説明

シート状物収納容器

【課題】 複数枚積重ねたシート状物を保持した内ケースを収納したケース本体に、押圧部材を取着した蓋体を摺動自在に取着し、蓋体を摺動させることで、押圧部材が内ケース内のシート状物の最上面の一枚に当接し、シート状物を一枚ずつ確実に送り出せるようにしたシート状物収納容器を提供すること。
【解決手段】 シート状物を積重ねて収納した内ケースを収納したケース本体と、ケース本体に摺動自在に取着した蓋体と、蓋体に取着した押圧部材と、シート状物の取出口を備えたシート状物収納容器であって、ケース本体から蓋体を摺動させることにより、蓋体に取着した押圧部材がシート状物の最上面のシートに接合し、摺動させ、最上面のシートを取出口より突出させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数枚のシート状物を積重ねて収納し、シート物状を一枚ずつ取出すようにしたシート状物収納容器は、従来より知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実公昭62−7192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1記載の容器は、シート状物として、紙石鹸を収納したもので、上蓋体(4)の中央部に窓孔(8)を穿孔し、該窓孔(8)に弾性湾曲部(9a)と指押部(9c)を具え、弾性変形自在な肉薄平板状のスライド板(9)を取付け、指押部(9c)を押さえて前方に動かすことで、弾性湾曲部(9a)を上方に湾曲させ、指押部(9c)の下面に設けた摩擦材(10)で、最上面にある紙石鹸を抜出孔(3)から押出すようにしている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の容器では、指先で指押部を押圧して取出し操作をするので、最上面の紙石鹸等のシート状物に、常に一定の押圧力がかかるように操作するためには注意力が必要であり、押圧力が大きすぎると複数枚のシート状物を押出すことがあり、押圧力が弱いとシート状物を正常に押出せないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題として、複数枚積重ねたシート状物を保持した内ケースを収納したケース本体に、押圧部材を取着した蓋体を摺動自在に取着し、蓋体を摺動させることで、押圧部材が内ケース内のシート状物の最上面の一枚に当接し、シート状物を一枚ずつ確実に送り出せるようにしたシート状物収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、シート状物収納容器として、シート状物を積重ねて収納した内ケースを収納したケース本体と、ケース本体に摺動自在に取着した蓋体と、蓋体に取着した押圧部材と、シート状物の取出口を備えたシート状物収納容器であって、ケース本体から蓋体を摺動させることにより、蓋体に取着した押圧部材がシート状物の最上面のシートに接合し、摺動させ、最上面のシートを取出口より突出させることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
内ケースの実施例として、内ケースの側壁内面に設けた保持部により、シート状物の側面を挟み込み、保持させるようにしたことを特徴とする構成を採用し、また、押圧部材の実施例として、押圧部材を、ゴムまたはエラストマー等の軟材質で形成し、シート状物の最上面のシートの表面に変形して接合するようにしたことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
ケース本体に取着した蓋体を摺動させることで、蓋体に取着した押圧部材が、ケース本体内に保持して収納された複数枚積重ねたシート状物の最上面のシートに接合し、取出口からシート状物を一枚ずつ取出し、最後まで確実に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明のシート状物収納容器について、図面を参照して説明する。
図1において、Aは、ケース本体、Bは、ケース本体A内に収納される内ケース、Cは、ケース本体Aに摺動自在に取着される蓋体、Dは、蓋体Cの内方に取着される押圧部材である。
Eは、内ケースBに収納され、ある程度の保形性を持つ薄いシートを積重ねたシート状物である。
【0010】
ケース本体Aは、図2に示すように、一端部を上方に傾斜する傾斜前壁1とした底壁2と、底壁2に立設された後壁3と側壁4a、4bとから形成されている。
側壁4a、4bの外側面下端には、蓋体Cを取着するためのガイド溝5が設けられており、ガイド溝5には、所定の位置にストッパー6が設けられている。
【0011】
傾斜前壁1の上端部は、シート状物収納容器使用時にシートを突出する取出口7となっている。
【0012】
内ケースBは、図3に示すように、頂壁10と、頂壁10に垂設される後壁11と側壁12a、12bとからなり、側壁12a、12bの下端にはシ−ト状物Eを内ケースB内に収納するために積載板13が連設され、内ケースBの前側は開口14となっている。
頂壁10の開口14側から後壁11側に向かって、中央に押圧部材Dの可動位置を決めるガイド部15が切欠かれている。
【0013】
内ケースBの側壁12a、12bの内側面には、保持部として、ゴムまたはエラストマー等の軟材質で形成された保持部材16が、インサート成形、または接着によって取着されている。
【0014】
蓋体Cは、図4に示すように、頂壁20と、頂壁20に垂設される後壁21と側壁22a、22bとからなり、頂壁20の裏面中央の前側には、所定の位置に押圧部材Dを取着する嵌合突部23が設けられている。
【0015】
蓋体Cの後壁21の下端には、切欠部24が設けられ、側壁22a、22bの内側面下端には、ケース本体Aの側壁4a、4bに設けられたガイド溝5に係合するガイド突条25と、開蓋時にケース本体Aのガイド溝5に設けられたストッパー6と当接し、開蓋範囲を決める突部26が設けられている。
【0016】
押圧部材Dは、図5に示すように、ゴム、またはエラストマー等の軟材質で形成された平板30であり、平板30の両端部には、嵌合孔部31が穿設されている。
平板30を湾曲させて湾曲部30aを形成し、両端部を当接させた時に両端部の嵌合孔部31の孔が連通し、該孔に蓋体C頂壁20の裏面に設けられた嵌合突部23が嵌入して、押圧部材Dを蓋体Cに固着させるようになっている。
【0017】
シート状物Eは、図1に示すように、内ケースBに収納された際、シート状物Eの両側は、内ケースBの側壁12a、12b内側面に設けられた両方の保持部材16により、シートの移動を妨げる抵抗が働くように挟まれて、内ケースB内で保持されるように形成されている。
【0018】
次に、本実施形態のシート状物収納容器の組立てと、作用効果について説明する。
容器の組立てにあたっては、まず、シート状物Eを、内ケースBの開口14より内ケースB内に収納する。
その際、シート状物Eの両側下端は、内ケースBの側壁12a、12bに連設された両方の積載板13上面に載置され、シート状物Eの両側は、内ケースBの側壁12a、12b内側面に設けられた両方の保持部材16により保持される。
【0019】
押圧部材Dの平板30を湾曲させて両端部を当接させ、連通した両端部の嵌合孔部31の孔に、蓋体Cの頂壁20の裏面に設けられた嵌合突部23を嵌入させ、押圧部材Dを蓋体Cに固着させる。
【0020】
最後に、ケース本体A内にシート状物Eを収納した内ケースBを載置し、上方より、押圧部材Dを取着した蓋体Cの側壁22a、22bに設けたガイド突条25と突部26を、ケース本体Aのガイド溝5に係合させて、蓋体Cをケース本体Aに摺動自在に取着する。
【0021】
使用にあったっては、まず、図1に示すような閉蓋状態のシート状物収納容器を、図6(a)に示すように、ケース本体Aから蓋体Cを後壁方向に摺動させていき、ケース本体Aの側壁4a、4bに設けたガイド溝5のストッパー6に、蓋体Cの側壁22a、22bに設けた突部26を当接させることにより完全な開蓋状態となる。
【0022】
蓋体Cを開蓋状態にするように摺動させていくと、蓋体Cに取着された押圧部材Dの湾曲部30aの下部は、ケース本体A内のシート状物Eの最上面のシートeに当接し、さらに蓋体Cを摺動させていくと、湾曲部30aの下部は変形し、接合部30bを形成しながら、内ケースBの頂壁10に設けられたガイド部15内で、最上面のシートeの面上に摺動する。
【0023】
次に、蓋体Cを閉蓋状態に戻していくと、シート状物Eの最上面のシートeは、押圧部材Dの接合部30bに接合しているため、上面の接合部30bの引張り力が側面の内ケースBの側壁12a、12b内壁に設けた保持部材16の抵抗より大きくなり、最上面のシートeだけが移動し、内ケースBの開口14より突出していく。
【0024】
さらに、蓋体Cを閉蓋状態に戻していくと、突出したシートeの先端がケース本体Aの傾斜前壁1に当接して上方に向かって摺動していき、図6(b)に示すように、閉蓋状態の時には、シートeは、ケース本体Aに設けられた取出口7より突出される。
シートの使用にあったっては、シート状物収納容器の取出口7より突出したシートeを摘み、引き出して使用する。
【0025】
再度、シートを取出すときには、蓋体Cを開蓋状態にし、閉蓋状態に戻すことによりシート状物Eの最上面のシートeをシート状物収納容器の取出口7より突出させることができる。
【0026】
また、押圧部材Dが、ゴム、またはエラストマー等の軟材質で形成されているので、シート状物Eの枚数が少なくなっても、それに合わせて押圧部材Dの湾曲部30aの接合部30bの形状が変形し、最上面のシートeに接合することができ、シート状物Eを最後までシート状物収納容器の取出口7より突出させることができる。
【0027】
シート状物Eをすべて使い終わったときには、ケース本体Aのガイド溝5と、蓋体Cのガイド突条25と突部26との係合を外すことにより蓋体Cをケース本体Aから外し、ケース本体Aの内部に収納された内ケースBを取り出す。
内ケースBの内部に、新しいシート状物Eを詰め替えて組立て直すことで、シート状物Eを再度、最後まで使用することができる。
【0028】
上記実施形態では、内ケースBの側壁12a、12bの内側面に保持部として、ゴムまたはエラストマー等の軟材質で形成した保持部材16を取着したが、シート状物Eの両側を、内ケースBの側壁12a、12bの内側面に設けた保持部で挟んで、シートを引張った時に抵抗を持たせるように保持できればよいので、保持部材16に代えて、側壁12a、12bの内側面の数カ所に凸リブを配設し、挟み込むことで、シート状物Eを内ケースB内で保持されるようにしてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、蓋体Cの頂壁20の裏面中央の前側に、嵌合突部23を介して押圧部材Dを設置したが、押圧部材Dに湾曲部30aを形成し、蓋体Cの頂壁20裏面に固着できればよい。
例えば、押圧部材Dの平板30の両端を溶着、または接着剤などで接着させて湾曲部30aを形成し、蓋体Cの頂壁20裏面に溶着、または接着剤などで接着させて設置してもよい。
【0030】
また、押圧部材Dの設置位置は、押圧部材Dの湾曲部30aが変形して形成される接合部30bが、シート状物Eの最上面のシートeに接合して最上面のシートeだけを摺動させることができればよいので、蓋体Cの頂壁20の裏面中央の前側に限定されない。
本発明の押圧部材の設置位置や、設置方法は、上記実施形態の位置や方法に限定されない。
【0031】
また、押圧部材Dを板バネ状としてもよく、該板バネの先端部に凹凸やエラストマー、ゴム部材等の滑り止めを備えた接合部が設けられることが好ましい。
さらに、板バネ状の押圧部材Dを使用した場合は、形状がなじむことによる押圧部材Dの押圧力低下を防止するため、閉蓋状態の時にシート状物Eより前方に接合部が位置することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
ケース本体に取着した蓋体を摺動することで、ケース本体に収納されたシート状物の積重ね物を取出口から一枚ずつ取出し、最後まで確実に使用することができ、シート状物の詰替えも簡単にできるようになった。
【0033】
本発明のシート状物収納容器の構成は、各種のシート状物品の携帯用小型容器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本願発明のシート状物収納容器の説明図で、(a)は一部断面上面図、(b)は図(a)のA−A線における一部断面立面図、(c)は断面側面図である。
【図2】ケース本体の説明図で、(a)は上面図、(b)は図(a)のA−A線における一部断面立面図、(c)は側面図である。
【図3】内ケースの説明図で、(a)は上面図、(b)は図(a)のA−A線における一部断面立面図、(c)は側面図である。
【図4】蓋体の説明図で、(a)は上面図、(b)は図(a)のA−A線における一部断面立面図、(c)は側面図である。
【図5】押圧部材の説明図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図6】収納容器の使用時の説明図で、(a)は蓋体の完全な開蓋状態時の断面立面図、(b)は閉蓋状態時の断面立面図である。
【符号の説明】
【0035】
A ケース本体
B 内ケース
C 蓋体
D 押圧部材
E シート状物
e 最上面のシート
1 傾斜前壁
2 底壁
3 後壁
4a,b 側壁
5 ガイド溝
6 ストッパー
7 取出口
10 頂壁
11 後壁
12a,b 側壁
13 積載板
14 開口
15 ガイド部
16 保持部材
20 頂壁
21 後壁
22a,b 側壁
23 嵌合突部
24 切欠部
25 ガイド突条
26 突部
30 平板
30a 湾曲部
30b 接合部
31 嵌合孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物を積重ねて収納した内ケースを収納したケース本体と、ケース本体に摺動自在に取着した蓋体と、蓋体に取着した押圧部材と、シート状物の取出口を備えたシート状物収納容器であって、
ケース本体から蓋体を摺動させることにより、蓋体に取着した押圧部材がシート状物の最上面のシートに接合し、摺動させ、最上面のシートを取出口より突出させることを特徴とするシート状物収納容器。
【請求項2】
内ケースの側壁内面に設けた保持部により、シート状物の側面を挟み込み、保持させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のシート状物収納容器。
【請求項3】
押圧部材を、ゴムまたはエラストマー等の軟材質で形成し、シート状物の最上面のシートの表面に変形して接合するようにしたことを特徴とする請求項1、2記載のシート状物収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−69580(P2006−69580A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252690(P2004−252690)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】