説明

シート状物検査機及びシート状物検査方法

【課題】検査部の異常を感知して又はその他の理由によりシート状物の搬送を停止し、その後にシート状物の搬送を再開する際に、シート状物を全体ではなく、部分的に所要長さだけ逆送りさせることにより、簡単かつ速やかにラインスキャンが開始できる。
【解決手段】一定間隔ごとに検査部を有するシート状物3を巻き出す巻出ローラ4及び巻き取る巻取ローラ5を備え、これら巻出ローラ4及び巻取ローラ5間にシート状物3の検査部の画像を写すラインスキャン型のセンサ6と、このセンサ6の画像情報に基づいて検査部の異常を感知する感知判断装置7と、シート状物3を搬送する搬送装置8とが設けられ、搬送装置8は、シート状物3の搬送を開始する前にセンサ6の検出部位Xに位置するシート状物3を所要長さ逆送りさせる逆送手段9を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル印刷機等に利用可能なシート状物検査機及びシート状物検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の台紙に多数のラベルなどの検査部を一定のピッチで貼り付けてなるシート状物(ラベルテープ等)を、ラインスキャン型のセンサを用いて検査するシート状物検査機が知られている。
このような装置として、帯状の台紙に多数のラベルを一定のピッチで貼り付けてなるラベルテープをリールから繰り出して移送する移送手段と、該移送手段で移送されているラベルテープの所定の検査領域を画像として取得する画像取得手段と、該取得手段で取得した画像を処理し、予め登録された基準画像と対比することによって前記検査領域に貼り付けられた各ラベルの欠陥の有無を判定する判定手段とを有するラベルテープの検査装置であって、前記画像取得手段よりラベルテープの移送方向下流側に配置され、ラベルテープ上のラベルの到達を検出するラベル検出手段とを有するものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、この装置には2つの画像取得手段が設けられ、これらを交互に画像を取得させることによって、単一の画像取得手段を用いた場合に比べ処理速度を2倍に向上させていた。
【特許文献1】特開2007−058386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のシート状物検査機は、ラベルの欠陥を検出したときにラベルテープの移送を停止しそのラベルを除去した後にラベルテープの移送を再開すると、ラインスキャンの途中にラインセンサ正面で停止したラベルに対して異常検出もれを生ずるため、第1駆動ローラ及び第2駆動ローラを逆転させ巻出リールから巻取リールまでの間のラベルテープ全体を逆送りして、ラインスキャン済みのラベルまで戻してから検査を再開していた。このようにラベルテープ全体を逆送りする機能を持たせることで、シート状物検査機自体の構造が複雑化しかつ製造コストの上昇が生じていた。
【0005】
また、ラベルテープを移送方向に沿って列ごとに分けるスリッタ装置をシート状物検査機に設けていると、ラベルテープ全体を逆送りすることが困難になる。
本発明は、このような点に鑑みて、検査部の異常を感知して又はその他の理由によりシート状物の搬送を停止し、その後にシート状物の搬送を再開する際に、シート状物を全体ではなく、部分的に所要長さだけ逆送りさせることにより、簡単かつ速やかにラインスキャンが開始できるシート状物検査機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
即ち、本発明に係るシート状物検査機1は、第1に、一定間隔ごとに検査部2を有するシート状物3を巻き出す巻出ローラ4及び巻き取る巻取ローラ5を備え、これら巻出ローラ4及び巻取ローラ5間に前記シート状物3の前記検査部2の画像を写すラインスキャン型のセンサ6と、このセンサ6の画像情報に基づいて前記検査部2の異常を感知する感知判断装置7と、前記シート状物3を搬送する搬送装置8とが設けられ、前記搬送装置8は、前記シート状物3の搬送を開始する前に前記センサ6の検出部位Xに位置する前記シート状物3を所要長さ逆送りさせる逆送手段9を有していることを特徴とする。
【0007】
第2に、前記逆送手段9は、1次側送りローラ10と、この1次側送りローラ10と相まって前記センサ6の正面に前記シート状物3を正対させるように配置されていてエンコーダ11を有する2次側送りローラ12と、前記1次側送りローラ10の上流側に配置された1次側移動ローラ13と、前記2次側送りローラ12の下流側に配置された2次側移動ローラ14と、前記1次側移動ローラ13及び前記2次側移動ローラ14を前記1次側送りローラ10及び前記2次側送りローラ12よりも狭い間隔で支持しかつ前記1次側送りローラ10及び前記2次側送りローラ12の軸心を結ぶ中心線Hに沿って往復移動可能なローラフレーム15とを備え、前記シート状物3は、前記ローラフレーム15を移動することにより前記1次側移動ローラ13と前記2次側移動ローラ14との間で搬送され、そのとき前記1次側移動ローラ13の上流側及び前記2次側移動ローラ14の下流側で停止されていることを特徴とする。
【0008】
第3に、前記検査部2は、前記シート状物3に一定間隔ごとに貼付されたラベル16であり、前記感知判断装置7は、前記2次側移動ローラ14の下流側に設けられていて前記センサ6によって異常を感知された前記ラベル16を除去する除去処理部17を有し、この除去処理部17の下流側に前記シート状物3を搬送方向に沿って切断するスリッタ装置18を備えていることを特徴とする。
また、本発明に係るシート状物検査方法は、一定間隔ごとに検査部2を有するシート状物3を搬送させながら、ラインスキャン型のセンサ6の画像情報に基づいて前記検査部2の異常を感知するシート状物検査方法であって、前記検査部2の異常を感知したときに前記シート状物3の搬送を停止し、前記シート状物3の搬送を再開する前に、前記センサ6の検出部位Xが位置する上下一定範囲において前記シート状物3を所要長さ逆送りさせかつ前記上下一定範囲の上流側と下流側とで前記シート状物3の搬送停止を維持させることを特徴とする。
【0009】
これにより、シート状物検査機1に簡単な逆送手段9を付加するだけで、シート状物3を部分的に逆送りさせることにより各検査部2をもれなくラインスキャンできる。
また、シート状物3が1次側移動ローラ13と2次側移動ローラ14との間でのみ搬送され1次側移動ローラ13の上流側及び2次側移動ローラ14の下流側で停止されるように、逆送手段9に1次側送りローラ10、2次側送りローラ12、1次側移動ローラ13、2次側移動ローラ14及びローラフレーム15を設けるだけで、シート状物3の搬送を開始する前にセンサ6の検出部位Xに位置するシート状物3を所要長さ逆送りさせることができる。
【0010】
さらに、検査部2(ラベル16)の異常を感知してシート状物3の搬送を停止した際に、異常のある検査部2(ラベル16)を除去することができ、シート状物3全体を逆送りすることがないため、スリッタ装置18によってシート状物3を搬送方向に沿って列ごとに分けることができる。
そして、センサ6の検出部位Xに位置するシート状物3のみを所要長さ逆送りさせるだけで、シート状物3全体を逆送りすることなく各検査部2をもれなくラインスキャンできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、検査部の異常を感知して又はその他の理由によりシート状物の搬送を停止し、その後にシート状物の搬送を再開する際に、シート状物を全体ではなく、部分的に所要長さだけ逆送りさせることにより、簡単かつ速やかにラインスキャンが開始できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1〜3は、本発明に係るシート状物検査機1の一実施形態を示している。
このシート状物検査機1は、検査部2であるラベル16が一定間隔ごとに貼付された連続用紙などのシート状物3における各ラベル16の異常を検査するものである。各ラベル16の異常とは、ラベル16の印刷の汚れ、異物付着、ゆがみ、欠け、位置ずれ、脱落、濃淡のムラ、目詰まり、ピンホール、ボイド、バリ等である。
シート状物検査機1は、機枠19と、この機枠19の一側部(巻出部20)に設けられた支軸4Aに回動可能に支持されてシート状物3が巻き掛けられた巻出ローラ4と、この巻出ローラ4から巻き出されたシート状物3を案内する複数の案内ローラ21、…、21と、機枠19の他側部(巻取部22)に設けられた支軸5Aに回動可能に支持されてシート状物3を巻き取る巻取ローラ5とを備えている。
【0013】
また、これらの巻出ローラ4及び巻取ローラ5は、機枠19の巻出部20及び巻取部22に設けられた張力調整装置23によって、シート状物3の張力を一定に保つように制御されている。
なお、シート状物3の搬送経路上における巻出ローラ4により近い側を1次側または上流側とし、巻取ローラ5により近い側を2次側または下流側とする。また、シート状物3にラベル16が貼付されている面をシート状物3の表面とし、その反対側の面をシート状物3の裏面とする。
【0014】
さらに、シート状物検査機1は、巻出ローラ4及び巻取ローラ5の間に、シート状物3のラベル16の画像を写すラインスキャン型のセンサ6と、このセンサ6の画像情報に基づいてラベル16の異常を感知する感知判断装置7と、シート状物3を搬送する搬送装置8とを備えている。
センサ6は、ラインスキャン型のCCDカメラであって、シート状物3の搬送方向に直交する1ライン分の画素を、連続して搬送方向に繋ぎ合わせることでラベル16の画像を取得する。また、センサ6は、機枠19の巻出部20上方に立設された直方体状のセンサフード24の上端に、センサ6のレンズ部分がシート状物3の検出部位Xに正対するように鉛直下向きに取り付けられている。つまり、センサ6の焦点と検出部位Xとを結ぶ直線Yが鉛直下向きとなっている。
【0015】
また、センサフード24の下部には、シート状物3の検出部位Xに向けて斜め下方にLED照明25が取り付けられている(つまり、LED照明25の照射方向を示す直線Zは直線Yに対して傾斜している)。このLED照明25は、シート状物3のラベル16の検査作業中、連続してシート状物3の検出部位Xを露光している。なお、LED照明25は、シート状物3の搬送に同期して、センサ6によって1ライン分の画素を取得するごとにシート状物3の検出部位Xを断続的に露光するものとしてもよい。
また、LED照明25は、センサフード24付近の機枠19上方に載置されたLED電源26に接続されている。
【0016】
感知判断装置7は、センサ6により取得された各ラベル16の画像情報を、そのラベル16の基準画像、つまり良品の画像と対比することによって、各ラベル16の異常の存否を判断するものである。また、感知判断装置7は、センサ6によって異常を感知されたラベル16を除去する除去処理部17と、センサ6から送られてくる画像情報を表示するモニタ27と、このモニタ27下方に配設された2つのコンソールパネル28と、パソコン本体(図示省略)とを有している。
除去処理部17は、機枠19の中央に設けられシート状物3を水平方向に送る台であって、後述する2次側移動ローラ14の下流側に位置している。除去処理部17の上方は開放されているため、作業者は、シート状物3の目視が可能であり、除去処理部17上にて搬送停止したシート状物3のラベル16を剥がす、取り替える等の処理ができる。
【0017】
モニタ27は、機枠19の中央上部に設置されており、センサ6が取得したラベル16の画像情報、及び異常が感知されたラベル16の詳細画像等を表示するものである。また、モニタ27は、異常が感知されたラベル16のシート状物3の搬送経路における位置をその下部に表示する機能を持つ。
コンソールパネル28には、シート状物3の搬送状況を示すカウンタ、シート状物3の蛇行状況等を示す各表示ランプ、巻取ローラ5の内巻、外巻を切り替える等の各ツマミ、電源スイッチ及び非常停止ボタンなどが配置されている。
【0018】
なお、感知判断装置7は、停電時でもしばらくの間、電気を供給する無停電電源装置(UPS)29を備えている。
搬送装置8は、シート状物3の搬送経路に沿って上流側から順に、逆送手段9と、蛇行修正装置30と、駆動装置31と、スリッタ装置18とを有している。
逆送手段9は、機枠19においてセンサフード24下方かつ巻出部20上方に位置する逆送部32に設けられている。また、逆送手段9は、1次側送りローラ10と、この1次側送りローラ10と相まってセンサ6の正面にシート状物3を正対させるように配置された2次側送りローラ12と、1次側送りローラ10の上流側に配置された1次側移動ローラ13と、2次側送りローラ12の下流側に配置された2次側移動ローラ14と、1次側移動ローラ13及び2次側移動ローラ14を支持した往復移動可能なローラフレーム15とを備えている。
【0019】
1次側送りローラ10は、センサフード24直下であって逆送部32上部の一端側に正逆回転自在に支持されており、上述したセンサ6の鉛直下方に配置されている。また、1次側送りローラ10の最頂部が、センサ6の検出部位Xとなっている。
2次側送りローラ12は、逆送部32上部の他端側であって1次側送りローラ10と略同じ高さに正逆回転自在に1次側送りローラ10と軸心を平行にして支持されている。また、2次側送りローラ12は、シート状物3を上方からローラで押え、そのローラの回転角度等を感知して搬送距離及び搬送速度の情報を取得するエンコーダ11を有している。このエンコーダ11によって、センサ6の検出部位Xが位置する上下一定範囲においてシート状物3が正逆方向に搬送された距離及び速度を取得できる。
【0020】
1次側移動ローラ13は、1次側送りローラ10の上流側かつ他端寄り下方にその軸心と平行となるように配置されている。また、2次側移動ローラ14は、2次側送りローラ12の下流側かつ一端寄り下方にその軸心と平行となるように配置されている。
これら1次側移動ローラ13及び2次側移動ローラ14は、1次側送りローラ10及び2次側送りローラ12よりも狭い間隔で略同じ高さに正逆回転自在にローラフレーム15に支持されている。
このローラフレーム15は、逆送部32の中央に配置されており、1次側送りローラ10及び2次側送りローラ12の軸心を結ぶ中心線H、つまり水平方向に沿って往復移動可能に設けられている。また、ローラフレーム15は、回転モータ、リニアモータ等の駆動手段33によって、シート状物3の両側外方に水平方向に設けられた一対のガイドレール34に沿って移動できる。
【0021】
なお、ローラフレーム15の往復移動方向をFとする。
また、1次側移動ローラ13の上流側かつ一端寄り下方であって1次側送りローラ10の鉛直下方には、1次側支えローラ35が1次側移動ローラ13の軸心と平行となるように逆送部32下部の一端側に回転自在に支持されている。一方、2次側移動ローラ14の下流側かつ他端寄り下方であって2次側送りローラ12の鉛直下方には、2次側支えローラ36が2次側移動ローラ14の軸心と平行となるように逆送部32下部の他端側に回転自在に支持されている。
【0022】
つまり、1次側送りローラ10、1次側支えローラ35、2次側支えローラ36及び2次側送りローラ12は、シート状物3の幅方向から見て水平方向に長い長方形状(矩形状)に配置され、その長方形の内側に1次側移動ローラ13及び2次側移動ローラ14が水平方向に往復移動可能に配置されている。
また、シート状物3は、巻出ローラ4から巻き出された後、案内ローラ21を介して、逆送手段9における1次側支えローラ35にシート状物3の裏面側が巻き掛けられる。次に、シート状物3は、逆送手段9において上流側から順に、1次側移動ローラ13にシート状物3の表面側、1次側送りローラ10にシート状物3の裏面側、2次側送りローラ12にシート状物3の裏面側、2次側移動ローラ14にシート状物3の表面側及び2次側支えローラ36にシート状物3の裏面側が、S字状にジグザグに巻き掛けられている。このとき、1次側送りローラ10及び2次側送りローラ12間において、シート状物3は、センサ6に対して正対するように水平方向に掛け渡されている。
【0023】
したがって、ローラフレーム15を往復移動させることで、1次側移動ローラ13の上流側及び前記2次側移動ローラ14の下流側でシート状物3を停止されたままで、1次側移動ローラ13と前記2次側移動ローラ14との間でシート状物3を正逆方向に搬送させることができる。
つまり、シート状物3の搬送を停止した際に、センサ6の検出部位Xが位置する上下一定範囲においてシート状物3を所要距離だけ逆送り又は正送りさせると同時に、上下一定範囲の上流側と下流側とでシート状物3の搬送停止を維持させることができる。
【0024】
このとき、ローラフレーム15の往復移動による、1次側移動ローラ13及び1次側支えローラ35間において掛け渡されたシート状物3の搬送方向の長さの増加分(または減少分)と、2次側移動ローラ14及び2次側支えローラ36間において掛け渡されたシート状物3の搬送方向の長さの減少分(または増加分)とが一致している。
これは、1次側送りローラ10及び2次側送りローラ12の軸心を結ぶ中心線Hと、1次側移動ローラ13及び2次側移動ローラ14の軸心を結ぶ中心線Mと、1次側支えローラ35及び2次側支えローラ36の軸心を結ぶ中心線Lと、ローラフレーム15の往復移動方向Fとが互いに平行となるように逆送手段9を構成しているためであるが、ギヤ比の変更その他機構上の仕組みによって、シート状物3における、1次側移動ローラ13及び1次側支えローラ35間の増減と、2次側移動ローラ14及び2次側支えローラ36間の減増とを一致させてもよい。
【0025】
なお、ローラフレーム15の往復移動によって、1次側送りローラ10の逆送部32一端側と1次側支えローラ35の逆送部32一端側とを結ぶ直線よりも逆送部32一端寄りへ1次側移動ローラ13が動いた場合には、1次側移動ローラ13に巻き掛けられていたシート状物3がはずれ、2次側送りローラ12の逆送部32他端側と2次側支えローラ36の逆送部32他端側とを結ぶ直線よりも逆送部32他端寄りへ2次側移動ローラ14が動いた場合には、2次側移動ローラ14に巻き掛けられていたシート状物3がはずれるため、ローラフレーム15の往復範囲は、1次側送りローラ10と2次側送りローラ12との間に限られる。
【0026】
蛇行修正装置30は、図示しないエッジセンサによりシート状物3の幅方向両端が常時検出し、2つの蛇行防止ローラ37をシート状物3の幅方向に移動させることで、シート状物3の蛇行を防止するようになっている。また、シート状物3は、逆送手段9の2次側支えローラ36から巻き出された後、案内ローラ21を介して、蛇行修正装置30の蛇行防止ローラ37に巻き掛けられている。
駆動装置31は、シート状物3の下方に位置する支え駆動ローラ38と、シート状物3の上方に位置する押え駆動ローラ39とからなり、シート状物3を上下から挟み込みながら搬送方向に駆動力を与えている。また、シート状物3は、蛇行修正装置30の蛇行防止ローラ37から巻き出された後、3つの案内ローラ21及び除去処理部17を介して、駆動装置31の支え駆動ローラ38及び押え駆動ローラ39の間に挟まれている。
【0027】
スリッタ装置18は、シート状物3の下方に位置するスリッタ下刃40と、シート状物3の上方に位置しリンク41を介して機枠19に揺動可能に枢支されたスリッタ上刃42とからなり、シート状物3を上下から挟み込み搬送方向に沿って切断するものである。
また、シート状物3は、駆動装置31から巻き出された後、案内ローラ21を介して、スリッタ装置18のスリッタ下刃40及びスリッタ上刃42の間に挟まれており、スリッタ装置18に切断された後の短冊状の各シート状物3は、必要に応じてそれぞれ巻き取られている。
【0028】
なお、スリッタ上刃42を上方に揺動させて保持しシート状物3を切断しなくてもよく、その場合にシート状物3は、案内ローラ21を介して、巻取ローラ5に巻き取られている。
続いて、シート状物検査機1の使用態様、つまりシート状物検査方法を説明する。
ラベル16の検査作業を開始する際には、まずシート状物3のロールを巻出ローラ4の支軸4Aに取り付け、シート状物3の先端を逆送手段9、蛇行修正装置30、駆動装置31及びスリッタ装置18に掛け渡した後、巻取ローラ5の支軸5Aに取り付ける。次に、張力調整装置23により一定の張力を保ちながらシート状物3に駆動力を与え、搬送を開始する。そして、センサ6は、検出部位Xに到達したラベル16の画像情報を順次取得していく。
【0029】
検査作業中にシート状物3のいずれかのラベル16に異常が感知された場合、異常が感知されたラベル16があったことと、そのラベル16がセンサ6正面から除去処理部17まで搬送されている様子とを、感知判断装置7のモニタ27下部の表示にて作業者に知らせる。
異常が感知されたラベル16が除去処理部17に差し掛かかった際に、感知判断装置7は、駆動装置31の回転駆動を止め、巻出ローラ4から巻取ローラ5までの間のシート状物3全体の搬送を停止する。
【0030】
シート状物3全体の搬送を停止している間に、作業者は、除去処理部17におけるラベル16の異常を目視にて特定し、当該ラベル16に対して、除去する、取り替える又は切断して繋ぎ合わせる等の修正作業を行うことができる。
また、シート状物3全体の搬送を停止した際には、センサ6正面の検出部位Xにてラベル16がラインスキャン途中で停止されているものの、シート状物3全体を搬送することなく、逆送手段9によって、センサ6の検出部位Xが位置する上下一定範囲におけるシート状物3の一部分のみを所要長さ逆送りさせる。これと同時に、その一部分以外である上下一定範囲の上流側と下流側とにおいてはシート状物3の搬送停止を維持させる。
【0031】
つまり、逆送手段9のローラフレーム15は、通常時において逆送部32の一端寄りに配置されているが、シート状物3全体の搬送を停止した際にローラフレーム15をガイドレール34に沿って逆送部32の他端寄りへ所要長さだけ直線移動させることで、センサ6の検出部位Xが位置する上下一定範囲におけるシート状物3の一部分(1次側移動ローラ13から2次側移動ローラ14までの間に巻き掛けられているシート状物3の一部分)が、搬送方向とは逆の方向へ所用長さだけ戻される。これと同時に、1次側移動ローラ13よりも上流側及び2次側移動ローラ14よりも下流側におけるシート状物3が搬送されることはない。
【0032】
ここで、所用長さは、少なくとも1個分のラベル16を逆送りさせるのに十分な距離として一律に約50cmとしている。なお、ラベル16の搬送方向の長さは、一般的に大きくても約30cmである。また、これよりもさらに大きいラベル16を検査する場合であっても、その搬送方向の長さよりも一定量長い距離を所要長さとすればよい。
このようにすることで、修正作業及び逆送り終了後には、再び各ラベル16をもれなくラインスキャンすることが可能となり、シート状物3の搬送を再開することができる。
また、シート状物3の搬送を再開しシート状物3のラベル16の検査作業を再び始めた後に、ローラフレーム15をガイドレール34に沿って逆送部32の一端寄りへ直線移動させ、通常時におけるローラフレーム15の待機位置に戻す。
【0033】
なお、ローラフレーム15を戻すことで、センサ6の検出部位Xが位置する上下一定範囲におけるシート状物3の一部を搬送方向に余計に送り出す(つまり、増速されている)こととなるが、エンコーダ11によってシート状物3搬送の増速分もつねに検出されている同時に、検査作業におけるシート状物3の通常の搬送速度は、センサ6がラインスキャン可能な範囲でのシート状物3の最高搬送速度に対して十分低く設定されているため、シート状物3の検査作業に影響を及ぼさない。
上述したように、従来のシート状物検査機に簡単な機構である逆送手段9を後付けし、部分的に所要長さだけ逆送りさせるだけで、ラベル16の異常又は様々な理由(シート状物3のつなぎ部を示す赤ライン等を感知した場合など)によりシート状物3の搬送が停止され、そのあとシート状物3の搬送を再開する際に伴うラインスキャンの不具合を解消できる。また、シート状物検査機1の構造を複雑化させることなく、その製造コストを抑えることができる。
【0034】
さらに、シート状物3全体を逆送りさせないため、シート状物3の二度切りの問題が解消され、シート状物検査機1にスリッタ装置18を組み込むことが可能となる。
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
検査部2は、印刷済み部分、またはICチップ等であってもよい。
シート状物3は、フィルムテープであってもよい。
センサ6は、フォトダイオード、または投光器によってシート状物3の下方から光を照射して透過光を検出するラインセンサであってもよい。
【0035】
LED照明25のかわりに、シート状物3の幅にわたって十分な光量を照射できるような水銀ランプ、アークランプ、ハロゲンランプ等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るシート状物検査機の正面図である。
【図2】シート状物検査機の要部を示した正面図である。
【図3】シート状物検査機の平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 シート状物検査機
2 検査部
3 シート状物
4 巻出ローラ
5 巻取ローラ
6 センサ
7 感知判断装置
8 搬送装置
9 逆送手段
10 1次側送りローラ
11 エンコーダ
12 2次側送りローラ
13 1次側移動ローラ
14 2次側移動ローラ
15 ローラフレーム
16 ラベル
17 除去処理部
18 スリッタ装置
X 検出部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定間隔ごとに検査部(2)を有するシート状物(3)を巻き出す巻出ローラ(4)及び巻き取る巻取ローラ(5)を備え、これら巻出ローラ(4)及び巻取ローラ(5)間に前記シート状物(3)の前記検査部(2)の画像を写すラインスキャン型のセンサ(6)と、このセンサ(6)の画像情報に基づいて前記検査部(2)の異常を感知する感知判断装置(7)と、前記シート状物(3)を搬送する搬送装置(8)とが設けられ、
前記搬送装置(8)は、前記シート状物(3)の搬送を開始する前に前記センサ(6)の検出部位(X)に位置する前記シート状物(3)を所要長さ逆送りさせる逆送手段(9)を有していることを特徴とするシート状物検査機。
【請求項2】
前記逆送手段(9)は、1次側送りローラ(10)と、この1次側送りローラ(10)と相まって前記センサ(6)の正面に前記シート状物(3)を正対させるように配置されていてエンコーダ(11)を有する2次側送りローラ(12)と、前記1次側送りローラ(10)の上流側に配置された1次側移動ローラ(13)と、前記2次側送りローラ(12)の下流側に配置された2次側移動ローラ(14)と、前記1次側移動ローラ(13)及び前記2次側移動ローラ(14)を前記1次側送りローラ(10)及び前記2次側送りローラ(12)よりも狭い間隔で支持しかつ前記1次側送りローラ(10)及び前記2次側送りローラ(12)の軸心を結ぶ中心線(H)に沿って往復移動可能なローラフレーム(15)とを備え、
前記シート状物(3)は、前記ローラフレーム(15)を移動することにより前記1次側移動ローラ(13)と前記2次側移動ローラ(14)との間で搬送され、そのとき前記1次側移動ローラ(13)の上流側及び前記2次側移動ローラ(14)の下流側で停止されていることを特徴とする請求項1に記載のシート状物検査機。
【請求項3】
前記検査部(2)は、前記シート状物(3)に一定間隔ごとに貼付されたラベル(16)であり、
前記感知判断装置(7)は、前記2次側移動ローラ(14)の下流側に設けられていて前記センサ(6)によって異常を感知された前記ラベル(16)を除去する除去処理部(17)を有し、この除去処理部(17)の下流側に前記シート状物(3)を搬送方向に沿って切断するスリッタ装置(18)を備えていることを特徴とする請求項2に記載のシート状物検査機。
【請求項4】
一定間隔ごとに検査部(2)を有するシート状物(3)を搬送させながら、ラインスキャン型のセンサ(6)の画像情報に基づいて前記検査部(2)の異常を感知するシート状物検査方法であって、
前記検査部(2)の異常を感知したときに前記シート状物(3)の搬送を停止し、
前記シート状物(3)の搬送を再開する前に、前記センサ(6)の検出部位(X)が位置する上下一定範囲において前記シート状物(3)を所要長さ逆送りさせかつ前記上下一定範囲の上流側と下流側とで前記シート状物(3)の搬送停止を維持させることを特徴とするシート状物検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−101796(P2010−101796A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274390(P2008−274390)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【特許番号】特許第4456647号(P4456647)
【特許公報発行日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(390013491)三起機械株式会社 (7)
【Fターム(参考)】