説明

シロキサンポリマー、シロキサン系の架橋性組成物及びシリコーン膜

【課題】シルセスキオキサン骨格をケイ素系重合体の主鎖に含み、かつ耐熱性に優れるシリコーン膜を提供する。
【解決手段】
シルセスキオキサンを主鎖に含む特定のケイ素化合物と、このケイ素化合物中の水酸基と反応する四つ以上の架橋性官能基を有する架橋性ケイ素化合物とを含有する架橋性組成物を、例えば架橋性組成物の膜において前記水酸基と架橋性ケイ素化合物とを反応させて硬化させ、シリコーン膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサンポリマー、シロキサン系の架橋性組成物とこの架橋性組成物から得られるシリコーン膜に関する。
【背景技術】
【0002】
シルセスキオキサン骨格を含むポリマーは、特異な構造を有し、またそれによる特異な効果が期待されるため、様々な分野から注目されている。このようなシルセスキオキサン骨格を含むポリマーには、シルセスキオキサン骨格を主鎖に含むケイ素系重合体が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このケイ素系重合体は、透明性、皮膜形成性等に優れるフィルム、シート及び成形体に使用することができる。しかしながら前記ケイ素系重合体は、熱可塑性を有することから、成形体の耐熱性を要する分野への応用が制限される。このように前記ケイ素系重合体には、成形体の耐熱性において検討の余地が残されている。
【特許文献1】特開2006−22207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、シルセスキオキサン骨格をケイ素系重合体の主鎖に含み、かつ耐熱性に優れるシリコーン膜を提供する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、シルセスキオキサン骨格を主鎖に含む特定のケイ素化合物の末端の水酸基と、この水酸基に対する結合性を有する四官能以上の架橋性ケイ素化合物とを反応させてなるシロキサンポリマー、前記の化合物を含有する架橋性組成物、及び前記シロキサンポリマーで形成されるシリコーン膜を提供する。
【0005】
また本発明は、シルセスキオキサン骨格を主鎖に含むケイ素系重合体の末端に、水分によって架橋が進行する架橋性ケイ素化合物を導入してなるシロキサンポリマー、及び前記シロキサンポリマーの末端が架橋した、シロキサンポリマーで全て形成されるシリコーン膜を提供する。
すなわち本発明は下記[1]〜[11]で表される発明を提供する。
【0006】
[1] 下記式(1)で表されるケイ素化合物と、このケイ素化合物中の水酸基と反応する基又は原子を4以上有する架橋性ケイ素化合物とから得られるシロキサンポリマー。
【0007】
【化1】

【0008】
式(1)中、mは、独立して0〜30の整数を表し;nは、1〜1,000の整数を表し;R0は、独立して、炭素数6〜20のアリール又は炭素数5又は6のシクロアルキルを表し;R1及びR2は、独立して炭素数1〜40のアルキル、炭素数6〜40のアリール、又は炭素数7〜40のアリールアルキルを表し;
前記アリール、前記シクロアルキル、及び前記アリールアルキルにおけるアリールは、それぞれ、任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく;前記炭素数1〜40のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;前記アリールアルキルのアルキレンは、その炭素数が1〜10であり、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−、−CH=CH−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;前記炭素数1〜20のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−、炭素数5〜20のシクロアルキレン、又はフェニレンで置き換えられてもよい。
【0009】
[2] 前記架橋性ケイ素化合物が、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及びこれらのオリゴマーからなる群から選ばれる一以上であることを特徴とする[1]記載のシロキサンポリマー。
【0010】
Si(R34 (2)
Si(R33−R4−Si(R33 (3)
【0011】
式(2)中、R3は、独立して、ビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシからなる群から選ばれる一以上を表し、R3はフェニレン、及び炭素数1〜5のアルキレンの一方又は両方を含んでいてもよく、炭素数1〜5のアルキレンの任意のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよい。
【0012】
式(3)中、R3は独立してビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシからなる群から選ばれる一以上を表し、R3はフェニレン、及び炭素数1〜5のアルキレンの一方又は両方を含んでいてもよく、炭素数1〜5のアルキレンの任意のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよく、R4は、硫黄数1〜4のスルフィド又は炭素数1〜3のアルキレンジイミノを表す。
【0013】
[3] 前記架橋性ケイ素化合物が、テトラエトキシシラン、そのオリゴマー、メチルトリメトキシシランオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン、3−プロピルトリメトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる一以上であることを特徴とする[2]記載のシロキサンポリマー。
【0014】
[4] 前記R0〜R2がそれぞれ独立してメチル又はフェニルであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー。
【0015】
[5] 前記R0がフェニルであり、前記R1及びR2がメチルであることを特徴とする[4]記載のシロキサンポリマー。
【0016】
[6] 前記式(1)で表されるケイ素化合物と、このケイ素化合物中の水酸基と反応する基又は原子を4以上有する前記架橋性ケイ素化合物とを含有する架橋性組成物。
【0017】
[7] 前記架橋性ケイ素化合物が、前記式(2)で表される化合物、前記式(3)で表される化合物、及びこれらのオリゴマーからなる群から選ばれる一以上であることを特徴とする[6]記載の架橋性組成物。
【0018】
[8] 前記架橋性ケイ素化合物が、テトラエトキシシラン、そのオリゴマー、メチルトリメトキシシランオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン、3−プロピルトリメトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる一以上であることを特徴とする[7]記載の架橋性組成物。
【0019】
[9] 前記R0〜R2がそれぞれ独立してメチル又はフェニルであることを特徴とする[6]〜[8]のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【0020】
[10] 前記R0がフェニルであり、前記R1及びR2がメチルであることを特徴とする[9]記載の架橋性組成物。
【0021】
[11] [6]〜[10]のいずれか一項に記載の架橋性組成物の膜が硬化してなるシリコーン膜。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、前記式(1)で表されるケイ素化合物と前記架橋性ケイ素化合物とを含有する架橋性組成物において、前記ケイ素化合物と前記架橋性ケイ素化合物とを結合させることによって膜状のシロキサンポリマーを得ることができることから、シルセスキオキサン骨格をケイ素系重合体の主鎖に含み、かつ耐熱性に優れるシリコーン膜を提供することができる。
【0023】
また本発明では、4以上の結合可能の基を持つ架橋性ケイ素化合物を用いることにより、比較的硬い自己支持膜が得られるため、フィルム等への応用が見込め、有用材料となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のシロキサンポリマーは、下記式(1)で表されるケイ素化合物と、このケイ素化合物に結合する架橋性ケイ素化合物とから得られる。前記ケイ素化合物は一種でも二種以上でもよい。
【0025】
【化2】

【0026】
前記式(1)中、R0は独立して炭素数6〜20のアリール又はシクロアルキルを表す。R0のアリール及びシクロアルキルは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい。
【0027】
前記式(1)中、R1及びR2は独立して炭素数1〜40のアルキル、炭素数6〜40のアリール、又は炭素数7〜40のアリールアルキルを表す。R1及びR2における炭素数1〜40のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。
【0028】
1及びR2における炭素数6〜40のアリールは、任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい。またR1及びR2における炭素数7〜40のアリールアルキルは、アリールにおける任意の水素が独立してハロゲン又は炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよい。
【0029】
1及びR2における炭素数6〜40のアリール及び炭素数7〜40のアリールアルキルの置換基である炭素数1〜20のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−、炭素数5〜20のシクロアルキレン又はフェニレンで置き換えられてもよい。さらにR1及びR2における炭素数1〜40の前記アリールアルキルのアルキレンは、その炭素数が1〜10であり、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が独立して−O−、−CH=CH−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよい。
【0030】
0〜R2は、全て同じであってもよいし、R0〜R2のそれぞれにおいて同じであってもよいし、R0〜R2のそれぞれにおいて異なっていてもよいし、R0〜R2の全てで異なっていてもよい。具体的には、前記R0〜R2にはメチル及びフェニルが挙げられる。R0〜R2は、光学特性等の諸特性を得る観点、及び合成の容易性の観点から、R0はフェニルであり、R1及びR2はメチルであることが好ましい。
【0031】
前記式(1)中、mは独立して0〜30の整数を表し、nは1〜1,000の整数を表す。mは、合成の容易さ、得られるシリコーン膜の物性等の観点から0〜9であることが好ましく、0〜5であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましい。またnは、合成の容易さ、得られるシリコーン膜の物性等の観点から1〜1,000であることが好ましく、3〜200であることがより好ましく、5〜30であることがさらに好ましい。mが大きすぎると、前記式(1)で表されるケイ素化合物を合成して得る場合に、1段階では合成できなくなることがある。また、mが大きすぎると、前記式(1)で表されるケイ素化合物の特性において、シルセスキオキサンの特性に比べてシロキサンの特性が強くなりすぎることがある。
【0032】
前記式(1)で表されるケイ素化合物の重量平均分子量は、好ましくは4,000〜200,000であり、より好ましくは7,000〜50,000である。
【0033】
前記ケイ素化合物は、前記特許文献1に記載されているように、下記式(5)で表されるシルセスキオキサンと下記式(6)で表される鎖状シロキサンとをトリエチルアミン等の塩基の存在下で反応させることによって得られる。前記式(1)中のmは、前記鎖状シロキサンの種類によって決めることができる。前記式(1)中のnは、反応条件(温度、式(6)で表される鎖状シロキサンの濃度等)によって調整される。
【0034】
【化3】

【0035】
なお、前記式(5)で表されるシルセスキオキサンも、前記特許文献1に記載されているように、下記式(7)で表される化合物と下記式(8)で表される化合物を反応させ、加水分解することによって得られる。ここで、Xはハロゲン又は水素を表す。そして下記式(7)で表される化合物も、前記特許文献1に記載されているように、下記式(9)で表される化合物を、水酸化ナトリウム及び水の存在下で加水分解、縮重合することによって得られる。このときの反応は有機溶剤の存在下であっても非存在下であってもよい。
【0036】
【化4】

【0037】
前記架橋性ケイ素化合物は、前記ケイ素化合物中の水酸基と反応する基又は原子(以下「架橋性官能基」とも言う)を4以上有する。架橋性ケイ素化合物は一種でも二種以上でもよい。架橋性ケイ素化合物としては、例えば、前記架橋性官能基を四つ以上有するケイ素化合物、そのオリゴマー、及び、ケイ素化合物のオリゴマーであって、前記架橋性官能基を四つ以上有するオリゴマーが挙げられる。
【0038】
前記架橋性ケイ素化合物は、架橋密度を上げることにより、得られるシリコーン膜の硬度、耐熱性の向上、化合物の入手の容易さの観点から、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及びこれらのオリゴマーからなる群から選ばれる一以上であることが好ましい。
Si(R34 (2)
Si(R33−R4−Si(R33 (3)
【0039】
式(2)中、R3は、独立してビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシ、からなる群から選ばれる一以上を表し、かつR3はフェニレン、及び任意のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよい炭素数1〜5のアルキレン、の一方又は両方を含んでいてもよい。
【0040】
式(3)中、R3は独立してビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシからなる群から選ばれる一以上を表し、R3はフェニレン、及び炭素数1〜5のアルキレンの一方又は両方を含んでいてもよく、炭素数1〜5のアルキレンの任意のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよい。R4は、硫黄数1〜4のスルフィド又は、炭素数1〜3のアルキレンとその両端のそれぞれに結合するイミノとを有する炭素数1〜3のアルキレンジイミノを表す。
【0041】
前記式(2)で表される架橋性化合物の四つのR3のうちの三つは、独立して前記アルコキシ又はアセトキシであり、他の一つはその他の架橋性官能基であることが、その官能基を用いて縮合反応以外の2次架橋を行える観点から好ましい。同様に、前記式(3)で表される架橋性化合物のそれぞれのケイ素に結合する三つのR3が独立して前記アルコキシ又はアセトキシであることが、架橋構造をより緻密に行え、得られるシリコーン膜の硬度、耐熱性向上に有利である観点から好ましい。
【0042】
前記式(2)で表される架橋性ケイ素化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、及びアリルトリメトキシシランが挙げられる。
【0043】
前記式(3)で表される架橋性ケイ素化合物としては、例えば、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンが挙げられる。
【0044】
架橋性ケイ素化合物としてのオリゴマーは、入手のしやすさの観点から、構成単位の繰り返しの数(重合度)が2〜20であることが好ましく、2〜15であることがより好ましく、4〜10であることがさらに好ましい。前記オリゴマーとしては、例えば、コルコート(株)製のメチルシリケート51(テトラメトキシシラン4量体)、メチルシリケート53(テトラメトキシシラン7量体)、エチルシリケート40(テトラエトキシシラン5量体)、エチルシリケート48(テトラエトキシシラン10量体)が挙げられる。架橋性ケイ素化合物のオリゴマーは、多摩化学工業(株)等からも入手できる。
【0045】
特に、前記架橋性ケイ素化合物は、テトラエトキシシラン、そのオリゴマー、メチルトリメトキシシランオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン、3−プロピルトリメトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる一以上であることが、入手のしやすさ、および架橋剤として用いた場合の効果の観点から好ましい。
【0046】
なお、前記架橋性ケイ素化合物は、前記架橋性官能基を四つ以上有していれば、他の基
をさらに有していてもよい。他の基は一種でも二種以上でもよい。このような他の基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル等のアルキル、フェニル等のアリールが挙げられる。
【0047】
前記式(1)で表されるケイ素化合物と前記架橋性ケイ素化合物との架橋は、架橋性ケイ素化合物が有する、式(1)で表されるケイ素化合物中の水酸基と反応する架橋性の官能基の種類に基づいて、両ケイ素化合物を適切な条件下で共存させることによって行われる。前記式(1)で表されるケイ素化合物と前記架橋性ケイ素化合物との架橋について、式(1)で表されるケイ素化合物におけるR0がフェニルであり、R1及びR2がメチルであり、mが2であり、前記架橋性ケイ素化合物がビニルトリメトキシシランである場合を例にさらに説明する。
【0048】
【化5】

【0049】
前記化学式に示すように、本発明のシロキサンポリマーは、前記式(1)で表されるケイ素化合物の水酸基と前記架橋性ケイ素化合物とが縮合し、末端のケイ素に二つのメトキシ基を有する縮合ポリマーとして形成され、またこれに伴い前記水酸基の水素とメトキシ基との縮合物であるメタノールも生成する。
【0050】
前記式(1)で表されるケイ素化合物と架橋性ケイ素化合物とを、空気等の水分を含む雰囲気に接触させると、この雰囲気中の水分によって前記架橋性ケイ素化合物中のメトキシ基が加水分解されて、前記式(1)で表されるケイ素化合物の末端のケイ素に前記架橋性ケイ素化合物が結合したシロキサンポリマー1とメタノールとが生成する。さらにシロキサンポリマー1の末端に位置するメトキシ基が同様に空気中の水分によって加水分解し、末端に水酸基が導入されたシロキサンポリマー2とメタノールとが生成する。
【0051】
この加水分解の過程では、末端に水酸基を有するシロキサンポリマーと、末端にメトキシ基を有するシロキサンポリマーと、末端に水酸基及びメトキシ基を有するシロキサンポリマーとの少なくとも二つが存在し、あるシロキサンポリマーの水酸基と他のシロキサンポリマーのメトキシ基とがさらにメタノールを生成しながら縮合することによって、架橋性シロキサンポリマーが架橋する。
【0052】
前記式(1)で表されるケイ素化合物に対して十分量の前記架橋性ケイ素化合物を縮合に供する場合には、下記化学式で示すように、前記ケイ素化合物の両末端で架橋性ケイ素化合物が縮合した架橋性シロキサンポリマーが形成され、前述したような過程を経て架橋する。
【0053】
【化6】

【0054】
また下記化学式に示すように、前記架橋性ケイ素化合物が例えばテトラエトキシシランのような4つ以上のアルコキシ基をもつ場合は、前述したように、前記式(1)で表されるケイ素化合物の両末端で架橋性ケイ素化合物が縮合したシロキサンポリマーが形成され、前述したような過程を経て架橋する。
【0055】
【化7】

【0056】
なお、前記化学式では、前記式(1)で表されるケイ素化合物と架橋性ケイ素化合物とが等量又は倍量で規則的に反応し、また水分による加水分解も規則的に行われてなるシロキサンポリマーの一形態を示したが、本発明のシロキサンポリマーはこの形態に限定されない。例えば本発明のシロキサンポリマーは、この形態を含んでいてもよいし、一つの前記架橋性ケイ素化合物に対して二又は三の前記式(1)で表されるケイ素化合物が結合している形態を含んでいてもよい。
【0057】
前記ケイ素化合物と前記架橋性ケイ素化合物との反応は、必要に応じて、触媒の存在下で行うことができる。前記触媒としては、例えば、酢酸、塩酸等の酸触媒、及び有機錫系触媒が挙げられる。触媒の種類及び使用量は、架橋性官能基の種類に応じて決めることができ、例えば架橋性官能基がエトキシである場合では、例えば触媒にはラウリン酸ジブチル錫が、架橋性ケイ素化合物100重量部に対して0.01〜5重量部で使用される。
【0058】
本発明のシロキサンポリマーは、前記式(1)で表されるケイ素化合物と前記架橋性ケイ素化合物とから製造したときの耐熱性や溶剤に対する溶解性の変化によって確認することができる。例えば本発明のシロキサンポリマーの生成は、120℃に加熱したときに融解しなくなることによって、又は生成物がアセトンに対して不溶であることによって確認することができる。
【0059】
本発明の架橋性組成物は、前記ケイ素化合物と、前記架橋性ケイ素化合物とを含有する。前記架橋性組成物における前記架橋性ケイ素化合物の含有量は、硬化物の硬度、耐熱特性等の向上の観点から、前記ケイ素化合物100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましく、5〜10重量部であることがさらに好ましい。
【0060】
前記架橋性組成物は、本発明の効果が得られる範囲において、前記ケイ素化合物及び架橋性ケイ素化合物以外の他の成分をさらに含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば溶剤、触媒、本発明のシロキサンポリマー以外の他のポリマー、及び各種の添加剤が挙げられる。前記触媒には、本発明のシロキサンポリマーの説明で前述した触媒を用いることができる。
【0061】
前記溶剤は、前記ケイ素化合物及び架橋性ケイ素化合物を含む含有成分を溶解する溶剤であることが好ましく、また前記含有成分に対して反応性を有さない溶剤であることが好ましい。前記溶剤は一種でも二種以上でもよい。このような溶剤としては、例えば、例えばヘキサンやヘプタン等の炭化水素系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル系溶剤、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶剤、及び酢酸エチル等のエステル系溶剤、が挙げられる。
【0062】
前記他のポリマーは、前記架橋性組成物から形成されるシリコーン膜の所望の特性に応じて、公知のポリマーの中から適宜に選ぶことができる。他のポリマーは一種でも二種以上でもよい。また他のポリマーは前記架橋性官能基と反応し得る基を有していてもよい。前記他のポリマーは、シリコーン膜の機械的特性の向上の観点から、前記架橋性官能基と反応し得る基を有することが好ましい。前記他のポリマーとしては、例えば、アルコキシシリル基含有ポリマー、ビニル基含有ポリマー、ヒドロシリル基含有ポリマー等が挙げられる。
【0063】
前記添加剤は、前記架橋性組成物又は前記シリコーン膜への所望の特性の付与や向上の観点から、公知の各種添加剤を利用することができる。このような添加剤としては、例え
ば、界面活性剤、シリカ、マイカ等の充填剤等が挙げられる。
【0064】
前記架橋性組成物における前記溶剤の含有量は、架橋性組成物の塗布性を高める観点から、架橋性組成物に配合される固形の成分の含有量が架橋性組成物において、10〜90重量%となる量であることが好ましく、30〜70重量%となる量であることがより好ましく、40〜60重量%となる量であることがさらに好ましい。
【0065】
前記架橋性組成物における前記触媒の含有量は、概ね、架橋性ケイ素化合物100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましく、0.5〜2重量部であることがさらに好ましい。
【0066】
前記架橋性組成物における前記他のポリマーの含有量は、このポリマーの添加によるシリコーン膜の特性の向上の観点から任意に決めることができる。
【0067】
前記架橋性組成物における前記添加剤の含有量は、添加剤の添加による効果を得る観点から、0.1〜40重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましい。
【0068】
前記他の成分の任意の成分は、前記架橋性組成物に混合せずに、架橋性組成物に添えられていてもよい。例えば、本発明の架橋性組成物は、前記任意の成分を含有せず、容器に収容された架橋性組成物と、容器に収容された架橋性組成物の量及び組成に応じた量の、他の容器に収容された前記任意の成分とからなる形態であってもよい。
【0069】
本発明のシリコーン膜は、前記架橋性組成物の膜を硬化することによって得ることができる。
【0070】
前記架橋性組成物の膜は、基板やフィルムに架橋性組成物を塗布することによって形成することができる。このような架橋性組成物の塗布方法には、ディップ法、バーコーターやアプリケーターで塗布する方法等の公知の方法を用いることができる。
【0071】
前記架橋性組成物の膜の硬化は、架橋性官能基の種類に応じて、架橋性組成物の膜を、含水気体の雰囲気中への放置、加熱や光照射等の、本発明のシロキサンポリマーを生成する前述した条件に基づいて処理することによって行うことができる。例えば前記架橋性組成物の膜の硬化は、湿度50%程度の通常の空気中へ放置することにより、気中の水分による加水分解によって硬化する。この硬化の速度は、前記架橋性組成物中への触媒の配合によって増加し、また前記膜を加熱することによっても増加する。さらにこのような加熱処理は、例えばビニル基やメタクリル基を持つ架橋性ケイ素化合物を用いる場合、ビニル基、メタクリル基重合によるラジカル重合も生じ得ることから、このようなラジカル重合による架橋性ケイ素化合物の2次架橋も期待される。
【0072】
本発明のシリコーン膜は、シロキサン鎖とシルセスキオキサンとが架橋性ケイ素化合物を介して交互に配列し、かつ架橋性ケイ素化合物によって架橋してなる、主にシラノールから形成される主鎖の架橋物によって構成される。本発明のシリコーン膜は、ケイ素化合物に特有の溶解性、耐熱性、及び難燃性等の特性、シルセスキオキサンに特有のガス透過性、光透過性、及び低誘電率等の特性及び架橋構造による機械的強度等の特性に優れることが期待される。このような発明のシリコーン膜は、幅広い用途への利用が期待される。本発明のシリコーン膜の用途としては、例えば、金属溶出防止膜、ガスバリア膜、反射防止膜等の基板用コーティング剤、液状封止剤、層間絶縁膜、汚れ防止用コーティング剤、マイクロレンズ、導光板、光導波路材料等の光学素子、ディスプレイ基板及びプリント配線用基板等の電気、電子材料への用途が挙げられる。
【実施例】
【0073】
[合成例1]シロキサンポリマーの合成
前記式(1)におけるR0がフェニルでありR1がメチルである下記構造式で示される15.00g(12.65mmol)のシルセスキオキサンを反応容器へ収容して水分除去のための真空加熱を行い、窒素雰囲気で反応容器を0℃に冷却し、100mLの脱水トルエン及び31.80mL(228.00mmol)のトリエチルアミンを反応容器に添加し、無色透明の溶液を得た。得られた溶液に3.63mL(12.65mmol)の1,5−ジクロロヘキサメチルトリシロキサンを添加して0℃にて反応を開始した。2時間後、反応温度を40℃に上げ、四日間攪拌を続けた後に反応を停止した。この反応によって粘性を有する乳白色の溶液を得た。
【0074】
【化8】

【0075】
得られた溶液を、超純水を用いて水相が中性になるまで分液によって洗浄し、得られた油相をエバポレータで減圧濃縮し、得られた濃縮物をアセトンに溶解させた後にこの溶液にヘキサンを滴下して白色のオイル状の沈殿を得た。得られた沈殿をトルエンに溶解し、フッ素樹脂の板に塗布し、塗布物を徐々に乾燥させて、半透明の柔軟なフィルムとして、下記式で示されるシロキサンポリマーを得た。得られたシロキサンポリマーをGPCで測定したところ、重量平均分子量Mwは10,000であった。また数平均分子量Mnに対する重量平均分子量の比Mw/Mnは2.1であり、重合度Dpは7であった。
【0076】
【化9】

【0077】
GPC測定の測定条件を以下に示す。
<測定条件>
カラム:Shodex KF−806M 300×8.0mm
移動相:THF
流速:1.0ml/min
温度:35℃
検出器:UV(256nm)
分子量標準サンプル:分子量既知のポリスチレン
【0078】
さらに得られたシロキサンポリマーの熱特性を評価した。シロキサンポリマーの熱特性はTG−DTA(熱重量−示差熱分析)によって評価した。シロキサンポリマーの5%重量減少量温度は443℃、800℃における重量減少は32.0重量%であった。
【0079】
TG−DTA測定の条件を以下に示す。
<測定条件>
測定装置:示差熱熱重量同時測定装置EXSTAR6000 TG/DTA6300(セイコーインスツル株式会社製)
パン:Pt
標準試料:酸化アルミニウム(10mg)
サンプル質量:約10mg
温度プログラム:25〜800℃
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素
【0080】
[実施例1]
窒素雰囲気中、スクリュー管に、前記合成例1で得られたシロキサンポリマー5gをトルエン5gに溶解させ、得られた溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)0.25gを加えて混合し、架橋性組成物1を得た。
【0081】
得られたプレポリマー1の溶液に、触媒としてラウリン酸ジブチル錫0.1gを加えた。15分間攪拌、脱泡後、得られた架橋性組成物1を離型剤塗布フィルムに塗布し、得られた塗膜を10分間風乾させた。前記塗膜をオーブン中で80℃にて1時間加熱し、さらに120℃にて2時間加熱することにより硬化させ、得られた硬化膜を離型剤塗布フィルムより剥がすことより、厚さ約100μmの透明なシリコーン膜1を得た。なお、シリコーン膜1の厚さは膜厚計((株)サンコウ電子研究所製EL−30)で測定した。
【0082】
さらに、得られたシリコーン膜1の機械的強度を評価した。シリコーン膜1の機械的強度は鉛筆硬度によって評価した。シリコーン膜1の鉛筆硬度はJIS K 5600−4に定められた方法で測定した。その結果、シリコーン膜1の鉛筆硬度はBであった。さらに合成例1と同様に、得られたシリコーン膜1の熱特性を評価した。その結果、シリコーン膜1の5%重量減少量温度は514℃、800℃における重量減少は14.3重量%であった。
【0083】
[実施例2]
実施例1において、テトラエトキシシランの代わりにテトラエトキシシランオリゴマー(TEOSオリゴマー、平均10量体)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、架橋性組成物2を得て、また厚さ約100μmの透明なシリコーン膜2を得た。得られたシリコーン膜2の鉛筆硬度はHBであった。
【0084】
[実施例3]
実施例1において、架橋剤としてテトラエトキシシランの代わりにメチルトリメトキシシランオリゴマーのメタノール、トルエン溶液(コルコート(株)製SS−101、濃度:50重量%)0.5gを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、架橋性組成物3
を得て、また厚さ約100μmの透明なシリコーン膜3を得た。得られたシリコーン膜3の鉛筆硬度はBであった。
【0085】
[実施例4]
実施例1において、架橋剤としてテトラエトキシシランの代わりにビニルトリメトキシシラン(チッソ(株)製サイラエース(登録商標) S210)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、架橋性組成物4を得て、また厚さ約100μmの透明なシリコーン膜4を得た。得られたシリコーン膜4の鉛筆硬度は2Bであった。さらに合成例1と同様に、得られたシリコーン膜4の熱特性を評価した。その結果、シリコーン膜4の5%重量減少量温度は540℃、800℃における重量減少は13.2重量%であった。
【0086】
[実施例5]
実施例1において、架橋剤としてテトラエトキシシランの代わりに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製サイラエース(登録商標) S510)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、架橋性組成物5を得て、また厚さ約100μmの透明なシリコーン膜5を得た。
【0087】
[実施例6]
実施例1において、架橋剤としてテトラエトキシシランの代わりに3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製サイラエース(登録商標) S710)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、架橋性組成物6を得て、また厚さ約100μmの透明なシリコーン膜6を得た。
【0088】
[参考例1]
実施例1において、架橋剤としてテトラエトキシシランの代わりにエチルトリメトキシシランを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、架橋性組成物7を得て、また厚さ約100μmの透明なシリコーン膜7を得た。得られたシリコーン膜7の鉛筆硬度は4Bであった。
【0089】
[参考例2]
実施例1において、架橋剤としてテトラエトキシシランの代わりにフェニルトリメトキシシランを用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、架橋性組成物8を得て、また厚さ約100μmの透明なシリコーン膜8を得た。得られたシリコーン膜8の鉛筆硬度はBであった。さらに実施例2と同様に、得られたシリコーン膜8の熱特性を評価した。その結果、シリコーン膜8の5%重量減少量温度は395℃、800℃における重量減少は27.7重量%であった。
【0090】
以上より、前記シロキサンポリマーに、ラウリン酸ジブチル錫の存在下で、ケイ素に結合する水酸基と反応する基を四つ以上有するケイ素化合物を反応させることによって、高い硬度と高い耐熱性とを有する透明な膜を得ることができることが分かった。
【0091】
以上より、前記シロキサンポリマーに、ラウリン酸ジブチル錫の存在下で、架橋に必要なケイ素に結合する水酸基と縮合反応を生じる基又は原子3つの他に、さらに架橋等の反応に供することが出来る基が一つ以上有するケイ素化合物を反応させることによって、高い硬度と高い耐熱性とを有する透明な膜を得ることができることが分かった
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、液状の組成物の塗布とその硬化という簡易な方法によって、高い硬度と耐熱性に加えて、高い光透過性を有するシリコーン膜を得ることができる。また本発明によれば、液状の組成物の硬化によって本発明のシロキサンポリマーが得られることから
、適当な型を用いることによって、種々の形状の本発明のシロキサンポリマーの形成が可能である。したがって、各種表示素子における各種層を形成するための電気、電子材料を始め、レンズ等の光学材料への適用や、他の種々の技術分野への利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるケイ素化合物と、このケイ素化合物中の水酸基と反応する基又は原子を4以上有する架橋性ケイ素化合物とから得られるシロキサンポリマー。
【化1】

(式(1)中、mは、独立して0〜30の整数を表し;nは、1〜1,000の整数を表し;R0は、独立して、炭素数6〜20のアリール又は炭素数5又は6のシクロアルキルを表し;R1及びR2は、独立して炭素数1〜40のアルキル、炭素数6〜40のアリール、又は炭素数7〜40のアリールアルキルを表し;
前記アリール、前記シクロアルキル、及び前記アリールアルキルにおけるアリールは、それぞれ、任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく;前記炭素数1〜40のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;前記アリールアルキルのアルキレンは、その炭素数が1〜10であり、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−、−CH=CH−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;前記炭素数1〜20のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−、炭素数5〜20のシクロアルキレン、又はフェニレンで置き換えられてもよい。)
【請求項2】
前記架橋性ケイ素化合物が、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及びこれらのオリゴマーからなる群から選ばれる一以上であることを特徴とする請求項1記載のシロキサンポリマー。
Si(R34 (2)
(式(2)中、R3は、独立して、ビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシからなる群から選ばれる一以上を表し、R3はフェニレン、及び炭素数1〜5のアルキレンの一方又は両方を含んでいてもよく、炭素数1〜5のアルキレンの任意のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよい。)
Si(R33−R4−Si(R33 (3)
(式(3)中、R3は独立してビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシからなる群から選ばれる一以上を表し、R3はフェニレン、及び炭素数1〜5のアルキレンの一方又は両方を含んでいてもよく、炭素数1〜5のアルキレンの任意のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよく、R4は、硫黄数1〜4のスルフィド又は炭素数1〜3のアルキレンジイミノを表す。)
【請求項3】
前記架橋性ケイ素化合物が、テトラエトキシシラン、そのオリゴマー、メチルトリメトキシシランオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン、3−プロピルトリメトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる一以上であ
ることを特徴とする請求項2記載のシロキサンポリマー。
【請求項4】
前記R0〜R2がそれぞれ独立してメチル又はフェニルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシロキサンポリマー。
【請求項5】
前記R0がフェニルであり、前記R1及びR2がメチルであることを特徴とする請求項4記載のシロキサンポリマー。
【請求項6】
下記式(1)で表されるケイ素化合物と、このケイ素化合物中の水酸基と反応する基又は原子を4以上有する架橋性ケイ素化合物とを含有する架橋性組成物。
【化2】

(式(1)中、mは、独立して0〜30の整数を表し;nは、1〜1,000の整数を表し;R0は、独立して、炭素数6〜20のアリール又は炭素数5又は6のシクロアルキルを表し;R1及びR2は、独立して炭素数1〜40のアルキル、炭素数6〜40のアリール、又は炭素数7〜40のアリールアルキルを表し;
前記アリール、前記シクロアルキル、及び前記アリールアルキルにおけるアリールは、それぞれ、任意の水素が独立してハロゲン若しくは炭素数1〜20のアルキルで置き換えられてもよく;前記炭素数1〜40のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;前記アリールアルキルのアルキレンは、その炭素数が1〜10であり、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−が独立して−O−、−CH=CH−又は炭素数5〜20のシクロアルキレンで置き換えられてもよく;前記炭素数1〜20のアルキルは、任意の水素が独立してフッ素で置き換えられてもよく、任意の−CH2−は独立して−O−、炭素数5〜20のシクロアルキレン、又はフェニレンで置き換えられてもよい。)
【請求項7】
前記架橋性ケイ素化合物が、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、及びこれらのオリゴマーからなる群から選ばれる一以上であることを特徴とする請求項6記載の架橋性組成物。
Si(R34 (2)
(式(2)中、R3は、独立して、ビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシからなる群から選ばれる一以上を表し、R3はフェニレン、及び炭素数1〜5のアルキレンの一方又は両方を含んでいてもよく、炭素数1〜5のアルキレンの任意のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよい。)
Si(R33−R4−Si(R33 (3)
(式(3)中、R3は独立してビニル、イソプロペニル、エポキシ、アミノ、イミノ、アニリノ、ウレイド、クロロ、メルカプト、イソシアナート、炭素数1〜3のアルコキシ、及びアセトキシからなる群から選ばれる一以上を表し、R3はフェニレン、及び炭素数1〜5のアルキレンの一方又は両方を含んでいてもよく、炭素数1〜5のアルキレンの任意
のメチレンが酸素又はカルボニルで置き換えられてもよく、R4は、硫黄数1〜4のスルフィド又は炭素数1〜3のアルキレンジイミノを表す。)
【請求項8】
前記架橋性ケイ素化合物が、テトラエトキシシラン、そのオリゴマー、メチルトリメトキシシランオリゴマー、ビニルトリメトキシシラン、3−プロピルトリメトキシシラン、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる群から選ばれる一以上であることを特徴とする請求項7記載の架橋性組成物。
【請求項9】
前記R0〜R2がそれぞれ独立してメチル又はフェニルであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項10】
前記R0がフェニルであり、前記R1及びR2がメチルであることを特徴とする請求項9記載の架橋性組成物。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれか一項に記載の架橋性組成物の膜が硬化してなるシリコーン膜。

【公開番号】特開2010−116462(P2010−116462A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289834(P2008−289834)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【出願人】(504159235)国立大学法人 熊本大学 (314)
【Fターム(参考)】