シート材移送装置
【課題】原反から繰出ローラでフィルムを繰り出した後、間欠送りローラで定寸法送りを行なうフィルム移送装置において、原反と繰出ローラとの間に印字装置を配置し、フィルムの繰出し中に印字できるようにする。
【解決手段】フィルム移送装置1には原反2と繰出ローラ3の間に印字装置6が配置されている。フィルム移送装置1は、ダンサセンサ7からダンサロール4が上限位置Paに変位したことを示す変位検出信号が出力されると、繰出ローラ3によるフィルム繰出し動作が開始させる。フィルムFの繰出し中にマーカセンサ8によりフィルムFに設定されたマーカMを検出したことを示すマーカ検出信号が出力されると、印字装置6にフィルムFへの印字処理を開始させる。印字装置6から印字完了信号が出力されると、繰出ローラ3のフィルム繰出し動作を停止させる。
【解決手段】フィルム移送装置1には原反2と繰出ローラ3の間に印字装置6が配置されている。フィルム移送装置1は、ダンサセンサ7からダンサロール4が上限位置Paに変位したことを示す変位検出信号が出力されると、繰出ローラ3によるフィルム繰出し動作が開始させる。フィルムFの繰出し中にマーカセンサ8によりフィルムFに設定されたマーカMを検出したことを示すマーカ検出信号が出力されると、印字装置6にフィルムFへの印字処理を開始させる。印字装置6から印字完了信号が出力されると、繰出ローラ3のフィルム繰出し動作を停止させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め複数の領域に分割され、各領域内の所定の位置に印字領域が設けられた帯状のシート材をロール状に成形した原反から各印字領域に印字を行ないながらシート材を繰り出し、その繰り出されたシート材を領域の寸法を移送単位として間欠的に後工程に移送するシート材移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るシート材移送装置は、具体的には、例えば、ボトルなどの容器にシュリンクラベルなどの商品ラベルを装着するラベル装着装置(シュリンクラベラー)のラベル供給部分を構成するラベル供給装置に適用されるものである。このラベル供給装置には、例えば、長手方向に多数の同一の図柄(ボトル商品のラベルに相当。以下、「ラベル」という。)が切り代を設けて一列に印刷された帯状のフィルムをロール状に成形した原反から当該フィルムを繰り出し、その繰り出されたフィルムをラベル部分毎に間欠的にフィルム切断装置に移送し、当該フィルム切断装置でフィルムの切り代を切断することによりラベルを1枚ずつ供給するものがある。
【0003】
この種のラベル供給装置では、フィルムから各ラベルを正確に切り離すために、フィルム切断装置の切断位置にフィルムの切り代の切断位置を正確に移送する必要がある。このため、フィルムをフィルム切断装置に移送する移送装置(以下、「フィルム移送装置」という。)にはフィルムの切り代に設定されている切断位置の間隔D((図柄+切り代)の部分の距離に相当)で正確に間欠的に移送するフィルム移送手段が設けられている。
【0004】
そして、各ラベルに印字する機能を備えたフィルム移送装置では、フィルムがフィルム移送手段によって正確に間隔Dずつ定寸法で送られることに鑑み、当該フィルム移送手段の上流側に印字装置を設け、フィルム移送手段の上流側の所定の位置でフィルムの各ラベルが間欠的に停止される毎に当該ラベルに対して商品の製造者や消費期限などの所定の印字データを印字する構成が知られている。
【0005】
図13は、従来の印字機能を備えたフィルム移送装置の基本構成の一例を示す図である。
【0006】
このシート材移送装置101は、原反102とラベル切断装置Cとの間に、原反102から多数のラベルが切り代を設けて連続的に印刷されたフィルムFを繰り出す繰出ローラ103と、繰出ローラ103によって繰り出されるフィルムFに対して張力を付与するダンサロール104と、繰出ローラ103からダンサロール104を経由して移送されるフィルムFを一定の寸法((ラベル+切り代)の長手方向の寸法)で間欠的にラベル切断装置Cに送る間欠送りローラ105(フィルム移送手段に相当)とをこの順に配置した構成を備えている。また、間欠送りローラ105の上流側のフィルムFを水平に移送する区間に印字装置106が配設されている。
【0007】
間欠送りローラ105によって間欠送りされたフィルムFはラベル切断装置Cによって各ラベルが切り離され、切り離されたラベルは図略のラベル受渡装置で受け取られて後工程のボトルにラベルを装着する工程に搬送されるが、切り離されたラベルは重力によって容易にその形が変化するので、ラベル受渡装置で各ラベルを受け取り易くするため、間欠送りローラ105はフィルムFを上から下の方向に間欠送りする構成となっている。
【0008】
原反102から間欠送りローラ105までフィルムFを移送する経路上に繰出ローラ103を設けているのは、間欠送りローラ105の駆動源として位置制御に優れた駆動モータが用いられ、この種の駆動モータは原反102からフィルムFを引き出すトルクが十分にないため、間欠送りローラ105がフィルムFを間欠送りする前に、トルク特性に優れた駆動モータを駆動源とする繰出ローラ103によって原反102からフィルムFを繰り出しておくようにするためである。
【0009】
また、繰出ローラ103の下流側にダンサロール104を設けているのは、繰出ローラ103でフィルムFを繰り出した後、間欠送りローラ105で当該フィルムFを定寸法送りするというフィルムFの移送動作を繰り返す場合、繰出ローラ103から間欠送りローラ105の区間のフィルムFの長さが伸縮を繰り返すので、その長さの変化に拘わらず当該区間のフィルムFに一定の張力を付与し、間欠送りローラ105の定寸法送り動作の安定化を図るためである。
【0010】
ダンサロール104は、自重によってフィルムFを上方から押圧する構成であるので、繰出ローラ103によってフィルムFを繰り出した後、間欠送りローラ103がそのフィルムFを定寸法送りすると、繰出ローラ103によってフィルムFが繰り出されたときの位置Pb(以下、「下限位置Pb」という。)と間欠送りローラ105によってフィルムFが定寸法送りされたときの位置Pa(以下、「上限位置Pa」という。)で押圧力とフィルムFの張力とが釣り合い、ダンサロール104は、両位置Pa,Pbで停止する。
【0011】
ダンサロール104の上限位置Paと下限位置Pbの近傍には、当該ダンサロール104が両位置Pa,Pbに変位したことを検出するセンサ107,108がそれぞれ設けられ、センサ107の検出信号により繰出ローラ103の駆動モータの駆動を開始させ、センサ108の検出信号により当該駆動モータの駆動を停止させることによって、繰出ローラ103によりフィルムFが間欠的に繰り出される構成となっている。すなわち、ダンサロール104は、繰出ローラ103の駆動を制御する要素としても機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−76671号公報
【特許文献2】特開2002−326746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の印字機能を備えたフィルム移送装置101は、間欠送りローラ105の上流側の水平移送区間にフィルムFの各ラベルが正確に間欠送りされる位置Pが存在するので、その位置Pを印字位置として利用し、各ラベルが印字位置Pに送られる毎に印字装置106で当該ラベル内の所定の印字領域に印字データを印字する構成を採用している。
【0014】
しかしながら、この方法では、図13の構成から明らかなように、印字位置Pが設定される水平移送区間よりも上流側には適切な印字位置がなく、印字装置106の配設位置が当該水平移送区間に限られ、フィルム移送装置101のスペースの有効利用を阻害し、印字装置106の取り扱いを不便にするという問題がある。
【0015】
すなわち、間欠送りローラ105はフィルムFを上から下の方向に間欠送りするように配置され、間欠送りローラ105の下側にはフィルム切断装置106や図略のラベル受渡装置が配置されるので、間欠送りローラ105の配設位置は高さ方向に高い位置となる。一方、原反102からダンサロール104までは間欠送りローラ105のような高さ方向における配設位置の制約はないので、図13に示すように、原反102からダンサロール104までのフィルムFの移送経路は間欠送りローラ105よりも低い位置に設定される。このため、ダンサロール104から間欠送りローラ105までのフィルムFの移送経路は、フィルムFを間欠送りローラ105も高い位置に一旦上昇させた後、間欠送りローラ105の上方位置まで水平に移送させる経路となる。
【0016】
原反102から間欠送りローラ105までのフィルムFの移送経路において、繰出ローラ103とダンサロール104の区間やダンサロール104よりも下流側のフィルムFを間欠送りローラ105も高い位置に上昇させる区間は、印字装置106の印字方向との関係で印字装置106を配設することが困難であり、これらの区間に印字領域を設けることはできない。また、原反102から繰出ローラ103の区間は、繰出ローラ103によるフィルムFの間欠的な繰出し量が間欠送りローラ105によりフィルムFの間欠送り量よりも精度が低く、この区間に印字位置を設定しても繰出ローラ103によって各ラベルの印字位置がその印字位置に正確に設定されないので、実質的に原反102と繰出ローラ103の区間にも印字位置を設けることはできない。この結果、印字装置106の配設位置は、間欠送りローラ105の手前の水平な移送区間に限定されることになっている。
【0017】
フィルムFの移送経路のうち間欠送りローラ105の手前の水平移送区間は高さが最も高い位置となるので、印字装置106の配設位置がこの水平移送区間に限定されると、フィルム移送装置101の高さ方向のサイズの縮小化が制限されるとともに、原反102から繰出ローラ103の区間に印字装置106が配設できれば、フィルム移送装置101の全体的なコンパクト化が可能であるにも拘わらず、その設計の自由度も大きく制限されるという問題がある。また、印字装置106がフィルム移送装置101の高い位置に配設されることにより、メンテナンスやフィルムFへの印字条件の設定などで作業者が印字装置106を直接操作しなければならない場合に非常に不便で、印字装置106の操作性の点でも問題である。
【0018】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、繰出ローラより上流側に印字装置を設置して原反からシート材を繰り出しながら各印字領域に印字をすることができるシート材移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載の発明は、予め複数の領域に分割され、各領域内の所定の位置に印字領域が設けられた帯状のシート材をロール状に成形した原反から各印字領域に印字を行ないながら前記シート材を繰り出し、その繰り出されたシート材を前記領域の寸法を移送単位として間欠的に移送するシート材移送装置であって、前記原反から前記シート材を間欠的に繰り出すシート材繰出手段と、前記シート材繰出手段により繰り出された前記シート材を前記領域の寸法だけ移送する定寸法シート材移送手段と、前記シート材繰出手段により前記シート材が繰り出される毎に前記定寸法シート材移送手段に前記シート材の定寸法移送動作を行わせるシート材移送制御手段と、ダンサロールによって前記シート材繰出手段と前記定寸法シート材移送手段との間に繰り出された前記シート材に張力を付与する張力付与手段と、前記定寸法シート材移送手段による前記シート材の定寸法送りによって前記ダンサロールが予め設定された位置に変位したことを検出する変位検出手段と、前記原反から前記シート繰出手段までの前記シート材の繰出経路上で前記シート材の各印字領域に対応して予め設定された所定のマークを検出するマーク検出手段と、前記繰出経路上で前記シート材に印字を行ない、当該印字処理が完了すると、印字完了情報を出力する印字手段と、前記マーク検出手段による前記マークの検出に基づく所定のタイミングで前記シート材の当該マークに対応する印字領域への印字処理を開始させる印字制御手段と、前記変位検出手段により前記ダンサロールの変位を検出すると、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させ、前記印字手段から出力される前記印字完了情報に基づいて当該繰出し動作を停止させることによって前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を間欠的に行なわせる繰出制御手段と、を備えたことを特徴とするシート材移送装置である。
【0020】
請求項1に記載のシート材移送装置において前記繰出制御手段は、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させた後に前記印字手段から予め設定された数の前記印字完了情報が出力されると、最後に出力された印字完了情報に基づいて前記シート材繰出手段の繰出し動作を停止させるとよい(請求項2)。
【0021】
請求項1又は2に記載のシート材移送装置において、前記複数の領域内に同一の図柄のラベルが形成され、領域毎に切断することによって各ラベルが生成されるラベル生成用のシート材であり、前記マークは、前記図柄に含まれる特定の図形もしくは模様に対して設定されているとよい。
【0022】
また、請求項1ないし3のいずれかに記載のシート材移送装置において、前記シート材は、フィルムで構成され、前記印字手段は、レーザを照射して前記フィルムの表面層を熱溶融して印字を行なうレーザマーカであるとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るシート材移送装置によれば、原反から複数の領域に分割されたシート材がシート材繰出手段により間欠的に繰り出され、シート繰出手段のシート材繰出し動作が停止している期間に、繰り出されたシート材が領域の寸法だけ定寸法シート材移送手段によって移送されるというシートの移送動作が繰り返される。
【0024】
そして、上記のシートの移送動作では、定寸法送りによりシート材が定寸法送りされるのに応じてダンサロールの位置が変化し、変位検出手段によりダンサロールが予め設定された位置に変位したことが検出されると、シート材繰出手段の繰出し動作が開始される。そして、シート材繰出手段により原反からシート材が繰り出されている期間にマーク検出手段により当該シート材に設定されているマークが検出されると、その検出に基づく所定のタイミングで印字手段によりシート材の印字領域に印字が行われ、印字手段からその印字処理を終了したことを示す印字完了情報が出力されると、シート材繰出手段の繰出し動作が停止される。
【0025】
本発明に係るシート材移送装置は、複数の領域に分割され、各領域内に印字領域が形成されたシート材に各印字領域に対応してマークを設定し、原反からシート材を繰り出している期間に当該マークを検出して印字装置の印字開始タイミングを制御するので、印字装置を原反とシート材繰出手段との間に配置することができる。
【0026】
これにより、従来のように印字手段をシート材移送装置の高い位置に配設する必要がなくなり、シート材移送装置の高さ方向のサイズの短縮化や装置全体のコンパクト化を図ることができる。また、印字手段をシート材移送装置の低い位置に設置できるので、メンテナンスやシート材への印字条件の設定などで作業者が印字手段を直接操作しなければならない場合にも操作性を阻害することがない。
【0027】
また、印字装置の印字完了情報を用いてシート材繰出手段の繰出し動作を停止させるので、従来のようにシート材繰出手段の繰出し動作を停止させるためのダンサロールの変位位置を検出する必要がなくなり、この分、ダンサロールの変位位置を検出するためのセンサを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るシート材移送装置の基本構成を示す図である。
【図2】シート材移送装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】フィルムの構成を示す図である。
【図4】マークセンサから出力されるマーク検出信号の波形の一例を示す図である。
【図5】フィルムの繰出開始時と繰出終了時における印字装置及びマークセンサに対するフィルムの相対的な位置関係を示す図である。
【図6】印字装置とマークセンサの位置関係を示す図である。
【図7】フィルム移送装置によるフィルムの間欠送りシーケンスを示すタイムチャートである。
【図8】制御装置のフィルムの間欠送り制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】フィルムの図柄内の特定の図形をマークとして利用する場合の一例を示す図である。
【図10】フィルムの繰出し量をラベル2枚分にした場合のフィルムの間欠送りシーケンスを示すタイムチャートである。
【図11】フィルムの繰り出し後の停止期間に印字データを印字する場合のタイムチャートである。
【図12】フィルム停止中の印字方法におけるフィルム繰出開始時の印字装置に対するフィルムの相対的な位置関係を示す図である。
【図13】従来の印字機能を備えたフィルム移送装置の基本構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に係るシート材移送装置の基本構成を示す図である。図2は、シート材移送装置の電気的構成を示すブロック図である。図2において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付している。
【0030】
シート材移送装置1は、ボトルなどの容器の表面に装着される多数の図柄(商品のラベルに相当)が一定の間隔(切り代に相当)を設けて一列に印刷された帯状のシート材Fを原反2から繰出ローラ3で一旦繰り出した後その繰り出されたフィルムFを間欠送りローラ5で一定の寸法((図柄+切り代)の部分の寸法)だけ送る動作を繰り返すことによって、シート材Fをラベル切断装置Cに間欠送りする装置である。
【0031】
シート材移送装置1によって間欠送りされたフィルムFはラベル切断装置Cによって切断され、その切断された部分(ラベル部分)は図略のラベル受渡装置で受け取られて図略のラベル貼着装置に渡され、当該ラベル貼着装置によって容器の表面に貼着される。
【0032】
シート材移送装置1は、帯状のシート材Fをロール状に生成した原反2とラベル切断装置Cとの間に、原反2からシート材Fを間欠的に繰り出す繰出ローラ3と、繰出ローラ3によって繰り出されるシート材Fに対して張力を付与するダンサロール4と、繰出ローラ3からダンサロール4を経由して移送されるシート材Fを一定の寸法((図柄+きり代)の長手方向の寸法。図3の寸法d1参照)で間欠的にラベル切断装置Cに送る間欠送りローラ5と、をこの順に配置した構成を備える。また、原反2から繰出ローラ3までの区間にマークセンサ8と印字装置6とがこの順に配設されている。
【0033】
シート材Fは、例えば、熱収縮性の帯状のフィルム(シュリンクフィルム)に、図3に示すように、多数の商品ラベルの図柄Gが切り代を設けて一列に印刷されたものである。この図柄Gには商標や商品広告用のイメージ画像などが含まれる。シート材F(以下、「フィルムF」という。)は、長手方向に図柄Gが印刷された領域Laと切り代に相当する領域Lbを有する。
【0034】
図柄Gは、領域Laのほぼ中央に印刷されている。領域Laの長手方向に沿う両側はフィルム地の部分となっており、一方のフィルム地の部分(図3では下側のフィルム地の部分。透明もしくは半透明の部分)のほぼ中央に印字領域Lcが設けられている。各印字領域Lcは印字装置6によって商品の製造年月日や消費期限などのボトル商品に関する所定の印字データが印字される領域である。なお、ボトル商品に関する印字データは上記のものに限られず、ボトル商品の種類や性質に応じて適宜の項目が含まれることは言うまでもない。
【0035】
ラベル切断装置Cに間欠的に送られたフィルムFは、切り代(領域Lb)の中央で切断されるように、シート材移送装置1(以下、「フィルム移送装置1」という。)からラベル切断装置Cに間欠的に送られるので、各領域Lbの中央が切断位置CLとなっている。従って、切断位置CLの間隔d1((領域La+領域Lb)の長手方向の寸法と同じ)が間欠送りローラ5によって間欠的に送られるフィルムFの定寸法である。
【0036】
各領域Lbの一方の側部(図3では下側の側部)の切断位置CLには矩形状のマークMが印刷されている。マークMは、フィルムFの繰り出し中に当該マークMよりも上流側に隣接する印字領域Lcに対して印字装置6に印字データを印字させるための印字タイミングを取得するためのものである。マークMはマークセンサ8によって検出され、そのマーク検出信号が制御装置10で印字タイミングとして利用される。マークMによる印字タイミングの制御については、後述する。
【0037】
シート材移送装置1のフィルムFを間欠送りするための基本構成は、図13に示す従来のシート材移送装置101のフィルムFを間欠送りするための基本構成と同一である。従って、シート材移送装置1の原反2、繰出ローラ3、ダンサロール4及び間欠送りローラ5は、シート材移送装置101の原反102、繰出ローラ103、ダンサロール104及び間欠送りローラ105にそれぞれ対応している。また、シート材移送装置1のフィルムFの移送経路も図13に示すシート材移送装置101のフィルムFの移送経路とほぼ同じである。
【0038】
なお、図1において、複数のローラ9は、移送経路に沿ってフィルムFを移送させるために当該フィルムFをガイドするガイド部材である。複数のローラ9は、フィルムFの移送方向を変化させるために必要な箇所に配置されている。
【0039】
シート材移送装置1の原反2、繰出ローラ3等の各要素の果たす役割や動作は、図13においてシート材移送装置101の原反102、繰出ローラ103等の各要素について説明したものと同じであるから、ここでは重複する説明は省略し、各要素の構成について説明する。
【0040】
繰出ローラ3は互いに周面を圧接させた駆動ローラ3Aと従動ローラ3Bで構成され、駆動ローラ3Aと従動ローラ3Bの間にフィルムFが挟み込まれている。駆動ローラ3Aには駆動源である繰出モータ3Cが接続されている。繰出モータ3Cには、例えば、トルク特性に優れ、原反2からのフィルムFの繰出しに適した直流モータが用いられている。繰出モータ3Cの駆動は、図2に示すように、駆動回路3Dによって行われ、その駆動回路3Dによる繰出モータ3Cの回転開始と回転停止の制御は制御装置10によって行われる。
【0041】
なお、制御装置10は、シート材移送装置1におけるフィルムFの繰出し処理と、繰り出し中のフィルムFへの印字処理と、フィルムFの繰り出し後の定寸法送り処理とを統括的に制御する装置である。制御装置10としてはCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピュータが用いられる。制御装置10には、作業者がフィルム移送動作に関する各種の情報(例えば、間欠送りの周期Tや印字データなど)を入力したり、フィルム移送動作の状態を表示したりするための操作表示装置11が接続されている。操作表示装置11としては、液晶ディスプレイやタッチパネルが用いられるが、CRTディスプレイであってもよい。
【0042】
駆動回路3Dは制御装置10から駆動開始信号が入力されると、繰出モータ3Cに駆動電圧を供給し、制御装置10から駆動停止信号が入力されると、繰出モータ3Cへの駆動電圧の供給を停止する。繰出モータ3Cは、駆動回路3Dから駆動電圧が供給されると、回転を開始し、駆動回路3Dからの駆動電圧の供給が停止されると、回転を停止する。繰出モータ3Cが回転すると、その回転力が駆動ローラ3Aに伝達され、当該駆動ローラ3Aは図1において反時計まわりに回転する。駆動ローラ3Aの回転により従動ローラ3Bが図1において時計まわりに従動的に回転し、両ローラ3A,3Bの回転によりフィルムFが原反2からダンサロール4側に繰り出される。
【0043】
ダンサロール4は、繰出ローラ3によって繰り出されたフィルムFの上側に重石として載せられることにより、繰出ローラ3と間欠送りローラ5の間のフィルムFに一定の張力を付与するものである。ダンサロール4は、軸4Bに回動自在に支持されたアーム4Aの先端に固着され、軸4Bを支点として揺動する構成になっている。
【0044】
繰出ローラ3によってフィルムFが間欠的に繰り出されると、ダンサロール4はその繰出量によって生じるフィルムFの弛みを吸収する下限位置Pbまで下方向に移動する。一方、繰出ローラ3によるフィルムFの繰り出し後にその繰り出されたフィルムFが間欠送りローラ5によって間欠的に定寸法d1だけ送られると、当該フィルムFの長さが短くなるのに応じてダンサロール4は上昇し、上限位置Paで停止する。以下、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作と間欠送りローラ5による定寸法送りとが交互に繰り返されるのに応じて、ダンサロール4は下限位置Pbと上限位置Paとの間を上下動する。
【0045】
図13に示した従来のフィルム移送装置101では、ダンサロール104は、当該ダンサロール104が上限位置Paと下限位置Pbに変位したことを検出して繰出ローラ103の繰出し動作の開始と停止を制御する要素として機能していたが、本実施形態に係るダンサロール4は、当該ダンサロール4が上限位置Paに変位したことを検出して繰出ローラ103の繰出し動作の開始だけを制御する要素として機能する。従って、上限位置Paの近接位置にセンサ107に対応するダンサセンサ7が設けられている。なお、繰出ローラ103の繰出し動作の停止は、後述するように印字装置6により制御される。
【0046】
ダンサセンサ7には、例えば、反射型フォトセンサが用いられる。ダンサセンサ7は、上限位置Paに向けて投光しており、ダンサロール4が上限位置Paに上昇してダンサセンサ7からの光を反射し、その反射光を受光すると、ダンサロール4が上昇位置Paに上昇したことを示す変位検出信号を制御装置10に出力する。制御装置10は、ダンサセンサ7から変位検出信号が入力されると、駆動回路3Dに駆動開始信号を出力する。なお、ダンサセンサ7としては、透過型フォトセンサや分離型フォトサンサなどの他の光センサや機械式のスイッチを用いてもよい。また、ダンサセンサ7として、例えば、検出体である金属を電磁誘導作用を利用したセンサによって検出する誘導型近接スイッチなどを用いてもよい。
【0047】
間欠送りローラ5も繰出ローラ3と同様に、互いに周面を圧接させた駆動ローラ5Aと従動ローラ5Bで構成され、駆動ローラ5Aと従動ローラ5Bの間にフィルムFが挟み込まれている。駆動ローラ5Aには駆動源である間欠送りモータ5Cが接続されている。間欠送りモータ5Cには、例えば、位置制御に優れ、定寸法送りに適したステッピングモータが用いられている。間欠送りモータ5Cの駆動は、図2に示すように、駆動回路5Dと制御装置10によって行われる。
【0048】
制御装置10は、予め設定された周期Tで駆動回路5DにフィルムFの間欠送りの指令信号を出力する。駆動回路5DにはフィルムFを寸法d1だけ送るために必要なステッピングモータの回転量に相当するパルス数の情報が制御装置10から予め設定されている。駆動回路5Dは、制御装置10から間欠送りの指令信号が入力されると、そのパルス数だけ駆動パルスを間欠送りモータ5Cに出力する。これにより、間欠送りモータ5Cが所定の回転量だけ回転する。
【0049】
なお、寸法d1はフィルムFの種類が異なると、図柄Gのサイズも異なるので、異なる原反2がセットされる毎に作業者によって操作表示装置11から制御装置10に入力される。従って、制御装置10は、間欠送りの定寸法d1が変更される毎に、その情報を駆動回路5Dにセットする。
【0050】
間欠送りモータ5Cが回転すると、その回転力が間欠送りローラ5Aに伝達され、当該間欠送りローラ5Aは図1において反時計まわりに回転する。駆動ローラ5Aの回転により従動ローラ5Bが図1において時計まわりに従動的に回転し、両ローラ5A,5Bの回転によりフィルムFが寸法d1だけラベル切断装置Cに送られる。
【0051】
印字装置6は、フィルムFの表面に印字データを印字する装置である。印字装置6には、レーザマーカが用いられる。印字装置6にレーザマーカを用いるのは、フィルムFに非接触で印字ができることやフィルムFは熱収縮性の樹脂フィルムであるので、レーザによる加熱印字が適していることなどの理由による。印字装置6は、原反2と繰出ローラ3の間のフィルムFの繰出経路に対して所定の距離だけ上方の位置に設置されている。
【0052】
印字装置6はレーザ出射口6aから、例えば、波長10.6μmのCO2レーザをフィルムFに向けて照射し、そのフィルム表面を溶融して凹凸を形成することにより印字データをフィルムFに印字する。なお、レーザの種類はCO2レーザに限定されるものではなく、YAGレーザやYVO4レーザであってもよい。
【0053】
印字装置6はレーザマーカに限定されるものではない。フィルムFの素材に適した印字方式の印字装置を適宜選択することができる。例えば、フィルムFの素材が紙の場合は、インクジェット方式によるプリンタを用いることができる。
【0054】
印字装置6には制御装置10が接続され、当該印字装置6の印字タイミングは制御装置10により制御される。すなわち、制御装置10は印字装置6に印字開始信号を出力し、印字装置6はその印字開始信号を受けてレーザ出射口6aから印字データで変調されたレーザ光をフィルムFに向けて照射する。なお、制御装置10は、マークセンサ8からのマーク検出信号を受けて印字装置6に印字開始信号を出力する。従って、印字装置10は、実質的にマークセンサ8からのマーク検出信号を受けてフィルムFへの印字を開始することになる。
【0055】
印字装置6は、フィルムFへの印字処理が完了すると、制御装置10に印字完了信号を出力する。制御装置10は、印字装置6からの印字完了信号を受けて繰出モータ3Cの駆動回路3Dに駆動停止信号を出力し、繰出ローラ3の繰出し動作を停止させる。すなわち、印字装置6と制御装置10は、繰出ローラ3の駆動停止を制御する要素として機能している。
【0056】
上記のように、繰出ローラ5の繰出開始はダンサセンサ7によるダンサロール4の上限位置Paへの変位検出信号によって制御され、繰出ローラ5の繰出停止は印字装置6の印字完了信号によって制御されるので、繰出ローラ5によって繰り出されるフィルムFの繰出し量は間欠送りローラ3によるフィルムFの送り量ほどの精度はないが、その繰出し量は凡そラベル1枚分の寸法(定寸法d1に近い値)となっている。
【0057】
マークセンサ8は、フィルムFの繰り出し中に当該フィルムFに形成されたマークMを検出するものである。マークセンサ8には、例えば、反射型フォトセンサが用いられる。マークセンサ8は、フィルム8に向けて投光し、その反射光の受光量を2値レベルに成形したパルス状のマーク検出信号(図4参照)を出力する。
【0058】
マークセンサ8は、印字装置6の上流側に、印字装置6のレーザ出射口6aとマークセンサ8の投光口8aの距離が、マークMの右端と当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの右端との距離(図3のマークMの右端p1と印字領域Lcの右端p2の間隔d2参照)となるように配設されている。
【0059】
図4は、マークセンサ8がマークMの前後をフィルムFの繰出方向に相対的にスキャンした(図3のスキャンラインNを参照)ときのマーク検出信号の波形を示している。同図において、マーク検出信号の立下りタイミングは、図3のスキャンラインNとマークMの右端が交叉する位置p1に対応し、立上りタイミングはスキャンラインNとマークMの左端の交叉する位置(切断位置CLと同じ)に対応している。
【0060】
マークセンサ8には制御装置10が接続されており、マークセンサ8からのマーク検出信号は制御装置10に入力される。制御装置10では、マーク検出信号の立下りタイミングを検出し、その検出タイミングで印字装置6に印字開始信号を出力する。
【0061】
なお、制御装置10は、マーク検出信号の立下りタイミングを検出し、その検出タイミングで印字装置6に印字開始信号を出力してもよい。また、マークセンサ8から出力されるマーク検出信号の波形は、図4に示す波形に限定されるものではなく、同波形に対してハイレベルとローレベルを逆にした波形であっても良い。この場合は、制御装置10はマーク検出信号の立上りタイミング又は立下りタイミングで印字装置6に印字開始信号を出力する。また、マークセンサ8としては、反射型フォトセンサに限られず、透過型フォトセンサや分離型フォトサンサなどの他の光センサを用いてもよい。また、マークセンサ8としてRGBカラーセンサを用いてもよい。
【0062】
図5は、フィルムFの繰出開始時と繰出終了時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的な位置関係を示す図である。(a)はフィルムFの繰出開始時の位置関係であり、(b)はフィルムFの繰出終了時の位置関係である。
【0063】
上述したように、印字装置6は印字領域Lcへの印字データの印字処理が完了すると、制御装置10に印字完了信号を出力し、制御装置10がその印字完了信号を受けて繰出ローラ3のフィルムFの繰出動作を停止させる。図5(a)は、n枚目のラベルの印字領域Lcの略全体に印字データが印字された場合を示したものである。この場合は、印字装置6のレーザ光軸がn枚目の印字領域Lcの終端p3(図5では印字領域Lcの左端)に至るタイミングで印字装置6から印字完了信号が制御装置6に出力され、ほぼそのタイミングでフィルムFの繰出し動作が停止されるので、(n+1)枚目のラベルの繰出開始時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的な位置関係は図5(a)に示すようになる。
【0064】
図5(a)の状態からフィルムFの繰出し動作が行なわれると、この繰出し動作によってマークセンサ8によるフィルムFのスキャンが行なわれ、図5(b)に示すように、マークセンサ8が(n+1)枚目と(n+2)枚目の間に形成されたマークMの右側のエッジの部分に至ると、マークセンサ8のマーク検出信号のレベルが立ち下がる。
【0065】
制御装置10は、マークセンサ8からのマーク検出信号のレベルが立ち下がるタイミングで印字装置6に印字開始信号を出力するので、印字装置6はその印字開始信号を受けてフィルムFへの印字データの印字を開始する。マークセンサ8の投光口8aと印字装置6のレーザ出射口6aの距離はマークMの右端p1と当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの右端p2の間隔d2に調整されているので、制御装置10から印字装置6に印字開始信号が出力されるタイミングでは、図5(b)に示すように、印字装置6のレーザ光軸は略(n+2)枚目の印字領域Lcの右端P2にある。
【0066】
従って、印字装置6は、繰出中のフィルムFに対して(n+2)枚目の印字領域Lcの右端P2がレーザ出射口6aに対向するタイミングでレーザの照射を開始し、(n+2)枚目の印字領域Lcに正確に印字データを印字する。そして、(n+2)枚目の印字領域Lcの左端p3がレーザ出射口6aに対向する位置になると、その印字処理は完了するので、そのタイミングでフィルムFの繰出し動作は停止される。このときの印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的な位置関係は、図5(a)において、(n−1)枚目〜(n+1)枚目の各図柄Gの番号を1つずつ繰り上げたn枚目〜(n+2)枚目の図柄Gに変更した場合の位置関係となる。
【0067】
なお、本実施形態では、マークセンサ8の投光口8aと印字装置6のレーザ出射口6aの距離をマークMの右端p1と当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの右端p2の間隔d2に調整しているが、マークセンサ8と印字装置6の間の距離は、間隔d2から間隔d1の間の任意に距離に調整することができる。間隔d2に調整している場合は、マークMの検出タイミングを印字データの印字タイミングとすることができる利点がある。
【0068】
間隔d2から間隔d1の間の任意の距離d3に調整した場合は、図6に示すように、マークMの検出タイミングから距離d3と距離d2の差分ΔdだけフィルムFが繰り出されたタイミングで当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの左端p3がレーザ出射口6aに対向する位置となるので、マークMの検出タイミングからその繰出分の時間Δtだけ遅れて制御装置10から印字装置6に印字開始信号を出力させるようにすればよい。この遅延時間Δtは、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出速度をv2とすると、Δt=Δd/v2=(d3−d2)/v2となる。
【0069】
次に、制御装置10のフィルムFの間欠送り制御について、図7に示すタイムチャートと図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0070】
図7は、フィルム移送装置1によるフィルムFの間欠送りシーケンスを示すタイムチャートである。同図において、(イ)は制御装置10から間欠送りモータ5の駆動回路5Dに出力される間欠送りの指令信号を示している。(ロ)は間欠送りローラ5によるフィルムFの送り速度の変化を示している。(ハ)はダンサロール4の位置の変化を示している。(ニ)はダンサセンサ7から制御装置10に出力される変位検出信号を示している。(ホ)は繰出ローラ3によるフィルムFの繰出速度の変化を示している。(ヘ)はマークセンサ8から制御装置10に出力されるマーク検出信号を示している。(ト)は印字装置6の印字処理期間と印字装置6から制御措置10に出力される印字完了信号を示している。(チ)は制御措置10から繰出モータ3の駆動回路3Dに出力される駆動停止信号を示している。
【0071】
なお、(ロ),(ホ)において、傾斜している部分は加速もしくは減速している部分である。繰出ローラ3及び間欠送りローラ5の加速区間と減速区間は等速区間に比べ手非常に短いので、以下の説明では、繰出ローラ3及び間欠送りローラ5の駆動区間は等速区間として説明する。
【0072】
図8は、制御装置10のフィルムFの間欠送り制御の処理手順を示すフローチャートである。図7では、フィルムFがラベル2個分を間欠送りする場合について示しているが、以下の説明では、図5及び図7を参照しながらn枚目と(n+1)枚目のラベルが間欠送りされる場合を例に説明する。
【0073】
制御装置10は、図7(イ)に示すように、周期Tで駆動回路5Dに間欠送りの指令信号S1を出力する。制御装置10がt1のタイミングで指令信号S1を出力する直前では、フィルムFは印字装置6及びマークセンサ8に対して図5(a)の位置関係で停止している。また、このときには、フィルムFが繰出ローラ3によってラベル1枚分(凡そ寸法d1分)だけ繰り出されているから、ダンサロール4は下限位置Pbに停止している。
【0074】
制御装置10がt1のタイミングで駆動回路5Dに指令信号S1を出力すると(#1)、間欠送りローラ5の駆動が開始される(#2)。間欠送りローラ5は速度v1(m/分)でフィルムFを寸法d1(m)だけ送ると、t2のタイミングで停止する。なお、t1からt2までの時間をT1とすると、T1=d1/v1であるから、間欠送りローラ5のフィルム送り速度v1はd1/T1に設定されている。
【0075】
間欠送りローラ5によりフィルムFが送られると、これにより繰出ローラ3と間欠送りローラ5の間のフィルムFの長さが短くなるので、それに応じてダンサロール4は上昇し、上限位置Paに至ると、ダンサセンサ7から変位検出信号S2が制御装置10に入力される(#3:YES)。ダンサロール4は、間欠送りローラ5によりフィルムFが定寸法d1だけ送られる頃に上限位置Paに至るので、制御装置10には略t2のタイミングでダンサセンサ7から変位検出信号S2が入力される。
【0076】
制御装置10は、ダンサセンサ7からの変位検出信号S2を受けて繰出ローラ3の駆動回路3Dに駆動開始信号S5を出力する(#4)。制御装置10がt2のタイミングで駆動回路3Dに駆動開始信号S5を出力すると、繰出ローラ3の駆動が開始される(#5)。繰出ローラ5は速度v2(m/分)(v2<v1)でフィルムFの繰り出しを行う。
【0077】
フィルムFの繰り出しによりマークセンサ8がn枚目の図柄Gと(n+1)枚目の図柄Gの間のマークMをスキャンすると、マークセンサ8からマーク検出信号S3が制御装置10に出力される(#6:YES)。制御装置10は、マーク検出信号S3が入力されると、そのマーク検出信号S3の立下りタイミングで印字装置6に印字開始信号を出力する(#7)。印字装置6は制御装置10からの印字開始信号を受けて印字データの印字を開始する(#8)。
【0078】
マーク検出信号S3の立下りタイミングをt3とすると、t3のタイミングでは印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの位置関係は図5(b)の位置関係になっている。従って、t3のタイミングで印字装置6が印字データの印字を開始すると、その印字データはフィルムFの繰り出しによって(n+1)枚目の印字領域Lcの右端p2から左端p3に亘って印字される。
【0079】
そして、印字装置6のレーザ光軸が(n+1)枚目の印字領域Lcの左端p3に至るt4のタイミングで印字処理が完了すると、印字装置6から印字制御装置10に印字完了信号S4が出力される。制御装置10は、印字完了信号S4が入力されると(#9:YES)、駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力する(#10)。駆動回路3Dは制御装置10からの駆動停止信号S6を受けて繰出ローラ3の駆動を停止させ、フィルムFは繰出ローラ3が停止するt5のタイミングで静止する。そして、t1のタイミングから周期Tが経過するまで(t6のタイミングまで)待機し、周期Tが経過すると(#11:YES)、ステップ#1に戻る。
【0080】
t2のタイミングでフィルムFの繰り出しが開始されると、その繰出し動作によって繰出ローラ3と間欠送りローラ5の間のフィルムFの長さが長くなるので、それに応じてダンサロール4は下降する。繰出ローラ3が繰出し動作を停止するt5のタイミングではフィルムFは略ラベル1枚分が繰り出され、ダンサロール4は下限位置Pbに変位し、その状態が次の間欠送り動作の開始されるt6のタイミングまで継続される。
【0081】
そして、t6のタイミングから(n+2)枚目のラベルについて同様の間欠送り動作が行なわれる。すなわち、t6〜t9のタイミングはそれぞれt1〜t5のタイミングに対応し、上述したt1〜t5の各タイミングにおける動作が行なわれる。
【0082】
上記実施形態では、周期Tの後端に待機期間T3を設けているが、この待機期間T3は必ずしも必要ではなく、設けないようにしても良い。待機期間T3を設けない場合、間欠送りローラ5によるフィルムFの間欠送りの周期は(T1+T2)となり、繰出ローラ2によるフィルムFの繰出しの周期は(T2+T1)となり、両者の周期は同一になる。すなわち、同一の周期TでフィルムFの繰出し動作と定寸法送り動作とが交互に行なわれる。
【0083】
なお、上記実施形態では、マークMを図柄Gとは別にフィルムFに印刷していたが、図柄G内の特定の図形や模様などをマークMとして利用しても良い。例えば、図9に示すように、図柄G内に矩形模様g1と円形模様g2が含まれている場合、エッジ部分が有する矩形模様g1をマークMに設定し、矩形模様g1のエッジ部分(例えば、枠の左右の辺の部分)の検出信号をマーク検出信号S3とすることができる。また、また、マークMの形成位置は、領域Lb内に限るものではなく、上記した印字タイミングを取得することができるのであれば、領域La内の適当な位置に設定することができる。
【0084】
上記のように、本実施形態に係るシート移送装置1によれば、フィルムFに各ラベルに対応してマークMを設定し、フィルムFを送っている期間に当該マークMを検出し、そのマーク検出信号S3に基づいて印字装置6により各ラベルの印字領域Lcに印字データの印字を行なわせるので、印字装置6を原反2と繰出ローラ3の間に配置し、当該繰出ローラ3によるフィルムFの繰出期間に印字処理をすることができる。
【0085】
従って、従来のシート材移送装置101のように、印字装置6をシート材移送装置1の高い位置に配設する必要がなく、シート材移送装置1の高さ方向のサイズの短縮化や装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0086】
また、印字装置6をシート材移送装置1の低い位置に設置できるので、メンテナンスやシート材への印字条件の設定などで作業者が印字装置6を操作しなければならない場合にもその操作性を阻害することがない。
【0087】
また、印字装置6の印字完了信号S4を用いて繰出ローラ3の繰出し動作を停止させるので、従来のシート材移送装置101のように繰出ローラ3の繰出し動作を停止させるためのダンサロール4の下限位置Pbを検出する必要がなくなり、この分、ダンサロール4の変位位置を検出するためのダンサセンサを削減することができる。
【0088】
ところで、上述した実施形態(以下、「第1実施形態」という。)では、フィルムFをラベル1枚の寸法分繰り出した後にその繰り出した分に対して正確にラベル1枚の寸法d1だけ送る処理を繰り返す構成としているが、フィルムFの繰出し量はラベル1枚分に限定されるものではなく、ラベル複数枚分を繰り出すようにしてもよい。例えば、図10に示すように、間欠送りローラ5がフィルムFをラベル2枚分だけ間欠的に定寸法送りしている期間に繰出ローラ3でフィルムFをラベル2枚分繰り出し、その繰り出し中にラベル2枚分について印字装置6で印字処理をする(以下、この実施形態を「第2実施形態」という。)ようにしてもよい。
【0089】
図10は、図7に対応するタイムチャートであるが、(ハ)のダンサロール4の位置は省略している。
【0090】
第2実施形態では、図10(イ)に示すように、制御装置10は、周期Tで駆動回路5Dに間欠送りの指令信号S1を出力するので、間欠送りローラ5は周期Tが経過する毎にフィルムFを定寸法d1だけラベル切断装置Cに送る。t1のタイミングでn枚目のラベルの定寸法送りが行なわれることによってダンサロール4が上限位置Paに上昇し、t2のタイミングでダンサセンサ7から制御装置10に変位検出信号S2が入力されると、制御装置10から駆動回路3Dに駆動開始信号S5が入力されるので、繰出ローラ3はフィルムFの繰出し動作を開始する。
【0091】
フィルムFの繰出し動作が開始されると、t3のタイミングでマークセンサ8から(n+1)枚目のラベルに対するマーク検出信号S3が出力され、印字装置6により(n+1)枚目のラベルの印字領域Lcに印字データが印字されるが、この印字処理の完了時に印字装置6から出力される印字完了信号S4は制御装置10では無視され、制御装置10から駆動回路3Dには駆動停止信号S6は出力されない。
【0092】
すなわち、制御装置10は、例えば、フィルムFの繰出し動作を開始させると、その後にマーク検出信号S3から入力されるマーク検出信号をカウントし、そのカウント値が「2」の場合に駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力する。
【0093】
このため、繰出ローラ3はフィルムFの繰出し動作を継続するので、taのタイミングでマークセンサ8から(n+2)枚目のラベルに対するマーク検出信号S3が出力され、印字装置6により(n+2)枚目のラベルの印字領域Lcにも印字データが印字されることになる。制御装置10は、この印字処理の完了時に印字装置6から出力される印字完了信号S4を受け付け、駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力する。これにより、繰出ローラ3は制御装置10から駆動停止信号S6が出力されるtbのタイミングでフィルムFの繰出し動作を停止する。すなわち、繰出ローラ3は周期Tの2倍の期間が経過する毎にラベル2枚分のフィルムFの繰出し動作を行なう。
【0094】
第2実施形態では、繰出ローラ3の繰出し動作の周期が間欠送りローラ5の定寸法送りの周期Tの2倍になり、図7に示す第1実施形態に比べてフィルムFの繰出速度を更に遅くできるので、間欠送りローラ5の定寸法送りの周期Tを短くして間欠送りの高速化が図られた場合にも印字装置6による印字処理に支障を来たすことなく確実にフィルムFの繰り出しを行なうことができる利点がある。
【0095】
第1実施形態及び第2実施形態では、印字装置6による印字処理をフィルムFの繰り出し中に行なっているが、マーカセンサ8から制御装置10にマーカ検出信号S3が出力されると、制御装置10から駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力して繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作を停止させた後、制御装置10から印字装置6に印字開始信号を出力して、フィルムFの停止中に印字データを印字させるようにしてもよい。
【0096】
この方法は、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作の停止後に印字装置6による印字処理を行なう方法(以下、この方法を「フィルム停止中の印字方法」という。)である。この方法では、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作を停止させたとき、図5(b)に示すように、印字装置6のレーザ光軸が印字領域Lcの右端p2に位置している必要がある。印字装置6は、フィルムFが停止しているので、レーザ光軸を印字領域Lcの右端p2から左端p3に亘って振らせることによって印字データを当該印字領域Lcに印字する。
【0097】
図11は、フィルムFの繰り出し後の停止期間に印字データを印字する場合(以下、この実施形態を「第3実施形態」という。)のタイムチャートである。図11のタイムチャートは、図7のタイムチャーチに対応するものであるが、図7と比較すると、(へ),(ト),(チ)の内容が異なっている。
【0098】
第3実施形態では、t2のタイミングでダンサセンサ7から変位検出信号が出力されると、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作が開始されるが、その繰出し動作は、t3のタイミングでマークセンサ8からマーク検出信号S3が出力されると、停止される。図7に示す第1実施形態では、マーク検出信号S3が出力されると、制御装置10から印字装置6に印字開始信号が出力されたが、図11に示す第3実施形態では、マーク検出信号S3が出力されると、制御装置10から駆動回路3Dに駆動停止信号S6が出力され、繰出ローラ3の繰出し動作が停止される。
【0099】
第3実施形態では、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し量が略ラベル1枚分の寸法(略d2の寸法)であり、フィルムFの繰出停止時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的に位置関係は、印字装置6のレーザ光軸が印字領域Lcの右端p2に位置する関係(図5(b)の位置関係参照)でなければならないから、フィルムFの繰出し開始時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的に位置関係は、図12に示す位置関係となる。
【0100】
図12に示す状態から繰出ローラ3によりフィルムFが繰り出されると、マークセンサ8が(n+1)枚目の図柄Gの上流側に隣接するマークMをスキャンすることにより、当該マークMの右端p1を検出するマーク検出信号S3が出力されるタイミングで繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作が停止される。従って、その後、フィルムFの停止中に印字装置6により印字データの印字処理が行なわれると、その印字データは(n+1)枚目の図柄Gに対応する印字領域Lcに印字されることになる。
【0101】
なお、第3実施形態では、マークMの検出信号によって繰出ローラ3の繰出し動作を停止させるので、印字装置6のレーザ光軸が印字領域Lcの右端p2と一致する位置で正確に停止させることは難しい。しかしながら、フィルムFに設定したマークMの検出信号を用いて当該フィルムFの繰出し動作を停止させるので、従来のダンサロール4が下限位置pbに変位した変位検出信号を用いてフィルムFの繰出し動作を停止させる方法よりは印字装置6に対するフィルムFの停止位置の精度は良好であり、その精度の範囲内で印字領域Lcの印字開始位置が微小に変化しても印字品質に問題は生じないので、フィルム停止中の印字方法を適用しても不都合は生じない。
【0102】
第3実施形態では、図11に示すように、フィルムFが停止してから間欠送りローラ5によるフィルムFの定寸法送りを開始するまでの間に印字処理をする期間を設ける必要があるが、印字装置6による印字処理に要する時間は非常に短いので、間欠送りローラ5によるフィルムFの間欠送りの周期Tにおける停止期間T2’はフィルム繰出中の印字方法を用いた場合の間欠送りローラ5によるフィルムFの間欠送りの周期Tにおける停止期間T2(図7の期間T2参照)と比較してもその時間差は微小であり、フィルム繰出中の印字方法と略同様のフィルム間欠送りをすることができる。
【0103】
図13に示した従来のフィルム移送装置101でもフィルムFを間欠送りしている期間に印字処理を行なう方法を採用することができるが、フィルムFの間欠送りの速度の高速化を図る(周期Tを短くする)一方で、間欠送りにおける周期Tにおける停止期間T2を長く確保しようとすると、間欠送りモータ5によるフィルムFの送り速度v1を大きくして周期Tにおける送り期間T1を短く必要がある。
【0104】
しかし、フィルムFの送り速度v1を大きくし過ぎると、印字装置6による印字処理の時間を確保できなくなる可能性があり、従来のフィルム移送装置101では間欠送りモータ5によるフィルムFの送り速度v1に一定の限界が生じるという不都合がある。これに対し、上述した第1〜第3実施形態に係るフィルム移送装置1では、図7,図11から明らかなように、繰出モータ3によるフィルムFの繰出速度v2を間欠送りモータ5によるフィルムFの送り速度v1よりも小さく設定することができるので、印字装置6による印字速度との関係で繰出モータ3によるフィルムFの繰出速度v2が制限を受けるという不都合は生じない。
【0105】
すなわち、上述した第1〜第3実施形態に係るフィルム移送装置1は、設計上の自由度を害することなくフィルム繰出中の印字方法とフィルム停止中の印字方法のいずれも採用することができるという利点がある。
【0106】
なお、上述した第1〜第3実施形態では、商品ラベルの図柄Gが一定の間隔で一列に印刷された帯状のフィルムFについて説明したが、本発明は、フィルムFには図柄Gが印字されていないフィルムFを定寸法で間欠送りしてラベル切断装置Cで切断する場合にも適用できることは言うまでもない。このようなフィルムFとしては、例えば、フィルムFが着色された半透明のフィルムFで、このフィルムFを定寸法で切断して透明のボトルに装飾用として包装する場合が考えられる。
【0107】
また、本発明は、帯状のシート材Fを繰出しながらその下流側で定寸法の間欠送りを行なう場合に、フィルムFを繰り出しながら印字データを印字する機能を備えたシート材移送装置に広く適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0108】
1 シート材移送装置
2 原反
3 繰出ローラ
3A 駆動モータ
3B 従動ローラ
3C 駆動モータ(直流モータ)
3D 駆動回路
4 ダンサロール
5 間欠送りローラ
5A 駆動モータ
5B 従動ローラ
5C 駆動モータ(ステッピングモータ)
5D 駆動回路
6 印字装置
7 ダンサセンサ
8 マークセンサ
9 操作表示装置
10 制御装置
C ラベル切断装置
F フィルム(シート部材)
G 図柄(ラベル)
g1 図柄内の矩形模様(マーク)
La ラベルの領域
Lb ラベル間の領域
Lc 印字領域
M マーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め複数の領域に分割され、各領域内の所定の位置に印字領域が設けられた帯状のシート材をロール状に成形した原反から各印字領域に印字を行ないながらシート材を繰り出し、その繰り出されたシート材を領域の寸法を移送単位として間欠的に後工程に移送するシート材移送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に係るシート材移送装置は、具体的には、例えば、ボトルなどの容器にシュリンクラベルなどの商品ラベルを装着するラベル装着装置(シュリンクラベラー)のラベル供給部分を構成するラベル供給装置に適用されるものである。このラベル供給装置には、例えば、長手方向に多数の同一の図柄(ボトル商品のラベルに相当。以下、「ラベル」という。)が切り代を設けて一列に印刷された帯状のフィルムをロール状に成形した原反から当該フィルムを繰り出し、その繰り出されたフィルムをラベル部分毎に間欠的にフィルム切断装置に移送し、当該フィルム切断装置でフィルムの切り代を切断することによりラベルを1枚ずつ供給するものがある。
【0003】
この種のラベル供給装置では、フィルムから各ラベルを正確に切り離すために、フィルム切断装置の切断位置にフィルムの切り代の切断位置を正確に移送する必要がある。このため、フィルムをフィルム切断装置に移送する移送装置(以下、「フィルム移送装置」という。)にはフィルムの切り代に設定されている切断位置の間隔D((図柄+切り代)の部分の距離に相当)で正確に間欠的に移送するフィルム移送手段が設けられている。
【0004】
そして、各ラベルに印字する機能を備えたフィルム移送装置では、フィルムがフィルム移送手段によって正確に間隔Dずつ定寸法で送られることに鑑み、当該フィルム移送手段の上流側に印字装置を設け、フィルム移送手段の上流側の所定の位置でフィルムの各ラベルが間欠的に停止される毎に当該ラベルに対して商品の製造者や消費期限などの所定の印字データを印字する構成が知られている。
【0005】
図13は、従来の印字機能を備えたフィルム移送装置の基本構成の一例を示す図である。
【0006】
このシート材移送装置101は、原反102とラベル切断装置Cとの間に、原反102から多数のラベルが切り代を設けて連続的に印刷されたフィルムFを繰り出す繰出ローラ103と、繰出ローラ103によって繰り出されるフィルムFに対して張力を付与するダンサロール104と、繰出ローラ103からダンサロール104を経由して移送されるフィルムFを一定の寸法((ラベル+切り代)の長手方向の寸法)で間欠的にラベル切断装置Cに送る間欠送りローラ105(フィルム移送手段に相当)とをこの順に配置した構成を備えている。また、間欠送りローラ105の上流側のフィルムFを水平に移送する区間に印字装置106が配設されている。
【0007】
間欠送りローラ105によって間欠送りされたフィルムFはラベル切断装置Cによって各ラベルが切り離され、切り離されたラベルは図略のラベル受渡装置で受け取られて後工程のボトルにラベルを装着する工程に搬送されるが、切り離されたラベルは重力によって容易にその形が変化するので、ラベル受渡装置で各ラベルを受け取り易くするため、間欠送りローラ105はフィルムFを上から下の方向に間欠送りする構成となっている。
【0008】
原反102から間欠送りローラ105までフィルムFを移送する経路上に繰出ローラ103を設けているのは、間欠送りローラ105の駆動源として位置制御に優れた駆動モータが用いられ、この種の駆動モータは原反102からフィルムFを引き出すトルクが十分にないため、間欠送りローラ105がフィルムFを間欠送りする前に、トルク特性に優れた駆動モータを駆動源とする繰出ローラ103によって原反102からフィルムFを繰り出しておくようにするためである。
【0009】
また、繰出ローラ103の下流側にダンサロール104を設けているのは、繰出ローラ103でフィルムFを繰り出した後、間欠送りローラ105で当該フィルムFを定寸法送りするというフィルムFの移送動作を繰り返す場合、繰出ローラ103から間欠送りローラ105の区間のフィルムFの長さが伸縮を繰り返すので、その長さの変化に拘わらず当該区間のフィルムFに一定の張力を付与し、間欠送りローラ105の定寸法送り動作の安定化を図るためである。
【0010】
ダンサロール104は、自重によってフィルムFを上方から押圧する構成であるので、繰出ローラ103によってフィルムFを繰り出した後、間欠送りローラ103がそのフィルムFを定寸法送りすると、繰出ローラ103によってフィルムFが繰り出されたときの位置Pb(以下、「下限位置Pb」という。)と間欠送りローラ105によってフィルムFが定寸法送りされたときの位置Pa(以下、「上限位置Pa」という。)で押圧力とフィルムFの張力とが釣り合い、ダンサロール104は、両位置Pa,Pbで停止する。
【0011】
ダンサロール104の上限位置Paと下限位置Pbの近傍には、当該ダンサロール104が両位置Pa,Pbに変位したことを検出するセンサ107,108がそれぞれ設けられ、センサ107の検出信号により繰出ローラ103の駆動モータの駆動を開始させ、センサ108の検出信号により当該駆動モータの駆動を停止させることによって、繰出ローラ103によりフィルムFが間欠的に繰り出される構成となっている。すなわち、ダンサロール104は、繰出ローラ103の駆動を制御する要素としても機能している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−76671号公報
【特許文献2】特開2002−326746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来の印字機能を備えたフィルム移送装置101は、間欠送りローラ105の上流側の水平移送区間にフィルムFの各ラベルが正確に間欠送りされる位置Pが存在するので、その位置Pを印字位置として利用し、各ラベルが印字位置Pに送られる毎に印字装置106で当該ラベル内の所定の印字領域に印字データを印字する構成を採用している。
【0014】
しかしながら、この方法では、図13の構成から明らかなように、印字位置Pが設定される水平移送区間よりも上流側には適切な印字位置がなく、印字装置106の配設位置が当該水平移送区間に限られ、フィルム移送装置101のスペースの有効利用を阻害し、印字装置106の取り扱いを不便にするという問題がある。
【0015】
すなわち、間欠送りローラ105はフィルムFを上から下の方向に間欠送りするように配置され、間欠送りローラ105の下側にはフィルム切断装置106や図略のラベル受渡装置が配置されるので、間欠送りローラ105の配設位置は高さ方向に高い位置となる。一方、原反102からダンサロール104までは間欠送りローラ105のような高さ方向における配設位置の制約はないので、図13に示すように、原反102からダンサロール104までのフィルムFの移送経路は間欠送りローラ105よりも低い位置に設定される。このため、ダンサロール104から間欠送りローラ105までのフィルムFの移送経路は、フィルムFを間欠送りローラ105も高い位置に一旦上昇させた後、間欠送りローラ105の上方位置まで水平に移送させる経路となる。
【0016】
原反102から間欠送りローラ105までのフィルムFの移送経路において、繰出ローラ103とダンサロール104の区間やダンサロール104よりも下流側のフィルムFを間欠送りローラ105も高い位置に上昇させる区間は、印字装置106の印字方向との関係で印字装置106を配設することが困難であり、これらの区間に印字領域を設けることはできない。また、原反102から繰出ローラ103の区間は、繰出ローラ103によるフィルムFの間欠的な繰出し量が間欠送りローラ105によりフィルムFの間欠送り量よりも精度が低く、この区間に印字位置を設定しても繰出ローラ103によって各ラベルの印字位置がその印字位置に正確に設定されないので、実質的に原反102と繰出ローラ103の区間にも印字位置を設けることはできない。この結果、印字装置106の配設位置は、間欠送りローラ105の手前の水平な移送区間に限定されることになっている。
【0017】
フィルムFの移送経路のうち間欠送りローラ105の手前の水平移送区間は高さが最も高い位置となるので、印字装置106の配設位置がこの水平移送区間に限定されると、フィルム移送装置101の高さ方向のサイズの縮小化が制限されるとともに、原反102から繰出ローラ103の区間に印字装置106が配設できれば、フィルム移送装置101の全体的なコンパクト化が可能であるにも拘わらず、その設計の自由度も大きく制限されるという問題がある。また、印字装置106がフィルム移送装置101の高い位置に配設されることにより、メンテナンスやフィルムFへの印字条件の設定などで作業者が印字装置106を直接操作しなければならない場合に非常に不便で、印字装置106の操作性の点でも問題である。
【0018】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、繰出ローラより上流側に印字装置を設置して原反からシート材を繰り出しながら各印字領域に印字をすることができるシート材移送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1に記載の発明は、予め複数の領域に分割され、各領域内の所定の位置に印字領域が設けられた帯状のシート材をロール状に成形した原反から各印字領域に印字を行ないながら前記シート材を繰り出し、その繰り出されたシート材を前記領域の寸法を移送単位として間欠的に移送するシート材移送装置であって、前記原反から前記シート材を間欠的に繰り出すシート材繰出手段と、前記シート材繰出手段により繰り出された前記シート材を前記領域の寸法だけ移送する定寸法シート材移送手段と、前記シート材繰出手段により前記シート材が繰り出される毎に前記定寸法シート材移送手段に前記シート材の定寸法移送動作を行わせるシート材移送制御手段と、ダンサロールによって前記シート材繰出手段と前記定寸法シート材移送手段との間に繰り出された前記シート材に張力を付与する張力付与手段と、前記定寸法シート材移送手段による前記シート材の定寸法送りによって前記ダンサロールが予め設定された位置に変位したことを検出する変位検出手段と、前記原反から前記シート繰出手段までの前記シート材の繰出経路上で前記シート材の各印字領域に対応して予め設定された所定のマークを検出するマーク検出手段と、前記繰出経路上で前記シート材に印字を行ない、当該印字処理が完了すると、印字完了情報を出力する印字手段と、前記マーク検出手段による前記マークの検出に基づく所定のタイミングで前記シート材の当該マークに対応する印字領域への印字処理を開始させる印字制御手段と、前記変位検出手段により前記ダンサロールの変位を検出すると、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させ、前記印字手段から出力される前記印字完了情報に基づいて当該繰出し動作を停止させることによって前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を間欠的に行なわせる繰出制御手段と、を備えたことを特徴とするシート材移送装置である。
【0020】
請求項1に記載のシート材移送装置において前記繰出制御手段は、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させた後に前記印字手段から予め設定された数の前記印字完了情報が出力されると、最後に出力された印字完了情報に基づいて前記シート材繰出手段の繰出し動作を停止させるとよい(請求項2)。
【0021】
請求項1又は2に記載のシート材移送装置において、前記複数の領域内に同一の図柄のラベルが形成され、領域毎に切断することによって各ラベルが生成されるラベル生成用のシート材であり、前記マークは、前記図柄に含まれる特定の図形もしくは模様に対して設定されているとよい。
【0022】
また、請求項1ないし3のいずれかに記載のシート材移送装置において、前記シート材は、フィルムで構成され、前記印字手段は、レーザを照射して前記フィルムの表面層を熱溶融して印字を行なうレーザマーカであるとよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るシート材移送装置によれば、原反から複数の領域に分割されたシート材がシート材繰出手段により間欠的に繰り出され、シート繰出手段のシート材繰出し動作が停止している期間に、繰り出されたシート材が領域の寸法だけ定寸法シート材移送手段によって移送されるというシートの移送動作が繰り返される。
【0024】
そして、上記のシートの移送動作では、定寸法送りによりシート材が定寸法送りされるのに応じてダンサロールの位置が変化し、変位検出手段によりダンサロールが予め設定された位置に変位したことが検出されると、シート材繰出手段の繰出し動作が開始される。そして、シート材繰出手段により原反からシート材が繰り出されている期間にマーク検出手段により当該シート材に設定されているマークが検出されると、その検出に基づく所定のタイミングで印字手段によりシート材の印字領域に印字が行われ、印字手段からその印字処理を終了したことを示す印字完了情報が出力されると、シート材繰出手段の繰出し動作が停止される。
【0025】
本発明に係るシート材移送装置は、複数の領域に分割され、各領域内に印字領域が形成されたシート材に各印字領域に対応してマークを設定し、原反からシート材を繰り出している期間に当該マークを検出して印字装置の印字開始タイミングを制御するので、印字装置を原反とシート材繰出手段との間に配置することができる。
【0026】
これにより、従来のように印字手段をシート材移送装置の高い位置に配設する必要がなくなり、シート材移送装置の高さ方向のサイズの短縮化や装置全体のコンパクト化を図ることができる。また、印字手段をシート材移送装置の低い位置に設置できるので、メンテナンスやシート材への印字条件の設定などで作業者が印字手段を直接操作しなければならない場合にも操作性を阻害することがない。
【0027】
また、印字装置の印字完了情報を用いてシート材繰出手段の繰出し動作を停止させるので、従来のようにシート材繰出手段の繰出し動作を停止させるためのダンサロールの変位位置を検出する必要がなくなり、この分、ダンサロールの変位位置を検出するためのセンサを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るシート材移送装置の基本構成を示す図である。
【図2】シート材移送装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】フィルムの構成を示す図である。
【図4】マークセンサから出力されるマーク検出信号の波形の一例を示す図である。
【図5】フィルムの繰出開始時と繰出終了時における印字装置及びマークセンサに対するフィルムの相対的な位置関係を示す図である。
【図6】印字装置とマークセンサの位置関係を示す図である。
【図7】フィルム移送装置によるフィルムの間欠送りシーケンスを示すタイムチャートである。
【図8】制御装置のフィルムの間欠送り制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】フィルムの図柄内の特定の図形をマークとして利用する場合の一例を示す図である。
【図10】フィルムの繰出し量をラベル2枚分にした場合のフィルムの間欠送りシーケンスを示すタイムチャートである。
【図11】フィルムの繰り出し後の停止期間に印字データを印字する場合のタイムチャートである。
【図12】フィルム停止中の印字方法におけるフィルム繰出開始時の印字装置に対するフィルムの相対的な位置関係を示す図である。
【図13】従来の印字機能を備えたフィルム移送装置の基本構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明に係るシート材移送装置の基本構成を示す図である。図2は、シート材移送装置の電気的構成を示すブロック図である。図2において、図1に示す部材と同一の部材には同一の符号を付している。
【0030】
シート材移送装置1は、ボトルなどの容器の表面に装着される多数の図柄(商品のラベルに相当)が一定の間隔(切り代に相当)を設けて一列に印刷された帯状のシート材Fを原反2から繰出ローラ3で一旦繰り出した後その繰り出されたフィルムFを間欠送りローラ5で一定の寸法((図柄+切り代)の部分の寸法)だけ送る動作を繰り返すことによって、シート材Fをラベル切断装置Cに間欠送りする装置である。
【0031】
シート材移送装置1によって間欠送りされたフィルムFはラベル切断装置Cによって切断され、その切断された部分(ラベル部分)は図略のラベル受渡装置で受け取られて図略のラベル貼着装置に渡され、当該ラベル貼着装置によって容器の表面に貼着される。
【0032】
シート材移送装置1は、帯状のシート材Fをロール状に生成した原反2とラベル切断装置Cとの間に、原反2からシート材Fを間欠的に繰り出す繰出ローラ3と、繰出ローラ3によって繰り出されるシート材Fに対して張力を付与するダンサロール4と、繰出ローラ3からダンサロール4を経由して移送されるシート材Fを一定の寸法((図柄+きり代)の長手方向の寸法。図3の寸法d1参照)で間欠的にラベル切断装置Cに送る間欠送りローラ5と、をこの順に配置した構成を備える。また、原反2から繰出ローラ3までの区間にマークセンサ8と印字装置6とがこの順に配設されている。
【0033】
シート材Fは、例えば、熱収縮性の帯状のフィルム(シュリンクフィルム)に、図3に示すように、多数の商品ラベルの図柄Gが切り代を設けて一列に印刷されたものである。この図柄Gには商標や商品広告用のイメージ画像などが含まれる。シート材F(以下、「フィルムF」という。)は、長手方向に図柄Gが印刷された領域Laと切り代に相当する領域Lbを有する。
【0034】
図柄Gは、領域Laのほぼ中央に印刷されている。領域Laの長手方向に沿う両側はフィルム地の部分となっており、一方のフィルム地の部分(図3では下側のフィルム地の部分。透明もしくは半透明の部分)のほぼ中央に印字領域Lcが設けられている。各印字領域Lcは印字装置6によって商品の製造年月日や消費期限などのボトル商品に関する所定の印字データが印字される領域である。なお、ボトル商品に関する印字データは上記のものに限られず、ボトル商品の種類や性質に応じて適宜の項目が含まれることは言うまでもない。
【0035】
ラベル切断装置Cに間欠的に送られたフィルムFは、切り代(領域Lb)の中央で切断されるように、シート材移送装置1(以下、「フィルム移送装置1」という。)からラベル切断装置Cに間欠的に送られるので、各領域Lbの中央が切断位置CLとなっている。従って、切断位置CLの間隔d1((領域La+領域Lb)の長手方向の寸法と同じ)が間欠送りローラ5によって間欠的に送られるフィルムFの定寸法である。
【0036】
各領域Lbの一方の側部(図3では下側の側部)の切断位置CLには矩形状のマークMが印刷されている。マークMは、フィルムFの繰り出し中に当該マークMよりも上流側に隣接する印字領域Lcに対して印字装置6に印字データを印字させるための印字タイミングを取得するためのものである。マークMはマークセンサ8によって検出され、そのマーク検出信号が制御装置10で印字タイミングとして利用される。マークMによる印字タイミングの制御については、後述する。
【0037】
シート材移送装置1のフィルムFを間欠送りするための基本構成は、図13に示す従来のシート材移送装置101のフィルムFを間欠送りするための基本構成と同一である。従って、シート材移送装置1の原反2、繰出ローラ3、ダンサロール4及び間欠送りローラ5は、シート材移送装置101の原反102、繰出ローラ103、ダンサロール104及び間欠送りローラ105にそれぞれ対応している。また、シート材移送装置1のフィルムFの移送経路も図13に示すシート材移送装置101のフィルムFの移送経路とほぼ同じである。
【0038】
なお、図1において、複数のローラ9は、移送経路に沿ってフィルムFを移送させるために当該フィルムFをガイドするガイド部材である。複数のローラ9は、フィルムFの移送方向を変化させるために必要な箇所に配置されている。
【0039】
シート材移送装置1の原反2、繰出ローラ3等の各要素の果たす役割や動作は、図13においてシート材移送装置101の原反102、繰出ローラ103等の各要素について説明したものと同じであるから、ここでは重複する説明は省略し、各要素の構成について説明する。
【0040】
繰出ローラ3は互いに周面を圧接させた駆動ローラ3Aと従動ローラ3Bで構成され、駆動ローラ3Aと従動ローラ3Bの間にフィルムFが挟み込まれている。駆動ローラ3Aには駆動源である繰出モータ3Cが接続されている。繰出モータ3Cには、例えば、トルク特性に優れ、原反2からのフィルムFの繰出しに適した直流モータが用いられている。繰出モータ3Cの駆動は、図2に示すように、駆動回路3Dによって行われ、その駆動回路3Dによる繰出モータ3Cの回転開始と回転停止の制御は制御装置10によって行われる。
【0041】
なお、制御装置10は、シート材移送装置1におけるフィルムFの繰出し処理と、繰り出し中のフィルムFへの印字処理と、フィルムFの繰り出し後の定寸法送り処理とを統括的に制御する装置である。制御装置10としてはCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピュータが用いられる。制御装置10には、作業者がフィルム移送動作に関する各種の情報(例えば、間欠送りの周期Tや印字データなど)を入力したり、フィルム移送動作の状態を表示したりするための操作表示装置11が接続されている。操作表示装置11としては、液晶ディスプレイやタッチパネルが用いられるが、CRTディスプレイであってもよい。
【0042】
駆動回路3Dは制御装置10から駆動開始信号が入力されると、繰出モータ3Cに駆動電圧を供給し、制御装置10から駆動停止信号が入力されると、繰出モータ3Cへの駆動電圧の供給を停止する。繰出モータ3Cは、駆動回路3Dから駆動電圧が供給されると、回転を開始し、駆動回路3Dからの駆動電圧の供給が停止されると、回転を停止する。繰出モータ3Cが回転すると、その回転力が駆動ローラ3Aに伝達され、当該駆動ローラ3Aは図1において反時計まわりに回転する。駆動ローラ3Aの回転により従動ローラ3Bが図1において時計まわりに従動的に回転し、両ローラ3A,3Bの回転によりフィルムFが原反2からダンサロール4側に繰り出される。
【0043】
ダンサロール4は、繰出ローラ3によって繰り出されたフィルムFの上側に重石として載せられることにより、繰出ローラ3と間欠送りローラ5の間のフィルムFに一定の張力を付与するものである。ダンサロール4は、軸4Bに回動自在に支持されたアーム4Aの先端に固着され、軸4Bを支点として揺動する構成になっている。
【0044】
繰出ローラ3によってフィルムFが間欠的に繰り出されると、ダンサロール4はその繰出量によって生じるフィルムFの弛みを吸収する下限位置Pbまで下方向に移動する。一方、繰出ローラ3によるフィルムFの繰り出し後にその繰り出されたフィルムFが間欠送りローラ5によって間欠的に定寸法d1だけ送られると、当該フィルムFの長さが短くなるのに応じてダンサロール4は上昇し、上限位置Paで停止する。以下、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作と間欠送りローラ5による定寸法送りとが交互に繰り返されるのに応じて、ダンサロール4は下限位置Pbと上限位置Paとの間を上下動する。
【0045】
図13に示した従来のフィルム移送装置101では、ダンサロール104は、当該ダンサロール104が上限位置Paと下限位置Pbに変位したことを検出して繰出ローラ103の繰出し動作の開始と停止を制御する要素として機能していたが、本実施形態に係るダンサロール4は、当該ダンサロール4が上限位置Paに変位したことを検出して繰出ローラ103の繰出し動作の開始だけを制御する要素として機能する。従って、上限位置Paの近接位置にセンサ107に対応するダンサセンサ7が設けられている。なお、繰出ローラ103の繰出し動作の停止は、後述するように印字装置6により制御される。
【0046】
ダンサセンサ7には、例えば、反射型フォトセンサが用いられる。ダンサセンサ7は、上限位置Paに向けて投光しており、ダンサロール4が上限位置Paに上昇してダンサセンサ7からの光を反射し、その反射光を受光すると、ダンサロール4が上昇位置Paに上昇したことを示す変位検出信号を制御装置10に出力する。制御装置10は、ダンサセンサ7から変位検出信号が入力されると、駆動回路3Dに駆動開始信号を出力する。なお、ダンサセンサ7としては、透過型フォトセンサや分離型フォトサンサなどの他の光センサや機械式のスイッチを用いてもよい。また、ダンサセンサ7として、例えば、検出体である金属を電磁誘導作用を利用したセンサによって検出する誘導型近接スイッチなどを用いてもよい。
【0047】
間欠送りローラ5も繰出ローラ3と同様に、互いに周面を圧接させた駆動ローラ5Aと従動ローラ5Bで構成され、駆動ローラ5Aと従動ローラ5Bの間にフィルムFが挟み込まれている。駆動ローラ5Aには駆動源である間欠送りモータ5Cが接続されている。間欠送りモータ5Cには、例えば、位置制御に優れ、定寸法送りに適したステッピングモータが用いられている。間欠送りモータ5Cの駆動は、図2に示すように、駆動回路5Dと制御装置10によって行われる。
【0048】
制御装置10は、予め設定された周期Tで駆動回路5DにフィルムFの間欠送りの指令信号を出力する。駆動回路5DにはフィルムFを寸法d1だけ送るために必要なステッピングモータの回転量に相当するパルス数の情報が制御装置10から予め設定されている。駆動回路5Dは、制御装置10から間欠送りの指令信号が入力されると、そのパルス数だけ駆動パルスを間欠送りモータ5Cに出力する。これにより、間欠送りモータ5Cが所定の回転量だけ回転する。
【0049】
なお、寸法d1はフィルムFの種類が異なると、図柄Gのサイズも異なるので、異なる原反2がセットされる毎に作業者によって操作表示装置11から制御装置10に入力される。従って、制御装置10は、間欠送りの定寸法d1が変更される毎に、その情報を駆動回路5Dにセットする。
【0050】
間欠送りモータ5Cが回転すると、その回転力が間欠送りローラ5Aに伝達され、当該間欠送りローラ5Aは図1において反時計まわりに回転する。駆動ローラ5Aの回転により従動ローラ5Bが図1において時計まわりに従動的に回転し、両ローラ5A,5Bの回転によりフィルムFが寸法d1だけラベル切断装置Cに送られる。
【0051】
印字装置6は、フィルムFの表面に印字データを印字する装置である。印字装置6には、レーザマーカが用いられる。印字装置6にレーザマーカを用いるのは、フィルムFに非接触で印字ができることやフィルムFは熱収縮性の樹脂フィルムであるので、レーザによる加熱印字が適していることなどの理由による。印字装置6は、原反2と繰出ローラ3の間のフィルムFの繰出経路に対して所定の距離だけ上方の位置に設置されている。
【0052】
印字装置6はレーザ出射口6aから、例えば、波長10.6μmのCO2レーザをフィルムFに向けて照射し、そのフィルム表面を溶融して凹凸を形成することにより印字データをフィルムFに印字する。なお、レーザの種類はCO2レーザに限定されるものではなく、YAGレーザやYVO4レーザであってもよい。
【0053】
印字装置6はレーザマーカに限定されるものではない。フィルムFの素材に適した印字方式の印字装置を適宜選択することができる。例えば、フィルムFの素材が紙の場合は、インクジェット方式によるプリンタを用いることができる。
【0054】
印字装置6には制御装置10が接続され、当該印字装置6の印字タイミングは制御装置10により制御される。すなわち、制御装置10は印字装置6に印字開始信号を出力し、印字装置6はその印字開始信号を受けてレーザ出射口6aから印字データで変調されたレーザ光をフィルムFに向けて照射する。なお、制御装置10は、マークセンサ8からのマーク検出信号を受けて印字装置6に印字開始信号を出力する。従って、印字装置10は、実質的にマークセンサ8からのマーク検出信号を受けてフィルムFへの印字を開始することになる。
【0055】
印字装置6は、フィルムFへの印字処理が完了すると、制御装置10に印字完了信号を出力する。制御装置10は、印字装置6からの印字完了信号を受けて繰出モータ3Cの駆動回路3Dに駆動停止信号を出力し、繰出ローラ3の繰出し動作を停止させる。すなわち、印字装置6と制御装置10は、繰出ローラ3の駆動停止を制御する要素として機能している。
【0056】
上記のように、繰出ローラ5の繰出開始はダンサセンサ7によるダンサロール4の上限位置Paへの変位検出信号によって制御され、繰出ローラ5の繰出停止は印字装置6の印字完了信号によって制御されるので、繰出ローラ5によって繰り出されるフィルムFの繰出し量は間欠送りローラ3によるフィルムFの送り量ほどの精度はないが、その繰出し量は凡そラベル1枚分の寸法(定寸法d1に近い値)となっている。
【0057】
マークセンサ8は、フィルムFの繰り出し中に当該フィルムFに形成されたマークMを検出するものである。マークセンサ8には、例えば、反射型フォトセンサが用いられる。マークセンサ8は、フィルム8に向けて投光し、その反射光の受光量を2値レベルに成形したパルス状のマーク検出信号(図4参照)を出力する。
【0058】
マークセンサ8は、印字装置6の上流側に、印字装置6のレーザ出射口6aとマークセンサ8の投光口8aの距離が、マークMの右端と当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの右端との距離(図3のマークMの右端p1と印字領域Lcの右端p2の間隔d2参照)となるように配設されている。
【0059】
図4は、マークセンサ8がマークMの前後をフィルムFの繰出方向に相対的にスキャンした(図3のスキャンラインNを参照)ときのマーク検出信号の波形を示している。同図において、マーク検出信号の立下りタイミングは、図3のスキャンラインNとマークMの右端が交叉する位置p1に対応し、立上りタイミングはスキャンラインNとマークMの左端の交叉する位置(切断位置CLと同じ)に対応している。
【0060】
マークセンサ8には制御装置10が接続されており、マークセンサ8からのマーク検出信号は制御装置10に入力される。制御装置10では、マーク検出信号の立下りタイミングを検出し、その検出タイミングで印字装置6に印字開始信号を出力する。
【0061】
なお、制御装置10は、マーク検出信号の立下りタイミングを検出し、その検出タイミングで印字装置6に印字開始信号を出力してもよい。また、マークセンサ8から出力されるマーク検出信号の波形は、図4に示す波形に限定されるものではなく、同波形に対してハイレベルとローレベルを逆にした波形であっても良い。この場合は、制御装置10はマーク検出信号の立上りタイミング又は立下りタイミングで印字装置6に印字開始信号を出力する。また、マークセンサ8としては、反射型フォトセンサに限られず、透過型フォトセンサや分離型フォトサンサなどの他の光センサを用いてもよい。また、マークセンサ8としてRGBカラーセンサを用いてもよい。
【0062】
図5は、フィルムFの繰出開始時と繰出終了時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的な位置関係を示す図である。(a)はフィルムFの繰出開始時の位置関係であり、(b)はフィルムFの繰出終了時の位置関係である。
【0063】
上述したように、印字装置6は印字領域Lcへの印字データの印字処理が完了すると、制御装置10に印字完了信号を出力し、制御装置10がその印字完了信号を受けて繰出ローラ3のフィルムFの繰出動作を停止させる。図5(a)は、n枚目のラベルの印字領域Lcの略全体に印字データが印字された場合を示したものである。この場合は、印字装置6のレーザ光軸がn枚目の印字領域Lcの終端p3(図5では印字領域Lcの左端)に至るタイミングで印字装置6から印字完了信号が制御装置6に出力され、ほぼそのタイミングでフィルムFの繰出し動作が停止されるので、(n+1)枚目のラベルの繰出開始時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的な位置関係は図5(a)に示すようになる。
【0064】
図5(a)の状態からフィルムFの繰出し動作が行なわれると、この繰出し動作によってマークセンサ8によるフィルムFのスキャンが行なわれ、図5(b)に示すように、マークセンサ8が(n+1)枚目と(n+2)枚目の間に形成されたマークMの右側のエッジの部分に至ると、マークセンサ8のマーク検出信号のレベルが立ち下がる。
【0065】
制御装置10は、マークセンサ8からのマーク検出信号のレベルが立ち下がるタイミングで印字装置6に印字開始信号を出力するので、印字装置6はその印字開始信号を受けてフィルムFへの印字データの印字を開始する。マークセンサ8の投光口8aと印字装置6のレーザ出射口6aの距離はマークMの右端p1と当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの右端p2の間隔d2に調整されているので、制御装置10から印字装置6に印字開始信号が出力されるタイミングでは、図5(b)に示すように、印字装置6のレーザ光軸は略(n+2)枚目の印字領域Lcの右端P2にある。
【0066】
従って、印字装置6は、繰出中のフィルムFに対して(n+2)枚目の印字領域Lcの右端P2がレーザ出射口6aに対向するタイミングでレーザの照射を開始し、(n+2)枚目の印字領域Lcに正確に印字データを印字する。そして、(n+2)枚目の印字領域Lcの左端p3がレーザ出射口6aに対向する位置になると、その印字処理は完了するので、そのタイミングでフィルムFの繰出し動作は停止される。このときの印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的な位置関係は、図5(a)において、(n−1)枚目〜(n+1)枚目の各図柄Gの番号を1つずつ繰り上げたn枚目〜(n+2)枚目の図柄Gに変更した場合の位置関係となる。
【0067】
なお、本実施形態では、マークセンサ8の投光口8aと印字装置6のレーザ出射口6aの距離をマークMの右端p1と当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの右端p2の間隔d2に調整しているが、マークセンサ8と印字装置6の間の距離は、間隔d2から間隔d1の間の任意に距離に調整することができる。間隔d2に調整している場合は、マークMの検出タイミングを印字データの印字タイミングとすることができる利点がある。
【0068】
間隔d2から間隔d1の間の任意の距離d3に調整した場合は、図6に示すように、マークMの検出タイミングから距離d3と距離d2の差分ΔdだけフィルムFが繰り出されたタイミングで当該マークMの下流側に隣接する印字領域Lcの左端p3がレーザ出射口6aに対向する位置となるので、マークMの検出タイミングからその繰出分の時間Δtだけ遅れて制御装置10から印字装置6に印字開始信号を出力させるようにすればよい。この遅延時間Δtは、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出速度をv2とすると、Δt=Δd/v2=(d3−d2)/v2となる。
【0069】
次に、制御装置10のフィルムFの間欠送り制御について、図7に示すタイムチャートと図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0070】
図7は、フィルム移送装置1によるフィルムFの間欠送りシーケンスを示すタイムチャートである。同図において、(イ)は制御装置10から間欠送りモータ5の駆動回路5Dに出力される間欠送りの指令信号を示している。(ロ)は間欠送りローラ5によるフィルムFの送り速度の変化を示している。(ハ)はダンサロール4の位置の変化を示している。(ニ)はダンサセンサ7から制御装置10に出力される変位検出信号を示している。(ホ)は繰出ローラ3によるフィルムFの繰出速度の変化を示している。(ヘ)はマークセンサ8から制御装置10に出力されるマーク検出信号を示している。(ト)は印字装置6の印字処理期間と印字装置6から制御措置10に出力される印字完了信号を示している。(チ)は制御措置10から繰出モータ3の駆動回路3Dに出力される駆動停止信号を示している。
【0071】
なお、(ロ),(ホ)において、傾斜している部分は加速もしくは減速している部分である。繰出ローラ3及び間欠送りローラ5の加速区間と減速区間は等速区間に比べ手非常に短いので、以下の説明では、繰出ローラ3及び間欠送りローラ5の駆動区間は等速区間として説明する。
【0072】
図8は、制御装置10のフィルムFの間欠送り制御の処理手順を示すフローチャートである。図7では、フィルムFがラベル2個分を間欠送りする場合について示しているが、以下の説明では、図5及び図7を参照しながらn枚目と(n+1)枚目のラベルが間欠送りされる場合を例に説明する。
【0073】
制御装置10は、図7(イ)に示すように、周期Tで駆動回路5Dに間欠送りの指令信号S1を出力する。制御装置10がt1のタイミングで指令信号S1を出力する直前では、フィルムFは印字装置6及びマークセンサ8に対して図5(a)の位置関係で停止している。また、このときには、フィルムFが繰出ローラ3によってラベル1枚分(凡そ寸法d1分)だけ繰り出されているから、ダンサロール4は下限位置Pbに停止している。
【0074】
制御装置10がt1のタイミングで駆動回路5Dに指令信号S1を出力すると(#1)、間欠送りローラ5の駆動が開始される(#2)。間欠送りローラ5は速度v1(m/分)でフィルムFを寸法d1(m)だけ送ると、t2のタイミングで停止する。なお、t1からt2までの時間をT1とすると、T1=d1/v1であるから、間欠送りローラ5のフィルム送り速度v1はd1/T1に設定されている。
【0075】
間欠送りローラ5によりフィルムFが送られると、これにより繰出ローラ3と間欠送りローラ5の間のフィルムFの長さが短くなるので、それに応じてダンサロール4は上昇し、上限位置Paに至ると、ダンサセンサ7から変位検出信号S2が制御装置10に入力される(#3:YES)。ダンサロール4は、間欠送りローラ5によりフィルムFが定寸法d1だけ送られる頃に上限位置Paに至るので、制御装置10には略t2のタイミングでダンサセンサ7から変位検出信号S2が入力される。
【0076】
制御装置10は、ダンサセンサ7からの変位検出信号S2を受けて繰出ローラ3の駆動回路3Dに駆動開始信号S5を出力する(#4)。制御装置10がt2のタイミングで駆動回路3Dに駆動開始信号S5を出力すると、繰出ローラ3の駆動が開始される(#5)。繰出ローラ5は速度v2(m/分)(v2<v1)でフィルムFの繰り出しを行う。
【0077】
フィルムFの繰り出しによりマークセンサ8がn枚目の図柄Gと(n+1)枚目の図柄Gの間のマークMをスキャンすると、マークセンサ8からマーク検出信号S3が制御装置10に出力される(#6:YES)。制御装置10は、マーク検出信号S3が入力されると、そのマーク検出信号S3の立下りタイミングで印字装置6に印字開始信号を出力する(#7)。印字装置6は制御装置10からの印字開始信号を受けて印字データの印字を開始する(#8)。
【0078】
マーク検出信号S3の立下りタイミングをt3とすると、t3のタイミングでは印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの位置関係は図5(b)の位置関係になっている。従って、t3のタイミングで印字装置6が印字データの印字を開始すると、その印字データはフィルムFの繰り出しによって(n+1)枚目の印字領域Lcの右端p2から左端p3に亘って印字される。
【0079】
そして、印字装置6のレーザ光軸が(n+1)枚目の印字領域Lcの左端p3に至るt4のタイミングで印字処理が完了すると、印字装置6から印字制御装置10に印字完了信号S4が出力される。制御装置10は、印字完了信号S4が入力されると(#9:YES)、駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力する(#10)。駆動回路3Dは制御装置10からの駆動停止信号S6を受けて繰出ローラ3の駆動を停止させ、フィルムFは繰出ローラ3が停止するt5のタイミングで静止する。そして、t1のタイミングから周期Tが経過するまで(t6のタイミングまで)待機し、周期Tが経過すると(#11:YES)、ステップ#1に戻る。
【0080】
t2のタイミングでフィルムFの繰り出しが開始されると、その繰出し動作によって繰出ローラ3と間欠送りローラ5の間のフィルムFの長さが長くなるので、それに応じてダンサロール4は下降する。繰出ローラ3が繰出し動作を停止するt5のタイミングではフィルムFは略ラベル1枚分が繰り出され、ダンサロール4は下限位置Pbに変位し、その状態が次の間欠送り動作の開始されるt6のタイミングまで継続される。
【0081】
そして、t6のタイミングから(n+2)枚目のラベルについて同様の間欠送り動作が行なわれる。すなわち、t6〜t9のタイミングはそれぞれt1〜t5のタイミングに対応し、上述したt1〜t5の各タイミングにおける動作が行なわれる。
【0082】
上記実施形態では、周期Tの後端に待機期間T3を設けているが、この待機期間T3は必ずしも必要ではなく、設けないようにしても良い。待機期間T3を設けない場合、間欠送りローラ5によるフィルムFの間欠送りの周期は(T1+T2)となり、繰出ローラ2によるフィルムFの繰出しの周期は(T2+T1)となり、両者の周期は同一になる。すなわち、同一の周期TでフィルムFの繰出し動作と定寸法送り動作とが交互に行なわれる。
【0083】
なお、上記実施形態では、マークMを図柄Gとは別にフィルムFに印刷していたが、図柄G内の特定の図形や模様などをマークMとして利用しても良い。例えば、図9に示すように、図柄G内に矩形模様g1と円形模様g2が含まれている場合、エッジ部分が有する矩形模様g1をマークMに設定し、矩形模様g1のエッジ部分(例えば、枠の左右の辺の部分)の検出信号をマーク検出信号S3とすることができる。また、また、マークMの形成位置は、領域Lb内に限るものではなく、上記した印字タイミングを取得することができるのであれば、領域La内の適当な位置に設定することができる。
【0084】
上記のように、本実施形態に係るシート移送装置1によれば、フィルムFに各ラベルに対応してマークMを設定し、フィルムFを送っている期間に当該マークMを検出し、そのマーク検出信号S3に基づいて印字装置6により各ラベルの印字領域Lcに印字データの印字を行なわせるので、印字装置6を原反2と繰出ローラ3の間に配置し、当該繰出ローラ3によるフィルムFの繰出期間に印字処理をすることができる。
【0085】
従って、従来のシート材移送装置101のように、印字装置6をシート材移送装置1の高い位置に配設する必要がなく、シート材移送装置1の高さ方向のサイズの短縮化や装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0086】
また、印字装置6をシート材移送装置1の低い位置に設置できるので、メンテナンスやシート材への印字条件の設定などで作業者が印字装置6を操作しなければならない場合にもその操作性を阻害することがない。
【0087】
また、印字装置6の印字完了信号S4を用いて繰出ローラ3の繰出し動作を停止させるので、従来のシート材移送装置101のように繰出ローラ3の繰出し動作を停止させるためのダンサロール4の下限位置Pbを検出する必要がなくなり、この分、ダンサロール4の変位位置を検出するためのダンサセンサを削減することができる。
【0088】
ところで、上述した実施形態(以下、「第1実施形態」という。)では、フィルムFをラベル1枚の寸法分繰り出した後にその繰り出した分に対して正確にラベル1枚の寸法d1だけ送る処理を繰り返す構成としているが、フィルムFの繰出し量はラベル1枚分に限定されるものではなく、ラベル複数枚分を繰り出すようにしてもよい。例えば、図10に示すように、間欠送りローラ5がフィルムFをラベル2枚分だけ間欠的に定寸法送りしている期間に繰出ローラ3でフィルムFをラベル2枚分繰り出し、その繰り出し中にラベル2枚分について印字装置6で印字処理をする(以下、この実施形態を「第2実施形態」という。)ようにしてもよい。
【0089】
図10は、図7に対応するタイムチャートであるが、(ハ)のダンサロール4の位置は省略している。
【0090】
第2実施形態では、図10(イ)に示すように、制御装置10は、周期Tで駆動回路5Dに間欠送りの指令信号S1を出力するので、間欠送りローラ5は周期Tが経過する毎にフィルムFを定寸法d1だけラベル切断装置Cに送る。t1のタイミングでn枚目のラベルの定寸法送りが行なわれることによってダンサロール4が上限位置Paに上昇し、t2のタイミングでダンサセンサ7から制御装置10に変位検出信号S2が入力されると、制御装置10から駆動回路3Dに駆動開始信号S5が入力されるので、繰出ローラ3はフィルムFの繰出し動作を開始する。
【0091】
フィルムFの繰出し動作が開始されると、t3のタイミングでマークセンサ8から(n+1)枚目のラベルに対するマーク検出信号S3が出力され、印字装置6により(n+1)枚目のラベルの印字領域Lcに印字データが印字されるが、この印字処理の完了時に印字装置6から出力される印字完了信号S4は制御装置10では無視され、制御装置10から駆動回路3Dには駆動停止信号S6は出力されない。
【0092】
すなわち、制御装置10は、例えば、フィルムFの繰出し動作を開始させると、その後にマーク検出信号S3から入力されるマーク検出信号をカウントし、そのカウント値が「2」の場合に駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力する。
【0093】
このため、繰出ローラ3はフィルムFの繰出し動作を継続するので、taのタイミングでマークセンサ8から(n+2)枚目のラベルに対するマーク検出信号S3が出力され、印字装置6により(n+2)枚目のラベルの印字領域Lcにも印字データが印字されることになる。制御装置10は、この印字処理の完了時に印字装置6から出力される印字完了信号S4を受け付け、駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力する。これにより、繰出ローラ3は制御装置10から駆動停止信号S6が出力されるtbのタイミングでフィルムFの繰出し動作を停止する。すなわち、繰出ローラ3は周期Tの2倍の期間が経過する毎にラベル2枚分のフィルムFの繰出し動作を行なう。
【0094】
第2実施形態では、繰出ローラ3の繰出し動作の周期が間欠送りローラ5の定寸法送りの周期Tの2倍になり、図7に示す第1実施形態に比べてフィルムFの繰出速度を更に遅くできるので、間欠送りローラ5の定寸法送りの周期Tを短くして間欠送りの高速化が図られた場合にも印字装置6による印字処理に支障を来たすことなく確実にフィルムFの繰り出しを行なうことができる利点がある。
【0095】
第1実施形態及び第2実施形態では、印字装置6による印字処理をフィルムFの繰り出し中に行なっているが、マーカセンサ8から制御装置10にマーカ検出信号S3が出力されると、制御装置10から駆動回路3Dに駆動停止信号S6を出力して繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作を停止させた後、制御装置10から印字装置6に印字開始信号を出力して、フィルムFの停止中に印字データを印字させるようにしてもよい。
【0096】
この方法は、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作の停止後に印字装置6による印字処理を行なう方法(以下、この方法を「フィルム停止中の印字方法」という。)である。この方法では、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作を停止させたとき、図5(b)に示すように、印字装置6のレーザ光軸が印字領域Lcの右端p2に位置している必要がある。印字装置6は、フィルムFが停止しているので、レーザ光軸を印字領域Lcの右端p2から左端p3に亘って振らせることによって印字データを当該印字領域Lcに印字する。
【0097】
図11は、フィルムFの繰り出し後の停止期間に印字データを印字する場合(以下、この実施形態を「第3実施形態」という。)のタイムチャートである。図11のタイムチャートは、図7のタイムチャーチに対応するものであるが、図7と比較すると、(へ),(ト),(チ)の内容が異なっている。
【0098】
第3実施形態では、t2のタイミングでダンサセンサ7から変位検出信号が出力されると、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作が開始されるが、その繰出し動作は、t3のタイミングでマークセンサ8からマーク検出信号S3が出力されると、停止される。図7に示す第1実施形態では、マーク検出信号S3が出力されると、制御装置10から印字装置6に印字開始信号が出力されたが、図11に示す第3実施形態では、マーク検出信号S3が出力されると、制御装置10から駆動回路3Dに駆動停止信号S6が出力され、繰出ローラ3の繰出し動作が停止される。
【0099】
第3実施形態では、繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し量が略ラベル1枚分の寸法(略d2の寸法)であり、フィルムFの繰出停止時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的に位置関係は、印字装置6のレーザ光軸が印字領域Lcの右端p2に位置する関係(図5(b)の位置関係参照)でなければならないから、フィルムFの繰出し開始時における印字装置6及びマークセンサ8に対するフィルムFの相対的に位置関係は、図12に示す位置関係となる。
【0100】
図12に示す状態から繰出ローラ3によりフィルムFが繰り出されると、マークセンサ8が(n+1)枚目の図柄Gの上流側に隣接するマークMをスキャンすることにより、当該マークMの右端p1を検出するマーク検出信号S3が出力されるタイミングで繰出ローラ3によるフィルムFの繰出し動作が停止される。従って、その後、フィルムFの停止中に印字装置6により印字データの印字処理が行なわれると、その印字データは(n+1)枚目の図柄Gに対応する印字領域Lcに印字されることになる。
【0101】
なお、第3実施形態では、マークMの検出信号によって繰出ローラ3の繰出し動作を停止させるので、印字装置6のレーザ光軸が印字領域Lcの右端p2と一致する位置で正確に停止させることは難しい。しかしながら、フィルムFに設定したマークMの検出信号を用いて当該フィルムFの繰出し動作を停止させるので、従来のダンサロール4が下限位置pbに変位した変位検出信号を用いてフィルムFの繰出し動作を停止させる方法よりは印字装置6に対するフィルムFの停止位置の精度は良好であり、その精度の範囲内で印字領域Lcの印字開始位置が微小に変化しても印字品質に問題は生じないので、フィルム停止中の印字方法を適用しても不都合は生じない。
【0102】
第3実施形態では、図11に示すように、フィルムFが停止してから間欠送りローラ5によるフィルムFの定寸法送りを開始するまでの間に印字処理をする期間を設ける必要があるが、印字装置6による印字処理に要する時間は非常に短いので、間欠送りローラ5によるフィルムFの間欠送りの周期Tにおける停止期間T2’はフィルム繰出中の印字方法を用いた場合の間欠送りローラ5によるフィルムFの間欠送りの周期Tにおける停止期間T2(図7の期間T2参照)と比較してもその時間差は微小であり、フィルム繰出中の印字方法と略同様のフィルム間欠送りをすることができる。
【0103】
図13に示した従来のフィルム移送装置101でもフィルムFを間欠送りしている期間に印字処理を行なう方法を採用することができるが、フィルムFの間欠送りの速度の高速化を図る(周期Tを短くする)一方で、間欠送りにおける周期Tにおける停止期間T2を長く確保しようとすると、間欠送りモータ5によるフィルムFの送り速度v1を大きくして周期Tにおける送り期間T1を短く必要がある。
【0104】
しかし、フィルムFの送り速度v1を大きくし過ぎると、印字装置6による印字処理の時間を確保できなくなる可能性があり、従来のフィルム移送装置101では間欠送りモータ5によるフィルムFの送り速度v1に一定の限界が生じるという不都合がある。これに対し、上述した第1〜第3実施形態に係るフィルム移送装置1では、図7,図11から明らかなように、繰出モータ3によるフィルムFの繰出速度v2を間欠送りモータ5によるフィルムFの送り速度v1よりも小さく設定することができるので、印字装置6による印字速度との関係で繰出モータ3によるフィルムFの繰出速度v2が制限を受けるという不都合は生じない。
【0105】
すなわち、上述した第1〜第3実施形態に係るフィルム移送装置1は、設計上の自由度を害することなくフィルム繰出中の印字方法とフィルム停止中の印字方法のいずれも採用することができるという利点がある。
【0106】
なお、上述した第1〜第3実施形態では、商品ラベルの図柄Gが一定の間隔で一列に印刷された帯状のフィルムFについて説明したが、本発明は、フィルムFには図柄Gが印字されていないフィルムFを定寸法で間欠送りしてラベル切断装置Cで切断する場合にも適用できることは言うまでもない。このようなフィルムFとしては、例えば、フィルムFが着色された半透明のフィルムFで、このフィルムFを定寸法で切断して透明のボトルに装飾用として包装する場合が考えられる。
【0107】
また、本発明は、帯状のシート材Fを繰出しながらその下流側で定寸法の間欠送りを行なう場合に、フィルムFを繰り出しながら印字データを印字する機能を備えたシート材移送装置に広く適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0108】
1 シート材移送装置
2 原反
3 繰出ローラ
3A 駆動モータ
3B 従動ローラ
3C 駆動モータ(直流モータ)
3D 駆動回路
4 ダンサロール
5 間欠送りローラ
5A 駆動モータ
5B 従動ローラ
5C 駆動モータ(ステッピングモータ)
5D 駆動回路
6 印字装置
7 ダンサセンサ
8 マークセンサ
9 操作表示装置
10 制御装置
C ラベル切断装置
F フィルム(シート部材)
G 図柄(ラベル)
g1 図柄内の矩形模様(マーク)
La ラベルの領域
Lb ラベル間の領域
Lc 印字領域
M マーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め複数の領域に分割され、各領域内の所定の位置に印字領域が設けられた帯状のシート材をロール状に成形した原反から各印字領域に印字を行ないながら前記シート材を繰り出し、その繰り出されたシート材を前記領域の寸法を移送単位として間欠的に移送するシート材移送装置であって、
前記原反から前記シート材を間欠的に繰り出すシート材繰出手段と、
前記シート材繰出手段により繰り出された前記シート材を前記領域の寸法だけ移送する定寸法シート材移送手段と、
前記シート材繰出手段により前記シート材が繰り出される毎に前記定寸法シート材移送手段に前記シート材の定寸法移送動作を行わせるシート材移送制御手段と、
ダンサロールによって前記シート材繰出手段と前記定寸法シート材移送手段との間に繰り出された前記シート材に張力を付与する張力付与手段と、
前記定寸法シート材移送手段による前記シート材の定寸法送りによって前記ダンサロールが予め設定された位置に変位したことを検出する変位検出手段と、
前記原反から前記シート繰出手段までの前記シート材の繰出経路上で前記シート材の各印字領域に対応して予め設定された所定のマークを検出するマーク検出手段と、
前記繰出経路上で前記シート材に印字を行ない、当該印字処理が完了すると、印字完了情報を出力する印字手段と、
前記マーク検出手段による前記マークの検出に基づく所定のタイミングで前記シート材の当該マークに対応する印字領域への印字処理を開始させる印字制御手段と、
前記変位検出手段により前記ダンサロールの変位を検出すると、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させ、前記印字手段から出力される前記印字完了情報に基づいて当該繰出し動作を停止させることによって前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を間欠的に行なわせる繰出制御手段と、
を備えたことを特徴とするシート材移送装置。
【請求項2】
前記繰出制御手段は、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させた後に前記印字手段から予め設定された数の前記印字完了情報が出力されると、最後に出力された印字完了情報に基づいて前記シート材繰出手段の繰出し動作を停止させることを特徴とする、請求項1に記載のシート材移送装置。
【請求項1】
予め複数の領域に分割され、各領域内の所定の位置に印字領域が設けられた帯状のシート材をロール状に成形した原反から各印字領域に印字を行ないながら前記シート材を繰り出し、その繰り出されたシート材を前記領域の寸法を移送単位として間欠的に移送するシート材移送装置であって、
前記原反から前記シート材を間欠的に繰り出すシート材繰出手段と、
前記シート材繰出手段により繰り出された前記シート材を前記領域の寸法だけ移送する定寸法シート材移送手段と、
前記シート材繰出手段により前記シート材が繰り出される毎に前記定寸法シート材移送手段に前記シート材の定寸法移送動作を行わせるシート材移送制御手段と、
ダンサロールによって前記シート材繰出手段と前記定寸法シート材移送手段との間に繰り出された前記シート材に張力を付与する張力付与手段と、
前記定寸法シート材移送手段による前記シート材の定寸法送りによって前記ダンサロールが予め設定された位置に変位したことを検出する変位検出手段と、
前記原反から前記シート繰出手段までの前記シート材の繰出経路上で前記シート材の各印字領域に対応して予め設定された所定のマークを検出するマーク検出手段と、
前記繰出経路上で前記シート材に印字を行ない、当該印字処理が完了すると、印字完了情報を出力する印字手段と、
前記マーク検出手段による前記マークの検出に基づく所定のタイミングで前記シート材の当該マークに対応する印字領域への印字処理を開始させる印字制御手段と、
前記変位検出手段により前記ダンサロールの変位を検出すると、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させ、前記印字手段から出力される前記印字完了情報に基づいて当該繰出し動作を停止させることによって前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を間欠的に行なわせる繰出制御手段と、
を備えたことを特徴とするシート材移送装置。
【請求項2】
前記繰出制御手段は、前記シート材繰出手段に前記シート材の繰出し動作を開始させた後に前記印字手段から予め設定された数の前記印字完了情報が出力されると、最後に出力された印字完了情報に基づいて前記シート材繰出手段の繰出し動作を停止させることを特徴とする、請求項1に記載のシート材移送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−105450(P2011−105450A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262115(P2009−262115)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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