説明

シート吸着搬送装置

【課題】シートの搬送不良や分離不良を防止しつつ、シート搬送時の摺擦音の低減や搬送効率向上を図ることが可能なシート吸着搬送装置を提供すること。
【解決手段】シートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段にシートを吸着させるために前記シート搬送手段に吸引力を作用させる吸引力付与手段と、前記吸引力付与手段で前記シート搬送ベルトに付与する吸引力を制御する吸引力制御手段と、を有し、
前記シート搬送手段に吸着しているシートの吸引作用を停止する際に、前記吸引力制御手段が、付与している吸引力を低下させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に用いられるシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置におけるシート搬送装置としては、従来、ゴムローラ等の摩擦力を用いた搬送方法が採用されてきた。
【0003】
しかしながら、摩擦力を用いた方法ではゴムローラ等の磨耗による耐久性や、表面がざらついた用紙、OHPシートのような特殊紙の搬送性に問題があった。
【0004】
これを解決するための手段として、静電気力によってシートを吸着させて搬送するシート搬送装置(例えば、特許文献1参照)や、エアーによってシートを吸着させて搬送するシート搬送装置(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平09−194060号公報
【特許文献2】特開平10−035943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、静電気力によってシートを吸着する系においては、吸着しているシートを分離するために電圧の印加を停止すると、次のシートを吸着する際に、吸着可能な静電気力まで吸着力が高まるまでの時間が長くなるという問題があった。
【0007】
又、シートを吸着する際に吸着力が高まるまでの時間を短くすることや吸着保持力を強くすることを目的として印加電圧を高くすると、電圧の印加を止めてもしばらくは想定以上の帯電量が残留して必要以上の吸着力が残り、OHPシート等でシートの離脱が速やかにできなくなるという問題もあった。そして、エアーによってシートを吸着する系においては、シート分離時に吸引力をオフする制御方法の場合、次のシートを吸着開始する際に吸着が可能になる吸引力まで立ち上がる時の時間が長くなり、シート搬送効率が低下してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、シートの搬送不良や分離不良を防止しつつ、シート搬送時の摺擦音の低減や搬送効率向上を図ることが可能なシート吸着搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、下記を特徴とする。
【0010】
(1)シートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段にシートを吸着させるために前記シート搬送手段に吸引力を作用させる吸引力付与手段と、前記吸引力付与手段で前記シート搬送ベルトに付与する吸引力を制御する吸引力制御手段と、を有し、
前記シート搬送手段に吸着しているシートの吸引作用を停止する際に、前記吸引力制御手段が、付与している吸引力を低下させることを特徴とするシート吸着搬送装置。
【0011】
(2)シートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段にシートを吸着させるために前記シート搬送手段に吸引力を作用させる吸引力付与手段と、前記吸引力付与手段で前記シート搬送ベルトに付与する吸引力を制御する吸引力制御手段と、を有し、
前記シート搬送手段に吸着しているシートの吸引作用を停止する際に、前記吸引力制御手段が、付与している吸引力を打ち消す方向の力を付与することを特徴とするシート吸着搬送装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シート搬送手段に吸着しているシートの吸引作用を停止する際に、吸引力制御手段が設定付与している吸引力よりも低い吸引力に設定変更することにより、シートの分離性が可能であると同時に、次のシートの吸着を行う際に、吸着が可能になる吸引力まで立ち上がる時の時間を短くすることが可能となる。
【0013】
又、本発明によれば、分離性の悪いシート等に対して、シート搬送手段に吸着しているシートの吸引作用を停止する際に、吸引力制御手段が設定付与している吸引力の逆極性の力を付与することにより、シートを速やかに分離することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
以下、本発明に係るシート吸着搬送装置及びこれを備えた記録装置の一例としてカラー画像形成装置に適用した場合の一実施形態を具体的に説明する。
【0016】
先ず、カラーリーダ部1の構成について説明する。
【0017】
101は原稿台ガラス(プラテン)、102は自動原稿給紙装置(ADF)である。尚、この自動原稿給紙装置102の代わりに、鏡面圧板若しくは白色圧板(図示せず)を装着する構成でも良い。
【0018】
103,104は原稿を照明する光源であり、ハロゲンランプ、蛍光灯、キセノン管ランプ等の類の光源を使用する。105,106は光源103,104の光を原稿に集光する反射傘である。107〜109はミラー、110は原稿からの反射光又は投影光をCCD(電荷結合素子)イメージセンサ(以下、「CCD」と言う)111上に集光するレンズである。
【0019】
112はCCD111が実装されている基板、100は画像形成装置全体を制御する制御部、113はディジタル画像処理部である。114は光源103,104と反射傘105,106と、ミラー107を収容するキャリッジである。115はミラー108,109を収容するキャリッジである。
【0020】
又、制御部100は、図2に示すように、ディジタル画像処理部113とプリンタ制御部250に対してそれぞれ制御を行うための情報をやり取りするI/Fを持つCPU301と操作部303、メモリ302によって構成されている。操作部303は、操作者による処理実行内容の入力や操作者に対する処理に関する情報及び警告等の通知のためのタッチパネル付き液晶により構成される。
【0021】
116は他のデバイスとの外部インターフェイスであり、具体的には外部インターフェイスの先にファクシミリ装置(図示しない)やLANインターフェイス装置(図示しない)等と接続可能である。尚、ファクシミリ装置やLANインターフェイス装置との画像情報及びコード情報のやり取り手続きは制御については、各接続装置の制御部(図示しない)とCPU301との相互通信により行われる。
【0022】
次に、カラープリンタ部の2の構成を説明する。
【0023】
図1において、プリンタ制御部250は、画像形成装置全体の制御部である制御部100上のCPU301からの制御信号の受け口となる。制御部100からの印刷開始等の制御信号に従い、プリンタ制御部250はプリンタ部2の印刷制御を行う。201はレーザースキャナである。画像データ信号に対応するレーザー光をレーザードライバ回路基板(図示せず)により出射し、感光ドラム202に照射する。
【0024】
感光ドラム202上に形成された静電潜像は、感光ドラム202の時計方向への回転により4色現像ロータリ各色中の1色のスリーブ位置に達する。静電潜像された感光ドラム202表面と現像バイアスが印加された現像スリーブ面との間に形成される電位量に応じたトナーが、各色現像器203から感光ドラム202表面へ飛ばされ、感光ドラム202表面の静電潜像が現像される。
【0025】
感光ドラム202上に形成されたトナー像は、感光ドラム202の時計方向への回転により、反時計方向に回転する中間転写体205に転写される。中間転写体205は、材料として例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)等が用いられる。黒単色画像の場合には、中間転写体205に対して所定時間間隔を空けて順次画像形成され1次転写される。フルカラー画像の場合には、感光ドラム上の各色に対応する静電潜像を、各色毎に順次現像ロータリのスリーブ位置出しを行い、現像/1 次転写し、中間転写体205の4回転後に、即ち4色分を1次転写した時点で、フルカラー画像の1次転写が完了する。
【0026】
一方、各カセット(上段カセット208/下段カセット209/3段目カセット210/4段目カセット211)から各カセット段の各シート吸着搬送装置212/213/214/215により給紙・搬送される記録紙は、縦パス搬送ローラ222/223/224/225によりレジストローラ221まで搬送される。手差し給紙の場合には、手差しトレイ240に積載された記録紙は、手差し給紙ローラ220でレジストローラ221まで搬送される。そして、中間転写体205への転写が終了するタイミングで、中間転写体205と2次転写ローラ206の間に記録紙が搬送される。
【0027】
その後、記録紙は、2次転写ローラ206と中間転写体205とに挟まれる形で定着器方向へ搬送されるとともに中間転写体205に圧着され、中間転写体205上のトナー像が記録紙に2次転写される。記録紙に転写されたトナー像は、内部にハロゲンヒータ等の熱源を備えた定着ローラ及び加圧ローラ207(このローラにも熱源を備える場合もある)により加熱及び加圧され記録紙に定着される。
【0028】
尚、記録紙に転写されずに残る中間転写体205上の転写残留トナーに関しては、中間転写体205の表面上に当接・離間可能なクリーニングブレード230をこすり当て、転写残留トナーを中間転写体205表面から掻き取ることで、画像形成シーケンス後半の後処理制御でクリーニングされる。
【0029】
感光ドラムユニット内では、残留トナーがブレード231によりドラム表面から掻き取られ、感光ドラムユニット内に一体化されている廃トナーボックス232まで搬送される。更に、予期せぬことで吸着している可能性のある2次転写ローラ表面上の正負各極性の残留トナーを2次転写正バイアス及び2次転写逆バイアスを交互に印加し、中間転写体205上に各極性の残留トナーを吸着させ、上記の中間転写クリーニングブレード230で残留トナーを掻き取ることで、残トナーが完全にクリーニングされて後処理制御は終了する。
【0030】
画像が定着された記録紙は、第1排紙の場合には、第1排紙フラッパ237を第1排紙ローラ方向に切り替えて、排紙ローラ233を目指して排紙される。第2排紙の場合には、第1排紙フラッパ237及び第2排紙フラッパ238を第2排紙ローラ方向に切り替えて、排紙ローラ234を目指して排紙される。
【0031】
第3排紙の場合には、一旦反転ローラ235で反転動作を行うために、第1排紙フラッパ及び第2排紙フラッパを反転ローラ235方向に切り替えて反転ローラ235で反転させる。反転ローラ235で反転後、第3排紙フラッパを第3排紙方向に切り替えて、第3排紙ローラ236を目指して排紙される。
【0032】
両面排紙の場合には、第3排紙の場合と同様に一旦反転ローラ部235で反転動作を行い、第3排紙フラッパを両面ユニット方向に切り替えて、両面ユニットに搬送される。両面センサで記録紙が検出されてから所定時間後に一旦停止し、再度画像準備が整い次第再給紙され、2面目の画像形成される。
【0033】
最後に、本実施の形態の特徴であるシート吸着搬送装置212〜215の制御の詳細について図3〜図7に基づいて説明する。
【0034】
図3はシート吸着搬送装置215及びその周辺部分の拡大図である。
【0035】
図3において、902はシート束901を水平状態を保ったまま上下に移動させるリフトアップ機構、903は紙や合成樹脂等の誘電体から成るシートを静電吸着して搬送するエンドレスの搬送ベルトであり、ポリエチレン等の合成樹脂で電気的に絶縁性を有する誘電体材質により構成されている。904はシート検知センサである。搬送ベルト903の内部には、図4及び図5に示すように、異なる電位が印加される交互に配置された一対の導電性材料から成る櫛歯状電極701,702と、これらの櫛歯状電極701,702に電気的に接続され、搬送ベルト903の一側端部側に配置された被給電部711,712が内蔵されている。
【0036】
本実施の形態では、櫛歯状電極701,702及び被給電部711,712は銅等の金属箔パターンにより一体的に成形されたものであり、搬送ベルト903の回転方向に直交する方向の幅の略全面に亘って櫛歯状電極701,702が形成されている。搬送ベルト903の一側端部側で該搬送ベルト903に並行に配置された被給電部711,712のうち、被給電部711は搬送ベルト903の内側に配置され、被給電部712は搬送ベルト903の外側に配置されている。
【0037】
又、櫛歯状電極701,702の表面は絶縁層により電気的に絶縁され、被給電部711,712の表面は導電部721,722が露出し、該導電部721,722の周囲表面は同じく絶縁層により電気的に絶縁されている。
【0038】
本実施の形態では、図5に示すように、各被給電部711,712及び櫛歯状電極701,702は、搬送ベルト903上で平面的に互いに重ならないように配置されており、櫛歯状電極702と被給電部712とを接続するパターン732の幅は、内側に配置された被給電部711のパターンを回避するように狭い幅で形成されている。
【0039】
搬送ベルト903の両側端部側に配置された被給電部711,712の上方には、該被給電部711,712の導電部721,722に接触して給電可能な給電部材となる給電ブラシ741,742が同じく搬送ベルト903に並行に配置されており、給電ブラシ741,742の一端部に設けられた接続点(図示せず)に接続された電気ケーブル790を介して高電圧発生装置791が接続されている。
【0040】
高電圧発生装置791は、正極と負極の電位差が数キロボルト程度の高電圧を供給し得るように構成されており、負極がグランド電位に接続される場合もあり、負極に負の電圧を印加する場合もある。そして、高電圧発生装置791により給電ブラシ741,742に異なる電位を印加し、該給電ブラシ741,742が接触する被給電部711,712の導電部721,722に接続された隣り合う櫛歯状電極701,702の相互間で電界が発生して搬送ベルト903上の給電ブラシ741,742の長さ範囲に静電吸着部792が形成され、この静電吸着部792において搬送ベルト903上に載置された紙や合成樹脂等から成る誘電精のシートが該搬送ベルト903に静電吸着されて搬送ベルト903と一体的に搬送される。
【0041】
次に、シート束901のシートを吸着・搬送する時の制御手順について説明する。
【0042】
シート検知センサ904は、シート束の上面部分が搬送ベルト903に接触或は近接する距離内か否かの判断を行える位置に配置されている。リフトアップ機構902は、シート束901の最上面シートの表面をシート検知センサ904で検知できるまでリフトアップし(801,802)、シート検知センサ904で該最上面シートの表面を検知できた時点でリフトアップ停止する(803)。
【0043】
その後、搬送ベルト903の回転を開始すると同時に、給電ブラシ742に電圧を印加する(1106)。シートを吸着する場合には、高電圧発生装置791により給電ブラシ741に+V1ボルト、給電ブラシ742に0ボルトを印加する(804)。+V1ボルトの電圧値は、搬送するシートのサイズやシートの種類、坪量、環境湿度等により最適値に設定される。シートのサイズや種類、坪量は、予めメモリ(図示せず)等に設定して記憶しておいても良い。
【0044】
又、記憶手段を持たない場合には、検知機構を設けておいてシート吸着する際に検知しても良い。環境湿度については、搬送ベルト903付近に湿度センサ(図示せず)を設けておいて、シート吸着する際に湿度検出する構成でも良い。
【0045】
シート検知センサ904でシートが搬送ベルト903に吸着したことを検知すると、縦パスローラ225の回転を開始する(1107)。そして、該シートが縦パスローラ225で搬送開始されたことをシート検知センサ219により検知すると(805)、給電ブラシ741に+V2ボルトを印加する(806)と同時に、搬送ベルト903の回転を停止する(1108)。
【0046】
ここで、+V1ボルトと+V2ボルトは、+V1>+V2の関係にあり、+V2ボルトはシート吸着が可能な電圧よりも低い電圧値である。上記構成によれば、シート束901から吸着・搬送したシートを縦パスローラ225で搬送する場合に、該シートが搬送ベルト903から分離する際に余分な吸引力が作用することを抑えることにより、分離性の向上と摺擦音の低減が可能になる。更に、次のシートの吸引開始時に高電圧発生装置791の印加電圧を+V1まで立ち上げる際の時間が短縮されるため、搬送効率の向上が可能になる。
【0047】
<その他の実施の形態>
本実施形態例では、搬送ベルト903からシートを分離する際に、高電圧発生装置791により給電ブラシ741に+V2ボルトを印加しているが、この、印加電圧は特に+Vボルトと同極の電圧に特定するものではない。
【0048】
例えば、シート吸着時に高電圧発生装置791により給電ブラシ741に+V1ボルト、給電ブラシ742に0ボルトを印加していた場合、シート分離時に高電圧発生装置791により給電ブラシ741に0ボルト、給電ブラシ742に−V3ボルトを印加する構成でも良い。−V3ボルトの電圧値は、+V1ボルトのプラスマイナス反転値でも良く、シートサイズや種類、坪量、環境湿度等に応じた電圧値としても良い。
【0049】
例えば、静電吸着力はシートサイズに反比例して減衰するため、シートサイズが小さい場合には低電圧、大きい場合には高電圧を印加する。シートサイズの判別については、操作部303から予め入力設定しておいても良く、シートを束状に積載しておくシート積載手段にシートサイズ検知手段を設けて、シートを積載した時にサイズを検知する系でも良い。これにより、シートサイズを考慮して、各々の状況に応じた最適な必要最低限な電圧を印加することで、消費電力を抑えることが可能になる。
【0050】
又、シートの種類については、更紙と和紙を例に挙げると、和紙は更紙に対して軽く柔軟であるため、慣性が小さく、尚且つ、電極に良く密着して全面に静電吸着力が働くため、更紙よりも低い電圧でシート吸着することができる。又、OHPシート等のような静電吸着性の高いシートの場合には、シート分離時に吸着力を打ち消す方向の電圧を印加することで、分離不良を防止することが可能になる。
【0051】
そして、シートの坪量については、シートサイズ同様、坪量に反比例して静電吸着力が減衰するため、シート坪量が軽い場合には低電圧、重い場合には高電圧を印加する。これにより、シート坪量を考慮して、各々の状況に応じた最適な必要最低限な電圧を印加することで、消費電力を抑えることが可能になる。
【0052】
更に、静電吸着力は湿度に反比例して減衰するため、低湿度においては低電圧、高湿度においては高電圧を印加する。これにより、環境湿度を考慮して、各々の状況に応じた最適な必要最低限な電圧を印加することで、消費電力を抑えることが可能になる。
【0053】
又、本実施の形態では、シートを静電吸着する構成について説明しているが、この吸着力としては、静電吸着に特に限定するものではなく、エアー吸着等を含めた他の吸着方法を適用しても良い。
【0054】
以下に、エアー吸着方法を適用したシート吸着搬送装置について図8に基づいて説明する。
【0055】
図8はシート吸着搬送装置215及びその周辺部分の拡大図である。
【0056】
図8において、1001はシート束901上の複数枚のシートのうちの最上位のシートが所定の給送位置に保持されていることを検知するシート位置検出センサである。1002はシートを吸引するシート吸引手段であり、1003は多数の吸引孔1004を有するシート搬送ベルトである。シート吸引手段1002は、シートに対面する搬送用開口1008を有するシート吸着部1007と、シート搬送ベルト1003の吸引孔1004及びシート吸着部1007を介してエアーを吸引するブロワ1005と、シート吸着部1007とブロワ1005との間に配置されたバルブ1006とを備えている。
【0057】
一方、シート搬送ベルト1003は、エンドレスの搬送ベルトであり、その全周に亘って上述の多数の吸引孔1004が穿設されている。尚、図8では多数の吸引孔1004のうちの一部を図示している。
【0058】
次に、シート束901のシートを吸着・搬送する時の制御手順について説明する。
【0059】
リフトアップ機構902は、シート束901の最上面シートの表面をシート位置検出センサ1001で検知できるまでリフトアップし、シート位置検出センサ1001で該最上面シートの表面を検知できた時点でリフトアップ停止する。シートを吸着する場合には、ブロワ1005を吸引力が働く回転方向に回転させ、バルブ1006を必要な吸引力P1が確保できるまで開口する。P1の吸引力は、搬送するシートのサイズやシートの種類、坪量、環境湿度等により最適値に設定される。シートのサイズや種類、坪量は、予めメモリ(図示せず)等に設定して記憶しておいても良い。
【0060】
又、記憶手段を持たない場合には、検知機構を設けておいてシート吸着する際に検知しても良い。環境湿度については、搬送ベルト1003付近に湿度センサ(図示せず)を設けておいて、シート吸着する際に湿度検出する構成でも良い。シートを吸着・搬送開始した後、縦パスローラ225により該シートの搬送が開始されたことをシート検知センサ219により検知すると、バルブ1006の開口部を吸引力P2になるまで閉口する。ここで、吸引力P1とP2は、P1>P2の関係にあり、吸引力P2はシート吸着が可能な吸引力よりも低い吸引力である。
【0061】
上記構成によれば、シート束901から吸着・搬送したシートを縦パスローラ225で搬送する場合に、該シートが搬送ベルト903から分離する際に余分な吸引力が作用することを抑えることにより、分離性の向上と摺擦音の低減が可能になる。更に、次のシートの吸引開始時に吸引力をP1まで立ち上げる際の時間が短縮されるため、搬送効率の向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るカラー画像形成装置の全体概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】制御部の要部構成を示すブロック図制御部の要部構成を示すブロック図である。
【図3】ロータリドラムの停止位置を示す図である。
【図4】シート吸着搬送装置の構成を示す模式図制御のフローを示す図である。
【図5】各被給電部及び櫛歯状電極が平面的に互いに重ならないように配置された構成を示す平面図である。
【図6】制御のフローを示す図である。
【図7】制御のタイミングを示す図である。
【図8】エアー吸引力を採用したシート吸着搬送装置の構成図である。
【符号の説明】
【0063】
1 カラーリーダー部
2 カラープリンタ部
903 搬送ベルト
904 シート検知センサ
701,702 櫛歯状電極
711,712 被給電部
721,722 導電部
741,742 給電ブラシ
790 電気ケーブル
791 高電圧発生装置
1001 シート位置検出センサ
1002 シート吸引手段
1003 シート搬送ベルト
1004 吸引孔
1005 ブロワ
1006 バルブ
1007 シート吸着部
1008 搬送用開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段にシートを吸着させるために前記シート搬送手段に吸引力を作用させる吸引力付与手段と、前記吸引力付与手段で前記シート搬送ベルトに付与する吸引力を制御する吸引力制御手段と、を有し、
前記シート搬送手段に吸着しているシートの吸引作用を停止する際に、前記吸引力制御手段が、付与している吸引力を低下させることを特徴とするシート吸着搬送装置。
【請求項2】
シートを搬送するシート搬送手段と、前記シート搬送手段にシートを吸着させるために前記シート搬送手段に吸引力を作用させる吸引力付与手段と、前記吸引力付与手段で前記シート搬送ベルトに付与する吸引力を制御する吸引力制御手段と、を有し、
前記シート搬送手段に吸着しているシートの吸引作用を停止する際に、前記吸引力制御手段が、付与している吸引力を打ち消す方向の力を付与することを特徴とするシート吸着搬送装置。
【請求項3】
前記吸引力付与手段で付与する吸引力が静電力であることを特徴とする請求項1又は2記載のシート吸着搬送装置。
【請求項4】
前記シート搬送手段が搬送ベルトであるシート吸着搬送装置において、前記搬送ベルトに異なる電位が印加される交互に配置された一対の櫛歯状電極が設けられ、該一対の櫛歯状電極の各々の被給電部及び該被給電部に接触して給電する各々の給電部材が前記搬送ベルトに設けられたことを特徴とする請求項3記載のシート吸着搬送装置。
【請求項5】
前記吸引力付与手段で付与する吸引力がエアー吸引力であることを特徴とする請求項1又は2記載のシート吸着搬送装置。
【請求項6】
シート搬送手段の下流位置に設けられた第2のシート搬送手段と、前記シート搬送手段で搬送するシートが前記第2のシート搬送手段で搬送開始されたことを検知する搬送開始検知手段と、を有し、
前記搬送開始検知手段でシート搬送の開始を検知した時に、前記シート搬送手段からシートの吸引作用を停止させるために、前記吸引力制御手段が吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のシート吸着搬送装置。
【請求項7】
搬送するシートのサイズを予め記憶しておくシートサイズ記憶手段を有し、前記シート吸引力制御手段が、前記シートサイズ記憶手段が記憶したシートサイズに基づいて吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシート吸着搬送装置。
【請求項8】
搬送するシートのサイズを検知するシートサイズ検知手段を有し、前記シート吸引力制御手段が、前記シートサイズ検知手段で検知したシートサイズに基づいて吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシート吸着搬送装置。
【請求項9】
搬送するシートの種類を予め記憶しておくシート種類記憶手段を有し、前記シート吸引力制御手段が、前記シート種類記憶手段が記憶したシート種類に基づいて吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシート吸着搬送装置。
【請求項10】
搬送するシートの種類を検知するシート種類検知手段を有し、前記シート吸引力制御手段が、前記シート種類検知手段で検知したシート種類に基づいて吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシート吸着搬送装置。
【請求項11】
搬送するシートの坪量を予め記憶しておくシート坪量記憶手段を有し、前記シート吸引力制御手段が、前記シート坪量記憶手段が記憶したシート坪量に基づいて吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシート吸着搬送装置。
【請求項12】
搬送するシートの坪量を検知するシート坪量検知手段を有し、前記シート吸引力制御手段が、前記シート坪量検知手段で検知したシート坪量に基づいて吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のシート吸着搬送装置。
【請求項13】
湿度を検出する湿度検出手段を有し、前記シート吸引力制御手段が、前記湿度検出手段で検出した湿度に基づいて吸引力を制御することを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載のシート吸着搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−264919(P2006−264919A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86807(P2005−86807)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】