説明

シート状基材の乾燥装置

【課題】乾燥効率の向上、および基材搬送の安定性の向上を図ることができるシート状基材の乾燥装置を提供すること。
【解決手段】略柱状部材に構成され、エアの吹出口3及び流入口4を有し、搬送方向に間隔を隔てて配設される複数のノズル2と、複数のノズル2が流入口4側から支持される支持面部6を有し、支持面部6に複数のノズル2を支持した状態で複数のノズル2に流入口4を介してエアを供給するチャンバー5と、複数のノズル2およびチャンバー5を収容し、電極シート50の搬送を許容する入口部11および出口部12を有し、ノズル2から吹き出されたエアの排気口13を有する乾燥室7と、乾燥室7に対して隔壁14を介して設けられ、チャンバー5の入口開口部10を介してチャンバー5と連通し、エアの供給口を有するエア供給室8と、乾燥室7内のエアを吸入し、吸入したエアをエア供給室8に送入する循環ファン9とを備えるシート状基材の乾燥装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電池用の電極シート等の乾燥用として好適なシート状基材の乾燥装置に関する。詳細には、例えば熱風エア等のエア(乾燥風)を吹き出すノズルを備え、このノズルから吹き出すエアを吹き付けることにより、搬送されるシート状基材を乾燥させるシート状基材の乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状(長尺状)の形状を有するシート状(薄膜状)の部材を基材とする製品の製造に際し、そのシート状の基材(以下「シート状基材」という。)に乾燥を必要とする材料が塗布される場合、塗布された材料を乾燥させるために、ローラ等により搬送されるシート状基材を乾燥する乾燥装置が用いられている。このような乾燥装置により乾燥されるシート状基材としては、例えば、電極を構成する物質が有機溶剤(溶媒)等で分散等されたペースト状の材料が塗布された電池用の電極シートがある。
【0003】
シート状基材の乾燥装置には、例えば熱風エア等のエア(乾燥風)を吹き出すノズルを備え、このノズルから吹き出すエアを吹き付けることにより、搬送されるシート状基材を乾燥させるものがある。
具体的には、例えば特許文献1および特許文献2に示されているように、エアを吹き出すノズルが、ローラ等により搬送されるシート状基材の両面側において、その搬送方向に間隔を隔てて複数配設される構成を有する乾燥装置である。かかる乾燥装置に備えられるノズルは、細長形状のエア吹出口を有し、そのエア吹出口が、シート状基材側に向かうとともに長手方向がシート状基材の搬送方向に対して垂直方向(シート状基材の幅方向)となるような姿勢で設けられる。このような構成を有する乾燥装置は、次のようにして用いられる。
【0004】
すなわち、材料が塗布されるシート状基材の搬送ラインにおいて、乾燥装置は、シート状基材に対して材料が塗布される塗工装置が設けられる位置の下流側に設けられる。そして、搬送されながら塗工装置において塗工されたシート状基材が、乾燥装置に送られ、乾燥装置において搬送されつつ乾燥させられる。乾燥装置では、前記のとおり搬送されるシート状基材の両面側に配設される複数のノズルから、シート状基材に対してその両面側からエアが吹き付けられることにより、材料が塗布されたシート状基材が乾燥させられる。
【0005】
上記のような構成を有する従来の乾燥装置(以下「従来装置」という。)においては、そのノズルの配設構成に起因して、次のような問題がある。従来装置におけるノズルの配設構成およびそれに起因する問題について、図19および図20を用いて具体的に説明する。
【0006】
図19は、従来装置におけるノズルの配設構成を示す模式図である。図19に示すように、従来装置においては、前記のとおり搬送されるシート状基材150の両面側に配設されるノズル102は、シート状基材150を両側から挟んで対向する平面部106から、シート状基材150側に向けて突出する中空状の突条部分として構成される。言い換えると、従来装置におけるノズル102は、シート状基材150の両側において、シート状基材150に対してエアを吹き付ける方向に突出する中空状の突条部分として平面部106に設けられる。
【0007】
このように突条部分として構成されるノズル102においては、その突出方向の先端側(シート状基材150側)にて突条部分の長手方向(図19において紙面に垂直方向)に沿って細長形状のエア吹出口が設けられる。このようなノズル102は、前記のとおりエア吹出口の長手方向、つまり突条部分の長手方向がシート状基材150の幅方向(図19において紙面に垂直方向)となるように設けられる。ノズル102が有するエア吹出口は、その長手方向の寸法について、少なくともシート状基材150の幅方向の寸法と略同じ寸法を有する。これにより、搬送されるシート状基材150の幅方向の全体にわたってエアが吹き付けられる。
【0008】
このような構成のノズル102を備える従来装置においては、搬送されるシート状基材150に対して同じ側(図19においては上側または下側)に設けられる複数のノズル102(の内部空間)が、例えば所定の個数ごとに、エアの案内通路となる空間を形成するチャンバー部105aを介して連通された状態となる。つまり、前記のとおり平面部106から突出する突条部分として構成されるノズル102に対し、その平面部106を介してチャンバー部105aが形成され、このチャンバー部105aによって複数のノズル102(の内部空間)がその基部側(平面部106側)において連通される。そして、チャンバー部105aによって連通される複数のノズル102に対しては、チャンバー部105aを介してエアが供給される。したがって、ノズル102に対して、ノズル102の基部側(チャンバー部105a側)から先端側(エアの吹出し側)に向かう方向に、エアが供給されることとなる。つまり、従来装置においては、ノズル102に対するエアの供給方向と、ノズル102からのエアの吹出し方向とが略同じ方向となっている。
【0009】
ところで、シート状基材の乾燥に際しては、乾燥のムラをなくすためや、シート状基材の安定した搬送を行うため、シート状基材に対してエアが均一に吹き付けられる必要がある。つまり、ノズルからそのエア吹出口の全体にわたってエアが均一に吹き出す必要がある。このため、図19に示すような従来装置においては、各ノズル102に対しておよび各ノズル102におけるエア吹出口全体に対して、エアが均一に供給される必要が生じる。したがって、各ノズル102に連通するチャンバー部105aにおいては、その内部でエアの流れが偏ることなく、各ノズル102に対しておよび各ノズル102におけるエア吹出口全体に対して、均一にエアが供給されるように、相当程度の大きさの空間が確保されることが必要となる。
【0010】
図20に、従来装置におけるノズルの配設構成の一例を示す。図20に示すように、前記のとおり均一にエアが供給されるようにチャンバー部105aについて相当程度の大きさの空間が確保される必要から、チャンバー部105aを構成するチャンバー105が、ノズル102の大きさに対して比較的大容量のものとなる。
【0011】
すなわち、図20に示す構成においては、チャンバー105が有する供給口110から、チャンバー部105aに対してエアが供給される。チャンバー部105aに供給されたエアは、平面部106に設けられるノズル102とチャンバー部105aとを連通する流入口104を介してノズル102に流入し、ノズル102のエア吹出口から吹き出し、シート状基材150に対して吹き付けられる。かかる構成においては、各ノズル102における吹出口全体に対して均一にエアが供給されるように、流入口104についてエア吹出口に対応する大きさが必要となるとともに、各ノズル102に対して(各流入口104に対して)均一にエアが供給されるように、チャンバー部105aについて相当程度の大きさの空間が確保されることが必要となる。このため、チャンバー105が大容量なものとなる。
【0012】
具体的には、チャンバー105の容積が十分に大きくなると、チャンバー105内におけるエアの流速が0に近付き、複数の各ノズル102の流入口104側付近(下面付近)のエア圧が均一化される。これにより、ノズル102内におけるエアの流れる方向は、ノズル102の流入口104から吹出し側まで垂直となる。言い換えると、流入口104からのエアの流入方向と、ノズル102からのエアの吹出し方向とが略同じ方向となる。このため、ノズル102の長手方向にはエアの流れが生じず、ノズル102の長手方向について均一なエアの吹出し量が得られる。また、チャンバー105の容積が十分に大きくなると、各ノズル102へのエアの供給圧が等しくなるので、チャンバー105に支持される複数の各ノズル102間でのエアの吹出し量の差もなくなる。
なお、図20においては、シート状基材150の両面側に配されるノズル102のうち、片側(下側)に配されるノズル102のみを示している。したがって、実際の装置においては、シート状基材150を挟んで略対称に(シート状基材150の上側に)、ノズル102およびチャンバー105が設けられることとなる。
【0013】
このように、従来装置においては、各ノズル102に対しておよび各ノズル102におけるエア吹出口全体に対して、均一にエアが供給されるものの、ノズル102の配設構成から、装置の大型化、特にノズル102に対してエアが供給される方向に対応するエアの吹出し方向(図19および図20において上下方向)の寸法についての大型化が避けられず、装置のコンパクト化を図ることが困難であった。具体的には、従来装置におけるエアの吹出し方向(上下方向)の寸法(高さ寸法)が、2000mm程度となっていた。
【0014】
また、乾燥装置においては、シート状基材に対してエアが吹き付けられることによる乾燥により、シート状基材に塗布された材料から成分が揮発する。シート状基材150が、例えば、電極を構成する物質が有機溶剤等で分散等されたペースト状の材料が塗布される電池用の電極シートである場合、そのシート状基材150の乾燥中に、揮発した溶剤(以下「揮発溶剤」という。)が生じる。このような揮発溶剤は、従来装置においては、そのノズル102の配設構成から、逃げ場がなく換気が困難であるため、隣り合うノズル102と平面部106とシート状基材150との間のスペース(例えば図19において符号S1で示す部分)において滞留することとなる。このように搬送されるシート状基材150の近傍に滞留する揮発溶剤は、次のような問題を引き起こす。
【0015】
すなわち、図19に示すように、ノズル102からシート状基材150に吹き付けられたエアは、シート状基材150から跳ね返った後、チャンバー部105aを形成する平面部106にて跳ね返り、再びシート状基材150に当たることとなる(図19中、矢印参照)。このとき、前記のとおりシート状基材150の近傍に滞留している揮発溶剤が、エアとともにシート状基材150に吹き付けられ、シート状基材150に吸着することとなる。つまり、揮発溶剤が、シート状基材150に塗布されている材料に再び混ざることとなる。このように、ノズル102から吹き出されたエアの跳ね返りによってシート状基材150に揮発溶剤が吸着することは、シート状基材150の乾燥速度に影響を与え、乾燥装置における乾燥能力の低下を招く。
また、前述したように跳ね返ったエアがシート状基材150に再び当たることは、シート状基材150近傍の気流の安定性を低下させ、シート状基材150が振動する等、シート状基材150の搬送を不安定なものとする原因となる。
【0016】
なお、図19(a)は、例えば特許文献2に示されているように、搬送されるシート状基材150の両面側に設けられるノズル102が、シート状基材150の搬送方向において略同じ位置に配設される(対向配置される)構成を示している。また、同図(b)は、同じくシート状基材150の両面側に設けられるノズル102が、シート状基材150の搬送方向において互い違いに(交互に)配設される構成を示している。これらいずれの構成を有する従来装置においても、前述したようなノズル102の配設構成に起因する問題が生じる。
【特許文献1】特開2005−30657号公報
【特許文献2】特開平9−63576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、装置のコンパクト化を容易に図ることができるとともに、エアの吹付けによる乾燥によって生じる揮発溶剤等の揮発した成分の換気性の向上が図れ、基材に対する跳ね返りエアが防止できることから、乾燥効率の向上、および基材搬送の安定性の向上を図ることができるシート状基材の乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0019】
すなわち、請求項1においては、シート面方向に沿う所定の搬送方向に搬送される帯状のシート状基材を乾燥対象とし、前記シート状基材にエアを吹き付けることにより、前記シート状基材を乾燥させるシート状基材の乾燥装置であって、全体として略柱状の部材として構成され、その長手方向に沿うエアの吹出口を有するとともに、同じく長手方向の一端側にエアの流入口を有し、前記シート状基材の両面側にて前記長手方向が前記シート状基材の幅方向となる姿勢で前記搬送方向に間隔を隔てて配設される複数のノズルと、複数の前記ノズルがその前記流入口側から支持される支持面部を有し、該支持面部に複数の前記ノズルを支持した状態で、その支持する複数の前記ノズルに対して前記流入口を介してエアを供給するチャンバーと、前記複数のノズルおよび前記チャンバーを収容し、前記シート状基材の搬送を許容する入口部および出口部を有するとともに、前記ノズルから吹き出されたエアの排気口を有する乾燥室と、前記乾燥室に対して隔壁を介して設けられ、前記チャンバーの入口開口部を介して該チャンバーと連通するとともに、エアの供給口を有するエア供給室と、前記乾燥室内のエアを吸入するとともにその吸入したエアを前記エア供給室に送入する循環ファンと、を備えるものである。
【0020】
請求項2においては、請求項1に記載のシート状基材の乾燥装置において、前記ノズルは、エアの流れにおける前記流入口と前記吹出口との間に整流部材を有し、前記整流部材は、板状の多孔部材により構成され、エアの流れにおける前記流入口と前記吹出口との間に前記長手方向に沿って配され該長手方向に複数並設される開口部を有する基部と、前記開口部の前記長手方向における前記流入口側に対する奥側の辺部から前記吹出口側の反対側に延設される風向板部とを含み、前記風向板部は、該風向板部の前記基部に対する前記流入口側の角度が、前記流入口側に位置する前記風向板部から、前記奥側に位置する前記風向板部にかけて、段階的に小さくなるように設けられるものである。
【0021】
請求項3においては、請求項1または請求項2に記載のシート状基材の乾燥装置において、前記ノズルと前記支持面部との間に介装され、その介装された状態で、前記流入口を覆うとともに、該流入口に連通する開口孔部を有し、前記チャンバーから前記ノズルに対するエアの供給量を調整するための流量調整部材を備え、前記開口孔部の開口面積が、前記複数のノズル間で、前記ノズルの前記支持面部に対する支持位置に応じて調整されるものである。
【0022】
請求項4においては、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状基材の乾燥装置において、前記吹出口は、前記ノズルのエアの吹出し側面部において前記搬送方向に対向する両辺部に設けられ、前記長手方向に平行でありエアの吹出し側にかけて前記吹出し側面部における前記搬送方向中央側に傾斜する斜面である外側斜面と、該外側斜面に対して前記ノズルにおける内側に設けられ該外側斜面に対して平行でありかつ対向する斜面である内側斜面とにより形成されるスリット状の開口部であり、前記外側斜面は、前記内側斜面よりもエアの吹出し側に延設される案内部を有するものである。
【0023】
請求項5においては、請求項4に記載のシート状基材の乾燥装置において、前記スリット状の開口部に対する前記ノズルの内部からのエアの入口であるスリット入口の幅寸法が、前記スリット状の開口部のスリット幅寸法に対して十分な大きさを有するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、本発明によれば、装置のコンパクト化を容易に図ることができるとともに、エアの吹付けによる乾燥によって生じる揮発溶剤等の揮発した成分の換気性の向上が図れ、基材に対する跳ね返りエアが防止できることから、乾燥効率の向上、および基材搬送の安定性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係るシート状基材の乾燥装置(以下単に「乾燥装置」という。)は、乾燥が必要な材料が塗布された帯状のシート状基材(薄膜基材)に対して熱風エア等のエアを吹き付けることにより、搬送されるシート状基材をリフティングしながら連続乾燥させる乾燥炉である。
すなわち、本発明に係る乾燥装置は、シート面方向に沿う所定の搬送方向に搬送される帯状のシート状基材を乾燥対象とするものであり、材料が塗布されるシート状基材の搬送ラインにおいて、シート状基材に対して材料が塗布される塗工装置が設けられる位置の下流側に設けられる。そして、搬送されながら塗工装置において塗工されたシート状基材が、乾燥装置に送られ、乾燥装置において搬送されつつ乾燥させられる。乾燥装置では、搬送されるシート状基材の両面側に配設される複数のノズルから、シート状基材に対してその両面側からエアが吹き付けられることにより、材料が塗布されたシート状基材が乾燥させられる。
以下では、本発明に係る乾燥装置の実施の一形態である乾燥装置1を用いて、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
本実施形態の乾燥装置1は、その乾燥対象である帯状のシート状基材を、電池用の電極シート50とする。つまり、電極シート50には、電極を構成する物質が有機溶剤(溶媒)等に分散等されたペースト状の材料が塗布され、この電極シート50に塗布された材料を乾燥させるため、乾燥装置1が用いられる。
また、本実施形態の乾燥装置1においては、電極シート50の搬送方向(以下単に「搬送方向」ともいう。)は、電極シート50のシート面方向に沿う水平方向となる。つまり、本実施形態の乾燥装置1では、帯状の電極シート50は、そのシート面方向の長手方向に沿って乾燥装置1に対して水平方向に搬送される(図3矢印A1参照)。
【0027】
したがって、乾燥装置1における電極シート50の搬送方向が、前記のとおり水平方向となるように、例えば、電極シート50の搬送ラインにおいて、乾燥装置1の上流側に巻出し装置(図示略)が設けられるとともに、乾燥装置1の下流側に巻取り装置(図示略)が設けられる。そして、電極シート50に対して材料を塗布するための塗工装置(図示略)が、乾燥装置1の上流側に設けられる。塗工装置においては、電極シート50の片面または両面に、電極活物質のペースト材料が塗工される。材料が塗工された電極シート50は、乾燥装置1に送られて乾燥させられる。
【0028】
本実施形態の乾燥装置1は、前記のとおりシート面方向に沿う水平方向に搬送される帯状の電極シート50を乾燥対象とし、その電極シート50に熱風エア(以下単に「エア」という。)を吹き付けることにより、ペースト材料が塗布された電極シート50を乾燥させる。
乾燥装置1は、電極シート50に対してエアを吹き付けるための複数のノズル2を備える。
【0029】
ノズル2は、電極シート50の幅方向(搬送方向に対して垂直方向)を長手方向とするエアの吹出口3を有する。本実施形態に係る吹出口3は、スリット状の開口部として構成され、ノズル2におけるエアの吹出し側において、電極シート50の搬送方向に対向するように平行に二箇所設けられる。なお、吹出口3の長さは、電極シート50の幅方向の長さよりも長く設定されており、搬送される電極シート50の幅方向の全体にわたってエアが吹き付けられる。
【0030】
ノズル2は、乾燥装置1において、搬送される電極シート50の両面側にて搬送方向に間隔を隔てて配設される。すなわち、本実施形態の乾燥装置1においては、水平方向に搬送される電極シート50の上側および下側それぞれにおいて、複数のノズル2が、電極シート50の搬送方向(水平方向)に間隔を隔てて配される。
また、本実施形態の乾燥装置1においては、電極シート50に対して上側に配される複数のノズル(以下「上ノズル」という。)2と下側に配される複数のノズル(以下「下ノズル」という。)2とは、電極シート50の搬送方向において互い違いに(交互に)配設される。
【0031】
そして、本実施形態の乾燥装置1においては、ノズル2が、全体として吹出口3と長手方向を同じくする略柱状の部材として構成される。そして、ノズル2は、その長手方向の一端側にエアの流入口4を有し、この流入口4側が、複数のノズル2に対して流入口4を介してエアを供給するチャンバー5を構成する支持面部6に対して支持される。
【0032】
すなわち、図1、図2、図5、および図6等に示すように、ノズル2は、全体として水平方向に配される略柱状(棒状)の中空部材として構成され、その長手方向が、電極シート50の幅方向(搬送方向に対して垂直方向)と平行方向となるように設けられる。ノズル2の長さは、吹出口3が前記のとおり電極シート50の幅方向の長さよりも長くなるため、電極シート50の幅方向の長さよりも長くなる。
【0033】
そして、このように略柱状に構成されるノズル2は、その長手方向の一端側にエアの流入口4を有し、この流入口4側が支持された状態で設けられる。ノズル2の支持は、ノズル2の長手方向の一端側がチャンバー5を構成する支持面部6に対して固定されることで行われる。つまり、ノズル2は、支持面部6に対して支持された状態で、流入口4を介してチャンバー5と連通した状態となる。したがって、支持面部6には、流入口4に対応する開口部が設けられる。
【0034】
このようなノズル2を備える本実施形態の乾燥装置1においては、搬送される電極シート50の上側および下側において、複数の略柱状のノズル2が、略鉛直面として構成される支持面部6から、水平方向であって電極シート50の幅方向に突出した状態で設けられることとなる。かかる状態で設けられるノズル2は、上ノズル2と下ノズル2とで搬送方向において互い違いに配設される。
【0035】
なお、本実施形態では、ノズル2は、長手方向の一端側に流入口4を有し、その流入口4側が支持される構成であるが、これに限定されず、長手方向の両端側に流入口4を有し、その両端側が支持される構成であってもよい。つまり、略柱状に構成されるノズル2が、その長手方向の両端側がチャンバーと連通する状態で支持されることにより、ノズル2に対してその両端側からエアが流入する構成であってもよい。
すなわち、略柱状に構成されるノズル2は、その長手方向の両端側の少なくとも一側にエアの流入口4を有し、この流入口4側が、チャンバーを構成する支持面部に対して支持される構成であればよい。
【0036】
このようなノズル2の配設構成を備える乾燥装置1においては、装置のコンパクト化を容易に図ることができるとともに、エアの吹付けによる乾燥によって生じる揮発溶剤等の揮発した成分の換気性の向上が図れ、電極シート50に対する跳ね返りエアが防止できることから、乾燥効率の向上、および基材搬送の安定性の向上を図ることができる。
【0037】
すなわち、本実施形態の乾燥装置1においては、略柱状のノズル2に対して、その長手方向の端部側からエアが流入する構成であることから、チャンバー5のコンパクト化を図ることができる。これにより、装置の大型化、特にノズル2が電極シート50を挟む方向(本実施形態では上下方向)の寸法についての大型化を避けることができ、装置全体のコンパクト化を容易に図ることができる。
装置のコンパクト化が図れることは、本実施形態の乾燥装置1では、電極シート50に対して吹き付けられるエア(熱風エア)についての放熱量を低減することができること等の理由により、装置全体における熱効率の向上につながる。
【0038】
また、ノズル2が、略柱状に構成されその長手方向の端部側が支持される構成、即ち略柱状のノズル2が、支持面部6から水平方向に突出した状態で設けられる構成であることから、各ノズル2の周囲にスペースが確保されることとなる。つまり、電極シート50の上側および下側それぞれにおいて配設される複数のノズル2について、隣り合うノズル2間において、電極シート50に対してエアが吹き付けられる方向と反対方向に吹き抜けの状態となる。
このため、図3および図7に示すように、隣り合うノズル2間においてエアが電極シート50の反対側へと排出される通路が確保され、ノズル2から吹き付けられて電極シート50から跳ね返ったエアが、ノズル2と電極シート50との間のスペースの外部へと逃げることが可能となる。
【0039】
これにより、エアが吹き付けられることで電極シート50から生じる揮発した溶剤(揮発溶剤)の換気性の向上が図れ、揮発溶剤の濃度の高いエアが、電極シート50の近傍に滞留することを防止することができるとともに、この滞留する揮発溶剤を含むエアが電極シート50に対して再度吹き付けられて吸着することを防止することができる。結果として、電極シート50の乾燥を促進して速やかに行うことができ、乾燥効率の向上を図ることができる。
【0040】
また、前記のとおり電極シート50から跳ね返ったエアが逃げることが可能となることから、従来装置において生じていた、基材に吹き付けられたエアが基材とチャンバーとの間で何度も跳ね返るというような、電極シート50に対する跳ね返りエアを防止することができる。これにより、電極シート50近傍の気流の安定性を保つことが実現でき、電極シート50の振動を抑制することができる等、電極シート50の搬送についての安定性の向上が図れる。
【0041】
次に、本実施形態の乾燥装置1の全体的な構成について説明する。
図1および図2に示すように、乾燥装置1は、複数のノズル2と、ノズル2に対してエアを供給するチャンバー5と、ノズル2およびチャンバー5が収容される乾燥室7と、乾燥室7に対して隣接する状態で設けられるエア供給室8と、循環ファン9とを備える。
【0042】
ノズル2は、前述したように、全体として略柱状の部材として構成され、その長手方向に沿うエアの吹出口3を有するとともに、同じく長手方向の一端側にエアの流入口4を有する。また、複数のノズル2は、電極シート50の両面側にて前記長手方向が電極シート50の幅方向となる姿勢で搬送方向に間隔を隔てて配設される。
本実施形態では、複数のノズル2は、電極シート50の上側および下側それぞれにおいて七本ずつ(計十四本)等ピッチで配置され、電極シート50の上下間では互い違いとなるように配置される。
【0043】
チャンバー5は、複数のノズル2がその流入口4側から支持される支持面部6を有し、支持面部6に複数のノズル2を支持した状態で、その支持する複数のノズル2に対して流入口4を介してエアを供給する。
本実施形態では、上ノズル2および下ノズル2それぞれに対してチャンバー5が設けられる。つまり、搬送される電極シート50に対して上側のチャンバー5と下側のチャンバー5とが設けられ、上側のチャンバー5に対して複数(本実施形態では七本)の上ノズル2が連通した状態で支持され、下側のチャンバー5に対して複数(本実施形態では七本)の下ノズル2が連通した状態で支持される。
【0044】
チャンバー5は、平面視で略三角形状を有する平板状の中空部材として構成される。チャンバー5においては、その平面視形状である略三角形状における一辺部側に、ノズル2を支持する支持面部6が形成される。
本実施形態では、支持面部6は、電極シート50の搬送方向に平行に配される略鉛直面部として構成される。つまり、チャンバー5が有する支持面部6は、電極シート50の搬送方向に沿う細長状の面部であり、この支持面部6に対して、七本のノズル2が、等ピッチで配置されて支持される。
【0045】
また、チャンバー5においては、その平面視形状である略三角形状における支持面部6と反対側となる頂点部側に、エアの入口開口部10が設けられる。入口開口部10は、中空部材であるチャンバー5においてその内部空間と外部とを連通させる。つまり、チャンバー5に対しては、入口開口部10を介してエアが供給される。本実施形態では、入口開口部10は、電極シート50の搬送方向を長手方向とする略長方形状の開口部として構成される。
このように、平面視で略三角形状を有する平板状の中空部材として構成され、上ノズル2および下ノズル2それぞれに対して設けられるチャンバー5は、上下に略平行に略重なる状態となる。
【0046】
乾燥室7は、前記のとおり複数のノズル2およびチャンバー5を収容する。つまり、搬送される電極シート50を上下方向に挟むようにして設けられる複数のノズル2、およびそれを支持する上下のチャンバー5が、壁部等により囲まれることで形成される空間(略閉空間)の内部に収容されることで、乾燥室7が構成される。したがって、乾燥室7は、電極シート50の搬送を許容する入口部11および出口部12を有する。入口部11および出口部12は、例えば、乾燥室7を構成する壁部に、乾燥室7の内部と外部とを連通させる開口部が設けられることにより構成される。
【0047】
本実施形態では、乾燥室7は、電極シート50の搬送方向を長手方向とする略直方体状の空間に、複数のノズル2およびチャンバー5が収容されることにより構成される。そして、乾燥室7において、その長手方向の一側(上流側)の壁部に入口部11が設けられ、同じく他側(下流側)の壁部に出口部12が設けられる。乾燥室7の寸法としては、例えば、長手方向(図2における上下方向)の寸法が3000mm程度、高さ方向(図1における上下方向)の寸法が700mm程度とされる。
【0048】
また、乾燥室7は、ノズル2から吹き出されたエアの排気口13を有する。排気口13は、乾燥室7を構成する壁部に設けられ、乾燥室7の内部と外部とを連通させる開口部等により構成される。本実施形態では、排気口13は、乾燥室7を構成する壁部のうち、ノズル2が突出する方向と反対側の壁部において、その搬送方向の下流側に設けられる。本実施形態では、排気口13は、図1および図3に示すように、乾燥室7を構成する壁部における上側に設けられる。
このように排気口13を有する乾燥室7においては、ノズル2から吹き付けられて電極シート50から跳ね返り、前記のとおり隣り合うノズル2間を吹き抜けたエア等が、排気口13を介して乾燥室7の外部へと排出される。
【0049】
エア供給室8は、乾燥室6に対して隔壁14を介して設けられ、チャンバー5の入口開口部10を介してチャンバー5と連通する。
エア供給室8は、乾燥室7に隣接するとともに、壁部等により囲まれることで形成される空間(略閉空間)として構成される。エア供給室8は、乾燥室7に対して隔壁14により区画される。エア供給室8は、乾燥室7に対して、その収容するノズル2の突出する方向と反対側、つまりチャンバー5の入口開口部10側(以下「反ノズル側」という。)に設けられる。そして、エア供給室8は、チャンバー5に対して入口開口部10を介して連通した状態となる。つまり、エア供給室8は、乾燥室7に対して隔壁14を介して隔てられるとともに、チャンバーの入口開口部10を介してチャンバー5内と連通する。したがって、チャンバー5は、その入口開口部10が隔壁14を介してエア供給室8内に臨む状態で、乾燥室7内において配置支持される。
【0050】
本実施形態では、エア供給室8は、電極シート50の搬送方向を長手方向とするとともに、その長手方向の寸法が乾燥室7の半分程度となる略直方体状の空間として構成される。そして、エア供給室8は、乾燥室7に対して反ノズル側において搬送方向の一側(上流側)に設けられる。したがって、エア供給室8は、乾燥室7とともに平面視で略L字状を構成する状態となる(図2参照)。乾燥室7とエア供給室8とを含む、搬送方向に対して垂直方向(図2における左右方向)の寸法としては、例えば2200mm程度とされる。
【0051】
また、エア供給室8は、エアの供給口15を有する。供給口15は、エア供給室8を構成する壁部に設けられ、エア供給室8の内部と外部とを連通させる開口部等により構成される。本実施形態では、供給口15は、エア供給室8を構成する壁部のうち、搬送方向の上流側の壁部に設けられる。本実施形態では、供給口15は、図4に示すように、エア供給室8の壁部における下側に設けられる。
このように供給口15を有するエア供給室8においては、例えば熱交換器と送風機とを備えるエア発生装置等の、熱風を発生させるためのエア源(図示略)から導かれたエアが、供給口15を介してエア供給室8の内部へと供給される。
【0052】
循環ファン9は、乾燥室7内のエアを吸入するとともにその吸入したエアをエア供給室8に送入する。
循環ファン9は、モータ等の駆動源により回転するプロペラ(図示略)を有するとともに排風ダクト部9aを有し、プロペラの回転によりエアの流れを形成することで、乾燥室7内のエアを吸入して排風ダクト部9aを介してエア供給室8へと送り込む。したがって、循環ファン9は、乾燥室7およびエア供給室8に対して連通した状態となる。循環ファン9は、乾燥室7に対して反ノズル側であって、エア供給室8に対して搬送方向の他側(下流側)に設けられる。
【0053】
すなわち、循環ファン9は、乾燥室7に対しては、乾燥室7における反ノズル側の壁部に設けられる吸入口16を介して連通する。本実施形態では、吸入口16は、図3および図4に示すように、乾燥室7の壁部における下側に設けられる。
また、循環ファン9は、エア供給室8に対しては、エア供給室8における搬送方向の他側(下流側)の壁部側から、排風ダクト部9aの先端部に設けられる出口開口部9bを介して連通する。つまり、循環ファン9は、その出口開口部9bがエア供給室8における搬送方向の他側の壁部を介してエア供給室8内に臨む状態で設けられる。
なお、乾燥室7(吸入口16)と循環ファン9との間には、吸入ダクト17が設けられる。
【0054】
本実施形態の乾燥装置1においては、前述したように、エア供給室8は、その長手方向の寸法が乾燥室7の半分程度となるように構成されるとともに、乾燥室7に対して搬送方向の一側(本実施形態では上流側)に設けられる。これにともない、チャンバー5においては、その平面視形状である略三角形状において頂点部側に設けられる入口開口部10が、搬送方向の一側に偏った位置に設けられる。つまり、チャンバー5は、その平面視形状である略三角形状が、頂点部側が搬送方向の一側に偏ることで搬送方向に非対称な形状となるように構成される。そして、循環ファン9が、乾燥室7の反ノズル側において、搬送方向でエア供給室8が設けられる側と反対側に、搬送方向において乾燥室7からはみ出ないように設けられる。
【0055】
このように、乾燥装置1においては、チャンバー5がその平面視形状が搬送方向に非対称な形状となるように構成されるとともに、エア供給室8および循環ファン9が、乾燥室7の搬送方向の寸法内に収まるように構成されことで、装置のコンパクト化が図られている。
【0056】
以上のような構成を備える乾燥装置1においては、次のようにして電極シート50の搬送および乾燥が行われる。
すなわち、乾燥装置1においては、乾燥対象である電極シート50が、入口部11および出口部12を介して貫通した状態となる乾燥室7内において、上下のノズル2からエアが吹き付けられることにより、気流搬送されながら乾燥させられる。ここで、電極シート50は、上下のノズル2からエアが吹き付けられることによりリフティングされ波打った状態となる(図7参照)。
【0057】
エア供給室8においては、前記のとおりエア源から供給口15を介してエアが供給される。供給口15を介してエア供給室8内に取り込まれたエアは、入口開口部10を介して上下各チャンバー5に供給される。チャンバー5内に取り込まれたエアは、チャンバー5を介して各ノズル2へと導かれて流入口4を介してノズル2内に流入し、ノズル2が有する吹出口3から、電極シート50に対して吹き付けられる。
【0058】
そして、ノズル2の吹出口3から電極シート50に対して吹き付けられ、乾燥室7内に存在するエアは、その一部が、排気口13を介して乾燥室7の外部へと排出される。また、同じく乾燥室7内に存在するエアは、循環ファン9によって乾燥室7の下側に設けられる吸入口16を介して吸入され、排風ダクト部9aから出口開口部9bを介してエア供給室8へと送り込まれる。そして、循環ファン9によってエア供給室8内に送り込まれたエアは、前記のとおり供給口15から供給されるエアとともに、再びチャンバー5へと供給される。つまり、循環ファン9により、乾燥室7内のエアが、エア供給室8を介して各チャンバー5に再び送り込まれることで循環する状態となる。これにより、乾燥室7内がエア(熱風エア)によって昇温する。
【0059】
ここで、供給口15と排気口13とは、エア供給室8に対する供給口15を介しての単位時間あたりのエアの供給量と、乾燥室7からの排気口13を介しての単位時間あたりのエアの排出量とが、略同じ量となるように構成される。つまり、供給口15からは、排気口13から排出されるエアの量に見合う量のエアが供給される。これにより、乾燥室7内が略一定の圧力(気圧)に保たれる。
【0060】
以上のような構成を備える本実施形態の乾燥装置1においては、ノズル2が、その長手方向の一端側に流入口4を有し、その流入口4側が、チャンバー5の支持面部6に対して支持される。つまり、本実施形態の乾燥装置1においては、略柱状のノズル2に対して、その長手方向の一側からエアが供給される構成となっている。
また、ノズル2は、エアの流れにおける流入口4と吹出口3との間に整流部材20を有する。
【0061】
本実施形態のノズル2のように、略柱状に構成され、その長手方向の一側からエアが供給される構成においては、ノズル2の長手方向について流入口4から離れた位置、つまり流入口4に対して奥側の位置であるほど、供給されるエアの流速が高くなる。
【0062】
このため、例えば図11に示すように、整流板(整流部材20)を有しない場合のノズル202においては、ノズル202の長さによっては、エアの吹出し側面部231において長手方向に沿って形成されるスリット状の吹出口から吹き出すエアについて、その吹出し量が長手方向で不均一となる(図11中、矢印参照)。
【0063】
すなわち、ノズル202において、その長手方向の一端側に設けられる流入口204から流入したエアは、直進性を有することから、流入口204から供給されるエアについては、ノズル202の長手方向において流入口204に近い位置側(手前側)から、流入口204から離れた位置側(奥側)にかけてエアの流速が高くなる。また、スリット状の吹出口の面積は、ノズル202における流入口204から流入したエアの流路面積(直進方向の断面積)に比べて極めて小さいものとなる。
これらのことから、ノズル202において吹き出されるエアの量は、その長手方向において手前側から奥側にかけて多くなり、ノズル202の末端付近で最も多くなる。かかる現象は、ノズル202において、例えば従来装置等において用いられている多数の小孔が略全面に形成されている平板状の整流板が備えられる構成であっても同様に生じることとなる。
なお、図11において、(a)はノズル202の斜視図であり、(b)はノズル202の内部を示す側面模式図である。
【0064】
また、前記のような現象、つまりノズル202においてその長手方向の長さによって吹き出すエアの量が長手方向で不均一となる現象についての対策として、図12に示すような整流板320を用いる方法が考えられる。
【0065】
すなわち、図12(a)に示すように、整流板320を有する場合のノズル302においては、その平板状の整流板320が、ノズル302の内部であって、その長手方向の一端側に設けられる流入口304よりも上側にて、エアの吹出し側面部331と平行に設けられる。
そして、図12(b)に示すように、整流板320は、多数の小孔321を有するとともに、その小孔321が設けられる面積が、ノズル302の長手方向において流入口304に近い位置側(手前側、図12において左側)から、流入口304から離れた位置側(奥側、図12において右側)にかけて徐々に小さくなるように構成されている。図12(b)においては、整流板320において小孔321が設けられる部分の平面視形状が、ノズル302の奥側に対応する側が頂点側となる三角形状とされることで、小孔321が設けられる面積が前記のとおり徐々に小さくなるように調整されている。
なお、図12において、(a)はノズル302の内部を示す側面模式図であり、(b)は整流板320を示す平面図である。
【0066】
このように、整流板320において、ノズル302における奥側に対応する側にかけて小孔321が設けられる面積が小さくされることで、ノズル302において整流板320を通過するエアについての圧力損失が、ノズル302の奥側にかけて高くなる。これにより、前記のとおりノズル302の長手方向において流入口304の奥側にかけて多くなるエアの吹出し量について、その均一化が図れる。つまり、整流板320において小孔321が設けられる面積が小さくなる部分は、その分、圧力損失が高くなり、整流板320を通過するエアの量も少なくなる。このため、小孔321が設けられる面積の大きさの調整により圧力損失が調整されることで、ノズル302におけるエアの吹出し量が調整され、その長手方向におけるエアの吹出し量の均一化が図られる。
しかし、図12に示すような整流板320が用いられる方法は、前記のとおり整流板320を通過するエアの圧力損失が高くなるため、エアの循環効率が低下し、エネルギーロスが大きくなることから、得策ではない。
【0067】
そこで、本実施形態の乾燥装置1におけるノズル2が有する整流部材20は、次のような構成を備える。整流部材20の構成について、図8〜図10を用いて説明する。
整流部材20は、板状の多孔部材により構成される。すなわち、整流部材20は、全体として、例えばパンチングメタルやエキスパンドメタル等の、多数の小孔21を有する板状部材により構成される。
整流部材20は、複数の開口部23を有する基部22と、開口部23の一辺部から延設される風向板部24とを含む。
【0068】
基部22は、ノズル2において、エアの流れにおける流入口4と吹出口3との間にノズル2の長手方向に沿って配される。
本実施形態では、水平方向に突出された状態で設けられるノズル2に対して、基部22は、その面方向が水平面方向となる。また、基部22は、ノズル2の内部において、流入口4と吹出口3との間を仕切るような状態となるように構成される。このため、基部22は、ノズル2の内部空間の平面視形状に対応する形状・大きさを有する。したがって、本実施形態では、基部22は、ノズル2の内部空間の平面視形状に沿う長方形状となる外形を有する。そして、基部22は、ノズル2の内部において流入口4よりも吹出口3側(図10において上側)に位置する。
【0069】
また、基部22は、ノズル2の長手方向に複数並設される開口部23を有する。
本実施形態では、開口部23は、長方形状となる基部22に対して、その長手方向に間隔を隔てて六個設けられている。各開口部23は、矩形状を有し、その矩形状が、基部22の外形形状である長方形状に沿うように形成される。
また、各開口部23の大きさは、基部22の長手方向において略対称となるように設定される。したがって、本実施形態では、図9に示すように、六個の開口部23のうち、基部22の長手方向(図9において左右方向)両側に設けられる四個(片側二個)の開口部23が略同じ大きさを有し、基部22の中央部に設けられる二個の開口部23が互いに略同じ大きさを有する。なお、基部22の中央部に設けられる二個の開口部23は、その大きさが、他の開口部23よりも若干大きめに設定されている。
【0070】
風向板部24は、開口部23の、ノズル2の長手方向における流入口4側に対する奥側(以下単に「奥側」といい、その反対側を「手前側」ともいう。)の辺部(以下「奥側辺部」という。)23aから、吹出口3側の反対側(図10において下側)に延設される。
開口部23における奥側辺部23aは、前記のとおり矩形状を有する開口部23において奥側(図9および図10において左側)の部分を形成する辺部である。したがって、奥側辺部23aは、ノズル2における流入口4からのエアの流入方向(ノズル2の長手方向)に対して垂直方向の辺部となる。そして、この開口部23における奥側辺部23aから、風向板部24が、ノズル2におけるエアの吹出し側と反対側(図10において下側、以下「反吹出し側」という。)において突出する板状の部分として延設される。
【0071】
また、風向板部24は、この風向板部24の基部22に対する流入口4側の角度が、流入口4側(手前側)に位置する風向板部24から、奥側に位置する風向板部24にかけて、段階的に小さくなるように設けられる。
ここで、風向板部24の基部22に対する流入口4側の角度(以下「風向板角度」という。)とは、基部22の面方向に対する風向板部24の面方向の角度のうち、流入口4側(図10において右側)の角度である。言い換えると、風向板角度とは、ある風向板部24について、その奥側辺部23aより流入口4側に位置する基部22の部分(の面方向)に対する、風向板部24(の面方向)の角度である。したがって、前記のとおり基部22が水平面方向となる本実施形態では、風向板角度は、水平方向に対する風向板部24の面方向の角度のうち流入口4側の角度となる(図10中、符号α1参照)。
【0072】
本実施形態の整流部材20においては、六つの風向板部24についての風向板角度が、手前側(図10において右側)に位置するものから順に、90°、90°、45°、30
°、20°、20°として設定され、段階的に小さくなっている。
したがって、図10に示すように、手前側に位置する二つの風向板部24a、24bは、基部22に対して反吹出し側に垂直方向に突出する板状の部分となる。また、他の四つの風向板部24c〜24fは、基部22に対して反吹出し側かつ流入口4側(図10において右側)に向かう斜め方向(図10において下右斜め方向)に突出する板状の部分となる。
【0073】
整流部材20は、本実施形態では次のようにして構成される。すなわち、整流部材20の製造には、多数の小孔21が形成されている長方形状の平板状の部材が用いられる。この平板状の部材の開口部23に対応する矩形状の部分において、奥側辺部23aに対応する辺部以外の辺部(矩形状のうちの三つの辺部)が切り込まれる。そして、その切込みにより形成された開口部23の形状に対応する矩形状の片部が、反吹出し側に折り曲げられる。これにより、長方形状の外形を有する基部22において開口部23および風向板部24が形成され、整流部材20が構成される。
そして、整流部材20においては、例えば整流部材20を構成する素材が有する塑性等により、風向板角度(風向板部24の折曲げ角度)が任意に調整できるようになっている。
【0074】
以上の構成を備える整流部材20は、ノズル2に対して、その基部22がノズル2の内部において流入口4よりも吹出口3側(図10において上側)に位置する状態で設けられる。
また、整流部材20は、ノズル2内に設けられた状態で、複数の風向板部24のうち、前記のとおり風向板角度が90°である手前側の二つの風向板部24a、24bの先端が、ノズル2の壁面(内面)に接する状態となる。
このようにして、整流部材20は、ノズル2内において流入口4と吹出口3との間に設けられる。なお、整流部材20のノズル2に対する固定に際しては、ボルト等の締結具による固定や溶接による固定など適宜の方法が用いられる。
【0075】
このように、整流部材20を有するノズル2においては、流入口4からノズル2内に流入したエアは、その大部分が、基部22の下側において、各風向板部24により開口部23へと導かれるとともに、風向板部24が有する小孔21あるいは風向板部24とノズル2の壁面との間の隙間を介して奥側に進行する。そして、ノズル2内に流入したエアは、開口部23あるいは基部22が有する小孔21を介して吹出口3から吹き出すこととなる。
すなわち、ノズル2内に整流部材20が設けられることにより、風向板部24が存在することによって、ノズル2に対する流入口4からのエアの進入方向の速度成分が減少するとともに、風向板部24によりエアが開口部23に導かれることによって、吹出口3からのエアの吹出し方向のエアの流れが作られるという作用が得られる。
【0076】
ここで、ノズル2内において各風向板部24が位置する部分における、風向板部24によって開口部23に導かれるエアの量と、風向板部24を介して奥側に進行するエアの量との関係については、風向板角度が大きいほど、開口部23に導かれるエアの量の方が多くなる。
したがって、風向板角度は、前述したように手前側に位置する風向板部24から奥側に位置する風向板部24にかけて段階的に小さくなっているため、手前側ほど開口部23に導かれるエアの量の方が多くなる。これにより、前述したような、ノズルにおいて手前側から奥側にかけて、エアの流速が高くなりその吹出し量が多くなるという現象に対して、エアの吹出し量についての均一化が図れる。
【0077】
すなわち、整流部材20においては、ノズル2において吹出口3に対して均等にエアが供給されるように、開口部23についての大きさや数や形状や、風向板部24についての大きさや形状や風向板角度等が、ノズル2(吹出口3)の大きさ(長さ)や形状等に対応して調整される。したがって、整流部材20における開口部23の大きさや風向板部24の風向板角度等については、本実施形態に限定されるものではなく、ノズル2(吹出口3)の大きさ等によって適宜設定される。
また、風向板角度の調整のための構成についても、本実施形態に限定されるものではない。風向板角度の調整のための構成としては、例えば、風向板部24が基部22とは別体とされ、その風向板部24が、基部22に対して角度調整可能に連結される構成等であってもよい。
【0078】
このように、ノズル2が整流部材20を有することにより、本実施形態の乾燥装置1のように、略柱状に構成されるノズル2に対してその長手方向の一側からエアが供給される構成において、ノズル2の長手方向の寸法にかかわらず、ノズル2内に流入するエアの流速が不均一となるノズル2の長手方向について、その長手方向に沿って設けられる吹出口3に対して均等にエアを供給することが可能となる。つまり、ノズル2の長手方向に沿って形成される吹出口3からのエアの吹出し量について、吹出口3の長手方向についての均一化が図れる。これにより、装置のコンパクト化をより容易に図ることが可能となる。
【0079】
すなわち、ノズル2が略柱状である構成においては、そのノズル2の長手方向に沿って形成される吹出口3の長さが比較的長く、ノズル2が、例えば、整流部材20を有しない構成や、従来装置等において用いられている平板状の整流板が備えられる構成である場合など、その吹出口3に対して均等にエアが供給されるためには、ノズル2の長手方向の両側からエアが供給される必要が生じる。
そこで、前述したような整流部材20がノズル2に設けられることにより、吹出口3からのエアの吹出し量について均一化が図れるとともに、本実施形態の乾燥装置1のように略柱状のノズル2に対してその長手方向の一側からエアが供給される構成が実現できる。これにより、電極シート50の上下において平行に配設される複数のノズル2に対して、その長手方向の両側からエアが供給される構成、例えばノズル2の長手方向の両側にチャンバーが設けられる構成と比べて、より効果的に装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0080】
また、整流部材20が設けられることにより、乾燥装置1において、ノズル2に対して単位時間あたりに流入するエアの流量が変化しても、例えば整流部材20における風向板角度が変更されること等により、ノズル2の形状の変更をともなうことなく、吹出口3に対するエアの均等な供給が可能となる。
【0081】
また、本実施形態の乾燥装置1は、図13および図14に示すように、チャンバー5からノズル2に対するエアの供給量を調整するための流量調整部材25を備える。流量調整部材25は、ノズル2と支持面部6との間に介装され、その介装された状態で、流入口4を覆うとともに、この流入口4に連通する開口孔部26を有する。
そして、流量調整部材25の開口孔部26の開口面積が、複数のノズル2間で、ノズル2の支持面部6に対する支持位置に応じて調整される。
【0082】
流量調整部材25は、厚さ数mm程度の矩形板状の部材として構成され、各ノズル2と、そのノズル2が支持される支持面部6との間に挟まれた状態となる。具体的には、流量調整部材25は、ノズル2において流入口4が開口する手前側の面となる開口面部2aと、チャンバー5の支持面部6との間に介装される。
【0083】
ノズル2の支持面部6に対する支持に際しては、ノズル2において流入口4を有する開口面部2aが、支持面部6に対向した状態となる。これにより、流入口4を介して、ノズル2内とチャンバー5内とが連通した状態となる。そこで、流量調整部材25は、開口面部2aと支持面部6との間に挟まれた状態で、ノズル2が支持面部6に対して固定されることにともない、ノズル2とチャンバー5(支持面部6)との間において固定される。
ここで、ノズル2の支持面部6に対する固定方法は、特に限定されるものではないが、例えば、次のような方法が用いられる。
【0084】
すなわち、ノズル2の支持面部6に対する固定に際しては、ボルト等の締結具による固定方法が用いられる。具体的には、ノズル2の開口面部2aにおいて、その周縁に鍔状のフランジ部(図示略)が設けられる。そして、このフランジ部を介して、ノズル2が支持面部6に対してボルトによって固定される。つまり、ボルトが、支持面部6に対して支持された状態のノズル2が有するフランジ部を貫通するとともに支持面部6に対して螺挿される。これにより、ノズル2が、支持面部6に対して締結固定される。このように、ノズル2は、支持面部6に対してボルト締結によって着脱可能に固定される。かかる構成においては、ノズル2と支持面部6との間に介装される流量調整部材25は、ボルトによって、支持面部6に対してノズル2とともに共締めされることとなる。
なお、ノズル2と支持面部6との間における流量調整部材25の固定方法は、特に限定されるものではない。
【0085】
流量調整部材25は、エアを通過させるための開口孔部26を有する。つまり、開口孔部26は、板状の部材である流量調整部材25を貫通する孔部である。本実施形態の流量調整部材25においては、開口孔部26は、一個の孔部として設けられ、流量調整部材25の外形形状に沿う形状、つまり矩形状を有し、流量調整部材25の略中央部に設けられる。したがって、流量調整部材25は、全体として額縁状の部材となる。
【0086】
なお、本実施形態の流量調整部材25においては、その開口孔部26が、一個の略矩形状の孔部として設けられているが、これに限定されるものではない。つまり、流量調整部材25が有する開口孔部26は、例えば、複数の孔部であったり、曲線部を有する形状(例えば、R形状部分を有する略矩形状等)であったりしてもよい。ただし、開口孔部26についての孔部の数や形状の設定に際しては、チャンバー5からノズル2に流入するエアについての圧力損失が考慮される。
【0087】
流量調整部材25は、ノズル2と支持面部6との間に介装された状態(以下、流量調整部材25について「介装状態」という。)で、ノズル2の流入口4を覆った状態となる。流入口4が流量調整部材25によって覆われた状態で、開口孔部26が、流入口4と連通する。すなわち、図14に示すように、介装状態の流量調整部材25においては、その開口孔部26が、ノズル2の流入口4の開口範囲内において開口した状態となる。言い換えると、介装状態の流量調整部材25の開口孔部26は、その開口範囲が、ノズル2の流入口4の開口範囲に含まれる状態となる。
【0088】
したがって、流量調整部材25の開口孔部26の開口面積が調整されることで、チャンバー5とノズル2との間の連通面積が調整されることとなる。なお、開口孔部26の開口面積の調整が、チャンバー5とノズル2との間の連通面積の調整となるように、前述したようにノズル2の流入口4に対応して支持面部6に設けられる開口部の大きさ・形状が設定される。具体的には、流入口4に対応して支持面部6に設けられる開口部は、例えば流入口4と略同じ大きさ・形状となるように形成される。
【0089】
そして、流量調整部材25の開口孔部26の開口面積が、複数のノズル2間で、ノズル2の支持面部6に対する支持位置に応じて調整される。
開口孔部26の開口面積の調整に際しては、チャンバー5から各ノズル2に供給されるエアの量が、ノズル2の支持される位置にかかわらず均等になるように調整される。
【0090】
本実施形態では、例えば図2に示すごとく、チャンバー5は、前述したように平面視で略三角形状を有し、その頂点部側に入口開口部10が設けられるとともに、その頂点部側に対向する一辺部側にノズル2が支持される支持面部6が設けられる。このため、入口開口部10の開口面積は、支持面部6における複数のノズル2が支持される範囲の面積に対して小さいものとなる。このため、チャンバー5において、その支持する各ノズル2に対して配分されるエアの量が不均一となる。具体的には、前述のような略三角形状を有するチャンバー5においては、その支持する複数のノズル2について、次のようなエアの供給量の偏りが生じる。
【0091】
すなわち、チャンバー5の支持面部6において、入口開口部10の正面部分に位置するノズル2に対しては、入口開口部10から流入したエアがそのまま直進することで導かれるため、エアの供給量が比較的多くなる。また、入口開口部10から流入して直進するエアのうち、入口開口部10の正面部分に位置するノズル2に流入しないエアは、支持面部6(のチャンバー5の内部側)に吹き付けられ、左右方向(搬送方向)に分散する。本実施形態の場合、入口開口部10から支持面部6に吹き付けられてから左右方向に分散するエアは、チャンバー5において搬送方向について偏った位置となる入口開口部10が設けられる側と反対側(図2における上側、搬送方向下流側)に主に導かれる。このため、チャンバー5において搬送方向について入口開口部10が設けられる側と反対側に位置するノズル2についても、エアの供給量が比較的多くなる。
したがって、支持面部6に支持される複数のノズル2のうち、前述のようにエアの供給量が比較的多くなるノズル2以外のノズル2、つまり入口開口部10の正面部分に位置するノズル2や、入口開口部10が設けられる側と反対側に位置するノズル2以外のノズル2については、エアの供給量が比較的少なくなる。
【0092】
このように、本実施形態の乾燥装置1においては、省スペース等を目的としてチャンバー5が薄型かつ小容積となるように構成されているため、チャンバー5内のエア圧が均一とならず、支持面部6におけるノズル2の取付け位置によって、各ノズル2に供給されるエアの量にバラツキが生じる。つまり、チャンバー5内のエア圧が均一とならないことから、チャンバー5から各ノズル2に供給されるエアの総量、即ち吹出口3から吹き出されるエアの勢い(出方)に強弱が生じやすい。
【0093】
そこで、このような各ノズル2に対するエアの供給量のバラツキに応じて、チャンバー5から各ノズル2に流入するエアの量が、そのチャンバー5に支持される全てのノズル2について均等になるように、各ノズル2と支持面部6との間に介装される流量調整部材25の開口孔部26の開口面積が調整される。
【0094】
すなわち、支持面部6に支持される複数のノズル2のうち、前述したようにエアの供給量が比較的多くなるノズル2に対して設けられる流量調整部材25の開口孔部26は、その開口面積が比較的小さくなるように調整される(図14において一点鎖線で示す開口孔部26a参照)。
また、支持面部6に支持される複数のノズル2のうち、前述したようにエアの供給量が比較的少なくなるノズル2に対して設けられる流量調整部材25の開口孔部26は、その開口面積が比較的大きくなるように調整される(図14において二点鎖線で示す開口孔部26b参照)。
【0095】
以上のように、各ノズル2と支持面部6との間に流量調整部材25を介装し、その開口孔部26の開口面積の調整によって、チャンバー5とノズル2との間の連通面積を調整することで、前述したようにノズル2内に設けられる整流部材20についての風向板角度の調整を含めた、各ノズル2の吹出口3からのエアの吹出し量についての調整が簡単となる。
【0096】
すなわち、各ノズル2の吹出口3からのエアの吹出し量の調整には、チャンバー5から各ノズル2へのエアの供給量の差の調整と、各ノズル2における吹出口3からの長手方向についてのエアの吹出し量(流量)の差の調整とが含まれる。これらの調整は、ノズル2内に設けられる整流部材20における風向板角度の調整によっても可能である。
【0097】
しかし、各ノズル2の吹出口3からのエアの吹出し量の調整が、各ノズル2の整流部材20における風向板角度の調整のみによって行われる場合、複数のノズル2それぞれの整流部材20における風向板角度が、そのノズル2に供給されるエアの量に応じて調整される必要が生じる。このため、各ノズル2の吹出口3からのエアの吹出し量の調整に際しての作業が煩雑となる。
【0098】
そこで、ノズル2と支持面部6との間に流量調整部材25が介装され、その流量調整部材25が有する開口孔部26の開口面積の調整によって、チャンバー5から各ノズル2に対するエアの供給量が均等とされることで、各ノズル2に設けられる整流部材20における風向板角度の調整の共通化が図れる。つまり、チャンバー5から各ノズル2対するエアの供給量が均等となることで、そのエアの供給量に合わせて、各ノズル2が有する整流部材20の風向板角度を同じように調整することが可能となる。したがって、各ノズル2に対するエアの供給量に応じて、風向板角度が一旦調整された整流部材20については、全ノズル2に対して共通部品として用いることができる。これにより、各ノズル2の吹出口3からのエアの吹出し量の調整に際し、作業内容が簡単となり作業時間が短くなるというメリットが得られる。
【0099】
このように、ノズル2と支持面部6との間に流量調整部材25を介装し、チャンバー5から各ノズル2に対するエアの供給量を調整することで、各ノズル2が有する整流部材20による、各ノズル2の吹出口3からのエアの吹出し量の調整を、より効果的なものとすることができる。
【0100】
以上のように、本実施形態の乾燥装置1においては、チャンバー5から各ノズル2へのエアの供給量については、流量調整部材25によって均一化が図られ、各ノズル2における吹出口3からの長手方向のエアの吹出し量については、整流部材20によって均一化が図られる。
【0101】
続いて、ノズル2における吹出口3の構成について、図15および図16を用いて説明する。
吹出口3は、ノズル2のエアの吹出し側面部31において搬送方向に対向する両辺部に設けられる。
すなわち、本実施形態においては、略柱状に構成されるノズル2は、四角柱状の形状においてその一側面(エアの吹出し側の面)の対向する長手方向の辺部が面取りされたような外形を有する。そして、その面取り形状の部分に挟まれる部分となる平面部が、ノズル2におけるエアの吹出し側面部31となる。この吹出し側面部31における搬送方向に対向する辺部それぞれに、吹出口3が設けられる。したがって、各ノズル2においては、その吹出し側面部31において、搬送方向に対向する平行な二つの吹出口3が、ノズル2の長手方向に沿うように設けられることとなる。
【0102】
吹出口3は、図15に示すように、外側斜面33と内側斜面35とにより形成されるスリット状の開口部である。
外側斜面33は、ノズル2の長手方向(図15において紙面に垂直方向)に平行でありエアの吹出し側(図15において上側)にかけて吹出し側面部31における搬送方向(図15において左右方向)中央側に傾斜する斜面である。内側斜面35は、外側斜面33に対してノズルにおける内側に設けられ外側斜面33に対して平行でありかつ対向する斜面である。これら外側斜面33および内側斜面35が形成されるノズル2の構成について具体的に説明する。
【0103】
図15に示すように、ノズル2は、板状部材により構成され断面視で略U字状(矩形状の一側が開口されたような形状)となる周壁部41と、同じく板状部材により構成され周壁部41の断面視形状である略U字状の開口側(図15において上側)を覆うように設けられる端壁部42とを有する。
【0104】
周壁部41は、その断面視形状である略U字状の両端部、つまり図15において上側端部となる両端部において、内側に折り曲げられた部分として形成される斜面部(以下「外側斜面部」という。)43を有する。つまり、外側斜面部43は、周壁部41の断面視形状である略U字状の両端部において、その先端同士の間隔(図15において左右方向の間隔)が狭まる方向に折り曲げられた部分として形成される。したがって、図15に示すように、対向する一対の外側斜面部43は、ノズル2の断面視において略ハ字状となる。
【0105】
端壁部42は、周壁部41が有する二つの外側斜面部43の間の空間に位置する。端壁部42は、ノズル2がエアを吹き付けることとなる電極シート50のシート面方向と略平行となる水平部44と、この水平部44の搬送方向の両端部に設けられる斜面部(以下「内側斜面部」という。)45とを有する。内側斜面部45は、端壁部42の両端部において、エアの吹出し側と反対側(図15において下側)に折り曲げられた部分として形成される。また、内側斜面部45は、外側斜面部43に対して平行な面部となるように形成される。したがって、対向する一対の内側斜面部45は、外側斜面部43と同様、ノズル2の断面視において略ハ字状となる(図15参照)。
なお、端壁部42は、例えば、その長手方向の両端部がノズル2の長手方向両端側の壁部(開口面部2aおよびその反対側(奥側)の面部)に対して固着されること等により、ノズル2において固定される。
【0106】
このような構成を備えるノズル2において、周壁部41が有する外側斜面部43と、端壁部42が有する内側斜面部45とにより、吹出口3が形成される。すなわち、外側斜面部43により、吹出口3を形成する外側斜面33が形成され、内側斜面部45により、同じく吹出口3を形成する内側斜面35が形成される。具体的には、外側斜面部43の内側面が外側斜面33となり、内側斜面部45の外側面が内側斜面35となる。したがって、ノズル2において両側の吹出口3を形成する外側斜面33同士、および内側斜面35同士は、それぞれ図15に示すノズル2の断面視において略ハ字状となる。
【0107】
このようにして形成されるスリット状の開口部である吹出口3においては、図15に示すように、ノズル2において反吹出し側から整流部材20を介して吹出し側に流れるエアが、吹出し側面部31における搬送方向の中央側に向かう斜め方向に吹き出される。
【0108】
そして、このように構成される吹出口3において、外側斜面33は、内側斜面35よりもエアの吹出し側に延設される案内部36を有する。
本実施形態では、案内部36は、外側斜面33が、内側斜面35のエアの吹出し側の端部位置となる端壁部42の水平部44よりも、エアの吹出し側に延設されることにより構成される。つまり、案内部36は、外側斜面33からその面方向に沿って延出され、水平部44よりもエアの吹出し側に斜め方向に突出する面部となる。そして、外側斜面33は、前記のとおり外側斜面部43により形成されるため、外側斜面33が延出されることで設けられる案内部36は、外側斜面部43において設けられる延設部46により形成される。つまりは、延設部46の内側面が案内部36となる。
【0109】
このように、外側斜面33が案内部36を有することにより、吹出口3から吹き出すエアが、吹出口3を形成する外側斜面33および内側斜面35の方向に沿うように流れることとなるため、吹出口3から吹き出すエアの安定性を向上することができる。これにより、電極シート50の搬送についての安定性をより向上することができる。
外側斜面33が案内部36を有することにより、吹出口3から吹き出すエアが安定することは、次のような原理に基づく。
【0110】
図17に示すように、本実施形態では、チャンバー5は、前述したように平面視で略三角形状を有し、その頂点部側に入口開口部10が設けられるとともに、その頂点部側に対向する一辺部側にノズル2が支持される支持面部6が設けられる。このため、入口開口部10の開口面積は、支持面部6における複数のノズル2が支持される範囲の面積に対して小さいものとなる。また、前述したように、入口開口部10は、チャンバー5において搬送方向の一側(図17において左側)に偏った位置に設けられる。これらのことから、チャンバー5において、その支持する各ノズル2に対して配分されるエアについての流れベクトルが不均一となる。
このため、チャンバー5内から流入口4を介してノズル2内に流入するエアは、ノズル2内で乱流となり、吹出口3から吹き出すエアの流出角度が不安定となる。具体的には、次のとおりとなる。
【0111】
すなわち、図16に示すように、ノズル2の内部から吹出口3を介して吹き出すエアについて、外側斜面33と内側斜面35とに挟まれる領域を助走領域B1とすると、ノズル2内から助走領域B1を通過したエアは、助走領域B1の方向(矢印a1参照)に沿って流れ出るほか、端壁部42の水平部44側に流れ出たり(矢印a2参照)、その反対側となる外側斜面部43側に流れ出ようとしたりする(矢印a3参照)。
つまり、外側斜面33が案内部36を有しない場合、助走領域B1を通過したエアは、助走領域B1の方向に沿うことなく、様々な流出角度で吹き出すこととなる。
【0112】
そこで、前記のとおり外側斜面33が案内部36を有することにより、外側斜面33側に流れ出ようとするエアは遮られる。また、端壁部42の水平部44側に流れ出るエアについては、助走領域B1を通過して端壁部42の水平部44側にエアが流れ出ることにより、案内部36に沿う部分の圧力が低くなり、その部分に低圧領域(図16中、符号B2参照、以下「低圧領域B2」とする。)が生じる。このため、端壁部42の水平部44側に流れ出ようとするエアは、低圧領域B2側に導かれる(引っ張られる)こととなる。
結果として、助走領域B1を通過したエアの流れ出る方向は、助走領域B1の方向(矢印a1参照)に安定することとなる。つまり、吹出口3から吹き出すエアについて、案内部36の方向(外側斜面33および内側斜面35の傾斜方向)に沿わせることが可能となる。
このように、外側斜面33が案内部36を有することにより、吹出口3から吹き出すエアの安定性が向上することとなる。
【0113】
また、上述のようにノズル2においてスリット状の開口部として構成される吹出口3においては、そのスリット状の開口部に対するノズル2の内部からのエアの入口であるスリット入口38の幅寸法が、スリット状の開口部のスリット幅寸法に対して十分な大きさを有することが好ましい。
【0114】
吹出口3について、スリット状の開口部のスリット幅寸法とは、図18において符号C1で示すように、吹出口3を形成する外側斜面33と内側斜面35との間の寸法となる。つまり、吹出口3をスリット状の開口部として形成する外側斜面33と内側斜面35とは、互いに平行でありかつ対向する斜面同士であり、これら外側斜面33と内側斜面35との間の垂直距離が、スリット幅寸法となる。
【0115】
一方、吹出口3について、スリット状の開口部に対するノズル2の内部からのエアの入口であるスリット入口38は、外側斜面部43を含む周壁部41の内側面と、端壁部42が有する内側斜面部45との間に形成されるスリット状の開口部となる。つまり、吹出口3に対するスリット入口38は、ノズル2の内部から、外側斜面33と内側斜面35とにより形成されるスリット状の部分(外側斜面33と内側斜面35とにより挟まれた空間部分)へのエアの流れる経路において、外側斜面33と内側斜面35との間に流れ込む前の、周壁部41と端壁部42の内側斜面部45との間に挟まれた空間部分である。
【0116】
そして、このようなスリット入口38の幅寸法が、吹出口3のスリット幅寸法に対して、十分な大きさを有することが好ましい。
本実施形態では、次のような寸法が、スリット入口38に係る寸法として用いられ、スリット入口38の幅寸法について吹出口3のスリット幅寸法に対する十分な大きさが確保される。
【0117】
すなわち、本実施形態では、スリット入口38に係る寸法として、図18において符号C2で示すように、ノズル2を構成する周壁部41と端壁部42との間の水平方向(図18において左右方向)の寸法が用いられる。具体的には、スリット入口38に係る寸法C2は、周壁部41の外側斜面部43を除く部分における内側面41aと、端壁部42の内側斜面部45の水平方向端部との間の、水平方向の寸法となる。つまり、図18に示す断面視において、端壁部42の内側斜面部45の水平方向端部から内側面41aに対して平行に下ろした直線と、内側面41aとの間の寸法となる。言い換えると、スリット入口38に係る寸法C2は、外側斜面33の外側(図18において左側)端と、内側斜面35の外側端との、水平方向(搬送方向)の距離となる。
【0118】
そして、前記のようなスリット入口38に係る寸法C2について、前述したスリット幅寸法C1の2倍以上の大きさが確保される。したがって、例えば、スリット幅寸法C1が、3mm程度である場合、スリット入口38に係る寸法C2については、6mm程度以上の寸法が確保される。
このように、本実施形態において、スリット入口38に係る寸法C2についてスリット幅寸法C1の2倍以上の寸法が確保されることにより、スリット入口38の幅寸法が、スリット幅寸法C1に対して十分な大きさを有することとなることが、実験等により判っている。
【0119】
以上のように、スリット入口38の幅寸法が、スリット幅寸法C1に対して十分な大きさを有することにより、ノズル2における搬送方向両側(左右両側)の吹出口3の間や、各吹出口3におけるその長手方向について生じる、エアの吹出し量のバラツキを低減することができる。
【0120】
すなわち、ノズル2の内部において、整流部材20を介して吹出口3側に導かれたエアは、スリット入口38を介して、外側斜面33と内側斜面35とにより挟まれた空間部分へと流れ込む。そして、外側斜面33と内側斜面35との間(以下「斜面間」という。)に流れ込んだエアは、その斜面間にて、吹出口3の長手方向について同等の圧力損失となることで、吹出口3からのエアの吹出し量が吹出口3の長手方向について均一となる。つまり、斜面間に流れ込んだエアは、前述した助走領域B1(図16参照)において、圧力損失の大きさが吹出口3の長手方向について揃った状態で吹出口3から吹き出ることとなる。
【0121】
このため、斜面間に流れ込むエアについて十分な流入量が得られない場合、前述のような斜面間におけるエアの圧力損失が揃う作用が得られず、ノズル2における搬送方向両側(左右両側)の吹出口3の間や、各吹出口3におけるその長手方向について、エアの吹出し量のバラツキが生じることとなる。
斜面間に流れ込むエアについて十分な流入量が得られないことに関しては、スリット入口38の幅寸法について十分な大きさが得られないことが原因となる。つまり、スリット入口38の幅寸法が小さいと、ノズル2において周壁部41や端壁部42を構成する部品について、板曲げ等の加工精度、組付精度、各部品の自重、熱歪等の影響により、スリット入口38の幅寸法について十分な大きさが得られない状態が生じる場合がある。かかる場合、斜面間に流れ込むエアについて十分な流入量が得られず、前記のとおりエアの吹出し量のバラツキが生じる。
【0122】
そこで、前述したように、スリット入口38の幅寸法が、スリット幅寸法C1に対して十分な大きさを有することにより、斜面間に流れ込むエアについて十分な流入量が得られる。これにより、斜面間においてエアの圧力損失が揃う作用が得られ、ノズル2における搬送方向両側(左右両側)の吹出口3の間や、各吹出口3におけるその長手方向についての、エアの吹出し量のバラツキが低減する。
【0123】
すなわち、スリット入口38の幅寸法について、スリット幅寸法C1に対する十分な大きさとは、斜面間においてエアの圧力損失が揃う作用が得られるに十分な量のエアが、斜面間に流れ込む程度の大きさとなる。
そして、本実施形態では、スリット入口38の幅寸法が、スリット幅寸法C1に対して十分な大きさを有することが、前述したスリット入口38に係る寸法C2が、スリット幅寸法C1の2倍以上の大きさを有することで確保される。
【0124】
このように、左右の吹出口3の間や各吹出口3におけるその長手方向についてのエアの吹出し量のバラツキが低減することで、ノズル2が有する整流部材20による、吹出口3の長手方向についてのエアの吹出し量の均一化を、より効果的なものとすることができる。
【0125】
以上説明した本実施形態の乾燥装置1においては、その乾燥対象であるシート状基材が電池用の電極シート50であるが、これに限定されるものではない。つまり、シート状基材としては、電極シート50に限られるものではなく、例えば写真フィルム等、乾燥を必要とする材料が塗布される他のシート状基材であってもよい。
また、本実施形態の乾燥装置1においては、シート状基材である電極シート50の搬送方向が水平方向となっているが、これに限定されるものではない。つまり、シート状基材の搬送方向は、例えば鉛直方向(上下方向)であってもよい。この場合、シート状基材にエアを吹き付ける複数のノズルは、シート状基材の両面側にて鉛直方向に間隔を隔てて配設されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の一実施形態に係る乾燥装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】同じく平面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る乾燥装置を模式的に示す正面図。
【図4】同じく側面図。
【図5】ノズルの配設構成を示す斜視図。
【図6】ノズルとチャンバーとの連結構成を示す斜視図。
【図7】ノズルの配設構成を模式的に示す正面図。
【図8】整流部材を示す斜視図。
【図9】同じく平面図。
【図10】同じく側面図。
【図11】ノズルにおけるエアの流速についての説明図。
【図12】同じく整流板を有する場合の説明図。
【図13】流量調整部材の介装位置を示す斜視図。
【図14】ノズルおよび流量調整部材を示す図。
【図15】ノズルの構成を示す断面図。
【図16】図15におけるX部分拡大図。
【図17】ノズルに対するエアの流れ方向を示す説明図。
【図18】吹出口についてのスリット入口の幅寸法とスリット幅寸法との関係を示す説明図。
【図19】従来の乾燥装置におけるノズルの配設構成を示す模式図。
【図20】従来の乾燥装置におけるノズルの配設構成の一例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0127】
1 乾燥装置
2 ノズル
3 吹出口
4 流入口
5 チャンバー
6 支持面部
7 乾燥室
8 エア供給室
9 循環ファン
10 入口開口部
11 入口部
12 出口部
13 排気口
14 隔壁
20 整流部材
22 基部
23 開口部
24 風向板部
25 流量調整部材
26 開口孔部
31 吹出し側面部
33 外側斜面
35 内側斜面
36 案内部
38 スリット入口
50 電極シート(シート状基材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート面方向に沿う所定の搬送方向に搬送される帯状のシート状基材を乾燥対象とし、前記シート状基材にエアを吹き付けることにより、前記シート状基材を乾燥させるシート状基材の乾燥装置であって、
全体として略柱状の部材として構成され、その長手方向に沿うエアの吹出口を有するとともに、同じく長手方向の一端側にエアの流入口を有し、前記シート状基材の両面側にて前記長手方向が前記シート状基材の幅方向となる姿勢で前記搬送方向に間隔を隔てて配設される複数のノズルと、
複数の前記ノズルがその前記流入口側から支持される支持面部を有し、該支持面部に複数の前記ノズルを支持した状態で、その支持する複数の前記ノズルに対して前記流入口を介してエアを供給するチャンバーと、
前記複数のノズルおよび前記チャンバーを収容し、前記シート状基材の搬送を許容する入口部および出口部を有するとともに、前記ノズルから吹き出されたエアの排気口を有する乾燥室と、
前記乾燥室に対して隔壁を介して設けられ、前記チャンバーの入口開口部を介して該チャンバーと連通するとともに、エアの供給口を有するエア供給室と、
前記乾燥室内のエアを吸入するとともにその吸入したエアを前記エア供給室に送入する循環ファンと、
を備えることを特徴とするシート状基材の乾燥装置。
【請求項2】
前記ノズルは、エアの流れにおける前記流入口と前記吹出口との間に整流部材を有し、
前記整流部材は、板状の多孔部材により構成され、エアの流れにおける前記流入口と前記吹出口との間に前記長手方向に沿って配され該長手方向に複数並設される開口部を有する基部と、前記開口部の前記長手方向における前記流入口側に対する奥側の辺部から前記吹出口側の反対側に延設される風向板部とを含み、
前記風向板部は、該風向板部の前記基部に対する前記流入口側の角度が、前記流入口側に位置する前記風向板部から、前記奥側に位置する前記風向板部にかけて、段階的に小さくなるように設けられることを特徴とする請求項1に記載のシート状基材の乾燥装置。
【請求項3】
前記ノズルと前記支持面部との間に介装され、その介装された状態で、前記流入口を覆うとともに、該流入口に連通する開口孔部を有し、前記チャンバーから前記ノズルに対するエアの供給量を調整するための流量調整部材を備え、
前記開口孔部の開口面積が、前記複数のノズル間で、前記ノズルの前記支持面部に対する支持位置に応じて調整されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート状基材の乾燥装置。
【請求項4】
前記吹出口は、
前記ノズルのエアの吹出し側面部において前記搬送方向に対向する両辺部に設けられ、
前記長手方向に平行でありエアの吹出し側にかけて前記吹出し側面部における前記搬送方向中央側に傾斜する斜面である外側斜面と、該外側斜面に対して前記ノズルにおける内側に設けられ該外側斜面に対して平行でありかつ対向する斜面である内側斜面とにより形成されるスリット状の開口部であり、
前記外側斜面は、前記内側斜面よりもエアの吹出し側に延設される案内部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状基材の乾燥装置。
【請求項5】
前記スリット状の開口部に対する前記ノズルの内部からのエアの入口であるスリット入口の幅寸法が、前記スリット状の開口部のスリット幅寸法に対して十分な大きさを有することを特徴とする請求項4に記載のシート状基材の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−225642(P2012−225642A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170190(P2012−170190)
【出願日】平成24年7月31日(2012.7.31)
【分割の表示】特願2007−309036(P2007−309036)の分割
【原出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】