説明

シート状ポリウレタンフォーム

【課題】圧縮残留歪を悪化させることなく、液晶などの薄型ディスプレイパネルやハードディスクドライブのガスケットとして必要な柔らかさ(低硬度)及び遅復元性を有し、さらに撥水性、防塵性・遮光性にも優れた薄物シート状の衝撃吸収性ポリウレタンフォームを提供すること。
【解決手段】ポリオール、イソシアネート、モノオール及び架橋剤を含むポリウレタン原料を反応させて得られるシート状ポリウレタンフォームにおいて、前記ポリオール100質量部に対してモノオールが1〜7質量部、架橋剤が0.5〜3質量部である、密度150〜800kg/m、厚さ10mm以下のシート状ポリウレタンフォーム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収性のシート状ポリウレタンフォームに関し、詳しくは、液晶・プラズマ・有機EL表示部やハードディスクドライブのガスケット等に用いられる衝撃吸収クッション材として有用な薄物シート状のポリウレタンフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶・プラズマ・有機ELディスプレイパネルなどの薄型パネルは、テレビ、パソコン、携帯電話、カーナビゲーションシステムなど、我々の生活に密着した様々な用途で広く普及している。中でも、携帯電話や小型のノート型パソコンのディスプレイ用途は年々需要が増加し、持ち運ぶという使用形態から高機能と薄型・軽量の両立が求められている。これら薄型パネルは、一般に、液晶等表示画面の周縁に衝撃吸収クッション材としてガスケットが配置されている。近年における電子機器製品の高性能化、小型化に伴い、ガスケットに対しても更なる性能向上が求められる。
【0003】
ガスケットとして用い得る衝撃吸収性クッション材は、防塵性、遮光性、耐衝撃性(衝撃吸収性)、低吸水性(撥水性)などに優れた薄物シート材であることが求められる。従来のガスケットとしては、一般には軟質ポリウレタンスラブ発泡体を0.5〜10mm程度の厚みにスライスしたスライス品が用いられていた。しかし、スラブ発泡体は、密度が通常20〜80kg/mと低密度であり(例えば、特許文献1乃至3を参照)、セルが粗く、さらにスライス品であるため自己スキンを有しないことから防塵性、遮光性に劣るという問題点を有していた。
【0004】
また、ガスケットに求められる優れた耐衝撃性(衝撃吸収性)は、衝撃に対する復元性が遅く(遅復元性)、柔らかく(低硬度)、更にヘタリが小さい(低圧縮残留歪)場合に達成され得るが、このように遅復元性・低硬度と低歪とを両立して満たす薄物シート状のポリウレタン発泡体の提供は困難である。例えば、柔らかさを付与するには、(1)ポリオールと反応するイソシアネート基の割合(NCO Index)を下げる、(2)ガラス転移温度を上げてポリウレタンの使用温度に近づけるために、可塑剤を添加する、(3)柔軟性付与剤を添加する、ことなどが挙げられる。しかし、これらの方法は、ウレタン硬化反応を遅延もしくは阻害するものであるため、圧縮残留歪を含む力学特性の低下が避けられない。逆に力学特性を保持したままでは、充分な柔らかさ及び遅復元性を付与することは困難であった。また、可塑剤や柔軟性付与剤は、低分子化合物が多く、添加してもウレタン構造中に保持されないため、時間をおくと発泡体表面にブリードアウトし、ディスプレイパネルや本体機器内部を汚染する可能性があった。
【特許文献1】特開2006−282936号公報
【特許文献2】特開2005−264010号公報
【特許文献3】特開2006−89582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記背景技術が有する問題点に鑑み開発されたものであり、圧縮残留歪を悪化させることなく、液晶などの薄型ディスプレイパネルやハードディスクドライブのガスケットとして必要な柔らかさ(低硬度)及び遅復元性を有する薄物シート状の衝撃吸収性ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。本発明はまた、上記特性に加え、更に防塵性・遮光性にも優れた薄物シート状の衝撃吸収性ポリウレタンフォームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意研究の結果、モノオールと架橋剤を含むポリウレタン原料を発泡硬化させて得られる厚さ10mm以下の薄物シート状ポリウレタンフォームにおいて、遅復元性・低硬度と低歪の両立が実現され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明により、ポリオール、イソシアネート、モノオール及び架橋剤を含むポリウレタン原料を反応させて得られるシート状ポリウレタンフォームにおいて、前記ポリオール100質量部に対してモノオールが1〜7質量部、架橋剤が0.5〜3質量部である、密度150〜800kg/m、厚さ10mm以下のシート状ポリウレタンフォームが提供される。
【0008】
本発明の一態様において、上記モノオールには、炭素数5〜16の脂肪族モノオールが含まれる。
【0009】
また、本発明の他の態様において、上記架橋剤として、トリメチロールプロパンにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加した化合物が用いられる。
【0010】
また、本発明の他の態様において、上記ポリオールにはダイマー酸ポリエステルポリオールが含まれる。
【0011】
また、本発明の他の態様において、上記シート状ポリウレタンフォームは、少なくとも片面に自己スキン層を有する。
【0012】
また、本発明の他の側面によれば、少なくとも片面に自己スキン層を有する、密度150〜800kg/m、厚さ10mm以下のシート状ポリウレタンフォームが得られる。
【0013】
また、本発明の他の側面によれば、少なくとも片面に合成樹脂フィルムが反応接着している、密度150〜800kg/m、厚さ10mm以下のシート状ポリウレタンフォームが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、密度150〜800kg/m、厚さ10mm以下の薄物シート状において、両立が困難な遅復元性・低硬度と低歪を同時に満たすシート状ポリウレタンフォームが提供され、また、本発明により、上記特性に加え、更に防塵性・遮光性にも優れたシート状ポリウレタンフォームが提供された。したがって、本発明により、高性能化及び小型化が要求される薄型ディスプレイパネルやハードディスクドライブのガスケット等として有用なシート状ポリウレタンフォームの提供が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のシート状ポリウレタンフォームの製造に使用されるポリオールとしては、特に限定されるものではなく、当該分野において通常使用されるポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ひまし油及びその変性物、ポリブタジエン系ポリオール及びその水添加物、ポリイソプレン系ポリオール及びその水添加物等、各種ポリオールを単独、または2種以上の混合物として使用することができる。例えば、ポリエステルポリオールとしては、酸成分としてダイマー酸、アジピン酸等と、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等を付加重合させたエステル化物を使用することができる。また、ポリエーテルポリオールとしては、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の低分子量ポリオールを開始剤とし、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を付加重合させたエーテル化物を使用することができる。
【0016】
本発明においては、低吸水性能(撥水性)を付与するために、ダイマー酸ポリエステルポリオールを使用することが好ましい。ダイマー酸ポリエステルポリオールとしては、ダイマー酸と上述したグリコール等のジオール成分を付加重合させて得られるエステル化物を使用することができる。
【0017】
次に、イソシアネート化合物について説明する。本発明において使用し得るイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、当該分野において通常使用されるイソシアネート化合物を使用することができ、例えば、1分子中にイソシアネート基を2以上有する芳香族、脂環族、又は脂肪族系のイソシアネート化合物、もしくはその変性体を、単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。具体的には、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が例示される。イソシアネートの配合率は、イソシアネートINDEX((NCO/OH当量比)×100で規定される。)が102〜110となるよう調整されることが好ましい。
【0018】
本発明においては、ポリウレタンフォームに低硬度と遅復元性を付与するために、さらにモノオールが使用される。モノオールとしては、特に限定されるものではないが、炭素数5〜16の脂肪族モノオールが好適に用いられる。具体例としては、イソノナノール(協和発酵ケミカル株式会社製、商品名オキソコール900、Mw=144.3)、1−ドデカノール(和光純薬工業株式会社製、Mw=186.34)、1−ヘプタノール(和光純薬工業株式会社製、Mw=116.2)、4−メチル−2−ペンタノール(和光純薬工業株式会社製、Mw=102.17)、3−メチル−1−ブタノール(和光純薬工業株式会社製、Mw=88.15)などが挙げられる。
【0019】
モノオールの配合率は、ポリオール100質量部に対し1.0〜7.0質量部であり、好ましくは3.0〜5.0質量部である。配合率が7.0質量部を超えると、圧縮残留歪が悪化する傾向が見られ好ましくない。一方、1.0質量部未満であると、ヒスロスが小さくなる傾向が見られ好ましくない。
【0020】
ガスケットなどの薄物衝撃吸収材として用いられる本発明のシート状ポリウレタンフォームに要求されるシート厚さは10mm以下であり、用途によっては0.1〜1.0mmと更に薄くなる。このような薄物シート状ポリウレタンフォームの製造においては、発泡硬化に必要な自己発熱が生じ難いため、ヘタリが少なく(すなわち、低歪で)耐久性に優れたフォームの製造は、通常、困難となる。特に本発明ではモノオールを使用しているためその傾向は更に顕著となる。そこで、本発明においては、モノオール、ポリオール及びイソシアネートを含むポリウレタン原料の反応を促進する目的で、架橋剤が必須の助剤として使用される。
【0021】
架橋剤としては、特にトリメチロールプロパンにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加した化合物が好ましく用いられ、更に水酸基価OHv=850〜1150の同化合物がより好ましく用いられる。架橋剤の添加率は、ポリオール100質量部に対して0.5〜3.0質量部である。
【0022】
上記のとおり、本発明のポリウレタンフォームは、架橋剤の存在下、主成分であるポリオール及びイソシアネートとモノオールとを反応させ、発泡硬化させることにより得られる厚さ10mm以下の薄物シート状フォームである。その製造方法は、ワンショット法、プレポリマー法など、公知の方法で製造することができる。従来のスラブフォームのカット品とは異なり、本発明のシート状フォームは密度が高く、且つ少なくとも片面に自己スキンを有するため、防塵性及び遮光性にも優れる。本発明のシート状ポリウレタンフォームの密度は、好ましくは150〜800kg/mである。密度が150kg/m未満では防塵性及び遮光性が充分ではなく、一方、800kg/mを超えると高硬度となり本発明の用途である衝撃吸収クッション材として適切ではない。
【0023】
また、本発明のシート状ポリウレタンフォームは、少なくとも片面に合成樹脂フィルムを反応接着させることにより、合成樹脂フィルムと一体化された形態をとり得る。フィルムが反応接着されることにより、本発明のシート状ポリウレタンフォームを二次加工し、表示部分やHDDのガスケットとして使用する際に、伸び防止効果が発揮され、寸法安定性がよくなるため好ましい。
【0024】
合成樹脂フィルムとしては、融点150℃以上のものが好適に用いられる。例えば、PET、PBT、アミド、ナイロン等が用いられるが、PET、PBTが好ましい。また、これらPET、PBTは、ポリウレタンフォームとより強く反応接着させるために、反応接着面にコロナ放電処理、ポリウレタン系樹脂やアクリル系樹脂などの化学処理を施したものが好適に用いられる。
【0025】
本発明においては、必要に応じて、整泡剤、発泡剤、触媒、難燃剤等の助剤が用いられる。
整泡剤としては、当該分野において公知のシリコーン整泡剤、界面活性剤が使用され得る。シリコーン整泡剤としては、イソシアネートと反応する反応基を含むものが、ウレタン樹脂に組み込まれ、ブリートアウトが抑制されることと、低吸水性ポリウレタンフォームとなることから好ましく用いられる。具体的には、OH基、NH基、NH基、SH基、COOH基、CHOH基等、特にOH基の反応基を含むシリコーン整泡剤が好ましい。また、界面活性剤としては、ジエチルアミノオレエート、ソルビタンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0026】
発泡剤としては、水、常圧で気体の不活性ガス(例えば、窒素、炭酸ガス、空気等)、ハロゲン化アルカン(例えば、モノフッ化トリ塩化メタン、ジ塩化メタン等)、低沸点アルカン(例えば、ブタン、ペンタン等)、分解窒素ガス等を発生するアゾビスイソブチルにトリル等、当該分野において公知の化合物を使用することができる。
【0027】
触媒としては、錫系、チタン系、ビスマス系、ニッケル系等の有機金属系触媒や、モノアミン類、ジアミン類、トリアミン類、環状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等のアミン系触媒等、公知の触媒を使用することができる。
【0028】
難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、酸化アンチモン系難燃剤、赤リン系難燃剤、金属水和物(金属:Al、Fe、Zn、Ca、Ba、Ni等)、熱膨張黒鉛、窒素系化合物(例えば、メラミン、メラミンシアヌレート等)、リン酸系難燃剤(例えば、ハロゲン含有リン酸エステル、ホスファゼン化合物、リン酸エステル、ポリリン酸塩等)等、公知の難燃剤を使用することができる。
【実施例】
【0029】
次に実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、以下において、「部」とは質量部を意味する。
【0030】
[試験片の製造]
(1)実施例1〜8、比較例1〜2(イソノナノール(炭素数9;融点−30℃以下))
実施例1
ダイマー酸エステル100部と、モノオールとしてイソノナノール(協和発酵ケミカル株式会社製)1.0部、架橋剤としてトリメチロールプロパンにEOを付加したIR−94(三井化学ポリウレタン(株)社製)1.0部、アミン触媒0.35部、顔料2.0部、イソシアネートと反応するOH基を有する反応性シリコーン整泡剤0.05部、水0.15部、難燃剤20部をラボミキサーで十分に混合攪拌し、これにイソシアネート成分としてコスモネートM200(三井化学ポリウレタン(株)製)(NCO=31.4%)をNCO/OH比が1.05となるように添加し、更に混合する。得られた混合物を剥離処理が施されたPETフィルムの工程紙剥離面に塗布バーを用いて均一に塗布後、上面にも剥離処理面がくるように工程紙を被せた後に加熱オーブン(80℃×3分+100℃×3分)で硬化することにより、両面に自己スキンを有するポリウレタンフォームシート(実施例1)を得た。この発泡体シート材を、二次キュアーとして70〜120℃の加熱オーブンで6〜22時間加熱し、ウレタン硬化反応を完全に終結させた。
【0031】
実施例2〜8、比較例1〜2
イソノナノールの添加量を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、各ポリウレタンフォーム(実施例2〜8、比較例1〜2)を得た。
【0032】
なお、後述の性能評価は、得られた発泡体シートを常温で3日間エージングした試験片にて測定を行った。
【表1】

【0033】
(2)実施例9〜14、比較例3(1−ドデカノール(炭素数12;融点21〜25℃))
実施例1に対し、モノオールとして、イソノナノールに替え、1−ドデカノール(和光純薬工業社製)を後掲の表2−2に示す配合率にて使用した以外は、実施例1と同様の条件にて試験片(実施例9〜14、比較例3)を作製した。
【0034】
(3)実施例15〜20、比較例4(1−ヘプタノール(炭素数7;融点−34℃))
実施例1に対し、モノオールとして、イソノナノールに替え、1−ヘプタノール(和光純薬工業社製)を後掲の表2−3に示す配合率にて使用した以外は、実施例1と同様の条件にて試験片(実施例15〜20、比較例4)を作製した。
【0035】
(4)実施例21〜26、比較例5(4−メチル−2-ペンタノール(炭素数6;融点−90℃))
実施例1に対し、モノオールとして、イソノナノールに替え、4−メチル−2-ペンタノール(和光純薬工業社製)を後掲の表2−4に示す配合率にて使用した以外は、実施例1と同様の条件にて試験片(実施例24〜30)を作製した。
【0036】
(5)実施例27〜32、比較例6(3−メチル−1-ブタノール(炭素数5;融点−117.2℃))
実施例1に対し、モノオールとして、イソノナノールに替え、3−メチル−1−ブタノール(和光純薬工業社製)を後掲の表2−5に示す配合率にて使用した以外は、実施例1と同様の条件にて試験片(実施例27〜32、比較例6)を作製した。
【0037】
(6)実施例33〜36、比較例7〜10
実施例1に対し、イソノナノール及び架橋剤の配合率を変えた以外は、同様の条件にて試験片(実施例33〜36、比較例7〜10)を作製した。
【0038】
[性能等の評価]
得られた試験片に対して以下のように性能、特性を評価した。
・フォーム密度
縦100×横100mmの試験片を使用し、JIS K6400に準拠した方法にて体積と質量を測定し、フォーム密度を算出した。(サンプル数:n=2))
・シート厚み
JIS K6400に準拠しシート厚みを測定した。試験片を縦100×横100mmに打ち抜き、発泡方向について厚みを1/100mmの精度をもつダイヤルゲージで9点測定し、平均値をシート厚みとした。
【0039】
・ヒステリシスロス
JIS K6400に準拠しヒステリシスロスを測定した。自動記録装置を有し、圧縮速度を一定に保つことができる万能型材料試験機((株)ORIENTEC社製 UCT−500)の中央に試験片(縦30mm×横30mm(n=2))を置き、圧縮速度50mm/分で厚みが25%圧縮されるように圧縮した。この挙動を自動記録装置を使ってチャート紙に記録し、圧縮時と解放時の挙動変化から次式によりヒステリシスロスを測定した。
【0040】
ヒステリシスロス(%)={B/(A+B)}×100
式中、A及びBは図1に示される圧縮硬さ−圧縮率曲線における各面積を表す。
【0041】
・25%圧縮残留歪
縦30mm×横30mmの試験片を使用し、JIS K6400に準拠した方法にて圧縮残留歪を測定した。容易に変形しない平滑な2枚の圧縮用金属板を用い、試験片の厚さの25%に平行に圧縮固定して、温度70℃のオーブン中で22時間保持した後、試験片を圧縮板から取り出し、室温で30分放置した後の厚さを測定した。次式より圧縮残留歪を算出した。
【0042】
圧縮残留歪(%)={(試験前の厚み−試験後の厚み)/試験前の厚み}×100
・25%圧縮硬さ
自動記録装置を有し、圧縮速度を一定に保つことのできる万能型材料試験機((株)ORIENTEC社製 UCT−500)の中央に試験片を置き、圧縮速度50mm/分で厚みが25%圧縮されるまで圧縮し測定した。試験片は、縦30mm×横30mmを約10mmに積層して使用した(n=2)。
【0043】
・吸水率
試験片(縦50mm×横50mm、n=2)を水圧100mmAq下で24時間浸漬し、試験片の質量変化を測定し、次式より吸水率を算出した。なお、吸水の質量(g)は、1g=1cmとして換算した。
【0044】
吸水率(Vol%)={(吸水後の質量(g)−吸水前の質量(g))/試験片の体積(cm)}×100
評価結果を表2−1〜2−6に示す。
【表2−1】

【0045】
【表2−2】

【0046】
【表2−3】

【0047】
【表2−4】

【0048】
【表2−5】

【0049】
【表2−6】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、JIS K6400に準拠した圧縮硬さ−圧縮率曲線の一例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール、イソシアネート、モノオール及び架橋剤を含むポリウレタン原料を反応させて得られるシート状ポリウレタンフォームにおいて、前記ポリオール100質量部に対してモノオールが1〜7質量部、架橋剤が0.5〜3質量部である、密度150〜800kg/m、厚さ10mm以下のシート状ポリウレタンフォーム。
【請求項2】
モノオールとして、炭素数5〜16の脂肪族モノオールを含む、請求項1に記載のシート状ポリウレタンフォーム。
【請求項3】
架橋剤が、トリメチロールプロパンにエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを付加した化合物である、請求項1又は2に記載のシート状ポリウレタンフォーム。
【請求項4】
ポリオールとして、ダイマー酸ポリエステルポリオールを含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート状ポリウレタンフォーム。
【請求項5】
少なくとも片面に自己スキン層を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート状ポリウレタンフォーム。
【請求項6】
少なくとも片面に合成樹脂フィルムが反応接着している請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート状ポリウレタン。

【図1】
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【公開番号】特開2009−209203(P2009−209203A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−51036(P2008−51036)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】