逆方向に回転操作したときには伝達部材58の他方の当接部86が、位置決リング56の他方のストッパ部84に当接する。
【0044】
上記弁体組付体40は、樹脂製の弁軸部38と金属製(ここではステンレス製)のシリンダ弁体26とが別体に構成されていて、それらが軸方向に連結され組み付けられている(図12〜図16参照)。
【0045】
図12,図15及び図16に示しているように、樹脂製の弁軸部38には図15,図16中下端部に大径の円形の雄嵌合部90が設けられており、この雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端の開口からその内部に嵌入させられ、かかる雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端部(軸端部)の雌嵌合部92に弾性的に嵌合されている。
ここで雄嵌合部90の外周面には、図15に示しているように周方向に180°隔たった2個所に、各一対の位置決突起94が径方向外方に突出する状態で一体に形成されている。
【0046】
一方シリンダ弁体26の図中上端部には、開口に続いて正面形状が矩形状の切欠き96が形成されており、そこに位置決突起94が嵌り込むことによって、弁軸部38とシリンダ弁体26との回転方向位置が規定されている。
【0047】
金属製のシリンダ弁体26は、図17(A)に示しているように金属製の板材100を絞り加工し、そして底部102を打ち抜いて除去して得た絞り加工品から成るものであって、図中上側の軸端部が、軸端の開口に至るまで開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が全周に亘って係合爪98とされている。
【0048】
ここで径方向内方に突出する形態をなす係合爪98は、軸端の開口に向って漸次小径化して開口に至る形状をなしている。
一方湾曲部分の外面は、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面(R面)106をなしている(図15(ハ)参照)。
尚、シリンダ弁体26の図中下端部にはフランジ部104が全周に亘って環状に形成されている。
【0049】
一方、弁軸部38の大径の雄嵌合部90の外面には、図15(ロ)に示しているように周方向に略120°ずつ隔たった3個所に、径方向外方に突出する係合突起108が設けられており、これら係合突起108が、シリンダ弁体26の係合爪98に対し軸方向且つ弁軸部38の抜き方向に係合させられ、それら係合突起108と係合爪98との係合により、弁軸部38とシリンダ弁体26とが軸方向に抜止状態に連結され組み付けられている。
【0050】
係合突起108は、図16に示しているように軸方向に延びる長手形状をなしており、その上端は鋭く屈曲した角部とされている。
一方、図中の下端部は下方に進むにつれて径方向内方に移行する傾斜面110とされている。
尚、雄嵌合部90の下端の外周縁部は曲面(R面)112とされている。
【0051】
図13及び図14において、114は弁ケース28の開口36縁部に装着されて、シリンダ弁体26と水栓の本体ボデー12との間を水密にシールするゴム等の弾性材で構成されたリング状のパッキンで、116はそのリング状をなすパッキン114の内周側に嵌込状態に装着されて、パッキン114の求心方向の変形を防止する硬質の拘束リングである。
【0052】
この実施形態では、図15(イ)に示しているように弁軸部38側の位置決突起94を、シリンダ弁体26の切欠き96に対し回転方向位置を合わせた状態で、弁軸部38をシリンダ弁体26の図中上端の開口を通じ下向きに弾性的に押し込んで内部に嵌入させ、弁軸部38の大径の雄嵌合部90と、シリンダ弁体26の雌嵌合部92とを弾性嵌合させる。
このとき、弁軸部38の位置決突起94がシリンダ弁体26の切欠き96に嵌り込んで係合し、これにより弁軸部38とシリンダ弁体26とが回転方向に位置決され固定される。
【0053】
このようにして弁軸部38をシリンダ弁体26に軸方向に押し込むとき、雄嵌合部90の外面に突出形成された、図16に示す複数の係合突起108が先ず傾斜面110のカム作用でシリンダ弁体26の図中上端部を弾性的に押し開き、続いて各係合突起108が、下向きの押込力でシリンダ弁体26の上端部に嵌入される。
【0054】
嵌入後において各係合突起108は、図16に示しているようにシリンダ弁体26の係合爪98に係合した状態となり、ここにおいて弁軸部38がシリンダ弁体26に対し軸方向に抜止状態に結合される。
尚、弁軸部38のシリンダ弁体26に対する押込量は、一対の位置決突起94が切欠き96の底部に当接することによって規定される。
【0055】
以上のような本実施形態では、シリンダ弁体26に全周に亘って形成された係合爪98と弁軸部38の周方向複数個所に設けた係合突起108との係合により、シリンダ弁体26に対する弁軸部38の抜き力を大となし得て、シリンダ弁体26と弁軸部38との軸方向の結合強度を高強度となすことができる。
【0056】
また本実施形態では、弁軸部38側の係合突起108を軸方向の長手形状となしてあることから、係合突起108の軸方向強度を高強度となし得て、シリンダ弁体26に対し弁軸部38を軸方向に押し込んでそれらを連結する際、係合突起が折損等の損傷を生じるのを有効に防止することができ、また係合突起108と係合爪98との係合力を大となし得て、シリンダ弁体26と弁軸部38との結合強度をより強くすることができる。
【0057】
また嵌入ガイドをなす傾斜面118を係合突起108の嵌入方向の先端側に設けているため、弁軸部38をシリンダ弁体26に押し込む際に、傾斜面110の嵌入ガイド作用によって、容易に係合突起108をシリンダ弁体26の雌嵌合部92に嵌入させることができる。
【0058】
更に本実施形態では、シリンダ弁体26を、金属製の板材100の絞り加工によって簡単に製造することができ、しかも同時に係合爪98を全周に亘って形成することができる。
【0059】
またシリンダ弁体26の軸端部の外面が軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面112をなしているため、シリンダ弁体26を弁ケース28に軸方向に嵌め込む際、その曲面112による嵌込みのガイド作用によって、容易に嵌め込みを行うことができ、シリンダ弁体26と弁ケース28との組付作業性を良好となすことができる。
【0060】
以上本発明の実施形態を詳述したが、本発明のシリンダ式バルブは単水栓のみならず、いわゆる2ハンドル式の湯水混合水栓その他様々な水栓或いはその他のものに適用することが可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態のシリンダ式バルブを内蔵した水栓を外観状態で示す図である。
【図2】図1の水栓の平面断面図である。
【図3】図1の水栓の側面断面図である。
【図4】同実施形態のシリンダ式バルブを水栓とともに分解して示した斜視図である。
【図5】図4の各部品を別の方向から示した斜視図である。
【図6】図4及び図5に示した各部品の側面断面図である。
【図7】同実施形態のシリンダ式バルブにおける位置決リングの単品図である。
【図8】図7の位置決リングと水栓の本体ボデー及び伝達部材との組付関係を示した図である。
【図9】図7の位置決リングと弁ケースとの位置決構造を示した図である。
【図10】図7の位置決リングと弁ケースとの組付構造を示した図である。
【図11】図7の位置決リングのハンドルに対する回転規制作用を示した作用説明図である。
【図12】同実施形態のシリンダ式バルブを組付状態で単体で示した図である。
【図13】図12のシリンダ式バルブを弁ケースと弁体組付体に分解して示した斜視図である。
【図14】図12のシリンダ式バルブを弁ケースと弁体組付体とに分解して図13とは異なる方向で示した斜視図である。
【図15】同実施形態のシリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体と弁軸部との組付構造を示した図である。
【図16】図15のシリンダ弁体と弁軸部とを組み付けた状態で示す断面図である。
【図17】図15及び図16のシリンダ弁体の製造工程の要部を示した図である。
【図18】従来のシリンダ式バルブの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0062】
22 水路
24 シリンダ式バルブ
26 シリンダ弁体
28 弁ケース
30,32,34,36 開口
38 弁軸部
90 雄嵌合部
92 雌嵌合部
98 係合爪
108 係合突起
110 傾斜面
112 曲面(R面)
【技術分野】
【0001】
この発明はシリンダ式バルブに関し、詳しくは円筒形状をなすシリンダ弁体と、これを回転駆動する弁軸部とが別体をなすシリンダ式バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓等におけるバルブとして、円筒形状のシリンダ弁体を外側の円筒形状の弁ケースに回転可能に内嵌させるとともに、それぞれの周壁を内外に貫通する通水用の開口を形成し、弁軸部にてシリンダ弁体を回転させることによって、弁ケースの開口に対するシリンダ弁体の開口を位置変化させ、以って水路の開度変化を行うようになしたシリンダ式バルブが用いられている。
この種シリンダ式バルブでは、従来、シリンダ弁体と弁軸部とが樹脂の一体成形品にて構成されていた。
【0003】
しかしながらこの場合、シリンダ弁体の肉厚が必然的に厚くなるとともに、樹脂製のシリンダ弁体はその外面即ちシール面に、成形時の樹脂の収縮等に起因して凹凸が生じ易く、また外面が砂等の異物を噛み込むことによって傷付き易く、そして外面にそのような大きな凹凸形状が生じたり傷付きが生じたりすると、このことが水漏れの原因となり、シールの信頼性を損なう原因となる。
【0004】
そこでシリンダ式バルブにおいて、シリンダ弁体と弁軸部とを別体となして、弁軸部を樹脂で構成する一方、シリンダ弁体を金属で構成してそれらを連結し、組み付けるようになしたものが提案されている。
例えば下記特許文献1に、シリンダ弁体を金属で、弁軸部を樹脂で構成してそれらを連結したものが開示されている。
【0005】
この場合、シリンダ弁体と弁軸部との組付構造(連結構造)が問題となる。
特許文献1に開示のものでは、その組付構造を図18に示すような組付構造としている。
同図において200は円筒形状をなす弁ケースで、この弁ケース200には、周壁を内外に貫通する通水用の開口202が備えられている。
204は円筒形状をなし、弁ケース200に回転可能に内嵌する金属製のシリンダ弁体で、弁ケース200と同様に、周壁を内外に貫通する通水用の開口206が備えられている。
【0006】
208は樹脂で構成された弁軸部で、軸端部に大径の雄嵌合部210が設けられ、この雄嵌合部210が、シリンダ弁体204の軸端の開口を通じ雌嵌合部212に嵌入させられている。
ここでシリンダ弁体204の雌嵌合部212には小円孔からなる貫通の抜止孔214が、また弁軸部208の雄嵌合部210には円形の小突起からなる抜止突起216がそれぞれ設けられ、それら抜止孔214と抜止突起216とが嵌り合うことによって、弁軸部208がシリンダ弁体204から軸方向に抜止めされている。
【0007】
尚、シリンダ弁体204には軸端部に回止め用の切欠き217が、また弁軸部208にはこれに対応した回止め用の凸部218が設けられており、切欠き217に凸部218が嵌り合うことによって、弁軸部208とシリンダ弁体204との相対的な回転が規制されている。即ちシリンダ弁体204と弁軸部208とが一体回転するようになっている。
【0008】
しかしながらこのシリンダ式バルブの場合、弁軸部208をシリンダ弁体204に押し込んで抜止突起216を抜止孔214に嵌め入れる際、樹脂製の小突起からなる抜止突起216が折れたり欠けたりする等損傷を生じ易い問題があるとともに、弁軸部208とシリンダ弁体204との軸方向の結合力が弱く、更にシリンダ弁体204に対する弁軸部208の押込みによる組付けがし辛い問題がある。
更に、シリンダ弁体204の製造に際して抜止孔214のための部分的な加工が別途の加工として必要であり、シリンダ弁体204の製造のための工程数が多くなって、このことがコストを高める要因となる問題がある。
【0009】
【特許文献1】特開2004−11814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような事情を背景とし、互いに別体をなすシリンダ弁体と弁軸部との軸方向の結合強度を強固となすことができるとともに、それらの組付けが容易なシリンダ式弁体を提供することを目的とする。
また本発明の他の目的は、シリンダ弁体を製造するに際して少ない工程数で簡単に製造できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
而して請求項1のものは、円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースと、該シリンダ弁体と別体をなし、該シリンダ弁体に連結されて該シリンダ弁体を回転駆動する弁軸部と、を備え、該シリンダ弁体は該弁ケースに回転可能に内嵌されるとともに、それらシリンダ弁体と弁ケースとには周方向の所定個所に周壁を内外に貫通する通水用の開口がそれぞれ形成され、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させ、水路の開度変化を行うシリンダ式バルブにおいて、前記シリンダ弁体の軸端部の雌嵌合部に、前記弁軸部の対応する軸端部の雄嵌合部を、該シリンダ弁体の軸端の開口を通じて軸方向に嵌入させて、それら雌嵌合部と雄嵌合部とを嵌合させるとともに、該雌嵌合部には、前記軸端の開口に向って小径化し該開口に到る係合爪を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、前記雄嵌合部の外周面には、径方向外方に突出し、該係合爪に対して前記弁軸部の軸方向且つ抜き方向に係合する係合突起を設け、それら係合爪と係合突起との係合により前記シリンダ弁体と該弁軸部とを軸方向に抜止状態に連結したことを特徴とする。
【0012】
請求項2のものは、請求項1において、前記係合突起は前記軸方向に延びる長手形状をなしていることを特徴とする。
【0013】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記雄嵌合部には前記係合突起が周方向の複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0014】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記係合突起には、該係合突起を前記雌嵌合部に対し軸方向に嵌入させる際の嵌入ガイドをなす傾斜面が嵌入方向の先端側に設けてあることを特徴とする。
【0015】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記シリンダ弁体が金属板材を絞り加工して底部を打抜いた絞り加工品であって、該シリンダ弁体の前記軸端部が前記軸端の開口に至るまで該開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が前記全周に亘る係合爪を形成しているとともに、外面が該軸端の開口に至るまで該開口に向って漸次小径化する曲面を成していることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0016】
以上のように本発明は、シリンダ弁体の雌嵌合部に、軸端の開口に向って小径化し開口に至る係合爪を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、弁軸部の雄嵌合部の外周面に、径方向外方に突出する係合突起を設けて、それら係合爪と係合突起との係合により、シリンダ弁体と弁軸部とを軸方向に抜止状態に連結するようになしたものである。
【0017】
本発明では、シリンダ弁体側の係合爪が全周に亘って設けてあるため、弁軸部側の係合突起を全周に亘って設けることが可能である外、周方向所定個所にかかる係合突起を設ける場合において、これを周方向の任意の位置に設けることができる。
更にかかる係合突起を周方向の複数個所に設けて、それらすべてを係合爪に対し係合させることが可能となる。
【0018】
而してこのように係合突起を周方向の複数個所に設けて、それらを係合爪に係合させるようになした場合(請求項3)、シリンダ弁体と弁軸部との係合力、即ち軸方向の抜き力を大きくし得て、シリンダ弁体と弁軸部との軸方向の結合強度を高強度となすことができる。
【0019】
本発明では、図18に示す小円形の抜止孔214と異なって、シリンダ弁体側に軸端の開口に向って小径化し開口に至る係合爪を設けていることから、弁軸側の係合突起を軸方向に延びる長手形状で設けることが可能であり(請求項2)、而してこのようになした場合、係合突起の軸方向の強度を高強度となし得て、シリンダ弁体に対し弁軸部を軸方向に押し込んでそれらを連結する際、係合突起が折損等の損傷を生じるのを有効に防止することができ、また係合突起と係合爪との軸方向の係合力を大となし得て、シリンダ弁体と弁軸部との結合強度を強くすることができる。
【0020】
請求項4は、弁軸部側の係合突起をシリンダ弁体側の雌嵌合部に軸方向に嵌入させる際の嵌入ガイドをなす傾斜面を、係合突起の嵌入方向の先端側に設けたもので、このようにしておけば、弁軸部をシリンダ弁体に押し込む際に、傾斜面の嵌入ガイド作用によって容易に係合突起をシリンダ弁体の雌嵌合部に嵌入させることができる。
【0021】
本発明では、シリンダ弁体側の係合爪が全周に亘り設けられ、且つその形状が軸端の開口に向って小径化し開口に至る形状をなしていることから、かかる係合爪を備えたシリンダ弁体を金属板材の絞り加工品、具体的には絞り加工後に底部を打抜いた絞り加工品にて簡単に構成することができる。
【0022】
この場合、周壁から底部にかけて湾曲した部分を残して底部を打抜くことで、爪を形成するための特別な加工を施さなくても、単なる絞り加工と底部の打ち抜きとによって、シリンダ弁体を形成するとともに係合爪を形成でき、爪形成のための特別な加工を施すことなくシリンダ弁体に係合爪を備えることができる。
【0023】
具体的には、周壁から底部にかけての湾曲部分の内側を全周に亘って径方向内方に突出する係合爪となすことができ、またその外面を、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面となすことができる(請求項5)。
【0024】
この場合、全周に亘る係合爪を備えたシリンダ弁体を安価に製造することができるとともに、上記曲面によって、シリンダ弁体を軸端から弁ケース内に軸方向に嵌め込む際に、曲面の嵌込みガイド作用によって、シリンダ弁体を弁ケース内に容易に嵌め込み、組付作業することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は洗濯機水栓,トイレの手洗用水栓等に用いられる水栓(ここでは単水栓)で、壁Wから前方に突出する状態で設けられている。
【0026】
12は円筒形状をなす水栓10の本体ボデーで、この本体ボデー12から吐水部14が前方斜め下向きに突き出しており、また本体ボデー12の先端側には回転式のハンドル16が設けられている。
ここでハンドル16は、回転操作によって吐水開始と止水及び水量調節を行う。
このハンドル16には、周方向所定個所に突出形状の摘み18を備えている。また吐水部14は先端に吐水口20を備えている。
【0027】
本体ボデー12は、図2及び図3に示しているように軸方向端部に雄ねじ管21を備えており、この雄ねじ管21が壁Wを貫通して裏側に突き出している。そして壁Wの裏側に突き出した雄ねじ管21に対し、図示を省略する固定ナットがねじ込まれることにより、本体ボデー12が大径のフランジ部23にて壁Wの表側を挟み付ける状態に壁Wに取り付けられるようになっている。
【0028】
図2及び図3に示しているように、本体ボデー14の内部には水路22の開度(遮断又は開放を含む)を制御するシリンダ式バルブ(以下単にバルブとする)24が組み込まれている。
このバルブ24は、ハンドル16に作動的に連結されてこれと一体回転する円筒形状のシリンダ弁体26と、その外側の円筒形状の弁ケース28とを有している。
【0029】
図12にも示しているように、シリンダ弁体26には周方向に180°隔たった2個所に周壁を内外に貫通する一対の通水用の開口30,32が形成されている。
また同じく弁ケース28の側にも開口30,32に対応する位置において、弁ケース28の周壁を内外に貫通する開口34,36が設けられている。
【0030】
これらシリンダ弁体26,弁ケース28を有する本例のバルブ24の場合、ハンドル16の操作によってシリンダ弁体26を回転させて位置変化させ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32を弁ケース28の開口34,36に完全一致させた状態で水路22が完全開放され、水路22を通じて送られてきた水が吐水口20から外部に吐水される。
【0031】
また一方ハンドル16の操作によって、シリンダ弁体26が上記の位置と異なる位置に回転させられ、そしてシリンダ弁体26の開口30,32が弁ケース28の開口34,36に完全不一致となった状態で水路22が遮断され、吐水口20からの吐水が停止(止水)する。
更にシリンダ弁体26の開口30,32と弁ケース28の開口34,36とが重なり合った状態で、且つその重なり合った面積が変化することで、吐水口20から外部に吐水される水量が調節される。
【0032】
シリンダ弁体26には、これとは別体をなす弁軸部38が一体回転状態に組み付けられており、それらシリンダ弁体26と弁軸部38とが弁体組付体40を成している。
弁軸部38には、図4,図6,図10及び図14に示しているように細幅のリング溝42が形成されており、そこに止め輪(ここではEリング)44が弾性的に嵌められている。
【0033】
そして弁軸部38が弁ケース28の挿通孔46を軸方向に挿通した状態で、この止め輪44と弁軸部38の後述の大径の雄嵌合部90とが弁ケース28の内向きのフランジ部48を軸方向に挟み込む状態に弁軸部38が、即ち弁体組付体40が弁ケース28に固定され組み付けられている。
【0034】
図3,図4,図6,図8に示しているように本体ボデー12の図中左端部の内面には雌ねじ50が形成されており、そこに外面に雄ねじ52を有する固定リング54がねじ込まれている。
そしてこの固定リング54の本体ボデー12のねじ込みにより、バルブ24が後述の位置決リング56を介し本体ボデー12に軸方向に固定され抜止めされている。
【0035】
図4及び図5において、58はハンドル16に加えられた回転の操作力を上記弁軸部38に伝達して一体回転させる軸状の伝達部材(ここでは樹脂製)で、図中左端部の外面に図4に示しているように雄セレーション部60が設けられている。
一方ハンドル18の内面には、図4に示しているように雌セレーション部62が設けられていて、この雌セレーション部62が雄セレーション部60に噛み合わされている。そしてこれら雄セレーション部60と雌セレーション部62との噛み合いにより、伝達部材58がハンドル16と一体回転するようになっている。
【0036】
一方、伝達部材58は図5,図6に示すように図中右端側に嵌合孔64を有しており、この嵌合孔64において弁軸部38に嵌合させられている。
そしてその嵌合状態の下で、弁軸部38の中心部に形成された雌ねじ部66に、固定ねじ68がねじ込まれることによって、弁軸部38と伝達部材58とが軸方向に締結されている。
図4に示しているように、弁軸部38は図中左端部が略四角形状をなしているとともに、軸直角方向に突出する突条70を備えている。
【0037】
一方これに嵌合する伝達部材58の嵌合孔64には、図6中左側の奥部に弁軸部38の先端部に対応した四角形状の係合部72と、突条70に対応した凹溝74が備えられており、それら係合部72及び凹溝74が、弁軸部38の四角形状の先端部及び突条70に嵌り合って回転方向に係合している。そしてそれらの係合に基づいて、伝達部材58に伝えられた回転方向の操作力が弁軸部38に伝えられ、それらが一体回転するようになっている。
【0038】
上記位置決リング56は、図4,図5及び図7に示しているように軸方向に所定長さを有する円環状の部材であって、外周面の周方向に隔たった2個所に、径方向外方に突出する第1位置決凸部76を有しており、これら一対の第1位置決凸部76が、図4及び図8に示しているように水栓10の本体ボデー12の内面に形成された、対応する位置決凹部78に嵌り込み係合することによって、位置決リング56自体の本体ボデー12に対する回転方向の位置が定められるようになっている。
【0039】
位置決リング56はまた、第1位置決凸部76と同じ周方向位置において、軸方向に突出する一対の第2位置決凸部80を有しており、これらが図4及び図9に示しているようにバルブ24、詳しくはバルブケース28の対応する一対の位置決凹部82に嵌り込み係合することによって、位置決リング56とバルブ24との回転方向の位置が定められるようになっている。
即ち、バルブ24の本体ボデー12に対する回転方向の組付位置が、位置決リング56を介して規定されている。
【0040】
これら一対の第2位置決凸部80の内面には、径方向内方に突出する爪部88が設けられており、これら爪部88によって、位置決リング56をバルブ24に対し簡単に組み付けることができる。
詳しくは、図10に示しているように位置決リング56をバルブ24に対し軸方向に押し込むと、爪部88がバルブ24のリング溝42に装着されている止め輪44を弾性的に乗り越えて通過し、そして止め輪44を爪部88が乗り越えたところで爪部88が止め輪44に対し軸方向に引っ掛かって係合した状態となる。これにより位置決リング56がバルブ24に対し組み付いた状態となる。
尚、各爪部88には図7及び図10(II)の部分拡大図に示しているように、位置決リング56を図中軸方向(図7中下方向)に押し込むときに、止め輪44を乗り越えるための傾斜形状の乗越ガイドが押込方向の先端側に設けられている。
【0041】
位置決リング56にはまた、更にその内面の2個所に、具体的には外面の第1位置決凸部76と同じ周方向位置の2個所において、径方向内方に突出する一対のストッパ部84が設けられている。
これらストッパ部84は、ハンドル16の回転を一定角度範囲内に規定するハンドルストッパ部として働くものである。
【0042】
詳しくは、ハンドル16の回転方向の操作力を弁軸部38に伝達する上記伝達部材58には、図5,図8に示しているように径方向外方に突出する一対の当接部86が備えられており、図11に示しているようにハンドル16を回転させたときにこれら当接部86が、位置決リング56の一対のストッパ部84に当接することによって、ハンドル16の回転が一定角度範囲内に規制される。
【0043】
尚、ハンドル16を正方向に回転させたときには伝達部材58の一対の当接部86の一方が、位置決リング56の一対のストッパ部84の一方に当接し、また逆方向に回転操作したときには伝達部材58の他方の当接部86が、位置決リング56の他方のストッパ部84に当接する。
【0044】
上記弁体組付体40は、樹脂製の弁軸部38と金属製(ここではステンレス製)のシリンダ弁体26とが別体に構成されていて、それらが軸方向に連結され組み付けられている(図12〜図16参照)。
【0045】
図12,図15及び図16に示しているように、樹脂製の弁軸部38には図15,図16中下端部に大径の円形の雄嵌合部90が設けられており、この雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端の開口からその内部に嵌入させられ、かかる雄嵌合部90が、シリンダ弁体26の図中上端部(軸端部)の雌嵌合部92に弾性的に嵌合されている。
ここで雄嵌合部90の外周面には、図15に示しているように周方向に180°隔たった2個所に、各一対の位置決突起94が径方向外方に突出する状態で一体に形成されている。
【0046】
一方シリンダ弁体26の図中上端部には、開口に続いて正面形状が矩形状の切欠き96が形成されており、そこに位置決突起94が嵌り込むことによって、弁軸部38とシリンダ弁体26との回転方向位置が規定されている。
【0047】
金属製のシリンダ弁体26は、図17(A)に示しているように金属製の板材100を絞り加工し、そして底部102を打ち抜いて除去して得た絞り加工品から成るものであって、図中上側の軸端部が、軸端の開口に至るまで開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が全周に亘って係合爪98とされている。
【0048】
ここで径方向内方に突出する形態をなす係合爪98は、軸端の開口に向って漸次小径化して開口に至る形状をなしている。
一方湾曲部分の外面は、軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面(R面)106をなしている(図15(ハ)参照)。
尚、シリンダ弁体26の図中下端部にはフランジ部104が全周に亘って環状に形成されている。
【0049】
一方、弁軸部38の大径の雄嵌合部90の外面には、図15(ロ)に示しているように周方向に略120°ずつ隔たった3個所に、径方向外方に突出する係合突起108が設けられており、これら係合突起108が、シリンダ弁体26の係合爪98に対し軸方向且つ弁軸部38の抜き方向に係合させられ、それら係合突起108と係合爪98との係合により、弁軸部38とシリンダ弁体26とが軸方向に抜止状態に連結され組み付けられている。
【0050】
係合突起108は、図16に示しているように軸方向に延びる長手形状をなしており、その上端は鋭く屈曲した角部とされている。
一方、図中の下端部は下方に進むにつれて径方向内方に移行する傾斜面110とされている。
尚、雄嵌合部90の下端の外周縁部は曲面(R面)112とされている。
【0051】
図13及び図14において、114は弁ケース28の開口36縁部に装着されて、シリンダ弁体26と水栓の本体ボデー12との間を水密にシールするゴム等の弾性材で構成されたリング状のパッキンで、116はそのリング状をなすパッキン114の内周側に嵌込状態に装着されて、パッキン114の求心方向の変形を防止する硬質の拘束リングである。
【0052】
この実施形態では、図15(イ)に示しているように弁軸部38側の位置決突起94を、シリンダ弁体26の切欠き96に対し回転方向位置を合わせた状態で、弁軸部38をシリンダ弁体26の図中上端の開口を通じ下向きに弾性的に押し込んで内部に嵌入させ、弁軸部38の大径の雄嵌合部90と、シリンダ弁体26の雌嵌合部92とを弾性嵌合させる。
このとき、弁軸部38の位置決突起94がシリンダ弁体26の切欠き96に嵌り込んで係合し、これにより弁軸部38とシリンダ弁体26とが回転方向に位置決され固定される。
【0053】
このようにして弁軸部38をシリンダ弁体26に軸方向に押し込むとき、雄嵌合部90の外面に突出形成された、図16に示す複数の係合突起108が先ず傾斜面110のカム作用でシリンダ弁体26の図中上端部を弾性的に押し開き、続いて各係合突起108が、下向きの押込力でシリンダ弁体26の上端部に嵌入される。
【0054】
嵌入後において各係合突起108は、図16に示しているようにシリンダ弁体26の係合爪98に係合した状態となり、ここにおいて弁軸部38がシリンダ弁体26に対し軸方向に抜止状態に結合される。
尚、弁軸部38のシリンダ弁体26に対する押込量は、一対の位置決突起94が切欠き96の底部に当接することによって規定される。
【0055】
以上のような本実施形態では、シリンダ弁体26に全周に亘って形成された係合爪98と弁軸部38の周方向複数個所に設けた係合突起108との係合により、シリンダ弁体26に対する弁軸部38の抜き力を大となし得て、シリンダ弁体26と弁軸部38との軸方向の結合強度を高強度となすことができる。
【0056】
また本実施形態では、弁軸部38側の係合突起108を軸方向の長手形状となしてあることから、係合突起108の軸方向強度を高強度となし得て、シリンダ弁体26に対し弁軸部38を軸方向に押し込んでそれらを連結する際、係合突起が折損等の損傷を生じるのを有効に防止することができ、また係合突起108と係合爪98との係合力を大となし得て、シリンダ弁体26と弁軸部38との結合強度をより強くすることができる。
【0057】
また嵌入ガイドをなす傾斜面118を係合突起108の嵌入方向の先端側に設けているため、弁軸部38をシリンダ弁体26に押し込む際に、傾斜面110の嵌入ガイド作用によって、容易に係合突起108をシリンダ弁体26の雌嵌合部92に嵌入させることができる。
【0058】
更に本実施形態では、シリンダ弁体26を、金属製の板材100の絞り加工によって簡単に製造することができ、しかも同時に係合爪98を全周に亘って形成することができる。
【0059】
またシリンダ弁体26の軸端部の外面が軸端の開口に至るまで開口に向って漸次小径化する曲面112をなしているため、シリンダ弁体26を弁ケース28に軸方向に嵌め込む際、その曲面112による嵌込みのガイド作用によって、容易に嵌め込みを行うことができ、シリンダ弁体26と弁ケース28との組付作業性を良好となすことができる。
【0060】
以上本発明の実施形態を詳述したが、本発明のシリンダ式バルブは単水栓のみならず、いわゆる2ハンドル式の湯水混合水栓その他様々な水栓或いはその他のものに適用することが可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態のシリンダ式バルブを内蔵した水栓を外観状態で示す図である。
【図2】図1の水栓の平面断面図である。
【図3】図1の水栓の側面断面図である。
【図4】同実施形態のシリンダ式バルブを水栓とともに分解して示した斜視図である。
【図5】図4の各部品を別の方向から示した斜視図である。
【図6】図4及び図5に示した各部品の側面断面図である。
【図7】同実施形態のシリンダ式バルブにおける位置決リングの単品図である。
【図8】図7の位置決リングと水栓の本体ボデー及び伝達部材との組付関係を示した図である。
【図9】図7の位置決リングと弁ケースとの位置決構造を示した図である。
【図10】図7の位置決リングと弁ケースとの組付構造を示した図である。
【図11】図7の位置決リングのハンドルに対する回転規制作用を示した作用説明図である。
【図12】同実施形態のシリンダ式バルブを組付状態で単体で示した図である。
【図13】図12のシリンダ式バルブを弁ケースと弁体組付体に分解して示した斜視図である。
【図14】図12のシリンダ式バルブを弁ケースと弁体組付体とに分解して図13とは異なる方向で示した斜視図である。
【図15】同実施形態のシリンダ式バルブにおけるシリンダ弁体と弁軸部との組付構造を示した図である。
【図16】図15のシリンダ弁体と弁軸部とを組み付けた状態で示す断面図である。
【図17】図15及び図16のシリンダ弁体の製造工程の要部を示した図である。
【図18】従来のシリンダ式バルブの一例を示した図である。
【符号の説明】
【0062】
22 水路
24 シリンダ式バルブ
26 シリンダ弁体
28 弁ケース
30,32,34,36 開口
38 弁軸部
90 雄嵌合部
92 雌嵌合部
98 係合爪
108 係合突起
110 傾斜面
112 曲面(R面)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースと、該シリンダ弁体と別体をなし、該シリンダ弁体に連結されて該シリンダ弁体を回転駆動する弁軸部と、を備え
該シリンダ弁体は該弁ケースに回転可能に内嵌されるとともに、それらシリンダ弁体と弁ケースとには周方向の所定個所に周壁を内外に貫通する通水用の開口がそれぞれ形成され、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させ、水路の開度変化を行うシリンダ式バルブにおいて
前記シリンダ弁体の軸端部の雌嵌合部に、前記弁軸部の対応する軸端部の雄嵌合部を、該シリンダ弁体の軸端の開口を通じて軸方向に嵌入させて、それら雌嵌合部と雄嵌合部とを嵌合させるとともに、
該雌嵌合部には、前記軸端の開口に向って小径化し該開口に到る係合爪を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、前記雄嵌合部の外周面には、径方向外方に突出し、該係合爪に対して前記弁軸部の軸方向且つ抜き方向に係合する係合突起を設け、それら係合爪と係合突起との係合により前記シリンダ弁体と該弁軸部とを軸方向に抜止状態に連結したことを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項2】
請求項1において、前記係合突起は前記軸方向に延びる長手形状をなしていることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記雄嵌合部には前記係合突起が周方向の複数個所に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記係合突起には、該係合突起を前記雌嵌合部に対し軸方向に嵌入させる際の嵌入ガイドをなす傾斜面が嵌入方向の先端側に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記シリンダ弁体が金属板材を絞り加工して底部を打抜いた絞り加工品であって、該シリンダ弁体の前記軸端部が前記軸端の開口に至るまで該開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が前記全周に亘る係合爪を形成しているとともに、外面が該軸端の開口に至るまで該開口に向って漸次小径化する曲面を成していることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項1】
円筒形状のシリンダ弁体と、該シリンダ弁体の外側の円筒形状の弁ケースと、該シリンダ弁体と別体をなし、該シリンダ弁体に連結されて該シリンダ弁体を回転駆動する弁軸部と、を備え
該シリンダ弁体は該弁ケースに回転可能に内嵌されるとともに、それらシリンダ弁体と弁ケースとには周方向の所定個所に周壁を内外に貫通する通水用の開口がそれぞれ形成され、該弁ケースに対する該シリンダ弁体の回転に伴って、該弁ケースの開口に対する該シリンダ弁体の開口を位置変化させ、水路の開度変化を行うシリンダ式バルブにおいて
前記シリンダ弁体の軸端部の雌嵌合部に、前記弁軸部の対応する軸端部の雄嵌合部を、該シリンダ弁体の軸端の開口を通じて軸方向に嵌入させて、それら雌嵌合部と雄嵌合部とを嵌合させるとともに、
該雌嵌合部には、前記軸端の開口に向って小径化し該開口に到る係合爪を全周に亘って径方向内方に突出する状態で設ける一方、前記雄嵌合部の外周面には、径方向外方に突出し、該係合爪に対して前記弁軸部の軸方向且つ抜き方向に係合する係合突起を設け、それら係合爪と係合突起との係合により前記シリンダ弁体と該弁軸部とを軸方向に抜止状態に連結したことを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項2】
請求項1において、前記係合突起は前記軸方向に延びる長手形状をなしていることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記雄嵌合部には前記係合突起が周方向の複数個所に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、前記係合突起には、該係合突起を前記雌嵌合部に対し軸方向に嵌入させる際の嵌入ガイドをなす傾斜面が嵌入方向の先端側に設けてあることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記シリンダ弁体が金属板材を絞り加工して底部を打抜いた絞り加工品であって、該シリンダ弁体の前記軸端部が前記軸端の開口に至るまで該開口に向って均等な板厚で径方向内方に湾曲しており、湾曲部分の内側が前記全周に亘る係合爪を形成しているとともに、外面が該軸端の開口に至るまで該開口に向って漸次小径化する曲面を成していることを特徴とするシリンダ式バルブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−185156(P2008−185156A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20188(P2007−20188)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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