シートベルト装置及び車両用シート
【課題】フラットシートとした際にシートベルト装置を構成する部品によって隣接するシート間に隙間を発生させることがないシートベルト装置及び車両用シートを提供する。
【解決手段】シートバック24の側方寄り上面に開口するタング挿入口32の下方に配置した第1のバックル34と、第1のバックル34の下方のシートクッション22とシートバック24との間から出没可能な第2のバックル36と、第2のバックル36とは反対側のシートクッション22の上面に出没可能な第3のバックル38と、第1のバックル34と係合するようにシートベルトウエビング40の一端側を引き出す第1のタング42と、第2のバックル36と係合するようにシートベルトウエビング40の他端に保持された第2のタング44と、第3のバックル38と着脱可能に係合するように第1,第2タング42,44の間でシートベルトウエビング40に移動な第3のタング46と、を備えている。
【解決手段】シートバック24の側方寄り上面に開口するタング挿入口32の下方に配置した第1のバックル34と、第1のバックル34の下方のシートクッション22とシートバック24との間から出没可能な第2のバックル36と、第2のバックル36とは反対側のシートクッション22の上面に出没可能な第3のバックル38と、第1のバックル34と係合するようにシートベルトウエビング40の一端側を引き出す第1のタング42と、第2のバックル36と係合するようにシートベルトウエビング40の他端に保持された第2のタング44と、第3のバックル38と着脱可能に係合するように第1,第2タング42,44の間でシートベルトウエビング40に移動な第3のタング46と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに着座した乗員を保護するシートベルト装置、特に、三点式シートベルト装置及び車両用シートに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用シートは、内装のバリエーションの確保や特殊用途(例えば、キャンピングカー等)への適合といったように、多様なニーズ化をしている。
【0003】
一方、乗員保護のより一層の向上を図るため、例えば、一列に三人の乗員の着座を可能とした場合、車両両側の乗員にあっては、車体床面付近並びに車体ピラー等から引き出されたシートベルトウエビングの中途部を乗員の逆側のシートクッション等に配置されたバックルに引き寄せることで所謂三点式シートベルトとして乗員の拘束が可能である。
【0004】
これに対し、車幅中央に着座した乗員にあっては、車体ピラーが存在しないため、三点式シートベルト方式を採用する場合、シートバックの上端付近にショルダアンカを設置してシートベルトウエビングを引き出すことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ラップアンカをシートの側面側に着脱可能に取り付けることにより、シートベルト非使用時の邪魔とならないようにしたシートベルト構造も各種提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−143279号公報
【特許文献2】特開2001−187559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述したキャンピングカー仕様等の車両用シートの場合、全てのシートをフラット状態とすることでベッド代わりとすることが考えられているが、車幅中央のシートベルトを三点式とした場合、ショルダアンカが邪魔となってしまい、フラット状態とすることができなかったり、後席側のシートクッションとの間に隙間ができてしまうといった問題が生じていた。
【0008】
また、ラップアンカをシート側面側に着脱可能に取り付けた場合であっても、特に車幅中央の乗員に対する考慮はなされておらず、結果的に車幅中央のシートベルト装置は二点式若しくはショルダアンカを用いた三点式とせざるを得ず、上述したキャンピングカー等のフラットシートによるベッド化とするには、上述した問題を解決することはできなかった。
【0009】
本発明の目的は、シートバックを倒してフラットシートにする際に、シートベルト装置を構成する部品によって隣接するシート間に隙間を発生させることなく、シート形状及び構造にのみ依存して隙間の発生を抑制することが可能であるシートベルト装置及び車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1発明のシートベルト装置は、車両用シートのシートバックの側方寄り上面に開口するタング挿入口と、前記タング挿入口の奥側に配置されて前記シートバックに固定された第1のバックルと、前記第1のバックルの略下方に位置するように前記車両用シートのシートクッションと前記シートバックとの間から出没可能に設けられた第2のバックルと、前記第2のバックルとは反対側の前記シートクッションの上面に出没可能に設けられた第3のバックルと、前記第1のバックルと着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビングの一端側が引き出される第1のタングと、前記第2のバックルと着脱可能に係合すると共に前記シートベルトウエビングの他端に保持された第2のタングと、前記第3のバックルと着脱可能に係合すると共に前記第1のタングと前記第2のタングとの間の前記シートベルトウエビングに移動可能に設けられた第3のタングと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本願第1発明においては、車両用シートの車幅方向の位置に関わらず、三点式シートベルト装置として乗員を拘束することが可能であると共に、シートバックを倒してフラットシートとする際には、全てのタングを全てのバックルから離脱させることによって、全てのタング並びにバックルをシート上面から無くすことができ、シートベルト装置を構成する部品によって隣接するシート間に隙間を発生させることなく、シート形状及び構造にのみ依存して隙間の発生を防止することが可能である。
【0012】
第2発明のシートベルト装置は、請求項1に記載のシートベルト装置において、前記第3のバックルは、前記シートクッションと前記シートバックとの間又は隣接する前記シートクッションの間から出没可能とされていることを特徴とする。
【0013】
本願第2発明においては、車両用シートの位置等に関わらず、三点式シートベルト装置として乗員を拘束することが可能である。
【0014】
第3発明のシートベルト装置は、請求項1に記載のシートベルト装置において、前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、前記第2のバックルは前記タング挿入口の直下の前記シートクッションと前記シートバックとの間から出没可能とされていることを特徴とする。
【0015】
本願第3発明においては、第1のタングと第2のタングとの間のシートベルトウエビングの捩じれの発生を抑制することが可能である。
【0016】
第4発明のシートベルト装置は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のシートベルト装置において、前記第2のバックル及び前記第3のバックルは、前記シートクッションの下方のシートフレームに固定されていることを特徴とする。
【0017】
本願第4発明においては、車両用シートを車体前後方向にスライド変位させた際に、第2のバックル及び第3のバックルを追従させることができる。
【0018】
第5発明のシートベルト装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記シートバックの下端の下方付近に固定され、前記第1のタングには前記シートベルトリトラクタ装置から引き出された前記シートベルトウエビングの一端寄りを前記シートバックの前面側に導くベルトアンカ部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本願第5発明においては、シートバックを傾けてフラットシートした際に、シートベルトリトラクタ装置が邪魔となることなく、しかも、全てのバックルから取り外した全てのアンカ並びにシートベルトウエビングを車両用シートの下方に纏めて収納することが可能である。
【0020】
第6発明のシートベルト装置は、請求項5に記載のシートベルト装置において、前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、前記シートベルトリトラクタ装置は前記タング挿入口の直下の前記シートバックの下端の下方付近のシートフレーム又は床面に固定されていることを特徴とする。
【0021】
本願第6発明によれば、シートベルトリトラクタ装置と第1のタングとの間のシートベルトウエビングの捩じれの発生を抑制することが可能である。
【0022】
第7発明のシートベルト装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記第1のタングに固定されていることを特徴とする。
【0023】
本願第7発明においては、シートベルトウエビングを最短距離で引き出すことができる。
【0024】
第8発明のシートベルト装置は、請求項7に記載のシートベルト装置において、前記シートベルトリトラクタ装置には、車体側から引き出された電源供給用のケーブルが接続されていることを特徴とする。
【0025】
本願第8発明によれば、シートベルトリトラクタ装置に電子的な制御機能を具備させることができる。
【0026】
第9発明の車両用シートは、請求項1乃至請求項8の何れかに記載のシートベルト装置を備えた車両用シートとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のシートベルト装置及び車両用シートによれば、シートバックを倒してフラットシートにする際に、シートベルト装置を構成する部品によって隣接するシート間に隙間を発生させることなく、シート形状及び構造にのみ依存して隙間の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時における車体全体の概略側面図である。
【図2】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートのフラット時における車体全体の概略側面図である。
【図3】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【図4】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの模式図である。
【図5】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シート全体の斜視図である。
【図6】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートのフラット時における車両用シート全体の斜視図である。
【図7】本発明のシートベルト装置の第1実施形態の変形例に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【図8】本発明のシートベルト装置の第1実施形態の他の変形例に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【図9】本発明のシートベルト装置の第2実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のシートベルト装置の第1実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、車両前後方向とは車体前進時における車体前後方向、車幅方向とはその車体左右方向をいう。また、以下に示す実施形態は本発明のシートベルト装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0030】
図1及び図2において、10はキャンピング仕様の自動車(車両)の車体、12は車体10の車室内の床面である。また、車体10の車室内には、図示しないフロントシートの車体後方に2列目及び3列目としての車両用シート20が配置されている。なお、この車両用シート20は、2列目(以下、説明に応じて「前列」とする。)及び3列目(以下、説明に応じて「後列」とする。)のそれぞれにおいて車幅方向の車体左右と車幅方向中央とに3列(前後2列と左右3列)に配置されており、各車両用シート20に同一又は車体左右で対象のものが採用されている。したがって、以下の説明においては、任意の一つの車両用シート20に関して説明し、その他においては説明を省略する。
【0031】
車両用シート20は、シートクッション22と、シートクッション22の車体後側の縁部に隣接する下端付近を回動支点として車体前後に傾斜可能なシートバック24と、シートクッション22にシートバック24を接続するためのブラケット26と、シートクッション22を床面12に固定するためのシートフレーム28と、を備えている。なお、シートフレーム28は、例えば、前列の車両用シート20を車体前後方向にスライド変位可能とするためのシートスライド装置(図示せず)に固定することも可能である。
【0032】
シートクッション22は、シートフレーム28と一体のクッションフレーム22aを備えている。また、シートバック24は、ブラケット26と接続されたシートバックフレーム24aを備えている。これにより、シートクッション22とシートバック24とは、各フレーム22a,24aによって、そのクッション性と保形性とが確保されている。また、ブラケット26は、各フレーム22a,24aに跨って接続されていると共に、例えば、図示しないシートリクライニング装置の操作によってシートバック24の車体前方への傾斜と車体後方への傾斜とが許容されている。この際、シートバック24は、図2に示すように、シートクッション22とシートバック24とが面一なフラット状態となうように、車体後方への傾斜及び固定が可能となっている。なお、シートリクライニング装置の具体的な構成及びフラット状態への傾きや固定等の構成は公知の技術を採用することができるため、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0033】
シートフレーム28には、シートベルト装置30が配置されている。このシートベルト装置30は、図3及び図4に示すように、車両用シート20のシートバック24の側方寄り上面に開口するタング挿入口32と、タング挿入口32の奥側(下方)に配置されてシートバック24に固定された第1のバックル34と、第1のバックル34の略下方に位置するように車両用シート20のシートクッション22とシートバック24との間から出没可能に設けられた第2のバックル36と、第2のバックル36とは反対側のシートクッション22の上面に出没可能に設けられた第3のバックル38と、第1のバックル34と着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビング40の一端側が引き出される第1のタング42と、第2のバックル36と着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビング40の他端に保持された第2のタング44と、第3のバックル38と着脱可能に係合すると共に第1のタング42と第2のタング44との間のシートベルトウエビング40に移動可能に設けられた第3のタング46と、シートベルトウエビング40の一端を引き出し及び巻き取り可能とするシートベルトリトラクタ装置48と、を備えている。
【0034】
タング挿入口32は、本実施形態では、シートバック24の側方寄り上面に配置されており、その上面と略面一となるようにシートバック24に設けられた樹脂製の枠体50によって開口されている。
【0035】
第1のバックル34は、シートバックフレーム24aのシート上部側にブラケット52を介して固定されている。また、第1のバックル34には、公知のものが採用され、シートバック24の上方から第1のタング42が挿入可能となるように縦置きに配置されている。この際、第1のバックル34は、第1のタング42の係合状態を解除するためのボタン操作がタング挿入口32から可能となるタイプのものが用いられている。
【0036】
第2のバックル36は、タング挿入口32の直下のシートクッション22とシートバック24との間から出没可能となるように、シートクッション22の下方のシートフレーム28に固定されている。本実施形態では、シートベルトウエビング40と同一の素材からなる固定ベルト54の一端をシートフレーム28に固定し、固定ベルト54の他端に第2のバックル36を固定することで、第2のバックル36をシートクッション22とシートバック24との間から出没可能としている。
【0037】
第3のバックル38は、公知のシートベルト装置用のバックルが適用されている。この際、第3のバックル38は、シートクッション22とシートバック24との間から出没可能とされている。尚、車幅方向中央に配置された車両用シート20の場合、シートクッション22と隣接する車両用シート20のシートクッション22との間から出没可能としても良い。また、車体両側に配置された車両用シート20の場合、シートクッション22と車体内側面との間に配置しても良い。また、本実施形態においては、第2のバックル36と同様に、シートクッション22の下方のシートフレーム28に固定され、シートベルトウエビング40と同一の素材からなる固定ベルト56の一端をシートフレーム28に固定し、固定ベルト54の他端に第2のバックル36を固定することで、第3のバックル38をシートクッション22とシートバック24との間から出没可能としている。
【0038】
第1のタング42にはシートベルトリトラクタ装置48から引き出されたシートベルトウエビング40の一端寄りをシートバック24の前面側に導くベルトアンカ部42aが設けられている。
【0039】
シートベルトリトラクタ装置48はタング挿入口32の直下のシートバック24の下端の下方付近のシートフレーム28に固定されている。なお、シートベルトリトラクタ装置48の種類や機能等は特に限定されるものではない。また、車両用シート20をスライド変位可能としない場合などには、シートベルトリトラクタ装置48は車体ピラー(図示せず)や床面12に固定しても良い。この際、シートベルトリトラクタ装置48から引き出されたシートベルトウエビング40は、第3のバックル38に第3のタング46を係合させない状態で、その引き出し始端部から第2のバックル36に第2のタング44を交合させた状態のときに、直線状に引き出されるように配置するのが好ましい。これにより、シートベルトウエビング40の捩れを抑制すると共に、第2のタング44を第2のバックル36に係合させたままでもシートバック24を後方に倒して車両用シート20をフラット状態とした場合であっても、シートベルトウエビング40を邪魔にし難いものとする。
【0040】
上記の構成においては、図5に示すように、車体前後2列、車体左右3列の計6つの車両用シート20の使用状態から、全てのタング42,44,46を全てのバックル34,36,38から係合を解除してシートベルトリトラクタ装置48に巻き取らせて収納状態とし図6に示すように、シートバック24を車体後方に倒すことにより、車両用シート20の全体でフラットなベッド状態とすることができる。
【0041】
この際、前列側の車両用シート20のシートバック24と後列側の車両用シート20のシートクッション22との間には、隙間が発生しないベッド状態とすることができる。なお、シートバック24にヘッドレストが装着されている場合にはヘッドレストを取り外すといったように、車両用シート20の構成や形状等によって適宜の対応を行うことは勿論である。
【0042】
ところで、上述した第1のバックル34と第1のタング42並びに第2のバックル36と第2のタング44とは、公知のシートベルト装置に適用されているバックル・タングの構成を採用しても良いが、専用のバックル・タング等を別途採用することも可能である。
【0043】
図7は、このような専用のバックル・タング等を一部で採用した変形例を示す。なお、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7においては、第1のバックル64は車体後方から第1のタング62が挿入されるもので、第1のバックル64を車体前後方向に横向きのとすることで表面全体がシートバック24の上面に収納・露出させることができ、第1タング62の挿入・離脱操作並びに、第1のバックル64のタング離脱操作を容易に行えるようにしている。したがって、第1のタング62のベルトアンカ部62aをシートバック24の上方に配置する場合には、第1のタング62のバックル挿入部62bは係合状態で水平となるように屈曲するのが望ましい。これにより、ベルトアンカ部62aを用いて着脱操作することができる。
【0045】
図8は、上述した専用のバックル・タング等を一部で採用した他の変形例を示す。なお、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図8においては、第1のバックルとして環状の係合部74aを備えたアイボルト74をシートバックフレーム24aに固定している。これにより、第1のタング72においても、ベルトアンカ部72aを有すると共に、係合部74aに係合するラッチ部72bを備えている。
【0047】
図9は、本発明のシートベルト装置の第2実施形態を示す。なお、この第2実施形態においても、上記実施形態1と同一の構成には同一の符合を付してその説明を省略する。
【0048】
図9において、第1のタング82には、シートベルトウエビング40の一端側に引き出し及び巻き取りを可能とするシートベルトリトラクタ装置88が固定されている。これにより、シートベルトリトラクタ装置88に上記実施形態のベルトアンカ部82aの機能を具備することができる。また、シートベルトリトラクタ装置88には、車体側から引き出された電源供給用のケーブル86が接続され、電子的な制御を可能としている。例えば、モータの駆動力によってシートベルトウエビング40を巻き取り可能な電動リトラクタ装置を採用することができる。この電動リトラクタ装置のモータは、通常、マイクロコンピュータや特殊用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を有するECU(Electronic Control Unit)によって制御される。これにより、ECUが車両の衝突を図示を略する衝突センサ等が検知すると、シートベルトウエビング40の巻き取り用のモータを作動させて乗員の拘束効果を高める。また、ECUは、車載バッテリからの電源供給や衝突センサ等とハーネス及びコネクタによって接続され、その電源供給や電気信号の送受信を行うため、この電源等級や信号の送受信をケーブル86で行う。
【符号の説明】
【0049】
10…車体
12…床面
20…車両用シート
22…シートクッション
22a…クッションフレーム
24…シートバック
24a…シートバックフレーム
26…ブラケット
28…シートフレーム
30…シートベルト装置
32…タング挿入口
34…第1のバックル
36…第2のバックル
38…第3のバックル
40…シートベルトウエビング
42…第1のタング
42a…ベルトアンカ部
44…第2のタング
46…第3のタング
48…シートベルトリトラクタ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに着座した乗員を保護するシートベルト装置、特に、三点式シートベルト装置及び車両用シートに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用シートは、内装のバリエーションの確保や特殊用途(例えば、キャンピングカー等)への適合といったように、多様なニーズ化をしている。
【0003】
一方、乗員保護のより一層の向上を図るため、例えば、一列に三人の乗員の着座を可能とした場合、車両両側の乗員にあっては、車体床面付近並びに車体ピラー等から引き出されたシートベルトウエビングの中途部を乗員の逆側のシートクッション等に配置されたバックルに引き寄せることで所謂三点式シートベルトとして乗員の拘束が可能である。
【0004】
これに対し、車幅中央に着座した乗員にあっては、車体ピラーが存在しないため、三点式シートベルト方式を採用する場合、シートバックの上端付近にショルダアンカを設置してシートベルトウエビングを引き出すことが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ラップアンカをシートの側面側に着脱可能に取り付けることにより、シートベルト非使用時の邪魔とならないようにしたシートベルト構造も各種提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−143279号公報
【特許文献2】特開2001−187559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述したキャンピングカー仕様等の車両用シートの場合、全てのシートをフラット状態とすることでベッド代わりとすることが考えられているが、車幅中央のシートベルトを三点式とした場合、ショルダアンカが邪魔となってしまい、フラット状態とすることができなかったり、後席側のシートクッションとの間に隙間ができてしまうといった問題が生じていた。
【0008】
また、ラップアンカをシート側面側に着脱可能に取り付けた場合であっても、特に車幅中央の乗員に対する考慮はなされておらず、結果的に車幅中央のシートベルト装置は二点式若しくはショルダアンカを用いた三点式とせざるを得ず、上述したキャンピングカー等のフラットシートによるベッド化とするには、上述した問題を解決することはできなかった。
【0009】
本発明の目的は、シートバックを倒してフラットシートにする際に、シートベルト装置を構成する部品によって隣接するシート間に隙間を発生させることなく、シート形状及び構造にのみ依存して隙間の発生を抑制することが可能であるシートベルト装置及び車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1発明のシートベルト装置は、車両用シートのシートバックの側方寄り上面に開口するタング挿入口と、前記タング挿入口の奥側に配置されて前記シートバックに固定された第1のバックルと、前記第1のバックルの略下方に位置するように前記車両用シートのシートクッションと前記シートバックとの間から出没可能に設けられた第2のバックルと、前記第2のバックルとは反対側の前記シートクッションの上面に出没可能に設けられた第3のバックルと、前記第1のバックルと着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビングの一端側が引き出される第1のタングと、前記第2のバックルと着脱可能に係合すると共に前記シートベルトウエビングの他端に保持された第2のタングと、前記第3のバックルと着脱可能に係合すると共に前記第1のタングと前記第2のタングとの間の前記シートベルトウエビングに移動可能に設けられた第3のタングと、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本願第1発明においては、車両用シートの車幅方向の位置に関わらず、三点式シートベルト装置として乗員を拘束することが可能であると共に、シートバックを倒してフラットシートとする際には、全てのタングを全てのバックルから離脱させることによって、全てのタング並びにバックルをシート上面から無くすことができ、シートベルト装置を構成する部品によって隣接するシート間に隙間を発生させることなく、シート形状及び構造にのみ依存して隙間の発生を防止することが可能である。
【0012】
第2発明のシートベルト装置は、請求項1に記載のシートベルト装置において、前記第3のバックルは、前記シートクッションと前記シートバックとの間又は隣接する前記シートクッションの間から出没可能とされていることを特徴とする。
【0013】
本願第2発明においては、車両用シートの位置等に関わらず、三点式シートベルト装置として乗員を拘束することが可能である。
【0014】
第3発明のシートベルト装置は、請求項1に記載のシートベルト装置において、前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、前記第2のバックルは前記タング挿入口の直下の前記シートクッションと前記シートバックとの間から出没可能とされていることを特徴とする。
【0015】
本願第3発明においては、第1のタングと第2のタングとの間のシートベルトウエビングの捩じれの発生を抑制することが可能である。
【0016】
第4発明のシートベルト装置は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のシートベルト装置において、前記第2のバックル及び前記第3のバックルは、前記シートクッションの下方のシートフレームに固定されていることを特徴とする。
【0017】
本願第4発明においては、車両用シートを車体前後方向にスライド変位させた際に、第2のバックル及び第3のバックルを追従させることができる。
【0018】
第5発明のシートベルト装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記シートバックの下端の下方付近に固定され、前記第1のタングには前記シートベルトリトラクタ装置から引き出された前記シートベルトウエビングの一端寄りを前記シートバックの前面側に導くベルトアンカ部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
本願第5発明においては、シートバックを傾けてフラットシートした際に、シートベルトリトラクタ装置が邪魔となることなく、しかも、全てのバックルから取り外した全てのアンカ並びにシートベルトウエビングを車両用シートの下方に纏めて収納することが可能である。
【0020】
第6発明のシートベルト装置は、請求項5に記載のシートベルト装置において、前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、前記シートベルトリトラクタ装置は前記タング挿入口の直下の前記シートバックの下端の下方付近のシートフレーム又は床面に固定されていることを特徴とする。
【0021】
本願第6発明によれば、シートベルトリトラクタ装置と第1のタングとの間のシートベルトウエビングの捩じれの発生を抑制することが可能である。
【0022】
第7発明のシートベルト装置は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記第1のタングに固定されていることを特徴とする。
【0023】
本願第7発明においては、シートベルトウエビングを最短距離で引き出すことができる。
【0024】
第8発明のシートベルト装置は、請求項7に記載のシートベルト装置において、前記シートベルトリトラクタ装置には、車体側から引き出された電源供給用のケーブルが接続されていることを特徴とする。
【0025】
本願第8発明によれば、シートベルトリトラクタ装置に電子的な制御機能を具備させることができる。
【0026】
第9発明の車両用シートは、請求項1乃至請求項8の何れかに記載のシートベルト装置を備えた車両用シートとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のシートベルト装置及び車両用シートによれば、シートバックを倒してフラットシートにする際に、シートベルト装置を構成する部品によって隣接するシート間に隙間を発生させることなく、シート形状及び構造にのみ依存して隙間の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時における車体全体の概略側面図である。
【図2】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートのフラット時における車体全体の概略側面図である。
【図3】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【図4】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの模式図である。
【図5】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シート全体の斜視図である。
【図6】本発明のシートベルト装置の第1実施形態に係る車両用シートのフラット時における車両用シート全体の斜視図である。
【図7】本発明のシートベルト装置の第1実施形態の変形例に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【図8】本発明のシートベルト装置の第1実施形態の他の変形例に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【図9】本発明のシートベルト装置の第2実施形態に係る車両用シートの平常時時における車両用シートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明のシートベルト装置の第1実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、車両前後方向とは車体前進時における車体前後方向、車幅方向とはその車体左右方向をいう。また、以下に示す実施形態は本発明のシートベルト装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0030】
図1及び図2において、10はキャンピング仕様の自動車(車両)の車体、12は車体10の車室内の床面である。また、車体10の車室内には、図示しないフロントシートの車体後方に2列目及び3列目としての車両用シート20が配置されている。なお、この車両用シート20は、2列目(以下、説明に応じて「前列」とする。)及び3列目(以下、説明に応じて「後列」とする。)のそれぞれにおいて車幅方向の車体左右と車幅方向中央とに3列(前後2列と左右3列)に配置されており、各車両用シート20に同一又は車体左右で対象のものが採用されている。したがって、以下の説明においては、任意の一つの車両用シート20に関して説明し、その他においては説明を省略する。
【0031】
車両用シート20は、シートクッション22と、シートクッション22の車体後側の縁部に隣接する下端付近を回動支点として車体前後に傾斜可能なシートバック24と、シートクッション22にシートバック24を接続するためのブラケット26と、シートクッション22を床面12に固定するためのシートフレーム28と、を備えている。なお、シートフレーム28は、例えば、前列の車両用シート20を車体前後方向にスライド変位可能とするためのシートスライド装置(図示せず)に固定することも可能である。
【0032】
シートクッション22は、シートフレーム28と一体のクッションフレーム22aを備えている。また、シートバック24は、ブラケット26と接続されたシートバックフレーム24aを備えている。これにより、シートクッション22とシートバック24とは、各フレーム22a,24aによって、そのクッション性と保形性とが確保されている。また、ブラケット26は、各フレーム22a,24aに跨って接続されていると共に、例えば、図示しないシートリクライニング装置の操作によってシートバック24の車体前方への傾斜と車体後方への傾斜とが許容されている。この際、シートバック24は、図2に示すように、シートクッション22とシートバック24とが面一なフラット状態となうように、車体後方への傾斜及び固定が可能となっている。なお、シートリクライニング装置の具体的な構成及びフラット状態への傾きや固定等の構成は公知の技術を採用することができるため、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0033】
シートフレーム28には、シートベルト装置30が配置されている。このシートベルト装置30は、図3及び図4に示すように、車両用シート20のシートバック24の側方寄り上面に開口するタング挿入口32と、タング挿入口32の奥側(下方)に配置されてシートバック24に固定された第1のバックル34と、第1のバックル34の略下方に位置するように車両用シート20のシートクッション22とシートバック24との間から出没可能に設けられた第2のバックル36と、第2のバックル36とは反対側のシートクッション22の上面に出没可能に設けられた第3のバックル38と、第1のバックル34と着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビング40の一端側が引き出される第1のタング42と、第2のバックル36と着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビング40の他端に保持された第2のタング44と、第3のバックル38と着脱可能に係合すると共に第1のタング42と第2のタング44との間のシートベルトウエビング40に移動可能に設けられた第3のタング46と、シートベルトウエビング40の一端を引き出し及び巻き取り可能とするシートベルトリトラクタ装置48と、を備えている。
【0034】
タング挿入口32は、本実施形態では、シートバック24の側方寄り上面に配置されており、その上面と略面一となるようにシートバック24に設けられた樹脂製の枠体50によって開口されている。
【0035】
第1のバックル34は、シートバックフレーム24aのシート上部側にブラケット52を介して固定されている。また、第1のバックル34には、公知のものが採用され、シートバック24の上方から第1のタング42が挿入可能となるように縦置きに配置されている。この際、第1のバックル34は、第1のタング42の係合状態を解除するためのボタン操作がタング挿入口32から可能となるタイプのものが用いられている。
【0036】
第2のバックル36は、タング挿入口32の直下のシートクッション22とシートバック24との間から出没可能となるように、シートクッション22の下方のシートフレーム28に固定されている。本実施形態では、シートベルトウエビング40と同一の素材からなる固定ベルト54の一端をシートフレーム28に固定し、固定ベルト54の他端に第2のバックル36を固定することで、第2のバックル36をシートクッション22とシートバック24との間から出没可能としている。
【0037】
第3のバックル38は、公知のシートベルト装置用のバックルが適用されている。この際、第3のバックル38は、シートクッション22とシートバック24との間から出没可能とされている。尚、車幅方向中央に配置された車両用シート20の場合、シートクッション22と隣接する車両用シート20のシートクッション22との間から出没可能としても良い。また、車体両側に配置された車両用シート20の場合、シートクッション22と車体内側面との間に配置しても良い。また、本実施形態においては、第2のバックル36と同様に、シートクッション22の下方のシートフレーム28に固定され、シートベルトウエビング40と同一の素材からなる固定ベルト56の一端をシートフレーム28に固定し、固定ベルト54の他端に第2のバックル36を固定することで、第3のバックル38をシートクッション22とシートバック24との間から出没可能としている。
【0038】
第1のタング42にはシートベルトリトラクタ装置48から引き出されたシートベルトウエビング40の一端寄りをシートバック24の前面側に導くベルトアンカ部42aが設けられている。
【0039】
シートベルトリトラクタ装置48はタング挿入口32の直下のシートバック24の下端の下方付近のシートフレーム28に固定されている。なお、シートベルトリトラクタ装置48の種類や機能等は特に限定されるものではない。また、車両用シート20をスライド変位可能としない場合などには、シートベルトリトラクタ装置48は車体ピラー(図示せず)や床面12に固定しても良い。この際、シートベルトリトラクタ装置48から引き出されたシートベルトウエビング40は、第3のバックル38に第3のタング46を係合させない状態で、その引き出し始端部から第2のバックル36に第2のタング44を交合させた状態のときに、直線状に引き出されるように配置するのが好ましい。これにより、シートベルトウエビング40の捩れを抑制すると共に、第2のタング44を第2のバックル36に係合させたままでもシートバック24を後方に倒して車両用シート20をフラット状態とした場合であっても、シートベルトウエビング40を邪魔にし難いものとする。
【0040】
上記の構成においては、図5に示すように、車体前後2列、車体左右3列の計6つの車両用シート20の使用状態から、全てのタング42,44,46を全てのバックル34,36,38から係合を解除してシートベルトリトラクタ装置48に巻き取らせて収納状態とし図6に示すように、シートバック24を車体後方に倒すことにより、車両用シート20の全体でフラットなベッド状態とすることができる。
【0041】
この際、前列側の車両用シート20のシートバック24と後列側の車両用シート20のシートクッション22との間には、隙間が発生しないベッド状態とすることができる。なお、シートバック24にヘッドレストが装着されている場合にはヘッドレストを取り外すといったように、車両用シート20の構成や形状等によって適宜の対応を行うことは勿論である。
【0042】
ところで、上述した第1のバックル34と第1のタング42並びに第2のバックル36と第2のタング44とは、公知のシートベルト装置に適用されているバックル・タングの構成を採用しても良いが、専用のバックル・タング等を別途採用することも可能である。
【0043】
図7は、このような専用のバックル・タング等を一部で採用した変形例を示す。なお、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
図7においては、第1のバックル64は車体後方から第1のタング62が挿入されるもので、第1のバックル64を車体前後方向に横向きのとすることで表面全体がシートバック24の上面に収納・露出させることができ、第1タング62の挿入・離脱操作並びに、第1のバックル64のタング離脱操作を容易に行えるようにしている。したがって、第1のタング62のベルトアンカ部62aをシートバック24の上方に配置する場合には、第1のタング62のバックル挿入部62bは係合状態で水平となるように屈曲するのが望ましい。これにより、ベルトアンカ部62aを用いて着脱操作することができる。
【0045】
図8は、上述した専用のバックル・タング等を一部で採用した他の変形例を示す。なお、上記第1実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
図8においては、第1のバックルとして環状の係合部74aを備えたアイボルト74をシートバックフレーム24aに固定している。これにより、第1のタング72においても、ベルトアンカ部72aを有すると共に、係合部74aに係合するラッチ部72bを備えている。
【0047】
図9は、本発明のシートベルト装置の第2実施形態を示す。なお、この第2実施形態においても、上記実施形態1と同一の構成には同一の符合を付してその説明を省略する。
【0048】
図9において、第1のタング82には、シートベルトウエビング40の一端側に引き出し及び巻き取りを可能とするシートベルトリトラクタ装置88が固定されている。これにより、シートベルトリトラクタ装置88に上記実施形態のベルトアンカ部82aの機能を具備することができる。また、シートベルトリトラクタ装置88には、車体側から引き出された電源供給用のケーブル86が接続され、電子的な制御を可能としている。例えば、モータの駆動力によってシートベルトウエビング40を巻き取り可能な電動リトラクタ装置を採用することができる。この電動リトラクタ装置のモータは、通常、マイクロコンピュータや特殊用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を有するECU(Electronic Control Unit)によって制御される。これにより、ECUが車両の衝突を図示を略する衝突センサ等が検知すると、シートベルトウエビング40の巻き取り用のモータを作動させて乗員の拘束効果を高める。また、ECUは、車載バッテリからの電源供給や衝突センサ等とハーネス及びコネクタによって接続され、その電源供給や電気信号の送受信を行うため、この電源等級や信号の送受信をケーブル86で行う。
【符号の説明】
【0049】
10…車体
12…床面
20…車両用シート
22…シートクッション
22a…クッションフレーム
24…シートバック
24a…シートバックフレーム
26…ブラケット
28…シートフレーム
30…シートベルト装置
32…タング挿入口
34…第1のバックル
36…第2のバックル
38…第3のバックル
40…シートベルトウエビング
42…第1のタング
42a…ベルトアンカ部
44…第2のタング
46…第3のタング
48…シートベルトリトラクタ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのシートバックの側方寄り上面に開口するタング挿入口と、
前記タング挿入口の奥側に配置されて前記シートバックに固定された第1のバックルと、
前記第1のバックルの略下方に位置するように前記車両用シートのシートクッションと前記シートバックとの間から出没可能に設けられた第2のバックルと、
前記第2のバックルとは反対側の前記シートクッションの上面に出没可能に設けられた第3のバックルと、
前記第1のバックルと着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビングの一端側が引き出される第1のタングと、
前記第2のバックルと着脱可能に係合すると共に前記シートベルトウエビングの他端に保持された第2のタングと、
前記第3のバックルと着脱可能に係合すると共に前記第1のタングと前記第2のタングとの間の前記シートベルトウエビングに移動可能に設けられた第3のタングと、
を備えていることを特徴とするシートベルト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシートベルト装置において、
前記第3のバックルは、前記シートクッションと前記シートバックとの間又は隣接する前記シートクッションの間から出没可能とされている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシートベルト装置において、
前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、前記第2のバックルは前記タング挿入口の直下の前記シートクッションと前記シートバックとの間から出没可能とされている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のシートベルト装置において、
前記第2のバックル及び前記第3のバックルは、前記シートクッションの下方のシートフレームに固定されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、
前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記シートバックの下端の下方付近に固定され、
前記第1のタングには前記シートベルトリトラクタ装置から引き出された前記シートベルトウエビングの一端寄りを前記シートバックの前面側に導くベルトアンカ部が設けられている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシートベルト装置において、
前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、
前記シートベルトリトラクタ装置は前記タング挿入口の直下の前記シートバックの下端の下方付近のシートフレーム又は床面に固定されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、
前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記第1のタングに固定されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項8】
請求項7に記載のシートベルト装置において、
前記シートベルトリトラクタ装置には、車体側から引き出された電源供給用のケーブルが接続されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のシートベルト装置を備えていることを特徴とする車両用シート。
【請求項1】
車両用シートのシートバックの側方寄り上面に開口するタング挿入口と、
前記タング挿入口の奥側に配置されて前記シートバックに固定された第1のバックルと、
前記第1のバックルの略下方に位置するように前記車両用シートのシートクッションと前記シートバックとの間から出没可能に設けられた第2のバックルと、
前記第2のバックルとは反対側の前記シートクッションの上面に出没可能に設けられた第3のバックルと、
前記第1のバックルと着脱可能に係合すると共にシートベルトウエビングの一端側が引き出される第1のタングと、
前記第2のバックルと着脱可能に係合すると共に前記シートベルトウエビングの他端に保持された第2のタングと、
前記第3のバックルと着脱可能に係合すると共に前記第1のタングと前記第2のタングとの間の前記シートベルトウエビングに移動可能に設けられた第3のタングと、
を備えていることを特徴とするシートベルト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシートベルト装置において、
前記第3のバックルは、前記シートクッションと前記シートバックとの間又は隣接する前記シートクッションの間から出没可能とされている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項3】
請求項1に記載のシートベルト装置において、
前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、前記第2のバックルは前記タング挿入口の直下の前記シートクッションと前記シートバックとの間から出没可能とされている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載のシートベルト装置において、
前記第2のバックル及び前記第3のバックルは、前記シートクッションの下方のシートフレームに固定されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、
前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記シートバックの下端の下方付近に固定され、
前記第1のタングには前記シートベルトリトラクタ装置から引き出された前記シートベルトウエビングの一端寄りを前記シートバックの前面側に導くベルトアンカ部が設けられている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシートベルト装置において、
前記タング挿入口は前記シートバックの側方寄り上面に配置され、
前記シートベルトリトラクタ装置は前記タング挿入口の直下の前記シートバックの下端の下方付近のシートフレーム又は床面に固定されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のシートベルト装置において、
前記シートベルトウエビングの一端側を巻き取るシートベルトリトラクタ装置が前記第1のタングに固定されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項8】
請求項7に記載のシートベルト装置において、
前記シートベルトリトラクタ装置には、車体側から引き出された電源供給用のケーブルが接続されている
ことを特徴とするシートベルト装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載のシートベルト装置を備えていることを特徴とする車両用シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2012−218659(P2012−218659A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88892(P2011−88892)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(511044124)タカタサービス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(511044124)タカタサービス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]