説明

シート材搬出装置及び画像形成装置

【課題】機械式センサによりシート材の到達が検知されなかった場合にも、シート材を搬送できるシート材搬出装置を提供すること。
【解決手段】シート材搬出装置20は、受入位置S2と排出位置S3との間で姿勢を変更可能なロータリガイド部材30と、シート材Pの到達を検知する機械式センサ105aと、所定の基準位置をシート材Pが通過したことを検知する検知部210と、機械式センサ105aによりシート材Pの到達が検知されるとロータリガイド部材30を受入位置S2から排出位置S3に変更する第2姿勢制御部222と、検知部210によりシート材Pの通過が検知された後理論到達時間が経過してから更に第2時間が経過するまでに機械式センサ105aによりシート材Pの到達が検知されなかった場合に、ロータリガイド部材30を受入位置S2から排出位置S3に変更する第3姿勢制御部223と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材搬出装置及び該シート材搬出装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート材の両面に画像形成(印刷)が可能な両面印刷機能を備えたコピー機やプリンタ等の画像形成装置が知られている。両面印刷機能を備えた画像形成装置は、画像が形成されたシート材の搬出先を、シート材を排出する排出口と両面印刷用の搬送路との間で切り替え可能なシート材搬出装置を備えている。このようなシート材搬出装置として、シート材を案内する案内路を有すると共に、この案内路におけるシート材の搬送方向と直交しかつシート材の幅方向に延びる支持軸を中心に回動して案内路の向きを変更可能なロータリガイド部材を備えたシート材搬出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−256101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案されたシート材搬出装置では、ロータリガイド部材は、例えば、以下のように動作する。
まず、画像が形成されたシート材が搬送路を搬送されると、このシート材の搬送は、搬送路の所定位置に設けられたセンサにより検知される。このセンサによりシート材の搬送が検知されると、搬送路の下流側に配置されたロータリガイド部材は、案内路の入口が搬送路側に向いた受入位置に位置するように回動される。
【0005】
次いで、搬送路を搬送されたシート材の先端がロータリガイド部材の入口近傍に到達すると、シート材の先端は、ロータリガイド部材の近傍に設けられた機械式センサに接触してこの機械的センサを押圧する。これにより、シート材の先端がロータリガイド部材の近傍に到達したことが検知される。その後、シート材の先端側は、受入位置に位置するロータリガイド部材の案内路に案内される。
ここで、機械式センサによりロータリガイド部材の近傍へのシート材の到達が検知されると、ロータリガイド部材は、所定時間経過後に、案内路の出口が排出口側を向いた排出位置に回動される。これにより、案内路を案内されるシート材は、排出口から排出される。
【0006】
ところで、以上のシート材搬出装置では、搬送路に設けられたセンサによりシート材の搬送が検知された後、所定時間経過しても機械的センサによってシート材のロータリガイド部材近傍への到達が検知されない場合には、シート材搬出装置は、搬送路においてJAM(紙詰まり)が発生したと判断してシート材の搬送を停止させる。
【0007】
ここで、機械式センサは、例えば、搬送路の一部を遮断すると共にシート材が通過可能な隙間を形成するように搬送路に配置されている。そのため、搬送路を搬送されるシート材の先端側がカールしている場合には、シート材の先端側が機械式センサに接触することなく搬送路に形成された隙間を通ってロータリガイド部材側に搬送されてしまう場合があった。また、搬送されるシート材のコシが弱い場合には、シート材の機械式センサに対する押圧力が弱く、シート材が機械式センサに接触したにもかかわらず機械式センサによりシート材の到達を検知できない場合があった。そして、このような場合には、シート材は搬送されているにもかかわらず、機械式センサによりシート材の到達が検知されないので、シート材搬出装置は、搬送路においてJAMが発生したと判断してシート材の搬送を停止させてしまう。
【0008】
本発明は、シート材は搬送されているにもかかわらず機械式センサによりシート材の到達が検知されなかった場合にも、排出口にシート材を搬送できるシート材搬出装置及びこのシート材搬出装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シート材を案内する案内路を有すると共に、該案内路における該シート材の搬送方向と直交しかつ該シート材の幅方向に延びる支持軸を中心に回動して、前記シート材を前記案内路に受け入れる受入位置と該シート材を前記案内路から排出する排出位置との間で姿勢を変更可能なロータリガイド部材と、前記ロータリガイド部材の上流側における該ロータリガイド部材の近傍に配置され前記シート材に押圧されることにより該シート材の到達を検知する機械式センサと、前記機械式センサの上流側に位置する所定の基準位置を前記シート材の先端が通過したことを検知する検知部と、前記シート材の先端が前記基準位置を通過してから前記機械式センサに到達するまでの理論到達時間を記憶する記憶部と、前記検知部により前記シート材の先端の通過が検知されてから前記理論到達時間よりも短い第1時間が経過した場合に、前記ロータリガイド部材の姿勢を前記受入位置とする第1姿勢制御部と、前記機械式センサにより前記シート材の到達が検知されると前記ロータリガイド部材の姿勢を前記受入位置から前記排出位置に変更する第2姿勢制御部と、前記検知部により前記シート材の先端の通過が検知された後前記理論到達時間が経過してから、更に前記第2時間が経過するまでの間に前記機械式センサにより前記シート材の到達が検知されなかった場合に、前記ロータリガイド部材の姿勢を前記受入位置から前記排出位置に変更する第3姿勢制御部と、を備えるシート材搬出装置に関する。
【0010】
また、前記機械式センサは、前記ロータリガイド部材の上流側に設けられ前記シート材が搬送される搬送路に配置されて該搬送路の一部を遮断すると共に該機械式センサの先端側に前記シート材が通過可能な隙間を形成し、前記隙間に位置するシート材は、前記ロータリガイド部材の姿勢が前記受入位置から前記排出位置に変更される場合に前記機械式センサ側に押圧されることが好ましい。
【0011】
また、シート材搬出装置は、前記第3姿勢制御部により前記ロータリガイド部材の姿勢が前記受入位置から前記排出位置に変更されてから第3時間が経過するまでに、前記機械式センサにより前記シート材の到達が検知されなかった場合にJAMと判定するJAM判定部を更に備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記のいずれかに記載のシート材搬出装置と、シート材に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シート材は搬送されているにもかかわらず機械式センサによりシート材の到達が検知されなかった場合にも、排出口にシート材を搬送できるシート材搬出装置及びこのシート材搬出装置を備える画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るシート材搬出装置を具備する画像形成装置の一実施形態の概要を説明する正面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の装置本体内に設けられたシート材搬出装置の機構部分を示す部分拡大図である。
【図3】図2に示すシート材搬出装置の一実施形態を示す斜視図であり、斜め上から見た状態を示す図である。
【図4】図3に示すシート材搬出装置を斜め下から見た状態を示す斜視図である。
【図5】図3に示すシート材搬出装置のV−V線断面図である。
【図6】ロータリガイド部材が逆送位置に位置された状態を示す図である。
【図7】ロータリガイド部材が受入位置に位置された状態を示す図である。
【図8】ロータリガイド部材が胴内排紙トレイ向けの排出位置に位置された状態を示す図である。
【図9】ロータリガイド部材が上端搬送路向けの起立位置に位置された状態を示す図である。
【図10】シート材搬出装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図11】シート材搬出装置の動作を示す図であり、用紙がガイドセンサに接触せずにロータリガイド部材に進入した様子を示す図である。
【図12】シート材搬出装置の動作を示す図であり、用紙がロータリガイド部材に進入した状態でロータリガイド部材の姿勢が受入位置から排出位置に変更された様子を示す図である。
【図13】シート材搬出装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態のシート材搬出装置20は、画像形成装置としてのコピー機10に設けられる。図1は、本発明の一実施形態に係るシート材搬出装置20を備えたコピー機10の構成の概要を説明する正面図である。図2は、図1に示すシート材搬出装置20が配置される搬出方向切替部109周辺の拡大説明図である。
尚、図1及び図2において、X−X方向を左右方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方という。
【0016】
図1に示すように、コピー機10は、いわゆる胴内排紙型と称されるコピー機であり、装置本体11に、用紙貯留部14と、画像形成部12と、定着部13と、シート材搬出装置20と、排紙部15と、画像読取部16と、操作部17とがそれぞれ設けられている。そして、排紙部15の一部(後述の胴内排紙トレイ151)は、画像読取部16の下部で装置本体11の一部が凹没されることによって形成され、これによりコピー機10が胴内排紙型と称されている。
【0017】
装置本体11は、外観視で略直方体形状を有する下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された扁平な略直方体形状を有する上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に位置する連結部113と、を備える。
連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に排紙部15の胴内排紙トレイ151を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物である。
【0018】
下部本体111の内部には、用紙貯留部14、画像形成部12、定着部13及びシート材搬出装置20が設けられる。
上部本体112には画像読取部16及び操作部17が設けられる。
【0019】
操作部17は、上部本体112の前縁部に配置される。この操作部17は、画像形成処理に関する操作入力を受け付ける。操作部17は、シート材としての用紙Pの処理枚数等を入力するためのテンキーやその他の各種の操作キー171、及びタッチ入力を行うためのLCD(Liquid Crystal Display)を備えたタッチパネル172等を含んで構成される。
【0020】
操作部17は、用紙貯留部14や手差しトレイ18等の用紙収容部に収容されている用紙Pが普通紙であるか、厚紙であるか、あるいはOHP(OverHead Projector)用の透明樹脂シートであるか、といった用紙Pの種別情報を受け付ける。尚、以下の説明においては、OHPシートのような紙以外のシート材についても、用紙Pとして記載する。
【0021】
用紙貯留部14は、下部本体111内における画像形成部12の直下方位置に設けられた挿脱可能な用紙カセット141と、この用紙カセット141の更に下方位置に設けられた挿脱可能な大量の用紙Pを貯留することができる大容量デッキ142とを有している。本実施形態においては、用紙カセット141は2段で設けられ、大容量デッキ142は2列で設けられている。
【0022】
画像形成処理が行われる場合には、用紙カセット141又は大容量デッキ142に貯留されている用紙束P1から用紙Pが1枚ずつ繰り出され、画像形成部12へ送り込まれ、当該用紙Pに対して画像形成処理(印刷処理)が実行される。
【0023】
排紙部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成された胴内排紙トレイ(スイッチバックトレイ)151と、装置本体11の外部に形成された胴外排紙トレイ(外部トレイ)152と、胴内排紙トレイ151の直上位置に設けられた胴内フィニッシャー153と、を備える。
画像形成部12から送り込まれたトナー画像転写済みの用紙Pは、後述する搬出方向切替部109(図2参照)を介し、予め排出先が設定された胴内排紙トレイ151、胴外排紙トレイ152及び胴内フィニッシャー153のいずれかに向けて排出される。胴内フィニッシャー153は、排出された用紙Pに対してパンチング処理やステイプル処理等の後処理を施すものである。
【0024】
胴内排紙トレイ151は、用紙Pの排出用に使用される他、用紙Pに対して両面印刷処理を施すに際し、表面側の印刷処理が完了した用紙Pに対して裏面側に印刷処理を施すべく、当該用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックトレイとしても利用される。即ち、表面側の印刷処理が完了した用紙Pは、この胴内排紙トレイ151に一旦排出された後、今までの最後尾が最先端になった状態でスイッチバックされ、画像形成部12に戻される。そして、片面印刷が完了している用紙Pは、画像形成部12で裏面側に印刷処理が施され、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152に排出される。
【0025】
画像読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、この原稿押さえカバー162に装着された原稿自動読取部163と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査する走査機構164とを備えている。
【0026】
コンタクトガラス161上に載置され、又は原稿自動読取部163によってコンタクトガラス161上に供給された原稿の画像は、走査機構164によってアナログ情報として読み取られた後デジタル信号に変換されて後述する露光ユニット123に向けて出力され、画像形成処理に供される。
【0027】
下部本体111の右面における用紙貯留部14の直上位置には、手差しトレイ18が設けられている。この手差しトレイ18は、下部が支軸181回りに回動可能に軸支され、手差しの給紙口を閉止するべく起立した閉止姿勢と、右方へ向かって突出した開放姿勢との間で姿勢変更可能とされている。手差しトレイ18は、開放姿勢に姿勢設定された状態で1枚ずつの用紙Pの手差しに供される。このような手差しトレイ18から手差しで給紙された用紙Pは、用紙縦搬送路101を介して後述の感光体ドラム121と転写ローラ125との間のニップ部へ向けて送り出される。
【0028】
下部本体111の左面には、開閉可能なメンテナンス用のメンテナンスドア19が設けられている。胴外排紙トレイ152は、このメンテナンスドア19の上部位置に設けられている。画像形成部12で印刷処理が完了した用紙Pは、この胴外排紙トレイ152又は胴内排紙トレイ151のいずれかに選択的に排出される。
【0029】
画像形成部12は、感光体ドラム121と、帯電ユニット122と、露光ユニット123と、現像ユニット124と、転写ローラ125と、を備える。
感光体ドラム121は、画像形成部12における上下方向の略中央部であって左寄りの位置に設けられている。
帯電ユニット122は、感光体ドラム121の右側に配置される。帯電ユニット122は、ドラム心回りに時計方向に向けて回転した状態の感光体ドラム121に帯電処理を施す。これにより、感光体ドラム121の周面には、一様に帯電処理が施される。
【0030】
露光ユニット123は、感光体ドラム121の右側位置に配置される。この露光ユニット123は、画像読取部16で読み取られた原稿画像の画像情報に基づくレーザービームを感光体ドラム121の周面に照射する。そして、この露光ユニット123からのレーザービームの照射によって感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。
現像ユニット124は、感光体ドラム121の下方に配置される。この現像ユニット124は、感光体ドラム121の周面に形成された静電潜像に向けてトナーを供給する。これにより、感光体ドラム121の周面に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。
【0031】
転写ローラ125は、感光体ドラム121の左方に、感光体ドラム121に対向して配置される。この転写ローラ125は、感光体ドラム121の周面に形成されたトナー像を用紙Pに転写する。
具体的には、トナー像が形成された感光体ドラム121には、用紙カセット141又は大容量デッキ142から搬送されてきた用紙Pが、上下方向に延びた搬送路としての用紙縦搬送路101を上昇し、タイミングを取るためのレジストローラ対143を介して送り込まれる。そして、感光体ドラム121に到達した用紙Pには、左方で感光体ドラム121と対向配置された転写ローラ125の作用で感光体ドラム121の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙Pは感光体ドラム121から分離されて定着部13へ送り込まれる。
【0032】
用紙Pに対するトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム121は、時計方向へ向かう回転が継続されることにより、その直上位置に設けられたクリーニング装置126によってその周面が清浄にされ、つぎの画像形成処理のために帯電ユニット122へ向かうことになる。
【0033】
定着部13は、内部にハロゲンランプ等の通電発熱体を備えた加熱ローラ131と、左方でこの加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、この定着ローラ132及び加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、左側でこの定着ベルト133の表面との間にニップ部を形成するように対向配置された加圧ローラ134と、を有している。
画像形成部12から送り込まれた用紙Pは、これら定着ベルト133と加圧ローラ134との間のニップ部を通過しながら加熱ローラ131の熱を、定着ベルト133を介して受熱し、これによってトナー像の用紙Pに対する定着処理が実行される。
【0034】
定着処理後の用紙Pは、当該用紙Pが片面印刷用のものである場合には、定着部13の上方の搬出方向切替部109に配置されたシート材搬出装置20を介し、排紙搬送路102を通って胴外排紙トレイ152へ排出されたり、往復搬送路103を通って胴内排紙トレイ151へ排出されたり、更には両面印刷のために往復搬送路103を通ってスイッチバックトレイとして兼用される胴内排紙トレイ151へ一時的に排出されたりする。
【0035】
また、両面印刷の場合、往復搬送路103を介して前半部分が胴内排紙トレイ151に排紙された片面印刷処理済みの用紙Pは、メンテナンスドア19内に設けられた上下方向に延びる逆送搬送路104を介して逆送され、表裏が反転した状態で再度画像形成部12に供給されて裏面側に印刷処理が施される。両面印刷が完了した用紙Pは、胴内排紙トレイ151又は胴外排紙トレイ152に排出される。
【0036】
メンテナンスドア19には、逆送搬送路104の直ぐ右側に、右面が画像形成部12の左面に対向されるカバー部材191が設けられている。このカバー部材191は、メンテナンスドア19の右面側に包持されている。そして、メンテナンスドア19が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、カバー部材191の右面と画像形成部12の左面との間に、用紙カセット141や大容量デッキ142、更には手差しトレイ18から給紙された用紙Pを搬送するための用紙縦搬送路101の一部が形成されている。
【0037】
シート材搬出装置20は、搬出方向切替部109に配置される。このシート材搬出装置20の詳細については、後述する。
搬出方向切替部109は、図2に示すように、定着部13の筐体135の直上位置であって胴内排紙トレイ151の左側壁151aの左方の空間に設けられている。
搬出方向切替部109の右上方には、胴内排紙トレイ151の左側壁151aの上縁部を越えて胴内排紙トレイ151内へと延設された下面が凹となった第1円弧ガイド板108aが設けられていると共に、搬出方向切替部109の左上方には、用紙Pを定着部13の左側を通って下方の逆送搬送路104に向かわせるように下面が凹となった円弧状に形成された第2円弧ガイド板108bが設けられている。
【0038】
第1円弧ガイド板108aの左端部と第2円弧ガイド板108bの右端部との間には定着部13から上方へ向けて排出された用紙Pを受け入れるように隙間が形成され、この隙間の上部には、上方へ延びる用紙縦搬送路101の一部としての上端搬送路101aが形成されている。
【0039】
この上端搬送路101aの直上位置には、略二等辺三角形状を呈した切替ガイド部材107が設けられている。この切替ガイド部材107は、上端搬送路101aから送り出された用紙Pの排出先を胴内フィニッシャー153と胴外排紙トレイ152との間で切り替えるものであり、二等辺三角形の頂点に当たる部分が下方に向くように姿勢設定されている。
【0040】
切替ガイド部材107は、その略重心位置を軸支したガイド軸107a回りに時計方向へ向けて回動することにより用紙Pを右面に沿わせて胴内フィニッシャー153へ案内するフィニッシャー向け姿勢と、ガイド軸107a回りに反時計方向へ回動することにより用紙Pを左面に沿わせて胴外排紙トレイ152へ案内する胴外排紙トレイ向け姿勢との間で姿勢変更可能とされている。
【0041】
即ち、画像形成部12での画像形成処理が完了し、定着部13において定着処理が施された用紙は、搬出方向切替部109に導出された後に、目的に応じて各所へ排出される。そして、この搬出方向切替部109には、ロータリガイド部材30を含んで構成されるシート材搬出装置20が配置されている。
【0042】
ロータリガイド部材30の周りには、複数の搬送ローラが設けられ、これらの搬送ローラによりロータリガイド部材30に対する用紙Pの入出が円滑に行われる。かかる搬送ローラとしては、定着部13の出口位置であって、ロータリガイド部材30の直前位置(直下位置)に設けられた定着部出口ローラ106aと、第1円弧ガイド板108aの下方位置(即ち往復搬送路103上)であって胴内排紙トレイ151の直前に設けられて用紙Pの胴内排紙トレイ151への排出に荷担する第1排出ローラ106b、第2円弧ガイド板108bの下方位置に設けられて用紙Pの逆送搬送路104へ向かう搬送に荷担する逆送搬送路向け搬送ローラ106cと、上端搬送路101aの下流端で切替ガイド部材107の直下位置に設けられて切替ガイド部材107へ向かう用紙Pの搬送に荷担する切替ガイド部材向け搬送ローラ106dと、胴外排紙トレイ152の上流端に設けられた第2排出ローラ106eと、胴内フィニッシャー153の入口側に設けられた第3排出ローラ106fとが採用されている。
【0043】
また、ロータリガイド部材30を介した用紙Pの搬送状態を検出するべく、ロータリガイド部材30の周りには、各種の用紙センサが設けられている。具体的には、用紙センサとしては、定着部13の下流側であってロータリガイド部材30の上流側における用紙縦搬送路101に設けられた機械式センサとしてのガイドセンサ105aと、胴内排紙トレイ151の入口部分に設けられた第1排出センサ105bと、逆送搬送路104の上流端位置に設けられた逆送センサ105cと、胴外排紙トレイ152の上流端における第2排出ローラ106eの近傍に設けられた第2排出センサ105dと、胴内フィニッシャー153の入口側における第3排出ローラ106fの近傍に設けられた第3排出センサ105eと、が配置されている。
【0044】
これらのセンサによる用紙Pの検出と、この検出結果に基づくロータリガイド部材30及び切替ガイド部材107の予め設定された動作とによって定着部13から送り出された用紙Pは、所定の位置へ向けて搬出されることになる。
【0045】
次に、図3〜図5を参照しながらシート材搬出装置20について説明する。図3及び図4は、シート材搬出装置20の一実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、図3は、斜め上から見た状態、図4は、斜め下から見た状態をそれぞれ示す。図5は、シート材搬出装置20のV−V線断面図である。なお、図3〜図5において、X方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
【0046】
図3に示すように、シート材搬出装置20は、定着部13から定着部出口ローラ106aを介して送り出された用紙Pを受け、予め設定された所定の位置に向けて当該用紙Pの排出を案内するロータリガイド部材30と、このロータリガイド部材30に付設され用紙Pに形成されたトナー画像に悪影響を与えないように案内する案内プーリー40と、ロータリガイド部材30を所定の支持軸34回りに正逆回転させることによって当該ロータリガイド部材30の姿勢を変更させる姿勢変更部50と、この姿勢変更部50によって姿勢変更されるロータリガイド部材30の基準回転位置を検出するための基準位置検出部60と、を備えている。
【0047】
ロータリガイド部材30は、前後方向一対の側板31と、各側板31間に配置された左右方向一対の円弧ガイド板32と、前後方向に並設された状態で左側の円弧ガイド板32に固定された複数枚のガイドフィン33と、前後の側板31の略重心位置から同心で互いに反対方向に向けて突設された前後一対の支持軸34と、一対の側板31の上縁部間に架設されたカバー体35とを備えている。
【0048】
一対の側板31は、正面視での基本形状が略正方形に形成された上で正方形状の各所が変形させられることによって形成されている。これら一対の側板31間に左右の円弧ガイド板32が配置されることにより、これら一対の円弧ガイド板32が構造材の役割を果たし、ロータリガイド部材30が構造的に強固に形成されている。
【0049】
一対の円弧ガイド板32は、正面視で互いに対向面が対向方向に向けて円弧状に膨出されて形成されている。かかる一対の円弧ガイド板32は、下縁部間の左右方向の距離が、上方に向かうに従い漸減するように設定されている。かかる一対の円弧ガイド板32間に、定着部13から送り込まれた用紙Pを案内する案内路320が形成されている。
【0050】
一対の円弧ガイド板32における下縁部間には、定着部13から導出された用紙Pを案内路320に受け入れるための受入開口321(入口)が形成され、一対の円弧ガイド板32における上縁部間には、案内路320から用紙Pを排出する排出開口322(出口)が形成される。そして、定着部13から導出された用紙Pは、受入開口321から一対の円弧ガイド板32間に導入され、排出開口322及びカバー体35に設けられた後述の排出口351(出口)を通って上方に向けて排出される。
【0051】
ガイドフィン33は、ロータリガイド部材30が後述する逆送位置S1(図6参照)に位置された状態で、一時貯留されていた胴内排紙トレイ151から逆送搬送路104へ向かう、裏面側に印刷処理を施すべき両面印刷用の用紙Pを受けて案内するためのものである。ガイドフィン33は、ロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置された状態において、上縁面が側板31の上縁面と同様に上に凸の円弧状に形成され、これによって下面が凹となった円弧状に形成された前記第2円弧ガイド板108bとの間に逆送搬送路104の上流端の部分が形成される。
【0052】
一対の支持軸34は、一対の側板31から互いに反対方向に向けて同心で突出して設けられる。一対の支持軸34は、装置本体11のフレーム(図示せず)に支持され、姿勢変更部50の駆動により軸心回りにロータリガイド部材30と正逆一体回動が可能とされている。
【0053】
カバー体35は、粉塵等の異物のロータリガイド部材30内への進入を防止するためのものであり、図3に示すように、ロータリガイド部材30の上部を覆うものであって、一対の側板31の図3における上縁部間に架設されている。カバー体35の頂部には、一対の円弧ガイド板32の排出開口322に対向した位置に、用紙Pを排出するための前後方向へ延びた排出口351(出口)が設けられている。
【0054】
案内プーリー40は、左右一対の円弧ガイド板32を挟んで前後に複数対で設けられている。複数対の案内プーリー40は、左右一対の円弧ガイド板32の左右の外側の位置において複数のガイドフィン33を貫通した状態で一対の側板31間に配置された左右一対のプーリー軸41回りに回転自在に支持されている。
【0055】
左右の円弧ガイド板32には、複数の案内プーリー40それぞれに対応した位置に、図4に示すような貫通窓323がそれぞれ設けられている。そして、各一対の案内プーリー40は、それぞれの一部がこれらの貫通窓323を潜って一対の円弧ガイド板32間の案内路320内に入り込み、これによって各案内プーリー40の周面が案内路320内で互いに対向した状態になっている。
【0056】
従って、定着部13から導出された用紙Pは、受入開口321を通って一対の円弧ガイド板32間に導入された状態で、用紙Pの画像形成面がこれら一対の円弧ガイド板32に当接することなく左右の案内プーリー40の周面間を通過することになる。そしてこのとき、たとえ用紙Pの画像形成面が案内プーリー40の周面に接触しても、この接触によって案内プーリー40がプーリー軸41回りに回転するため、用紙Pの原稿形成面が円弧ガイド板32の内面と摺接するようなことが起こらない。従って、用紙Pの原稿形成面が摺接されることによって画像が乱れるような不都合の発生を有効に防止することができる。
【0057】
姿勢変更部50は、後述する制御装置200(図10参照)からの制御信号に基づき、ロータリガイド部材30の姿勢を変更する。この姿勢変更部50は、ステッピングモータ51と、このステッピングモータ51の駆動軸511に同心で一体回転可能に外嵌された駆動ギヤ52と、後方の支持軸34に一体回動可能に固定され、かつ、駆動ギヤ52に噛合するセクトギヤ53と、を備えている。
【0058】
ステッピングモータ51は、パルス信号のパルス数に応じて回転角度が設定されるように構成されているため、目的に応じて予め設定されたパルス数の信号をステッピングモータ51に供給することにより当該ステッピングモータ51の回転角度、即ちロータリガイド部材30の姿勢が極めて精密に制御される。
【0059】
従って、ステッピングモータ51を使用した場合には、従来のように、例えばソレノイドへの電力供給のオン・オフによって所定の案内部材に姿勢変更させて案内先を変えるようにしたものを採用した場合に比べて極めて精度よく姿勢を変更させることができるばかりか、異音が発生するような不都合が生じることがない。
【0060】
ステッピングモータ51は、その駆動軸511が前方に向くように横置きでロータリガイド部材30の後方上部に据え付けられている。そして、ステッピングモータ51の駆動力は、駆動ギヤ52及びセクトギヤ53を介してロータリガイド部材30に伝達される。従って、ステッピングモータ51が正逆駆動されることにより、ロータリガイド部材30は、支持軸34回りに正逆回動して姿勢変更されることになる。
【0061】
基準位置検出部60は、セクトギヤ53から径方向の外方に向けて突設された遮光片61と、ロータリガイド部材30がホームポジションである逆送位置S1(図6参照)に位置された状態で遮光片61と対向するように当該遮光片61の支持軸34回りの回動軌跡上に配設された光センサ62とを備えている。
【0062】
光センサ62は、一対の素子支持アーム622を備えた二股状の支持ケース621にそれぞれ発光素子623と受光素子624とが対向配置されることによって構成された、いわゆるフォトインタラプタである。
【0063】
支持ケース621は、各素子支持アーム622が遮光片61の回動軌跡を挟み込み、かつ、ロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置された状態で遮光片61が一対の素子支持アーム622間に位置するように設置位置が設定されている。そして、発光素子623は、一方の素子支持アーム622に設けられていると共に、受光素子624は、他方の素子支持アーム622に設けられて発光素子623と対向配置されている。
【0064】
従って、ロータリガイド部材30がホームポジションである逆送位置S1に位置されていないときには、発光素子623から照射された光が受光素子624によって受光され、これによってロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置されていないことを検出することができる。
【0065】
これに対し、ロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置されているときには、遮光片61が一対の素子支持アーム622間に位置し、発光素子623からの光が遮光片61によって遮光された状態になるため、受光素子624がオフする。これによってロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置されていることを検出することができる。
【0066】
また、受光素子624がオフしたときのステッピングモータ51の回転位置を基準位置として、この基準位置からステッピングモータ51に励磁パルスを供給することにより、当該励磁パルスの数に応じて所望の回転角度だけステッピングモータ51を回転させて、ロータリガイド部材30を所望の姿勢にさせることができる。
【0067】
ここで、図6〜図9を参照しながらロータリガイド部材30の用紙ガイド姿勢について説明する。図6〜図9は、それぞれ、ロータリガイド部材30の用紙ガイド姿勢を説明するためのロータリガイド部材30を正面から視た断面図である。図6は、ロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置された状態、図7は、ロータリガイド部材30が受入位置S2に位置された状態をそれぞれ示している。図8は、ロータリガイド部材30が胴内排紙トレイ151向けの排出位置S3に位置された状態、図9は、ロータリガイド部材30が上端搬送路101a向けの起立位置S4に位置された状態をそれぞれ示している。なお、図6〜図9におけるXによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方)である。
【0068】
まず、図6に示すように、ロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置されたときには、ロータリガイド部材30は、一対の円弧ガイド板32間の案内路320が垂直位置から支持軸34回りに略40°程度時計方向に向けて回動し、これによって右方へ向けて傾倒した状態になっている。
【0069】
そして、この状態でセクトギヤ53に固定された遮光片61が光センサ62の一対の素子支持アーム622間に位置し、発光素子623からの光が遮光されて受光素子624へ入光されなくなっている。これによって、ロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置されていることが検出されると共に、ステッピングモータの基準位置が検出される。
【0070】
また、ロータリガイド部材30が逆送位置S1に位置されたときには、第1排出ローラ106bと逆送搬送路104との間をガイドフィン33が架け渡すように配置される。これにより、両面印刷を行う際のスイッチバックにおいて、胴内排紙トレイ151側から第1排出ローラ106bによって逆送されてきた用紙Pが、ガイドフィン33によりガイドされて逆送搬送路104へ搬送可能にされている。
【0071】
また、図7に示すように、ロータリガイド部材30が受入位置S2に位置されたときには、ロータリガイド部材30は、一対の円弧ガイド板32間の案内路320が垂直位置から支持軸34回りに略15°程度右方へ向けて傾倒した状態になっている。これにより、定着部13から導出された用紙Pを好適に案内路320の受入開口321に案内可能としている。
【0072】
また、図8に示すように、ロータリガイド部材30が排出位置S3に位置されたときには、排出口351が、第1排出ローラ106bに向く位置に位置決めされる。より具体的には、排出位置S3では、ロータリガイド部材30は、一対の円弧ガイド板32間の案内路320が垂直位置から支持軸34回りに略30°程度右方へ向けて傾倒した状態になっている。排出位置S3では、用紙Pは、ロータリガイド部材30の案内路320を通り、排出口351を抜け出た後、第1円弧ガイド板108aに案内されつつ胴内排紙トレイ151へ排出されることになる。排出位置S3は、用紙Pに対して両面印刷を行う場合に、用紙Pを表裏反転させるためのスイッチバックを行う際にも用いられる。
【0073】
また、図9に示すように、ロータリガイド部材30が起立位置S4に位置されたときには、排出口351が、上端搬送路101aに向く位置に位置決めされる。起立位置S4では、受入開口321からロータリガイド部材30の案内路320内へ導入された用紙Pは、一対の案内プーリー40間を通り、排出口351から上方の上端搬送路101aへ向けて排出される。
【0074】
その後、用紙Pは、胴外排紙トレイ152へ直接排出されたり、一旦胴内フィニッシャー153へ排出されてステイプル処理等の後処理が施された後、用紙束として胴外排紙トレイ152へ排出されたりする。
【0075】
以上のコピー機10(搬出方向切替部109)は、画像形成部12において画像が形成された用紙Pが定着部13の定着ベルト133に巻き込まれるなどしてロータリガイド部材30まで到達しなかった場合に、JAM(用紙詰まり)が発生したと判断して各ローラの駆動を停止させ、用紙Pの搬送を停止させる機能を有している。
【0076】
図10は、シート材搬出装置20の機能構成を示す機能ブロック図である。
以上の機能を発揮するための構成として、シート材搬出装置20は、上述した構成に加えて、ガイドセンサ105aと、検知部としての上流側センサ210と、姿勢変更部50の動作を制御してロータリガイド部材30の姿勢を制御する制御装置200と、を備える。
ガイドセンサ105aは、図2に示すように、用紙縦搬送路101の下流端であるロータリガイド部材30の上流側に配置される。より具体的には、ガイドセンサ105aは、先端側が用紙縦搬送路101の内部空間に突出し基端側が用紙縦搬送路101を構成する一対のガイド板のうちの一方のガイド板(図2に示す左側のガイド板)に支持されている。このガイドセンサ105aは、用紙縦搬送路101の一部を遮断すると共に、ガイドセンサ105aの先端側に用紙Pが通過可能な隙間101bを形成する。ガイドセンサ105aは、用紙縦搬送路101を搬送される用紙Pによって所定の力で押圧されることでロータリガイド部材30の近傍への用紙Pの到達を検知する。
【0077】
上流側センサ210は、図2に示すように、用紙縦搬送路101における転写ローラ125よりも下流側で、かつ、定着部13の上流側に配置される。この上流側センサ210は、発光素子と受光素子とが用紙縦搬送路101を挟んで対向配置されることにより構成される光センサである。上流側センサ210は、用紙縦搬送路101を用紙Pの先端が通過したことを検知する。
【0078】
制御装置200は、例えば所定の演算処理を実行するCPU220(Central Processing Unit)と、記憶部230としての所定の制御プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、及びデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、タイマ(図示せず)と、これらの周辺回路(図示せず)等とを備えて構成されている。
【0079】
記憶部230は、用紙縦搬送路101を搬送される用紙Pの先端が上流側センサ210の配置された位置である基準位置A(図2参照)を通過してからガイドセンサ105aに到達するまでの時間である理論到達時間や、後述する第1時間、第2時間及び第3時間を記憶する。
理論到達時間は、用紙Pが用紙縦搬送路101を搬送される速度、及び基準位置Aからガイドセンサ105aまでの距離に基づいて算出され、予め記憶部230に記憶される。
【0080】
CPU220は、図10に示すように、第1姿勢制御部221と、第2姿勢制御部222と、第3姿勢制御部223と、JAM判定部224と、を含んで構成される。
【0081】
第1姿勢制御部221は、上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知されてから所定の第1時間が経過した場合に、姿勢変更部50を制御してロータリガイド部材30の姿勢を受入位置S2とする。この第1時間は、理論到達時間よりも短い時間である。
具体的には、コピー機10が起動(印刷が開始)されると、ロータリガイド部材30は、ホームポジションである逆送位置S1に位置される(図6参照)。この状態で、上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知されると、第1時間経過後に、第1姿勢制御部221は、ロータリガイド部材30の姿勢を逆送位置S1から受入位置S2に変更させる(図7参照)。これにより、用紙縦搬送路101を搬送されてくる用紙Pがロータリガイド部材30に到達する前に、ロータリガイド部材30が用紙Pを受け入れ可能な位置に位置される。
【0082】
第2姿勢制御部222は、ガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されると、姿勢変更部50を制御してロータリガイド部材30の姿勢を受入位置S2から排出位置S3に変更させる(図8参照)。より具体的には、第2姿勢制御部222は、ガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されてから所定の第2時間経過後にロータリガイド部材30の姿勢を受入位置S2から排出位置S3に変更させる。この第2時間は、例えば、用紙Pが20mm進む時間である。つまり、第2姿勢制御部222によれば、用紙Pがガイドセンサ105a(ロータリガイド部材30の入り口近傍)に到達してから、更に20mm進んだとき(ロータリガイド部材30の案内路320に用紙Pが20mm進入したとき)にロータリガイド部材30の姿勢が変更される。
【0083】
第3姿勢制御部223は、上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知された後、理論到達時間が経過し更に第2時間が経過するまでの間にガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合に、姿勢変更部50を制御してロータリガイド部材30の姿勢を受入位置S2から排出位置S3に変更させる。
これにより、例えば、図11に示すように、用紙縦搬送路101を搬送される用紙Pの先端側がカールするなどにより、ガイドセンサ105aに接触することなく隙間101bを通ってロータリガイド部材30側に進入した場合であっても、ロータリガイド部材30を排出位置S3に位置させられる。また、用紙縦搬送路101を搬送される用紙Pのコシが弱く、ガイドセンサ105aに接触したにもかかわらずガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合であっても、ロータリガイド部材30を排出位置S3に位置させられる。
【0084】
ここで、図12に示すように、第3姿勢制御部223により、ロータリガイド部材30の姿勢が受入位置S2から排出位置S3に変更されると、ロータリガイド部材30は、右方向に回動する。これにより、案内路320に進入した用紙Pは、一対の円弧ガイド板32のうちの右側に位置する円弧ガイド板32により左側に押されることとなるので、用紙縦搬送路101の隙間101bに位置する用紙Pは、ガイドセンサ105a側に押されてガイドセンサ105aを押圧する。その結果、ガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知される。
【0085】
JAM判定部224は、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢が受入位置S2から排出位置S3に変更されてから所定の第3時間が経過するまでに、ガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合にJAMが発生したと判定する。第3時間は、例えば、用紙Pが10mm進む時間である。
即ち、上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知されてから所定時間(理論到達時間+第2時間)が経過すると、ガイドセンサ105aによる用紙Pの到達が検知されていなくても、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢は、受入位置S2から排出位置S3に変更される。ここで、上述のように、用紙Pがロータリガイド部材30に到達しているにもかかわらずガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されていない場合には、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢が変更されることでガイドセンサ105aは用紙Pの到達を検知できる。
【0086】
一方、用紙Pが定着部13の定着ベルト133に巻き込まれるなどしてロータリガイド部材30まで到達しなかった場合には、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢が変更されても、ガイドセンサ105aは用紙Pの到達を検知しない。そこで、JAM判定部224は、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢が変更されてから第3時間が経過するまでに、ガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合には、JAMが発生したと判定する。これにより、JAMの発生を精度よく検知できる。
【0087】
次に、図13を参照しながら、本実施形態のシート材搬出装置20の動作について説明する。図13は、シート材搬出装置20の動作を示すフロー図である。
【0088】
まず、ステップST1において、コピー機10が起動されて印刷が開始される。
【0089】
ステップST2において、CPU220は、姿勢変更部50を制御してロータリガイド部材30をデフォルト位置である逆送位置S1に位置させる。
【0090】
ステップST3において、画像形成部12により画像が形成された用紙Pが用紙縦搬送路101を搬送されて基準位置Aを通過すると、上流側センサ210は、用紙Pの先端が基準位置Aを通過したことを検知する。また、タイマ(図示せず)がカウントを開始する。
【0091】
ステップST4において、上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知されてから第1時間が経過したことがタイマによりカウントされると、第1姿勢制御部221は、姿勢変更部50を制御してロータリガイド部材30の姿勢を逆送位置S1から受入位置S2に変更させる。これにより、用紙縦搬送路101を搬送されてくる用紙Pがロータリガイド部材30に到達する前に、ロータリガイド部材30を、用紙Pを受け入れ可能な位置に位置させられる。
【0092】
ステップST5において、CPU200は、上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知されてから理論到達時間+第2時間が経過したことがタイマによりカウントされるまでにガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されるかを判定する。CPU200により用紙Pの到達が検知された場合には、ステップST6に進む。CPU200により用紙Pの到達が検知されたと判定されなかった場合には、ステップST7に進む。
【0093】
ステップST6において、第2姿勢制御部222は、ガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されてから第2時間が経過したことがタイマによりカウントされた後に、姿勢変更部50を制御してロータリガイド部材30の姿勢を受入位置S2から排出位置S3に変更させて処理を終了する。
【0094】
ステップST7において、上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知されてから理論到達時間+第2時間が経過したことがタイマによりカウントされると、第3姿勢制御部223は、姿勢変更部50を制御してロータリガイド部材30の姿勢を受入位置S2から排出位置S3に変更させる。
【0095】
ステップST8において、CPU200は、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢が排出位置S3に変更されてから第3時間が経過したことがタイマによりカウントされるまでにガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されるかを判定する。CPU200により用紙Pの到達が検知された場合には、CPU200は、用紙Pがロータリガイド部材30に搬送されていると判断して処理を終了する。CPU200により用紙Pの到達が検知されたと判定されなかった場合には、ステップST9に進む。
【0096】
ステップST9において、JAM判定部224は、用紙縦搬送路101においてJAMが発生したと判定して、各ローラの駆動を停止させ、用紙Pの搬送を停止させる。
【0097】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0098】
上流側センサ210により用紙Pの先端の通過が検知された後理論到達時間が経過してから、更に第2時間が経過するまでの間にガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合に、ロータリガイド部材30の姿勢を受入位置S2から排出位置S3に変更する第3姿勢制御部223を設けた。これにより、用紙縦搬送路101を搬送される用紙Pの先端側がカールするなどにより、ガイドセンサ105aに接触することなく隙間101bを通ってロータリガイド部材30側に進入した場合であっても、ロータリガイド部材30を排出位置S3に位置させられる。また、用紙縦搬送路101を搬送される用紙Pのコシが弱く、ガイドセンサ105aに接触したにもかかわらずガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合であっても、ロータリガイド部材30を排出位置S3に位置させられる。よって、用紙Pが搬送されているにもかかわらずガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合にもロータリガイド部材30を排出位置S3に位置させられるので、用紙Pを胴内排紙トレイ151に適切に搬出できる。
【0099】
また、ガイドセンサ105aを、用紙縦搬送路101の一部を遮断すると共に、このガイドセンサ105aの先端側に用紙Pが通過可能な隙間101bを形成するように配置し、この隙間101bに位置するシート材を、ロータリガイド部材30の姿勢が受入位置S2から排出位置S3に変更されるときにガイドセンサ105a側に押圧させた。これにより、用紙Pがロータリガイド部材30に到達しているにもかかわらずガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されていない場合であっても、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢を変更させることでガイドセンサ105aに用紙Pの到達を検知させられる。よって、用紙Pがロータリガイド部材30まで搬送されているか否かをより精度よく判定できる。
【0100】
また、用紙Pが定着部13の定着ベルト133に巻き込まれるなどしてロータリガイド部材30まで到達しなかった場合には、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢が変更されても、ガイドセンサ105aは用紙Pの到達を検知しない。
そこで、搬出方向切替部109を、第3姿勢制御部223によりロータリガイド部材30の姿勢が受入位置S2から排出位置S3に変更されてから第3時間が経過するまでに、ガイドセンサ105aにより用紙Pの到達が検知されなかった場合にJAMと判定するJAM判定部224を含んで構成した。よって、用紙縦搬送路101におけるJAMの発生を精度よく検知できる。
【0101】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態では、上流側センサ210を検知部として用いたが、これに限らない。即ち、用紙縦搬送路101に配置されたレジストローラ対143を検知部として用いてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、ガイドセンサ105aを、用紙縦搬送路101に配置したがこれに限らない。即ち、ガイドセンサを、ロータリガイド部材の案内路における受入開口の近傍に配置してもよい。
【符号の説明】
【0103】
10…コピー機(画像形成装置)、13…画像形成部、20…シート材搬出装置、30…ロータリガイド部材、34…支持軸、101…用紙縦搬送路(搬送路)、101b…隙間、105a…ガイドセンサ(機械式センサ)、210…上流側センサ(検知部)、221…第1姿勢制御部、222…第2姿勢制御部、223…第3姿勢制御部、224…JAM判定部、230…記憶部、320…案内路、A…基準位置、P…用紙(シート材)、S2…受入位置、S3…排出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を案内する案内路を有すると共に、該案内路における該シート材の搬送方向と直交しかつ該シート材の幅方向に延びる支持軸を中心に回動して、前記シート材を前記案内路に受け入れる受入位置と該シート材を前記案内路から排出する排出位置との間で姿勢を変更可能なロータリガイド部材と、
前記ロータリガイド部材の上流側における該ロータリガイド部材の近傍に配置され前記シート材に押圧されることにより該シート材の到達を検知する機械式センサと、
前記機械式センサの上流側に位置する所定の基準位置を前記シート材の先端が通過したことを検知する検知部と、
前記シート材の先端が前記基準位置を通過してから前記機械式センサに到達するまでの理論到達時間を記憶する記憶部と、
前記検知部により前記シート材の先端の通過が検知されてから前記理論到達時間よりも短い第1時間が経過した場合に、前記ロータリガイド部材の姿勢を前記受入位置とする第1姿勢制御部と、
前記機械式センサにより前記シート材の到達が検知されると前記ロータリガイド部材の姿勢を前記受入位置から前記排出位置に変更する第2姿勢制御部と、
前記検知部により前記シート材の先端の通過が検知された後前記理論到達時間が経過してから、更に第2時間が経過するまでの間に前記機械式センサにより前記シート材の到達が検知されなかった場合に、前記ロータリガイド部材の姿勢を前記受入位置から前記排出位置に変更する第3姿勢制御部と、を備えるシート材搬出装置。
【請求項2】
前記機械式センサは、前記ロータリガイド部材の上流側に設けられ前記シート材が搬送される搬送路に配置されて該搬送路の一部を遮断すると共に該機械式センサの先端側に前記シート材が通過可能な隙間を形成し、
前記隙間に位置するシート材は、前記ロータリガイド部材の姿勢が前記受入位置から前記排出位置に変更される場合に前記機械式センサ側に押圧される請求項1に記載のシート材搬出装置。
【請求項3】
前記第3姿勢制御部により前記ロータリガイド部材の姿勢が前記受入位置から前記排出位置に変更されてから第3時間が経過するまでに、前記機械式センサにより前記シート材の到達が検知されなかった場合にJAMと判定するJAM判定部を更に備える請求項1又は2に記載のシート材搬出装置。
【請求項4】
シート材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された前記シート材を搬出する請求項1から3のいずれかに記載のシート材搬出装置と、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−241001(P2011−241001A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111597(P2010−111597)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】