説明

シートスイッチモジュール

【課題】簡易な構造によって、外部への漏れ光を防止できるシートスイッチモジュールの提供を目的とする。
【解決手段】本発明のシートスイッチモジュール10は、第一の光源11と、第一の光源11に近接配置されて第一の光源11からの光をその一方の端面13e側から導入するとともに、その面方向に第一の光源11からの光を導光するシート状のライトガイド13と、ライトガイド13の一方の面13a側に配置されたシートスイッチ20とを備え、ライトガイド13の端面13eと対峙する端面に遮光部材を設けたことを特徴とする。ライトガイド13を第一の領域13Aと第二の領域13Bに区分した場合、第一の領域13Aと第二の領域13Bの間に、ライトガイド13を厚み方向に貫通する貫通孔13cを設け、その内端面に遮光部材14を配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータなどの操作ボタン、キーボタンを暗所にて操作する際、ボタンやキーの位置を見易くするための照明に用いて好適なシートスイッチモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話のキーボタン部を明るく照明するための面状発光装置が使用され、この面状発光装置の一形態として、側面発光方式の面状発光装置が広く用いられている。すなわち、表示部である液晶パネルの背面側に配置される導光板(ライトガイドフィルム)と、このライトガイドフィルムの端側面に配置された光源とによって面状発光装置が構成されている。また、この種の面状発光装置に適用される光源としては、LED(LightEmitting Diode)、冷陰極管などを例示することができる。
【0003】
この種の押ボタンスイッチ式の照明装置の一例としては、複数個の操作キーと、操作キーの下方に配置されて操作キーの押圧によってスイッチングを行うスイッチング素子と、操作キーとスイッチング素子との間に配置され、側面に配置された光源から入射した光を操作キーの下面に向けて投射して下方から照明する可撓性の導光板とからなる構造の照明装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年、特定の操作キーのみを選択的に発光させるか、あるいは、選択的に発光させないようにすることが望まれている。
これを実現する方法としては、ライトガイドを複数の領域に区分し、各領域の境界となる部分に孔を設けて、その内部に非光透過性樹脂を充填して、ライトガイドの各領域の境界に非光透過性樹脂からなる遮光部を設ける方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、押しボタンの上部および下部を各々照明する第1の導光部および第2の導光部がクランク状の接続部を介して一体化された導光体を用意し、別に用意された遮光リブの切欠部に、前記のクランク状の接続部を嵌合させて遮光リブに導光体を取り付けることにより、1つの導光体を用いるだけで分離照明を行うことができる押しボタンの照明構造が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−167655号公報
【特許文献2】特開2008−41431号公報
【特許文献3】実開平5−53070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の段落0034〜0035、図5に示された方法は、スピンコート法によりライトガイドを作製した後、エッチングによりスリットを作製し、そのスリット内に非光透過性の液状樹脂を充填して、この樹脂を硬化させることにより遮光部を形成するため、製作に非常に手間が掛かるという問題があった。
また、特許文献2の段落0036〜0037、図6に示されたインサート成形技術を適用した方法を採用しても、金型に黒色の硬質の樹脂を挟み、両側からライトガイド材料を流し込むため、製作に非常に手間が掛かるという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示されている方法は、操作キー側のライトガイドに遮光物を設ける方法であり、その遮光物の厚みが0.3mm〜2mmであり非常に厚い。
さらに、特許文献2の図5、6に示されているように、一体成形された遮光物とライトガイドが完全に密着しているため、遮光物を構成する材料とライトガイドを構成する材料とが異なる場合、これらの材料の線膨張係数の差に起因して、環境温度の変化によって遮光物が剥離するおそれがあった。
【0009】
更に、特許文献3の技術を適用して、特許文献1の押ボタンスイッチ式の照明装置に遮光部材を設けることが考えられる。そこで、特許文献3の図4を見ると、遮光リブの高さが導光体よりも低いため、遮光性は不十分と思われるが、導光体よりも高さが高いエスカッション(取り付け部の基盤)および押しボタンが遮光の働きをしていると思われる。すなわち、導光体よりも高さが高い遮光物が設けられている。
【0010】
しかしながら、特許文献3の技術の適用分野はカーオーディオであり、比較的スペースに余裕がある場合が多い。一方、携帯電話の分野では、出来る限り厚みを薄くすることが望まれており、導光板よりも厚い部材を設けることは考えられないため、従来、特許文献2に記載されている方法が採用されていた。
更に、特許文献3に示された遮光リブは、エスカッションなどと一体構成をなしている。この技術を携帯電話に応用するとなると、ライトガイドの下に配置されるスイッチング素子上に遮光物を一体成形することになるが、非常に特殊な形状をなしてしまうため、製造コストが嵩むと思われる。
【0011】
また、これら特許文献に記載の構造において導光板の一端面側に設けた光源から光を入射させて導光するタイプの構造では、導光板の反対側の端部からの光漏れが生じ易いので導光板の周囲の無用な部位を照明してしまうおそれがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構造によって、シートスイッチモジュールから外部へ余計な方向へ光が漏れることを防止できるシートスイッチモジュールを提供することを目的とする。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、簡易な構造によって、特定の操作キーのみを選択的に発光させるか、あるいは、選択的に発光させないようにする領域の区分けが容易に実現できるシートスイッチモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のシートスイッチモジュールは、光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光をその一端面側から導入されるとともに、その面方向に前記光源からの光を導光するシート状のライトガイドと、該ライトガイドの一方の面側に配置されたシートスイッチとを備えたシートスイッチモジュールであって、前記ライトガイドにおいて前記光源からの光が導入される側の端面と対峙するライトガイドの他の端面に、該端面を覆う印刷層からなる遮光部材が設けられ、前記ライトガイドの前記一方の面側あるいは他方の面側に光取出部が設けられたことを特徴とする。
【0013】
本発明のシートスイッチモジュールは、前記ライトガイドが複数の領域に区分され、前記ライトガイドの各領域の間に前記ライトガイドをその厚み方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、前記光源からの光が導入される側の端面と対峙する前記貫通孔の内端面に該内端面を覆う遮光部材が設けられ、前記区分けされた複数の領域毎に光取出部が形成されたことを特徴とする。
本発明のシートスイッチモジュールは、前記遮光部材に前記ライトガイドの端面に続くライトガイド上面縁部を覆うフランジ部が形成されたことを特徴とする。
本発明のシートスイッチモジュールは、前記遮光部材に前記貫通孔の開口部周縁を覆うフランジ部が形成されたことを特徴とする。
本発明のシートスイッチモジュールは、前記遮光部材に前記ライトガイドの一方の面から前記シートスイッチモジュール側に突出した延出部が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ライトガイドにおいて光源からの光が導入される側の端面と対峙するライトガイドの他の端面に、該端面を覆う印刷層からなる遮光部材を設けているので、ライトガイドの面方向沿って導光された光の一部が他の端面側から漏れ光となって不要に外部に出ることを防止できる。また、印刷層からなる遮光部材は、ライトガイドの端面に印刷法により薄く形成することが容易であり、容易に製造できる。遮光部材を設けた位置が光導入側に対峙するライトガイドの端部側の端面であれば、その端面から外部への漏れ光を削減できるので、ライトガイドの端部側の端面近傍の周囲の部材が不要に光ることを抑制できる。
【0015】
本発明において、ライトガイドを区分した複数の領域間に貫通孔を形成し、光源からの光が導入される側の端面と対峙する貫通孔の内端面に印刷層からなる遮光部材を設けたので、印刷法により容易に形成できる遮光部材の形成によって、ライトガイドの一端面に対して光源から入射した光によって所望の領域に設けられた光取出部のみを照明することが可能になるとともに、その入射光によりその他の領域に設けられた光取出部を発光させないように遮光部材が機能する。よって、複数に区分けした領域毎の光取出部を個別に発光させることが可能となり、他の領域の発光状態に影響されない個別に発光制御可能な発光領域を確保できる。
また、ライトガイドの貫通孔の内端面に対し、印刷層からなる薄い遮光部材ならば容易に形成できるので、ライトガイドを複数の領域に区分する貫通孔を薄い遮光部材に合わせて幅狭に形成できる。これにより、単体の別部材からなる遮光部材を貫通孔の内部に配置して遮光し、領域毎に照明の状態を制御するようにした構造に比べ、極めて薄い遮光部材を安価かつ容易に貫通孔に配置することができる。
【0016】
本発明において、ライトガイドの端面上縁部あるいは貫通孔の上部開口面周縁部を遮光部材のフランジ部により覆う構成とするならば、ライトガイドの端面あるいはライトガイドの貫通孔の内面上部側から外部に出ようとする漏れ光をより良く抑制することができ、ライトガイドの端面上縁部あるいは貫通孔の上部開口面周縁部を介する漏れ光をより効果的に削減できる。
本発明において、遮光部材のスイッチシート側にライトガイドからスイッチシート側に延出する延出部を設けておくならば、ライトガイドのスイッチシート側への漏れ光も遮光部材の延出部により効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のシートスイッチモジュールの第一の実施形態を示す概略図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】図1に示すシートスイッチモジュールの部分詳細図であり、図2(a)はスイッチモジュールにおいて第二の光源を設置する部分の断面図、図2(b)はシートスイッチモジュールに組み込まれるシートスイッチの一構造例を示す断面図である。
【図3】本発明のシートスイッチモジュールの第二の実施形態を示す概略図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿う断面図である。
【図4】本発明のシートスイッチモジュールの第三の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】図1に示す形態のシートスイッチモジュールを製造する方法の一例について説明するためのもので、ライトガイドに複数の光取出部を形成した状態を示す断面略図である。
【図6】図1に示す形態のシートスイッチモジュールを製造する方法の一例について説明するためのもので、ライトガイドに貫通孔を形成した状態を示す断面略図である。
【図7】図1に示す形態のシートスイッチモジュールを製造する方法の一例について説明するためのもので、ライトガイドの貫通孔の内面に遮光部材を形成した状態を示す断面略図である。
【図8】図1に示す形態のシートスイッチモジュールを製造する方法の一例について説明するためのもので、ライトガイドにスイッチシートを積層した状態を示す断面略図である。
【図9】図1に示す形態のシートスイッチモジュールを製造する方法の一例について説明するためのもので、貫通孔に1回目の印刷により遮光部材を形成した状態を示す構成略図である。
【図10】図1に示す形態のシートスイッチモジュールを製造する方法の一例について説明するためのもので、貫通孔に2回目の印刷により遮光部材を形成した状態を示す構成略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るシートスイッチモジュールの実施形態について以下に説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「第一の実施形態」
図1は、本発明のシートスイッチモジュールの第一の実施形態を示す概略図であり、図1(a)は平面図、図1(b)は図1(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態のシートスイッチモジュール10は、第一の光源11と、第二の光源12と、第一の光源11の出射面11aに近接配置された平面視長方形のシート状のライトガイド13と、ライトガイド13の一方の面(下面)13a側に配置されたシートスイッチ20とから概略構成されている。
【0019】
シートスイッチ20は、ライトガイド13の一方の面13aの周縁に設けられた枠状の第一の粘着材15を介して、ライトガイド13に接着されている。この構造により、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に間隙18が設けられている。即ち、ライトガイド13とシートスイッチ20とが接することなく、第一の粘着材15の厚みに応じた間隔(α)をあけて両者が対向配置されている。
ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の厚み(α)、すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20との距離は特に限定されず、シートスイッチモジュール10が使用される状況において、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しない程度であれば良いが、シートスイッチモジュール10の全体を薄型化するためには、0.01mm以上、0.05mm以下であることが好ましい。
【0020】
本実施形態のライトガイド13は、2つの領域(第一の領域13A、第二の領域13B)に区分されており、第一の領域13Aと第二の領域13Bの間に、ライトガイド13を厚み方向に貫通する平面視コ字形の貫通孔13cが設けられている。
この形態の構造において、第一の光源11を設けた側と反対側のライトガイド13の端縁中央側には、コ字形の貫通孔13cの両端13gが近接して配置されている。
【0021】
そして、この貫通孔13cの内面側に、印刷層として形成された遮光部材14が形成されている。この遮光部材14は、平面視コ字状の貫通孔13cの内周端面に沿ってその内周端面全体を覆うように形成されている。この遮光部材14は、貫通孔13cの内周端面に密着してこれを覆う本体部14aと、この本体部14aの上部側に延出形成されて貫通孔13cの上面開口部縁部を所定幅で覆うフランジ部14bと、本体部14aの下部側(スイッチシート20側)にライトガイド13の下面から若干突出するように形成された延出部14cとから構成されている。
遮光部材14は、貫通孔13cの内周端面全体を覆うように形成されているので、貫通孔13cの内側において対向する遮光部材14、14の間に、平面視コ字型の間隙16が形成されている。
【0022】
また、ライトガイド13において、第一の領域13Aと第二の領域13Bとが接続されているのは、コ字型の貫通孔13cの両端13gに隣接するブリッジ部13hであって、このブリッジ部13hの幅は第一の粘着材15の幅と同程度とされている。これにより、この部分を介する第一の領域13Aと第二の領域13Bの相互間の光の回り込みを最小限に抑えている。
なお、本実施形態の構造ではブリッジ部13hを設けた構造としているが、ブリッジ部13hを略して貫通孔13cをライトガイド13の端部まで到達させた構成としても差し支えない。その場合、第一の粘着材15がライトガイド13の周縁部に加えて貫通孔13cの内周縁側にまで入り込んだ構成とすることができ、第二の領域13Bの周縁部に第一の粘着材15を別途設けた構成とすることにより、シートスイッチ20上にライトガイド13の第一の領域13Aと第二の領域13Bとを個別に接着することができる。
【0023】
また、ライトガイド13の第二の領域13Bの一端部13fは、ライトガイド13を平面視した場合に斜めに切り欠いたように形成されており、この一端部13fの外側の貫通孔13c内に一端部13fに対向するようにLEDなどの第二の光源12がシートスイッチ20の上に設置されて配置され、この第二の光源12はライトガイド13の一端部13fを介して図2(a)に示すように第二の領域13Bに個別に光を入射できるようになっている。
なお、図1(a)に示す平面視コ字型の貫通孔13cの内面において、第二の領域13Bに第二の光源12から光を入射するための一端部13fの部分は、図2(a)の部分断面に示す如く遮光部材14が略されている。
【0024】
ライトガイド13のシートスイッチ20が配置された側の面、すなわち、ライトガイド13の一方の面13aと反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)13bには、光取出部19が所定の位置毎に複数形成されている。このライトガイド13の他方の面13bが、シートスイッチモジュール10の上面(表面、発光面)をなしている。なお、光取出部19は後述する実施形態の構造の如くライトガイド13の一方の面13a側(下面側)に設けられていても良い。
なおまた、図1を基に行った上述の説明では略したが、ライトガイド13の一方の面側(シートスイッチ20側)に白色PETなどからなる保護層17を中間粘着材17Aを介し張り合わせておいても良い。図2(a)には中間粘着材17Aを介しライトガイド13に張り合わせた状態の保護層17を示しておく。
更に、複数の光取出部19は、シートスイッチ20に組み込まれた複数の感圧型のスイッチ素子30に対して平面視位置合わせされている。即ち、光取出部19は、それぞれのスイッチ素子30のメタルプレート23に対して図1(b)に示す如く概ね上下に対向するように配置されているが、これらの設置位置は上下に完全に一致していなくても、平面視、多少ずれた位置にあっても良い。
【0025】
シートスイッチ20は、基板21のライトガイド13と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)21aに複数の接点部22が所定の間隔で設けられ、各接点部22をほぼ中央にして、これを覆うように配置されたドーム形状のメタルプレート23が設けられ、これらを覆うように、粘着層24を介して押えシート25が設けられた基本構造をなしている。
【0026】
より詳細には、図2に示すように、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板からなる基板21の一方の面21aに、導電性材料からなる複数の接点部22が所定の間隔で設けられ、これらの接点部22の周囲に導電性材料からなる環状の接点部26が設けられ、接点部22および接点部26を覆うように、接点部22および接点部26との導通、非導通を切り替えるためのドーム形状のメタルプレート23が設けられている。
【0027】
これらのメタルプレート23は、接点部22に接離可能な可撓性を備え、基板21の一方の面21aとは反対側に凸状をなす椀型のメタルドームとして構成されている。そして、操作者が指などの操作子によりメタルプレート23の基板21の一方の面21aと対向する面とは反対側の面(以下、「上面」と言う。)23aの中央部を押圧すると、メタルプレート23の上面23aの中央部が、基板21の一方の面21a側に向いて湾曲するように変形し、接点部22に当接して、接点部22と接点部26との導通がとれるようになっている。
【0028】
したがって、シートスイッチ20にあっては、基板21の一方の面21aに設けられた接点部22と、その周囲に設けられた接点部26と、接点部22および接点部26を覆うように設けられたメタルプレート23と、これらを覆う押えシート25とにより、1つの感圧型のスイッチ素子30が構成され、このスイッチ素子30が基板21の一方の面21aに複数設けられた構造をなしている。
また、押えシート25の基板21の一方の面21aと対向する面に形成されている粘着層24によりメタルプレート23の位置が保持されている。
【0029】
第一の光源11および第二の光源12としては、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)などの発光素子、冷陰極管などの発光体などからなるものが用いられる。第一の光源11および第二の光源12がLEDからなるものである場合、箱状のケースの内部に発光素子チップが内蔵され、この発光素子チップが出射した光を第一の光源11ケース側面の出射面11a、または、第二の光源12ケース側面の出射面12aから出射できるように構成されている。
また、第一の光源11は、はんだ29によって、基板21の一方の面21a上の図示略の電気回路に接続されて設けられている。同様に、第二の光源12は、はんだ(図示略)によって、基板21の一方の面21a上の他の電気回路に接続されて設けられている。
【0030】
本実施形態のライトガイド13は、シート状の樹脂からなり、例えば、平面視長方形をなしている。
ライトガイド13を構成する樹脂としては、光透過性の樹脂であり、かつ、弾性変形可能なものであれば特に限定されないが、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレートからなる群から選択されたいずれかが用いられる。
【0031】
これら樹脂の中でも、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の幅を一定に保つように、すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しないようにするためには、適度な剛性を有する樹脂が好ましく、具体的には、ポリウレタン系樹脂、シリコーン樹脂、あるいは、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
また、ポリウレタン系樹脂やシリコーン樹脂は弾性を有するので、これらの樹脂からなるライトガイド13は、その上面が傷付きにくくなるとともに、スイッチ素子30(光取出部19)を押圧した際の感触が良好となる。また、ポリカーボネート系樹脂は、厚みが薄くても光の透過率が高いという特徴を有する。
【0032】
ライトガイド13の厚み(α)は特に限定されず、第一の光源11および第二の光源12からの出射光の透過率が高く、光取出部19を操作者が指先やペンなどの操作子で押圧した場合、その操作子がメタルプレート23を下向きに湾曲させて変形させ、メタルプレート23の中心部が接点部22に当接し、接点部22を接点部26に導通させることができるが、一方、光取出部19を押圧しない場合、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の幅を一定に保つことができる(すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しないようにすることができる)程度であればよく、シートスイッチモジュール10を薄型化するためには、0.1mm以上、0.2mm以下であることが好ましい。そして、ライトガイド13と、遮光部材14のフランジ部14bとの合計の厚み(α)は、ライトガイド13の厚み(α)に応じて適宜調整すれば良い。
【0033】
本実施形態の遮光部材14を構成する材料としては、後述する印刷法により塗布形成することが基本であるから、印刷法により塗布形成できる材料が望ましいが、黒色テープの貼着などにより形成することも考慮し、選択することができる。具体的に、遮光部材14の形成材料は、遮光性の材料であり、かつ、貫通孔13c内に遮光部材14を配置した際、直立可能な程度の剛性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの樹脂、各種金属からなる群から選択されたいずれかが用いられる。
遮光部材14の色相は、十分な遮光性があれば特に限定されないが、最も光を吸収し、遮光性が高いことから黒色が好ましい。
【0034】
第一の粘着材15としては、それ自体の形状を保持する粘着剤が用いられる。このような粘着剤としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、あるいは、樹脂や紙からなる基材の両面にこれらの樹脂または粘着材を塗布してなる両面テープなどが挙げられる。
また、第一の粘着材15の厚みは特に限定されないが、シートスイッチモジュール10が使用される状況において、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しない程度であればよく、シートスイッチモジュール10を薄型化するためには、0.01mm以上、0.05mm以下であることが好ましい。
ライトガイド13の他方の面13bに形成された光取出部19は、ライトガイド13を構成するシート状の樹脂シートの上面の必要な領域に凹凸部19Aを形成するなどの構造を採用し、凹凸部19Aを形成した領域において、ライトガイド13の他方の面13bに、ライトガイド13の内部から光が漏れ出るように構成されたものである。
【0035】
ライトガイド13の第一の領域13Aにあっては、その一方の端面13eに対し、第一の光源11からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド13の一方の面13aと他方の面13bの間で反射を繰り返しながらライトガイド13の内部を伝搬してゆくが、ライトガイド13の他方の面13bの必要な領域に凹凸部などを形成すると、内部を伝搬している光が漏れ出てくる。これにより、ライトガイド13の光取出部19から外側に光を出射することができる。即ち、ライトガイド13の内部を伝搬する光によって、光取出部19から光を出射することができる。
同様に、ライトガイド13の第二の領域13Bにあっては、その一端部13fに対し、第二の光源12からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド13の一方の面13aと他方の面13bの間で反射しながらライトガイド13の内部を伝搬してゆき、ライトガイド13の他方の面13bに設けられた光取出部19から外側に光を出射することができる。
【0036】
光取出部19を構成する凹凸部19Aは、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法などの印刷法により、ライトガイド13の他方の面13bに形成された微小ドットである。
スクリーン印刷法とは、孔版印刷として版に化学繊維のスクリーンを張ったものを利用し、そのスクリーンに光学的に版膜を作って必要な画線以外の目を塞ぎ、版を作り、その版膜の孔を介してインクを擦りつけることにより版の下に設置した被印刷物の印刷面に印刷を行う方法である。インクはスクリーンの版膜の孔を通過して被印刷面に押し出されて印刷されるので、必要な大きさの凹凸部19Aを形成することができる。
【0037】
スクリーン印刷法により形成された凹凸部19A(光取出部19)は、数字や文字として認識できるので、ライトガイド13の他方の面13b上に、操作キーを別途設ける必要が無いから、その場合、シートスイッチモジュール10をより一層薄型化することができ、ひいては、このシートスイッチモジュール10を適用した電子機器をより一層薄型化す ることができる。
また、スクリーン印刷法によれば、インクを調整することにより所望の色相の凹凸部19A(光取出部19)を形成することができるので、シートスイッチモジュール10をより意匠性に優れたものとすることができ、ひいては、このシートスイッチモジュール10を適用した電子機器をより意匠性に優れたものとすることができる。
【0038】
グラビア印刷は、印刷しようとする凸などの部分が窪んでいる版を用い、この窪みにインクが入るように適当な方法で版全体にインクを付け、表面をドクターと呼ばれる装置で拭き取りながら余分なインキを掻き落とし、窪みに入っているインキだけを残し、そのインキを被印刷面に押し付けて移し、インクの盛り上がり部分を形成することで凹凸部を形成する印刷方法である。印刷の濃い薄いは、窪みの幅とインキの厚みで表現するため、精巧な凹凸形状を形成可能であり、ライトガイド13の他方の面13bに所望の凹凸部19Aを形成できる。
【0039】
グラビア印刷法によれば、スクリーン印刷法で形成した場合よりも微小な凹凸部19Aを形成することができるので、一見、凹凸部19Aが形成されていることを認識できなくすることができる。また、インクや印刷版を調整することにより所望の色相の凹凸部19A(光取出部19)を形成することができる。したがって、シートスイッチモジュール10をより意匠性に優れたものとすることができ、ひいては、このシートスイッチモジュール10を適用した電子機器をより意匠性に優れたものとすることができる。
【0040】
パッド印刷は、凹版プレートの凹部にインクを盛りつけ、ブレードによって凹部以外の部分のインクを掻き取り、シリコン製などのパッドを凹版に押し付けてインクをパッドに写し取り、このパッドを被印刷物の印刷面に押し付けることで凹凸部を形成する方法である。なお、パッドは球形状やドラム状など、種々のものが適用できる。この方法により3次元形状の転写も正確にできるので、ライトガイド13の他方の面13bに所望の凹凸部19Aを形成できる。
【0041】
これらの印刷法の中でもスクリーン印刷法は、グラビア印刷法に比べて印刷版が安価でパッド印刷法よりも精度が高いなどの利点がある。また、スクリーン印刷法は、印刷版およびインクを種々変更することにより、所望の凹凸部を形成することができる利点と、優れた再現性、量産性が得られる利点がある。
また、凹凸部19Aを形成する方法は、上述の印刷法に限らず、ディスペンサ装置を用いたスプレー塗布形成方法、あるいは、インクジェット法による印刷方法であっても良い。
【0042】
本実施形態のシートスイッチモジュール10は、ライトガイド13の光取出部19を操作者が指先やペンなどの操作子で押圧すると、その操作子がメタルプレート23を下向きに湾曲させて変形させるので、メタルプレート23の中心部が接点部22に当接し、接点部22を接点部26に導通させることができる。
したがって、本実施形態のシートスイッチモジュール10によれば、メタルプレート23が設けられているスイッチ部分の存在を各光取出部19からの漏れ光により位置表示できるとともに、光取出部19を指などの操作子により押圧してメタルプレート23を変形させ、接点部22と接点部26との導通を切り替えることで各スイッチ素子30のオンオフ(導通、非導通)操作を行うことができる。
【0043】
シートスイッチモジュール10は、ライトガイド13が、第一の領域13Aと第二の領域13Bに区分されており、これらの2つの領域の間に、ライトガイド13を厚み方向に貫通する貫通孔13cが設けられ、この貫通孔13c内に遮光部材14が配置されているので、ライトガイド13の第一の領域13Aにあっては、その一方の端面13eに対し、第一の光源11からの出射光が入射されると、その入射光により第一の領域13Aに設けられた光取出部19のみを発光させることができるとともに、その入射光により第二の領域13Bに設けられた光取出部19を発光させることがない。また、ライトガイド13の第二の領域13Bにあっては、その一端部13fに対し、第二の光源12からの出射光が入射されると、その入射光により第二の領域13Bに設けられた光取出部19のみを発光させることができるとともに、その入射光により第一の領域13Aに設けられた光取出部19から光を出射することがない。
【0044】
シートスイッチ20が、シート状のライトガイド13の一方の面13aに設けられた第一の粘着材15を介して、ライトガイド13に接着され、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に間隙18が設けられているので、ライトガイド13とシートスイッチ20とが接していない。すなわち、ライトガイド13の一方の面13aおよび他方の面13bが、樹脂からなる他の部材と接することなく、空気層に接している。したがって、ライトガイド13の第一の領域13Aにおいて、その一方の端面13eに対して、第一の光源11からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド13の一方の面13aと他方の面13bの間で反射しながらライトガイド13の内部を伝搬して、光取出部19以外の部分で光が漏れ出る割合が少ない。ゆえに、第一の光源11からライトガイド13に入射された光は、光取出部19を中心としてライトガイド13の外部に出射するので、ライトガイド13を伝搬する光が、その伝搬に伴って減衰する量が最小限に抑えられるから、ライトガイド13の全長に渡って、光取出部19を発光させるために十分な量の光を導くことができる。同様に、ライトガイド13の第二の領域13Bにおいて、その一端部13fに対し、第二の光源12からの出射光が入射されると、ライトガイド13を伝搬する光が、その伝搬に伴って減衰するのが最小限に抑えられるから、ライトガイド13の全長に渡って、光取出部19を発光させるために十分な量の光を導くことができる。
【0045】
なお、この実施形態では、ライトガイド13が、第一の領域13Aと第二の領域13Bに区分され、第一の領域13Aと第二の領域13Bの間に、ライトガイド13を厚み方向に貫通する、平面視コ字形の貫通孔13cが設けられ、さらに、この貫通孔13c内に、平面視コ字形となるように遮光部材14が貫通孔13cの内周端面に密着されたシートスイッチモジュール10を例示したが、本発明のシートスイッチモジュールはこれに限定されない。本発明のシートスイッチモジュールにあっては、ライトガイドが、3つ以上の任意の形状の領域に区分されていてもよく、各領域の間に設けられる貫通孔の形状はそれぞれの領域の形状に応じて適宜調整されていればよい。同様に、貫通孔内に配置される印刷層からなる遮光部材の形状は、貫通孔の形状に応じて適宜調整されていればよい。
また、この実施形態では、第一の領域13Aに対応する第一の光源11と、第二の領域13Bに対応する第二の光源12とを備えたシートスイッチモジュール10を例示したが、本発明のシートスイッチモジュールはこれに限定されない。
【0046】
また、この実施形態では、ライトガイド13の他方の面13bに、凹凸部19Aからなる光取出部19が設けられたシートスイッチモジュール10を例示したが、本発明のシートスイッチモジュールはこれに限定されない。本発明のシートスイッチモジュールにあっては、ライトガイドの一方の面、すなわち、ライトガイドのシートスイッチと対向する面に凹凸部からなる光取出部が設けられていてもよい。このようにライトガイドのシートスイッチと対向する面に光取出部が設けられていれば、光取出部がシートスイッチモジュールの上面(表面)に露出していないので、光取出部が損傷し難くなり、結果として、光取出部から出射される光の明るさを一定に保つことができる。
【0047】
「第二の実施形態」
図3は、本発明のシートスイッチモジュールの第二の実施形態を示す概略図であり、図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿う断面図である。
図3において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、それらの説明を省略する。
この実施形態のシートスイッチモジュール40が、上述の第一の実施形態のシートスイッチモジュール10と異なる点は、第1の領域13Aと第2の領域13Bとを区分する貫通孔13cが形成されておらず、ライトガイド13’の一方の端面13eと対向する他方の端面13mに印刷層からなる遮光部材44が被着されている点、並びに、ライトガイド13の一方の面13a側に複数の光取出部19が形成されている点である。
【0048】
この実施形態の遮光部材44は、ライトガイド13’の他方の端面13mに被着されている本体部44aと、前記他方の端面13mに連続しているライトガイド13’の他方の面(上面)13bの周縁部まで部分的に覆って設けられたフランジ部44bと、ライトガイド13’の他方の端面13mよりも下方まで垂下される状態に延長形成され、第一の粘着材15の外側まで覆い、ライトガイド13’の若干下に突出した延出部44cとから構成されている。
【0049】
「第三の実施形態」
ここまでは、第一の粘着材15を、ライトガイド13の一方の面13aの周縁に設けた例について説明したが、本発明においては、第一の粘着材15を設ける部位は、これに限定されない。
図4は、本発明のシートスイッチモジュールの第三の実施形態を示す概略断面図であり、図1(b)と同様の箇所におけるものである。
図4において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、それらの説明を省略する。
この実施形態のシートスイッチモジュール50が、上述の第一の実施形態のシートスイッチモジュール10と異なる点は、第一の粘着材15が、ライトガイド13の一方の面13aの周縁に沿って枠状に設けられているのに加え、さらに平面視コ字状の貫通孔13cの周縁に沿って設けられている点である。貫通孔13cの周縁に沿って設けられた第一の粘着材15は、ここに示すように、遮光部材14の延出部14cに対して、間隙16とは反対側に設けられていることが好ましいが、延出部14cの形成位置に設けられ、延出部14cが省略されていても良い(図示略)。
第三の実施形態によれば、シートスイッチ20を一層強固にライトガイド13に接着させることができ、間隙18を一層安定して保持できる。
【0050】
「製造方法」
以下に上述の構成とした図1に示すシートスイッチモジュール10の製造方法の一例について説明する。
シートスイッチモジュール10を製造するには、図5に示す如くライトガイドフィルム50の表面に対し、必要な複数の位置にスクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法、インクジェット印刷法などの印刷法により、光取出部19を構成するための凹凸部19Aを形成する。凹凸部19Aを構成するためのインクは白色系のインクなどを適宜用いることができる。また、凹凸部19Aを形成する方法は、上述の印刷法に限らず、ディスペンサ装置を用いたスプレー塗布形成方法であっても良い。
【0051】
次に、図6に示す如くライトガイドフィルム50に第1の領域13Aと第2の領域13Bを区分するための平面視コ字型の貫通孔13cの形成をCOレーザーなどを用いたレーザー溶断法により形成する。図6はライトガイドフィルム50の側断面であるので、平面視コ字型の貫通孔13cの一部のみを示している。
ここでレーザー溶断法を用いるのは、ライトガイドフィルム50としてウレタン樹脂などの軟質の樹脂を用いると、ライトガイドフィルムを金型を用いて打ち抜き加工する場合に、金型の雄型あるいは雌型の切断刃の部分に軟質の樹脂が引っ張られてちぎれるようにライトガイドフィルムが切断されることがあり、この場合は、貫通孔の破断面とその周囲が粗い凹凸形状となり易く、シャープな形状の破断面を得ることができないためである。また、貫通孔13cの破断面に目の粗い凹凸や引きちぎった部分が存在する場合、貫通孔の内端面にインクが乗らない可能性が高くなり、良好な接着状態の遮光部材を形成できなくなることがある。ただし、ライトガイドフィルム50として打ち抜きが可能な材料のものを用いる場合は、量産性を考慮して金型による打ち抜き法により製造しても良いのは勿論である。
【0052】
これらに対してレーザー溶断法であるならば、前述のウレタン樹脂などの軟質系の樹脂であっても溶断面を滑らかにしてシャープな溶断面を得ることができる点で好ましい。なお、レーザー溶断法を採用する場合、ライトガイドフィルム50がポリカーボネイトからなると、溶断面付近が黄色に変色してしまうおそれがあるので、レーザー溶断法を採用する場合はウレタン樹脂の方が好ましい。
【0053】
次に、スクリーン印刷法などの印刷法により、図7に示す如く貫通孔13cの内端面を本体部14aで覆い、同時に、貫通孔13cの上面開口部周縁部をフランジ部14bで所定幅覆うとともに、貫通孔13cの下端よりも若干下方に延出部14cが突出するように、印刷層からなる遮光部材14を貫通孔13の全内周に渡り形成する。
ここで用いる遮光部材14を形成するための印刷用のインクは、遮光という面から見れば、暗色系の色調のインク、特に黒色インクを適用することが好ましい。
【0054】
なお、スクリーン印刷法により遮光部材14を貫通孔13の周縁に形成する場合、スクリーン印刷に用いるスキージの方向などにより、インクが乗り易い方向と乗り難い方向が生じる場合がある。例えば、図9に示す如くライトガイド13を平面視した場合に横方向にインクが乗り易い場合は、それと直交する方向にインクが乗り難くなり、印刷層が形成されない場合が生じるので、この場合はスクリーン印刷の方向を90゜変更して2回目の印刷を行えば、図10に示す如く平面視コ字型の貫通孔13cの全内周部分にむら無く遮光部材14を形成することができる。
【0055】
以上説明の如く印刷法により遮光部材14を貫通孔13cに形成するならば、貫通孔13cが幅狭のスリット状の孔であっても確実に印刷法の印刷解像度に応じた幅と厚さの遮光部材14を形成できるので、貫通孔13cの内部に別途遮光部材を挿入して配置するなどの方法よりも確実に遮光部材を形成することができる。
例えば、貫通孔13cの内部に貫通孔13cとは別個に自立性及び直立性に優れた遮光部材(ガスケット)を配置するとなると、樹脂製の遮光部材とした場合に0.5mm〜1.8mm程度の厚みが必要であるが、前述の印刷法による遮光部材であるならば、10μm以下、例えば、通常のスクリーン印刷法による印刷層では6〜7μm程度の厚みの印刷層を容易に形成することができるので、自立性及び直立性に優れた遮光部材を配置する場合よりも遙かに幅狭の貫通孔13cを採用することができ、ライトガイド13の小型化、軽量化に寄与する。
なお、本発明では貫通孔13cの幅を制限するものではなく、1.8mm程度の幅の貫通孔13cに印刷層の遮光部材14を適用しても良いのは勿論である。その場合、1.8mm程度の幅の貫通孔の内側に、数μm〜数10μm程度の薄い遮光部材14を配置する構造となる。
【0056】
遮光部材14の形成後、図8に示す如く、ライトガイド13を別途製造しておいたスイッチシート20と接着することにより、図1に示す構成と同等のシートスイッチモジュール10を得ることができる。
以上説明した製造方法によりシートスイッチモジュール10を得ることができるが、このように製造したシートスイッチモジュール10では、遮光部材14を貫通孔13cの内面側に正確な厚みとサイズで良好な接着性でもって確実に形成することができる。そして、印刷法により形成するので、大量生産も容易に行うことができ、製造単価を低く抑えることができる。
【符号の説明】
【0057】
10,40,50…シートスイッチモジュール、11…第一の光源、12…第二の光源、13…ライトガイド、13A…第一の領域、13B…第二の領域、13c…貫通孔、13e,13m…端面、14,44…遮光部材、14a,44a…本体部、14b,44b…フランジ部、14c,44c…延出部、15…第一の粘着材、16,18…間隙、19…光取出部、19A…凹凸部、20…スイッチシート、21…基板、22…接点部、23…メタルプレート、24…粘着層、25…押えシート、26…接点部、29…はんだ、30…スイッチ素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光をその一端面側から導入されるとともに、その面方向に前記光源からの光を導光するシート状のライトガイドと、該ライトガイドの一方の面側に配置されたシートスイッチとを備えたシートスイッチモジュールであって、
前記ライトガイドにおいて前記光源からの光が導入される側の端面と対峙するライトガイドの他の端面に、該端面を覆う印刷層からなる遮光部材が設けられ、前記ライトガイドの前記一方の面側あるいは他方の面側に光取出部が設けられたことを特徴とするシートスイッチモジュール。
【請求項2】
前記ライトガイドが複数の領域に区分され、前記ライトガイドの各領域の間に前記ライトガイドをその厚み方向に貫通する貫通孔が形成されるとともに、前記光源からの光が導入される側の端面と対峙する前記貫通孔の内端面に該内端面を覆う遮光部材が設けられ、前記区分けされた複数の領域毎に光取出部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のシートスイッチモジュール。
【請求項3】
前記遮光部材に前記ライトガイドの端面に続くライトガイド上面縁部を覆うフランジ部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のシートスイッチモジュール。
【請求項4】
前記遮光部材に前記貫通孔の開口部周縁を覆うフランジ部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載のシートスイッチモジュール。
【請求項5】
前記遮光部材に前記ライトガイドの一方の面から前記シートスイッチモジュール側に突出した延出部が形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシートスイッチモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−9018(P2011−9018A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150304(P2009−150304)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】