シート状物の穿孔装置および配線基板の製造方法
【課題】シート状物に複数種の貫通孔を形成するに際し、形成すべき貫通孔ごとの位置精度および生産性を高くでき、且つ設備コストの上昇を抑制できるシート状物の穿孔装置などを提供する。
【解決手段】グリーンシート(シート状物)gsを載置するための表面3を有し、該表面3に開口する複数の抜き孔4a,4bを有するダイ2と、該ダイ2に対向して配置され、上記シート状物gsに貫通孔h1,h2を形成し、且つダイ2の抜き孔4a,4bに先端部8、12が進入可能な複数のパンチ6,10と、上記ダイ2の表面3に載置される上記シート状物gsを保持し且つその平面方向に沿って移動させる枠体(移動手段)19と、を備えるシート状物の穿孔装置1であって、複数のパンチ6,10は、グリーンシートgsに第1貫通孔h1を形成する昇降可能な第1パンチ6と、該第1パンチ6とは別の独立した駆動源によって昇降可能し、且つ第2貫通孔h2を形成する第2パンチ10と、からなる、シート状物の穿孔装置1。
【解決手段】グリーンシート(シート状物)gsを載置するための表面3を有し、該表面3に開口する複数の抜き孔4a,4bを有するダイ2と、該ダイ2に対向して配置され、上記シート状物gsに貫通孔h1,h2を形成し、且つダイ2の抜き孔4a,4bに先端部8、12が進入可能な複数のパンチ6,10と、上記ダイ2の表面3に載置される上記シート状物gsを保持し且つその平面方向に沿って移動させる枠体(移動手段)19と、を備えるシート状物の穿孔装置1であって、複数のパンチ6,10は、グリーンシートgsに第1貫通孔h1を形成する昇降可能な第1パンチ6と、該第1パンチ6とは別の独立した駆動源によって昇降可能し、且つ第2貫通孔h2を形成する第2パンチ10と、からなる、シート状物の穿孔装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、セラミックからなるグリーンシートや樹脂からなるフィルムなどのシート状物に複数種の貫通孔を形成する穿孔装置、およびこれを用いた配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリーンシートなどのテープ状物に対し、複数の貫通孔を位置精度良く形成するため、上枠、下枠、該両枠に連結される複数のガイドポストからなる組付構成体、打動駆動源、ストリッパ、パンチ保持型、ダイ保持型、および、そのベースプレートからなる穿孔用金型を、X・Y軸線方向に制御動し、打動駆動源を駆動して、グリッドパターン穿孔方式、あるいはギャングパターン穿孔方式で穿孔加工するテープ状物の多軸穿孔装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記テープ状物の多軸穿孔装置によれば、穿孔加工時の反力を、上枠、下枠、該両枠に連結される複数のガイドポストからなる組付構成体で受圧し、且つ穿孔用金型自体も軽量であるため、穿孔精度が向上し、高速度の制御動が可能となり、テープ状物の穿孔工程の生産性を高めることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−346989号公報(第1〜7頁、図1〜4)
【0004】
ところで、セラミックからなるグリーンシートのようなシート状物に複数種の貫通孔をグリッドパターン穿孔方式で形成する場合、例えば、前側の打ち抜き工程において、パンチとダイからなる第1プレス装置により大きな内径の第1貫通孔(基準孔)を形成した後、該第1貫通孔が形成されたグリーンシートを上記とは異なるパンチとダイからなる第2プレス装置の該ダイ上に移動させ、画像処理を用いて、上記第1貫通孔の位置が穿孔基準位置に一致するまで位置調整を行った後に、第2貫通孔(ビア孔)を形成する後側の打ち抜き工程を施している。そのため、複数のブレス装置を用い、且つシート状物を移動させると共に、該移動の後で画像処理による位置合わせに時間を要するため、形成される貫通孔の位置精度が不安定になり易く、且つ生産性が低下してしまう、という問題があった。
【0005】
一方、シート状物に複数種の貫通孔をギャングパターン穿孔方式で形成する場合には、単一のパンチホルダに形状やサイズが異なる複数種のパンチを予め固定しているので、前記のように貫通孔の位置精度が不安定にならず、生産性も高くなる。しかし、当該ギャングパターン穿孔方式による場合、製品の種類ごとに専用のパンチおよびダイを用いるため、設備コストが著しく高くなる、という問題があった。
更に、例えば、セラミック配線基板では、小型化および高性能化の要請に応じて、大版のグリーンシートの製品エリアごとに比較的小径のビア孔を高密度で複数個形成する必要がある。そのため、前記グリッドパターン穿孔方式では、前記同様の問題点が顕在化し易く、一方、前記ギャングパターン穿孔方式では、複数のパンチを単一のパンチホルダに密集して固定しにくい、という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術において説明した前記問題点を解決し、グリーンシートのようなシート状物に複数種の貫通孔をグリッドパターン穿孔方式で形成するに際し、形成すべき貫通孔ごとの位置精度および生産性を高くでき、且つ設備コストの上昇を抑制できるシート状物の穿孔装置、およびこれを用いた配線基板の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、ダイの表面に位置する同一の加工エリアにおいて、グリーンシートなどのシート状物に対して、複数種の貫通孔を時間差を置いて形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明によるシート状物の穿孔装置(請求項1)は、シート状物を載置するための表面を有し、該表面に開口する複数の抜き孔を有するダイと、該ダイに対向して配置され、上記シート状物に貫通孔を形成し、且つダイの上記抜き孔に先端部が進入可能な複数のパンチと、上記ダイの表面に載置される上記シート状物を保持し且つその平面方向に沿って移動させる移動手段と、を備えるシート状物の穿孔装置であって、上記複数のパンチは、上記シート状物に第1貫通孔を形成する昇降可能な第1パンチと、該第1パンチとは別の独立した駆動源によって昇降可能し、且つ第2貫通孔を形成する複数の第2パンチと、からなる、ことを特徴とする。
【0008】
これによれば、ダイの表面に載置されたシート状物に対し、第1パンチおよびダイの抜き孔によって第1貫通孔が形成できると共に、第2パンチおよびダイにおける残部の抜き孔によって上記第1貫通孔の付近以外の位置に第2貫通孔が形成できる。更に、第1・第2貫通孔が形成された上記シート状物を、移動手段によって該シート状物をその平面方向に沿って移動させた後、上記とは異なる位置に第1貫通孔あるいは第2貫通孔を形成することができる。従って、単一の穿孔装置(プレス装置)によって、シート状物に対し形状およびサイズの少なくとも一方が異なる複数種の貫通孔を、位置精度および生産性を高くして形成できると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0009】
尚、前記シート状物には、例えば、セラミックからなるグリーンシートのほか、樹脂からなるフィルムも含まれる。
また、前記第1パンチと第2パンチとは、径方向の距離が一定に保たれるように、前者は第1ホルダに、後者は第2ホルダに個別に固定されている。換言すると、第1ホルダと第2ホルダとは、平面視において互いの位置が一定である。
更に、前記第1パンチが複数個の場合、当該複数の第1パンチは、同じ(単一の)第1ホルダに固定されている。
また、前記第2パンチが複数個の場合、当該複数の第2パンチは、同じ(単一の)第2ホルダに固定される形態のほか、互いに先端部の形状が異なる複数種の第2パンチの場合には、後述するように、同じ先端部の形状ごとに複数の第2ホルダに分けて固定する形態が用いられる。
更に、第1・第2パンチの前記先端部は、シート状物を貫通し且つダイの抜き孔に進入する剪断刃を先端面の周辺に有している。
また、前記駆動源は、第1・第2ホルダをシート状物の厚み方向に沿って往復運動させるカム、リンク、またはクランク機構、およびこれらを動かすモータ、あるいは流体圧シリンダ(例えばエアシリンダや油圧シリンダ)などである。
加えて、前記移動手段は、例えば、ダイの表面上に配置される前記シート状物の周囲を囲む矩形枠状の枠体が挙げられ、該シート状物の周辺部を保持し、且つダイの表面に沿った往復運動が可能な駆動源(流体圧シリンダ)に連結されている。
【0010】
また、本発明には、前記ダイの上方には、該複数のパンチの先端部を貫通させる複数の通孔を有する昇降可能なストリッパが配置されている、シート状物の穿孔装置(請求項2)も含まれる。
これによれば、第1・第2パンチの先端部をダイの抜き孔に進入させ、ダイの表面に配置されたシート状物に第1・第2貫通孔を形成する際に、該シート状物をストリッパの底面とダイの表面との間で挟持できるため、所望形状の第1・第2貫通孔を精度良く容易に形成できる。しかも、該第1・第2貫通孔を形成した後で、第1・第2パンチの先端部を上記シート状物から離隔する際に、第1・第2貫通孔の周辺部が持ち上がる事態を防げるので、不用意な変形を予防することもできる。
尚、前記ストリッパは、第1パンチおよび第2パンチの少なくとも一方と連動して(即ち、同時または時間的にずらして)昇降する。
【0011】
更に、本発明には、前記第1貫通孔は、前記シート状物における本打ち抜き工程後の加工で用いる基準孔であり、前記第2貫通孔は、上記シート状物の製品用孔である、シート状物の穿孔装置(請求項3)も含まれる。
これによれば、従来のように、前工程側のプレス装置で基準孔を形成したシート状物を、後工程側のプレス装置に移動し、且つ画像処理によって基準孔が穿孔基準位置に一致するまで調整することなく、基準孔と製品用孔とを同一の穿孔装置によって、高い位置精度により効率良く形成することができる。
【0012】
尚、第2パンチによって形成される第2貫通孔(製品用孔)は、前記シート状物が大版用のグリーンシートである場合、その表・裏面間を貫通するビアホール、あるいはキャビティまたはその一部である。
また、前記第1貫通孔は、前記シート状物における前記製品用孔とは異なる種類の製品用孔としても良い。
更に、前記第2パンチは、複数個のパンチで構成され、単一の第2ホルダに固定されている。このため、複数個の第2パンチが単一の第2ホルダに固定されているので、互いに同じ形状の先端部と同じ形状の第2貫通孔(製品用孔)を前記シート状物に対して、位置精度良く同時に形成できるので、生産性を高められる。
【0013】
一方、本発明による配線基板の製造方法(請求項4)は、セラミック配線基板の製造方法であって、前記セラミックとなるグリーンシートをダイの表面上の加工エリアに配置し、第1ホルダに固定された第1パンチを降下し、該第1パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの加工エリアに開口する複数の抜き孔の一部に進入させて、第1貫通孔を形成する第1ステップと、該第1パンチを第1貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第2ステップと、上記ダイの表面上の加工エリアに配置され、且つ第1貫通孔が形成された上記グリーンシートに対し、上記第1ホルダとは独立して駆動される第2ホルダに固定された第2パンチを降下し、該第2パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの上記抜き孔以外の抜き孔に進入させて、第2貫通孔を形成する第3ステップと、上記第2パンチを第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第4ステップと、上記第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートをダイの表面上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップと、を備え、上記第5ステップの後に、上記第3ステップおよび第4ステップを行う、打ち抜き工程を含む、ことを特徴とする。
【0014】
これによれば、前記グリーンシートに対し、第1・第2ステップで第1貫通孔(基準孔)を、第3・第4ステップで第2貫通孔(製品用孔)をそれぞれ形成し、次に該グリーンシートを前記移動手段によってダイの表面上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップを行った後、更に第3・第4ステップによる第2貫通孔の形成が少なくとも1回行われ、上記と異なる位置に第2貫通孔が更に形成される。従って、同じ加工エリアにおいて、第1貫通孔(基準孔)および複数個の第2貫通孔(製品用孔)を、位置精度良く形成できるため、打ち抜き工程の生産性が向上すると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0015】
尚、前記グリーンシートは、多数個取り用の大版サイズのものである。
また、前記第5ステップとその後で行う第3ステップおよび第4ステップとは、少なくとも1回を行うほか、これらを複数回繰り返して行う形態も含まれる。
更に、前記打ち抜き工程にて得られた第1・第2貫通孔が形成されたグリーンシートは、更に別の穿孔装置で異なる製品用孔を形成する後の打ち抜き工程、製品孔や表・裏面の少なくとも一方に導体ペーストを充填あるいは印刷して形成する工程、同様な複数のグリーンシートを積層・圧着し、焼成する工程、および個々のセラミック配線基板に分割する切断・分割工程を経て、複数層のセラミック層からなる複数個の配線基板となる。但し、上記積層工程を省略して、例えば、中継基板のような単層のセラミック層からなるセラミック配線基板としても良い。
【0016】
また、本発明には、前記ダイの加工エリアと第1・第2パンチとの間には、第1・第2パンチの各先端部が個別に通過する複数の通孔を有するストリッパが昇降可能に配置されている、配線基板の製造方法(請求項5)も含まれる。
これによれば、第1・第2パンチの先端部をダイの抜き孔に進入させ、ダイの表面に配置されたグリーンシートに第1・第2貫通孔を形成する第1・第3ステップにおいて、該グリーンシートをストリッパの底面とダイの表面との間で挟持し、第1・第2貫通孔を形状および位置精度良く形成できる。しかも、該第1・第2貫通孔の形成後に、第1・第2パンチの先端部を上記シート状物から離隔する第2・第4ステップにおいて、第1・第2貫通孔の周辺部が持ち上がらなくなるので、グリーンシートの不用意な変形を予防することもできる。
【0017】
更に、本発明には、前記第2パンチは、複数個のパンチから構成され、互いに同じ形状の先端部を有し、前記第3ステップにおいて、前記グリーンシートには互いに同じ形状である複数の第2貫通孔を形成する、配線基板の製造方法(請求項6)も含まれる。
これによれば、前記第3ステップにおいて、複数個の第2パンチが、前記グリーンシートに対して同じ形状の第2貫通孔(製品用孔)を、位置精度良く同時に形成するので、打ち抜き工程の生産性を一層高められる。
尚、前記第3・第4・第5ステップの後、第5・第3・第4ステップのサイクルを複数回繰り返すことで、同じ形状の第2貫通孔(製品用孔、例えばビア孔)を、前記グリーンシートにおける複数の製品エリアごとに、高密度で且つ位置精度良く形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるシート状物の穿孔装置の概略を示す垂直断面図。
【図2】上記装置を用いた配線基板の製造方法の第1ステップを示す概略図。
【図3】図2に続く第1ステップを示す概略図。
【図4】上記第1ステップにて第1貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図5】上記製造方法の第2ステップを示す概略図。
【図6】上記製造方法の第3ステップの前段を示す概略図。
【図7】上記製造方法の第3ステップの後段を示す概略図。
【図8】上記製造方法の第4ステップを示す概略図。
【図9】上記第1ないし第4ステップにより第1・第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図10】上記製造方法の第5ステップを示す概略図。
【図11】上記第5ステップの後で行われる第3ステップを示す概略図。
【図12】上記第1〜第5ステップと、その後に行った複数回の第3・第4ステップにより第1・第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図13】上記各ステップにより異なる第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図14】上記各ステップにより別異な第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態のシート状物の穿孔装置1の概略を示す垂直断面図である。
シート状物の穿孔装置1は、図1に示すように、グリーンシート(シート状物)gsを載置するための表面3を有するダイ2と、該ダイ2の上方にて対向し且つ昇降可能に配置された第1パンチ6および第2パンチ10と、上記ダイ2の上方に昇降可能に配置されたストリッパ14と、上記グリーンシートgsの周辺部を保持し且つその平面(X−Y)方向に沿って移動させる枠体(移動手段)19とを備えている。
尚、上記グリーンシートgsは、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミックの粉末、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックとなるセラミック粉末およびガラス粉末に対し、樹脂バインダや溶剤などを適量ずつ配合したセラミックスラリを、ドクターブレード法によって厚さ約100μmのシート状に成形した後、平面視で長方形となるように切断したものである。
【0020】
ダイ2は、図1に示すように、その表面3の周辺部側に開口し且つ比較的大径である複数(図1の奥行き方向に一対ずつ合計4個)の抜き孔4aと、表面3の中央部側に開口し且つ比較的小径である複数(上記と同様の合計4個)の抜き孔4bとを有し、該抜き孔4a,4bの下方には、これらの内径より大きな内径の逃げ部5が同軸状に形成されている。該逃げ部5は、後述する抜き屑を下方に逃がすものである。上記複数ずつの抜き孔4a,4bを含むダイ2の表面3上には、グリーンシートgsに対し後述する第1・第2貫通孔h1,h2を形成するための加工エリアwaが位置している。
第1パンチ6は、図1に示すように、平面視で矩形枠を呈する第1ホルダ9の底面に垂直に固定され、且つ前記ダイ2の抜き孔4aごとの真上に同数が位置し、円柱形のパンチ本体7と、その底面から同軸に垂下した細い円柱形の先端部8とからなる。このうち、先端部8だけは、後述するストリッパ14の通孔16を貫通し、更に、上記抜き孔4a内に進入可能とされている。
尚、第1ホルダ9は、例えば、カム機構およびこれを動かすモータ(何れも図示せず:駆動源)によって、ダイ2の表面3に対し接近および離隔するように昇降可能とされており、これと共に4個の第1パンチ6が昇降可能とされている。
【0021】
第2パンチ10は、第1ホルダ9の内側9aにおいて平面視で矩形を呈する第2ホルダ13の底面に垂直に固定され、且つ前記ダイ2の抜き孔4bごとの真上に同数が位置し、円柱形のパンチ本体11と、その底面から同軸に垂下した細い円柱形の先端部12とからなる。このうち、先端部12だけは、次述するストリッパ14の通孔18を貫通し、更に、上記抜き孔4b内に進入可能とされている。第2ホルダ13は、第1ホルダ9とは別の独立した前記同様の駆動源によって、ダイ2の表面3に対し接近および離隔するように昇降可能とされており、これと共に4個の第2パンチ10が昇降可能とされている。
尚、第1・第2パンチ6,10の先端部8,12は、それぞれ底面の周辺部に沿って円形の剪断刃を有し、第2パンチ10の先端部12は、第1パンチ6の先端部8よりも細径である。また、第1パンチ6と第2パンチ10とは、第1・第2ホルダ9,13が図1で上下方向にのみ移動(昇降)可能とされているため、互いの径(水平)方向における間隔は一定である。
【0022】
ストリッパ14は、図1に示すように、ダイ2の表面3の上方において、別の駆動源によって昇降可能に配置された平面視が矩形のプレート15からなり、該プレート15の底面17側で且つ前記第1パンチ6ごとの真下に位置し、それらの先端部8のみを貫通させる複数(4個)の通孔16と、同じく底面17側で且つ前記第2パンチ10ごとの真下に位置し、それらの先端部12のみを貫通させる複数(4個)の通孔18と、を備えている。該通孔16,18の上側には、これらと同軸で且つこれらよりも大径の太径部16a,18aが連通し、第1・第2パンチ6,10の先端部8,12の基部側、およびパンチ本体7,11の先端側を受け入れ可能としている。
尚、上記プレート15の底面(外形)17は、第1ホルダ9の外形および前記加工エリアwaとほぼ同じであり、且つダイ2の表面3よりも狭い。
更に、枠体19は、平面視が矩形の枠形状を呈し、前記グリーンシートgsの周辺部を保持(固定)すると共に、図示しない流体圧シリンダやモータなどの駆動源に連結されている。そのため、枠体19は、後述するように、上記グリーンシートgsをその平面方向およびダイ2の表面3に沿って移動させることができる。
【0023】
前記のような構成からなる本発明の穿孔装置1の使用方法を、以下のような配線基板の製造方法によって説明する。
先ず、図2に示すように、ダイ2の表面3上に、周辺部が枠体19に保持されたグリーンシート(シート状物)gsを配置した後、図2中で垂直の矢印で示すように、ストリッパ14を第1・第2パンチ6,10と共に下降させて、該ストリッパ14の底面17をグリーンシートgsの表面に接触させた。その結果、グリーンシートgsは、ストリッパ14の底面17とダイ2の表面3との間に挟まれた状態で拘束された。この際、第1・第2パンチ6,10ごとの先端部8,12の先端側は、ストリッパ14の通孔16,18内に留まっていた。
【0024】
次に、図3中の矢印で示すように、前記状態から第1ホルダ9と共に4個の第1パンチ6を下降し、それらの先端部8をストリッパ14の通孔16およびグリーンシートgsに貫通させ、更にダイ2の抜き孔4a内に進入させた。その結果、先端部8が貫通したグリーンシートgsの位置には、断面円形で比較的大径の第1貫通孔h1が形成された(第1ステップS1)。この際、第1パンチ6のパンチ本体7の底面は、太径部16a内に留まっていた。また、第2パンチ10ごとの先端部12は、ストリッパ14の通孔18内で停止していた。尚、上記第1ステップS1において、第1パンチ6を降下させた際に、第2パンチ10が若干上昇するように第2ホルダ13を駆動・制御しても良い。
【0025】
上記のような第1ステップS1によって、図4に示すように、4個の第1パンチ6ごとの上記先端部8が貫通したグリーンシートgsの周辺部には、断面円形で比較的大径の4個の第1貫通孔(基準孔)h1が形成された。
尚、第1貫通孔h1の内径は、約300μm〜5mmである。また、第1パンチ6の先端部8がグリーンシートgsから打ち抜いた抜き屑は、ダイ2の各逃げ部5から下方に排出されていた。更に、図4の平面図で示すグリーンシートgsの中央部には、破線で示す切断予定面(仮想面)cfに囲まれ、追ってセラミック配線基板のセラミック層となり、平面視がほぼ正方形を呈する4個の製品エリアpaが位置しており、それらの一辺の長さは約2〜3mmである。
【0026】
更に、図5中の矢印で示すように、先に第1パンチ6をホルダ9と共に上昇させ、先端部8をストリッパ14aの通孔16内に復帰させた後、ストリッパ14、第1・第2ホルダ6,10を第1・第2ホルダ9,13と共に上昇させた。その結果、第1パンチ6およびストリッパ14は、4個の第1貫通孔h1が形成されたグリーンシートgsから離隔した(第2ステップS2)。尚、前記第1ステップS1で、予め第2パンチ10および第2ホルダ13を若干上昇させていた場合には、これらに対する上記の上昇操作を省略しても良い。
次いで、図6中の矢印で示すように、前記同様にストリッパ14を第1・第2パンチ6,10と共に下降させ、該ストリッパ14の底面17をグリーンシートgsの表面に接触させて、グリーンシートgsをストリッパ14の底面17とダイ2の表面3との間に挟んで拘束した。この際も、第1・第2パンチ6,10の先端部8,12の先端側は、ストリッパ14の通孔16,18内に留まっていた。
【0027】
引き続いて、図7中の矢印で示すように、前記状態から第2ホルダ13と共に4個の第2パンチ10を下降し、それらの先端部12をストリッパ14の通孔18およびグリーンシートgsに貫通させ、更にダイ2の抜き孔4b内に進入させた。その結果、先端部12が貫通したグリーンシートgsの位置には、断面円形で比較的小径の第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2が形成された(第3ステップS3)。この際、ポンチ本体11の底面は、太径部18a内に留まっていた。また、第1パンチ6ごとの先端部8は、ストリッパ14の通孔16内で停止していた。尚、第2貫通孔h2の内径は、約80〜300μmである。
更に、図8中の矢印で示すように、先に第2パンチ10をホルダ13と共に上昇させ、先端部12をストリッパ14の通孔18内に復帰させた後、ストリッパ14、第1・第2パンチ6,10を第1・第2ホルダ9,13と共に上昇させた。その結果、第2パンチ10およびストリッパ14は、新たに4個の第2貫通孔h2が形成されたグリーンシートgsから離隔した(第4ステップS4)。
【0028】
前記のような第3ステップS3によって、図9の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの右上側に、第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2が1個ずつ形成された。
次に、図10中の水平な矢印(イ)で示すように、グリーンシートgsを枠体19と共に図示で右側に移動させた(第5ステップS5)。尚、この移動距離は、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとにおいて、前記第2貫通孔h2とその左側に隣接して新たに形成すべき第2貫通孔h2とのピッチと一致していた。
次いで、前記同様にグリーンシートgsをストリッパ14とダイ2との間に挟んだ後、図11中の矢印で示すように、第2ホルダ13と共に4個の第2パンチ10を下降し、それらの先端部12だけをストリッパ14aの通孔18およびグリーンシートgsに貫通させ、更にダイ2の抜き孔4b内に進入させた。その結果、先端部12が貫通したグリーンシートgsの新たな位置にも第2貫通孔(製品用孔)h2が形成された(第3ステップS3)。
【0029】
更に、前記同様に第2パンチ10をホルダ13と共に上昇させた後、ストリッパ14、第1・第2ホルダ6,10を第1・第2ホルダ9,13と共に上昇させ、第2パンチ10およびストリッパ14を、4個の新たな第2貫通孔h2が形成されたグリーンシートgsから離隔した(第4ステップS4)。
その結果、図12の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの左上側に、新たな第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2が形成された。尚、前記第5ステップS5によってグリーンシートgsを右側に移動(イ)させたので、第2パンチ10は、図12中の実線の矢印で示すように、グリーンシートgsに対して相対的に左側に移動していた。
【0030】
引き続いて、前記同様に、グリーンシートgsを枠体19と共に図12で上側に移動(ロ)させる第5ステップS5を行った後、前記同様の第3ステップS3および第4ステップS4を行った。その結果、図12の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの左下側に、新たな第2貫通孔(ビア孔)h2が形成された。尚、上記第5ステップS5によってグリーンシートgsを上側に移動(ロ)させた結果、第2パンチ10は、図12中の一点鎖線の矢印で示すように、グリーンシートgsに対して相対的に下側に移動していた。
そして、前記同様に、グリーンシートgsを枠体19と共に図12で左側に移動(ハ)させる第5ステップS5を行った後、前記同様の第3ステップS3および第4ステップS4を行った。その結果、図12の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの右下側に、新たな第2貫通孔(ビア孔)h2が形成された。尚、上記第5ステップS5によってグリーンシートgsを上側に移動(ハ)させた結果、第2パンチ10は、図12中の破線の矢印で示すように、グリーンシートgsに対して相対的に右側に移動していた。
【0031】
前記穿孔装置1を用いて以上のような各ステップS1〜S4を行った後,更にステップS5,S3,S4を3回繰り返した結果、図12に示すように、グリーンシートgsの周辺部には、4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成でき、且つ該グリーンシートgsの各製品エリアpaごとには、平面視で正方形の各コーナ側ごとの位置に4個の第2貫通孔(ビア孔)h2を形成することができた。
【0032】
また、前記穿孔装置1および別のグリーンシートgsを用いて、図13の平面図で示すように、前記同様の第1・第2ステップS1〜S4を行って、グリーンシートgsの周辺部に4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成し、且つ各製品エリアpaごとの右上側に第2貫通孔(ビア孔)h2を形成した後、前記枠体19と共に該グリーンシートgsを図13中の矢印イで示す右側に移動させる第5ステップを行い、更に前記同様の第3・第4ステップS3,S4を行った。引き続いて、グリーンシートgsを図13中の矢印ロで示す上側に移動させる第5ステップを行った後、第3・第4ステップS3,S4を行い、更に図13中の矢印ハ、ニ、ホで示す方向に順次移動させる第5ステップと、これらの後ごとに第3・第4ステップS3,S4を複数回行った。
その結果、図13に示すように、グリーンシートgsの周辺部には、4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成でき、且つ該グリーンシートgsの製品エリアpaごとには、平面視で縦・横に4個ずつ合計16個の第2貫通孔(ビア孔)h2を格子状の配置にして形成することもできた。
尚、図13のグリーンシートgsの各製品エリアpa内において、隣接する第2貫通孔h2,h2間の間隔(ピッチ)は、約150μm〜1mmである。
【0033】
更に、前記穿孔装置1および別のグリーンシートgsを用いて、図14の平面図で示すように、前記同様の第1・第2ステップS1〜S4を行って、グリーンシートgsの周辺部に4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成し、且つ各製品エリアpaごとの右上側に第2貫通孔(ビア孔)h2を形成した後、前記枠体19と共に該グリーンシートgsを図14中の矢印イで示す右上側に移動させる第5ステップを行い、更に前記同様の第3・第4ステップS3,S4を行った。引き続いて、グリーンシートgsを図14中の矢印ロで示す右上側に移動させる第5ステップを行った後、第3・第4ステップS3,S4を行い、更に図14中の矢印ハで示す右上に順次移動させる第5ステップと、第3・第4ステップS3,S4とを行った。この間において、第2パンチ10は、グリーンシートgsに対して相対的に左下側に順次移動した。
その結果、図14に示すように、グリーンシートgsの周辺部には、4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成でき、且つ該グリーンシートgsの各製品エリアpaごとには、平面視で右上側から左下側に沿って斜めに3個のずつ合計12個の第2貫通孔(ビア孔)h2を対角線状にして形成することもできた。
【0034】
前記のようなグリーンシート(シート状物)gsの穿孔装置1によれば、ダイ2の表面3に配置されたグリーンシートgsに対し、第1パンチ6およびダイ2の抜き孔4aによって第1貫通孔h1が形成できると共に、第2パンチ10およびダイ2の抜き孔4bによって上記第1貫通孔h1の付近以外の位置に第2貫通孔h2が形成できる。更に、第1・第2貫通孔h1,h2が形成された上記グリーンシートgsを、移動手段の枠体19によってその平面方向に沿って移動させた後、上記とは異なる位置に新たな第2貫通孔h2を形成することができる。更に、第2パンチ10は、複数個であるため、グリーンシートgsの製品エリアpaごとに対し、同時に第1貫通孔h1を1個ずつ形成することができる。しかも、ダイ2の表面3上の同じ加工エリアwaにおいて、上記第1・第2貫通孔h1,h2を形成することができる。従って、単一の穿孔装置(プレス装置)1によって、同じグリーンシートgsに対し内径が異なる複数種の貫通孔h1,h2を、位置精度および生産性を高くして形成できると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0035】
一方、前記のような穿孔装置1を用いた配線基板の製造方法によれば、前記グリーンシートgsに対し、第1・第2ステップS1,S2で第1貫通孔(基準孔)h1を、第3・第4ステップS3,S4で第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2をそれぞれ形成し、該グリーンシートgsを前記枠体(移動手段)19によってダイ2の表面3上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップS5を行った後、更に第3・第4ステップS3,S4を少なくとも1回行ない、上記と異なる位置に第2貫通孔h2を形成できる。従って、同じ加工エリアwaにおいて、複数個の第1貫通孔(基準孔)h1および複数個の第2貫通孔(ビア孔)h2を、形状および位置精度を良く形成できるため、生産性が向上すると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0036】
尚、前記第1貫通孔h1は、グリーンシートgsの周辺部に限らず、グリーンシートgsにおいて互い離隔する製品エリアpa,pa間で且つ該グリーンシートgsの中央側の位置に形成しても良い。
また、前記ステップS1〜S5からなる打ち抜き工程により、第1貫通孔h1および所要数の第2貫通孔h2が形成されたグリーンシートgsは、更に後の打ち抜き工程で貫通孔(製品用孔)を形成する際に、第1貫通孔(基準孔)h1を穿孔位置基準(X−Y方向の原点)として、打ち抜かれる。
更に、第1・第2貫通孔h1,h2が形成されたグリーンシートgsは、第2貫通孔(ビア孔)h2に導電性ペーストが充填され、且つ表面および裏面の少なくとも一方に導電性ペーストが所定パターンで印刷・形成される。該導電性ペーストの充填・印刷されたグリーンシートgsは、同様のグリーンシートgsと積層・圧着され、更に焼成された後、前記切断予定面cfに沿って、個々のセラミック配線基板に切断・分割される。これにより、本発明によるセラミック配線基板が製造される。
【0037】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記穿孔装置1において、前記ストリッパ14を省略することも可能である。
また、前記グリーンシートgsは、一方のコイルから巻き返した長尺なシートとし、所定長さごとに前記枠体19を取り付けて、前記穿孔装置1による打ち抜き工程を送り方向に沿って順次行うようにしても良い。
更に、前記セラミック配線基板には、複数のセラミック層を積層する多層セラミック基板に限らず、単層のセラミック層からなる中継基板、あるいは、表面または裏面の少なくとも一方に樹脂絶縁層を積層するセラミックコア基板も含まれ、追って該セラミックコア基板となるグリーンシートgsに形成する第2貫通孔(製品用孔)は、スルーホールである。
加えて、前記穿孔装置1の対象となるシート状物は、樹脂製のフィルムとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の穿孔装置は、セラミックのグリーンシートや樹脂製のフィルムに対し、複数種の貫通孔を位置精度および効率良く形成することが可能であり、該穿孔装置を使用するセラミック配線基板の製造方法は、グリーンシートに複数種の貫通孔を同じ加工エリアにおいて精度および効率良く形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1……………シート状物の穿孔装置
2……………ダイ
3……………表面
4a,4b…抜き孔
6……………第1パンチ
8,12……先端部
9……………第1ホルダ
10…………第2パンチ
13…………第2ホルダ
14…………ストリッパ
16,18…通孔
19…………枠体(移動手段)
gs…………グリーンシート(シート状物)
wa…………加工エリア
h1…………基準孔(第1貫通孔)
h2…………製品用孔(第2貫通孔)
S1〜S5…第1〜第5ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、セラミックからなるグリーンシートや樹脂からなるフィルムなどのシート状物に複数種の貫通孔を形成する穿孔装置、およびこれを用いた配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グリーンシートなどのテープ状物に対し、複数の貫通孔を位置精度良く形成するため、上枠、下枠、該両枠に連結される複数のガイドポストからなる組付構成体、打動駆動源、ストリッパ、パンチ保持型、ダイ保持型、および、そのベースプレートからなる穿孔用金型を、X・Y軸線方向に制御動し、打動駆動源を駆動して、グリッドパターン穿孔方式、あるいはギャングパターン穿孔方式で穿孔加工するテープ状物の多軸穿孔装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記テープ状物の多軸穿孔装置によれば、穿孔加工時の反力を、上枠、下枠、該両枠に連結される複数のガイドポストからなる組付構成体で受圧し、且つ穿孔用金型自体も軽量であるため、穿孔精度が向上し、高速度の制御動が可能となり、テープ状物の穿孔工程の生産性を高めることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−346989号公報(第1〜7頁、図1〜4)
【0004】
ところで、セラミックからなるグリーンシートのようなシート状物に複数種の貫通孔をグリッドパターン穿孔方式で形成する場合、例えば、前側の打ち抜き工程において、パンチとダイからなる第1プレス装置により大きな内径の第1貫通孔(基準孔)を形成した後、該第1貫通孔が形成されたグリーンシートを上記とは異なるパンチとダイからなる第2プレス装置の該ダイ上に移動させ、画像処理を用いて、上記第1貫通孔の位置が穿孔基準位置に一致するまで位置調整を行った後に、第2貫通孔(ビア孔)を形成する後側の打ち抜き工程を施している。そのため、複数のブレス装置を用い、且つシート状物を移動させると共に、該移動の後で画像処理による位置合わせに時間を要するため、形成される貫通孔の位置精度が不安定になり易く、且つ生産性が低下してしまう、という問題があった。
【0005】
一方、シート状物に複数種の貫通孔をギャングパターン穿孔方式で形成する場合には、単一のパンチホルダに形状やサイズが異なる複数種のパンチを予め固定しているので、前記のように貫通孔の位置精度が不安定にならず、生産性も高くなる。しかし、当該ギャングパターン穿孔方式による場合、製品の種類ごとに専用のパンチおよびダイを用いるため、設備コストが著しく高くなる、という問題があった。
更に、例えば、セラミック配線基板では、小型化および高性能化の要請に応じて、大版のグリーンシートの製品エリアごとに比較的小径のビア孔を高密度で複数個形成する必要がある。そのため、前記グリッドパターン穿孔方式では、前記同様の問題点が顕在化し易く、一方、前記ギャングパターン穿孔方式では、複数のパンチを単一のパンチホルダに密集して固定しにくい、という問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、背景技術において説明した前記問題点を解決し、グリーンシートのようなシート状物に複数種の貫通孔をグリッドパターン穿孔方式で形成するに際し、形成すべき貫通孔ごとの位置精度および生産性を高くでき、且つ設備コストの上昇を抑制できるシート状物の穿孔装置、およびこれを用いた配線基板の製造方法を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、ダイの表面に位置する同一の加工エリアにおいて、グリーンシートなどのシート状物に対して、複数種の貫通孔を時間差を置いて形成する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明によるシート状物の穿孔装置(請求項1)は、シート状物を載置するための表面を有し、該表面に開口する複数の抜き孔を有するダイと、該ダイに対向して配置され、上記シート状物に貫通孔を形成し、且つダイの上記抜き孔に先端部が進入可能な複数のパンチと、上記ダイの表面に載置される上記シート状物を保持し且つその平面方向に沿って移動させる移動手段と、を備えるシート状物の穿孔装置であって、上記複数のパンチは、上記シート状物に第1貫通孔を形成する昇降可能な第1パンチと、該第1パンチとは別の独立した駆動源によって昇降可能し、且つ第2貫通孔を形成する複数の第2パンチと、からなる、ことを特徴とする。
【0008】
これによれば、ダイの表面に載置されたシート状物に対し、第1パンチおよびダイの抜き孔によって第1貫通孔が形成できると共に、第2パンチおよびダイにおける残部の抜き孔によって上記第1貫通孔の付近以外の位置に第2貫通孔が形成できる。更に、第1・第2貫通孔が形成された上記シート状物を、移動手段によって該シート状物をその平面方向に沿って移動させた後、上記とは異なる位置に第1貫通孔あるいは第2貫通孔を形成することができる。従って、単一の穿孔装置(プレス装置)によって、シート状物に対し形状およびサイズの少なくとも一方が異なる複数種の貫通孔を、位置精度および生産性を高くして形成できると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0009】
尚、前記シート状物には、例えば、セラミックからなるグリーンシートのほか、樹脂からなるフィルムも含まれる。
また、前記第1パンチと第2パンチとは、径方向の距離が一定に保たれるように、前者は第1ホルダに、後者は第2ホルダに個別に固定されている。換言すると、第1ホルダと第2ホルダとは、平面視において互いの位置が一定である。
更に、前記第1パンチが複数個の場合、当該複数の第1パンチは、同じ(単一の)第1ホルダに固定されている。
また、前記第2パンチが複数個の場合、当該複数の第2パンチは、同じ(単一の)第2ホルダに固定される形態のほか、互いに先端部の形状が異なる複数種の第2パンチの場合には、後述するように、同じ先端部の形状ごとに複数の第2ホルダに分けて固定する形態が用いられる。
更に、第1・第2パンチの前記先端部は、シート状物を貫通し且つダイの抜き孔に進入する剪断刃を先端面の周辺に有している。
また、前記駆動源は、第1・第2ホルダをシート状物の厚み方向に沿って往復運動させるカム、リンク、またはクランク機構、およびこれらを動かすモータ、あるいは流体圧シリンダ(例えばエアシリンダや油圧シリンダ)などである。
加えて、前記移動手段は、例えば、ダイの表面上に配置される前記シート状物の周囲を囲む矩形枠状の枠体が挙げられ、該シート状物の周辺部を保持し、且つダイの表面に沿った往復運動が可能な駆動源(流体圧シリンダ)に連結されている。
【0010】
また、本発明には、前記ダイの上方には、該複数のパンチの先端部を貫通させる複数の通孔を有する昇降可能なストリッパが配置されている、シート状物の穿孔装置(請求項2)も含まれる。
これによれば、第1・第2パンチの先端部をダイの抜き孔に進入させ、ダイの表面に配置されたシート状物に第1・第2貫通孔を形成する際に、該シート状物をストリッパの底面とダイの表面との間で挟持できるため、所望形状の第1・第2貫通孔を精度良く容易に形成できる。しかも、該第1・第2貫通孔を形成した後で、第1・第2パンチの先端部を上記シート状物から離隔する際に、第1・第2貫通孔の周辺部が持ち上がる事態を防げるので、不用意な変形を予防することもできる。
尚、前記ストリッパは、第1パンチおよび第2パンチの少なくとも一方と連動して(即ち、同時または時間的にずらして)昇降する。
【0011】
更に、本発明には、前記第1貫通孔は、前記シート状物における本打ち抜き工程後の加工で用いる基準孔であり、前記第2貫通孔は、上記シート状物の製品用孔である、シート状物の穿孔装置(請求項3)も含まれる。
これによれば、従来のように、前工程側のプレス装置で基準孔を形成したシート状物を、後工程側のプレス装置に移動し、且つ画像処理によって基準孔が穿孔基準位置に一致するまで調整することなく、基準孔と製品用孔とを同一の穿孔装置によって、高い位置精度により効率良く形成することができる。
【0012】
尚、第2パンチによって形成される第2貫通孔(製品用孔)は、前記シート状物が大版用のグリーンシートである場合、その表・裏面間を貫通するビアホール、あるいはキャビティまたはその一部である。
また、前記第1貫通孔は、前記シート状物における前記製品用孔とは異なる種類の製品用孔としても良い。
更に、前記第2パンチは、複数個のパンチで構成され、単一の第2ホルダに固定されている。このため、複数個の第2パンチが単一の第2ホルダに固定されているので、互いに同じ形状の先端部と同じ形状の第2貫通孔(製品用孔)を前記シート状物に対して、位置精度良く同時に形成できるので、生産性を高められる。
【0013】
一方、本発明による配線基板の製造方法(請求項4)は、セラミック配線基板の製造方法であって、前記セラミックとなるグリーンシートをダイの表面上の加工エリアに配置し、第1ホルダに固定された第1パンチを降下し、該第1パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの加工エリアに開口する複数の抜き孔の一部に進入させて、第1貫通孔を形成する第1ステップと、該第1パンチを第1貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第2ステップと、上記ダイの表面上の加工エリアに配置され、且つ第1貫通孔が形成された上記グリーンシートに対し、上記第1ホルダとは独立して駆動される第2ホルダに固定された第2パンチを降下し、該第2パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの上記抜き孔以外の抜き孔に進入させて、第2貫通孔を形成する第3ステップと、上記第2パンチを第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第4ステップと、上記第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートをダイの表面上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップと、を備え、上記第5ステップの後に、上記第3ステップおよび第4ステップを行う、打ち抜き工程を含む、ことを特徴とする。
【0014】
これによれば、前記グリーンシートに対し、第1・第2ステップで第1貫通孔(基準孔)を、第3・第4ステップで第2貫通孔(製品用孔)をそれぞれ形成し、次に該グリーンシートを前記移動手段によってダイの表面上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップを行った後、更に第3・第4ステップによる第2貫通孔の形成が少なくとも1回行われ、上記と異なる位置に第2貫通孔が更に形成される。従って、同じ加工エリアにおいて、第1貫通孔(基準孔)および複数個の第2貫通孔(製品用孔)を、位置精度良く形成できるため、打ち抜き工程の生産性が向上すると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0015】
尚、前記グリーンシートは、多数個取り用の大版サイズのものである。
また、前記第5ステップとその後で行う第3ステップおよび第4ステップとは、少なくとも1回を行うほか、これらを複数回繰り返して行う形態も含まれる。
更に、前記打ち抜き工程にて得られた第1・第2貫通孔が形成されたグリーンシートは、更に別の穿孔装置で異なる製品用孔を形成する後の打ち抜き工程、製品孔や表・裏面の少なくとも一方に導体ペーストを充填あるいは印刷して形成する工程、同様な複数のグリーンシートを積層・圧着し、焼成する工程、および個々のセラミック配線基板に分割する切断・分割工程を経て、複数層のセラミック層からなる複数個の配線基板となる。但し、上記積層工程を省略して、例えば、中継基板のような単層のセラミック層からなるセラミック配線基板としても良い。
【0016】
また、本発明には、前記ダイの加工エリアと第1・第2パンチとの間には、第1・第2パンチの各先端部が個別に通過する複数の通孔を有するストリッパが昇降可能に配置されている、配線基板の製造方法(請求項5)も含まれる。
これによれば、第1・第2パンチの先端部をダイの抜き孔に進入させ、ダイの表面に配置されたグリーンシートに第1・第2貫通孔を形成する第1・第3ステップにおいて、該グリーンシートをストリッパの底面とダイの表面との間で挟持し、第1・第2貫通孔を形状および位置精度良く形成できる。しかも、該第1・第2貫通孔の形成後に、第1・第2パンチの先端部を上記シート状物から離隔する第2・第4ステップにおいて、第1・第2貫通孔の周辺部が持ち上がらなくなるので、グリーンシートの不用意な変形を予防することもできる。
【0017】
更に、本発明には、前記第2パンチは、複数個のパンチから構成され、互いに同じ形状の先端部を有し、前記第3ステップにおいて、前記グリーンシートには互いに同じ形状である複数の第2貫通孔を形成する、配線基板の製造方法(請求項6)も含まれる。
これによれば、前記第3ステップにおいて、複数個の第2パンチが、前記グリーンシートに対して同じ形状の第2貫通孔(製品用孔)を、位置精度良く同時に形成するので、打ち抜き工程の生産性を一層高められる。
尚、前記第3・第4・第5ステップの後、第5・第3・第4ステップのサイクルを複数回繰り返すことで、同じ形状の第2貫通孔(製品用孔、例えばビア孔)を、前記グリーンシートにおける複数の製品エリアごとに、高密度で且つ位置精度良く形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるシート状物の穿孔装置の概略を示す垂直断面図。
【図2】上記装置を用いた配線基板の製造方法の第1ステップを示す概略図。
【図3】図2に続く第1ステップを示す概略図。
【図4】上記第1ステップにて第1貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図5】上記製造方法の第2ステップを示す概略図。
【図6】上記製造方法の第3ステップの前段を示す概略図。
【図7】上記製造方法の第3ステップの後段を示す概略図。
【図8】上記製造方法の第4ステップを示す概略図。
【図9】上記第1ないし第4ステップにより第1・第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図10】上記製造方法の第5ステップを示す概略図。
【図11】上記第5ステップの後で行われる第3ステップを示す概略図。
【図12】上記第1〜第5ステップと、その後に行った複数回の第3・第4ステップにより第1・第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図13】上記各ステップにより異なる第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【図14】上記各ステップにより別異な第2貫通孔が形成されたシート状物の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による一形態のシート状物の穿孔装置1の概略を示す垂直断面図である。
シート状物の穿孔装置1は、図1に示すように、グリーンシート(シート状物)gsを載置するための表面3を有するダイ2と、該ダイ2の上方にて対向し且つ昇降可能に配置された第1パンチ6および第2パンチ10と、上記ダイ2の上方に昇降可能に配置されたストリッパ14と、上記グリーンシートgsの周辺部を保持し且つその平面(X−Y)方向に沿って移動させる枠体(移動手段)19とを備えている。
尚、上記グリーンシートgsは、例えば、アルミナなどの高温焼成セラミックの粉末、あるいは低温焼成セラミックの一種であるガラス−セラミックとなるセラミック粉末およびガラス粉末に対し、樹脂バインダや溶剤などを適量ずつ配合したセラミックスラリを、ドクターブレード法によって厚さ約100μmのシート状に成形した後、平面視で長方形となるように切断したものである。
【0020】
ダイ2は、図1に示すように、その表面3の周辺部側に開口し且つ比較的大径である複数(図1の奥行き方向に一対ずつ合計4個)の抜き孔4aと、表面3の中央部側に開口し且つ比較的小径である複数(上記と同様の合計4個)の抜き孔4bとを有し、該抜き孔4a,4bの下方には、これらの内径より大きな内径の逃げ部5が同軸状に形成されている。該逃げ部5は、後述する抜き屑を下方に逃がすものである。上記複数ずつの抜き孔4a,4bを含むダイ2の表面3上には、グリーンシートgsに対し後述する第1・第2貫通孔h1,h2を形成するための加工エリアwaが位置している。
第1パンチ6は、図1に示すように、平面視で矩形枠を呈する第1ホルダ9の底面に垂直に固定され、且つ前記ダイ2の抜き孔4aごとの真上に同数が位置し、円柱形のパンチ本体7と、その底面から同軸に垂下した細い円柱形の先端部8とからなる。このうち、先端部8だけは、後述するストリッパ14の通孔16を貫通し、更に、上記抜き孔4a内に進入可能とされている。
尚、第1ホルダ9は、例えば、カム機構およびこれを動かすモータ(何れも図示せず:駆動源)によって、ダイ2の表面3に対し接近および離隔するように昇降可能とされており、これと共に4個の第1パンチ6が昇降可能とされている。
【0021】
第2パンチ10は、第1ホルダ9の内側9aにおいて平面視で矩形を呈する第2ホルダ13の底面に垂直に固定され、且つ前記ダイ2の抜き孔4bごとの真上に同数が位置し、円柱形のパンチ本体11と、その底面から同軸に垂下した細い円柱形の先端部12とからなる。このうち、先端部12だけは、次述するストリッパ14の通孔18を貫通し、更に、上記抜き孔4b内に進入可能とされている。第2ホルダ13は、第1ホルダ9とは別の独立した前記同様の駆動源によって、ダイ2の表面3に対し接近および離隔するように昇降可能とされており、これと共に4個の第2パンチ10が昇降可能とされている。
尚、第1・第2パンチ6,10の先端部8,12は、それぞれ底面の周辺部に沿って円形の剪断刃を有し、第2パンチ10の先端部12は、第1パンチ6の先端部8よりも細径である。また、第1パンチ6と第2パンチ10とは、第1・第2ホルダ9,13が図1で上下方向にのみ移動(昇降)可能とされているため、互いの径(水平)方向における間隔は一定である。
【0022】
ストリッパ14は、図1に示すように、ダイ2の表面3の上方において、別の駆動源によって昇降可能に配置された平面視が矩形のプレート15からなり、該プレート15の底面17側で且つ前記第1パンチ6ごとの真下に位置し、それらの先端部8のみを貫通させる複数(4個)の通孔16と、同じく底面17側で且つ前記第2パンチ10ごとの真下に位置し、それらの先端部12のみを貫通させる複数(4個)の通孔18と、を備えている。該通孔16,18の上側には、これらと同軸で且つこれらよりも大径の太径部16a,18aが連通し、第1・第2パンチ6,10の先端部8,12の基部側、およびパンチ本体7,11の先端側を受け入れ可能としている。
尚、上記プレート15の底面(外形)17は、第1ホルダ9の外形および前記加工エリアwaとほぼ同じであり、且つダイ2の表面3よりも狭い。
更に、枠体19は、平面視が矩形の枠形状を呈し、前記グリーンシートgsの周辺部を保持(固定)すると共に、図示しない流体圧シリンダやモータなどの駆動源に連結されている。そのため、枠体19は、後述するように、上記グリーンシートgsをその平面方向およびダイ2の表面3に沿って移動させることができる。
【0023】
前記のような構成からなる本発明の穿孔装置1の使用方法を、以下のような配線基板の製造方法によって説明する。
先ず、図2に示すように、ダイ2の表面3上に、周辺部が枠体19に保持されたグリーンシート(シート状物)gsを配置した後、図2中で垂直の矢印で示すように、ストリッパ14を第1・第2パンチ6,10と共に下降させて、該ストリッパ14の底面17をグリーンシートgsの表面に接触させた。その結果、グリーンシートgsは、ストリッパ14の底面17とダイ2の表面3との間に挟まれた状態で拘束された。この際、第1・第2パンチ6,10ごとの先端部8,12の先端側は、ストリッパ14の通孔16,18内に留まっていた。
【0024】
次に、図3中の矢印で示すように、前記状態から第1ホルダ9と共に4個の第1パンチ6を下降し、それらの先端部8をストリッパ14の通孔16およびグリーンシートgsに貫通させ、更にダイ2の抜き孔4a内に進入させた。その結果、先端部8が貫通したグリーンシートgsの位置には、断面円形で比較的大径の第1貫通孔h1が形成された(第1ステップS1)。この際、第1パンチ6のパンチ本体7の底面は、太径部16a内に留まっていた。また、第2パンチ10ごとの先端部12は、ストリッパ14の通孔18内で停止していた。尚、上記第1ステップS1において、第1パンチ6を降下させた際に、第2パンチ10が若干上昇するように第2ホルダ13を駆動・制御しても良い。
【0025】
上記のような第1ステップS1によって、図4に示すように、4個の第1パンチ6ごとの上記先端部8が貫通したグリーンシートgsの周辺部には、断面円形で比較的大径の4個の第1貫通孔(基準孔)h1が形成された。
尚、第1貫通孔h1の内径は、約300μm〜5mmである。また、第1パンチ6の先端部8がグリーンシートgsから打ち抜いた抜き屑は、ダイ2の各逃げ部5から下方に排出されていた。更に、図4の平面図で示すグリーンシートgsの中央部には、破線で示す切断予定面(仮想面)cfに囲まれ、追ってセラミック配線基板のセラミック層となり、平面視がほぼ正方形を呈する4個の製品エリアpaが位置しており、それらの一辺の長さは約2〜3mmである。
【0026】
更に、図5中の矢印で示すように、先に第1パンチ6をホルダ9と共に上昇させ、先端部8をストリッパ14aの通孔16内に復帰させた後、ストリッパ14、第1・第2ホルダ6,10を第1・第2ホルダ9,13と共に上昇させた。その結果、第1パンチ6およびストリッパ14は、4個の第1貫通孔h1が形成されたグリーンシートgsから離隔した(第2ステップS2)。尚、前記第1ステップS1で、予め第2パンチ10および第2ホルダ13を若干上昇させていた場合には、これらに対する上記の上昇操作を省略しても良い。
次いで、図6中の矢印で示すように、前記同様にストリッパ14を第1・第2パンチ6,10と共に下降させ、該ストリッパ14の底面17をグリーンシートgsの表面に接触させて、グリーンシートgsをストリッパ14の底面17とダイ2の表面3との間に挟んで拘束した。この際も、第1・第2パンチ6,10の先端部8,12の先端側は、ストリッパ14の通孔16,18内に留まっていた。
【0027】
引き続いて、図7中の矢印で示すように、前記状態から第2ホルダ13と共に4個の第2パンチ10を下降し、それらの先端部12をストリッパ14の通孔18およびグリーンシートgsに貫通させ、更にダイ2の抜き孔4b内に進入させた。その結果、先端部12が貫通したグリーンシートgsの位置には、断面円形で比較的小径の第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2が形成された(第3ステップS3)。この際、ポンチ本体11の底面は、太径部18a内に留まっていた。また、第1パンチ6ごとの先端部8は、ストリッパ14の通孔16内で停止していた。尚、第2貫通孔h2の内径は、約80〜300μmである。
更に、図8中の矢印で示すように、先に第2パンチ10をホルダ13と共に上昇させ、先端部12をストリッパ14の通孔18内に復帰させた後、ストリッパ14、第1・第2パンチ6,10を第1・第2ホルダ9,13と共に上昇させた。その結果、第2パンチ10およびストリッパ14は、新たに4個の第2貫通孔h2が形成されたグリーンシートgsから離隔した(第4ステップS4)。
【0028】
前記のような第3ステップS3によって、図9の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの右上側に、第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2が1個ずつ形成された。
次に、図10中の水平な矢印(イ)で示すように、グリーンシートgsを枠体19と共に図示で右側に移動させた(第5ステップS5)。尚、この移動距離は、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとにおいて、前記第2貫通孔h2とその左側に隣接して新たに形成すべき第2貫通孔h2とのピッチと一致していた。
次いで、前記同様にグリーンシートgsをストリッパ14とダイ2との間に挟んだ後、図11中の矢印で示すように、第2ホルダ13と共に4個の第2パンチ10を下降し、それらの先端部12だけをストリッパ14aの通孔18およびグリーンシートgsに貫通させ、更にダイ2の抜き孔4b内に進入させた。その結果、先端部12が貫通したグリーンシートgsの新たな位置にも第2貫通孔(製品用孔)h2が形成された(第3ステップS3)。
【0029】
更に、前記同様に第2パンチ10をホルダ13と共に上昇させた後、ストリッパ14、第1・第2ホルダ6,10を第1・第2ホルダ9,13と共に上昇させ、第2パンチ10およびストリッパ14を、4個の新たな第2貫通孔h2が形成されたグリーンシートgsから離隔した(第4ステップS4)。
その結果、図12の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの左上側に、新たな第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2が形成された。尚、前記第5ステップS5によってグリーンシートgsを右側に移動(イ)させたので、第2パンチ10は、図12中の実線の矢印で示すように、グリーンシートgsに対して相対的に左側に移動していた。
【0030】
引き続いて、前記同様に、グリーンシートgsを枠体19と共に図12で上側に移動(ロ)させる第5ステップS5を行った後、前記同様の第3ステップS3および第4ステップS4を行った。その結果、図12の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの左下側に、新たな第2貫通孔(ビア孔)h2が形成された。尚、上記第5ステップS5によってグリーンシートgsを上側に移動(ロ)させた結果、第2パンチ10は、図12中の一点鎖線の矢印で示すように、グリーンシートgsに対して相対的に下側に移動していた。
そして、前記同様に、グリーンシートgsを枠体19と共に図12で左側に移動(ハ)させる第5ステップS5を行った後、前記同様の第3ステップS3および第4ステップS4を行った。その結果、図12の平面図で示すように、グリーンシートgsの各製品エリアpaごとの右下側に、新たな第2貫通孔(ビア孔)h2が形成された。尚、上記第5ステップS5によってグリーンシートgsを上側に移動(ハ)させた結果、第2パンチ10は、図12中の破線の矢印で示すように、グリーンシートgsに対して相対的に右側に移動していた。
【0031】
前記穿孔装置1を用いて以上のような各ステップS1〜S4を行った後,更にステップS5,S3,S4を3回繰り返した結果、図12に示すように、グリーンシートgsの周辺部には、4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成でき、且つ該グリーンシートgsの各製品エリアpaごとには、平面視で正方形の各コーナ側ごとの位置に4個の第2貫通孔(ビア孔)h2を形成することができた。
【0032】
また、前記穿孔装置1および別のグリーンシートgsを用いて、図13の平面図で示すように、前記同様の第1・第2ステップS1〜S4を行って、グリーンシートgsの周辺部に4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成し、且つ各製品エリアpaごとの右上側に第2貫通孔(ビア孔)h2を形成した後、前記枠体19と共に該グリーンシートgsを図13中の矢印イで示す右側に移動させる第5ステップを行い、更に前記同様の第3・第4ステップS3,S4を行った。引き続いて、グリーンシートgsを図13中の矢印ロで示す上側に移動させる第5ステップを行った後、第3・第4ステップS3,S4を行い、更に図13中の矢印ハ、ニ、ホで示す方向に順次移動させる第5ステップと、これらの後ごとに第3・第4ステップS3,S4を複数回行った。
その結果、図13に示すように、グリーンシートgsの周辺部には、4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成でき、且つ該グリーンシートgsの製品エリアpaごとには、平面視で縦・横に4個ずつ合計16個の第2貫通孔(ビア孔)h2を格子状の配置にして形成することもできた。
尚、図13のグリーンシートgsの各製品エリアpa内において、隣接する第2貫通孔h2,h2間の間隔(ピッチ)は、約150μm〜1mmである。
【0033】
更に、前記穿孔装置1および別のグリーンシートgsを用いて、図14の平面図で示すように、前記同様の第1・第2ステップS1〜S4を行って、グリーンシートgsの周辺部に4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成し、且つ各製品エリアpaごとの右上側に第2貫通孔(ビア孔)h2を形成した後、前記枠体19と共に該グリーンシートgsを図14中の矢印イで示す右上側に移動させる第5ステップを行い、更に前記同様の第3・第4ステップS3,S4を行った。引き続いて、グリーンシートgsを図14中の矢印ロで示す右上側に移動させる第5ステップを行った後、第3・第4ステップS3,S4を行い、更に図14中の矢印ハで示す右上に順次移動させる第5ステップと、第3・第4ステップS3,S4とを行った。この間において、第2パンチ10は、グリーンシートgsに対して相対的に左下側に順次移動した。
その結果、図14に示すように、グリーンシートgsの周辺部には、4個の第1貫通孔(基準孔)h1を形成でき、且つ該グリーンシートgsの各製品エリアpaごとには、平面視で右上側から左下側に沿って斜めに3個のずつ合計12個の第2貫通孔(ビア孔)h2を対角線状にして形成することもできた。
【0034】
前記のようなグリーンシート(シート状物)gsの穿孔装置1によれば、ダイ2の表面3に配置されたグリーンシートgsに対し、第1パンチ6およびダイ2の抜き孔4aによって第1貫通孔h1が形成できると共に、第2パンチ10およびダイ2の抜き孔4bによって上記第1貫通孔h1の付近以外の位置に第2貫通孔h2が形成できる。更に、第1・第2貫通孔h1,h2が形成された上記グリーンシートgsを、移動手段の枠体19によってその平面方向に沿って移動させた後、上記とは異なる位置に新たな第2貫通孔h2を形成することができる。更に、第2パンチ10は、複数個であるため、グリーンシートgsの製品エリアpaごとに対し、同時に第1貫通孔h1を1個ずつ形成することができる。しかも、ダイ2の表面3上の同じ加工エリアwaにおいて、上記第1・第2貫通孔h1,h2を形成することができる。従って、単一の穿孔装置(プレス装置)1によって、同じグリーンシートgsに対し内径が異なる複数種の貫通孔h1,h2を、位置精度および生産性を高くして形成できると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0035】
一方、前記のような穿孔装置1を用いた配線基板の製造方法によれば、前記グリーンシートgsに対し、第1・第2ステップS1,S2で第1貫通孔(基準孔)h1を、第3・第4ステップS3,S4で第2貫通孔(製品用孔:ビア孔)h2をそれぞれ形成し、該グリーンシートgsを前記枠体(移動手段)19によってダイ2の表面3上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップS5を行った後、更に第3・第4ステップS3,S4を少なくとも1回行ない、上記と異なる位置に第2貫通孔h2を形成できる。従って、同じ加工エリアwaにおいて、複数個の第1貫通孔(基準孔)h1および複数個の第2貫通孔(ビア孔)h2を、形状および位置精度を良く形成できるため、生産性が向上すると共に、設備コストを比較的廉価にすることも可能となる。
【0036】
尚、前記第1貫通孔h1は、グリーンシートgsの周辺部に限らず、グリーンシートgsにおいて互い離隔する製品エリアpa,pa間で且つ該グリーンシートgsの中央側の位置に形成しても良い。
また、前記ステップS1〜S5からなる打ち抜き工程により、第1貫通孔h1および所要数の第2貫通孔h2が形成されたグリーンシートgsは、更に後の打ち抜き工程で貫通孔(製品用孔)を形成する際に、第1貫通孔(基準孔)h1を穿孔位置基準(X−Y方向の原点)として、打ち抜かれる。
更に、第1・第2貫通孔h1,h2が形成されたグリーンシートgsは、第2貫通孔(ビア孔)h2に導電性ペーストが充填され、且つ表面および裏面の少なくとも一方に導電性ペーストが所定パターンで印刷・形成される。該導電性ペーストの充填・印刷されたグリーンシートgsは、同様のグリーンシートgsと積層・圧着され、更に焼成された後、前記切断予定面cfに沿って、個々のセラミック配線基板に切断・分割される。これにより、本発明によるセラミック配線基板が製造される。
【0037】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、前記穿孔装置1において、前記ストリッパ14を省略することも可能である。
また、前記グリーンシートgsは、一方のコイルから巻き返した長尺なシートとし、所定長さごとに前記枠体19を取り付けて、前記穿孔装置1による打ち抜き工程を送り方向に沿って順次行うようにしても良い。
更に、前記セラミック配線基板には、複数のセラミック層を積層する多層セラミック基板に限らず、単層のセラミック層からなる中継基板、あるいは、表面または裏面の少なくとも一方に樹脂絶縁層を積層するセラミックコア基板も含まれ、追って該セラミックコア基板となるグリーンシートgsに形成する第2貫通孔(製品用孔)は、スルーホールである。
加えて、前記穿孔装置1の対象となるシート状物は、樹脂製のフィルムとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の穿孔装置は、セラミックのグリーンシートや樹脂製のフィルムに対し、複数種の貫通孔を位置精度および効率良く形成することが可能であり、該穿孔装置を使用するセラミック配線基板の製造方法は、グリーンシートに複数種の貫通孔を同じ加工エリアにおいて精度および効率良く形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1……………シート状物の穿孔装置
2……………ダイ
3……………表面
4a,4b…抜き孔
6……………第1パンチ
8,12……先端部
9……………第1ホルダ
10…………第2パンチ
13…………第2ホルダ
14…………ストリッパ
16,18…通孔
19…………枠体(移動手段)
gs…………グリーンシート(シート状物)
wa…………加工エリア
h1…………基準孔(第1貫通孔)
h2…………製品用孔(第2貫通孔)
S1〜S5…第1〜第5ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を載置するための表面を有し、該表面に開口する複数の抜き孔を有するダイと、
上記ダイに対向して配置され、上記シート状物に貫通孔を形成し、且つダイの上記抜き孔に先端部が進入可能な複数のパンチと、
上記ダイの表面に載置される上記シート状物を保持し且つその平面方向に沿って移動させる移動手段と、を備えるシート状物の穿孔装置であって、
上記複数のパンチは、上記シート状物に第1貫通孔を形成する昇降可能な第1パンチと、該第1パンチとは別の独立した駆動源によって昇降可能し、且つ第2貫通孔を形成する複数の第2パンチと、からなる、
ことを特徴とするシート状物の穿孔装置。
【請求項2】
前記ダイの上方には、該複数のパンチの先端部を貫通させる複数の通孔を有する昇降可能なストリッパが配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート状物の穿孔装置。
【請求項3】
前記第1貫通孔は、前記シート状物における本打ち抜き工程後の加工で用いる基準孔であり、前記第2貫通孔は、上記シート状物の製品用孔である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物の穿孔装置。
【請求項4】
セラミック配線基板の製造方法であって、
上記セラミックとなるグリーンシートをダイの表面上の加工エリアに配置し、第1ホルダに固定された第1パンチを降下し、該第1パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの加工エリアに開口する複数の抜き孔の一部に進入させて、第1貫通孔を形成する第1ステップと、
上記第1パンチを第1貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第2ステップと、
上記ダイの表面上の加工エリアに配置され、且つ第1貫通孔が形成された上記グリーンシートに対し、上記第1ホルダとは独立して駆動される第2ホルダに固定された第2パンチを降下し、該第2パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの上記抜き孔以外の抜き孔に進入させて、第2貫通孔を形成する第3ステップと、
上記第2パンチを第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第4ステップと、
上記第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートをダイの表面上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップと、を備え、
上記第5ステップの後に、上記第3ステップおよび第4ステップを行う、抜き工程を含む、
ことを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記ダイの加工エリアと第1・第2パンチとの間には、該第1・第2パンチの各先端部が個別に通過する複数の通孔を有するストリッパが昇降可能に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2パンチは、複数個のパンチから構成され、互いに同じ形状の先端部を有し、前記第3ステップにおいて、前記グリーンシートには互いに同じ形状である複数の第2貫通孔を形成する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の配線基板の製造方法。
【請求項1】
シート状物を載置するための表面を有し、該表面に開口する複数の抜き孔を有するダイと、
上記ダイに対向して配置され、上記シート状物に貫通孔を形成し、且つダイの上記抜き孔に先端部が進入可能な複数のパンチと、
上記ダイの表面に載置される上記シート状物を保持し且つその平面方向に沿って移動させる移動手段と、を備えるシート状物の穿孔装置であって、
上記複数のパンチは、上記シート状物に第1貫通孔を形成する昇降可能な第1パンチと、該第1パンチとは別の独立した駆動源によって昇降可能し、且つ第2貫通孔を形成する複数の第2パンチと、からなる、
ことを特徴とするシート状物の穿孔装置。
【請求項2】
前記ダイの上方には、該複数のパンチの先端部を貫通させる複数の通孔を有する昇降可能なストリッパが配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート状物の穿孔装置。
【請求項3】
前記第1貫通孔は、前記シート状物における本打ち抜き工程後の加工で用いる基準孔であり、前記第2貫通孔は、上記シート状物の製品用孔である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物の穿孔装置。
【請求項4】
セラミック配線基板の製造方法であって、
上記セラミックとなるグリーンシートをダイの表面上の加工エリアに配置し、第1ホルダに固定された第1パンチを降下し、該第1パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの加工エリアに開口する複数の抜き孔の一部に進入させて、第1貫通孔を形成する第1ステップと、
上記第1パンチを第1貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第2ステップと、
上記ダイの表面上の加工エリアに配置され、且つ第1貫通孔が形成された上記グリーンシートに対し、上記第1ホルダとは独立して駆動される第2ホルダに固定された第2パンチを降下し、該第2パンチの先端部を上記グリーンシートに貫通させ、且つ上記ダイの上記抜き孔以外の抜き孔に進入させて、第2貫通孔を形成する第3ステップと、
上記第2パンチを第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートから離隔する第4ステップと、
上記第1貫通孔および第2貫通孔が形成された上記グリーンシートをダイの表面上で且つその平面方向に沿って移動させる第5ステップと、を備え、
上記第5ステップの後に、上記第3ステップおよび第4ステップを行う、抜き工程を含む、
ことを特徴とするセラミック配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記ダイの加工エリアと第1・第2パンチとの間には、該第1・第2パンチの各先端部が個別に通過する複数の通孔を有するストリッパが昇降可能に配置されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の配線基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2パンチは、複数個のパンチから構成され、互いに同じ形状の先端部を有し、前記第3ステップにおいて、前記グリーンシートには互いに同じ形状である複数の第2貫通孔を形成する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−221333(P2010−221333A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71111(P2009−71111)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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