説明

シート積載装置、シート処理装置及び画像形成装置

【課題】トレイの厚みを薄くし、その分、トレイが実際に昇降できる距離を長くして、トレイに積載されるシートの枚数を多くすること。
【解決手段】シート積載装置101は、排出ローラ対26から排出されたシートを積載する、昇降可能な上部トレイ21b及び下部トレイ21cと、両方のトレイを昇降させるモータ103及びベルト105と、上部トレイとベルトとの連結を断つクラッチ111と、クラッチが前記連結を断つとき、上部トレイの自重下降を阻止する爪及びラック128とを備えている。クラッチが前記連結を断たれ、かつ爪がラックに係合して自重下降を阻止された上部トレイと、ベルトに連結している下部トレイとの間隔を、モータによる下部トレイの昇降によって調整可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを積載するシート積載装置と、処理をしたシートをシート積載装置に積載するシート処理装置と、シート積載装置を装置本体に備えて画像形成したシートをシート積載装置に積載する画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機、レーザービームプリンタ、インクジェットプリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機器等の画像形成装置は、画像形成したシートを積載するシート積載装置を装置本体に備えている。
【0003】
そして、シート積載装置は、シート排出部から排出された画像形成済みのシートを積載する積載手段としてのトレイを複数段、昇降可能に備えている。この場合、複数段の各トレイは、モータを備えて、各々昇降するようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−114984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のシート積載装置は、複数段の各トレイにモータが設けられているため、トレイの昇降方向の厚みが厚くなり、その分、トレイが実際に昇降できる距離が短くなり、トレイに積載するシートの積載枚数が少なくなるという課題があった。
【0006】
本発明は、トレイの厚みを薄くし、その分、トレイが実際に昇降できる距離を長くして、トレイに積載されるシートの枚数を多くしたシート積載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート積載装置は、シート排出部から排出されたシートを積載する昇降可能な複数の積載手段と、前記複数の積載手段を昇降させる駆動手段と、前記複数の積載手段の内、少なくとも1つの積載手段と前記駆動手段との間に設けられて、前記少なくとも1つの積載手段と前記駆動手段との連結を断つことが可能な遮断手段と、前記遮断手段が前記駆動手段との連結を断つとき、前記遮断手段により前記駆動手段との連結を断たれた積載手段の自重下降を阻止する下降阻止手段とを備え、前記遮断手段によって前記駆動手段との連結を断たれ、かつ前記下降阻止手段によって自重下降を阻止された状態の積載手段と、前記駆動手段によって昇降可能な他の積載手段との間隔を、前記他の積載手段の昇降によって調整可能である、ことを特徴としている。
【0008】
本発明のシート処理装置は、シートを処理するシート処理手段と、前記シート処理手段によって処理されたシートを積載する上記のシート積載装置と、を備えている。
【0009】
本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって形成されたシートを積載する上記のシート積載装置と、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート積載装置は、遮断手段によって駆動手段との連結を断たれ、かつ下降阻止手段によって自重下降を阻止された状態の積載手段と、駆動手段によって昇降可能な他の積載手段との間隔を、他の積載手段の昇降によって調整可能になっている。この場合、駆動手段は、各積載手段に対して共通の駆動手段である。このため、各積載手段に駆動手段を設ける必要がなく、積載手段の昇降方向の厚みを薄くすることができる。この結果、本発明のシート積載装置は、積載手段同士の間隔を広げることができて、シートの積載枚数を増やすことができる。
【0011】
本発明のシート処理装置は、シートの積載枚数を増やすことのできるシート積載装置を備えているので、積載手段からシートを取り出す回数が少なくなり、取扱いが容易になる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、シートの積載枚数を増やすことのできるシート積載装置を備えているので、積載手段からシートを取り出す回数が少なくなり、取扱いが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート積載装置を備えたシート処理装置及び画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】上記シート処理装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図3】上記シート積載装置のクラッチ周辺の図である。
【図4】上記シート積載装置の爪とラックとの係合状態を示した図である。
【図5】上記シート処理装置の制御ブロック図である。
【図6】上記シート積載装置の動作説明図であり、上部トレイを昇降できない状態にして下部トレイを上部トレイに接近させた図である。
【図7】上記シート積載装置の動作説明図であり、下部トレイが上部トレイ下降可能領域にいるときの状態図である。
【図8】上記シート積載装置の図7に続いた動作説明図であり、上部トレイにシートを積載している状態の図である。
【図9】上記シート積載装置のシート積載制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態におけるシート積載装置と、このシート積載装置を備えたシート処理装置と、このシート処理装置を装置本体に備えた画像形成装置とを図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係るシート処理装置を装置本体に備えた画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【0016】
図1において、画像形成装置Aは、画像形成装置Aの装置本体A1、装置本体A1の側方に接続されたシート処理装置B、装置本体A1の上部に設けられた画像読取装置11等で構成されている。なお、シート処理装置Bは、シート積載装置101、端綴じステイプラ31、製本装置35及びパンチユニット60等を備えてオプションとして装置本体A1に離脱できるように接続されているが、装置本体A1内に組み込まれていてもよい。また、画像形成装置Aは、シート処理装置Bを備えないで、装置本体A1にシート積載装置101を備えて、そのシート積載装置101に画像形成したシートを積載してもよい。なお、画像読取装置11は、必ずしも必要としない。
【0017】
画像形成装置本体A1は、画像形成部2と給紙部1とを備え、給紙部1からシートPを画像形成部2に送り、画像形成部2でシートに画像を形成した後、排紙口3から排出するようになっている。給紙部1は、給紙カセット1a,1bに収納された複数サイズのシートPのうち、指定されたシートPを1枚ずつ分離して画像形成部2に給送するようになっている。画像形成部2は、例えば感光体ドラム4と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)5と、現像器6と、転写チャージャ7と、定着器8等を備えている。
【0018】
画像読取装置11は、プラテン12上にセットした原稿をスキャンユニット13で走査し、図示しない光電変換素子で電気的に読み取るようになっている。また、画像読取装置11は、積載トレイ16に収容した原稿Gをプラテン12に給送するフィーダ装置15を備えており、フィーダ装置により、原稿Gをプラテンに搬送し、スキャンユニット13を走査することにより、原稿画像を読み取るようにもなっている。画像読取装置11が読み取った画像データは、画像処理部で、例えばデジタル処理された後、データ記憶部14に転送されて、レーザ発光器5に画像信号を送られる。
【0019】
そして、レーザ発光器5は、受け取った画像信号に応じてレーザ光を感光体ドラム4上に照射して感光体ドラム4上に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像器6でトナー現像されて、トナー画像になる。この後、トナー画像は、転写チャージャ7によってシートに転写される。トナー画像が転写されたシートPは、定着器8で加熱加圧されて、トナー画像が定着される。このようにして、トナー画像が定着されたシートPは、排紙口3から順次、シート処理装置Bに搬出される。
【0020】
なお、図1において、循環経路9は、シートの両面に画像を形成する際、定着器8から表面側に画像形成されたシートPを、定着器8からスイッチバック経路10で表裏反転して、再び画像形成部2に給送し、シートPの裏面側に画像形成するための経路である。循環経路9によって、両面に画像を形成されたシートPは、この後、排紙口3からシート処理装置Bに搬出される。
【0021】
図2において、シート処理装置Bは、画像形成装置Aの装置本体A1で設定されたモードに応じて、装置本体A1から搬出されたシートを順に取り込み、整合処理、ステイプル処理、孔あけ処理及び製本処理の4つの処理を選択的に行えるようになっている。
【0022】
整合処理は、後述する処理トレイ29に積載されたシートを排出ローラ対26と不図示のサイド整合板とストッパ32とでシートの側端と後端(図2において右端)を整合する処理である。ステイプル処理は、処理トレイ29上に整合処理されたシート束をシート処理手段としての端綴じステイプラ31によってステイプルする(綴じる)処理である。孔あけ処理は、シート処理手段としてのパンチユニット60によってシートに孔をあける処理である。製本処理は、サドル22に縦にして保持されたシート束の中間部分を中綴じステイプラ33でステイプルし、折り装置34で折り曲げて、シート束を冊子状にする処理である。サドル22、中綴じステイプラ33及び折り装置34は、シート処理手段としての製本装置35を形成している。
【0023】
シート処理装置Bは、画像形成されたシートをそのまま排出する場合、サンプルトレイ21aに排出する。また、シート処理装置Bは、整合処理、ステイプル処理、孔あけ処理のいずれかの処理をした場合、処理したシートを上部トレイ21b、下部トレイ21cに排出する。そして、シート処理装置Bは、製本処理をしたとき、冊子状のシート束を製本排出ローラ対28によって、サドルトレイ22に排出するようになっている。
【0024】
画像形成装置Aの装置本体A1の排紙口3には、シート処理装置Bの搬入口23aが対向している。シート処理装置Bのケーシング20には、搬入口23aからケーシングを横断するように直線的に延びる第1搬入経路R1が設けられている。第1搬入経路R1には、搬入口23aから搬送されてきたシートを、サンプルトレイ21aに案内する第2搬入経路R2と、製本装置35に案内する第3搬入経路R3とが分岐されている。符号BPは、分岐部を示している。経路切換部材24は、分岐部BPに設けられて、設定されたモードに応じて傾動して、搬入口23aからのシートを処理トレイ29にそのまま案内するか、或いは、第2搬入経路R2と第3搬入経路R3のいずれかに案内するようになっている。
【0025】
第3搬入経路R3は、シートを製本装置35に案内するパスであるとともに、処理トレイ29上でステイプル処理を行なわれているとき、シート搬入口23aから送られた後続シートを一時的に滞留させる待機部も兼ねている。すなわち、ステイプル処理中に送られてきた後続シートは、搬送ローラ対25とバッファローラ対27によって、第1搬送経路R1からの第3搬入経路R3にスイッチバック搬送されて、第3搬入経路R3に滞留される。この場合、後続シートは、ステイプル処理時間に応じて、複数枚滞留される。そして、処理トレイ29上のステイプル処理されたシート束が排出されると、複数枚の後続シートは、重なったまま、バッファローラ対27と排出ローラ25によって、処理トレイ29に搬送される。なお、パンチ孔形成動作の際、分岐点BPを通過したシートを逆方向に搬送して第3搬送経路R3に搬入させる正逆転可能なシート搬送部として、バッファローラ対27と排出ローラ25とが構成されている。
【0026】
なお、孔をあけられるシートは、第3搬入経路R3に搬入されてパンチユニット60によって孔あけされる。
【0027】
第1搬入経路R1の終端25aの下方には、処理トレイ29が配置されている。処理トレイ29のシート排出方向上流側(図2において右側)には、シート束の端部を綴じる端綴じステイプラ31等が設けられている。
【0028】
処理トレイ29は、シート排出方向上流側が低くなるように傾斜している。さらに、処理トレイ29のシート排出方向上流側である上流端には、排出されたシートのシート排出方向上流側端である後端を受け止めてシートのシート排出方向の位置を規制するストッパ32が設けられている。処理トレイ29に積載されたシートは、排出ローラ対26と処理トレイ29の傾斜とにより後端をストッパ32に受け止められて、綴じ位置に位置決めされ、端綴じステイプラ31によって後端を綴じられる。
【0029】
排出ローラ対26は、処理トレイ29の下流側端部に設けられた固定ローラ26bと、処理トレイ29の上方に揺動自在に設けられた揺動ガイド133に設けられて、固定ローラ26bに接離する可動ローラ26aとにより構成されている。排出ローラ対26は、可動ローラ26aが固定ローラ26bから離れた状態で、処理トレイ29にシートを受け入れ、そのシートを可動ローラ26aと固定ローラ26bとで挟み、可動ローラ26aが回転してシートの後端をストッパ32に当接させる。また、処理トレイ29に設けられた不図示のサイド整合板がシートの両側端部を整合する。シートが処理トレイ29に積載される度に、これらの動作が繰返されて、束状になったシート(シート束)は、整合処理されたことになる。そして、排出ローラ対26は、逆転して、シートを上部トレイ21bまたは下部トレイ21cにシートを排出する。なお、排出ローラ対26は、シートを排出するため、シート排出部となっている。
【0030】
ところで、シート処理装置Bの上部トレイ21bと下部トレイ21cは、ケーシング20に上下方向の向きに設けられた不図示の案内機構に案内されて、昇降できるようになっている。
【0031】
以下、積載手段及び上部積載手段としての上部トレイ21bと、積載手段及び下部積載手段としての下部トレイ21cとを備えたシート積載装置101について説明する。
【0032】
シート積載装置101は、上部トレイ21b及び下部トレイ21cとを昇降させる共通の駆動源102を備えている。駆動手段としての駆動源102は、正転逆転するモータ103と、複数の滑車104と、モータ103に設けた駆動ローラ107よって回転し滑車104に案内されるベルト105とを備えている。モータ103に設けられた駆動ローラ107にブレーキ108が設けられており、このブレーキ108によって、ベルト105が不必要に回転しないようになっている。
【0033】
下部トレイ21cは、ブラケット106によってベルト105に直接、固定(連結)されている。このため、下部トレイ21cは、ベルト105の回転にともなって、常時昇降可能になっている。
【0034】
上部トレイ21bは、図3に示すように、クラッチ111を有している。クラッチ111は、大径ローラ112を備えている。上部トレイ21bには、大径ローラ112に対向して上下方向に2つの小径ローラ113が設けられている。大径ローラ112と2つの小径ローラ113は、ベルト105を挟んでいる。大径ローラ112は、クラッチ111が作動していないとき回転自在になり、クラッチ111が作動しているとき回転止めされる。このため、上部トレイ21bは、クラッチ111が作動しているとき大径ローラ112が回転止めされてベルト105の回転にともなって昇降し、クラッチ111が作動していないとき大径ローラ112が回転自在になり、ベルト105が回転しても昇降しない。すなわち、クラッチ111は、作動状態で上部トレイ21bにモータ103の昇降駆動を伝達し、非作動状態で上部トレイ21bへのモータ103の昇降駆動を断つ(遮断する)ようになっている遮断手段である。
【0035】
なお、クラッチ11の代わりにベルト105を掴むグリッパを使用してもよい。したがって、遮断手段は、クラッチ11に限定されない。
【0036】
また、ベルト105は、平ベルト、丸ベルトのいずれであってもよい。さらに、ベルト105の代わりにワイヤやチェーンを使用してもよい。チェーンを使用した場合、大径ローラ112の代わりに大径スプロケット、小径ローラ113の代わりに小径スプロケットを使用する。チェーンとスプロケットを使用した場合、チェーンとスプロケットとの間にスリップを生じることがないので、上部トレイ21bに多数枚のシートが積載されても、シートの重みによって、上部トレイ21bがスリップ下降することを防止することができる。
【0037】
ところで、クラッチ111が非作動状態になると、上部トレイ21bが自重によって下降し、下部トレイ21cに重なり、双方の少なくとも一方が破損するおそれがある。そこで、クラッチ111が非作動状態になっても、上部トレイ21bが自重によって下降しないようにする(自重下降を阻止する)、図4に示す下降阻止手段としてのストッパ機構121が上部トレイ21bとケーシング20との間に設けられている。
【0038】
ストッパ機構121は、上部トレイ21bに設けられたソレノイド122、スピンドル123、爪124及び引張スプリング125と、ケーシング20に固定されたラック124と等で構成されている。
【0039】
爪124の中間部分は、上部トレイ21bに設けられた軸126に回転自在に設けられている。爪124の一端にスピンドル123が回転自在に連結されている。爪124の他端と上部トレイ21bとの間に引張スプリン125が設けられている。爪124には、水平面124aと傾斜面124bとが形成されている。
【0040】
ラック128に歯129が上下方向に多数形成されている。歯129にも、水平面129aと傾斜面129bとが形成されている。水平面129aと傾斜面129bは、交互に形成されている。
【0041】
ストッパ機構121のソレノイド122が非作動状態(非通電状態)の場合、爪124は、引張スプリング125に引かれて、軸126を中心に図4において右回転し、ラック128に係合している。この状態において、上部トレイ21bが自重によって下降しようとしても、爪124の水平面124aがラック128の歯129の水平面129aに受け止められて、上部トレイ21bの下降が阻止される。
【0042】
ソレノイド122に電流が流れて、ソレノイド122が作動状態になると、スピンドル123はソレノイド122に吸引される。すると、爪124は、引張スプリング125に抗して、図4において軸126を中心に左回転して、ラック128から離れて、ラック128との係合を解除する。
【0043】
図5に示すように、シート処理装置を制御するCPU200には、次のセンサが接続されている。
【0044】
上部トレイ21bが上部トレイ待機位置H1にいるか否かを検知する待機位置検知センサS1。下部トレイ21cが下部トレイ下降限度位置H2にいるか否かを検知する下部トレイ下限位置検知センサS2。下部トレイ21cにシートが積載されているか否かを検知する下部積載シート検知センサS3。排出ローラ対26から排出されるシートを積載しやすい位置に上部トレイ21b及び下部トレイ21cを位置決めするシート排出位置センサS4。上部トレイ21bが上部トレイ下降可能領域Wの下限位置にいるか否かを検知する上部トレイ下降領域検知センサS5。上部トレイ21bにシートが積載されているか否かを検知する上部積載シート検知センサS6。サドルに冊子状のシート束が積載されているか否かを検知するシート束検知センサS7。画像形成装置本体A1から排出されたシートを検知する入口センサS8。第1搬入経路R1の終端25aから排出されるシートを検知する排出検知センサS9。下部トレイ21cが上部トレイ下降可能領域Wにいるか否かを検知する下部トレイエリアセンサS10。
【0045】
さらに、CPU200には、クラッチ111、ソレノイド122及び操作パネル140(図1)も接続されている。
【0046】
また、CPU200には次のモータが接続されている。ベルト105を駆動するモータ103。各ローラを回転させるモータM1。端綴じステイプラ31を作動させるモータM2。中綴じステイプラ33を作動させるM3。折り装置34を作動させるモータM4。パンチユニット60を作動させるモータM5。
【0047】
さらに、CPU200は、装置本体A1のCPU199と制御信号や検知信号等の授受を行ないながらシート処理装置Bや、シート処理装置Bに設けられているシート積載装置101を制御するようになっている。CPU200とCPU199は、一方を他方に組み込んで一体化してもよい。
【0048】
なお、以上の説明において、ベルト105、クラッチ111、ソレノイド122、爪124、ラック128等は、トレイ21a,21b,21cのシート排出される方向に沿った両側に各々配設されている。モータ103は、両側に配設されたベルト個々に対応させて2台配置してもよいし、1台で両方のベルトを駆動してもよい。
【0049】
次に、シート積載装置121の動作を説明する。
【0050】
シート処理装置Bに電源が入っていないとき、クラッチ111は、非作動状態(OFF)になっており、大径ローラ112が回転自在になっている。このため、上部トレイ21bは、自重によって下降(自重下降)するおそれがある。しかし、ソレノイド122にも電流が流れていないので(OFF)、爪124は、引張スプリング125に引かれて、ラック128に係合して、上部トレイ21bの自重下降を阻止している。
【0051】
また、シート処理装置Bに電源が投入されていなくても、下部トレイ21cは、ブラケット106によってベルト105に固定されているので、自重によってベルト105を回転させながら下降するおそれがある。このため、非通電状態において、モータ103に設けられているブレーキ108が駆動ローラ107の回転を阻止して、下部トレイ21cの下降を阻止して、最後に停止した位置に保持されている。
【0052】
ここで、上部トレイ21bにシートを積載するときの動作を図9のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
まず、上部トレイ21bは、図2に示すように、排出ローラ対26より上方の待機位置H1に待機しているものとする。待機位置は、待機位置検知センサS1によって検知される。また、クラッチ111とソレノイド122は非作動状態(OFF)になっているものとする。すなわち、上部トレイ21bは、ベルト105の回転力を受けない状態で、爪124がラック128に係合して、待機位置H1に待機しているものとする。
【0054】
CPU200は、下部トレイエリアセンサS10がONされているか否かにより、下部トレイ21cが上部トレイ下降可能領域Wにいるか否かを検知する(S101)。CPU200は、下部トレイエリアセンサS10がOFFしているとき、下部トレイ21cが上部トレイ下降可能領域Wにいないと判断する(S101でN)。下部トレイエリアセンサS10は、下部トレイ21cに設けられており、ケーシング20に鉛直に設けられた板状の不図示の遮蔽板により遮蔽されればON、遮蔽されなければOFFとなる。この遮蔽板は、上部トレイ下降可能領域WにおいてONとなるように構成されている。この上部トレイ下降可能領域Wは、上部トレイ21bのシート積載面21baが待機位置検知センサS1によって検知される位置から、上部トレイ21bの下部が上部トレイ下降領域検知センサS5に検知されるまでの領域と同じになるように構成されている。すなわち、上部トレイ21bは、排出ローラ対26の上位と下位の領域を昇降可能になっている。また、下部トレイ21cは、排出ローラ対26の下位の領域を昇降可能になっている。
【0055】
そして、下部積載シート検知センサS3がONしている場合(S103でY)、CPU200は、下部トレイ21cにシートが積載されているものと判断する。この場合、下部トレイ21cに積載されているシートが、図2に示すように、排出ローラ対26の近くまで積載されていることが考えられる。この状態では、上部トレイ21bを使用することができない。
【0056】
そこで、CPU200は、操作パネル140(図1)にユーザによって積載シートを取り除く指示を表示する(S105)。ユーザが積載シートを取り除くと、下部積載シート検知センサS3がOFFになる(S107)。
【0057】
その後、CPU200は、図6に示すように、モータ103を始動して、下部トレイ21cを上部トレイ下降可能領域Wに上昇させ(S109、S111)る。そして、CPU200は、下部トレイ21cがシート排出位置センサS4に検知されると、下部トレイ21cの上昇を停止する(S113、S115)。この結果、下部トレイ21cは、上部トレイ待機位置H1に待機している上部トレイ21bに接近して上部トレイ21bとの間隔を狭くすることができる。
【0058】
なお、CPU200は、S103において、シートが下部トレイ21cに積載されていないとき(S103でN)、S109の処理に移行する。
【0059】
その後、CPU200は、S117へ移行する。
【0060】
CPUは、S101において、下部トレイ21cが下部トレイ下限位置検知センサS2に検知されていないか、或いは、上部トレイ下降領域検知センサS5に検知されているとき、下部トレイ21cが上部トレイ下降可能領域Wにいると判断する(S101でY)。
すなわち、CPU200は、下部トレイ21cが図7に示すような位置にいるものと判断する。この場合、下部トレイ21cにシートPが積載されていてもよい。
【0061】
その後、CPU200は、クラッチ117を作動させて(ON、S117)、上部トレイ21bをベルト105に連結し、ソレノイド122も作動させて(0N、119)、爪124(図4)をラック128から外す。これによって、上部トレイ21bは、ベルト105の回転によって昇降できるようになる。
【0062】
そして、CPU200は、モータ103を始動する(S121)。この結果、上部トレイ21bと、下部トレイ21cは、間隔を変えることなく一体に下降する。CPU200は、上部トレイ21bのシート積載面21baがシート排出位置センサS4に検知されると(S123)、モータ103を停止させる(S125)。その後、処理されたシートが排出ローラ対26から排出されて、上部トレイ21bに積載され始める(S127)。CPU200は、図8に示すように、モータ103を制御して、上部トレイ21bにシートが積載されるにしたがって、上部トレイ21bを下降させて、最上位のシートがシート排出位置センサS4によって常時検知されるようにする。そして、ジョブが完了する(S129)。
【0063】
CPU200は、モータ103を逆転させて、上部トレイ21b、下部トレイ21cを上昇させる(S131)。上部トレイ21bが待機位置検知センサS1に検知されると(S133)、CPU200は、モータ103を停止させる。そして、CPU200は、ソレノイド122を非作動状態(OFF)にして爪124をラック105に係合させて、上部トレイ21bの下降を阻止した状態にする。その後、CPU200は、クラッチ111も非作動状態(OFF)にして上部トレイ21bとベルト105との連結を断つ。
【0064】
以上説明したように、シート積載装置101は、上部トレイ21bのシート積載面21baと下部トレイ21cのシート積載面21caとの間隔Lを図2に示す状態から図6に示す状態に変更することができる。また、逆に、上部トレイ21bとベルト105との連結を断ち、下部トレイ21cを図6の状態から、図2の状態に間隔Lを変更することができる。すなわち、シート積載装置101は、上部トレイ21bと下部トレイ21cとの間隔を調整可能になっている。
【0065】
この場合、上部トレイ21bは、従来と異なって、昇降用のモータを有していないので、昇降方向の厚みTが薄く、上部トレイ21bのシート積載面21baと下部トレイ21cのシート積載面21caとの距離L(図6)を短くすることができる。この結果、上部トレイ21bがシートを積載しながら下降した場合の上部トレイ下降可能領域Wを広く取ることができて、上部トレイ21bのシート積載枚数を増やすことができる。また、下部トレイ21cの厚みTも、上部トレイ21bと同様に薄くなっている。このため、図2の状態において、下部トレイ下降限度位置H2を従来よりも下げることができて、下部トレイ21cの積載枚数を増やすことができる。
【0066】
また、上部トレイ21bと下部トレイ21cは、従来と異なって、昇降用のモータを備えていないので、軽量になり、トレイを昇降支持する機構を簡単かつ小型にすることができる。
【0067】
さらに、クラッチ111、ストッパ機構121等は、上部トレイ21bにしか設けられていないが、上部トレイ21bと下部トレイ21cとの少なくとも一方に設けられていればよい。また、トレイは、上下2段に限定されず、複数段設けられて、そのうちの少なくと1つのトレイにクラッチ111、ストッパ機構121等が設けられていればよい。これらの場合においても、トレイの厚みを薄くすることができて、トレイの間隔を狭めることや、トレイの下降領域を広げることができて、シートの積載量を増やすことができる。
【0068】
なお、以上説明したシート処理装置Bは、シートの積載枚数を増やすことのできるシート積載装置101を備えているので、上部トレイ21b及び下部トレイ21cからシートを取り出す回数が少なくなり、取扱いが容易になる。しかも、シートを取り出す回数が少なくなると、シート処理装置の停止回数も少なくなり、シート処理装置の可動率を高くすることができる。
【0069】
また、画像形成装置も、シートの積載枚数を増やすことのできるシート積載装置101を備えているので、上部トレイ21b及び下部トレイ21cからシートを取り出す回数が少なくなり、取扱いが容易になる。しかも、シートを取り出す回数が少なくなると、画像形成装置の停止回数も少なくなり、画像形成装置の可動率を高くすることができる。
【符号の説明】
【0070】
A‥画像形成装置、A1‥装置本体、B‥シート処理装置、P‥シート、T‥トレイの厚み、L‥上部トレイ21bのシート積載面21baと下部トレイ21cのシート積載面21caとの間隔、W‥上部トレイ下降可能領域、S1‥待機位置検知センサ、S2‥下部トレイ下限位置検知センサ、S3‥下部積載シート検知センサ、S4‥シート排出位置センサ、S5‥上部トレイ下降領域検知センサ、S6‥下部積載シート検知センサ、S7‥シート束検知センサ、S8‥入口センサ、S9‥排出検知センサ、S10‥下部トレイエリアセンサ、M1乃至M5‥モータ、1a,1b‥給紙カセット、2‥画像形成部、20‥ケーシング、21a‥サンプルトレイ、21b‥上部トレイ(積載手段、上部積載手段)、21ba‥シート積載面、21c‥下部トレイ(積載手段、下部積載手段)、21ca‥シート積載面、22‥サドル、26‥排出ローラ対(シート排出部)、31‥端綴じステイプラ(シート処理手段)、33‥中綴じステイプラ、34‥折り装置、35‥製本装置(シート処理手段)、60‥パンチユニット(シート処理手段)、101‥シート積載装置、102‥駆動源(駆動手段)、103‥モータ、105‥ベルト、111‥クラッチ(遮断手段)、121‥ストッパ機構(下降阻止手段)、122‥ソレノイド、123‥スピンドル、124‥爪、125‥引張スプリング、126‥軸、128‥ラック、129‥歯、199‥CPU、200‥CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート排出部から排出されたシートを積載する昇降可能な複数の積載手段と、
前記複数の積載手段を昇降させる駆動手段と、
前記複数の積載手段の内、少なくとも1つの積載手段と前記駆動手段との間に設けられて、前記少なくとも1つの積載手段と前記駆動手段との連結を断つことが可能な遮断手段と、
前記遮断手段が前記駆動手段との連結を断つとき、前記遮断手段により前記駆動手段との連結を断たれた積載手段の自重下降を阻止する下降阻止手段とを備え、
前記遮断手段によって前記駆動手段との連結を断たれ、かつ前記下降阻止手段によって自重下降を阻止された状態の積載手段と、前記駆動手段によって昇降可能な他の積載手段との間隔を、前記他の積載手段の昇降によって調整可能である、
ことを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記複数の積載手段が上下2段の上部積載手段及び下部積載手段であり、
前記上部積載手段は、前記遮断手段によって前記駆動手段との連結を断たれ、かつ前記下降阻止手段によって自重下降を阻止されるようになっており、
前記下部積載手段は、前記駆動手段に直接、連結されて、常時昇降可能であり、
前記上部積載手段と前記下部積載手段との間隔を、前記上部積載手段を前記遮断手段によって前記駆動手段との連結を断ち、かつ前記下降阻止手段によって自重下降を阻止した状態にして、前記下部積載手段を前記駆動手段によって昇降させることによって調整可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記上部トレイは、前記シート排出部の上位と下位の領域を昇降可能であり、
前記下部トレイは、前記シート排出部の前記下位の領域を昇降可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート積載装置。
【請求項4】
シートを処理するシート処理手段と、
前記シート処理手段によって処理されたシートを積載する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート積載装置と、
を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項5】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成されたシートを積載する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート積載装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−79594(P2011−79594A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231017(P2009−231017)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】