説明

シークインテープ送り装置

【課題】送りユニットを送り方向に位置調整しても、シークインテープの送り量が変化しないようにする。
【解決手段】
駆動力を出力する駆動部27cを備えた駆動装置10と、シークインテープTを針落点に向かう送り方向Pにスライド可能に支持するとともに送り方向Pに位置調整可能に設けられた送りユニット30とを含み構成されたシークインテープ送り装置9に、以下の特徴を採用する。
すなわち、駆動部27cを、送り方向Pに直交する上下方向に直線往復運動をするように構成する。そして、送りユニット30に、駆動部27cの直線往復運動を送り方向Pの運動に変えてシークインテープTに伝えることによりシークインテープTを送り方向Pに駆動するリンク機構40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シークインテープを針落点に向けて送るシークインテープ送り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シークインテープ送り装置の中には、次のように構成されたものがある。すなわち、図8に示す従来例(特許文献1)のシークインテープ送り装置90は、駆動力を出力する駆動部としての駆動孔92c(長孔)を備えた駆動装置91と、シークインテープTを針落点に向かう送り方向Pにスライド可能に支持するとともに送り方向Pに位置調整可能に設けられた送りユニット93とを含み構成されている。ここで、駆動孔92cは、支軸92bを中心とした円周方向(回動方向)に往復運動をするように構成されている。また、送りユニット93は、駆動孔92c(長孔)に送り方向Pにスライド可能に係合する入力軸94a及びシークインテープTに係合する出力ピン94cを備えて駆動孔92cにより入力軸94aが駆動されると出力ピン94cにてシークインテープTを送り方向Pに駆動するリンク機構94を備えている。
【0003】
このシークインテープ送り装置90においては、シークインテープTをサイズの異なるものに交換する際には、その都度、そのサイズに合わせて、シークインテープTの送り量(送り端位置)と、送りユニット93の位置(シークインテープのカット位置)とを次の手順で調整する。
【0004】
すなわち、まず、駆動装置91の駆動モータ(図示略)のパルス数を変えて駆動孔92cの円周方向の振幅を調整することにより、リンク機構94によるシークインテープTの送り量をシークインの直径略1個分に調整する。そして、該1個分に調整した送り量でシークインテープTを送り出した状態で、図8(a)(b)に示すように、送りユニット93を送り方向Pに位置調整して、シークインテープTの先端のシークインの中心穴を針落点に合わせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2009−213645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来例では、駆動孔92cが、円周方向に往復運動をするため、送りユニット93を送り方向Pに位置調整することにより、入力軸94aが駆動孔92c(長孔)内にて送り方向Pにスライドした際には、駆動孔92cによる入力軸94aの駆動半径Rの大きさが変化してしまう。そのため、先に合わせたシークインテープTの送り量も変化してしまう。
【0007】
そこで、送りユニットを送り方向に位置調整しても、シークインテープの送り量が変化しないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のシークインテープ送り装置は、駆動力を出力する駆動部を備えた駆動装置と、シークインテープを針落点に向かう送り方向にスライド可能に支持するとともに前記送り方向に位置調整可能に設けられた送りユニットとを含み構成され、前記送りユニットは、前記駆動部に前記送り方向にスライド可能に係合する入力部及び前記シークインテープに係合する出力部を備えて前記駆動部により前記入力部が駆動されると前記出力部にて前記シークインテープを前記送り方向に駆動するリンク機構を備えたシークインテープ送り装置において、前記駆動部は、前記送り方向に直交する上下方向に直線往復運動をするように構成され、前記リンク機構は、前記駆動部の直線往復運動を前記送り方向の運動に変えて前記シークインテープに伝えるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
ここで、前記駆動装置は、特に限定されないが、モータ軸を往復回動させる駆動モータと、前記モータ軸の往復回動運動を上下方向の直線往復運動に変えて前記駆動部に伝える駆動リンクとを含み構成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記駆動部及び前記入力部は、特に限定されないが、前記駆動部は、前記送り方向に延びる駆動スリットであり、前記入力部は、前記リンク機構の一部を構成するレバーに突設されて該レバーが揺動するのに伴い円周方向に往復運動をする入力軸であり、前記駆動スリットに前記入力軸が挿入され、前記駆動スリットが上下方向に直線往復運動をした際には、前記入力軸は、前記円周方向に往復運動をして前記駆動スリットと一緒に上下方向に変位するとともに、該駆動スリット内で前記送り方向にスライドすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、送りユニットを送り方向に位置調整することにより入力部が駆動部に対して送り方向にスライドしても、駆動部は送り方向に直交する上下方向に直線往復運動をするため、従来例のように駆動部による入力部の駆動半径が変化することはない。よって、送りユニットを送り方向に位置調整しても、シークインテープの送り量が変化することはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1のシークインテープ送り装置を示す側面図である。
【図2】同実施例のシークインテープ送り装置及びその周辺を示す斜視図である。
【図3】同実施例のシークインテープ送り装置を示す斜視図である。
【図4】同実施例の送りユニット及びその周辺を示す斜視図である。
【図5】同実施例のシークインテープ送り装置でシークインテープを駆動する際の様子を(a)(b)に示す側面図である。
【図6】同実施例のシークインテープ送り装置で送りユニットを位置調整する際の様子を(a)(b)に示す側面図である。
【図7】実施例2のシークインテープ送り装置で送りユニットを位置調整する際の様子を(a)(b)に示す側面図である。
【図8】従来例のシークインテープ送り装置で送りユニットを位置調整する際の様子を(a)(b)に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
図1〜図6に示す本実施例1のシークインテープ送り装置9は、リール7に巻かれたシークインテープTを、ミシンヘッド5の縫製針5aの針落点に向けて送るための装置である。リール7は、ミシンヘッド5の側面に取り付けられてミシンヘッド5の前方に突出したブラケット6の上部に支持されており、シークインテープ送り装置9は、ブラケット6の下部からその上方に架けての部位に取り付けられた退避機構8によって上側の休止位置と下側の稼動位置との間で昇降可能に支持されている。このシークインテープ送り装置9は、次に示すフレームと、駆動装置10と、2つの送りユニット30,30と、2つの位置調整機構50,50と、切替装置60とを含み構成されている。
【0014】
[フレーム]
フレームは、退避機構8によって昇降可能に支持されたベースフレーム9aと、該ベースフレーム9aに左右変位機構9xを介して左右方向に変位可能に取り付けられた可動フレーム9bと、該可動フレーム9bに左右方向に並べて固着された2枚の支持フレーム9c,9cとを含み構成されている。
【0015】
[駆動装置10]
駆動装置10は、シークインテープTを駆動する駆動力を供給する装置であって、ベースフレーム9aの上部に取り付けられている。この駆動装置10は、次に示す駆動モータ11と、駆動リンク20とを含み構成されている。
【0016】
駆動モータ11は、モータ軸12を備え、そのモータ軸12を所定の回動角度(パルス数)で往復回動させることにより駆動力を供給する。この駆動モータ11がモータ軸12を往復回動させる際の回動角度(パルス数)は、調整可能となっている。
【0017】
駆動リンク20は、一端部が駆動モータ11のモータ軸12に連結されるとともに他端部に駆動力を出力する駆動部としての前後方向に延びる駆動スリット27cを備えており、モータ軸12の往復回動運動を上下方向の直線往復運動に変えて駆動スリット27cに伝えることにより該駆動スリット27cを上下方向に駆動する。この駆動リンク20は、次に示す第一駆動レバー21と、第二駆動レバー22と、第三駆動レバー23と、第四駆動レバー24と、昇降部材25と、連結軸26と、駆動部材27とを含み構成されている。第一駆動レバー21は、その基端部がモータ軸12に相対回動不能に固着されている。第二駆動レバー22は、その基端部が第一駆動レバー21の先端部に回動可能に連結されている。第三駆動レバー23は、その基端部が第二駆動レバー22の先端部に回動可能に連結され、長さ方向中間部がベースフレーム9aに突設された支軸23bによって回動可能に支持されている。第四駆動レバー24は、基端部が第三駆動レバー23の先端部に回動可能に連結されている。昇降部材25は、第四駆動レバー24の先端部に回動可能に連結されている。連結軸26は、上下方向に延びる軸材であって、上端部(基端部)に昇降部材25が固着され、上下方向中間部(長さ方向中間部)がベースフレーム9aに設けられた支持部26bによって上下方向にスライド可能に支持されている。駆動部材27は、連結軸26の下端部(先端部)に固着されるとともに、前述の駆動スリット27cが設けられている。
【0018】
[送りユニット30,30]
2つの送りユニット30,30は、シークインテープT,Tを前方(ミシンヘッド5の前方)から後方(縫製針5aの針落点)に略水平に向かう送り方向Pにスライド可能に支持するとともに、駆動装置10から供給される駆動力をシークインテープT,Tに伝えて該シークインテープT,Tを送り方向Pに駆動するための部材であって、左右方向に並ぶ2枚の支持フレーム9c,9cに2台並べて取り付けられている。この2台の送りユニット30,30は左右対称に設けられており、各送りユニット30は、次に示すボディ31と、ガイド部材36と、カッター39と、リンク機構40とを含み構成されている。
【0019】
ボディ31は、送りユニット30の基盤となる部材であって、正面L字形又は逆L字形の断面形状をしている。各ボディ31は、支持フレーム9cに設けられた送り方向Pに延びる長孔33にボルト32で該送り方向P(及びその反対方向)に位置調整可能に取り付けられている。ガイド部材36は、ボディ31の下部に取り付けられており、シークインテープTを針落点に案内するための送り方向Pに延びるガイド溝37を備えている。カッター39は、シークインテープTから先頭のシークインを切り離すための部材である。
【0020】
リンク機構40は、駆動スリット27cの上下方向の直線往復運動を送り方向Pの運動に変えてシークインテープTに伝えることにより、該シークインテープTを針落点に向けて送るための機構であって、次に示す第一レバー41と、第二レバー42と、第三レバー43と、出力部材44とを含み構成されている。第一レバー41は、L字型に曲がったレバーであって、その基端部には駆動スリット27cに挿入されて送り方向P(及びその反対方向)にスライド可能に係合する入力軸41aが突設され、長さ方向中間部はボディ31に突設された支軸41bによって回動可能に支持されており、先端部には偏心部材41cが回動調整可能に取り付けらている。その偏心部材41cの回動中心から偏心した部位には偏心軸41dが突設されている。第二レバー42は、その基端部が偏心軸41dに回動可能に連結されている。第三レバー43は、その基端部がボディ31に突設された支軸43aによって回動可能に支持されており、長さ方向中間部には第二レバー42の先端部が回動可能に連結されている。出力部材44は、その基端側が第三レバー43の先端部に回動可能に連結され、先端部にはシークインテープTを構成するシークインの中心穴に係合する出力突起44c(出力部)が突設されている。また、ボディ31における出力部材44よりも送り方向P側には、該出力部材44の送り端の位置を調整するための調整部材46が支軸46aを介して回動調整可能に取り付けられており、その調整部材46の支軸46aから偏心した部位には出力部材44に当接する調整軸46bが設けられている。
【0021】
そして、図5(a)(b)に示すように、駆動スリット27cが上下方向に直線往復運動をした際には、該駆動スリット27cに押圧されて入力軸41aが支軸41bを中心とした円周方向(第一レバー41の揺動方向)に往復運動をするとともに、その運動がリンク機構40によって出力突起44cに伝えられて、出力突起44cが送り方向P(及びその反対方向)に往復運動をしてシークインテープTを送り方向Pに駆動する。このとき、入力軸41aは、駆動スリット27cと一緒に上下方向に変位するとともに、該駆動スリット27c内で送り方向P(及びその反対方向)にスライドする。
【0022】
[位置調整機構50,50]
2つの位置調整機構50,50は、各送りユニット30,30を支持フレーム9c,9cに対して送り方向P(及びその反対方向)に位置調整するための機構である。各位置調整機構50は、支持フレーム9cの下端部に突設された垂下部51と、該垂下部51に送り方向P(及びその反対方向)に変位不能に係合するとともに先端部がボディ31に螺合した調整ネジ52とを含み構成されている。
【0023】
[切替装置60]
切替装置60は、可動フレーム9bを左右方向に駆動することによって、駆動スリット27cに係合する入力軸41a,41aを一方から他方に切り替えるための装置であって、ベースフレーム9aの下部に取り付けられている。この切替装置60は、モータ軸62を備え、そのモータ軸62を回動させることにより駆動力を供給する切替モータ61と、該モータ軸62の回動運動を左右方向の運動に変えて可動フレーム9bに伝える切替リンク65とを含み構成されている。その切替リンク65は、基端部がモータ軸62に相対回動不能に固着された第一切替レバー66と、基端部が第一切替レバー66の先端部に回動可能に連結され、先端部が可動フレーム9bに回動可能に連結された第二切替レバー67とを含み構成されている。そして、該切替装置60で、可動フレーム9bを右側に駆動した際には、左側の送りユニット30の入力軸41aが駆動スリット27cに挿入されて係合し、可動フレーム9bを左側に駆動した際には、右側の送りユニット30の入力軸41aが駆動スリット27cに挿入されて係合する。
【0024】
次に、各送りユニット30で送り方向Pに駆動するシークインテープTを、サイズの異なるものに交換する際の手順を、{1}ガイド部材36の交換、{2}原点位置の調整、{3}送り量の調整、{4}送りユニット30の位置調整、の順に以下に説明する。
【0025】
{1}ガイド部材36の交換
シークインテープTの先端部をガイド部材36のガイド溝37から引き抜いた後、該ガイド部材36を、交換するシークインテープTのサイズに対応したものに交換する。
【0026】
{2}原点位置の調整
偏心部材41cを回動調整することにより、出力部材44の原点位置(ストローク後端位置)を調整する。
【0027】
{3}送り量の調整
駆動スリット27cの上下方向の振幅を調整することにより、リンク機構40によるシークインテープTの送り量をシークインの直径略1個分に調整する。このとき、まず、出力部材44を送り方向Pに変位させるとともに、調整部材46を回動調整して、その調整軸46bに出力部材44が所望の送り端位置(ストローク前端位置)で当接するようにする。そして、次に、その送り端位置で出力部材44が折り返すように駆動モータ11のパルス数(モータ軸12の回動角度)を調整する。
【0028】
{4}送りユニットの位置調整
ボルト32を緩めてから調整ネジ52を回すことにより、図6(a)(b)に示すように、送りユニット30を送り方向P(又はその反対方向)に位置調整して、送り端位置にあるシークインテープTの先端のシークインの中心孔を縫製針5aの針落点に合わせる。その後、ボルト32を締め直す。
【0029】
本実施例1によれば、送りユニット30を送り方向P(又はその反対方向)に位置調整することにより、入力軸41aが駆動スリット27cに対して送り方向P(又はその反対方向)にスライドしても、駆動スリット27cは送り方向Pに直交する上下方向に直線往復運動をするため、従来例とは違い、駆動スリット27cによる入力軸41aの駆動量が変化することはない。よって、送りユニット30を送り方向P(又はその反対方向)に位置調整しても、シークインテープTの送り量が変化することはない。
【実施例2】
【0030】
図7に示す本実施例2のシークインテープ送り装置9は、送りユニット30が上記のリンク機構40の代わりに次に示すリンク機構70を備えている点及びシークインテープTをサイズの異なるものに交換する際の手順で実施例1と相違し、その他の点においては実施例1と同様である。
【0031】
そのリンク機構70は、駆動スリット27cの上下方向の直線往復運動を送り方向Pの運動に変えてシークインテープTに伝えることにより、該シークインテープTを針落点に向けて送るための機構であって、次に示す第一レバー71と、第二レバー72と、第三レバー73と、スライド部材74と、出力部材75とを含み構成されている。第一レバー71は、その基端部には駆動スリット27cに挿入されて送り方向P(及びその反対方向)にスライド可能に係合する入力軸71aが突設され、先端部が、ボディ31に回動可能に突設された支軸71cに固着されている。第二レバー72は、その基端部が前述の支軸71cに固着されている。第三レバー73は、その基端部が第二レバー72の先端部に回動可能に連結されている。スライド部材74は、上下方向に延びる部材であって、ボディ31に設けられた送り方向Pに延びる上下2本のスライド軸74b,74bによって該送り方向P(及びその反対方向)にスライド可能に支持されるとともに、その上部(基端側)には偏心部材74aが回動調整可能に取り付けられている。その偏心部材74aの回動中心から偏心した部位には偏心軸(図示略)が突設されており、その偏心軸(図示略)には、第三レバー73の先端部が回動可能に連結されている。出力部材75は、その基端部がスライド部材74の下端部(先端部)に回動可能に連結され、先端部にはシークインテープTを構成するシークインの中心穴に係合する出力ピン75c(出力部)が突設されている。また、ボディ31における出力部材75よりも送り方向P側には、該出力部材75の送り端の位置を調整するための調整部材76が送り方向P(及びその反対方向)に位置調整可能に取り付けられている。
【0032】
そして、駆動スリット27cが上下方向に直線往復運動をした際には、該駆動スリット27cに押圧されて入力軸71aが支軸71cを中心とした円周方向(第一レバー71の揺動方向)に往復運動をするとともに、その運動がリンク機構70によって出力ピン75cに伝えられて、出力ピン75cが送り方向P(及びその反対方向)に往復運動をしてシークインテープTを送り方向Pに駆動する。このとき、入力軸71aは、駆動スリット27cと一緒に上下方向に変位するとともに、該駆動スリット27c内で送り方向P(及びその反対方向)にスライドする。
【0033】
次に、各送りユニット30で送り方向Pに駆動するシークインテープTを、サイズの異なるものに交換する際の手順を、{1}ガイド部材36の交換、{2}原点位置の調整、{3}送り量の調整、{4}送りユニット30の位置調整、の順に以下に説明する。
【0034】
{1}ガイド部材36の交換
シークインテープTの先端側をガイド部材36のガイド溝37から引き抜いた後、該ガイド部材36を、交換するシークインテープTのサイズに対応したものに交換する。
【0035】
{2}原点位置の調整
偏心部材74aを回動調整することにより、出力部材75の原点位置(ストローク後端位置)を調整する。
【0036】
{3}送り量の調整
駆動スリット27cの上下方向の振幅を調整することにより、リンク機構70によるシークインテープTの送り量をシークインの直径略1個分に調整する。このとき、まず、出力部材75を送り方向Pに変位させるとともに、調整部材76を送り方向P(又はその反対方向)に位置調整して、該調整部材76に出力部材75が所望の送り端位置(ストローク前端位置)で当接するようする。そして、次に、その送り端位置で出力部材75が折り返すように駆動モータ11のパルス数(モータ軸12の回動角度)を調整する。
【0037】
{4}送りユニットの位置調整
ボルト32を緩めてから調整ネジ52を回すことにより、図7(a)(b)に示すように、送りユニット30を送り方向P(又はその反対方向)に位置調整して、送り端位置にあるシークインテープTの先端のシークインの中心孔を縫製針5aの針落点に合わせる。その後、ボルト32を締め直す。
【0038】
本実施例2によれば、送りユニット30を送り方向P(又はその反対方向)に位置調整することにより、入力軸71aが駆動スリット27cに対して送り方向P(又はその反対方向)にスライドしても、駆動スリット27cは送り方向Pに直交する上下方向に直線往復運動をするため、従来例とは違い、駆動スリット27cによる入力軸71aの駆動量が変化することはない。よって、送りユニット30を送り方向P(又はその反対方向)に位置調整しても、シークインテープTの送り量が変化することはない。
【0039】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成や形状を任意に変更して実施することもできる。
【符号の説明】
【0040】
9 シークインテープ送り装置
10 駆動装置
11 駆動モータ
20 駆動リンク
27c 駆動スリット(駆動部)
30 送りユニット
40 リンク機構
41a 入力軸(入力部)
44c 出力突起(出力部)
70 リンク機構
71a 入力軸(入力部)
75c 出力ピン(出力部)
T シークインテープ
P 送り方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を出力する駆動部(27c)を備えた駆動装置(10)と、シークインテープ(T)を針落点に向かう送り方向(P)にスライド可能に支持するとともに前記送り方向(P)に位置調整可能に設けられた送りユニット(30)とを含み構成され、
前記送りユニット(30)は、前記駆動部(27c)に前記送り方向(P)にスライド可能に係合する入力部(41a,71a)及び前記シークインテープ(T)に係合する出力部(44c,75c)を備えて前記駆動部(27c)により前記入力部(41a,71a)が駆動されると前記出力部(44c,75c)にて前記シークインテープ(T)を前記送り方向(P)に駆動するリンク機構(40,70)を備えたシークインテープ送り装置において、
前記駆動部(27c)は、前記送り方向(P)に直交する上下方向に直線往復運動をするように構成され、
前記リンク機構(40,70)は、前記駆動部(27c)の直線往復運動を前記送り方向(P)の運動に変えて前記シークインテープ(T)に伝えるように構成されたことを特徴とするシークインテープ送り装置。
【請求項2】
前記駆動装置(10)は、モータ軸(12)を往復回動させる駆動モータ(11)と、前記モータ軸(12)の往復回動運動を上下方向の直線往復運動に変えて前記駆動部(27c)に伝える駆動リンク(20)とを含み構成された請求項1記載のシークインテープ送り装置。
【請求項3】
前記駆動部(27c)は、前記送り方向(P)に延びる駆動スリット(27c)であり、前記入力部(41a,71a)は、前記リンク機構(40)の一部を構成するレバー(41,71)に突設されて該レバー(41,71)が揺動するのに伴い円周方向に往復運動をする入力軸(41a,71a)であり、前記駆動スリット(27c)に前記入力軸(41a,71a)が挿入され、
前記駆動スリット(27c)が上下方向に直線往復運動をした際には、前記入力軸(41a,71a)は、前記円周方向に往復運動をして前記駆動スリット(27c)と一緒に上下方向に変位するとともに、該駆動スリット(27c)内で前記送り方向(P)にスライドする請求項1又は2記載のシークインテープ送り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−161061(P2011−161061A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28195(P2010−28195)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000135690)株式会社バルダン (125)
【Fターム(参考)】