シート処理装置及び画像形成装置
【課題】 接続される画像形成装置のスループットを低下させることなく、小型でかつ安価なシート処理装置を提供する。
【解決手段】 後処理を行うためにシートを積載する積載トレイと、互いに離接可能な排出ローラ対と、最小シートサイズの長さよりも短い第１パスと、シート搬送方向上流側で該第１パスと合流する第２パスと、第１パスまたは第２パスに選択的に導くパス切替手段とを備え、積載トレイ上でシートに処理を行っている間、搬送されてきた１枚目のシートをパス切替手段によって第１パスに導き、シートの先端が排出ローラ対から突出した状態で排出ローラ対を離間させて第１パス内に保持し、パス切替手段を切替え、搬送されてきた２枚目のシートを第２パスに導き、シートの先端が排出ローラ対から所定量突出した後に排出ローラ対を当接させ、排出ローラ対によって積載トレイに１枚目および２枚目のシートを２枚重ねた状態で排出することを特徴とする。
【解決手段】 後処理を行うためにシートを積載する積載トレイと、互いに離接可能な排出ローラ対と、最小シートサイズの長さよりも短い第１パスと、シート搬送方向上流側で該第１パスと合流する第２パスと、第１パスまたは第２パスに選択的に導くパス切替手段とを備え、積載トレイ上でシートに処理を行っている間、搬送されてきた１枚目のシートをパス切替手段によって第１パスに導き、シートの先端が排出ローラ対から突出した状態で排出ローラ対を離間させて第１パス内に保持し、パス切替手段を切替え、搬送されてきた２枚目のシートを第２パスに導き、シートの先端が排出ローラ対から所定量突出した後に排出ローラ対を当接させ、排出ローラ対によって積載トレイに１枚目および２枚目のシートを２枚重ねた状態で排出することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は画像形成装置に接続され、画像形成装置から排出されるシートを集積して整合、後処理を行うシート処理装置及び画像形成装置に関するものであり、特に複数枚のシートを一時的に載置、整合する積載トレイを備えたものに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来は、シート処理装置は画像形成装置に接続されて画像形成装置から排出されたシートを積載トレイ上に搬送し、整合、綴じ処理を行い、更に綴じ処理を施したシート束を積載トレイに移動していた。このとき、シート束に対して後処理を行っている間は次のシート束を積載トレイに送り込むことができないため、スループットの低下が発生する。そこで従来からもスループットの低下を解決するために、シート積載トレイにシートを排出する前に、シート積載トレイにシートを排出するローラのニップ部の手前で２枚のシートを一時的に重ね合わせて載置してから、２枚を重ねた状態で積載トレイに排出することにより、後処理に要する時間を稼ぎ出し、スループットの低下を防いでいるものが知られている。
【０００３】
【特許文献１】特開平０９−２３５０６９号公報
【特許文献２】特開平１−１２７５５６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、特許文献１（特開平０９−２３５０６９）に示されるように、上方から下方に向かって搬送されたシートを積載トレイにシートを排出するローラに突き当てることで２枚のシートの先端揃えをしつつ重ね合わせてしてから、積載トレイにシートを排出する構成においては、自重によりシートの先端をシート先端ストッパとしての排出ローラに突き当てるため、排出ローラまでの搬送パス内にシートを一時載置するための広いスペースが必要になる（後処理可能な最大シートサイズよりも長い搬送パスが必要になる）ことにより装置が大型化し、コストも高くなってしまっていた。
【０００５】
また、特許文献２（特開平１−１２７５５６）のように、第１シート搬送ローラを停止させることで１枚目のシートを積載トレイ排出用ローラの手前で停止させ、２枚目のシートの先端が第２シート搬送ローラにより排出ローラ対の手前に到達した際に、前記第１シート搬送ローラを駆動させることにより、２枚同時に搬送を行い、２枚が重なった状態で積載トレイにシートを排出する構成においても、１枚目のシートを搬送パス内に完全に収容するためのスペースが必要となることで、装置が大型化し、コストも高くなってしまっていた。
【０００６】
また、特許文献１、特許文献２のような構成をとると、２枚のシートを重ね合わせる際に２枚目をいったん停止させることにより、３枚目の用紙との紙間（３枚目のシートが積載トレイ上に積載されるまでの時間）が短くなってしまうことで、整合処理の時間が稼げない可能性があった。
【０００７】
そこで本発明は、接続される画像形成装置のスループットを低下させることなく、小型でかつ安価なシート処理装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記課題を解決するために、本発明に係るシート処理装置の代表的な構成は、シートに対して処理を行うシート処理装置において、後処理を行うためにシートを積載する積載トレイと、前記積載トレイ上にシートを排出し、互いに離接可能な排出ローラ対と、前記排出ローラ対にシートを搬送し、搬送可能な最小シートサイズのシート搬送方向の長さよりも短い第１パスと、前記第１パスから分岐し、前記排出ローラ対のシート搬送方向上流側で該第１パスと合流する第２パスと、前記分岐点に配置され、シートを前記第１パスまたは第２パスに選択的に導くパス切替手段と、を備え、前記積載トレイ上でシートに処理を行っている間、搬送されてきた１枚目のシートを前記パス切替手段によって前記第１パスに導き、前記１枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から突出した状態で前記排出ローラ対を離間させて前記１枚目のシートを第１パス内に保持し、前記パス切替手段を切替え、搬送されてきた２枚目のシートを前記第２パスに導き、前記２枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から所定量突出した後に前記排出ローラ対を当接させ、前記排出ローラ対によって前記積載トレイに前記１枚目および前記２枚目のシートを２枚重ねた状態で排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、排出ローラ対を離間させることでシート先端を排出ローラ対から突出した状態でシートを載置することができるので、シートを一時的に載置できるスペースを、排出ローラ対の手前の搬送パスだけではなく、積載トレイ上をも一時的な載置スペースとして使用可能とすることができる。これにより、従来のように排出ローラ対前の搬送パスにシートを一時仮置きするための大きなスペースを必要とすること、すなわち装置を大型化することなく、スループットの低下を妨げることができる。また、一時的な載置の際に先端の突き当てを行わないので、先端を突き当てることによるシートへのダメージを防ぐことができる。また、先端を突き当てることで発生するシートの座屈によるＪＡＭも防止できるので、信頼性の高い製品を提供することができる。また、２枚の用紙を重ね合わせる際、２枚目の用紙を停止させることがないので、２枚目の用紙と３枚目の用紙の紙間を詰めてしまうことが無いので、整合処理時間を十分に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
［第一実施例］
図１は本実施例に係るシート処理装置を備えた画像処理装置の概略断面図である。図に示す全体としての画像処理装置は、画像形成装置100の上方に画像読取装置300が配置され、画像形成装置100と画像読取装置300の間に形成された空間に画像形成されたシートが排出される機内排出型の構成であり、この空間にシート処理装置200が装着可能となっている。画像形成装置100は、接続されたコンピュータから直接、或いはＬＡＮ、ＦＡＸ等のネットワークを介して送られてきた画像情報やプリント信号等、或いは画像読取装置300にて読み取った画像情報に基づいて、所定の画像プロセスによってシートに画像形成し、排出する。
【００１１】
まず、図１を用いて画像形成装置100の構成について、搬送されるシートＳの経路に沿って説明を行う。画像形成装置100では上段給送カセット101、下段給送カセット102内にシートＳが複数枚積載され、いずれかのカセットから、各種ローラによってこのうち最上紙のシートが順次１枚ずつ分離給送されるようになっている。そしてコンピュータやネットワーク、画像読取装置300から供給された所定のプリント信号により、上段給送カセット101もしくは下段給送カセット102から給送されたシートＳは、画像形成装置100内において、レーザービーム方式の画像形成プロセスによりトナー画像を形成する画像形成部103でシートＳ上面にトナー画像が転写され、続いて下流側の定着器104で熱及び圧力を加えられることにより、トナー画像が永久定着される。
【００１２】
また、シート処理装置200の各種動作を司る制御手段110は、画像形成装置100の動作を司る画像形成装置制御手段が兼ねているか、もしくはシート処理装置200内に単独で配置されている。
【００１３】
画像面が上側の状態で定着されたシートＳは、図１に示すように、排出ローラ105に至るまでの略Ｕ字状のシート搬送路で搬送されることにより画像面が反転し、画像面が下側になった状態で排出ローラ105によって画像形成装置100から機外にフェイスダウン排出される。ここで、当該シートＳは画像形成装置の制御手段からの制御信号に基づいて排出口切替フラッパ106の位置が決定されることにより、画像形成装置100の上部に設けられたフェイスダウン排出部107にそのまま排出されるか、シート処理装置200を経由して排出されるかが選択される。
【００１４】
次に、図１を用いてシート処理装置200の構成及び、排出口切替フラッパ106により搬送路が切り替えられ、受け渡しローラ108により搬送されたシートＳがシート処理装置200に向かう場合の各部の動きについて説明する。
【００１５】
図１に示すように、シート処理装置200は、後処理を行うためにシートを載置する積載トレイ203と、積載トレイ203上にシートを排出し、ニップを離接可能な排出ローラ対202と、積載トレイ203にシートを搬送し、後処理可能な最小シートサイズよりも短い第１パス209と、第１パス209から分岐し、排出ローラ対202の上流側で第１パス209と合流する第２パス210と、シートを第１パス209または第２パス210に選択的に導くパス切替手段の例としての切替フラッパ212と、分岐点よりも上流側に配置された第１パスローラの例としての第１パスローラ201と、第２パス210に配置され第１パスローラ201に連動する第２パスローラ211を備えている。第２パス210は第１パス209の外側、すなわち第１パス209の搬送面に対し、積載トレイ203に積載される側と反対側に配置されている。
【００１６】
積載トレイ203には、積載されたシートをシート搬送方向に整合する戻しローラ204、戻しローラ204で戻されたシート後端を突き当てるための基準壁205、シート搬送方向と直交する方向にシートを整合する横整合板206、整合されたシート束に対して綴じ処理を行うステイプラＨ、後処理後のシート束を機外の排出トレイ208に排出する排出ローラ207が備えられている。
【００１７】
上記構成により、シートＳは排出口切替フラッパ106で搬送路をシート処理装置200側に切り替えられ、受け渡しローラ108によりシート処理装置200内に導入され、排出ローラ対202により積載トレイ203上に排出されたのち、戻しローラ204、横整合板206により整合処理された後、ステイプラＨにより綴じ処理を施され、排出ローラ207により機外に排出される構成となっている。
【００１８】
次に図２及び図３を用いて、ネットワークを介してホストコンピュータ等から送られてきた複数のジョブを実行すべく連続してステイプル処理する際の、シート処理装置200の動作における先行ジョブの最終シートが積載トレイ203に積載されてから、次ジョブがステイプル処理されて排出されるまでの動作を詳細に説明する。図２はシート処理装置の動作を説明する図、図３はシート処理装置を上面から見た図である。
【００１９】
図２（ａ）は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌが積載トレイに積載された時の様子を示したものである。このとき、次ジョブの１枚目のシートＳ２１は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌに対して通常のシート間隔でシート処理装置200内に搬送されてくる。最終シートＳ１Ｌが積載トレイ203上に排出されると、離間していた戻しローラ204が最終シートＳ１Ｌに圧接して基準壁205方向に最終シートＳ１Ｌを搬送することでシート搬送方向の整合を行い（図２（ｂ））、整合終了後再び離間を行う（図２（ｃ））。
【００２０】
この間、シートＳ２１は停止することなく第１パス209を搬送され、シート先端が排出ローラ対202を抜け出る。（図２（ｄ））ここで、横整合板206はシートＳ２１の先端が排出ローラ対202に到達する前に最終シートＳ１Ｌのシート搬送方向と直交方向の整合を始め（図３（ａ））、シートＳ２１の先端が排出ローラ対202を抜けるまでに、ステイプラＨ側にシート搬送方向と直交方向の移動が終了している（図３（ｂ））。なお、この際シートＳ２１は横整合板206の上端面に接しながら搬送される。
【００２１】
次に、シートＳ２１の先端が排出ローラ対202を抜けると、排出ローラ対202が離間する。更にシートＳ２１のシート後端が第１パスローラ201を抜けると、切替フラッパ212は切り替えられ、シートＳ２１は先端を積載トレイ203の上方空間に突出した状態で、第１パス209内に切替フラッパ212によりシート後端を保持される。同時に、次ジョブの２枚目のシートＳ２２が第２パス210に導入できる状態になる（図２（ｄ））。また、シートＳ２１の後端が第１パスローラ201を抜ける前に先行ジョブシート束Ｓ１のシート搬送方向と直交する方向の整合及び、ステイプラＨによる綴じ処理は終了している。なお、本実施例においては、切替フラッパ212によりシートＳ２１のシート後端を保持する構成について説明しているが、第１パスローラ201の下流側に、第１パスローラ201を抜けた後のシートＳ２１のシート後端を保持するシート後端ストッパを設けても良い。このように、シート後端側を保持する構成を採用することで、処理トレイ排出ローラ対202が離間してシート先端側を第１パス209から突出した状態で保持することが可能になるので第１パス209をシート長さよりも短くすることができ、装置の小型化に寄与する。
【００２２】
続いて１枚目のシートＳ２１が切替フラッパ212により保持されている状態で、２枚目のシートＳ２２が第２パス210に搬送される。このとき、排出ローラ207が先行ジョブシート束Ｓ１をニップして搬送することでシート束Ｓ１を排出し（図２（ｅ））、シート束Ｓ１の排出が完了すると排出ローラ207は再び離間を行う（図２（ｆ））。第１パス209と第２パス210はガイド板を仕切りとして各々独立したパスとして配置されているため、第１パス209内に保持された１枚目のシートＳ２１に２枚目のシートＳ２２が直接摺擦して押出してしまうようなことはない。ただし、第１パス209と第２パス210は排出ローラ対202の手前で合流することにより、シートＳ２２の先端がシートＳ２１を摺擦して押し出してしまう可能性があるが、本実施例では、第１パス209を大きく湾曲させることにより、シートＳ２１にコシをつけ、第１パス209内の摩擦抵抗を増大させて押し出しを防ぐ構成となっている。第１パス209での内のシートＳ２１の保持を第１パス209の湾曲構成のみで実現することも可能であるが、切替フラッパ212によるシート保持と併用するのが好ましい。また、切替フラッパ212のシートとの当接箇所に摩擦部材を貼付、あるいは凹凸のような高摩擦部を形成することでさらに確実な保持が可能となる。切替フラッパ212を弾性部材で構成し、シートＳ２１の後端を押さえつけるようにしても良い。
【００２３】
シートＳ２２はシート後端が第１パスローラ201を抜けた後も、シートＳ２１と先端が揃うか、もしくはシートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端より先行するまで第２パスローラ211により所定量搬送する。そして、シートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端と揃うか、シートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端より先行したタイミングで排出ローラ対202は圧接され（図２（ｇ））、２枚のシートＳ２１、Ｓ２２を、Ｓ２１とＳ２２の先端が揃った状態、もしくはシートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端より先行している状態で重ね合わせて積載トレイ203に排出を行う（図２（ｈ））。
【００２４】
次に、シートＳ２２がシートＳ２１の上に重なった状態で積載トレイ203に排出された後、戻しローラ204により、基準壁205にシート後端を突き当ててシート搬送方向の整合を行う際、戻しローラ204はシートＳ２２の上面にのみ作用することになる。そして、戻しローラ204は上側のシートＳ２２の後端が基準壁205に突き当たるまで戻し動作を行うが、シートＳ２２とシートＳ２１の間の摩擦作用により、シートＳ２２とシートＳ２１は一緒に戻される。この際、シートＳ２２の先端が先行した状態で積載されていれば、まずシートＳ２１の後端が基準壁205に突き当たり、次にシートＳ２２の後端が基準壁205に突き当たって整合が完了するが、逆に１枚目のシートＳ２１の先端が先行した状態で積載されている場合は、シートＳ２２の後端が基準壁205に突き当たった時点で整合が完了してしまう。これが２枚目のシートＳ２２の先端を１枚目のシートＳ２１の先端より先行させる理由である。
【００２５】
なお、第２パス210が第１パス209の外側、すなわち第１パス209の搬送面に対し、積載トレイ203に積載される側と反対側に配置されていることにより、シートＳ２１がシートＳ２２よりも積載トレイ203側にある。画像面を積載トレイ203側にしてシートＳ２１の上にシートＳ２２が重なった状態でフェイスダウン排出されるので、頁順に積載されることになる。ここでシートＳ２２は、積載トレイ203に排出されるまで停止することがない。また、横整合板206はシートＳ２１、Ｓ２２が積載トレイ203上に排出される前に、シート受け取り位置（通紙範囲外）に退避完了している。
【００２６】
その後、３枚目のシートＳ２３が入ってくるまでに、戻しローラ204によりシート搬送方向の整合が、横整合板206によりシート搬送方向と直交方向の整合が行われる（図２（ｉ））。なお３枚目のシートＳ２３以降は第１パス209内で停止することなく、第１パス209をそのまま通って連続的に積載トレイ203上に排出、整合され、最終的にステイプル処理を施されてから排出される。シートＳ２３以降も画像面を積載トレイ203側にして既に積載されているシートの上に順次フェイスダウン排出されるので、頁順が狂うことはない。
【００２７】
［第二実施例］
本発明に係るシート処理装置の第二実施例について説明する。図４は第二実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図、図５はシート処理装置の動作を説明する図であって、上記第一実施例と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【００２８】
本実施例が第一実施例と異なるところは、第１パスローラ201から排出ローラ対202までの搬送パスの形状である。
【００２９】
図４に示すように、本実施例に係るシート処理装置400は画像形成装置100の上部かつ側方に設けられており、後処理を施したシート束を機外に排出するよう構成されている。第１パス401は略直線的な形状であって、第２パス402は第１パス401に併設されて湾曲している。本実施例において、画像形成装置100で画像形成されたシートはフェイスアップ状態で搬送されるが、排出されるシートの頁順を揃えるため、画像形成の制御により最終頁から先頭頁まで逆順で画像形成するか、または画像形成装置100の上部のフェイスダウン排出部を用いてスイッチバックさせ、不図示の反転パスで第１パス401と第２パス402にフェイスダウン状態で搬送するようにしても良い。また第１パス401の、第１パス401と第２パス402を切り替える切替フラッパ403と対向する位置には、摩擦部材404を設けている。
【００３０】
続いて、図５を用いて本実施例におけるシート処理装置400の連続ジョブのステイプル動作について説明する。
【００３１】
本実施例においても第一実施例と同様に、先行ジョブの最終シートＳ１Ｌが排出された後、整合及び、綴じ処理が行われ、その最中に次ジョブの１枚目のシートＳ２１が搬送され（図５（ａ））、次に２枚目のシートＳ２２が搬送される。このとき切替フラッパ403と摩擦部材404により１枚目のシートＳ２１の後端が挟持されて保持される（図５（ｂ））。本実施例においては第１パス401側に摩擦部材404を設けたが、第１パス401と切替フラッパ403の少なくとも一方に摩擦部材404を設けるようにすれば良い。また、切替フラッパ403を弾性部材で構成することでさらに大きな効果を得ることができる。
【００３２】
以上のような構成をとることにより、第一実施例のようにシート処理装置が大きく湾曲したパスを持たなくとも、２枚目のシートＳ２２の先端が１枚目のシートＳ２１を摺擦して押し出してしまうおそれがない。従って、第一実施例と同様な効果が得られるだけではなく、湾曲したパスにこだわらず自由な形状のパスにより装置を構成できるようになるので、更なる小型化や各種画像形成装置への接続などが可能になり、装置の拡張性を広げることができる。
【００３３】
［第三実施例］
本発明に係るシート処理装置の第三実施例について説明する。図６は第三実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図、図７はシート処理装置の動作を説明する図であって、上記第一実施例と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【００３４】
本実施例が第一実施例と異なるところは、シート搬送方向と直交する方向の整合手段である。
【００３５】
図６に示すシート処理装置500においては、排出ローラ対202の下方かつシート搬送方向上流側に、シート搬送方向と直交する方向にシートを整合する横整合ローラ501を設けている。また本実施例においては、横整合ローラ501はシート搬送方向と直交する方向にシートを移動させるが、横整合ローラ501が基準壁205に対して角度を有し、シートを基準壁205に突き当てながら移動させてシート搬送方向においても整合する構成であっても良い。
【００３６】
続いて、図７を用いて本実施例におけるシート処理装置500の連続ジョブのステイプル動作について説明する。
【００３７】
図７（ａ）は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌが積載トレイに積載された時の様子を示したものである。このとき、次ジョブの１枚目のシートＳ２１は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌに対して通常のシート間隔でシート処理装置500内に搬送されてくる。最終シートＳ１Ｌが積載トレイ203上に排出されると、離間していた戻しローラ204が最終シートＳ１Ｌに圧接して、排出ローラ対202よりシート搬送方向下流側にある基準壁205方向にシートを搬送し、シート搬送方向の整合を行い（図７（ｂ））、再び離間を行う（図７（ｃ））。なお、これらの動作の際、横整合ローラ501はシート束の上面から離間している状態にある。
【００３８】
この間、シートＳ２１は停止することなく第１パス209を搬送され、シート先端が排出ローラ対202を抜け出る。また、この際横整合ローラ５０１は最終シートＳ１Ｌに圧接してシート搬送方向と直交する方向にシートを整合する（図７（ｄ））。
【００３９】
次に、シートＳ２１の先端が排出ローラ対202を抜けると、排出ローラ対202が離間する。更にシートＳ２１のシート後端が第１パスローラ201を抜けると、シートＳ２１は先端を積載トレイ203の上方空間に突出した状態で、第１パス209により保持される。また、この際に、切替フラッパ212は切り替えられ、次ジョブの２枚目のシートＳ２２が第２パス210に導入できる状態になる（図７（ｅ））。ここで、１枚目のシートＳ２１の後端が第１パスローラ201を抜ける前に先行ジョブシート束Ｓ１のシート搬送方向と直交する方向の整合及び、ステイプラＨによる綴じ処理は終了し、横整合ローラ501はシート束の上面から離間する。
【００４０】
なお、この後のステイプルモードの動作については、第一実施例と同様であるので、説明を割愛する。
【００４１】
以上のような構成をとることにより、排出ローラ対202より上流に設けられた横整合ローラを用いてシート搬送方向と直交する方向の整合を行うことができるので、積載トレイ203部を小さく構成でき、さらに装置の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４２】
本発明は、画像形成装置から排出されるシートを集積して整合、後処理を行うシート処理装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４３】
【図１】第一実施例に係るシート処理装置を備えた画像処理装置の概略断面図である。
【図２】シート処理装置の動作を説明する図である。
【図３】シート処理装置を上面から見た図である。
【図４】第二実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図である。
【図５】シート処理装置の動作を説明する図である。
【図６】第三実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図である。
【図７】シート処理装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【００４４】
Ｈ …ステイプラ
Ｓ …シート
Ｓ１Ｌ …最終シート
Ｓ２１ …１枚目のシート
Ｓ２２ …２枚目のシート
100 …画像形成装置
101 …上段給送カセット
102 …下段給送カセット
103 …画像形成部
104 …定着器
105 …排出ローラ
106 …排出口切替フラッパ
107 …フェイスダウン排出部
108 …受け渡しローラ
110 …制御手段
200 …シート処理装置
201 …第１パスローラ
202 …排出ローラ対
203 …積載トレイ
204 …戻しローラ
205 …基準壁
206 …横整合板
207 …排出ローラ
208 …排出トレイ
209 …第１パス
210 …第２パス
211 …第２パスローラ
212 …切替フラッパ
300 …画像読取装置
400 …シート処理装置
401 …第１パス
402 …第２パス
403 …切替フラッパ
404 …摩擦部材
500 …シート処理装置
501 …横整合ローラ
【技術分野】
【０００１】
本発明は画像形成装置に接続され、画像形成装置から排出されるシートを集積して整合、後処理を行うシート処理装置及び画像形成装置に関するものであり、特に複数枚のシートを一時的に載置、整合する積載トレイを備えたものに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来は、シート処理装置は画像形成装置に接続されて画像形成装置から排出されたシートを積載トレイ上に搬送し、整合、綴じ処理を行い、更に綴じ処理を施したシート束を積載トレイに移動していた。このとき、シート束に対して後処理を行っている間は次のシート束を積載トレイに送り込むことができないため、スループットの低下が発生する。そこで従来からもスループットの低下を解決するために、シート積載トレイにシートを排出する前に、シート積載トレイにシートを排出するローラのニップ部の手前で２枚のシートを一時的に重ね合わせて載置してから、２枚を重ねた状態で積載トレイに排出することにより、後処理に要する時間を稼ぎ出し、スループットの低下を防いでいるものが知られている。
【０００３】
【特許文献１】特開平０９−２３５０６９号公報
【特許文献２】特開平１−１２７５５６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、特許文献１（特開平０９−２３５０６９）に示されるように、上方から下方に向かって搬送されたシートを積載トレイにシートを排出するローラに突き当てることで２枚のシートの先端揃えをしつつ重ね合わせてしてから、積載トレイにシートを排出する構成においては、自重によりシートの先端をシート先端ストッパとしての排出ローラに突き当てるため、排出ローラまでの搬送パス内にシートを一時載置するための広いスペースが必要になる（後処理可能な最大シートサイズよりも長い搬送パスが必要になる）ことにより装置が大型化し、コストも高くなってしまっていた。
【０００５】
また、特許文献２（特開平１−１２７５５６）のように、第１シート搬送ローラを停止させることで１枚目のシートを積載トレイ排出用ローラの手前で停止させ、２枚目のシートの先端が第２シート搬送ローラにより排出ローラ対の手前に到達した際に、前記第１シート搬送ローラを駆動させることにより、２枚同時に搬送を行い、２枚が重なった状態で積載トレイにシートを排出する構成においても、１枚目のシートを搬送パス内に完全に収容するためのスペースが必要となることで、装置が大型化し、コストも高くなってしまっていた。
【０００６】
また、特許文献１、特許文献２のような構成をとると、２枚のシートを重ね合わせる際に２枚目をいったん停止させることにより、３枚目の用紙との紙間（３枚目のシートが積載トレイ上に積載されるまでの時間）が短くなってしまうことで、整合処理の時間が稼げない可能性があった。
【０００７】
そこで本発明は、接続される画像形成装置のスループットを低下させることなく、小型でかつ安価なシート処理装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記課題を解決するために、本発明に係るシート処理装置の代表的な構成は、シートに対して処理を行うシート処理装置において、後処理を行うためにシートを積載する積載トレイと、前記積載トレイ上にシートを排出し、互いに離接可能な排出ローラ対と、前記排出ローラ対にシートを搬送し、搬送可能な最小シートサイズのシート搬送方向の長さよりも短い第１パスと、前記第１パスから分岐し、前記排出ローラ対のシート搬送方向上流側で該第１パスと合流する第２パスと、前記分岐点に配置され、シートを前記第１パスまたは第２パスに選択的に導くパス切替手段と、を備え、前記積載トレイ上でシートに処理を行っている間、搬送されてきた１枚目のシートを前記パス切替手段によって前記第１パスに導き、前記１枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から突出した状態で前記排出ローラ対を離間させて前記１枚目のシートを第１パス内に保持し、前記パス切替手段を切替え、搬送されてきた２枚目のシートを前記第２パスに導き、前記２枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から所定量突出した後に前記排出ローラ対を当接させ、前記排出ローラ対によって前記積載トレイに前記１枚目および前記２枚目のシートを２枚重ねた状態で排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、排出ローラ対を離間させることでシート先端を排出ローラ対から突出した状態でシートを載置することができるので、シートを一時的に載置できるスペースを、排出ローラ対の手前の搬送パスだけではなく、積載トレイ上をも一時的な載置スペースとして使用可能とすることができる。これにより、従来のように排出ローラ対前の搬送パスにシートを一時仮置きするための大きなスペースを必要とすること、すなわち装置を大型化することなく、スループットの低下を妨げることができる。また、一時的な載置の際に先端の突き当てを行わないので、先端を突き当てることによるシートへのダメージを防ぐことができる。また、先端を突き当てることで発生するシートの座屈によるＪＡＭも防止できるので、信頼性の高い製品を提供することができる。また、２枚の用紙を重ね合わせる際、２枚目の用紙を停止させることがないので、２枚目の用紙と３枚目の用紙の紙間を詰めてしまうことが無いので、整合処理時間を十分に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
［第一実施例］
図１は本実施例に係るシート処理装置を備えた画像処理装置の概略断面図である。図に示す全体としての画像処理装置は、画像形成装置100の上方に画像読取装置300が配置され、画像形成装置100と画像読取装置300の間に形成された空間に画像形成されたシートが排出される機内排出型の構成であり、この空間にシート処理装置200が装着可能となっている。画像形成装置100は、接続されたコンピュータから直接、或いはＬＡＮ、ＦＡＸ等のネットワークを介して送られてきた画像情報やプリント信号等、或いは画像読取装置300にて読み取った画像情報に基づいて、所定の画像プロセスによってシートに画像形成し、排出する。
【００１１】
まず、図１を用いて画像形成装置100の構成について、搬送されるシートＳの経路に沿って説明を行う。画像形成装置100では上段給送カセット101、下段給送カセット102内にシートＳが複数枚積載され、いずれかのカセットから、各種ローラによってこのうち最上紙のシートが順次１枚ずつ分離給送されるようになっている。そしてコンピュータやネットワーク、画像読取装置300から供給された所定のプリント信号により、上段給送カセット101もしくは下段給送カセット102から給送されたシートＳは、画像形成装置100内において、レーザービーム方式の画像形成プロセスによりトナー画像を形成する画像形成部103でシートＳ上面にトナー画像が転写され、続いて下流側の定着器104で熱及び圧力を加えられることにより、トナー画像が永久定着される。
【００１２】
また、シート処理装置200の各種動作を司る制御手段110は、画像形成装置100の動作を司る画像形成装置制御手段が兼ねているか、もしくはシート処理装置200内に単独で配置されている。
【００１３】
画像面が上側の状態で定着されたシートＳは、図１に示すように、排出ローラ105に至るまでの略Ｕ字状のシート搬送路で搬送されることにより画像面が反転し、画像面が下側になった状態で排出ローラ105によって画像形成装置100から機外にフェイスダウン排出される。ここで、当該シートＳは画像形成装置の制御手段からの制御信号に基づいて排出口切替フラッパ106の位置が決定されることにより、画像形成装置100の上部に設けられたフェイスダウン排出部107にそのまま排出されるか、シート処理装置200を経由して排出されるかが選択される。
【００１４】
次に、図１を用いてシート処理装置200の構成及び、排出口切替フラッパ106により搬送路が切り替えられ、受け渡しローラ108により搬送されたシートＳがシート処理装置200に向かう場合の各部の動きについて説明する。
【００１５】
図１に示すように、シート処理装置200は、後処理を行うためにシートを載置する積載トレイ203と、積載トレイ203上にシートを排出し、ニップを離接可能な排出ローラ対202と、積載トレイ203にシートを搬送し、後処理可能な最小シートサイズよりも短い第１パス209と、第１パス209から分岐し、排出ローラ対202の上流側で第１パス209と合流する第２パス210と、シートを第１パス209または第２パス210に選択的に導くパス切替手段の例としての切替フラッパ212と、分岐点よりも上流側に配置された第１パスローラの例としての第１パスローラ201と、第２パス210に配置され第１パスローラ201に連動する第２パスローラ211を備えている。第２パス210は第１パス209の外側、すなわち第１パス209の搬送面に対し、積載トレイ203に積載される側と反対側に配置されている。
【００１６】
積載トレイ203には、積載されたシートをシート搬送方向に整合する戻しローラ204、戻しローラ204で戻されたシート後端を突き当てるための基準壁205、シート搬送方向と直交する方向にシートを整合する横整合板206、整合されたシート束に対して綴じ処理を行うステイプラＨ、後処理後のシート束を機外の排出トレイ208に排出する排出ローラ207が備えられている。
【００１７】
上記構成により、シートＳは排出口切替フラッパ106で搬送路をシート処理装置200側に切り替えられ、受け渡しローラ108によりシート処理装置200内に導入され、排出ローラ対202により積載トレイ203上に排出されたのち、戻しローラ204、横整合板206により整合処理された後、ステイプラＨにより綴じ処理を施され、排出ローラ207により機外に排出される構成となっている。
【００１８】
次に図２及び図３を用いて、ネットワークを介してホストコンピュータ等から送られてきた複数のジョブを実行すべく連続してステイプル処理する際の、シート処理装置200の動作における先行ジョブの最終シートが積載トレイ203に積載されてから、次ジョブがステイプル処理されて排出されるまでの動作を詳細に説明する。図２はシート処理装置の動作を説明する図、図３はシート処理装置を上面から見た図である。
【００１９】
図２（ａ）は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌが積載トレイに積載された時の様子を示したものである。このとき、次ジョブの１枚目のシートＳ２１は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌに対して通常のシート間隔でシート処理装置200内に搬送されてくる。最終シートＳ１Ｌが積載トレイ203上に排出されると、離間していた戻しローラ204が最終シートＳ１Ｌに圧接して基準壁205方向に最終シートＳ１Ｌを搬送することでシート搬送方向の整合を行い（図２（ｂ））、整合終了後再び離間を行う（図２（ｃ））。
【００２０】
この間、シートＳ２１は停止することなく第１パス209を搬送され、シート先端が排出ローラ対202を抜け出る。（図２（ｄ））ここで、横整合板206はシートＳ２１の先端が排出ローラ対202に到達する前に最終シートＳ１Ｌのシート搬送方向と直交方向の整合を始め（図３（ａ））、シートＳ２１の先端が排出ローラ対202を抜けるまでに、ステイプラＨ側にシート搬送方向と直交方向の移動が終了している（図３（ｂ））。なお、この際シートＳ２１は横整合板206の上端面に接しながら搬送される。
【００２１】
次に、シートＳ２１の先端が排出ローラ対202を抜けると、排出ローラ対202が離間する。更にシートＳ２１のシート後端が第１パスローラ201を抜けると、切替フラッパ212は切り替えられ、シートＳ２１は先端を積載トレイ203の上方空間に突出した状態で、第１パス209内に切替フラッパ212によりシート後端を保持される。同時に、次ジョブの２枚目のシートＳ２２が第２パス210に導入できる状態になる（図２（ｄ））。また、シートＳ２１の後端が第１パスローラ201を抜ける前に先行ジョブシート束Ｓ１のシート搬送方向と直交する方向の整合及び、ステイプラＨによる綴じ処理は終了している。なお、本実施例においては、切替フラッパ212によりシートＳ２１のシート後端を保持する構成について説明しているが、第１パスローラ201の下流側に、第１パスローラ201を抜けた後のシートＳ２１のシート後端を保持するシート後端ストッパを設けても良い。このように、シート後端側を保持する構成を採用することで、処理トレイ排出ローラ対202が離間してシート先端側を第１パス209から突出した状態で保持することが可能になるので第１パス209をシート長さよりも短くすることができ、装置の小型化に寄与する。
【００２２】
続いて１枚目のシートＳ２１が切替フラッパ212により保持されている状態で、２枚目のシートＳ２２が第２パス210に搬送される。このとき、排出ローラ207が先行ジョブシート束Ｓ１をニップして搬送することでシート束Ｓ１を排出し（図２（ｅ））、シート束Ｓ１の排出が完了すると排出ローラ207は再び離間を行う（図２（ｆ））。第１パス209と第２パス210はガイド板を仕切りとして各々独立したパスとして配置されているため、第１パス209内に保持された１枚目のシートＳ２１に２枚目のシートＳ２２が直接摺擦して押出してしまうようなことはない。ただし、第１パス209と第２パス210は排出ローラ対202の手前で合流することにより、シートＳ２２の先端がシートＳ２１を摺擦して押し出してしまう可能性があるが、本実施例では、第１パス209を大きく湾曲させることにより、シートＳ２１にコシをつけ、第１パス209内の摩擦抵抗を増大させて押し出しを防ぐ構成となっている。第１パス209での内のシートＳ２１の保持を第１パス209の湾曲構成のみで実現することも可能であるが、切替フラッパ212によるシート保持と併用するのが好ましい。また、切替フラッパ212のシートとの当接箇所に摩擦部材を貼付、あるいは凹凸のような高摩擦部を形成することでさらに確実な保持が可能となる。切替フラッパ212を弾性部材で構成し、シートＳ２１の後端を押さえつけるようにしても良い。
【００２３】
シートＳ２２はシート後端が第１パスローラ201を抜けた後も、シートＳ２１と先端が揃うか、もしくはシートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端より先行するまで第２パスローラ211により所定量搬送する。そして、シートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端と揃うか、シートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端より先行したタイミングで排出ローラ対202は圧接され（図２（ｇ））、２枚のシートＳ２１、Ｓ２２を、Ｓ２１とＳ２２の先端が揃った状態、もしくはシートＳ２２の先端がシートＳ２１の先端より先行している状態で重ね合わせて積載トレイ203に排出を行う（図２（ｈ））。
【００２４】
次に、シートＳ２２がシートＳ２１の上に重なった状態で積載トレイ203に排出された後、戻しローラ204により、基準壁205にシート後端を突き当ててシート搬送方向の整合を行う際、戻しローラ204はシートＳ２２の上面にのみ作用することになる。そして、戻しローラ204は上側のシートＳ２２の後端が基準壁205に突き当たるまで戻し動作を行うが、シートＳ２２とシートＳ２１の間の摩擦作用により、シートＳ２２とシートＳ２１は一緒に戻される。この際、シートＳ２２の先端が先行した状態で積載されていれば、まずシートＳ２１の後端が基準壁205に突き当たり、次にシートＳ２２の後端が基準壁205に突き当たって整合が完了するが、逆に１枚目のシートＳ２１の先端が先行した状態で積載されている場合は、シートＳ２２の後端が基準壁205に突き当たった時点で整合が完了してしまう。これが２枚目のシートＳ２２の先端を１枚目のシートＳ２１の先端より先行させる理由である。
【００２５】
なお、第２パス210が第１パス209の外側、すなわち第１パス209の搬送面に対し、積載トレイ203に積載される側と反対側に配置されていることにより、シートＳ２１がシートＳ２２よりも積載トレイ203側にある。画像面を積載トレイ203側にしてシートＳ２１の上にシートＳ２２が重なった状態でフェイスダウン排出されるので、頁順に積載されることになる。ここでシートＳ２２は、積載トレイ203に排出されるまで停止することがない。また、横整合板206はシートＳ２１、Ｓ２２が積載トレイ203上に排出される前に、シート受け取り位置（通紙範囲外）に退避完了している。
【００２６】
その後、３枚目のシートＳ２３が入ってくるまでに、戻しローラ204によりシート搬送方向の整合が、横整合板206によりシート搬送方向と直交方向の整合が行われる（図２（ｉ））。なお３枚目のシートＳ２３以降は第１パス209内で停止することなく、第１パス209をそのまま通って連続的に積載トレイ203上に排出、整合され、最終的にステイプル処理を施されてから排出される。シートＳ２３以降も画像面を積載トレイ203側にして既に積載されているシートの上に順次フェイスダウン排出されるので、頁順が狂うことはない。
【００２７】
［第二実施例］
本発明に係るシート処理装置の第二実施例について説明する。図４は第二実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図、図５はシート処理装置の動作を説明する図であって、上記第一実施例と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【００２８】
本実施例が第一実施例と異なるところは、第１パスローラ201から排出ローラ対202までの搬送パスの形状である。
【００２９】
図４に示すように、本実施例に係るシート処理装置400は画像形成装置100の上部かつ側方に設けられており、後処理を施したシート束を機外に排出するよう構成されている。第１パス401は略直線的な形状であって、第２パス402は第１パス401に併設されて湾曲している。本実施例において、画像形成装置100で画像形成されたシートはフェイスアップ状態で搬送されるが、排出されるシートの頁順を揃えるため、画像形成の制御により最終頁から先頭頁まで逆順で画像形成するか、または画像形成装置100の上部のフェイスダウン排出部を用いてスイッチバックさせ、不図示の反転パスで第１パス401と第２パス402にフェイスダウン状態で搬送するようにしても良い。また第１パス401の、第１パス401と第２パス402を切り替える切替フラッパ403と対向する位置には、摩擦部材404を設けている。
【００３０】
続いて、図５を用いて本実施例におけるシート処理装置400の連続ジョブのステイプル動作について説明する。
【００３１】
本実施例においても第一実施例と同様に、先行ジョブの最終シートＳ１Ｌが排出された後、整合及び、綴じ処理が行われ、その最中に次ジョブの１枚目のシートＳ２１が搬送され（図５（ａ））、次に２枚目のシートＳ２２が搬送される。このとき切替フラッパ403と摩擦部材404により１枚目のシートＳ２１の後端が挟持されて保持される（図５（ｂ））。本実施例においては第１パス401側に摩擦部材404を設けたが、第１パス401と切替フラッパ403の少なくとも一方に摩擦部材404を設けるようにすれば良い。また、切替フラッパ403を弾性部材で構成することでさらに大きな効果を得ることができる。
【００３２】
以上のような構成をとることにより、第一実施例のようにシート処理装置が大きく湾曲したパスを持たなくとも、２枚目のシートＳ２２の先端が１枚目のシートＳ２１を摺擦して押し出してしまうおそれがない。従って、第一実施例と同様な効果が得られるだけではなく、湾曲したパスにこだわらず自由な形状のパスにより装置を構成できるようになるので、更なる小型化や各種画像形成装置への接続などが可能になり、装置の拡張性を広げることができる。
【００３３】
［第三実施例］
本発明に係るシート処理装置の第三実施例について説明する。図６は第三実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図、図７はシート処理装置の動作を説明する図であって、上記第一実施例と説明の重複する部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【００３４】
本実施例が第一実施例と異なるところは、シート搬送方向と直交する方向の整合手段である。
【００３５】
図６に示すシート処理装置500においては、排出ローラ対202の下方かつシート搬送方向上流側に、シート搬送方向と直交する方向にシートを整合する横整合ローラ501を設けている。また本実施例においては、横整合ローラ501はシート搬送方向と直交する方向にシートを移動させるが、横整合ローラ501が基準壁205に対して角度を有し、シートを基準壁205に突き当てながら移動させてシート搬送方向においても整合する構成であっても良い。
【００３６】
続いて、図７を用いて本実施例におけるシート処理装置500の連続ジョブのステイプル動作について説明する。
【００３７】
図７（ａ）は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌが積載トレイに積載された時の様子を示したものである。このとき、次ジョブの１枚目のシートＳ２１は先行ジョブの最終シートＳ１Ｌに対して通常のシート間隔でシート処理装置500内に搬送されてくる。最終シートＳ１Ｌが積載トレイ203上に排出されると、離間していた戻しローラ204が最終シートＳ１Ｌに圧接して、排出ローラ対202よりシート搬送方向下流側にある基準壁205方向にシートを搬送し、シート搬送方向の整合を行い（図７（ｂ））、再び離間を行う（図７（ｃ））。なお、これらの動作の際、横整合ローラ501はシート束の上面から離間している状態にある。
【００３８】
この間、シートＳ２１は停止することなく第１パス209を搬送され、シート先端が排出ローラ対202を抜け出る。また、この際横整合ローラ５０１は最終シートＳ１Ｌに圧接してシート搬送方向と直交する方向にシートを整合する（図７（ｄ））。
【００３９】
次に、シートＳ２１の先端が排出ローラ対202を抜けると、排出ローラ対202が離間する。更にシートＳ２１のシート後端が第１パスローラ201を抜けると、シートＳ２１は先端を積載トレイ203の上方空間に突出した状態で、第１パス209により保持される。また、この際に、切替フラッパ212は切り替えられ、次ジョブの２枚目のシートＳ２２が第２パス210に導入できる状態になる（図７（ｅ））。ここで、１枚目のシートＳ２１の後端が第１パスローラ201を抜ける前に先行ジョブシート束Ｓ１のシート搬送方向と直交する方向の整合及び、ステイプラＨによる綴じ処理は終了し、横整合ローラ501はシート束の上面から離間する。
【００４０】
なお、この後のステイプルモードの動作については、第一実施例と同様であるので、説明を割愛する。
【００４１】
以上のような構成をとることにより、排出ローラ対202より上流に設けられた横整合ローラを用いてシート搬送方向と直交する方向の整合を行うことができるので、積載トレイ203部を小さく構成でき、さらに装置の小型化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【００４２】
本発明は、画像形成装置から排出されるシートを集積して整合、後処理を行うシート処理装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４３】
【図１】第一実施例に係るシート処理装置を備えた画像処理装置の概略断面図である。
【図２】シート処理装置の動作を説明する図である。
【図３】シート処理装置を上面から見た図である。
【図４】第二実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図である。
【図５】シート処理装置の動作を説明する図である。
【図６】第三実施例に係るシート処理装置の構成を説明する図である。
【図７】シート処理装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【００４４】
Ｈ …ステイプラ
Ｓ …シート
Ｓ１Ｌ …最終シート
Ｓ２１ …１枚目のシート
Ｓ２２ …２枚目のシート
100 …画像形成装置
101 …上段給送カセット
102 …下段給送カセット
103 …画像形成部
104 …定着器
105 …排出ローラ
106 …排出口切替フラッパ
107 …フェイスダウン排出部
108 …受け渡しローラ
110 …制御手段
200 …シート処理装置
201 …第１パスローラ
202 …排出ローラ対
203 …積載トレイ
204 …戻しローラ
205 …基準壁
206 …横整合板
207 …排出ローラ
208 …排出トレイ
209 …第１パス
210 …第２パス
211 …第２パスローラ
212 …切替フラッパ
300 …画像読取装置
400 …シート処理装置
401 …第１パス
402 …第２パス
403 …切替フラッパ
404 …摩擦部材
500 …シート処理装置
501 …横整合ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
シートに対して処理を行うシート処理装置において、
後処理を行うためにシートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイ上にシートを排出し、互いに離接可能な排出ローラ対と、
前記排出ローラ対にシートを搬送し、搬送可能な最小シートサイズのシート搬送方向の長さよりも短い第１パスと、
前記第１パスから分岐し、前記排出ローラ対のシート搬送方向上流側で該第１パスと合流する第２パスと、
前記分岐点に配置され、シートを前記第１パスまたは第２パスに選択的に導くパス切替手段と、
を備え、
前記積載トレイ上でシートに処理を行っている間、搬送されてきた１枚目のシートを前記パス切替手段によって前記第１パスに導き、前記１枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から突出した状態で前記排出ローラ対を離間させて前記１枚目のシートを第１パス内に保持し、前記パス切替手段を切替え、搬送されてきた２枚目のシートを前記第２パスに導き、
前記２枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から所定量突出した後に前記排出ローラ対を当接させ、
前記排出ローラ対によって前記積載トレイに前記１枚目および前記２枚目のシートを２枚重ねた状態で排出することを特徴とするシート処理装置。
【請求項２】
前記２枚目のシート先端が前記１枚目のシートより所定量先行するタイミングで前記排出ローラ対を当接させ、
前記２枚目のシート先端が前記１枚目のシートの先端より所定量先行した状態で前記積載トレイに排出することを特徴とする請求項１記載のシート処理装置。
【請求項３】
前記分岐点よりもシート搬送方向上流側に配置された第１搬送ローラを有し、
前記１枚目のシートの後端が前記第１搬送ローラを抜けた後、前記パス手段を切替えることを特徴とする請求項１または２に記載のシート処理装置。
【請求項４】
前記第２パスに第２搬送ローラを配置し、前記２枚目のシートが前記第２パスに導かれた後、前記第２搬送ローラによって前記２枚目のシートの搬送を継続し、前記１枚目のシートと重ねた後、停止することなく排出することを特徴とする請求項１または２に記載のシート処理装置。
【請求項５】
前記第１パスおよび第２パスは下方から上方に向かって湾曲するとともに、前記第２パスは前記第１パスの湾曲の外側に併設して配置され、前記１枚目および前記２枚目のシートは前記積載トレイ上にフェイスダウン排出されることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項６】
３枚目以降のシートは、前記第１パスを搬送されて前記積載トレイに排出されることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項７】
前記１枚目のシートの後端を前記パス切替手段が保持することを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項８】
前記パス切替手段と前記第１パスのいずれか一方の対向位置に摩擦部材を設けたことを特徴とする請求項７に記載のシート処理装置。
【請求項９】
前記パス切替手段は、弾性部材からなることを特徴とする請求項７に記載のシート処理装置。
【請求項１０】
前記積載トレイ上に積載されたシートのシート搬送方向と交差する方向に移動することで整合を行う整合板を有することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項１１】
前記積載トレイ上に積載されたシートのシート搬送方向と交差する方向の整合を行う整合ローラを有することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項１２】
シートに画像形成する画像形成部と、
画像形成されたシートに処理を施すシート処理装置を備え、
前記シート処理装置が請求項１乃至１１のいずれか１項に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項１】
シートに対して処理を行うシート処理装置において、
後処理を行うためにシートを積載する積載トレイと、
前記積載トレイ上にシートを排出し、互いに離接可能な排出ローラ対と、
前記排出ローラ対にシートを搬送し、搬送可能な最小シートサイズのシート搬送方向の長さよりも短い第１パスと、
前記第１パスから分岐し、前記排出ローラ対のシート搬送方向上流側で該第１パスと合流する第２パスと、
前記分岐点に配置され、シートを前記第１パスまたは第２パスに選択的に導くパス切替手段と、
を備え、
前記積載トレイ上でシートに処理を行っている間、搬送されてきた１枚目のシートを前記パス切替手段によって前記第１パスに導き、前記１枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から突出した状態で前記排出ローラ対を離間させて前記１枚目のシートを第１パス内に保持し、前記パス切替手段を切替え、搬送されてきた２枚目のシートを前記第２パスに導き、
前記２枚目のシートの先端が前記排出ローラ対から所定量突出した後に前記排出ローラ対を当接させ、
前記排出ローラ対によって前記積載トレイに前記１枚目および前記２枚目のシートを２枚重ねた状態で排出することを特徴とするシート処理装置。
【請求項２】
前記２枚目のシート先端が前記１枚目のシートより所定量先行するタイミングで前記排出ローラ対を当接させ、
前記２枚目のシート先端が前記１枚目のシートの先端より所定量先行した状態で前記積載トレイに排出することを特徴とする請求項１記載のシート処理装置。
【請求項３】
前記分岐点よりもシート搬送方向上流側に配置された第１搬送ローラを有し、
前記１枚目のシートの後端が前記第１搬送ローラを抜けた後、前記パス手段を切替えることを特徴とする請求項１または２に記載のシート処理装置。
【請求項４】
前記第２パスに第２搬送ローラを配置し、前記２枚目のシートが前記第２パスに導かれた後、前記第２搬送ローラによって前記２枚目のシートの搬送を継続し、前記１枚目のシートと重ねた後、停止することなく排出することを特徴とする請求項１または２に記載のシート処理装置。
【請求項５】
前記第１パスおよび第２パスは下方から上方に向かって湾曲するとともに、前記第２パスは前記第１パスの湾曲の外側に併設して配置され、前記１枚目および前記２枚目のシートは前記積載トレイ上にフェイスダウン排出されることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項６】
３枚目以降のシートは、前記第１パスを搬送されて前記積載トレイに排出されることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項７】
前記１枚目のシートの後端を前記パス切替手段が保持することを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項８】
前記パス切替手段と前記第１パスのいずれか一方の対向位置に摩擦部材を設けたことを特徴とする請求項７に記載のシート処理装置。
【請求項９】
前記パス切替手段は、弾性部材からなることを特徴とする請求項７に記載のシート処理装置。
【請求項１０】
前記積載トレイ上に積載されたシートのシート搬送方向と交差する方向に移動することで整合を行う整合板を有することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項１１】
前記積載トレイ上に積載されたシートのシート搬送方向と交差する方向の整合を行う整合ローラを有することを特徴とする請求項１乃至９のいずれか１項に記載のシート処理装置。
【請求項１２】
シートに画像形成する画像形成部と、
画像形成されたシートに処理を施すシート処理装置を備え、
前記シート処理装置が請求項１乃至１１のいずれか１項に記載のシート処理装置であることを特徴とする画像形成装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００６−９６５５９（Ｐ２００６−９６５５９Ａ）
【公開日】平成１８年４月１３日（２００６．４．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−２３５１１４（Ｐ２００５−２３５１１４）
【出願日】平成１７年８月１５日（２００５．８．１５）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年４月１３日（２００６．４．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年８月１５日（２００５．８．１５）
【出願人】（０００００１００７）キヤノン株式会社 (59,756)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]