説明

シート成形装置

【課題】シート成形における歩留まりを向上し得るシート成形装置を提供する。
【解決手段】被成形材料を押出口11から前方に押し出す材料押出部と、材料押出部から押し出される被成形材料を受け入れて、軸心が水平方向又は略水平方向に沿う姿勢で上下方向に並ぶ一対のロールにてシート状に成形して払い出す材料圧延部と、材料押出部と材料圧延部との間において材料押出部から押し出される被成形材料を一時的に貯留する材料貯留部3とが設けられたシート成形装置であって、材料貯留部3における左右両側を区画する左右一対の側壁部3G夫々が、一対のロールの間に進入するロール間進入部分32と、一対のロールよりも押出口11側の押出口ロール間部分31とを備えて構成され、一対の側壁部3G夫々の内面3Sのうち、少なくとも押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右方向の間隔である左右間隔が、下方側ほど広くなるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被成形材料を押出口から前方に押し出す材料押出部と、前記材料押出部から押し出される被成形材料を受け入れて、軸心が水平方向又は略水平方向に沿う姿勢で上下方向に並ぶ一対のロールにてシート状に成形して払い出す材料圧延部と、前記材料押出部と前記材料圧延部との間において前記材料押出部から押し出される被成形材料を一時的に貯留する材料貯留部とが設けられたシート成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるシート成形装置は、被成形材料をシート状に成形してシート状材を製造するものである。そして、その運転では、材料押出部から押し出される被成形材料が材料貯留部にて一時的に貯留され、そのように材料貯留部にて一時的に貯留されている被成形材料が材料圧延部の一対のロールによりシート状に成形されながら払い出される。
被成形材料としては、例えば、タイヤ用コンパウンド等のゴム材料が挙げられる。
【0003】
このようなシート成形装置において、材料貯留部における左右両側を区画する左右一対の側壁部夫々は、一対のロールの間に進入するロール間進入部分と、一対のロールよりも押出口側の押出口ロール間部分とを備えて構成される。
そして、従来では、一対の側壁部夫々の内面のうち、押出口ロール間部分の内面同士の左右方向の間隔である左右間隔が、押出口の左右方向の幅よりも広くなる条件で、上下方向において一定になるように構成されていた(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−1631号公報
【特許文献2】実公平8−1069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、押出口から材料貯留部に押し出された被成形材料は、左右方向に広がりつつ、回転する一対のロールに引っ張られて前方に進み、一対のロールの間隙に進入してシート状に成形される。
しかしながら、従来のシート成形装置では、一対の側壁部夫々の内面のうち、押出口ロール間部分の内面同士の左右間隔が、上下方向において一定になるように構成されている。そのため、押出口から材料貯留部に押し出された被成形材料のうちの上方側の被成形材料は、左右方向に広がって側壁部の押出口ロール間部分の内面に当たると下方に流動し難い。従って、押出口の前面視において、押出口の口縁と押出口ロール間部分の内面との間における上方側の領域に、被成形材料が押出口ロール間部分の内面に当たったままで滞留する滞留域が生じ易く、しかも、その滞留域が広くなり易い。
そして、このように、押出口の前面視において、押出口の口縁と押出口ロール間部分の内面との間における上方側の領域に、被成形材料の広い滞留域が生じると、被成形材料の流動が阻害され、その下流の材料貯留部内における側壁部の内面近傍に被成形材料が十分に充填され難い。そのため、一対のロールの間隙に進入する被成形材料の左右方向の幅が狭くなったり、左右方向の端部の量が少なくなったりして、成形されたシート状材の幅(以下「シート幅」と呼ぶ。)が不安定になって、シート状材の左右方向のエッジにシート幅方向の凹凸が生じ易い。
【0006】
ところで、材料供給源からの材料押出部への被成形材料の供給が終了時期に近付くと、シート状材の払い出し量を変化させるように材料圧延部が制御される場合がある。このようなときに、上述のようなシート状材のエッジの凹凸の発生が顕著になる。つまり、材料押出部の材料押出量と材料圧延部の材料払い出し量とのバランスが崩れると、シート状材のエッジに凹凸が発生し易くなるのである。
【0007】
そして、シート状材のエッジに凹凸が生じると、シート状材のシート幅が目標シート幅よりも狭くなって、不良として処理される場合があり、しかも、生じたエッジの凹部が深いと、シート状材に裂け目が入り、シート状材が切断する場合があるので、歩留まりが低下し易く、被成形材料のシート成形における歩留まりを向上する上で改善の余地があった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート成形における歩留まりを向上し得るシート成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るシート成形装置は、被成形材料を押出口から前方に押し出す材料押出部と、前記材料押出部から押し出される被成形材料を受け入れて、軸心が水平方向又は略水平方向に沿う姿勢で上下方向に並ぶ一対のロールにてシート状に成形して払い出す材料圧延部と、前記材料押出部と前記材料圧延部との間において前記材料押出部から押し出される被成形材料を一時的に貯留する材料貯留部とが設けられたシート成形装置であって、その特徴構成は、
前記材料貯留部における左右両側を区画する左右一対の側壁部夫々が、前記一対のロールの間に進入するロール間進入部分と、前記一対のロールよりも前記押出口側の押出口ロール間部分とを備えて構成され、
前記一対の側壁部夫々の内面のうち、少なくとも前記押出口ロール間部分の内面同士の左右方向の間隔である左右間隔が、下方側ほど広くなるように構成されている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、押出口ロール間部分における材料貯留部の左右方向の幅が下方側ほど広くなるので、押出口から材料貯留部に押し出された被成形材料を材料貯留部に充填するにあたり、押出口ロール間部分の内面に沿って下方に向かう被成形材料の流動が発生する。これにより、押出口の前面視において、押出口の口縁と押出口ロール間部分の内面との間における上方側の領域には、従来の如き被成形材料の滞留域が生じ難くなる。
また、材料貯留部の左右方向の幅が下方側ほど広くなり、さらに上述した被成形材料の下方に向かう流動が発生することから、下側のロールの外周面において極力広い領域に被成形材料を接触させることができる。
つまり、押出口から材料貯留部に押し出された被成形材料が効果的に下側のロールに向けて流動し、下側のロールの外周面に沿って左右方向に広がるので、左右方向の幅のバラツキを抑制した状態で、被成形材料が一対のロールの間隙に進入することになる。これにより、シート幅が狭くなるのが抑制されて、シート状材のエッジに凹凸が生じるのが抑制される。
従って、シート成形における歩留まりを向上し得るシート成形装置を提供することができるようになった。
【0011】
本発明に係るシート成形装置の更なる特徴構成は、前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面における上端部同士の左右間隔が、前記押出口の左右方向の幅よりも狭くなるように構成されている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、押出口の前面視において、押出口の口縁と押出口ロール間部分の内面との間における上方側の領域に、従来の如き滞留域が生じるのをより一層抑制することができる。
従って、左右方向の幅のバラツキをより一層抑制した状態で、被成形材料を一対のロールの間隙に進入させることができるので、シート状材のエッジに凹凸が生じるのをより一層抑制することができようになり、シート成形における歩留まりをより一層向上することができる。
【0013】
本発明に係るシート成形装置の更なる特徴構成は、前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面が、下方側ほど左右方向の外側に位置する傾斜面で構成され、
前記押出口に対する前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面の相対位置関係が、前記押出口からの被成形材料の押出方向に沿う前面視で、前記押出口の口縁に外側から近接する又は接する状態となるように構成されている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、一対の押出口ロール間部分夫々の内面が、下方側ほど左右方向の外側に位置する傾斜面で構成されているので、その傾斜面により、押出口から材料貯留部に押し出された被成形材料は左右方向に広がりながら一層下方に流動し易くなる。
又、押出口からの被成形材料の押出方向に沿う前面視で、一対の押出口ロール間部分夫々の内面が押出口の口縁に外側から近接する又は接する状態となっているので、材料押出部による材料貯留部への被成形材料の押し出しを妨げるのを防止しながら、押出口の前面視において、押出口の口縁と押出口ロール間部分の内面との間における上方側の領域に、被成形材料の滞留域が生じるのを極力抑制することができる。
従って、左右方向の幅のバラツキを更に抑制した状態で、被成形材料を一対のロールの間隙に進入させることができるので、シート状材のエッジに凹凸が生じるのを更に抑制することができようになり、シート成形における歩留まりを更に向上することができる。
【0015】
本発明に係るシート成形装置の更なる特徴構成は、前記一対の側壁部における内面同士の左右間隔が、前記押出口からの被成形材料の押出方向に沿って、前記一対のロールの側に向かうほど広くなるように構成されている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、押出口から材料貯留部に押し出された被成形材料を、左右方向に広げながら前方に向けて流動させることができる
つまり、一対の側壁部夫々の内面のうち、少なくとも押出口ロール間部分の内面同士の左右間隔が下方側ほど広くなっていることによる作用との相乗作用により、左右方向の幅のバラツキを更に抑制した状態で、被成形材料を一対のロールの間隙に進入させることができる。
従って、シート成形における歩留まりを更に向上することができる。
【0017】
本発明に係るシート成形装置の更なる特徴構成は、前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面における下端部同士の左右間隔が、前記一対のロール間進入部分夫々の内面における前端部同士の左右間隔と同一又はその左右間隔よりも狭くなるように構成されている点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、一対のロールの間隙に進入させる被成形材料が過剰となるのを防止しながら、押出口から材料貯留部に押し出された被成形材料を、一対のロール間進入部分夫々の内面における前端部同士の間に一杯になるように左右方向に広げて、一対のロールの間隙に進入させることができる。
ちなみに、一対のロール間進入部分夫々の内面における前端部同士の左右間隔は、被成形材料を一対のロールによりシート状に成形する際の成形幅を規定するものである。
尚、一対の押出口ロール間部分夫々の内面における下端部同士の左右間隔を、一対のロール間進入部分夫々の内面における前端部同士の左右間隔よりも広くすると、一対のロールの間隙に進入するまでに被成形材料が左右方向に広がり過ぎるので、無駄な被成形材料の流動が発生するため、シート成形を円滑に行い難い。
従って、左右方向の幅のバラツキを更に抑制した状態で、被成形材料を一対のロールの間隙に進入させることができるので、シート成形における歩留まりを更に向上することができる。
【0019】
本発明に係るシート成形装置の更なる特徴構成は、前記材料貯留部が、上部が開口するように構成され、
前記材料貯留部に貯留されている被成形材料に対して、上部から押圧部材を押圧することにより圧力を印加する圧力印加部が設けられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、材料貯留部内の被成形材料に対して、上部から押圧部材を押圧して適切な圧力を印加するので、材料貯留部が過圧状態となるのを回避できる。これにより、材料貯留部内を流動する被成形材料を左右方向に良好に広げることができる。
そして、押圧部材により、貯留部内の被成形材料をその左右方向の中央部近傍において上方から押圧することになるので、貯留部内において被成形材料を左右方向に効果的に広げながら流動させることができる。
従って、左右方向の幅のバラツキを更に抑制した状態で、被成形材料を一対のロールの間隙に進入させることができるので、シート成形における歩留まりを更に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】シート成形装置の全体構成を示す左側面図
【図2】圧力印加部、材料貯留部及び材料圧延部を示す縦断左側面図
【図3】材料貯留部を示す縦断前面図
【図4】材料貯留部を示す横断平面図
【図5】材料貯留部を示す斜視図
【図6】図2のVI−VI方向での断面図
【図7】側壁部の押出口ロール間部分を示す図
【図8】側壁部のロール間進入部分を示す図
【図9】材料貯留部における被成形材料の流動状態を説明するための材料貯留部の縦断前面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
図1に示すように、シート成形装置は、被成形材料Mを押出口11から前方に押し出す材料押出部1と、その材料押出部1から押し出される被成形材料Mを受け入れて、軸心21aが水平方向に沿う姿勢で上下方向に並ぶ一対のロール21にてシート状に成形して払い出す材料圧延部2と、材料押出部1と材料圧延部2との間において材料押出部1から押し出される被成形材料Mを一時的に貯留する材料貯留部3と、運転を制御する制御部C等を備えて構成されている。
又、材料圧延部2とその材料圧延部2にてシート状材Msを引き入れて所定の処理を施すシート材処理装置70との間の搬送部には、シート状材Msを弛ませるバッファ部60が設けられている。
【0023】
この実施形態では、材料貯留部3が、上部に上部開口部3Oを有する上部開放状に構成されている。
そして、材料貯留部3に貯留されている被成形材料Mに対して、材料押出部1からの被成形材料Mの押出方向(以下、材料押出方向と記載する場合がある)Dsに交差する下向きの材料押圧方向Dpに、押圧部材41を押圧させることにより圧力を印加する圧力印加部4が設けられている。
【0024】
次に、シート成形装置の各部について説明を加える。尚、以下では、図3における左右方向、上下方向を、それぞれ、左右方向、上下方向に定義して説明する。
図1、図2及び図4に示すように、材料圧延部2の一対のロール21は、上側のロール21が下側のロール21よりも材料貯留部3側とは反対側(前方側)に位置する前倒れ傾斜状にて上下方向に沿って並設されている。
上側及び下側のロール21の一方が、モーターなどの回転駆動装置22により被成形材料Mを送り出すべく回転駆動され、その駆動される一方のロール21は、他方のロール21を逆方向に従動回転させるべく、他方のロール21にギア(図示省略)を介して連動連結されている。尚、上下一対のロール21のうち、駆動回転するロール21は上下いずれでも良く、また、両ロール21をそれぞれ単独駆動させても良い。ちなみに、一対のロール21は、材料貯留部3内に面する側では夫々の外周面が互いに近づくように、互いに逆方向に回転される。
【0025】
そして、ロール21の回転速度を制御することにより、材料圧延部2による材料払い出し量を制御するように構成されている。
この実施形態では、ロール21の回転速度を通常速度とその通常速度よりも速い高速度の2段階に切り換えることにより、材料圧延部2の出力を2段階に切り換え自在なように構成されている。
【0026】
図1〜図4に示すように、材料押出部1は、水平方向に並設された2軸のテーパースクリュー13を備えて構成されている。
2軸のテーパースクリュー13は、回転軸心13aが先端側ほど互いに近づき(図4参照)、且つ、回転軸心13aが先端側ほど下方になる(図1及び図2参照)傾斜姿勢でケーシング14内に配設されている。
このケーシング14は、内部空間が前方側ほど狭くなる先細り状に構成されており、その先端開口部には、長方形の四隅を曲線とした形状の押出口11が形成された押出口形成体12が取り付けられている。
つまり、材料押出部1は、材料押出方向Dsが先方ほど下方になる斜め下向き方向になるように構成されている。
【0027】
このテーパースクリュー13の回転速度を制御することにより、材料押出部1による材料押出量を制御するように構成されている。
そして、この実施形態では、テーパースクリュー13の回転速度を通常速度とその通常速度よりも速い高速度の2段階に切り換えることにより、材料押出部1の出力を2段階に切り換え自在なように構成されている。
【0028】
図1及び図2に示すように、材料押出部1及び材料圧延部2は、側面視で、押出口11の中心を通り材料押出方向Dsに沿って前方に延ばした仮想線のやや下方に一対のロール21の間隙21Gが位置する相対位置関係で配設されている。
そして、図1〜図4に示すように、材料貯留部3は、それら材料押出部1と材料圧延部2との間に、それらの間の左右両側を押出口11の上端よりも高い位置から押出口11の下端よりも低い位置までの範囲にわたって囲むように配設されている。
【0029】
図1〜図4に示すように、材料押出部1と材料圧延部2との間において、押出口形成体12の左右両側には、夫々の側において材料押出部1と材料圧延部2との間を閉じるように側壁部3Gが設けられ、更に、材料圧延部2の下側のロール21が押出口形成体12の押出口11よりも下方側の箇所に当接又は近接する状態で設けられている。そして、材料貯留部3が、押出口形成体12、左右一対の側壁部3G及び一対のロール21により仕切られる形態で、上部に上部開口部3Oを有する上部開放状に形成されている。
この上部開口部3Oは、押出口形成体12、左右両側の側壁部3G及び上側のロール21により囲まれる矩形状に構成されている。
図1〜図5に示すように、材料貯留部3における左右両側を区画する左右一対の側壁部3G夫々が、一対のロール21の間に進入するロール間進入部分32と、一対のロール21よりも押出口11側の押出口ロール間部分31とを備えて構成されている。
【0030】
図3及び図5に示すように、本発明では、一対の側壁部3G夫々の内面3Sのうち、少なくとも押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右方向の間隔である左右間隔が、下方側ほど広くなるように構成されている。
【0031】
以下、一対の側壁部3Gについて、説明を加える。
図2〜図8に示すように、各側壁部3Gのうちの押出口ロール間部分31は、一対のロール21と押出口形成体12との間に位置する部分であり、ロール間進入部分32は、押出口ロール間部分31から前方に延びて一対のロール21間をその間隙21Gの手前近傍にまで延びるように構成されている。
尚、左右一対の押出口ロール間部分31は、互いに面対称となるように構成され、図7は、左右一対の押出口ロール間部分31のうちの右側の押出口ロール間部分31を示す図であり、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は下面図、(e)は左上前方から見た斜視図である。
又、左右一対のロール間進入部分32も、互いに面対称となるように構成され、図8は、左右一対のロール間進入部分32のうちの右側のロール間進入部分32を示す図であり、(a)は左上前方から見た斜視図、(b)は左側面図、(c)は後面図、(d)は平面図、(e)は右側面図、(f)は斜め上前方から見た図である。
【0032】
図2、図5及び図7に示すように、押出口ロール間部分31は、左右方向視での外形形状が、縦長でしかも下底が上底に比べてかなり短い形態の概略直角台形状であり、その縦長直角台形状の押出口ロール間部分31が、両端側に概ね直角の角部が存在する後面を押出口形成体12の前面における押出口11の左又は右側に当接させた状態で配設される。
その押出口ロール間部分31における材料貯留部3内に面する内面31Sは、上方部分の平行内面部分31aと、その下方側に連なる下方広がり内面部分31bと、平行内面部分31aの下方側に位置して下方広がり内面部分31bの前方側に連なる下方前方両広がり内面部分31cとから成る。
【0033】
図2、図5及び図7に示すように、押出口ロール間部分31の内面31Sの平行内面部分31aは、材料押出方向Dsと材料押圧方向Dpとの両方向に平行な面に構成されている。
図2、図3、図5、図6及び図7に示すように、押出口ロール間部分31の内面31Sの下方広がり内面部分31bは、材料押出方向Dsに平行で、材料押圧方向Dpにおいては下方側ほど左右方向の外側に位置する下方広がり状の傾斜面に構成されている。
又、この押出口ロール間部分31の内面31Sの下方広がり内面部分31bは、左右方向での側面視で、底辺が押出口ロール間部分31の内面31Sの略全幅にわたり、且つ、頂点が概略直角台形状の押出口ロール間部分31における内面31Sの下底の後端に位置する縦長の概略逆三角形状に構成されている。
【0034】
押出口ロール間部分31の内面31Sの下方前方両広がり内面部分31cは、材料押出方向Dsにおいては前方側ほど左右方向の外側に位置し、且つ、材料押圧方向Dpにおいては下方側ほど左右方向の外側に位置する形態で、下方と前方の両方向に向けて広がる傾斜面に構成されている。
又、この押出口ロール間部分31の内面31Sの下方前方両広がり内面部分31cは、左右方向の側面視で、頂点が逆三角形状の下方広がり内面部分31bの底辺部分の前端に位置し、底辺が直角台形状の押出口ロール間部分31における内面31Sの下底全長にわたる縦長の概略三角形状に構成されている。
【0035】
つまり、この実施形態では、押出口ロール間部分31の内面31Sのうちで、押圧部材41の上下方向における移動範囲の下限位置(詳細は後述)よりも下方の全域において、一対の押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右間隔が、下方側ほど広くなるように構成されていることになる。
【0036】
図2、図3、図5及び図8に示すように、ロール間進入部分32は、左右方向視での外形形状が、頂点部分が前方(一対のロール21の間隙21Gの側)を向く概略二等辺三角形状である。そして、そのロール間進入部分32の後方(押出口11の側)を向く端面部分(即ち、概略二等辺三角形状の底辺に対応する縁部に沿う端面部分)は、平面状に形成され、ロール間進入部分32における一対のロール21夫々に対向する端面部分(即ち、概略二等辺三角形状の頂点を挟む長さが等しい辺に対応する縁部に沿う端面部分)は、各ロール21と同心円の円弧状に湾入する湾入面32dとなるように構成されている。
【0037】
又、ロール間進入部分32における材料貯留部3内に面する内面32Sは、左右方向視において、後端縁の上方側に寄った部分と下方側の湾曲状端縁の後方側に寄った部分とを結ぶ第1線分の後方側の部分である下方広がり内面部分32aと、その第1線分と、上方側の湾曲状端縁の前方に寄った部分と下方側の湾曲状端縁の前方側に寄った部分とを結ぶ第2線分との間の部分である前方広がり内面部分32bと、その第2線分から前端にまで延びる平行内面部分32cとからなる。
【0038】
図2、図5、図6及び図8に示すように、ロール間進入部分32の内面32Sの下方広がり内面部分32aは、材料押出方向Dsに平行で、材料押圧方向Dpにおいては下方側ほど左右方向の外側に位置する下方広がり状の傾斜面に構成されている。
ロール間進入部分32の内面の前方広がり内面部分32bは、材料押出方向Dsにおいては前方側ほど左右方向の外側に位置し、且つ、材料押圧方向Dpに平行な前方広がり状の傾斜面に構成されている。
ロール間進入部分32の内面の平行内面部分32cは、材料押出方向Dsと材料押圧方向Dpとの両方向に平行な面に構成されている。
【0039】
図7(b)に示すように、押出口ロール間部分31の上底に平行な方向での前面視において、材料押出方向Dsと材料押圧方向Dpとに沿う面に対する押出口ロール間部分31の下方広がり内面部分31bの傾斜角度αは、例えば5〜15度とされ、同じく、材料押出方向Dsと材料押圧方向Dpとに沿う面に対する押出口ロール間部分31の下方前方両広がり内面部分31cの前端縁の傾斜角度βは、下方広がり内面部分31bの傾斜角度αよりも大きい例えば10〜20度とされる。
又、図8(f)に示すように、押出口ロール間部分31の上底に平行な方向での前面視において、材料押出方向Dsと材料押圧方向Dpとに沿う面に対するロール間進入部分32の下方広がり内面部分32aの傾斜角度γは、材料押出方向Dsと材料押圧方向Dpとに沿う面に対する押出口ロール間部分31の下方前方両広がり内面部分31cの前端縁の傾斜角度βと同一とされ、例えば10〜20度とされる。
又、ロール間進入部分32の下方広がり内面部分32aの後端縁の長さは、押出口ロール間部分31の下方前方両広がり内面部分31cの前端縁の長さと同一とされる。
【0040】
図2〜図6に示すように、上述のように構成された押出口ロール間部分31とロール間進入部分32とが、押出口ロール間部分31の下方前方両広がり内面部分31cの前端縁とロール間進入部分32の下方広がり内面部分32aの後端縁とを合わせるように、押出口ロール間部分31の前面とロール間進入部分32の後面とを当接させた状態で、連結部材33により一体的に組み付けられて、側壁部3Gが構成される。
【0041】
このように押出口ロール間部分31とロール間進入部分32とが連結部材33により一体的に組み付けられると、押出口ロール間部分31の平行内面部分31a、下方広がり内面部分31b及び下方前方両広がり内面部分31c、並びに、ロール間進入部分32の下方広がり内面部分32a、前方広がり内面部分32b及び平行内面部分32cが概ね一連に連なる状態となって、それらの内面部分により、側壁部3Gの内面3Sが構成される(図2及び図4参照)。
【0042】
そして、図2〜図6に示すように、このように押出口ロール間部分31とロール間進入部分32とが一体的に組み付けられて構成された側壁部3Gが、材料押出部1と材料圧延部2との間の左右両側夫々に、押出口11からの材料押出方向Dsに沿う前面視で、押出口ロール間部分31の下方広がり内面部分31bが、押出口11の口縁に外側から近接する状態となるよう配設される(図3参照)。
【0043】
図3に示すように、押出口11の左右方向の幅Wmは、このシート成形装置の仕様により決まり、一対のロール間進入部分32夫々の内面32Sの前端同士の左右間隔(一対のロール間進入部分32における平行内面部分32cの前端同士の左右間隔)Wfは、押出口11の左右方向の幅Wmよりも大きい条件で、一対のロール21にて被成形材料Mをシート状に成形するに当たっての目標幅により決まる。
そして、図3に示すように、一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31Sにおける上端部同士の左右間隔(一対の下方広がり内面部分31bの上端部同士の左右間隔)Wt、及び、一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31Sにおける下端部同士の左右間隔(一対の下方前方両広がり内面部分31cにおける下端部の前端同士の最大左右間隔)Wd夫々は、押出口11の左右方向の幅Wm、及び、一対のロール間進入部分32夫々の内面32Sにおける前端部同士の左右間隔Wfに基づいて、下記の式(1)、(2)の条件にて設定される。
【0044】
Wt<Wm………式(1)
Wm<Wd<Wf………式(1)
【0045】
つまり、この実施形態では、一対の側壁部3G夫々の内面3Sのうち、押出口ロール間部分31の内面31S(具体的には、下方広がり内面部分31b及び下方前方両広がり内面部分31c)に加えて、ロール間進入部分32の内面32Sのうちの押出口ロール間部分31の内面31Sの前方に連なる部分(即ち、下方広がり内面部分32a)同士の左右間隔も、下方側ほど広くなるように構成されていることになる。
又、一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31Sの上端部(平行内面部分31a、即ち、下方広がり内面部分31bの上端縁)同士の左右間隔Wtが、押出口11の左右方向の幅Wmよりも狭くなるように構成されていることになる。
又、一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31S(具体的には後方側の部分である下方広がり内面部分31b)が、下方側ほど左右方向の外側に位置する傾斜面で構成され、押出口11に対する一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31S(具体的には下方広がり内面部分31b)の相対位置関係が、押出口11からの材料押出方向Dsに沿う前面視で、押出口11の口縁に外側から近接する状態となるように構成されていることになる。
【0046】
又、一対の側壁部3Gにおける内面3S同士の左右間隔が、押出口11からの材料押出方向Dsに沿って、一対のロール21の側に向かうほど広くなるように構成されていることになる。
更に、一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31Sにおける下端部同士の左右間隔Wdが、一対のロール間進入部分32夫々の内面32Sにおける前端部同士の左右間隔Wfよりも狭くなるように構成されていることになる。
【0047】
図1及び図2に示すように、圧力印加部4は、ロール21の軸心21aと平行な回転軸心42周りに回転自在に支持されたリンク43と、そのリンク43の上方側の端部に平面状の材料押圧面41aを下向きにして連結具44により連結された押圧部材41と、リンク43の下方側の端部に連結されてそのリンク43を回転軸心42周りに回転させることにより押圧部材41を下向きの材料押圧方向Dpに沿って移動させるアクチュエータ45とを備えて構成されている。ちなみに、リンク43の回転軸心42は、押出口11に対して、材料押出方向Dsにおいて後方側に位置する。
そして、リンク43の下方側の端部を引っ張る方向にアクチュエータ45を作動させることにより、押圧部材41により材料貯留部3に貯留されている被成形材料Mを上方から下向きの材料押圧方向Dpに押圧するように構成されている。
この実施形態では、押圧部材41により被成形材料Mを押圧する押圧力を、低圧と高圧の2段階に切り換えるように構成されている。
アクチュエータ45としては、油圧シリンダ、空気圧シリンダ、電動シリンダ等を用いることができる。
【0048】
図2〜図4に示すように、上述のようにリンク43の上端部に連結された押圧部材41は、厚さ方向(材料押圧方向Dpに相当する)視で矩形状に構成されて、材料貯留部3内に配設されている。
そして、押圧部材41を材料貯留部3内において材料押圧方向Dpに沿って移動させることが可能なように、材料押圧方向Dp視において、押圧部材41の外周部と材料貯留部3の上部開口部3Oの口縁(押出口形成体12、左右両側の側壁部3G及び上側のロール21にて形成される)との間には、隙間が設けられている。
【0049】
ところで、圧力印加部4は、材料貯留部3に貯留されている被成形材料Mを上方から下方に向く材料押圧方向Dpに予め設定した設定圧力をかけて押圧するものであるため、材料貯留部3に貯留されている被成形材料Mの量に応じて、押圧部材41の材料押圧面41aにおける材料押圧方向Dpでの位置が所定の範囲で変動することになる。
尚、図2及び図3に示すように、押圧部材41の材料押圧面41aにおける材料押圧方向Dpでの位置の変動範囲は、材料貯留部3内において、一対の押出口ロール間部分31夫々の平行内面部分31aにて左右両側が囲まれる領域になるように構成されている。
【0050】
そして、図1に示すように、材料押圧方向Dpでの押圧部材41(実際には材料押圧面41a)の位置を検出する位置検出センサT1が設けられている。
具体的には、位置検出センサT1は、回転軸心42に対するリンク43の回転角度(以下、位置対応角度と記載する場合がある)を検出するロータリーエンコーダにより構成されている。
つまり、押圧部材41が材料押圧方向Dpの下限位置(概ね、平行内面部分31aの下端縁)に位置するときの位置対応角度を0度とすると、材料押圧方向Dpでの押圧部材41の位置が下限位置から高くなるほど、位置対応角度が大きくなり、位置対応角度の変動は材料押圧方向Dpでの押圧部材41の位置変動となる。
そこで、位置検出センサT1の検出情報と材料押圧方向Dpでの押圧部材41の位置との相関関係を予め求めておいて、位置検出センサT1により、位置対応角度を材料押圧方向Dpでの押圧部材41の位置として検出するように構成されている。
【0051】
又、図1に示すように、材料圧延部2の出口付近には、一対のロール21から払い出されるシート状材Msの有無を検出することにより、シート排出有無を検出するシート検出センサT2が設けられている。
【0052】
制御部Cの制御動作を説明する。
この制御部Cは、シーケンサーを用いて構成され、材料押出部1(具体的にはテーパースクリュー13)、圧力印加部4(具体的にはアクチュエータ45)及び材料圧延部2(具体的にはロール21)の作動を制御して、材料貯留部3に一時的に貯留される状態で材料押出部1から押し出される被成形材料Mをシート状に成形するように構成されている。
【0053】
この実施形態では、制御部Cは、ロット毎に、充填運転、通常運転、終期運転、シートエンド処理運転を順に実行するように構成してある。
尚、材料圧延部2によりシート成形を適切に行うことが可能な材料貯留部3における被成形材料Mの貯留量に対応して、運転開始用の設定角度K1が予め設定されている。
更に、押出部1からの押出量が定常状態よりも少なくなって、材料貯留部3における被成形材料Mの貯留量が少なくなったときに、終期運転を開始するために、その終期運転開始用の設定角度K2も、運転開始用の設定角度K1よりも小さい条件で、予め設定される。ここでの定常状態とは、通常運転が定常的に実行されている状態をいう。
【0054】
そして、制御部Cは、位置検出センサT1にて検出される位置対応角度が運転開始用の設定角度K1になるまでは、充填運転を実行し、位置検出センサT1にて検出される位置対応角度が運転開始用の設定角度K1になると、充填運転を終了して通常運転を開始し、位置検出センサT1にて検出される位置対応角度が終期運転開始用の設定角度K2になると、通常運転を終了して終期運転を設定時間の間実行し、その設定時間が経過すると、シートエンド処理運転を開始し、シート検出センサT2にてシート排出無しが検出されると、材料供給部1のテーパースクリュー13、圧力印加部4のアクチュエータ45及び材料圧延部2のロール21等の作動を停止させることにより、シート成形装置を停止させる。
【0055】
次に、図9に基づいて、材料貯留部3の側壁部3Gの内面3Sを本発明のように構成することにより、材料貯留部3における被成形材料Mの流動状態を改善できることを検証する。
尚、図9(a)は、材料貯留部3の側壁部3Gの内面3Sを上述した実施形態のように構成した場合の縦断前面図である。又、図9(b)は、従来のように、材料貯留部3の側壁部3G夫々の内面3Sのうち、押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右間隔を、押出口11の左右方向の幅よりも広くなる条件で、上下方向において一定になるように構成した場合の縦断前面図である。
【0056】
ちなみに、図9(b)に示す構成では、側壁部3Gのロール間進入部分32の内面32Sは、後方側の部分の前方広がり内面部分32fと、その前方広がり内面部分32fの前方に連なって前端にまで延びる平行内面部分32gとからなる。
ロール間進入部分32の内面32Sの前方広がり内面部分32fは、材料押圧方向Dpに平行で、材料押出方向Dsにおいては前方側ほど左右方向の外側に位置する形態の前方広がり状の平面に構成され、ロール間進入部分32の内面32Sの平行内面部分32gは、材料押出方向Dsと材料押圧方向Dpとの両方向に平行な平面に構成されている。
【0057】
図9(a)に示す構成では、押出口ロール間部分31の内面31Sのうちで、押圧部材41の移動範囲の下限位置よりも下方の全域において、一対の押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右間隔が、下方側ほど広くなるように構成されている。
このことにより、押出口11から材料貯留部3に押し出された被成形材料Mを材料貯留部3に充填するにあたり、黒塗り矢印のように、押出口ロール間部分31の内面31Sに沿って下方に向かう被成形材料Mの流動が発生する。これにより、押出口11の前面視において、押出口11の口縁と押出口ロール間部分31の内面31Sとの間における上方側の領域には、被成形材料Mの滞留域Aが生じ難くなる。また、一対の押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右間隔が下方側ほど広くなり、さらに上述した被成形材料Mの下方に向かう流動が発生することから、下側のロール21の外周面において極力広い領域に被成形材料Mを接触させることができる。
【0058】
又、押出口ロール間部分31の内面31Sのうちで、前端側の部分の下方前方両広がり内面部分31cにおいては、一対の押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右間隔が、下方側ほど且つ前方側ほど広くなるように構成されているので、被成形材料Mを左右方向に広げることができる。
更に、ロール間進入部分32の内面32Sのうち、押出口ロール間部分31の内面31Sの前方に連なる部分である下方広がり内面部分32aにおいても、一対のロール間進入部分32の内面32S同士の左右間隔が下方側ほど広くなるように構成されているので、被成形材料Mが下方に流動するのを更に助長させて、下側のロール21の外周面に対して被成形材料Mを接触させる面積を更に広げることができる。
従って、これらの相乗作用により、押出口11から材料貯留部3に押し出された被成形材料Mを効果的に下側のロール21に向けて流動させて、被成形材料Mを下側のロール21の外周面に沿わせて左右方向に広げながら、前方に向けて流動させることができる。これにより、被成形材料Mを極力広い左右方向の幅で一対のロール21の間隙21Gに進入させることができるようになり、シート状材Msの幅が狭くなるのを抑制すると共に、シート状材Msのエッジに凹凸が生じるのを抑制することができる。
【0059】
一方、図9(b)に示すように、一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31S同士の左右間隔が、上下方向において一定になるように構成されていると、押出口11から材料貯留部3に押し出された被成形材料Mのうち上方側の被成形材料Mは、黒塗り矢印のように、左右方向に広がって側壁部3Gの押出口ロール間部分31の内面31Sに当たると下方に流動し難い。従って、押出口11の前面視において、押出口11の口縁と押出口ロール間部分31の内面との間における上方側の領域に、被成形材料Mが押出口ロール間部分31の内面31Sに当たったままで滞留する滞留域Aが生じ易く、しかも、その滞留域Aが広くなり易い。
そして、このように材料貯留部3内に広い滞留域Aが生じると、被成形材料Mの流動が阻害され、その下流の材料貯留部3内における側壁部3Gの内面3S近傍に被成形材料Mが十分に充填され難い。そのため、一対のロール21の間隙21Gに進入する被成形材料Mの左右方向の幅が狭くなったり、左右方向の端部の量が少なくなったりして、シート状材Msの幅が不安定になって、シート状材Msの左右方向のエッジに凹凸が生じ易い。
【0060】
〔別実施形態〕
(A)一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31Sを、下方側ほど左右方向の外側に位置する傾斜面で構成する場合に、上記の実施形態では、押出口11に対する一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31Sの相対位置関係が、押出口11からの材料押出方向Dsに沿う前面視で、押出口11の口縁に外側から近接する状態となるように構成したが、押出口11の口縁に接する状態となるように構成しても良い。
【0061】
(B)一対の側壁部3G夫々の内面3Sのうち、押出口ロール間部分31の内面31S同士の左右間隔が下方側ほど広くなるように構成するに当たって、押出口ロール間部分31の内面31Sの形態は、上記の実施形態において例示した形態、即ち、押出口ロール間部分31の内面31Sを平行内面部分31aと下方広がり内面部分31bと下方前方両広がり内面部分31cとから構成する形態に限定されるものではない。
(B−1)例えば、押出口ロール間部分31の内面31Sの全面を、材料押出方向Dsに平行で、材料押圧方向Dpにおいては下方側ほど左右方向の外側に位置する下方広がり状の一面の傾斜面としても良い。
(B−2)例えば、押出口ロール間部分31の内面31Sの全面を、材料押出方向Dsにおいては前方側ほど左右方向の外側に位置し、且つ、材料押圧方向Dpにおいては下方側ほど左右方向の外側に位置する下方前方両広がり状の一面の傾斜面としても良い。
これらの場合は、いずれも、押出口ロール間部分31夫々の内面31Sの全面にわたって、一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31S同士の左右間隔が下方側ほど広くなるように構成されることになる。
(B−2)例えば、押出口ロール間部分31の内面31Sを、材料押圧方向Dpにおいて下方側ほど左右方向の外側に位置する形態で、複数段状になるようにしても良い。
【0062】
(C)一対の押出口ロール間部分31の内面31Sに加えて、一対のロール間進入部分32の内面32S同士の左右間隔も下方側ほど広くなるように構成するに当たって、上記の実施形態のように、ロール間進入部分32の内面32Sの一部において、一対のロール間進入部分32の内面32S同士の左右間隔が下方側ほど広くなるように構成する場合に限定されるものではない。
例えば、ロール間進入部分32の内面32Sの全面を、材料押出方向Dsにおいては前方側ほど左右方向の外側に位置し、且つ、材料押圧方向Dpにおいては下方側ほど左右方向の外側に位置する形態で、下方と前方の両方向に向けて広がる一面の傾斜面とすることにより、ロール間進入部分32の内面32Sの全面において、一対のロール間進入部分32の内面32S同士の左右間隔が下方側ほど広くなるように構成しても良い。
【0063】
(D)一対の側壁部3Gにおける内面3S同士の左右間隔が、材料押出方向Dsに沿って、一対のロール21の側に向かうほど(即ち、前方ほど)広くなるように構成するに当たって、上記の実施形態のように、押出口ロール間部分31の内面31Sの一部(下方前方両広がり内面部分31c)、並びに、ロール間進入部分32の内面32Sの一部(前方広がり内面部分32b)において、一対の側壁部3Gにおける内面3S同士の左右間隔が材料押出方向Dsに沿って前方ほど広くなるように構成する場合に限定されるものではない。
(D−1)例えば、押出口ロール間部分31の内面31Sには、左右間隔が材料押出方向Dsに沿って前方ほど広くなる部分を設けずに、ロール間進入部分32の内面32Sの一部において、一対の側壁部3Gにおける内面3S同士の左右間隔が材料押出方向Dsに沿って前方ほど広くなるように構成しても良い。
この場合は、例えば、押出口ロール間部分31の内面31Sの全面を、材料押出方向Dsに平行となるように構成し、ロール間進入部分32の内面32Sを上記の実施形態と同様の形態とする。
(D−2)例えば、押出口ロール間部分31の内面31Sには、左右間隔が材料押出方向Dsに沿って前方ほど広くなる部分を設けずに、ロール間進入部分32の内面32Sの全面において、一対の側壁部3Gにおける内面3S同士の左右間隔が材料押出方向Dsに沿って前方ほど広くなるように構成しても良い。
この場合は、押出口ロール間部分31の内面31Sの全面を、材料押出方向Dsに平行となるように構成し、ロール間進入部分32の内面32Sの全面を、材料押出方向Dsに沿って一対のロール21の側に向かうほど広くなる前方広がり状の一面の傾斜面とする。
(D−3)例えば、押出口ロール間部分31の内面31Sの全面、及び、ロール間進入部分32の内面32Sの全面において、一対の側壁部3Gにおける内面3S同士の左右間隔が材料押出方向Dsに沿って前方ほど広くなるように構成しても良い。
この場合は、例えば、押出口ロール間部分31の内面31S、及び、ロール間進入部分32の内面32S夫々を、材料押出方向Dsにおいては前方側ほど左右方向の外側に位置し、且つ、材料押圧方向Dpにおいては下方側ほど左右方向の外側に位置する形態の下方前方両広がり状の一面の傾斜面とする。
【0064】
(E)一対の押出口ロール間部分31夫々の内面31Sにおける下端部同士の左右間隔Wd、及び、一対のロール間進入部分32夫々の内面32Sにおける前端同士の左右間隔Df夫々は、押出口11の左右方向の幅をWmとすると、Wm<Wd≦Wfとなる条件で、適宜設定することができる。
【0065】
(G)上記の実施形態では、材料貯留部3の側壁部3Gを互いに別体の押出口ロール間部分31とロール間進入部分32とにより構成したが、材料貯留部3の側壁部3Gを単一の部材により構成しても良い。
【0066】
(H)材料貯留部3を上部に上部開口部3Oを有する上部開放状に構成するにしても、上記の実施形態の如き圧力印加部4を省略して、材料押出部1からの押出力と重力とにより、被成形材料Mを一対のロール21の間に進入させるように構成しても良い。
あるいは、材料貯留部3を上下左右の側周部全周にわたって閉じたられた状態に構成して、材料押出部1からの押出力によって、材料貯留部3内に貯留される被成形材料Mに圧力が印加されるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、シート成形における歩留まりを向上し得るシート成形装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 材料押出部
2 材料圧延部
3 材料貯留部
3G 側壁部
3S 内面
4 圧力印加部
11 押出口
21 ロール
21a 軸心
31 押出口ロール間部分
31S 内面
32 ロール間進入部分
32S 内面
41 押圧部材
Ds 材料押出方向(被成形材料の押出方向)
M 被成形材料
Wd 一対の押出口ロール間部分夫々の内面における下端部同士の左右間隔
Wf 一対のロール間進入部分夫々の内面における前端部同士の左右間隔
Wm 押出口の左右方向の幅
Wt 一対の押出口ロール間部分夫々の内面における上端部同士の左右間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成形材料を押出口から前方に押し出す材料押出部と、
前記材料押出部から押し出される被成形材料を受け入れて、軸心が水平方向又は略水平方向に沿う姿勢で上下方向に並ぶ一対のロールにてシート状に成形して払い出す材料圧延部と、
前記材料押出部と前記材料圧延部との間において前記材料押出部から押し出される被成形材料を一時的に貯留する材料貯留部とが設けられたシート成形装置であって、
前記材料貯留部における左右両側を区画する左右一対の側壁部夫々が、前記一対のロールの間に進入するロール間進入部分と、前記一対のロールよりも前記押出口側の押出口ロール間部分とを備えて構成され、
前記一対の側壁部夫々の内面のうち、少なくとも前記押出口ロール間部分の内面同士の左右方向の間隔である左右間隔が、下方側ほど広くなるように構成されているシート成形装置。
【請求項2】
前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面における上端部同士の左右間隔が、前記押出口の左右方向の幅よりも狭くなるように構成されている請求項1に記載のシート成形装置。
【請求項3】
前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面が、下方側ほど左右方向の外側に位置する傾斜面で構成され、
前記押出口に対する前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面の相対位置関係が、前記押出口からの被成形材料の押出方向に沿う前面視で、前記押出口の口縁に外側から近接する又は接する状態となるように構成されている請求項2に記載のシート成形装置。
【請求項4】
前記一対の側壁部における内面同士の左右間隔が、前記押出口からの被成形材料の押出方向に沿って、前記一対のロールの側に向かうほど広くなるように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート成形装置。
【請求項5】
前記一対の押出口ロール間部分夫々の内面における下端部同士の左右間隔が、前記一対のロール間進入部分夫々の内面における前端部同士の左右間隔と同一又はその左右間隔よりも狭くなるように構成されている請求項4に記載のシート成形装置。
【請求項6】
前記材料貯留部が、上部が開口するように構成され、
前記材料貯留部に貯留されている被成形材料に対して、上部から押圧部材を押圧することにより圧力を印加する圧力印加部が設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−250475(P2012−250475A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125558(P2011−125558)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(595057720)株式会社モリヤマ (26)
【Fターム(参考)】