シート後処理装置
【課題】Z折りされたシートが搬送された場合であっても、生産性を落とすことなく、また、対応のための動作機構を別途設ける必要なく、シートを所定の載置位置に確実に載置する。
【解決手段】ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートを戻しコロにて整合位置に戻す際、Z折りシートの後端部から内側折り部までの距離が搬送ローラ対から排紙口までの距離よりも長い場合、Z折りシートの内側折り部が排紙口より外側に位置することとなる。このため、戻しコロにてシートを戻す際、Z折りシートの内側折り部がエンドフェンスに当たるのを防ぐ為、無端ベルト上に位置する放出爪を上面可動から下面可動に切り替わる中間の排紙口近傍で待機させ、待機中の放出爪の背面上にシートを乗せる。
【解決手段】ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートを戻しコロにて整合位置に戻す際、Z折りシートの後端部から内側折り部までの距離が搬送ローラ対から排紙口までの距離よりも長い場合、Z折りシートの内側折り部が排紙口より外側に位置することとなる。このため、戻しコロにてシートを戻す際、Z折りシートの内側折り部がエンドフェンスに当たるのを防ぐ為、無端ベルト上に位置する放出爪を上面可動から下面可動に切り替わる中間の排紙口近傍で待機させ、待機中の放出爪の背面上にシートを乗せる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されたシートに、例えばステープルやスタックなどの後処理を行うシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送されるシートを搬送ローラによりステープルトレイ(第1の載置手段)上に排出し、整合手段による整合、綴じ手段による綴じ処理後、排出ローラによりスタックトレイ(第2の載置手段)上に順次積載する小型のシート処理装置が知られている。
【0003】
こうしたステープルトレイやスタックトレイ上に、通常のシートの他、フェイスダウンのZ折りされたシートを積載・整合してスタックトレイに排出する技術がある。しかし、Z折りシートにおけるステープルトレイ上のスタックにおいて、Z折りシートの内側折り部までの距離が搬送ローラ対から排紙口までの距離より長い場合、Z折りシートの内側折り部が排紙口よりも外側に位置して、整合位置に戻す際に排紙口近傍のエンドフェンスに引っかかり、ステープルトレイ上に適正に積載されない問題があった。
【0004】
そこで、Z折りシートの内側折り部が排紙口よりも外側に位置しないよう、排紙口近傍から排紙方向に向かって補助トレイを移動させる技術が既に知られている。
【0005】
また、適正にスタックトレイにスタックできるよう、搬送ローラによる排出速度を制御する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、本出願人による用紙後処理装置として、シートをトレイから排紙する放出爪の背面を、トレイに進入してくるシート先端を突き当てるストッパとして用いることで、Z折りされたシートの処理不良を解消するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような補助トレイを移動させる技術では、移動させるための機構を設けることで大型になる他、部品点数も多くなることでコストが高くなったり、動作させるための電力を必要とする問題があった。
【0008】
また、上述した特許文献1のように、搬送ローラの排出速度を制御する技術は、生産性を低下させないようにすることについてまで考慮されたものではなかった。
【0009】
また、上述した特許文献2のものは、Z折りシートの内側折り部が排紙口近傍に引っ掛かる問題に対応することについてまで考慮されたものではなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、Z折りされたシートが搬送された場合であっても、生産性を落とすことなく、また、対応のための動作機構を別途設ける必要なく、シートを所定の載置位置に確実に載置することができるシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明に係るシート後処理装置は、搬送されたシートに所定の後処理を行うシート後処理装置であって、搬送されたシートを載置する載置手段と、載置手段における所定の載置位置にシートを搬送する搬送手段と、載置手段に載置されたシートを排紙する排紙手段と、搬送手段および排紙手段の動作制御を行う制御手段と、を備え、排紙手段は、無端ベルトと、該無端ベルトの回転に連動するよう取り付けられた放出爪とを備えて構成され、無端ベルトは、載置手段における載置面と平行に放出爪を移動させる平行可動部分を有するよう配置され、制御手段は、載置手段に積載されるシートの1枚目が該載置手段に搬送されてくる際、放出爪を、無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分および下側平行可動部分の間の位置で待機させるよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、Z折りされたシートが搬送された場合であっても、生産性を落とすことなく、また、対応のための動作機構を別途設ける必要なく、シートを所定の載置位置に確実に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態としてのシート後処理装置(A)の構成を概略的に示す図である。
【図2】放出爪の動作を上からの視点で説明する図である。
【図3】第1の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【図4】第1の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図5】排紙方向におけるZ折りシートの状態を示す図である。
【図6】Z折りされたシートPがエンドフェンスに当たる条件について説明する図である。
【図7】放出爪におけるZ折りされたシートPへの影響長さaを示す図である。
【図8】影響長さaの必要長さを説明する図である。
【図9】第2の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図10】放出爪背面におけるシートとの接触点と放出爪の固定部との間の距離mを示す図である。
【図11】第3の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【図12】第3の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図13】シートのスイッチバック時の状態を示す図である。
【図14】第4の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図15】第5の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け位置を示す斜視図である。
【図16】第5の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け位置を示す縦断面図である。
【図17】放出ローラの先端からシートへの影響部分先端までの排紙方向長さc1、c2を示す図である。
【図18】第6の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【図19】第7の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け状態を示す斜視図である。
【図20】第7の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け状態を示す縦断面図である。
【図21】第7の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係るシート後処理装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
まず、本実施形態の主要な特徴について、概略的に説明する。本実施形態は、Z折りシートでも適正にステープルトレイ(載置手段)にスタックする技術として、以下の特徴を有する。
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートを戻しコロにて整合位置(所定の載置位置)に戻す際、Z折りシートの後端部から内側折り部までの距離が搬送ローラ対から排紙口までの距離よりも長い場合、Z折りシートの内側折り部が排紙口より外側に位置することとなる。このため、本実施形態では、戻しコロにてシートを戻す際、Z折りシートの内側折り部がエンドフェンスに当たるのを防ぐ為、無端ベルト上に位置する放出爪を上面可動から下面可動に切り替わる中間の排紙口近傍で待機させ、待機中の放出爪の背面上にシートを乗せることが特徴になっている。
【0016】
次に、本実施形態の後処理装置の構成について、図1を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態のシート後処理装置(A)の概略説明図である。
【0017】
画像形成装置から排出されてきた画像形成済みのシートは、画像形成装置とシート後処理装置(A)との間に位置する折り装置(不図示)によりZ折りされた状態で、シート後処理装置(A)に搬送される。
【0018】
シート後処理装置(A)は、このZ折りされた状態で搬送されたシートPを受け入れる導入経路(1)と、導入経路(1)から分岐する3つの経路、すなわちプルーフトレイ(6)へ向かう上搬送経路(2)と、シフト処理や端綴じ、2箇所綴じ処理を行うストレート搬送経路(3)と、中綴じ・折り処理を行う下搬送経路(4)と、を有する。
【0019】
導入経路(1)には、入口ローラ(10)、入口センサ(13)が配置され、入口センサ(13)は、シートPがシート後処理装置(A)内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ(10)の下流には搬送ローラ前(11)が配置され、導入経路(1)の終端部の分岐部に位置する分岐爪(7)(8)が配置される。分岐爪(7)(8)は、所定角度まで回動することにより、上搬送経路(2)、ストレート搬送経路(3)、下搬送経路(4)の何れかへとシートPの搬送方向を仕分ける。
【0020】
ストレート搬送経路(3)の入口には搬送ローラ後(12)が配置され、これを経てストレート搬送経路(3)内へとシートPは搬送される。ストレート搬送経路(3)には排紙ローラ(26)、排紙センサ(28)が配置される。ソートモード時は、シフト機構を有する搬送ローラ後(12)が図示しない駆動手段により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動することによってシートPは一定量シフトし、排紙ローラ(26)により排紙トレイ(5)に排紙され順次スタックされていく。
【0021】
排紙トレイ(5)への排出口部は、排紙ローラ(26)と従動ローラ(27)とでシート又はシート束を挟持して排出する対構造となっている。これは、排紙ローラ(26)に対する従動ローラ(27)を備えた排出ガイドの接離動作で、シート又はシート束を挟持して排出可能な閉状態と挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、シートのシフト動作が完了した後、シートを挟持して排紙される。
【0022】
また排紙口上方付近には、フィラー(40)が設けられており、スタックされた時のシートPの中央付近位置に回動自由に配置され、フィラー(40)の先端がシートPの上面に接するようになっている。フィラー(40)の根元付近には、フィラー(40)の先端の高さ位置を検知する上面検知センサ(不図示)があり、これらによりスタックシートPの紙面高さを検知している。
【0023】
ここで、排紙トレイ(5)上の堆積枚数の増大によりシートの高さが上昇するに従って、上面検知センサがオンすると、図示しない制御部は排紙トレイ(5)を上下動させる駆動手段(不図示)を制御し、排紙トレイ(5)を下降させる。排紙トレイ(5)が下降し上面検知センサがオフすると、排紙トレイ(5)の下降を停止する。この動作を繰り返し、排紙トレイ(5)が規定のトレイ満杯高さまで達すると、シート後処理装置から画像形成装置に停止信号を出し、システムの画像形成動作を停止させる。
【0024】
ストレート搬送経路(3)にはステープルトレイ(載置手段)(21)が配置されている。戻しコロ(41)は振り子運動を行ってシートに当接し、後端フェンス(24・25)にシート後端を突き当てることでシート束の縦方向位置を揃える。また、このステープルトレイ(21)上には、紙面と直交する方向に進退して、ステープルトレイ(21)上に排出されたシートPの幅方向位置を揃えるジョガーフェンス(22・23)を有する。このシート束の縦方向、幅方向それぞれの位置を揃える動作を行うことで、ステープルトレイ(21)上に排紙されたシート束Pを揃えてスタックする仕組みになっている。
【0025】
揃えられたシート束Pは、端綴じモード時はステープラ(50)が紙面と直交する方向に移動してシート束の下縁部の適所をステープルし、放出爪(29)によってシート束Pを排紙方向に動作させることで排紙処理を行う。この排紙中に排紙ローラ(26)従動ローラ(27)が挟持することによって排紙トレイ(5)上にシート束を整えて排紙させる仕組みになっている。
【0026】
下搬送経路(4)には中綴じ搬送ローラ(61・62・63)、中綴じステープラ(51)が配置され、シートPを中綴じ位置まで搬送し、シートPの中央に綴じ処理を行い、中綴じ搬送ローラ(62・63)により紙折り部の紙折りストッパ(64)に搬送する。この紙折りストッパ(64)にシートが当接した位置から、紙折りブレード(71)、紙折り板(72)によりシートを中折りし、中折り排紙ローラ(73)によって中綴じトレイ(9)に放出する。
【0027】
下搬送経路(4)へのシートの搬送はストレート搬送経路(3)を通過し、シート先端検知センサ(14)で検知した後、シート後端が下搬送経路(4)の分岐部を通過する時間を待って、分岐爪(8)が切り替えられる。分岐爪(8)が切り替えられると、搬送ローラ(12)が逆回転をし、シートをスイッチバックさせて下搬送経路(4)へと搬送する。
【0028】
また、上述したシート後処理装置における各種ローラやステープラ等の動作制御は、不図示の制御部が、画像形成装置とのデータ送受信、各種センサ情報の取得などを行うことで実現される。
【0029】
次に、本実施形態の主要な特徴について説明する。
本実施形態は、第1の特徴として、画像形成装置より搬送されてきたシートを後処理するシート後処理装置が、搬送されてきたシートを整合位置に送るシート送り手段と、シート整合位置に搬送されたシートを後処理後、放出する手段を備えた放出手段と、を備える。放出手段は、無端ベルトの回動によって動作する機構を備えたシート後処理装置を備え、無端ベルトに装着された放出爪によって、後処理されたシートを排紙するようになっている。
そして、放出爪は、画像形成装置より1枚目のシートが整合位置に搬送される前に、無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分での上面可動から下側平行可動部分での下面可動に切り替わる間の位置で待機するという特徴を有する。
【0030】
図2は、放出爪の動作を上からの視点で説明する図であり、図3は放出爪の動作を横からの視点で説明する図である。
【0031】
放出ベルト(30)は、無端ベルトがローラで両端を引っ張られ、不図示の駆動手段により回動可能とされた構成となっている。放出爪(29、29’)は、こうした無端ベルトのメカ構成を備えた放出ベルト(30)上に設置されており、放出ベルト(30)の回動により、ステープルトレイ(21)上にスタックされたシート又はシート束を排紙方向に排紙する仕組みになっている。
この放出ベルト(30)に備わった放出爪は単数個のみでの制御も可能ではあるが、本実施形態では、2つの放出爪(29、29’)を備えた構成例について説明する。
【0032】
この2つの放出爪(29、29’)の動作は、1つの放出爪(29)がステープルトレイ上、つまり上面可動から下面可動に切り替わると、もう1つの放出爪(29’)が下面可動から上面可動へと切り替わり、両者が対称の動作を行うことを特徴としている。
【0033】
次に、こうした放出爪(29、29’)の動作について、図3<1>〜<4>に沿って説明する。
【0034】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図3<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
図3<2>の状態では、上面可動をしていた放出爪(29)は、補助距離センサ(32)が下面可動の放出爪(29’)を検知するまで可動し、検知後、その場で待機する。
【0035】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図3<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置(整合位置)に戻され、Z折りシートの後端を後端フェンス(24、25)に突き当ててスタックされる。
【0036】
戻しコロ(41)は、図3<4>に示すように、折り処理されたシートをステープル位置に戻した後、HP(Home Position)位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0037】
次に、上述した本実施形態の放出爪(29、29’)の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
放出爪(29)がHP(Home Position)の位置にあるか否かを、その検知のために設けられた放出爪HPセンサ(31)にて判断する。(ステップS1)
もしHP位置にない場合は、放出爪(29)は放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動する。(ステップS2)
【0039】
放出爪(29)がHP位置を検知すると、折り装置より搬送されたシートが後処置装置の入口センサ(13)で検知されるまでHP位置で待機する。(ステップS3)
入口センサ(13)が検知すると、放出爪(29)は所定の待機位置(放出ベルトの上面可動から下面可動への切り替わる中間位置)に向けて移動開始する。(ステップS4)
【0040】
補助距離センサ(32)にて、放出爪(29’)が所定の待機位置まで来たと検知されるまで放出爪(29、29’)は移動を継続する。(ステップS5)
補助距離センサ(32)にて検知すると、放出爪(29、29’)はその位置で移動を停止し、待機する。(ステップS6)
【0041】
その後、戻しコロ(41)がZ折りシートをステープル位置に戻し、シートの後端を後端フェンス(24)に突き当てた後、もとの位置に戻る。
その際、戻しコロ(41)がホームポジション位置に来るまで放出爪(29、29’)は待機状態を維持し(ステップS7)、戻しコロHPセンサ(33)にてHPを検知したら、放出爪(29’)はHP位置である放出位置に移動開始し(ステップS8)、放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動し続ける。(ステップS9)
【0042】
図5は排紙方向におけるZ折りシートの状態を示す図である。
画像形成装置より排紙されたシートは、画像形成装置とシート後処理装置との間に位置するシート折り装置に搬送され、Z折り処理された後、本実施形態のシート後処理装置(A)へと排紙される。
Z折りされたシートはフェイスダウン、つまり図5に示すようにZ折りシートの内側折り部が下側になるように排紙される。
【0043】
図6、図7は、Z折りされたシートPがエンドフェンス(35)に当たる条件について説明する図である。
【0044】
図5に示すようなZ折りシートが搬送ローラ後(12)よりステープルトレイ(21)に排紙され、排紙されたシートはステープル処理を行うため、戻しコロ(41)によって後端フェンス(24、25)に戻される。
【0045】
その際、一般には、図6に示すように、長いシートのZ折りでは、内側折り部がステープルトレイ上に収まらず、エンドフェンス(35)を越えて排紙され、戻しコロ(41)にてスイッチバックする際に排紙されたZ折りシートの内側折り部がエンドフェンス(35)に当たって、後端フェンス(24、25)まで戻らない可能性があり得る。
【0046】
そこで、本実施形態では、図7に示すように放出爪(29、29’)が上面の動作から下面の動作に切り替わる間の排紙口近傍で停止することで、Z折りシートの内側折り部のエンドフェンス(35)への接触防止部分を、放出ベルト(30)の長さだけの場合に比べて、放出爪の背面の距離aだけ伸ばすことができる。
【0047】
ここで、図6に示すように、Z折りシートの内側折り部とエンドフェンス(35)までの距離をxとすると、この距離aがxより大きくなることでZ折りシートの内側の折り部がエンドフェンスに当たることなく後端フェンスまで戻ることができる。こうした構成を実現することが、本実施形態の目的である。
【0048】
次に、具体的に放出爪の背面による必要な距離aについて、図8を参照して説明する。
このZ折りされたシートを搬送ローラ後(12)で搬送する際の速度をvo、搬送ローラがZ折りシートを搬送完了に要する時間をtとすると、搬送距離Xは、
X=vo・t ・・・<式1>
となる。
【0049】
また図8に示すように搬送ローラ(12)とエンドフェンス(35)との距離をx1とすると、図7に示すように、Z折り内側折り部からエンドフェンスまでの必要な距離aは、下記<式2>となる。
【0050】
【数1】
【0051】
<式1>を<式2>に代入すると、下記<式3>が得られる。
【0052】
【数2】
【0053】
以上から、本実施形態のシート後処理装置(A)では、Z折りシートが上述のように搬送ローラ後(12)からステープルトレイ(21)に排紙される際に、少なくとも、上記<式3>の関係式を満たす長さの位置関係となるように、放出爪の背面が待機しているようにする。
【0054】
このことにより、図6により上述したような、Z折りシートの内側折り部がエンドフェンス(35)に当たって後端フェンス(24、25)まで戻らないという問題の発生を、簡単な構成でありながら確実に防止することができる。
【0055】
次に、本実施形態の第2の特徴について説明する。
本実施形態は、第2の特徴として、放出爪が、1枚目のZ折りシートが予め設定された特定サイズ以上の場合に上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機するようにしている。
【0056】
1枚目のシートがZ折りシート以外のシートが選択され、且つ特定サイズのシートより小さいサイズが選択された場合、放出爪は通常の放出動作を行う。
そうすることで、Z折りシート以外の小サイズのシートが搬送された場合は、上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機させる動作を行わないため、電力を削減することができる。
【0057】
ここで、特定サイズ以上のシートとは、上述した図8に示すように搬送ローラ(12)とエンドフェンス(35)との距離x1がZ折りされたシートより長い場合のことを示す。
【0058】
次に、こうした第2の特徴による動作例について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9は、1枚目のシートが特定サイズ以上のZ折りの場合にのみ、図4のフローチャートで上述した制御を行う場合の動作制御例を示すフローチャートである。
【0059】
画像形成装置より、ユーザーがZ折りを指定して搬送する設定となっているのかの情報を受信し、Z折りシートが搬送されてくるのか否かの判定を行う。(ステップS11)
もし搬送されてくるのがZ折りシートでない場合、放出爪はHP位置で待機し(ステップS13)、搬送されてくるのがZ折りシートである場合、画像形成装置からの受信情報などにより、特定サイズ以上のシートかどうかの確認を行う。(ステップS12)
【0060】
もし搬送されてくるZ折りシートが特定サイズ未満のシートサイズである場合、放出爪はHP位置で待機し(ステップS13)、特定サイズ以上のシートサイズである場合、本実施形態の第1の特徴として図4で上述した動作制御を行う。(ステップS14)
その後、ステープルやスタックなどまとめて扱うよう設定された1セットのシート枚数全てについて、画像形成装置より搬送が完了すると(ステップS15)、放出爪は放出動作を行い、排紙処理を行う仕組みになっている。(ステップS16)
【0061】
次に、本実施形態の第3の特徴について説明する。
本実施形態は、第3の特徴として、放出爪は、シートが整合位置に戻される際に、放出方向と逆回動を行う制御を有するようになっている。
図10、図11は、シートのスイッチバック時に放出爪が排紙方向と反対に動作する動作について説明する図である。
【0062】
放出爪を上述のように動作させることにより、放出爪の背面によって排紙方向の距離を伸ばすことができたが、図10に示すように、放出爪背面におけるシートとの接触点と放出爪の固定部との間には距離mがある。
この状態でZ折りシートをスイッチバックした際に、Z折りシートの内側折り部が放出ベルトのローラと接触し、後端フェンスまでスイッチバックできない可能性がある。
【0063】
そこで、スイッチバックする際に放出ベルト(30)を排紙方向と逆方向に回転させ、放出爪背面とZ折りシートの接点位置が少なくともステープルトレイの延長線上より上位置まで戻るようにすることで、確実に後端フェンスまで戻すことができる。
【0064】
次に、こうした放出ベルト(30)の動作について、図11<1>〜<4>に沿って説明する。
【0065】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図11<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
図11<2>の状態では、上面可動をしていた放出爪(29)は、補助距離センサ(32)が下面可動の放出爪(29’)を検知するまで可動し、検知後、その場で待機する。
【0066】
戻しコロHPセンサ(33)にて戻しコロ(41)がHP位置から移動したことを検知すると、図11<3>に示すように、放出ベルト(30)が逆回動を行うことで放出爪(29、29’)は逆回転する。補助距離センサ(32)にて放出爪(29’)が補助距離センサ検知範囲から離れたことが検知された時点で、放出爪(29、29’)は逆回転を停止し、その位置で待機する。
【0067】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図11<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置に戻され、Z折りシートの後端が後端フェンス(24、25)に突き当てられることでスタックされる。
【0068】
戻しコロ(41)は、図11<4>に示すように、折り処理されたシートをステープル位置に戻した後、HP位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0069】
次に、上述した本実施形態の放出爪(29、29’)の動作について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
放出爪(29)がHP(Home Position)の位置にあるか否かを、その検知のために設けられた放出爪HPセンサ(31)にて判断する。(ステップS21)
もしHP位置にない場合は、放出爪(29)は放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動する。(ステップS22)
【0071】
放出爪(29)がHP位置を検知すると、折り装置より搬送されたシートが後処置装置の入口センサ(13)で検知されるまでHP位置で待機する。(ステップS23)
入口センサ(13)が検知すると、放出爪(29、29’)は所定の待機位置(放出ベルトの上面可動から下面可動への切り替わる中間位置)に向けて移動開始する。(ステップS24)
【0072】
補助距離センサ(32)にて、放出爪(29’)が所定の待機位置まで来たと検知されるまで放出爪(29、29’)は移動を継続する。(ステップS25)
補助距離センサ(32)にて検知すると、放出爪(29、29’)はその位置で移動を停止し、待機する。(ステップS26)
【0073】
その後、戻しコロ(41)がZ折りシートをステープル位置に戻すための動作が行われ(ステップS27)、その際、戻しコロ(41)が戻しコロHPセンサ(33)から離れたかを見て、離れたと検知されるまで戻しコロ(41)は動作する。(ステップS28)
【0074】
戻しコロ(41)がHP位置から離れたのを検知したら、放出爪(29、29’)は逆回転動作を行い(ステップS29)、放出爪が補助距離センサ(32)による検知範囲から離れるまで動作する。(ステップS30)
【0075】
放出爪が補助距離センサ(32)による検知範囲から離れたら、放出爪はその位置で移動を停止し、待機状態を維持する。(ステップS31)
そうすることで、戻しコロ(41)によってZ折りシートをスイッチバックする際に、内側折り部が放出ベルトのローラに当たるのを防ぐ制御となっている。
【0076】
戻しコロHPセンサ(33)にてHPを検知したら(ステップS32)、放出爪(29’)はHP位置である放出位置に移動開始し(ステップS33)、放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動し続ける。(ステップS34)
【0077】
次に、本実施形態の第4の特徴について説明する。
本実施形態は、第4の特徴として、ステープルトレイ(21)におけるシート搬入方向の最奥部には、シートの後端部を検知するセンサが設けられ、第3の特徴として上述した放出爪は、特定サイズ以上のシートが搬送されてスタックする際に、シートの後端をセンサで検知しない場合のみ、逆回動を行う制御を行うようになっている。
【0078】
図13はシートのスイッチバック時の状態を示す図であり、図14は制御フローについて説明する図である。
【0079】
ステープルトレイ(21)の後端フェンス(24、25)近傍には、Z折り処理されたシートがスタックされる際に、Z折りシートの後端部を検知する後端センサ(50)が設けられている。
【0080】
不図示の制御部は、シートの排紙方向の長さと排紙される線速から、シートが図1に示す入口センサ(13)を抜けてから後端センサ(50)にたどり着くまでの時間情報を画像形成装置より受信し、この受信された指定時間内に後端センサ(50)がZ折りシートの後端部を検知しない場合のみ、放出爪(29)を逆回動させる制御を行い、シートをシート整合位置に戻しやすくする支えとして動作させるようになっている。
【0081】
このように、第4の特徴による動作例では、上述した本実施形態の動作制御で放出爪が排紙方向に移動し、補助距離センサ(32)にて検知された排紙口近傍の待機位置で待機している状態で、上述した特定サイズ以上のシートPがシート整合位置に戻ることが可能な場合、上述した逆回動を行わないようにする。
このことにより、必要最小限の電力で最適な位置にスタックが可能となる。
【0082】
次に、上述した本実施形態の放出爪(29、29’)の動作例について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0083】
不図示の制御部は、特定サイズ以上のシートが搬送されてくるか否かについて、画像形成装置から受信した情報に基づいて判断する。(ステップS41)
【0084】
特定サイズ以上のシートでない場合は、放出爪は上述した本実施形態の動作を行わず、通常の放出動作のみを行う。(ステップS42)
特定サイズ以上のシートである場合、放出爪は排紙口近傍の待機位置で一旦待機する。(ステップS43)
【0085】
その後、不図示の制御部は、シートが入口センサ(13)を抜けてから所定時間内に、シートを後端センサ(50)にて検知したのかを確認する。(ステップS44)
後端センサ(50)にて時間内にシートが検知されない場合、放出爪は上述した逆回動の動作を行い、シートをシート整合位置に搬送させるための支えとして機能する。(ステップS45)
【0086】
シートが入口センサ(13)を抜けてから所定時間内に後端センサ(50)がシートを検知した場合、排紙口近傍の待機位置で1枚目を支えたまま放出爪は動作しない。(ステップS46)
【0087】
次に、本実施形態の第5の特徴について説明する。
本実施形態では、第5の特徴として、放出爪の形状は、放出ベルトに装着される放出爪下面と放出爪上面とシート後端接触面の3つの面を有するコの字型であり、放出爪下面の放出方向における長さは、少なくとも放出爪上面よりも長く、放出爪下面の放出ベルトとの取り付け位置は、放出爪上面端より外側の位置にあるようになっている。
【0088】
図15、図16、図17は、放出ベルトに対する放出爪の取り付け位置について説明する図である。
放出ベルト(30)に装着されている放出爪(29、29’)は、放出ベルトに装着される放出爪下面とシートスタック上限を定める放出爪上面とシート後端接触面の3つの面を有し、放出爪下面および放出爪上面は、シート後端接触面に連接して設けられたコの字型となっている。放出爪下面の放出方向における長さは、少なくとも放出爪上面よりも長い構造となっている。
【0089】
この放出爪下面の放出ベルトとの取り付け位置は、図15、図16に示すように、シート後端接触面からの距離として、放出爪上面長さより外側の位置にあることが特徴となっている。
図17は、ステープルトレイの延長線上に位置することを基準とし、放出爪取り付け位置(35)が後端部から遠い場合の距離をc1、近い場合の距離をc2とおいてそれぞれ比較すると、放出ローラ(30)の先端から放出爪によるシートへの影響部分先端までの排紙方向の長さは、c1の方が長くなる。
【0090】
これは、放出爪(29)がステープルトレイ(21)の上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機する際に、放出爪(29)が前かがみの状態で停止することでシートの内側折り部との接点が搬送方向側に伸び、スタック距離を伸ばすことができる仕組みになっている。
そうすることで、少しでもZ折りシートの内側折り部がエンドフェンスに当たらないようにしている。
【0091】
次に、本実施形態の第6の特徴について説明する。
本実施形態は、第6の特徴として、第5の特徴による放出爪の取り付け位置を備えた放出手段に、第4の特徴による制御を備えるようになっている。
【0092】
上述した第5の特徴による放出爪の取り付け位置(35)を備えた放出爪(29、29’)、放出ベルト(30)の動作について、図18<1>〜<4>に沿って説明する。
【0093】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図18<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
図18<2>の状態では、上面可動をしていた放出爪(29)は、補助距離センサ(32)が下面可動の放出爪(29’)を検知するまで可動し、検知後、その場で待機する。
【0094】
戻しコロHPセンサ(33)にて戻しコロ(41)がHP位置から移動したことを検知すると、図18<3>に示すように、放出ベルト(30)が逆回動を行うことで放出爪(29、29’)は逆回転する。補助距離センサ(32)にて放出爪(29’)が補助距離センサ検知範囲から離れたことが検知された時点で、放出爪(29、29’)は逆回転を停止し、その位置で待機する。
【0095】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図18<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置に戻され、Z折りシートの後端が後端フェンス(24、25)に突き当てられることでスタックされる。
【0096】
この時、放出爪の取り付け位置(35)が上述のように、放出爪におけるシート後端接触面からの距離として、放出爪上面長さより外の位置にあるため、放出爪(29)によりZ折りシートが少し持ち上げられた状態となり、Z折りシートの内側折り部が放出ベルトのローラに当たることなく、確実にZ折りシートを後端フェンスまでスイッチバックすることができる。
【0097】
折り処理されたシートをステープル位置に戻した後、戻しコロ(41)は、図18<4>に示すように、HP位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0098】
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
他の構成例では、第7の特徴として、放出爪は、第5の特徴として上述した構成に加えて、シート後端接触面の上方に向かって補助部位を備え、放出爪は待機位置にて、ステープルトレイの延長線上より上に位置する部分を有するようになっている。
【0099】
図19、図20、図21は放出爪シート後端接触面の上方に位置する補助部位を備えた構成例について説明する図である。
【0100】
補助部位(36)を備えた放出爪(29、29’)がステープルトレイ上を動作し、図20に示すように、上面動作から下面動作に切り替わる間の位置で待機位置として停止する。
この放出爪の取り付け位置は、シート後端接触面に近い位置で装着されており、補助部位(36)は、この待機位置でステープルトレイの載置面の延長線上より上に位置することが特徴となっている。
【0101】
そうすることで、Z折りシートを整合位置に戻す際に、スタック距離は伸びた状態を維持し、且つ、放出爪(29、29’)の逆回動によりZ折りシートの内側折り部を持ち上げなくても、シート整合位置に戻しやすい機構とすることができる。このため、放出爪(29、29’)を逆回動させる制御を不要とすることができる。
【0102】
次に、こうした放出爪(29、29’)の動作について、図21<1>〜<4>に沿って説明する。
【0103】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図21<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
【0104】
この放出ベルト(30)は、ステッピングモータ等の位置制御を可能とした駆動源(不図示)を有しており、図21<2>に示すように、上面可動から下面可動の切り替わる手前で停止するよう制御を行い、その場で待機する。
【0105】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図21<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置に戻され、Z折りシートの後端を後端フェンス(24、25)に突き当ててスタックされる。
【0106】
戻しコロ(41)は、図21<4>に示すように、Z折りシートをステープル位置に戻した後、HP位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0107】
以上のように、上述した実施形態は、以下の特徴を有する。
第1の特徴として、画像形成装置より搬送されてきたシートを後処理するシート後処理装置が、搬送されてきたシートを整合位置に送るシート送り手段と、シート整合位置に搬送されたシートを後処理後、放出する手段を備えた放出手段と、を備える。放出手段は、無端ベルトの回動によって動作する機構を備えたシート後処理装置を備え、無端ベルトに装着された放出爪によって、後処理されたシートを排紙するようになっている。
そして、放出爪は、画像形成装置より1枚目のシートが整合位置に搬送される前に、無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分での上面可動から下側平行可動部分での下面可動に切り替わる間の位置で待機するという特徴を有する。
【0108】
第1の特徴の効果として、ステープルトレイ上に排紙された1枚目のZ折りシートを、整合位置に戻す際に、エンドフェンスに引っかかるのを防ぐことができる。かつ、生産性を落とすことなくシートのスタックが可能となる。
また、新たな機構を動作させるための駆動部を必要とせず、上記効果が得られるため、構造を簡単にできると共に、そうした駆動部を動作させるための消費電力をなくすことができる。
【0109】
このように、上述した実施形態では、ステープルされたシート束を放出するための放出爪の駆動を利用し、無端ベルト上を動作する放出爪が上面可動から下面可動に切り替わる中間の排紙口近傍で停止し、停止中の放出爪の背面上にシートを乗せることにより、生産性を落とすことなく、また、新たな機構を設ける必要なく、ステープルトレイに適正にスタックすることができる。
【0110】
また、第2の特徴として、上述した第1の特徴としての放出爪は、1枚目のZ折りシートが、特定サイズ以上の場合に上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機することを特徴とする。
【0111】
第2の特徴の効果として、小サイズのシートでは、放出爪が待機位置まで動作する必要がないため、この動作を省き、放出動作のみを行う制御をすることで、シートサイズに応じた最適な放出動作が可能となる。
【0112】
また、第3の特徴として、上述した第1、第2の特徴としての放出爪は、シートが整合位置に戻される際に、放出方向と逆回動を行うように制御されることを特徴とする。
【0113】
第3の特徴の効果として、放出爪の背面上に位置するZ折りシート内側折り部を、放出爪の逆回動により持ち上げることで、シート整合位置に戻しやすくできる。
【0114】
また、第4の特徴として、第4の特徴として、ステープルトレイ(21)におけるシート搬入方向の最奥部には、シートの後端部を検知するセンサが設けられ、上述した第3の特徴としての放出爪は、特定サイズ以上のシートが搬送されてスタックする際に、シートの後端をセンサで検知しない場合のみ、逆回動を行う制御を有することを特徴とする。
【0115】
第4の特徴の効果として、特定サイズ以上のシートがスタック位置に戻る場合、常に逆回動をする必要がなくなるため、電力消費を必要最低限に抑えることできる。
【0116】
また、第5の特徴として、上述した第1の特徴としての放出爪の形状は、放出ベルトに装着される放出爪下面と放出爪上面とシート後端接触面の3つの面を有するコの字型であり、放出爪下面の放出方向における長さは、少なくとも放出爪上面よりも長く、放出爪下面の放出ベルトとの取り付け位置は、放出爪上面端より外側の位置にあることを特徴とする。
【0117】
第5の特徴の効果として、上述した第3の特徴としての特定シートサイズより、さらに大サイズのシートのスタックも可能となる。
【0118】
また、第6の特徴として、上述した実施形態のシート後処理装置は、上述した第5の特徴による放出爪の取り付け位置を備えた放出手段に、上述した第4の特徴による制御を備えたことを特徴とする。
【0119】
第6の特徴の効果として、上述した第3の特徴としての特定シートサイズより、さらに大サイズのシートのスタックが可能となり、さらに放出爪の背面上に位置するZ折りシート内側折り部を持ち上げることで、シートを整合位置に戻す際に、エンドフェンスに引っ掛ることなくスタックが可能となる。
【0120】
また、第7の特徴として、上述した第1の特徴としての放出爪は、上述した構成例における形状に加えて、シート後端接触面の上方に向かって補助部位を備え、放出爪は待機位置にて、ステープルトレイの延長線上より上に位置する部分を有するようになっている。
【0121】
第7の特徴の効果として、大サイズのシートに関しても、放出ベルトの逆回動制御を必要とせず、確実なシートスタックが可能となる。
【0122】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0123】
A シート後処理装置
5 排紙トレイ
6 プルーフトレイ
12 搬送ローラ後
13 入口センサ
21 ステープルトレイ(載置手段の一例)
24、25 後端フェンス
26 排紙ローラ
29 放出爪
30 放出ベルト
31 放出爪HPセンサ
32 補助距離センサ
33 戻しコロHPセンサ
35 エンドフェンス
41 戻しコロ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特開2001−26345号公報
【特許文献2】特開2007−238222号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されたシートに、例えばステープルやスタックなどの後処理を行うシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、搬送されるシートを搬送ローラによりステープルトレイ(第1の載置手段)上に排出し、整合手段による整合、綴じ手段による綴じ処理後、排出ローラによりスタックトレイ(第2の載置手段)上に順次積載する小型のシート処理装置が知られている。
【0003】
こうしたステープルトレイやスタックトレイ上に、通常のシートの他、フェイスダウンのZ折りされたシートを積載・整合してスタックトレイに排出する技術がある。しかし、Z折りシートにおけるステープルトレイ上のスタックにおいて、Z折りシートの内側折り部までの距離が搬送ローラ対から排紙口までの距離より長い場合、Z折りシートの内側折り部が排紙口よりも外側に位置して、整合位置に戻す際に排紙口近傍のエンドフェンスに引っかかり、ステープルトレイ上に適正に積載されない問題があった。
【0004】
そこで、Z折りシートの内側折り部が排紙口よりも外側に位置しないよう、排紙口近傍から排紙方向に向かって補助トレイを移動させる技術が既に知られている。
【0005】
また、適正にスタックトレイにスタックできるよう、搬送ローラによる排出速度を制御する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、本出願人による用紙後処理装置として、シートをトレイから排紙する放出爪の背面を、トレイに進入してくるシート先端を突き当てるストッパとして用いることで、Z折りされたシートの処理不良を解消するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような補助トレイを移動させる技術では、移動させるための機構を設けることで大型になる他、部品点数も多くなることでコストが高くなったり、動作させるための電力を必要とする問題があった。
【0008】
また、上述した特許文献1のように、搬送ローラの排出速度を制御する技術は、生産性を低下させないようにすることについてまで考慮されたものではなかった。
【0009】
また、上述した特許文献2のものは、Z折りシートの内側折り部が排紙口近傍に引っ掛かる問題に対応することについてまで考慮されたものではなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、Z折りされたシートが搬送された場合であっても、生産性を落とすことなく、また、対応のための動作機構を別途設ける必要なく、シートを所定の載置位置に確実に載置することができるシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明に係るシート後処理装置は、搬送されたシートに所定の後処理を行うシート後処理装置であって、搬送されたシートを載置する載置手段と、載置手段における所定の載置位置にシートを搬送する搬送手段と、載置手段に載置されたシートを排紙する排紙手段と、搬送手段および排紙手段の動作制御を行う制御手段と、を備え、排紙手段は、無端ベルトと、該無端ベルトの回転に連動するよう取り付けられた放出爪とを備えて構成され、無端ベルトは、載置手段における載置面と平行に放出爪を移動させる平行可動部分を有するよう配置され、制御手段は、載置手段に積載されるシートの1枚目が該載置手段に搬送されてくる際、放出爪を、無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分および下側平行可動部分の間の位置で待機させるよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、Z折りされたシートが搬送された場合であっても、生産性を落とすことなく、また、対応のための動作機構を別途設ける必要なく、シートを所定の載置位置に確実に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態としてのシート後処理装置(A)の構成を概略的に示す図である。
【図2】放出爪の動作を上からの視点で説明する図である。
【図3】第1の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【図4】第1の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図5】排紙方向におけるZ折りシートの状態を示す図である。
【図6】Z折りされたシートPがエンドフェンスに当たる条件について説明する図である。
【図7】放出爪におけるZ折りされたシートPへの影響長さaを示す図である。
【図8】影響長さaの必要長さを説明する図である。
【図9】第2の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図10】放出爪背面におけるシートとの接触点と放出爪の固定部との間の距離mを示す図である。
【図11】第3の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【図12】第3の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図13】シートのスイッチバック時の状態を示す図である。
【図14】第4の特徴としての動作例を示すフローチャートである。
【図15】第5の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け位置を示す斜視図である。
【図16】第5の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け位置を示す縦断面図である。
【図17】放出ローラの先端からシートへの影響部分先端までの排紙方向長さc1、c2を示す図である。
【図18】第6の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【図19】第7の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け状態を示す斜視図である。
【図20】第7の特徴としての放出爪の放出ベルトへの取り付け状態を示す縦断面図である。
【図21】第7の特徴における動作例を横からの視点で説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係るシート後処理装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
まず、本実施形態の主要な特徴について、概略的に説明する。本実施形態は、Z折りシートでも適正にステープルトレイ(載置手段)にスタックする技術として、以下の特徴を有する。
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートを戻しコロにて整合位置(所定の載置位置)に戻す際、Z折りシートの後端部から内側折り部までの距離が搬送ローラ対から排紙口までの距離よりも長い場合、Z折りシートの内側折り部が排紙口より外側に位置することとなる。このため、本実施形態では、戻しコロにてシートを戻す際、Z折りシートの内側折り部がエンドフェンスに当たるのを防ぐ為、無端ベルト上に位置する放出爪を上面可動から下面可動に切り替わる中間の排紙口近傍で待機させ、待機中の放出爪の背面上にシートを乗せることが特徴になっている。
【0016】
次に、本実施形態の後処理装置の構成について、図1を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態のシート後処理装置(A)の概略説明図である。
【0017】
画像形成装置から排出されてきた画像形成済みのシートは、画像形成装置とシート後処理装置(A)との間に位置する折り装置(不図示)によりZ折りされた状態で、シート後処理装置(A)に搬送される。
【0018】
シート後処理装置(A)は、このZ折りされた状態で搬送されたシートPを受け入れる導入経路(1)と、導入経路(1)から分岐する3つの経路、すなわちプルーフトレイ(6)へ向かう上搬送経路(2)と、シフト処理や端綴じ、2箇所綴じ処理を行うストレート搬送経路(3)と、中綴じ・折り処理を行う下搬送経路(4)と、を有する。
【0019】
導入経路(1)には、入口ローラ(10)、入口センサ(13)が配置され、入口センサ(13)は、シートPがシート後処理装置(A)内へ搬入されたことを検知する。入口ローラ(10)の下流には搬送ローラ前(11)が配置され、導入経路(1)の終端部の分岐部に位置する分岐爪(7)(8)が配置される。分岐爪(7)(8)は、所定角度まで回動することにより、上搬送経路(2)、ストレート搬送経路(3)、下搬送経路(4)の何れかへとシートPの搬送方向を仕分ける。
【0020】
ストレート搬送経路(3)の入口には搬送ローラ後(12)が配置され、これを経てストレート搬送経路(3)内へとシートPは搬送される。ストレート搬送経路(3)には排紙ローラ(26)、排紙センサ(28)が配置される。ソートモード時は、シフト機構を有する搬送ローラ後(12)が図示しない駆動手段により、搬送中に搬送方向と直角方向に一定量移動することによってシートPは一定量シフトし、排紙ローラ(26)により排紙トレイ(5)に排紙され順次スタックされていく。
【0021】
排紙トレイ(5)への排出口部は、排紙ローラ(26)と従動ローラ(27)とでシート又はシート束を挟持して排出する対構造となっている。これは、排紙ローラ(26)に対する従動ローラ(27)を備えた排出ガイドの接離動作で、シート又はシート束を挟持して排出可能な閉状態と挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっており、シートのシフト動作が完了した後、シートを挟持して排紙される。
【0022】
また排紙口上方付近には、フィラー(40)が設けられており、スタックされた時のシートPの中央付近位置に回動自由に配置され、フィラー(40)の先端がシートPの上面に接するようになっている。フィラー(40)の根元付近には、フィラー(40)の先端の高さ位置を検知する上面検知センサ(不図示)があり、これらによりスタックシートPの紙面高さを検知している。
【0023】
ここで、排紙トレイ(5)上の堆積枚数の増大によりシートの高さが上昇するに従って、上面検知センサがオンすると、図示しない制御部は排紙トレイ(5)を上下動させる駆動手段(不図示)を制御し、排紙トレイ(5)を下降させる。排紙トレイ(5)が下降し上面検知センサがオフすると、排紙トレイ(5)の下降を停止する。この動作を繰り返し、排紙トレイ(5)が規定のトレイ満杯高さまで達すると、シート後処理装置から画像形成装置に停止信号を出し、システムの画像形成動作を停止させる。
【0024】
ストレート搬送経路(3)にはステープルトレイ(載置手段)(21)が配置されている。戻しコロ(41)は振り子運動を行ってシートに当接し、後端フェンス(24・25)にシート後端を突き当てることでシート束の縦方向位置を揃える。また、このステープルトレイ(21)上には、紙面と直交する方向に進退して、ステープルトレイ(21)上に排出されたシートPの幅方向位置を揃えるジョガーフェンス(22・23)を有する。このシート束の縦方向、幅方向それぞれの位置を揃える動作を行うことで、ステープルトレイ(21)上に排紙されたシート束Pを揃えてスタックする仕組みになっている。
【0025】
揃えられたシート束Pは、端綴じモード時はステープラ(50)が紙面と直交する方向に移動してシート束の下縁部の適所をステープルし、放出爪(29)によってシート束Pを排紙方向に動作させることで排紙処理を行う。この排紙中に排紙ローラ(26)従動ローラ(27)が挟持することによって排紙トレイ(5)上にシート束を整えて排紙させる仕組みになっている。
【0026】
下搬送経路(4)には中綴じ搬送ローラ(61・62・63)、中綴じステープラ(51)が配置され、シートPを中綴じ位置まで搬送し、シートPの中央に綴じ処理を行い、中綴じ搬送ローラ(62・63)により紙折り部の紙折りストッパ(64)に搬送する。この紙折りストッパ(64)にシートが当接した位置から、紙折りブレード(71)、紙折り板(72)によりシートを中折りし、中折り排紙ローラ(73)によって中綴じトレイ(9)に放出する。
【0027】
下搬送経路(4)へのシートの搬送はストレート搬送経路(3)を通過し、シート先端検知センサ(14)で検知した後、シート後端が下搬送経路(4)の分岐部を通過する時間を待って、分岐爪(8)が切り替えられる。分岐爪(8)が切り替えられると、搬送ローラ(12)が逆回転をし、シートをスイッチバックさせて下搬送経路(4)へと搬送する。
【0028】
また、上述したシート後処理装置における各種ローラやステープラ等の動作制御は、不図示の制御部が、画像形成装置とのデータ送受信、各種センサ情報の取得などを行うことで実現される。
【0029】
次に、本実施形態の主要な特徴について説明する。
本実施形態は、第1の特徴として、画像形成装置より搬送されてきたシートを後処理するシート後処理装置が、搬送されてきたシートを整合位置に送るシート送り手段と、シート整合位置に搬送されたシートを後処理後、放出する手段を備えた放出手段と、を備える。放出手段は、無端ベルトの回動によって動作する機構を備えたシート後処理装置を備え、無端ベルトに装着された放出爪によって、後処理されたシートを排紙するようになっている。
そして、放出爪は、画像形成装置より1枚目のシートが整合位置に搬送される前に、無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分での上面可動から下側平行可動部分での下面可動に切り替わる間の位置で待機するという特徴を有する。
【0030】
図2は、放出爪の動作を上からの視点で説明する図であり、図3は放出爪の動作を横からの視点で説明する図である。
【0031】
放出ベルト(30)は、無端ベルトがローラで両端を引っ張られ、不図示の駆動手段により回動可能とされた構成となっている。放出爪(29、29’)は、こうした無端ベルトのメカ構成を備えた放出ベルト(30)上に設置されており、放出ベルト(30)の回動により、ステープルトレイ(21)上にスタックされたシート又はシート束を排紙方向に排紙する仕組みになっている。
この放出ベルト(30)に備わった放出爪は単数個のみでの制御も可能ではあるが、本実施形態では、2つの放出爪(29、29’)を備えた構成例について説明する。
【0032】
この2つの放出爪(29、29’)の動作は、1つの放出爪(29)がステープルトレイ上、つまり上面可動から下面可動に切り替わると、もう1つの放出爪(29’)が下面可動から上面可動へと切り替わり、両者が対称の動作を行うことを特徴としている。
【0033】
次に、こうした放出爪(29、29’)の動作について、図3<1>〜<4>に沿って説明する。
【0034】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図3<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
図3<2>の状態では、上面可動をしていた放出爪(29)は、補助距離センサ(32)が下面可動の放出爪(29’)を検知するまで可動し、検知後、その場で待機する。
【0035】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図3<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置(整合位置)に戻され、Z折りシートの後端を後端フェンス(24、25)に突き当ててスタックされる。
【0036】
戻しコロ(41)は、図3<4>に示すように、折り処理されたシートをステープル位置に戻した後、HP(Home Position)位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0037】
次に、上述した本実施形態の放出爪(29、29’)の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
放出爪(29)がHP(Home Position)の位置にあるか否かを、その検知のために設けられた放出爪HPセンサ(31)にて判断する。(ステップS1)
もしHP位置にない場合は、放出爪(29)は放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動する。(ステップS2)
【0039】
放出爪(29)がHP位置を検知すると、折り装置より搬送されたシートが後処置装置の入口センサ(13)で検知されるまでHP位置で待機する。(ステップS3)
入口センサ(13)が検知すると、放出爪(29)は所定の待機位置(放出ベルトの上面可動から下面可動への切り替わる中間位置)に向けて移動開始する。(ステップS4)
【0040】
補助距離センサ(32)にて、放出爪(29’)が所定の待機位置まで来たと検知されるまで放出爪(29、29’)は移動を継続する。(ステップS5)
補助距離センサ(32)にて検知すると、放出爪(29、29’)はその位置で移動を停止し、待機する。(ステップS6)
【0041】
その後、戻しコロ(41)がZ折りシートをステープル位置に戻し、シートの後端を後端フェンス(24)に突き当てた後、もとの位置に戻る。
その際、戻しコロ(41)がホームポジション位置に来るまで放出爪(29、29’)は待機状態を維持し(ステップS7)、戻しコロHPセンサ(33)にてHPを検知したら、放出爪(29’)はHP位置である放出位置に移動開始し(ステップS8)、放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動し続ける。(ステップS9)
【0042】
図5は排紙方向におけるZ折りシートの状態を示す図である。
画像形成装置より排紙されたシートは、画像形成装置とシート後処理装置との間に位置するシート折り装置に搬送され、Z折り処理された後、本実施形態のシート後処理装置(A)へと排紙される。
Z折りされたシートはフェイスダウン、つまり図5に示すようにZ折りシートの内側折り部が下側になるように排紙される。
【0043】
図6、図7は、Z折りされたシートPがエンドフェンス(35)に当たる条件について説明する図である。
【0044】
図5に示すようなZ折りシートが搬送ローラ後(12)よりステープルトレイ(21)に排紙され、排紙されたシートはステープル処理を行うため、戻しコロ(41)によって後端フェンス(24、25)に戻される。
【0045】
その際、一般には、図6に示すように、長いシートのZ折りでは、内側折り部がステープルトレイ上に収まらず、エンドフェンス(35)を越えて排紙され、戻しコロ(41)にてスイッチバックする際に排紙されたZ折りシートの内側折り部がエンドフェンス(35)に当たって、後端フェンス(24、25)まで戻らない可能性があり得る。
【0046】
そこで、本実施形態では、図7に示すように放出爪(29、29’)が上面の動作から下面の動作に切り替わる間の排紙口近傍で停止することで、Z折りシートの内側折り部のエンドフェンス(35)への接触防止部分を、放出ベルト(30)の長さだけの場合に比べて、放出爪の背面の距離aだけ伸ばすことができる。
【0047】
ここで、図6に示すように、Z折りシートの内側折り部とエンドフェンス(35)までの距離をxとすると、この距離aがxより大きくなることでZ折りシートの内側の折り部がエンドフェンスに当たることなく後端フェンスまで戻ることができる。こうした構成を実現することが、本実施形態の目的である。
【0048】
次に、具体的に放出爪の背面による必要な距離aについて、図8を参照して説明する。
このZ折りされたシートを搬送ローラ後(12)で搬送する際の速度をvo、搬送ローラがZ折りシートを搬送完了に要する時間をtとすると、搬送距離Xは、
X=vo・t ・・・<式1>
となる。
【0049】
また図8に示すように搬送ローラ(12)とエンドフェンス(35)との距離をx1とすると、図7に示すように、Z折り内側折り部からエンドフェンスまでの必要な距離aは、下記<式2>となる。
【0050】
【数1】
【0051】
<式1>を<式2>に代入すると、下記<式3>が得られる。
【0052】
【数2】
【0053】
以上から、本実施形態のシート後処理装置(A)では、Z折りシートが上述のように搬送ローラ後(12)からステープルトレイ(21)に排紙される際に、少なくとも、上記<式3>の関係式を満たす長さの位置関係となるように、放出爪の背面が待機しているようにする。
【0054】
このことにより、図6により上述したような、Z折りシートの内側折り部がエンドフェンス(35)に当たって後端フェンス(24、25)まで戻らないという問題の発生を、簡単な構成でありながら確実に防止することができる。
【0055】
次に、本実施形態の第2の特徴について説明する。
本実施形態は、第2の特徴として、放出爪が、1枚目のZ折りシートが予め設定された特定サイズ以上の場合に上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機するようにしている。
【0056】
1枚目のシートがZ折りシート以外のシートが選択され、且つ特定サイズのシートより小さいサイズが選択された場合、放出爪は通常の放出動作を行う。
そうすることで、Z折りシート以外の小サイズのシートが搬送された場合は、上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機させる動作を行わないため、電力を削減することができる。
【0057】
ここで、特定サイズ以上のシートとは、上述した図8に示すように搬送ローラ(12)とエンドフェンス(35)との距離x1がZ折りされたシートより長い場合のことを示す。
【0058】
次に、こうした第2の特徴による動作例について、図9のフローチャートを参照して説明する。図9は、1枚目のシートが特定サイズ以上のZ折りの場合にのみ、図4のフローチャートで上述した制御を行う場合の動作制御例を示すフローチャートである。
【0059】
画像形成装置より、ユーザーがZ折りを指定して搬送する設定となっているのかの情報を受信し、Z折りシートが搬送されてくるのか否かの判定を行う。(ステップS11)
もし搬送されてくるのがZ折りシートでない場合、放出爪はHP位置で待機し(ステップS13)、搬送されてくるのがZ折りシートである場合、画像形成装置からの受信情報などにより、特定サイズ以上のシートかどうかの確認を行う。(ステップS12)
【0060】
もし搬送されてくるZ折りシートが特定サイズ未満のシートサイズである場合、放出爪はHP位置で待機し(ステップS13)、特定サイズ以上のシートサイズである場合、本実施形態の第1の特徴として図4で上述した動作制御を行う。(ステップS14)
その後、ステープルやスタックなどまとめて扱うよう設定された1セットのシート枚数全てについて、画像形成装置より搬送が完了すると(ステップS15)、放出爪は放出動作を行い、排紙処理を行う仕組みになっている。(ステップS16)
【0061】
次に、本実施形態の第3の特徴について説明する。
本実施形態は、第3の特徴として、放出爪は、シートが整合位置に戻される際に、放出方向と逆回動を行う制御を有するようになっている。
図10、図11は、シートのスイッチバック時に放出爪が排紙方向と反対に動作する動作について説明する図である。
【0062】
放出爪を上述のように動作させることにより、放出爪の背面によって排紙方向の距離を伸ばすことができたが、図10に示すように、放出爪背面におけるシートとの接触点と放出爪の固定部との間には距離mがある。
この状態でZ折りシートをスイッチバックした際に、Z折りシートの内側折り部が放出ベルトのローラと接触し、後端フェンスまでスイッチバックできない可能性がある。
【0063】
そこで、スイッチバックする際に放出ベルト(30)を排紙方向と逆方向に回転させ、放出爪背面とZ折りシートの接点位置が少なくともステープルトレイの延長線上より上位置まで戻るようにすることで、確実に後端フェンスまで戻すことができる。
【0064】
次に、こうした放出ベルト(30)の動作について、図11<1>〜<4>に沿って説明する。
【0065】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図11<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
図11<2>の状態では、上面可動をしていた放出爪(29)は、補助距離センサ(32)が下面可動の放出爪(29’)を検知するまで可動し、検知後、その場で待機する。
【0066】
戻しコロHPセンサ(33)にて戻しコロ(41)がHP位置から移動したことを検知すると、図11<3>に示すように、放出ベルト(30)が逆回動を行うことで放出爪(29、29’)は逆回転する。補助距離センサ(32)にて放出爪(29’)が補助距離センサ検知範囲から離れたことが検知された時点で、放出爪(29、29’)は逆回転を停止し、その位置で待機する。
【0067】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図11<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置に戻され、Z折りシートの後端が後端フェンス(24、25)に突き当てられることでスタックされる。
【0068】
戻しコロ(41)は、図11<4>に示すように、折り処理されたシートをステープル位置に戻した後、HP位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0069】
次に、上述した本実施形態の放出爪(29、29’)の動作について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
放出爪(29)がHP(Home Position)の位置にあるか否かを、その検知のために設けられた放出爪HPセンサ(31)にて判断する。(ステップS21)
もしHP位置にない場合は、放出爪(29)は放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動する。(ステップS22)
【0071】
放出爪(29)がHP位置を検知すると、折り装置より搬送されたシートが後処置装置の入口センサ(13)で検知されるまでHP位置で待機する。(ステップS23)
入口センサ(13)が検知すると、放出爪(29、29’)は所定の待機位置(放出ベルトの上面可動から下面可動への切り替わる中間位置)に向けて移動開始する。(ステップS24)
【0072】
補助距離センサ(32)にて、放出爪(29’)が所定の待機位置まで来たと検知されるまで放出爪(29、29’)は移動を継続する。(ステップS25)
補助距離センサ(32)にて検知すると、放出爪(29、29’)はその位置で移動を停止し、待機する。(ステップS26)
【0073】
その後、戻しコロ(41)がZ折りシートをステープル位置に戻すための動作が行われ(ステップS27)、その際、戻しコロ(41)が戻しコロHPセンサ(33)から離れたかを見て、離れたと検知されるまで戻しコロ(41)は動作する。(ステップS28)
【0074】
戻しコロ(41)がHP位置から離れたのを検知したら、放出爪(29、29’)は逆回転動作を行い(ステップS29)、放出爪が補助距離センサ(32)による検知範囲から離れるまで動作する。(ステップS30)
【0075】
放出爪が補助距離センサ(32)による検知範囲から離れたら、放出爪はその位置で移動を停止し、待機状態を維持する。(ステップS31)
そうすることで、戻しコロ(41)によってZ折りシートをスイッチバックする際に、内側折り部が放出ベルトのローラに当たるのを防ぐ制御となっている。
【0076】
戻しコロHPセンサ(33)にてHPを検知したら(ステップS32)、放出爪(29’)はHP位置である放出位置に移動開始し(ステップS33)、放出爪HPセンサ(31)が検知するまで移動し続ける。(ステップS34)
【0077】
次に、本実施形態の第4の特徴について説明する。
本実施形態は、第4の特徴として、ステープルトレイ(21)におけるシート搬入方向の最奥部には、シートの後端部を検知するセンサが設けられ、第3の特徴として上述した放出爪は、特定サイズ以上のシートが搬送されてスタックする際に、シートの後端をセンサで検知しない場合のみ、逆回動を行う制御を行うようになっている。
【0078】
図13はシートのスイッチバック時の状態を示す図であり、図14は制御フローについて説明する図である。
【0079】
ステープルトレイ(21)の後端フェンス(24、25)近傍には、Z折り処理されたシートがスタックされる際に、Z折りシートの後端部を検知する後端センサ(50)が設けられている。
【0080】
不図示の制御部は、シートの排紙方向の長さと排紙される線速から、シートが図1に示す入口センサ(13)を抜けてから後端センサ(50)にたどり着くまでの時間情報を画像形成装置より受信し、この受信された指定時間内に後端センサ(50)がZ折りシートの後端部を検知しない場合のみ、放出爪(29)を逆回動させる制御を行い、シートをシート整合位置に戻しやすくする支えとして動作させるようになっている。
【0081】
このように、第4の特徴による動作例では、上述した本実施形態の動作制御で放出爪が排紙方向に移動し、補助距離センサ(32)にて検知された排紙口近傍の待機位置で待機している状態で、上述した特定サイズ以上のシートPがシート整合位置に戻ることが可能な場合、上述した逆回動を行わないようにする。
このことにより、必要最小限の電力で最適な位置にスタックが可能となる。
【0082】
次に、上述した本実施形態の放出爪(29、29’)の動作例について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0083】
不図示の制御部は、特定サイズ以上のシートが搬送されてくるか否かについて、画像形成装置から受信した情報に基づいて判断する。(ステップS41)
【0084】
特定サイズ以上のシートでない場合は、放出爪は上述した本実施形態の動作を行わず、通常の放出動作のみを行う。(ステップS42)
特定サイズ以上のシートである場合、放出爪は排紙口近傍の待機位置で一旦待機する。(ステップS43)
【0085】
その後、不図示の制御部は、シートが入口センサ(13)を抜けてから所定時間内に、シートを後端センサ(50)にて検知したのかを確認する。(ステップS44)
後端センサ(50)にて時間内にシートが検知されない場合、放出爪は上述した逆回動の動作を行い、シートをシート整合位置に搬送させるための支えとして機能する。(ステップS45)
【0086】
シートが入口センサ(13)を抜けてから所定時間内に後端センサ(50)がシートを検知した場合、排紙口近傍の待機位置で1枚目を支えたまま放出爪は動作しない。(ステップS46)
【0087】
次に、本実施形態の第5の特徴について説明する。
本実施形態では、第5の特徴として、放出爪の形状は、放出ベルトに装着される放出爪下面と放出爪上面とシート後端接触面の3つの面を有するコの字型であり、放出爪下面の放出方向における長さは、少なくとも放出爪上面よりも長く、放出爪下面の放出ベルトとの取り付け位置は、放出爪上面端より外側の位置にあるようになっている。
【0088】
図15、図16、図17は、放出ベルトに対する放出爪の取り付け位置について説明する図である。
放出ベルト(30)に装着されている放出爪(29、29’)は、放出ベルトに装着される放出爪下面とシートスタック上限を定める放出爪上面とシート後端接触面の3つの面を有し、放出爪下面および放出爪上面は、シート後端接触面に連接して設けられたコの字型となっている。放出爪下面の放出方向における長さは、少なくとも放出爪上面よりも長い構造となっている。
【0089】
この放出爪下面の放出ベルトとの取り付け位置は、図15、図16に示すように、シート後端接触面からの距離として、放出爪上面長さより外側の位置にあることが特徴となっている。
図17は、ステープルトレイの延長線上に位置することを基準とし、放出爪取り付け位置(35)が後端部から遠い場合の距離をc1、近い場合の距離をc2とおいてそれぞれ比較すると、放出ローラ(30)の先端から放出爪によるシートへの影響部分先端までの排紙方向の長さは、c1の方が長くなる。
【0090】
これは、放出爪(29)がステープルトレイ(21)の上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機する際に、放出爪(29)が前かがみの状態で停止することでシートの内側折り部との接点が搬送方向側に伸び、スタック距離を伸ばすことができる仕組みになっている。
そうすることで、少しでもZ折りシートの内側折り部がエンドフェンスに当たらないようにしている。
【0091】
次に、本実施形態の第6の特徴について説明する。
本実施形態は、第6の特徴として、第5の特徴による放出爪の取り付け位置を備えた放出手段に、第4の特徴による制御を備えるようになっている。
【0092】
上述した第5の特徴による放出爪の取り付け位置(35)を備えた放出爪(29、29’)、放出ベルト(30)の動作について、図18<1>〜<4>に沿って説明する。
【0093】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図18<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
図18<2>の状態では、上面可動をしていた放出爪(29)は、補助距離センサ(32)が下面可動の放出爪(29’)を検知するまで可動し、検知後、その場で待機する。
【0094】
戻しコロHPセンサ(33)にて戻しコロ(41)がHP位置から移動したことを検知すると、図18<3>に示すように、放出ベルト(30)が逆回動を行うことで放出爪(29、29’)は逆回転する。補助距離センサ(32)にて放出爪(29’)が補助距離センサ検知範囲から離れたことが検知された時点で、放出爪(29、29’)は逆回転を停止し、その位置で待機する。
【0095】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図18<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置に戻され、Z折りシートの後端が後端フェンス(24、25)に突き当てられることでスタックされる。
【0096】
この時、放出爪の取り付け位置(35)が上述のように、放出爪におけるシート後端接触面からの距離として、放出爪上面長さより外の位置にあるため、放出爪(29)によりZ折りシートが少し持ち上げられた状態となり、Z折りシートの内側折り部が放出ベルトのローラに当たることなく、確実にZ折りシートを後端フェンスまでスイッチバックすることができる。
【0097】
折り処理されたシートをステープル位置に戻した後、戻しコロ(41)は、図18<4>に示すように、HP位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0098】
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
他の構成例では、第7の特徴として、放出爪は、第5の特徴として上述した構成に加えて、シート後端接触面の上方に向かって補助部位を備え、放出爪は待機位置にて、ステープルトレイの延長線上より上に位置する部分を有するようになっている。
【0099】
図19、図20、図21は放出爪シート後端接触面の上方に位置する補助部位を備えた構成例について説明する図である。
【0100】
補助部位(36)を備えた放出爪(29、29’)がステープルトレイ上を動作し、図20に示すように、上面動作から下面動作に切り替わる間の位置で待機位置として停止する。
この放出爪の取り付け位置は、シート後端接触面に近い位置で装着されており、補助部位(36)は、この待機位置でステープルトレイの載置面の延長線上より上に位置することが特徴となっている。
【0101】
そうすることで、Z折りシートを整合位置に戻す際に、スタック距離は伸びた状態を維持し、且つ、放出爪(29、29’)の逆回動によりZ折りシートの内側折り部を持ち上げなくても、シート整合位置に戻しやすい機構とすることができる。このため、放出爪(29、29’)を逆回動させる制御を不要とすることができる。
【0102】
次に、こうした放出爪(29、29’)の動作について、図21<1>〜<4>に沿って説明する。
【0103】
折り処理されたシートを入口センサ(13)が検知すると、図21<1>〜<2>に示すように、放出爪(29、29’)が放出ベルト(30)の回動によって排紙方向に動作し、折り処理されたシートは、搬送ローラ(12)にてステープルトレイ(21)上に搬送される。
【0104】
この放出ベルト(30)は、ステッピングモータ等の位置制御を可能とした駆動源(不図示)を有しており、図21<2>に示すように、上面可動から下面可動の切り替わる手前で停止するよう制御を行い、その場で待機する。
【0105】
ステープルトレイ上に搬送されたZ折りシートは、図21<3>に示すように、戻しコロ(41)によってステープル位置に戻され、Z折りシートの後端を後端フェンス(24、25)に突き当ててスタックされる。
【0106】
戻しコロ(41)は、図21<4>に示すように、Z折りシートをステープル位置に戻した後、HP位置に戻り、戻しコロHPセンサ(33)にて検知後、放出爪(29’)はシートの放出位置に移動する。
その後、スタックされたシート束は、ステープラ(50)によってシートの端及びシートの2箇所綴じが行われ、放出爪(29’)によって排紙トレイに放出される。
【0107】
以上のように、上述した実施形態は、以下の特徴を有する。
第1の特徴として、画像形成装置より搬送されてきたシートを後処理するシート後処理装置が、搬送されてきたシートを整合位置に送るシート送り手段と、シート整合位置に搬送されたシートを後処理後、放出する手段を備えた放出手段と、を備える。放出手段は、無端ベルトの回動によって動作する機構を備えたシート後処理装置を備え、無端ベルトに装着された放出爪によって、後処理されたシートを排紙するようになっている。
そして、放出爪は、画像形成装置より1枚目のシートが整合位置に搬送される前に、無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分での上面可動から下側平行可動部分での下面可動に切り替わる間の位置で待機するという特徴を有する。
【0108】
第1の特徴の効果として、ステープルトレイ上に排紙された1枚目のZ折りシートを、整合位置に戻す際に、エンドフェンスに引っかかるのを防ぐことができる。かつ、生産性を落とすことなくシートのスタックが可能となる。
また、新たな機構を動作させるための駆動部を必要とせず、上記効果が得られるため、構造を簡単にできると共に、そうした駆動部を動作させるための消費電力をなくすことができる。
【0109】
このように、上述した実施形態では、ステープルされたシート束を放出するための放出爪の駆動を利用し、無端ベルト上を動作する放出爪が上面可動から下面可動に切り替わる中間の排紙口近傍で停止し、停止中の放出爪の背面上にシートを乗せることにより、生産性を落とすことなく、また、新たな機構を設ける必要なく、ステープルトレイに適正にスタックすることができる。
【0110】
また、第2の特徴として、上述した第1の特徴としての放出爪は、1枚目のZ折りシートが、特定サイズ以上の場合に上面可動から下面可動に切り替わる間の位置で待機することを特徴とする。
【0111】
第2の特徴の効果として、小サイズのシートでは、放出爪が待機位置まで動作する必要がないため、この動作を省き、放出動作のみを行う制御をすることで、シートサイズに応じた最適な放出動作が可能となる。
【0112】
また、第3の特徴として、上述した第1、第2の特徴としての放出爪は、シートが整合位置に戻される際に、放出方向と逆回動を行うように制御されることを特徴とする。
【0113】
第3の特徴の効果として、放出爪の背面上に位置するZ折りシート内側折り部を、放出爪の逆回動により持ち上げることで、シート整合位置に戻しやすくできる。
【0114】
また、第4の特徴として、第4の特徴として、ステープルトレイ(21)におけるシート搬入方向の最奥部には、シートの後端部を検知するセンサが設けられ、上述した第3の特徴としての放出爪は、特定サイズ以上のシートが搬送されてスタックする際に、シートの後端をセンサで検知しない場合のみ、逆回動を行う制御を有することを特徴とする。
【0115】
第4の特徴の効果として、特定サイズ以上のシートがスタック位置に戻る場合、常に逆回動をする必要がなくなるため、電力消費を必要最低限に抑えることできる。
【0116】
また、第5の特徴として、上述した第1の特徴としての放出爪の形状は、放出ベルトに装着される放出爪下面と放出爪上面とシート後端接触面の3つの面を有するコの字型であり、放出爪下面の放出方向における長さは、少なくとも放出爪上面よりも長く、放出爪下面の放出ベルトとの取り付け位置は、放出爪上面端より外側の位置にあることを特徴とする。
【0117】
第5の特徴の効果として、上述した第3の特徴としての特定シートサイズより、さらに大サイズのシートのスタックも可能となる。
【0118】
また、第6の特徴として、上述した実施形態のシート後処理装置は、上述した第5の特徴による放出爪の取り付け位置を備えた放出手段に、上述した第4の特徴による制御を備えたことを特徴とする。
【0119】
第6の特徴の効果として、上述した第3の特徴としての特定シートサイズより、さらに大サイズのシートのスタックが可能となり、さらに放出爪の背面上に位置するZ折りシート内側折り部を持ち上げることで、シートを整合位置に戻す際に、エンドフェンスに引っ掛ることなくスタックが可能となる。
【0120】
また、第7の特徴として、上述した第1の特徴としての放出爪は、上述した構成例における形状に加えて、シート後端接触面の上方に向かって補助部位を備え、放出爪は待機位置にて、ステープルトレイの延長線上より上に位置する部分を有するようになっている。
【0121】
第7の特徴の効果として、大サイズのシートに関しても、放出ベルトの逆回動制御を必要とせず、確実なシートスタックが可能となる。
【0122】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0123】
A シート後処理装置
5 排紙トレイ
6 プルーフトレイ
12 搬送ローラ後
13 入口センサ
21 ステープルトレイ(載置手段の一例)
24、25 後端フェンス
26 排紙ローラ
29 放出爪
30 放出ベルト
31 放出爪HPセンサ
32 補助距離センサ
33 戻しコロHPセンサ
35 エンドフェンス
41 戻しコロ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0124】
【特許文献1】特開2001−26345号公報
【特許文献2】特開2007−238222号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されたシートに所定の後処理を行うシート後処理装置であって、
搬送されたシートを載置する載置手段と、
前記載置手段における所定の載置位置にシートを搬送する搬送手段と、
載置手段に載置されたシートを排紙する排紙手段と、
前記搬送手段および前記排紙手段の動作制御を行う制御手段と、を備え、
前記排紙手段は、無端ベルトと、該無端ベルトの回転に連動するよう取り付けられた放出爪とを備えて構成され、
前記無端ベルトは、前記載置手段における載置面と平行に前記放出爪を移動させる平行可動部分を有するよう配置され、
前記制御手段は、前記載置手段に積載されるシートの1枚目が該載置手段に搬送されてくる際、前記放出爪を、前記無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分および下側平行可動部分の間の位置で待機させるよう制御することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記載置手段に積載されるシートの1枚目が、Z折りされ、所定サイズ以上のシートサイズである場合に、前記放出爪を、前記無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分および下側平行可動部分の間の位置で待機させるよう制御することを特徴とする請求項1記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、シートを搬送する1対の搬送ローラと、前記搬送ローラから搬送されたシートを前記載置手段の載置面に載置させるコロと、を備え、
前記制御手段は、前記載置手段に積載されるシートの1枚目が前記搬送ローラから搬送され、前記コロが前記載置手段の載置面への載置動作を開始してから該シートが所定位置に載置される間に、前記無端ベルトを排紙方向とは逆方向に所定量だけ回転させるよう制御することを特徴とする請求項1または2記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記シート後処理装置へシートを搬入する入口でシートを検知する第1のシート検知手段と、
前記載置手段におけるシート搬入方向の最奥部でシートを検知する第2のシート検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1のシート検出手段でシートが検知されてから所定時間内に前記第2のシート検出手段でシートが検知されない場合、前記無端ベルトを排紙方向とは逆方向に所定量だけ回転させるよう制御することを特徴とする請求項3記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記放出爪は、前記無端ベルトに取り付けられる放出爪下面と、放出爪上面と、シート後端接触面とを備えて構成され、
前記放出爪下面および前記放出爪上面は、前記シート後端接触面に連接して設けられ、
前記放出爪が上側平行可動部分に位置する場合の前記放出爪下面の排紙方向における長さは、少なくとも放出爪上面の排紙方向における長さよりも長く、
前記放出爪下面における前記無端ベルトへの取り付け位置は、前記シート後端接触面に対して、前記放出爪が上側平行可動部分に位置する場合の排紙方向における前記放出爪上面端よりも外側の位置であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記放出爪は、前記無端ベルトに取り付けられる放出爪下面と、放出爪上面と、シート後端接触面と、補助部位とを備えて構成され、
前記放出爪下面および前記放出爪上面は、前記シート後端接触面に連接して設けられ、
前記補助部位は、前記シート後端接触面に対して前記無端ベルトと反対側となるよう、該シート後端接触面に連接して設けられ、
前記放出爪は、前記待機位置を前記上側平行可動部分の近傍とした場合に、該待機位置で前記載置手段の載置面よりも上側に位置する部分を有するよう構成されたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項1】
搬送されたシートに所定の後処理を行うシート後処理装置であって、
搬送されたシートを載置する載置手段と、
前記載置手段における所定の載置位置にシートを搬送する搬送手段と、
載置手段に載置されたシートを排紙する排紙手段と、
前記搬送手段および前記排紙手段の動作制御を行う制御手段と、を備え、
前記排紙手段は、無端ベルトと、該無端ベルトの回転に連動するよう取り付けられた放出爪とを備えて構成され、
前記無端ベルトは、前記載置手段における載置面と平行に前記放出爪を移動させる平行可動部分を有するよう配置され、
前記制御手段は、前記載置手段に積載されるシートの1枚目が該載置手段に搬送されてくる際、前記放出爪を、前記無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分および下側平行可動部分の間の位置で待機させるよう制御することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記載置手段に積載されるシートの1枚目が、Z折りされ、所定サイズ以上のシートサイズである場合に、前記放出爪を、前記無端ベルトにおける載置面に平行な上側平行可動部分および下側平行可動部分の間の位置で待機させるよう制御することを特徴とする請求項1記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、シートを搬送する1対の搬送ローラと、前記搬送ローラから搬送されたシートを前記載置手段の載置面に載置させるコロと、を備え、
前記制御手段は、前記載置手段に積載されるシートの1枚目が前記搬送ローラから搬送され、前記コロが前記載置手段の載置面への載置動作を開始してから該シートが所定位置に載置される間に、前記無端ベルトを排紙方向とは逆方向に所定量だけ回転させるよう制御することを特徴とする請求項1または2記載のシート後処理装置。
【請求項4】
前記シート後処理装置へシートを搬入する入口でシートを検知する第1のシート検知手段と、
前記載置手段におけるシート搬入方向の最奥部でシートを検知する第2のシート検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1のシート検出手段でシートが検知されてから所定時間内に前記第2のシート検出手段でシートが検知されない場合、前記無端ベルトを排紙方向とは逆方向に所定量だけ回転させるよう制御することを特徴とする請求項3記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記放出爪は、前記無端ベルトに取り付けられる放出爪下面と、放出爪上面と、シート後端接触面とを備えて構成され、
前記放出爪下面および前記放出爪上面は、前記シート後端接触面に連接して設けられ、
前記放出爪が上側平行可動部分に位置する場合の前記放出爪下面の排紙方向における長さは、少なくとも放出爪上面の排紙方向における長さよりも長く、
前記放出爪下面における前記無端ベルトへの取り付け位置は、前記シート後端接触面に対して、前記放出爪が上側平行可動部分に位置する場合の排紙方向における前記放出爪上面端よりも外側の位置であることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のシート後処理装置。
【請求項6】
前記放出爪は、前記無端ベルトに取り付けられる放出爪下面と、放出爪上面と、シート後端接触面と、補助部位とを備えて構成され、
前記放出爪下面および前記放出爪上面は、前記シート後端接触面に連接して設けられ、
前記補助部位は、前記シート後端接触面に対して前記無端ベルトと反対側となるよう、該シート後端接触面に連接して設けられ、
前記放出爪は、前記待機位置を前記上側平行可動部分の近傍とした場合に、該待機位置で前記載置手段の載置面よりも上側に位置する部分を有するよう構成されたことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のシート後処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−6688(P2013−6688A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142218(P2011−142218)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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