説明

シングルレバー式湯水混合水栓

【課題】本来は使用者が必要としない湯の吐水を簡便に回避し、給湯のためのガスや電気の使用料を低減することのできるシングルレバー式湯水混合水栓を提供すること。
【解決手段】シングルレバー式ハンドル12によって、吐水管16に突設された吐水口20から吐水される湯水の温度調節、並びに吐止水操作及び吐水量調節が可能な湯水混合弁26が備えられたシングルレバー式湯水混合水栓1であって、吐水管16に、水のみの吐水操作が可能な水吐水用ハンドルを設け、吐水管16内には、湯水混合弁26から流出され吐水口20から吐水される湯水が流通する混合流路40を設け、この混合流路40とは別途に、水のみが流通される水流路50を設け、水吐水用ハンドルは、水流路50を開閉する水開閉弁54を駆動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シングルレバー式ハンドルによって、湯水の温度調節、並びに吐止水操作及び吐水量調節が可能なシングルレバー式湯水混合水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シングルレバー式ハンドルによって、湯水の温度調節、並びに吐止水操作及び吐水量調節が可能なシングルレバー式湯水混合水栓が知られている。このシングルレバー式湯水混合水栓は、シングルレバー式ハンドルが水栓本体上部などに上下左右に傾動可能に取り付けられており、上下方向に傾動させることにより吐止水操作及び吐水量の調節が可能となるように、また、左右方向に傾動させることにより湯水の温度調節が可能となるように、水栓本体に内蔵された湯水混合弁を駆動するように設けられているものであり、一つのハンドルによって温度調節並びに吐止水操作等を行なえる利便性の高い湯水混合水栓の一種類として広く用いられているものである。
【0003】
そして、このようなシングルレバー式湯水混合水栓では、シングルレバー式ハンドルの操作とは別に、水のみの吐水を可能とする独立した水吐水用ハンドルが水栓本体に設けられているものも知られている。このような水吐水用ハンドルをシングルレバー式ハンドルとは別途に設ける理由は以下の通りである。まず、シングルレバー式ハンドルが「湯」吐水位置にある場合、吐水開始と同時に、湯水混合水栓と給湯管によって接続されるとともに屋外等に設置される給湯器が作動される。しかしながら、給湯器からの高温水が湯水混合水栓に到達するまでには一定以上の時間がかかり、また、一定以上給湯器が作動していなかった場合には給湯器内にて水が高温水になるまで温められるのに一定以上の時間もかかる。このため、給湯器から湯水混合水栓までの給湯管の長さや、給湯器によって温められる前の水の温度にも左右されるが、一般に、前述のようにシングルレバー式ハンドルが「湯」吐水位置に位置する場合であっても、吐水開始直後の湯水は、給湯器が作動しているにもかかわらず十分に温められてはいない。したがって、水の吐水を行なおうと考えている使用者であっても、わずかな量の吐水で足りると考えているのであれば、「湯」吐水位置のまま吐水を行なうことがある。また、とりあえず吐水を開始し、開始後一定の時間が経って吐水温が上がってきた時に初めて「水」吐水位置に操作し直したりすることがある。
【0004】
一方、例えば「湯」吐水位置と「水」吐水位置の中間付近にシングルレバー式ハンドルが位置されている場合、「湯」吐水位置の場合と比較して吐水温がそれほど高くならないため、そのまま「水」を吐水しているものとして使用されることがある。しかしながら、このような場合、給湯器に対して一定量の湯の供給を要求することになるため、給湯器が作動することになる。したがって、本来は湯の吐水を望んでいるのではない使用者が、吐水温がそれほど高くないため、給湯器を作動させた状態で吐水を行なってしまう場合がある。
【0005】
これらの事情から、本来は給湯器を作動させる必要が無いにもかかわらず、給湯器を作動させるような吐水を行ないがちとなり、給湯のためのガスや電気を無駄に使用することになっていた。そこで、前述したような水吐水用ハンドルを備えたシングルレバー式湯水混合水栓が用いられている。このシングルレバー式湯水混合水栓は、水栓本体の下部側面に突設されるようにして水吐水用ハンドルが取り付けられており、この水吐水用ハンドルにより、シングルレバー式ハンドルが吐水の「閉」状態となっていても、水のみの吐水を行なうことができる。よって、水の吐水が必要な場合には、水吐水用ハンドルの操作によって水のみの吐水を簡便に行なわせることができ給湯器が作動しないように設けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−63736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら従来のシングルレバー式湯水混合水栓では、以下のような問題が生じていた。従来のシングルレバー式湯水混合水栓では、水吐水用ハンドルが、水栓本体に設けられており、しかもその下部寄りに設けられているのであるが、このため、水のみの操作を迅速に行うのに不都合であった。すなわち、使用者から見て、本来の吐止水を操作するシングルレバー式ハンドルよりもさらに奥側に水吐水用ハンドルが設けられているため、水のみの吐水を適宜に行なおうと考えても、使用者のすぐ手元には水吐水用ハンドルが無いので、結局、シングルレバー式ハンドルを操作するか、または、水の吐水の切換操作を行なうことなくそのままシングルレバー式ハンドルの操作により吐水を行うこととなり、前述したような不必要な湯の吐水を行ない、結局は給湯のためのガスや電気を無駄に使用することになっていた。
【0008】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決しようとするものであり、本来は使用者が必要としない湯の吐水を簡便に回避し、給湯のためのガスや電気の使用料を低減することのできるシングルレバー式湯水混合水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するための本発明の第一の手段は、シングルレバー式ハンドルによって、吐水管に突設された吐水口から吐水される湯水の温度調節、並びに吐止水操作及び吐水量調節が可能な湯水混合弁が備えられたシングルレバー式湯水混合水栓であって、前記吐水管に、水のみの吐水操作が可能な水吐水操作部が設けられたことを特徴とするシングルレバー式湯水混合水栓である。
【0010】
「水のみの吐水操作が可能な水吐水操作部」とは具体的には、吐水管に設けられた「回転ハンドル、レバーハンドル、ボタン、センサなど」の操作部を言う。この水吐水操作部の吐止操作によって水のみの吐水が可能となる。水吐水操作部の吐水操作により水のみの吐水を可能とする具体的手段は、例えば、イ)吐水管内や水栓本体のボディー内に設けられるとともに吐水管に連通する水流路を直接開閉する水開閉弁を駆動する態様や、ロ)水栓本体のボディー内の湯流路を閉止して、シングルレバー式ハンドルの操作位置がいずれであっても、シングルレバー式ハンドルの操作によって水のみの吐水を行わせる態様などを例示することができる。
【0011】
このような水吐水操作部が、使用者の手元に近い吐水管に設けられているので、水のみの吐水を行なおうとする場合には、使用者から近い位置に設けられた水吐水操作部を極めて容易に操作することができる。よって、シングルレバー式湯水混合水栓の水の吐水の際の利便性が非常に高まる。
【0012】
また、本発明の第二の手段は、前記吐水管内には、前記湯水混合弁から流出され吐水口から吐水される湯水が流通する混合流路が設けられ、前記混合流路とは別途に、水のみが流通される水流路が設けられ、前記水吐水操作部は、前記水流路を開閉する水開閉弁を駆動可能とすることを特徴とする請求項1に記載のシングルレバー式湯水混合水栓である。
【0013】
このシングルレバー式湯水混合水栓によれば、水吐水操作部の操作だけで水流路を開放できるので、シングルレバー式ハンドルの温度調節位置にかかわらず、水吐水操作部のワンアクションの操作だけで水の吐水を行うことができる。
【0014】
また、本発明の第三の手段は、前記水開閉弁は、前記水流路の前記吐水管内の部位に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のシングルレバー式湯水混合水栓である。
【0015】
水開閉弁を設ける位置を、特に吐水管内に限ることにより、水栓本体の基体部などの大きな変更を伴わず、吐水管内部の変更のみで水のみの吐水を簡便に行うことのできるシングルレバー式湯水混合水栓を提供することができる。
【0016】
また、本発明の第四の手段は、前記水吐水操作部は、一端が給湯源側に連通接続されると共に他端が水栓本体内に内蔵された湯水混合弁に連通接続される湯供給流路を開閉する湯開閉弁を駆動可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のシングルレバー式湯水混合水栓である。
【0017】
水吐水操作部により当該湯開閉弁を閉止することができるので、水のみの吐水を行いたい場合には使用者の手元に近い吐水管の吐止水操作部により、湯の吐水の停止、すなわち給湯器の作動の停止を簡便に行うことができる。特に、吐水管内部の大きな変更を行うことが困難な場合には、水栓本体の基体部側に湯開閉弁を設けることにより、吐水管の大きな変更を伴うことなく、水のみの吐水を簡便に行うことのできるシングルレバー式湯水混合水栓を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のシングルレバー式湯水混合水栓は前述のように構成されているので、本来は使用者が必要としない湯の吐水を簡便に回避させることができ、よって、給湯のためのガスや電気の使用料を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のシングルレバー式湯水混合水栓の斜視図である。
【図2】図1のシングルレバー式湯水混合水栓の一部断面図である。
【図3】図2のシングルレバー式湯水混合水栓のA―A‘線断面図である。
【図4】図2のシングルレバー式湯水混合水栓のB―B‘線断面図である。
【図5】図2のシングルレバー式湯水混合水栓のC―C‘線断面図である。
【図6】図5のシングルレバー式湯水混合水栓のD―D‘線一部断面図である。
【図7】図6のシングルレバー式湯水混合水栓のE―E‘線断面図である。
【図8】本発明の別のシングルレバー式湯水混合水栓のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施の形態を図を参考にして詳細に説明する。本発明のシングルレバー式湯水混合水栓1は、図1に示されるように、ほぼ円筒状の基体部14と、この基体部14の上端に前方に向けて突設された吐水管16とが備えられた、側面視倒立「L」字状の全体形状となる水栓本体10と、この水栓本体10の基体部14の上端に取り付けられたシングルレバー式ハンドル12とが備えられている。
【0021】
基体部14は、前述の通り円筒状に形成されており、上部にかけて、正面側に向けてやや傾けられて立設されている。基体部14の上部には、図2に示されるように、シングルレバー式ハンドル12が、上下左右に傾動させることにより吐止水操作及び吐水量の調節が可能となるように、また、左右方向に傾動させることにより湯水の温度調節が可能となるように、水栓本体10に内蔵された公知の湯水混合弁26を駆動可能に取り付けられている。この種のシングルレバー式湯水混合水栓1では、このような単一のシングルレバー式ハンドルによって、湯水の温度調節並びに吐止水操作等を行なうことが可能となっている。
【0022】
前述の通り、基体部14の上端部から正面側に向けて、基体部14の軸心に対してほぼ直交する方向に屈曲連接されるようにして、吐水管16が突設されている。吐水管16は図3及び図4にも示されるように、正面視縦断面において、上部17が平面状に、下部18の中央が下方に向けて膨出する円弧状に形成されて、正面側にかけて徐々に先細となる形状に形成されている。また、図2にも示されるように、吐水管16の上部17は、正面側にかけて徐々に下方に位置するように傾斜されて形成されている。また、吐水管16の先端下部19には、後述するように混合水又は水が吐出される吐水口20が突設されている。
【0023】
吐水管16の正面視右側側面には水吐水用ハンドル21が取り付けられている。水吐水用ハンドル21は、吐水管16の左右方向に沿った軸心を中心にして回動可能に取り付けられている。水吐水用ハンドル21は円筒状に形成された主体部22と、この主体部22の外周面から立ち上がるように突設されて操作の際に使用者が指を引っ掛けることにより水吐水用ハンドル21の操作性を向上させる舌状片部24とが備えられている。
【0024】
なお、水吐水用ハンドル21の取り付け位置は、吐水管16の正面視右側側面以外にも、吐水管16の他の部位としても良い。特に、右利き・左利きの使用者に双方に汎用的な利便性を考慮すると、吐水管16の上部17に設けると良い。また、この他にも、吐水管16の正面視左側側面に設けたり、シングルレバー式湯水混合水栓1の美観を損ねないようにすることを目的として、水吐水用ハンドル21が吐水管16に隠れるように、吐水管16の下部18に設けることとすることもできる。
【0025】
次いで、シングルレバー式湯水混合水栓1の内部構造について説明する。図7に示されるように、基体部14の内部下部には、シングルレバー式湯水混合水栓1の正面視左側寄りに、シングルレバー式湯水混合水栓1外部の給湯配管(図示省略)と給水配管(図示省略)にそれぞれ独立して連通接続される湯供給流路(図示省略)及び水供給流路(図示省略)とが備えられる第一流路2が設けられており、一方、シングルレバー式湯水混合水栓1の正面視右側寄りに、給水配管(図示省略)のみに連通接続される第二流路3が設けられている。第一流路2を経て湯供給流路及び水供給流路とからそれぞれ流入された湯及び水は、図2に示されるように、湯水混合弁室15に収容された湯水混合弁26に流入される。そして、湯水混合弁26には、シングルレバー式ハンドル12の傾動操作により、内部に軸支されたレバー30によってスライド可能なディスク32を備えたディスク弁34が備えられており、湯及び水を適宜量混合可能に、また、湯及び水の吐止水及び吐水量の調節が可能に設けられている。
【0026】
また、図2及び図4に示されるように、湯水混合弁室15には、吐水管16の基端側の下部18に面する部位であってシングルレバー式湯水混合水栓1の正面視左側寄りの部位に、後述する混合流路40と連通する第一開口部36が開口されている。
【0027】
吐水管16には、この第一開口部36を介して混合流路40が形成されている。図2に示されるように、混合流路40は、吐水管16の下部寄りにおいて吐水口20に至るまで形成されている。より具体的には、混合流路40は、まず、吐水管16の基端側において、吐水管16下部寄り(図2参照)であって、かつ、吐水管16の正面視左側寄り(図4参照)の部位に形成された第一混合流路40aを備えている。そして、吐水管16の先端側にかけて、水開閉弁室52の下部の部位において、吐水管16の下部18側を通る第二混合流路40bを備えている(図3参照)。そして吐水管16の先端に至り吐水口20へと連通する第三混合流路40cを備えている(図2及び図5参照)。前述の通り、湯水混合弁26によって混合された湯水は、この混合流路40を経て吐水口20から吐出されることになる。
【0028】
次いで、水流路50について説明する。水流路50は、吐水管16の基端側から吐水口20に至るまで、前述した混合流路40とは独立して形成されている。より具体的には、水流路50は、水栓本体10の基体部14に形成された第二流路3の吐水管16側に開口された第二開口部4を介して第二流路3に連通された第一水流路50aを備えており(図6参照)、吐水管16の基端側においては、吐水管16の正面視右側寄りであって、かつ、吐水管16の下部18寄りの前記第一水流路50aから、吐水管16の左右方向全域であって、かつ、吐水管16の上部17寄りにかけて形成されている第二水流路50bに連設されている(図4及び図5参照)。そして、水流路50には、第二水流路50bの先端側において、吐水管16の正面視左側寄りかつ吐水管16の上部17寄りに第三水流路50cが連設形成され、この第三水流路50cが、第三開口部51を介して水開閉弁室52に連通されている(図3及び図5参照)。
【0029】
図3及び図5に示されるように、水開閉弁室52内には、水吐水用ハンドル21によって開閉操作が可能な水開閉弁54が収容されている。水開閉弁54は、水吐水用ハンドル21の主体部22に軸着されたスピンドル56が、水吐水用ハンドル21の回動操作によって、その軸心方向に進退自在に設けられている。スピンドル56の先端には弁体58が取り付けられており、スピンドル56の進退に伴って弁口60の開閉動作を行う。また、水開閉弁室52の吐水管16先端側には、混合流路40の先端の第三混合流路40cに連通する第四開口部62が開口されている(図5参照)。そして、弁口60が開口されると、第二流路3及び水流路50を経て水開閉弁室52内に流入される水が、混合流路40の先端の第三混合流路40cに流入されて、さらに吐水口20から外部へ吐水されることになる。なお、第三混合流路40cを経ずに、水流路50が吐水口20に直接連通するようにして設けても良い。
【0030】
以上のように構成されたシングルレバー式湯水混合水栓1は、次のように使用することができる。まず、通常時の吐水の際には、シングルレバー式ハンドル12を傾動操作することにより、湯水混合弁26を駆動し、湯及び水を適宜量混合して、混合流路40を経て吐水口20から湯水を吐出する。シングルレバー式ハンドル12は、下方での傾動位置において止水されるように設けられており、上方に傾動操作することにより吐水を行うとともに、より上方に操作するに従い吐水量が多くなるように設けられている。一方、シングルレバー式ハンドル12は、正面視右側に傾動操作することにより水の混合量が増し、最も右側の操作位置においては水のみが吐水されるようにして湯水の温度調節がなされるように設けられている。そして、正面視左側に傾動操作されるに従い徐々に湯の混合量が増加し、最も左側の操作位置においては、予め設定された温度の最高温に温度調節がなされるように設けられている。よって、例えば、左右方法の中間付近においては、湯水の吐水温度はそれほど高くはなくても、所定量の湯が混合されるように設定されており、したがって、湯のみが吐水される場合以外にも、このような、湯が一定量以上に混合される操作位置においては、給湯器が作動して給湯を行うことになる。
【0031】
一方、水のみの吐水を行いたい場合には、水吐水用ハンドル21を操作して吐水を行う。前述の通り、水吐水用ハンドル21の操作によって水開閉弁54を開放操作することにより、混合流路40とは独立した水流路50を経て、吐水口20から、湯が混合されていない水のみの吐水が可能となる。よって、シングルレバー式ハンドル12が湯を一定量吐水するような操作位置となっていても、水吐水用ハンドル21の操作によって、給湯器を作動させることなく水のみを吐水することができる。また、水吐水用ハンドル21の操作のみによって水の吐水が可能であるので、ワンアクションで水の吐水が可能となり、水吐水を簡便な操作で行うことができる。
【0032】
次いで、本発明の別のシングルレバー式湯水混合水栓1‘について図8を参考に説明する。なお、以下において、前述した第一のシングルレバー式湯水混合水栓1と共通する構成については、シングルレバー式湯水混合水栓1に用いた符号と同一の符号を図面中に付してその説明を省略する。このシングルレバー式湯水混合水栓1’は、前述したシングルレバー式湯水混合水栓1のような水流路50を別途に設けたものではなく、水吐水操作部21‘により、湯水混合弁26に流入する湯供給流路70及び水供給流路71のうち、湯供給流路70のみを閉止可能な湯開閉弁72を設けたものである。この湯開閉弁72は、吐水管16に設けられた水吐水操作部21’による開閉操作が可能に設けられており、このように使用者の手元に近い位置に設けられた水吐水操作部21‘により湯の吐水を停止することが可能となっている。そして、水吐水操作部21’によって湯開閉弁72を閉止することにより、シングルレバー式ハンドル12の操作により、シングルレバー式ハンドル12の温度調節位置にかかわらず、水のみの吐水を行うことができる。本例によれば、水栓本体10内部の流路を大きく変更することなく、水吐水操作部21‘による水吐水を簡便に行うことができる。なお、湯開閉弁72は電磁弁とすることが望ましく、水吐水操作部21‘はこの電磁弁を駆動するための遠隔操作スイッチとすることが望ましい。また、湯開閉弁72の開閉状態を明示するために、開閉状態を認識できるようにしたLEDランプなどの表示部を設けると良い。
【0033】
本発明は前述のように構成されているが、これらに限られるものではなく、本発明の趣旨の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、水吐水操作部としては、水吐水用ハンドル21や遠隔操作スイッチなどの接触式スイッチなどに限られず、押動式の操作ボタンや、非接触式のセンサなどを用いることとしても良い。また、このような水吐水操作部によって駆動される水開閉弁についても電磁弁を用いても良い。また、第一のシングルレバー式湯水混合水栓1のような混合流路40及び水流路50のそれぞれの流路構成に限られず、他の流路構成として吐水管16内を取り回すなどとしても良い。また、水吐水操作部の取付位置は、水吐水用ハンドル21のように吐水管16正面視右側に限られず、吐水管16の他の部位とすることでも良い。特に非接触式センサを用いる場合には、吐水管16への取付位置を多様に選択可能である。また、第一のシングルレバー式湯水混合水栓1などのように、水吐水用ハンドル21の回動操作や押動式のボタン操作などによって弁体を機械的に開閉可能なものを利用することにより、水のみを吐水可能とする簡便な構造のシングルレバー式湯水混合水栓を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明はシングルレバー式湯水混合水栓に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1,1‘;シングルレバー式湯水混合水栓、2;第一流路、3;第二流路、4;第二開口部、10;水栓本体、12;シングルレバー式ハンドル、14;基体部、15;湯水混合弁室、16;吐水管、17;上部、18;下部、19;先端下部、20;吐水口、21;水吐水用ハンドル、21’水吐水操作部、22;主体部、24;舌状片部、26;湯水混合弁、30;レバー、32;ディスク、34;ディスク弁、36;第一開口部、40;混合流路、40a;第一混合流路、40b;第二混合流路、40c;第三混合流路、50;水流路、50a;第一水流路、50b;第二水流路、50c;第三水流路、51;第三開口部、52;水開閉弁室、54;水開閉弁、56;スピンドル、58;弁体、60;弁口、62;第四開口部、70;湯供給流路、72;湯開閉弁。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルレバー式ハンドルによって、吐水管に突設された吐水口から吐水される湯水の温度調節、並びに吐止水操作及び吐水量調節が可能な湯水混合弁が備えられたシングルレバー式湯水混合水栓であって、
前記吐水管に、
水のみの吐水操作が可能な水吐水操作部が設けられたことを特徴とするシングルレバー式湯水混合水栓。
【請求項2】
前記吐水管内には、前記湯水混合弁から流出され吐水口から吐水される湯水が流通する混合流路が設けられ、前記混合流路とは別途に、水のみが流通される水流路が設けられ、前記水吐水操作部は、前記水流路を開閉する水開閉弁を駆動可能とすることを特徴とする請求項1に記載のシングルレバー式湯水混合水栓。
【請求項3】
前記水開閉弁は、前記水流路の前記吐水管内の部位に設けられたことを特徴とする請求項2に記載のシングルレバー式湯水混合水栓。
【請求項4】
前記水吐水操作部は、一端が給湯源側に連通接続されると共に他端が水栓本体内に内蔵された湯水混合弁に連通接続される湯供給流路を開閉する湯開閉弁を駆動可能に設けられたことを特徴とする請求項1に記載のシングルレバー式湯水混合水栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−256968(P2011−256968A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133276(P2010−133276)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】