説明

シート上荷重検出装置

【課題】 シート上にの着座面に荷重が作用していない状態では荷重センサで初期荷重を検出しない構成とすると共に、シート上に作用する荷重を正確に検出する。
【解決手段】 着座面5を有するシート1と、シート1を床面に対して支持するレール部材7との間に、シート上に作用する上下方向の荷重を検出する荷重センサ9を設けたシート上荷重検出装置10において、荷重の大きさに応じて歪変形を行うセンサブロック8を備え、センサブロック8は中空形状を呈する。センサブロック8は中空となった薄肉部8Aと荷重入力部8Bと締結部8Cとを有し、締結部8Cには並設された締結孔8b,8cを介してレール部材7に幅方向から締結部材11,12により固定され、荷重入力部8Bには幅方向に突出し、シート1を支持すると共にシート上に作用する荷重を受ける荷重受部13を形成し、荷重受部13がセンサブロック横に設けられたプレート部材32の荷重規制孔32aにより所定以上の荷重が規制され、センサブロック8を保護する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート上に作用する荷重を荷重センサにより検出するシート上荷重検出装置に関するものであり、特に、シート上荷重検出装置の荷重検出を行う構造に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置では、床面に対してシートを固定するブラケットと、車両の前後方向にシート位置を移動させるレール部材(ロアレール)との間に、荷重センサとして歪ゲージが固定されたセンサブロックが設けられ、この荷重センサによって、シート上に作用する荷重がセンサブロックに歪を発生させ、センサブロックに発生した歪を荷重センサにより検出する構造が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に示される構造では、センサブロックは長方形状を呈し、荷重センサが設けられる中央は薄肉部となり、その薄肉部の下方に荷重センサが設けられている構成となっている。例えば、シートの前方にもうけられるセンサブロックの組み付け構成において、センサブロックはシート後方でレール部材(ロアレール)を床面に対して固定するブラケットの側面から枢支ピンが挿通され、この枢支ピンにより枢支され、レール部材に揺動自在な状態で支持されている。
【0004】
一方、センサブロックの前方はシートの上下方向においてブラケットの水平部に、2つの貫通孔が並設されており、それぞれの貫通孔に対して弾性体が嵌着されており、弾性体が嵌着された状態で2本の固定ピンが下方から上方に向けて挿通され、断面C字状のロアレールの底部に突出した状態で固定ピンの先端は上方よりロアレールに対してカシメられている。
【0005】
その結果、センサブロックの下方への移動は下方に配設された弾性体によって規制される。センサブロックの上面は固定ピンによって、ロアレール下面と当接した構成となるので、シート上にシート下方へに向かう荷重が作用すると、その荷重はロアレールへと伝達され、枢支ピンが挿通さえる側と反対側(センサブロックの前方)に荷重が伝わるものとなる。
【0006】
この場合、センサブロックは後方が枢支ピンによって枢支されているので、センサブロックはこの枢支ピンを中心として前方が荷重の大きさに応じて押し下げられてセンサブロックに歪が発生する。そして、センサブロックに発生した歪をセンサブロックの薄肉部に設けられた荷重センサにより検出することができる。
【特許文献1】特開2002−166768号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1に示される構成では、センサブロックをシートの幅方向(着座者がシートに着座するシートクッション上の着座面に対して左右方向)に挿通した枢支ピンにより枢支し、センサブロックの前方における下方への移動を弾性体より規制することで、下方に向かう所定以上の荷重がシート上に作用しても、センサブロックの所定以上の変形が下方に設けられた弾性体より防止されるので、センサブロックおよび荷重センサの保護を図ることはできる。
【0008】
しかしながら、荷重センサが設けられたセンサブロックの前方はシートの上下方向に挿通される固定ピンにてロアレールに対してカシメられる。センサブロックの組み付けに関しは、ブラケットの側面(幅方向)から挿通される枢支ピンの位置と、ブラケットに対して上下方向に挿通される2本の固定ピンの位置とが公差等により位置ずれした場合には、センサブロックに設けられる荷重センサは、荷重検出を行う際に所望な方向(例えば、シートに対して荷重を検知する方向は着座者がシート上に着座した場合に着座者の荷重が作用する上下方向が好ましい)が、それ以外の成分も検出してしまう。また。シート上(特に、着座面)に下方に向かう荷重が作用していない状態でも、センサブロックの組み付けにより発生する応力、センサブロック周辺の部品公差等から応力によって荷重センサが出力してしまう荷重(ここでは、初期荷重と定義する)が発生してしまい、シート上に作用する正確な荷重検出が行えなくなってしまう。
【0009】
また、特許文献1に示される構成では、センサブロックは1枚構造となっているので、荷重入力の方向が上下方向以外に作用すると、上下方向以外の変形が発生し、着座者の荷重検出に検出誤差が発生してしまう。
【0010】
よって、本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、シート上に荷重が作用していない状態で、上記した初期荷重を検出しない構成とすること、シート上に作用する荷重を正確に検出する構成とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決するために講じた手段は、着座面を有するシートと、該シートを床面に対して支持する支持部材との間に、前記シート上に作用する上下方向の荷重を検出する荷重検出手段を設けたシート上荷重検出装置において、
荷重の大きさに応じて歪変形を行うセンサブロックを備え、該センサブロックは中空形状を呈し、前記荷重検出手段は中空となった薄肉部と、一方に形成された荷重入力部と、前記薄肉部を挟んで他方に形成された締結部とを有しており、該締結部には並設された締結孔を介して前記支持部材に前記シートの幅方向から締結部材により固定され、前記荷重入力部には前記幅方向に突出し、前記シートを支持すると共に前記シートに作用する荷重を受ける荷重受部が形成されている構成としたことである。
【0012】
この場合、荷重入力部には荷重受孔が形成され、荷重受孔にピンが設けられていると良い。
【0013】
また、並設された締結孔および荷重受部は直線状に形成されていると良い。
【0014】
更に、センサブロックの側面には支持部材に固定されたプレート部材が設けられ、プレート部材には締結孔に対応した位置にプレート締結孔が形成されると共に、荷重受部に対応した位置にセンサブロックに作用する上下方向の荷重を規制する荷重規制孔が形成されていると良い。
【0015】
また、荷重規制孔は、センサブロックの荷重受部よりも大きく形成されていると良い。
【0016】
更に、薄肉部は、上下方向で対となった水平面を有すると良い。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、荷重の大きさに応じて歪変形を行うセンサブロックを備える。センサブロックは形状が中空形状となっており、荷重検出手段は中空となった薄肉部に設けられる。センサブロックは一方に荷重入力部、薄肉部を挟んで他方に形成された締結部とを有する。締結部には並設された締結孔を介して支持部材にシートの幅方向から締結部材により固定され、荷重入力部には幅方向に突出し、シートを支持すると共にシートに作用する荷重を荷重受部により受けることができる。上記構成により、荷重検出手段は中空となった薄肉部に設けられるので、上下対称構造にできることから、シートに対して上下方向以外の荷重がセンサブロックに作用した場合でも、センサブロックのねじれ方向の変形(ねじれ変形)を防止でき、荷重検出手段の感度ずれ、荷重の検出誤差を低減することができる。センサブロックは面方向から締結孔を介して支持部材に固定され、シートからの荷重は同じ面方向から下方に対して入力される構成となるので、センサブロックには荷重検出を行う上下方向とは異なる方向(例えば、ねじれ方向)の荷重が作用しないので、シート(特に、着座面)に荷重が作用していない状態での、センサブロックの組み付けによる応力、センサブロックを含むセンサブロック周辺の部品公差等によって荷重が発生してしまう初期荷重による影響を検出しない構成とすることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、荷重受部には荷重受孔が形成され、荷重受孔に設けられたピンによって、センサブロックの荷重入力部に作用する荷重の大きさを規制することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、並設された締結孔および荷重受部は直線状に形成されることにより、センサブロックに形成される締結孔および荷重受部の位置精度だけで、初期荷重を低減することができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、センサブロックの側面に支持部材に固定されたプレート部材が設けられ、プレート部材に形成された荷重規制孔にてセンサブロックに作用する上下方向の荷重を規制することができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、荷重規制孔は、センサブロックの荷重受部よりも大きく形成されることにより、センサブロックに荷重が作用した場合にセンサブロックの荷重受部が荷重規制孔によって規制することができ、所定以上の荷重に対してセンサブロックを保護することが可能となる。
【0022】
請求項6の発明によれば、薄肉部は上下方向で対となった水平面を有することにより、水平面上に荷重検出手段を貼り付けや接着等により設け易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、シート上荷重検出装置10を車両用シート(単に、シートと称す)1に適用した場合のシート1の斜視図である。また、図2は図1の発明要所の構成を示す分解斜視図、図3は着座面5の左側面図である。
【0025】
図1に示す様に、シート1は、着座者が着座する着座面5を有するシートクッション2と、シートクッション2の着座面5の後方において所定角度だけ着座面5に対して前後方向にリクライニング自在なシートバック3と、シートバック3の上方において着座者の頭部の保護を行う、高さ調整自在なヘッドレスト4とを備えている。
【0026】
シート1は床面20に対して、車両の前後方向に対して平行配置される左右で一対のレール部材7によって支持されており、レール部材7の前方と後方の端部には車両の床面20に対してブラケット6を介して、シート1が固定されている。
【0027】
着座面5の下方にはレール部材7が設けられており、レール部材7は床面20に固定される断面コ字の上方に開口した直線状のロアレール7Aと、シート1を床面20に対して支持し、ロアレール7Aに沿ってシート1の前後位置を調整自在なアッパーレール7Bとを備えている。
【0028】
シート1は更に荷重検出手段を備え、この荷重検出手段はシートクッション2の下方に設けられてシートクッションの骨格を形成するクッションフレーム31と、ロアレール7Aに対して立設したアッパーレール7Bとの間に、シート上(例えば、着座面5)に作用するシート1の上下方向(荷重入力方向となる)の荷重を検出することができる荷重センサ9を備えた後述するセンサブロック8およびその側面にプレート部材32が、着座面5に対して右前方、後前方、右後方、左後方の計4箇所に設けられている。尚、本実施形態においては、着座面5に対して荷重検出手段は4箇所にて、シート上に作用する荷重を検出する構成を一例として説明するが、荷重検出手段を設ける箇所あるいは個数はこれに限定されないものとする。また、本実施形態においては、荷重検出を行う前後左右の構成は着座面5に対して左右対称および前後対称となる構成を採用しており、構成の基本構造は同じであることから、その中の一つの構成を例に取って、以下に詳細な説明を行う。
【0029】
荷重検出手段の本体となるセンサブロック8は、図5に示す形状を呈する。即ち、センサブロック8は直方体形状を呈し、シート1の上下方向から荷重を受けた場合に変形による歪が発生する様、アルミの押し出しやステンレスまたは軽合金等の材質から切削加工により一体物より作られている。センサブロック8は、図5に示す中央側面(幅方向)が切削加工によって貫通した中空部8eが形成されており、中空部8eの上下に歪変形が発生する薄肉部8Aが、図6に示す如く、互いに並行な状態で形成されている。また、センサブロック8は一方(組み付け状態に前方あるいは後方で荷重が入力する側、例えば、図5では左側)が上視図でU字状の溝部8dが同じく切削加工により形成され、その側面には貫通した荷重受孔8aが形成されている。更に、センサブロック8には、荷重受孔8aと反対側(図5では右側)に2つの並設された締結孔8b、8cが形成されており、図6に示す様に、荷重受孔8aの中心Paと、締結孔8bの中心Pbおよび締結孔8cの中心Pcは、上下方向の中央且つ中空部8eを挟んで一直線上に形成され、荷重受孔8aに対して矢印(荷重入力方向)の如く、下方に荷重が作用する構成となっている。本実施形態においては、中空部8eでは幅方向に長方体形状の孔を貫通させた構成としたが、中空部8eの形状はこれに限定されるものではなく、例えば、薄肉部8Aの変形を更に容易とするため、図7の如く、薄肉部8Aの一部の肉厚を強弱を付けて変化させることにより、荷重センサ9の荷重検出の感度を向上させるため、H字形状の貫通孔8fとすることもできる。
【0030】
センサブロック8は、図5および図6に示す様に、上面と下面が互いに平行となった水平面8Dを有しており、上面(下面でも良い)の水平面8Dに、荷重センサ9が接着剤等によりセンサブロック8の中心線上に貼り付けられ、強固に固定されている。センサブロック8に設けられる荷重センサ9は、シート(例えば、シートクッション2)上に作用する荷重をリニアに検出するものを用いるが、これに限定されるものではないが、一例としてブリッジ回路が形成された公知の歪ゲージを使用している。また、これ以外に、圧膜ゲージ、半導体ゲージ等を使用することも可能である。
【0031】
一方、プレート部材32はセンサブロック8の荷重入力部8Bに所定以上の大きさの荷重が作用した場合にセンサブロック8の変形を抑えるために設けらたものであり、鉄板等の剛性を有する金属(鉄等)のプレス成形されたものである。プレート部材32は、このプレート締結孔32e,32fによってプレート部材32はアッパーレール7Bに固定される。プレート部材32は、図2に示す様にセンサブロック8の外側面に立設して設けられセンサブロック8に入力される荷重によって、変形量を規制するものであり、プレート部材32は、図4(着座面5に着座者が着座した状態で右前方を示す)の(a)に示す形状を呈する。尚、図4では、荷重の大きさに伴うセンサブロック8の歪変形する状態を示すが、実際この歪変形はわずかな量であるため、ここでは動作理解を容易とするために、センサブロック8の変形を誇張して表現するものとした。
【0032】
プレート部材32は、上方においてセンサブロック8の締結孔8b,8cに相当する位置にプレート締結孔32c、32dが形成されていると共に、その反対側には荷重受孔8aに相当する位置に荷重受孔8aよりも大きな四角形状の荷重規制孔32aが形成されている。一方、プレート部材32の下方にはプレート締結孔32e、32fが左右両側に形成されている。このプレート締結孔32e,32fの中心を結んだ直線と、プレート部材32の上方に形成されたプレート締結孔32c,32dの中心を結んだ直線とは互いに平行となり、1回のプレス成形によりこれらの孔が形成されている。
【0033】
尚、この様なプレート部材32は、図8に示す如く、アッパーレール7Bに固定するプレート締結孔の形状を組み付け公差が吸収できる長孔としたり、プレート締結孔32c,32dおよび荷重規制孔32aの位置を左右で変えたりすることもできる。
【0034】
次に、上記した荷重検出手段の組み付けについて、図2を参照して説明する。
【0035】
シート1を支持するアッパーレール7Bに対して、プレート締結孔32e,32fの位置が調整されると、前後2本の締結部材(例えば、ボルト等)14,15が、横(シート1の幅方向)からアッパーレール7Bの縦壁、プレート締結孔32e,32fおよびセンサブロック8の締結孔8b,8cに対して挿通され、ナット18,19により固定される。
【0036】
荷重センサ9がセンサブロック8に固定され、荷重センサ9を備えたセンサブロック8は、プレート部材32の上方のプレート締結孔32c、32dにおいて荷重センサ9が荷重検出を行わない幅方向から締結部材(ボルトおよびナット)11,12,18,19により固定される。この組み付けにより、センサブロック8はプレート部材32を介してレール部材7のアッパーレール7Bに対して支持される。
【0037】
この様な状態で、センサブロック8のU字状となった溝部8dの中に、クッションフレーム31のセンサブロック8の荷重受孔8aと同じ孔径を有する支持孔33を有する支持部34の下端を挿入する。そして、支持孔33と荷重受孔8aとを一致させた状態で、シート外側の側面よりシート内側に向けて、荷重受部として機能する段付きのピン13をセンサブロック8の溝部8dに形成された荷重規制孔32bおよび支持孔33に対して挿通する。そして、センサブロック8の内側から締結部材(ナット)17により固定することにより、シート1をアッパーレール7Bに対して支持する(図9を参照)。この場合、支持孔33と荷重受孔8aとの間には低摩擦軸受を介在させると良い。組み付け状態において、センサブロック8に荷重が作用する荷重入力方向に対し、荷重センサ8の配置は垂直となる構成となっている。
【0038】
次に、荷重検出を行う動作について説明する。
【0039】
シート1に荷重が上方より作用すると、その荷重はシートクッション2に伝達され、シートクッション下のクッションフレーム31に作用する。クッションフレーム31は支持孔33にて段付きのピン13を介して、センサブロック8の荷重受部8Bに荷重が入力される。センサブロック8はその他端がプレート部材32に対して締結され、プレート部材32の下方がアッパーレール7Bに支持されている。このため、荷重入力部8Bがピン13から下方へと向かう荷重を受けると、図4の(a)に示す状態(ピン13が荷重規制孔32aに当接せず、シート上に荷重が作用していない状態)から、荷重入力部8Bが図4の(b)に示す如く、荷重量に応じた変形を行うものとなる。この場合、ピン13の位置は荷重規制孔32bに対して(a)の状態より下降する。また、この場合においては、中空部8eの上下に形成される薄肉部8Aは、様々な方向から荷重入力部8Bに荷重入力があった場合でも、上下方向以外のねじれ変形を引き起こすことなく、互いに上下で並行な歪変形となる。
【0040】
更に、図4の(b)に示す状態から大きな下方に向かう荷重がセンサブロック8に作用すると、段付きのピン13は荷重規制孔32aより幅方向に突出していることから、ピン13の位置が(b)に示す状態よりも下方へと下がり、荷重規制孔32aより突出するピン13の外周面が、(c)に示す如く、荷重規制孔32bの下面32bに当接するものとなる。それ故に、この状態では、センサブロック8に上方からの過大な荷重がセンサブロック8に作用した場合に、センサブロック8の歪変形を確実に荷重規制孔32aの下面32bによって、抑えることができる。その結果、荷重センサ9を備えたセンサブロック8を確実に過大な荷重より確実に保護することができる。
【0041】
センサブロック8の変形は、荷重センサ9よりセンサブロック8の歪として検出され、荷重センサ9の出力する信号は荷重量に応じた信号となるので、それぞれの荷重センサ9(例えば、前後左右の4つの荷重センサ)によって検出した荷重信号の総和を図示しないコントローラに取り込み、その荷重量の大きさにより荷重判別(例えば、子供着座、大人着座等)を行うことができる。これによって、シート上にどれだけの荷重が作用しているのかを、図示しないコントローラにより検出することができる。
【0042】
本実施形態によれば、センサブロック8の薄肉部8Aを上下で二重構造とすることにより、荷重が入力される方向が荷重センサ9の検知方向に対して垂直でなくても、センサブロック8の変形はねじれを発生させることなく、図4に示す如く上下対称な変形を行うので、荷重センサ9の荷重検出に不必要な信号成分を防止することができ、感度ずれを低減することができる。センサブロック8は一部材で切削または成形により作ることが可能である。このことから、複数の板材を重ね合わせる必要はなく、複数の板材を重ね合わせたときに発生する境界歪を防止することができる。
【0043】
センサブロック8は荷重センサ9を設ける部位は薄くし、締結部8Cは板厚を厚くすることができるので、締結孔8b,8cを荷重センサ9の荷重検出方向(例えば、上下方向)に対して垂直方向(幅方向)にもってくる構成とすることによって、締結による歪の影響(例えば、締結による締め付けの影響により、荷重センサ9で荷重信号が検出されること)を最小限に抑えることができる。
【0044】
センサブロック8をプレート部材32と共に締結することにより、上方から下方に過大な荷重が作用した場合に、センサブロック8および荷重センサ9を確実に荷重規制孔32aによって保護することができるので、荷重検出の信頼性が向上する。また、プレート部材32は一枚板とすることによって、限界荷重値の設定誤差を低減することができる。
【0045】
センサブロック8とプレート部材32に形成する孔精度により初期荷重を抑えることができ、センサブロック8は切削により、または、プレート部材32は打ち抜きによるプレス加工により作ることができるため、簡単な構成により安価に精度の確保が行える。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態におけるシート上荷重検出装置を車両用シートに適用した場合の構成図である。
【図2】図1に示す発明要所の組み付け図である。
【図3】図1に示す車両用シートの側面図である。
【図4】シート上荷重検出装置の説明図であり、(a)はシートに上下方向の荷重が作用していない状態、(b)はシートに上下方向の荷重が作用して変形が開始した状態、(c)は更に荷重が作用した状態を示す。
【図5】図1に示すセンサブロックの形状を示す斜視図である。
【図6】図5に示すセンサブロックの側面図である。
【図7】図6に示すセンサブロックの変形例である。
【図8】図2に示すセンサブロックにリミッタの付いたサイドプレートを装着した場合の発明要所の側面図である。
【図9】図1に示す組み付け状態においてセンサブロックの上方より見た発明要所の構成を示す上視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 シート
5 着座面
6 ブラケット(固定部材)
7 レール部材(支持部材)
7A ロアレール(支持部材)
7B アッパーレール(支持部材)
8 センサブロック(荷重検出手段)
8A 薄肉部
8B 荷重入力部
8C 締結部
8D 水平面
8a 荷重受孔(荷重受部)
8b,8c 締結孔
9 荷重センサ(荷重検出手段)
13 ピン(荷重受部)
20 床面
32 プレート部材
32a 荷重規制孔
32c,32d プレート締結孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座面を有するシートと、該シートを床面に対して支持する支持部材との間に、前記シート上に作用する上下方向の荷重を検出する荷重検出手段を設けたシート上荷重検出装置において、
荷重の大きさに応じて歪変形を行うセンサブロックを備え、該センサブロックは中空形状を呈し、前記荷重検出手段は中空となった薄肉部と、一方に形成された荷重入力部と、前記薄肉部を挟んで他方に形成された締結部とを有しており、該締結部には並設された締結孔を介して前記支持部材に前記シートの幅方向から締結部材により固定され、前記荷重入力部には前記幅方向に突出し、前記シートを支持すると共に前記シートに作用する荷重を受ける荷重受部が形成されていることを特徴とするシート上荷重検出装置。
【請求項2】
前記荷重入力部には荷重受孔が形成され、該荷重受孔にピンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート上荷重検出装置。
【請求項3】
並設された締結孔および前記荷重受部は直線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート上荷重検出装置。
【請求項4】
前記センサブロックの側面には前記支持部材に固定されたプレート部材が設けられ、該プレート部材には前記締結孔に対応した位置にプレート締結孔が形成されると共に、前記荷重受部に対応した位置に前記センサブロックに作用する上下方向の荷重を規制する荷重規制孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート上荷重検出装置。
【請求項5】
前記荷重規制孔は、前記センサブロックの荷重受部よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項4に記載のシート上荷重検出装置。
【請求項6】
前記薄肉部は、上下方向で対となった水平面を有することを特徴とする請求項1に記載のシート上荷重検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−10561(P2006−10561A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189657(P2004−189657)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】