説明

シート状物収容箱

【課題】 収容されたシート状物を簡単に且つ容易に取り出すことができるシート状物収容箱を得る。
【解決手段】 シート状物を上下方向に重ねて収容するシート状物収容箱であって、板紙やプラスチックシート等の板状素材12を用いて形成された四角筒状の箱本体1の前後の開口部3,4に、それぞれ開口部3,4を閉塞する蓋部5,6を設け、前記箱本体1の下壁2bの一方の開口部3側端部に、該端部を切り欠き開口させて前記収容したシート状物Sを露出させて外部に引き出すシート状物引き出し口部8を設け、更に、前記箱本体1内には重ねられた前記シート状物Sを下壁2b側に押圧する押圧部材7を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の絆創膏や湿布薬等のシート状物を上下に重ねて収容するシート状物収容箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート状の絆創膏や湿布薬等のシート状物を収容する箱として、板紙やプラスチックシート等の板状素材を用いて四角筒状に形成された箱本体に、閉塞片部と差込片部からなり前記箱本体の前後の開口部を閉塞する蓋部が一体に設けられた構造のものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような構造では、収容されたシート状物の取り出しにあたり、その都度蓋部を開け閉めしなければならず面倒であり、また、箱本体から必要枚数のシート状物を取り出すことが容易でないといった問題点があった。
【0004】
本発明の目的とするところは、収容されたシート状物を簡単に且つ容易に取り出すことができるシート状物収容箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シート状物を上下方向に重ねて収容するシート状物収容箱であって、板紙やプラスチックシート等の板状素材を用いて形成された四角筒状の箱本体の前後の開口部には、それぞれ開口部を閉塞する蓋部が設けられ、前記箱本体の下壁の一方の開口部側端部に、該端部を切り欠き開口させて前記収容したシート状物を露出させて外部に引き出すシート状物引き出し口部が設けられ、更に、前記箱本体内には重ねられた前記シート状物を下壁側に押圧する押圧部材が配置されていることを特徴とする。
【0006】
かかる構成から、箱本体の下壁の一方の開口部側端部に、該端部を切り欠き開口させて前記収容したシート状物を露出させて外部に引き出すシート状物引き出し口部が設けられているので、箱本体内に収容されているシート状物を取り出す際に、前記箱本体の下壁に設けられたシート状物引き出し口部から露出しているシート状物の先端を摘んで外に引き出すことにより、箱本体内からシート状物を容易に取り出すことができる。また、箱本体内のシート状物は押圧部材により下壁側に押圧された状態で収容されているので、シート状物は箱本体の下壁面に圧接した状態で前記シート状物引き出し口部から露出することになり、最後の1枚まで容易に取り出すことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記シート状物引き出し口部が設けられている側の前記箱本体の開口部を閉塞する前記蓋部は、箱本体の上壁の開口部側端部に連設された閉塞片部と、該閉塞片部の先端に連設され折曲されて箱本体の下壁側から箱本体内に差し込まれる差込片部からなり、該差込片部により前記押圧部材が構成され、該差込片部により構成される押圧部材と箱本体の下壁の間に前記シート状物が配置され、折曲された差込片部により構成される押圧部材の復元力により前記シート状物が前記下壁側に押圧されるようになっていることを特徴とする。
【0008】
かかる構成から、押圧部材が前記蓋部を構成する閉塞片部の先端に連設され折曲されて箱本体の下壁側から箱本体内に差し込まれる差込片部により構成されているので、このシート状物収容箱を構成する素材の一部を利用して押圧部材を構成することができ、また構成が簡単なので低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、シート状物を上下方向に重ねて収容するシート状物収容箱であって、板紙やプラスチックシート等の板状素材を用いて形成された四角筒状の箱本体の前後の開口部には、それぞれ開口部を閉塞する蓋部が設けられ、前記箱本体の下壁の一方の開口部側端部に、該端部を切り欠き開口させて前記収容したシート状物を露出させて外部に引き出すシート状物引き出し口部が設けられ、更に、前記箱本体内には重ねられた前記シート状物を下壁側に押圧する押圧部材が配置されているので、箱本体内に収容されているシート状物を取り出す際に、前記箱本体の下壁に設けられたシート状物引き出し口部から露出しているシート状物の先端を摘んで外に引出すことにより、箱本体内からシート状物を容易に取り出すことができる。また、箱本体内のシート状物は押圧部材により下壁側に押圧された状態で収容されているので、シート状物は箱本体の下壁面に圧接した状態で前記シート状物引き出し口部から露出することになり、最後の1枚まで容易に取り出すことができる。また、構成が簡単なので、製造が容易であり安価に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のシート状物収容箱を実施するための最良の形態における一例を図1乃至図4を参照して詳細に説明する。図1は本例のシート状物収容箱の一部縦断斜視図、図2は図1の一部拡大断面図、図3(A)〜(C)は本例のシート状物収容箱の箱本体の下壁に設けたシート状物引き出し口部の開口前と開口後とシート状物の引き出し状態を示す説明図、図4はシート状物収容箱の箱本体の下壁に設けたシート状物引き出し口部からシート状物の引き出し状態を示す説明図である。
【0011】
本例のシート状物収容箱は、箱本体1が、板紙やプラスチックシート等の板状素材により形成されている。この箱本体1は、上壁2a、下壁2b、右壁2c、左壁2dの4つの壁を持つ四角筒状に形成されており、この箱本体1内に、シート状物Sが上下方向に重ねて収容されるようになっている。これらシート状物Sは、例えばシート状をなしていて相互に粘着しないように被覆が施されている絆創膏や湿布薬等からなるものである。
【0012】
前記シート状物Sを収容する箱本体1の前後の開口部3,4は、蓋部5,6で閉塞されている。前記蓋部5,6は、いずれも箱本体1の上壁2aの開口部3,4側端部に連設された閉塞片部5a,6aと、該閉塞片部5a,6aの先端に連設され折曲されて箱本体1の下壁2b側から箱本体1内に差し込まれる差込片部5b,6bから構成されている。前記蓋部5,6は前記差込片部5b,6bが折曲されて下壁2bに沿って箱本体1内に差し込まれ、蓋部5,6が開口部3,4を閉塞した状態に保持されている。
【0013】
前記箱本体1内には、該箱本体1内に上下方向に重ねて収容されたシート状物Sを下壁2b側に押圧する押圧部材7が配置されている。本例では、前記押圧部材7は蓋部5の差込片部5bにより構成されている。そして、前記上下方向に重ねて収容されたシート状物Sは前記差込片部5bと箱本体1の下壁2bの間に配置され、閉塞片部5aから折曲された差込片部5bの復元力により前記シート状物Sが前記下壁側に押圧されるようになっている。
【0014】
また、前記箱本体1の下壁2bの前側の開口部3側端部には、前記箱本体1内に収容したシート状物Sを露出させて外部に引き出すシート状物引き出し口部8が設けられている。このシート状物引き出し口部8は、前記箱本体1の下壁2bに入れられたミシン目8aの内側を切除することにより形成される。また、このシート状物引き出し口部8の大きさは、シート状物引き出し口部8から露出するシート状物Sの端部を外部から摘める程度の大きさで足り、シート状物引き出し口部8から露出するシート状物Sは、その端部を摘んで蓋部5の差込片部5bと箱本体1の下壁2bの端部との間の隙間から引き出し、箱本体1から取り出せるようになっている。
【0015】
また、前記下壁2bの前側の開口部3側端辺には、前記シート状物引き出し口部8を形成するミシン目8aの内側から係止片9が突出するように連接している。また、前記蓋部5の閉塞片部5aと差込片部5bの境界に前記係止片9が挿入されるスリット10が形成されている(図2)。そして、前記下壁2bに形成されたシート状物引き出し口部8の開口前は、前記係止片9が前記蓋部5の閉塞片部5aと差込片部5bの境界に形成されているスリット10に挿入されており、シート状物Sが蓋部5の差込片部5bと箱本体1の下壁2bの端部との間の隙間から抜け出さないようになっている。そして、前記係止片9は、シート状物引き出し口部8の開口時に、下壁2bに入れられたミシン目8aの内側の切除により取り除かれるものとなる。
【0016】
更に、前記箱本体1の上壁2aには、取り出されたシート状物Sの分割片を嵌めて係止する中央部を狭めたH状の切り込み係止部11が設けられている。
【0017】
このように構成されたシート状物収容箱は、該シート状物収容箱にシート状物Sを収容する場合、箱本体1の後側の開口部4を閉塞している蓋部6の差込片部6bを箱本体1内から引き出すことにより前記開口部4を開き、上下方向に重ねた複数枚のシート状物Sを開口部4から箱本体1内に入れ、前記シート状物Sを押圧部材7を構成する前側の開口部3を閉塞している蓋部5の差込片部5bと箱本体1の下壁2bの間に配置し、そして、前記蓋部6で開口部4を閉塞するようにして収容する。
【0018】
このようにして箱本体1内に収容されたシート状物Sは、閉塞片部5aから折曲された差込片部5bの復元力により下壁2b側に押圧された状態となる。
【0019】
前記のようにして箱本体1内に収容されているシート状物Sを取り出す場合、先ず、箱本体1の下壁2bに入れられたミシン目8aの内側を切除してシート状物引き出し口部8を開口させるとともに、係止片9を蓋部5の閉塞片部5aと差込片部5bの境界に形成されているスリット10から抜き取る(図3A,B)。そして、開口したシート状物引き出し口部8から露出するシート状物Sの端部を摘んで蓋部5の差込片部5bと箱本体1の下壁2bの端部との間の隙間から引き出すことにより、箱本体1からシート状物Sを1枚づつ確実にかつ容易に取り出すことができる(図3C,図4)。
【0020】
このとき、前記シート状物Sは、押圧部材7を構成している差込片部5bの復元力により下壁2b側に押圧された状態で収容されているので、シート状物Sは箱本体1の下壁2b面に圧接した状態で前記シート状物引き出し口部8から露出することになり、最後の1枚まで容易に取り出すことができる。
【0021】
また、前記箱本体1の上壁2aには、取り出されたシート状物Sの分割片を嵌めて係止する中央部を狭めたH状の切り込み係止部11が設けられているので、箱本体1内に収容しているシート状物Sが、例えばミシン線で分割されるように構成されているような場合、ミシン目から分割した1片を使用した時、残りの他片を前記切り込み係止部11に嵌めて保管することができる。
【0022】
図5は本例のシート状物収容箱の展開図を示したものである。本例のシート状物収容箱は1枚の板状素材12を展開図に示す形状に打ち抜き、折れ線に沿って折曲して組み立てたものである。この展開図において、箱本体1を形成する上壁2a、下壁2b、右壁2c、左壁2dは、その側辺が折れ線13a,13b,13cを介して連接している。そして、前記下壁2bの非連接側辺には、右壁2cの非連接側辺に接着される接着片14が折れ線15を介して連接している。
【0023】
また、下壁2bの上端部には、シート状物引き出し口部8を形成するミシン目8aが設けられている。更に、下壁2bの上端辺には、前記ミシン目8aの内側から突出するように折れ線16を介して係止片9が連接している。
【0024】
また、前記上壁2aの上端辺には、折れ線17を介して蓋部5を構成する閉塞片部5aが連接し、この閉塞片部5aに折れ線18を介して差込片部5bが連接している。そして、前記閉塞片部5aと差込片部5bが連接している折れ線18上には、前記係止片9が挿入可能なスリット10が形成されている。
【0025】
また、前記上壁2aの下端辺には、折れ線19を介して蓋部6を構成する閉塞片部6aが連接し、この閉塞片部6aに折れ線20を介して差込片部6bが連接している。
【0026】
更に、上壁2aには、取り出されたシート状物Sの分割片を嵌めて係止する中央部を狭めたH状の切り込み係止部11が設けられている。
【0027】
また、右壁2cの上下端辺には、折れ線21,22を介して蓋部5,6の内面を支える支え片23,24が連接しており、同様に、左壁2dの上下端辺にも、折れ線25,26を介して蓋部5,6の内面を支える支え片27,28が連接している。
【0028】
このように打ち抜き加工された板状素材12でシート状物収容箱を形成する場合、先ず、上壁2a、下壁2b、右壁2c、左壁2dを、折れ線13a,13b,13c沿って折曲し、下壁2bの解放側の側辺に連接している接着片14を右壁2cの解放辺に接着して四角筒状の箱本体1を形成する。
【0029】
次に、右壁2cと左壁2dの上端辺に連接している支え片23,27を折れ線21,25から内側、即ち開口部3内方へ折曲する。この後、上壁2aの上端辺に連接している蓋部5を構成する閉塞片部5aを折れ線17から内側へ折曲して開口部3を閉塞し、前記閉塞片部5aに連接している差込片部5bを折れ線18から折曲して下壁2bに沿って箱本体1内に差し込む。このようにして蓋部5は筒本体1の一方(前側)の開口部3を閉塞した状態に保持される。
【0030】
このようにして、差込片部5bを下壁2bに沿って箱本体1内に差し込んだら、下壁2bの上端辺に連接している係止片9を折れ線16から折曲して前記閉塞片部5aと差込片部5bが連接している折れ線18上に形成されているスリット10に挿入する。
【0031】
次に、右壁2cと左壁2dの下端辺に連接している支え片24,28を折れ線22,26から内側、即ち開口部4内方へ折曲する。この後、上壁2aの上端辺に連接している蓋部6を構成する閉塞片部6aを折れ線20から内側へ折曲して開口部4を閉塞し、前記閉塞片部6aに連接している差込片部6bを折れ線20から折曲して下壁2bに沿って箱本体1内に差し込む。このようにして蓋部6は筒本体1の他方(後側)の開口部4を閉塞した状態に保持される。このようにしてシート状物収容箱が形成される。
【0032】
かかるシート状物収容箱内へのシート状物Sの収容にあっては、箱本体1の他方(後側)の開口部4を閉塞する前に、箱本体1の他方の開口部4から箱本体1内にシート状物Sを収容し、その後、前記のようにして蓋部6で箱本体1の他方の開口部4を閉塞する。
【0033】
このように、シート状物収容箱の成形に当たり、1枚の板状素材12をシート状物収容箱の展開状態に打ち抜き、折れ線に沿って折曲して組み立てて成形するので、構成が簡単であり、容易に成形することができるとともに安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のシート状物収容箱を実施するための最良の形態における一例を示す一部縦断斜視図である。
【図2】図1の一部拡大断面図である。
【図3】(A)〜(C)は本例のシート状物収容箱の箱本体の下壁に設けたシート状物引き出し口部の開口前と開口後とシート状物の引き出し状態を示す説明図である。
【図4】シート状物収容箱の箱本体の下壁に設けたシート状物引き出し口部からシート状物の引き出し状態を示す説明図である。
【図5】本例のシート状物収容箱の展開図である。
【符号の説明】
【0035】
1 箱本体
2a 上壁
2b 下壁
2c 右壁
2d 左壁
3,4 開口部
5 蓋部
5a 閉塞片部
5b 差込片部
6 蓋部
6a 閉塞片部
6b 差込片部
7 押圧部材
8 シート状物引き出し口部
8a ミシン目
9 係止片
10 スリット
11 切り込み係止部
12 板状素材
13a,13b,13c 折れ線
14 接着片
15,16,17,18,19,20,21,22 折れ線
23,24 支え片
25,26 折れ線
27,28 支え片
S シート状物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を上下方向に重ねて収容するシート状物収容箱であって、板紙やプラスチックシート等の板状素材を用いて形成された四角筒状の箱本体の前後の開口部には、それぞれ開口部を閉塞する蓋部が設けられ、前記箱本体の下壁の一方の開口部側端部に、該端部を切り欠き開口させて前記収容したシート状物を露出させて外部に引き出すシート状物引き出し口部が設けられ、更に、前記箱本体内には重ねられた前記シート状物を下壁側に押圧する押圧部材が配置されていることを特徴とするシート状物収容箱。
【請求項2】
前記シート状物引き出し口部が設けられている側の前記箱本体の開口部を閉塞する前記蓋部は、箱本体の上壁の開口部側端部に連設された閉塞片部と、該閉塞片部の先端に連設され折曲されて箱本体の下壁側から箱本体内に差し込まれる差込片部からなり、該差込片部により前記押圧部材が構成され、該差込片部により構成される押圧部材と箱本体の下壁の間に前記シート状物が配置され、折曲された差込片部により構成される押圧部材の復元力により前記シート状物が前記下壁側に押圧されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のシート状物収容箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−8176(P2006−8176A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187415(P2004−187415)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(391044166)玉川衛材株式会社 (10)
【Fターム(参考)】