説明

シート状アンテナ装置

【課題】目立つことなく設置でき、かつ容易に設置場所を変更することができるシート状アンテナ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るシート状アンテナ装置1は、導体箔の貼付又は導電体塗料の塗布によって形成されるアンテナ素子21と、アンテナ素子21と接続される給電線22と、給電線22と接続される発電部11と、アンテナ装置1を取り付ける被固定面に対して着脱自在に接着される接着部24を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状アンテナ装置に関し、特にアクセスポイント装置用のシート状アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムのアクセスポイント装置用のアンテナ装置が種々提供されている。近年、室内にて利用されるアンテナ装置においては、屋内の雰囲気を損なうことを防止するため、屋内にて目立たないように設計されたものがある。例えば、特許文献1及び特許文献2には、屋内の内壁に埋め込んで使用するアンテナ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−140832号公報
【特許文献2】特開2006−319864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアンテナ装置は、屋内の壁に埋め込まれ、ケーブルを介してアクセスポイント装置に接続されるように構成されている。アンテナ装置は、屋内の壁に埋め込まれているため、アンテナ装置自体を目立たないようにすることができる。しかし、アクセスポイント装置とアンテナ装置とを接続するために屋内の壁に穴を空ける必要があり、取り付け作業が煩雑であり、容易に設置場所を変更することができない。
【0005】
一方、特許文献2に記載のアンテナ装置は、屋内の内壁に埋め込まれ、アクセスポイント装置との電磁界結合により給電がなされるように構成されており、アクセスポイント装置とアンテナ装置との接続のために内壁に穴を空ける必要はない。しかし、アンテナ装置は、内壁に埋め込まれており、容易に着脱することができない。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、目立つことなく設置でき、かつ容易に設置場所を変更することができるシート状アンテナ装置を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としてのシート状アンテナ装置は、導体箔の貼付又は導電体塗料の塗布によって形成されるアンテナ素子と、アンテナ素子と接続される給電線と、給電線と接続される発電部と、アンテナ装置を取り付ける被固定面に対して着脱自在に接着される接着部と、を備える。
【0008】
このように構成されたシート状アンテナ装置によれば、室内の壁面等被固定面に対して容易に着脱することができる。また、アンテナ装置は、発電部を備えているため、外部からの給電に依存することなく作動することが可能となる。したがって、外部の給電装置との位置関係による設置場所の制限がないため、設置場所の自由度を高めることができる。
【0009】
なお、アンテナ素子は、例えば導電箔や導電性塗料によって構成されていればよく、例えば、スロットライン、ストリップライン及びマイクロストリップラインによって構成することができる。
【0010】
また、発電部は、シート状アンテナ装置に装着できる薄型の構造であればよく、例えば、太陽電池を利用し、太陽光のエネルギーを電力に変換する太陽光発電によって構成することができる。
【0011】
また、本発明に係るシート状アンテナ装置は、アンテナ素子が、ダイポールアンテナであって、互いにカスケード接続されており、アンテナ素子の接続方向が鉛直方向と略平行となるように被固定面に対して接着されるように構成されていてもよい。
【0012】
このように構成されたシート状アンテナ装置によれば、屋内のフロア方向への指向性を高めて、鉛直方向への電波の広がりを抑制することができる。例えば、集合住宅やオフィスビルにおいては、複数のフロアにおいて個々にアンテナ装置を設置することが考えられる。このような場合においては、フロアを跨る上下方向における指向性よりも、アンテナ装置を設置したフロア方向における指向性を高めたいという要望がある。
【0013】
本発明に係るシート状アンテナ装置によれば、上下方向への電波の拡散を抑制しつつ、アンテナ装置が設置されたフロア方向における指向性のみを特化して高めることができる。よって、集合住宅やオフィスビル等において、シート状アンテナ装置を設置したフロアにおける指向性を高める一方、上下階層における電波漏洩を抑制することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係るシート状アンテナ装置は、アンテナ素子と給電線との間に設けられた電波吸収体を更に備えていてもよい。このように構成されたシート状アンテナ装置によれば、アンテナ素子の中心周波数付近における電波吸収体を形成することができる。
【0015】
また、本発明に係るシート状アンテナ装置は、無線アクセスポイントを更に備えていてもよい。この無線アクセスポイントは、シート状アンテナに設けられていればよく、例えば、給電線に接続されていてもよいし、給電線と発電部を接続する接続部を有する構成においては接続部に接続されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るシート状アンテナ装置によれば、目立つことなく設置でき、かつ容易に設置場所を変更することができる。更に、カスケード接続されたダイポールアンテナによってアンテナ装置を構成することにより、電波の感度を高める一方、上下階層における電波漏洩を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係るシート状アンテナ装置の分解図である。
【図2】実施の形態に係るシート状アンテナ装置の基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係るシート状アンテナ装置について図1及び図2を参照して詳細に説明する。図1は、シート状アンテナ装置1の分解図であり、図2は、シート状アンテナ装置1の基板20を示す図である。(a)は、平面図であり、(b)は背面図である。
【0019】
シート状アンテナ装置1は、無線アクセスポイント装置用のアンテナ装置であり、アンテナ素子21が固定された基板20と、基板20の表面側に配置されたカバー層10と、を備える。カバー層10は、基板20を覆うように配置され、シート状アンテナ装置1の外側から基板20を視認できないように構成されている。
【0020】
カバー層10を備えることにより、アンテナ素子等を外部から視認できないようにして、シート状アンテナ装置1を目立たないようにすることができる。また、カバー層10の表面側には、太陽光発電部11が設けられており、太陽光発電部11は、基板20の接続部23と電気的に接続されている。
【0021】
基板20の表面20Aには、マイクロストリップラインで形成されたアンテナ素子21と、マイクロストリップラインで形成された給電線22と、給電線22と接続された接続部23と、を備える。また、他の実施形態において、接続部に無線アクセスポイントを内蔵するように構成してもよい。
【0022】
マイクロストリップラインは、裏面に導体箔を形成した板状誘電体基板の表面に線状の導体箔を形成した構造を持ち電波を伝達する伝送路である。アンテナ素子21は、給電線22と接続され、上下対照に延びるダイポールアンテナであり、3つのアンテナ素子21がカスケード接続されている。アンテナ素子21の接続方向は、シート状アンテナ装置1の長尺方向と略一致している。
【0023】
シート状アンテナ装置1は、鉛直方向においてカスケード接続されたダイポールアンテナを備えているため、屋内の床方向等、水平方向への指向性を鋭くし、鉛直方向への電波の広がりを抑制することができる。特に、カスケード接続されたダイポールアンテナの略中央付近におけるフロア方向の指向性を高くすることができる。よって、例えば、集合住宅やオフィスビル等において、シート状アンテナ装置を設置したフロアにおける電波の感度を高める一方、上下階層における電波漏洩を抑制することが可能となる。
【0024】
また、本実施の形態に係るシート状アンテナ装置1は、導電箔によって形成されたマイクロストリップラインによってアンテナ素子21及び給電線22を構成しているため、ケーブル等の導線によってアンテナ素子等を形成する構成と比較して、シート状アンテナ装置1の厚みを薄くすることが可能となる。具体的には、本実施の形態に係るシート状アンテナ装置1は、0.8mmである。
【0025】
また、基板20の裏面20Bには、被固定面である壁面に対して接着される接着部24が設けられている。接着部24は、壁面に接着可能であって、かつ取り外しが可能な接着剤によって構成されている。したがって、シート状アンテナ装置1を一旦壁面に取り付けた後も、必要に応じて取り外し、異なる位置に取り付けることが可能となる。したがって、シート状アンテナ装置の設置場所を容易に変更することができる。なお、本実施の形態では、接着剤によって接着部を構成しているが、この構成に限られず、例えば、吸盤や粘土によって接着部を構成してもよい。
【0026】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの組み合わせをも含むものである。更に、本発明の要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【0027】
例えば、本実施の形態に係るシート状アンテナ装置は、太陽光発電によって発電する太陽光発電部を備えているが、発電部の発電手段は太陽光発電に限定されない。
【0028】
また、本実施の形態に係るシート状アンテナ装置は、基板の表面にアンテナ素子を配置し、かつ基板を覆うカバー層を設けているが、例えば、カバー層を設けずに、基板の裏側にアンテナ素子等を配置してもよい。このような構成のシート状アンテナ装置においても、目立たせないよう取り付けることが可能となる。
【0029】
また、本実施の形態に係るシート状アンテナ装置において、給電点にアンテナ素子のインピーダンスに対応する終端抵抗回路を設けて、伝送路を通過する電波を取り込み、電磁吸収性を形成するように構成してもよい。電磁吸収体を備えることにより、アンテナ装置における中心周波数帯よりも高い周波数の電波及び中心周波数帯よりも低い周波数の電波を減衰させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1…シート状アンテナ装置、 10…カバー層、 11…発電部、 20…基板、 20A…表面、 20B…裏面、 21…アンテナ素子、 22…給電線、 23…接続部、 24…接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体箔の貼付又は導電体塗料の塗布によって形成されるアンテナ素子と、
該アンテナ素子と接続される給電線と、
該給電線と接続される発電部と、
該アンテナ装置を取り付ける被固定面に対して着脱自在に接着される接着部を備える、シート状アンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナ素子は、複数のダイポールアンテナであって、互いにカスケード接続されており、
前記アンテナ素子の接続方向が鉛直方向と略平行となるように前記被固定面に対して接着される、請求項1に記載のシート状アンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナ素子と前記給電線との間に設けられた電波吸収体を更に備える、請求項1又は請求項2に記載のシート状アンテナ装置。
【請求項4】
無線アクセスポイントを更に備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート状アンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−90223(P2012−90223A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237347(P2010−237347)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(390040187)株式会社バッファロー (378)
【Fターム(参考)】