説明

シート給送装置、シート処理装置及び画像形成装置

【課題】折り畳まれていないシートの重送を防止して給送できるとともに、折りシートの形状を維持して折りシートも給送できるようにする。
【解決手段】インサータ3は、搬送されてきたシートが重なっているとき、分離部43によってシートを1枚ずつに分離するようになっている。インサータ3は、搬送されてくるシートに関する情報が折りシートであるとき、分離部43に分離動作を停止させるガイドプランジャPL2及び分離プランジャPL3を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳まれていない非折りシートと、折り畳まれた折りシートとを給送するシート給送装置と、このシート給送装置を備えたシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート処理装置は、シートに画像を形成する画像形成装置の装置本体から送り出された記録シートの区分け、ステープル、孔あけ等の処理の内、少なくとも1つの処理を行うようになっている。画像形成装置には、プリンタ、複写機、ファクシミリ、及びこれらの複合機などがある。
【0003】
シート処理装置は、タイプによっては、画像形成装置の装置本体の下流側に設けられたシート給送装置としてのインサータから送り込まれてくるインサートシートも処理するようになっているものもある(特許文献1参照)。
【0004】
インサートシートは、一般に、画像形成装置の装置本体を通す必要が無いシートや、装置本体を通すことのできないシートである。すなわち、インサートシートには、折り畳まれていない、通常のシート、プレプリントシート、カラーシート、特殊シート等の非折りシートと、2つ折りシート、3つ折りシート等の折りシートとがある。
【0005】
インサータを備えたシート処理装置は、画像形成装置の装置本体から送られてきた記録シートと、インサータから送られてきたインサートシートとを混在して処理するようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−38473号公報(図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図8において、インサータ203は、非折りシートが重なって送り込まれると(重送されてくると)、分離ローラ対235によって、非折りシートを1枚ずつに分離して搬送するようになっている。分離ローラ対235は、順送回転する分離搬送ローラ235aで上位の非折りシートを搬送して、逆送回転する摩擦ローラ235bによって下位の非折りシートを逆送し、重送シートを分離するようになっている。
【0008】
しかし、従来のインサータ203は、折りシートP2を給送するとき、分離ローラ対235が折りシートの開口部分を開いて、折りシートを詰まらせるという問題があった。また、このように折りシートが詰まると、インサータを停止させなければならないので、インサータのシート給送効率が低下することになる。
【0009】
さらに、シート処理装置は、画像形成装置の装置本体から送られてきた記録シートと、インサータから送られてきたインサートシートとを混在して処理するとき、インサータのシート給送効率が悪いと、混在処理効率が低下することになる。
【0010】
この問題に対処するには、インサータやシート処理装置を使用しないで、記録シートと折りシートとを、ユーザが手で混在させて束状にして処理することが考えられる。しかし、この場合には、ユーザの手を煩わせるため、処理効率が悪い。
【0011】
本発明は、非折りシートの重送を防止して給送できるとともに、折りシートの形状を維持して折りシートも給送できるシート給送装置を提供することにある。
【0012】
本発明は、シート給送効率を向上させたシート給送装置を備えて、シートの混在処理効率を向上させたシート処理装置を提供することにある。
【0013】
本発明は、シートの混在処理効率の高いシート処理装置を備えて、画像形成効率を高めた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のシート給送装置は、搬送されてきたシートが重なっているとき、分離手段によって前記シートを1枚ずつに分離するようになっており、搬送されてくる前記シートに関する情報が折りシートであるとき、前記分離手段に分離動作を停止させる分離動作停止手段を備えた、ことを特徴としている。
【0015】
本発明のシート処理装置は、シートを給送するシート給送装置と、前記シート給送装置によって給送されてきた前記シートと前記シート給送装置と異なる所から給送されてきたシートとを混在させて処理をするシート処理手段と、を備え、前記シート給送装置が、上記のシート給送装置であることを特徴としている。
【0016】
本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成手段と、シートを給送するシート給送装置と、前記画像形成手段によって画像を形成された前記シートと前記シート給送装置によって給送されてきた前記シートとを混在させて処理をするシート処理手段と、を備え、前記シート給送装置が、上記のシート給送装置であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明のシート給送装置は、搬送されてくるシートに関する情報が折りシートであるとき、分離動作停止手段が分離手段に分離動作を停止させるようになっているので、折りシートの形状を維持したまま折りシートを給送することができる。
【0018】
また、本発明のシート給送装置は、非折りシートの場合、分離手段の分離動作を停止させないので、非折りシートの重送を防止することができる。
【0019】
したがって、本発明のシート給送装置は、折りシート、非折りシートに係わらず、シートを円滑に、かつ効率よく給送することができる。
【0020】
本発明のシート処理装置は、シートを円滑に、かつ効率よく給送するシート給送装置を備えている。このため、本発明のシート処理装置は、シート給送装置から給送されたシートと、シート給送装置と異なる所から給送されてきたシートとを、ユーザの手を煩わせることなく、混在させて処理することができる。
【0021】
よって、本発明のシート処理装置は、シートの混在処理効率を高めることができる。
【0022】
本発明の画像形成装置は、シートの混在処理効率を高いシート処理装置を備えているので、画像形成効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態のシート給送装置と、このシート給送装置を備えたシート処理装置と、このシート処理装置を備えた画像形成装置とを図に基づいて説明する。
【0024】
(複写機)
画像形成装置としての複写機の構成を説明する。
【0025】
図7は、シート搬送方向に沿った画像形成装置としての複写機300の断面図である。
【0026】
なお、本実施形態の画像形成装置は、多色カラー複写機であるが、画像形成装置には、多色カラー複写機のみならず、モノクロ複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機などがある。したがって、本発明の画像形成装置は、多色カラー複写機に限定されるものではない。
【0027】
複写機300は、装置本体300A、シート処理装置2、及びインサータ3で構成されている。装置本体300Aは、原稿載置台としてのプラテンガラス301、光源、レンズ系302、給紙部303、及び画像形成部304等を備えている。
【0028】
また、装置本体300Aの上部には、原稿Dをプラテンガラス301に自動的に給送する自動原稿給送装置305が備えられている。この自動原稿給送装置305は、必ずしも必要としない。
【0029】
装置本体300A内の給紙部303は、記録用の記録シートPを収納して装置本体300Aに着脱自在なカセット306を有している。画像形成手段としての画像形成部304は、円筒状の感光ドラム307と、その周囲に配設された現像器308等を備えている。画像形成部304の下流側には、定着装置309、排出ローラ対310等が配設されている。
【0030】
装置本体300Aの脇には、装置本体3000Aから送り出される画像形成済みの記録シートと、インサータ3から給送されたインサートシートとを混載して処理(混載処理)をするシート処理装置2が備えられている。なお、シート処理装置2は、装置本体3000Aから送りこまれてくる記録シートのみ、あるいは、インサータから送り込まれてくるインサートシートのみ処理することもできるようになっている。
【0031】
シート処理装置2は、シート処理手段としてのシートに孔をあける孔あけ装置4、及びステイプラ16を備えている。
【0032】
シート処理装置2の上部に備えられたシート給送装置としてのインサータ3は、シート処理装置2にインサートシートを給送するようになっている。インサートシートは、一般に、画像形成装置の装置本体を通す必要が無いシートや、装置本体を通すことのできないシートである。すなわち、インサートシートには、非折りシートと、折りシートとがある。非折りシートには、折り畳まれていない、通常のシート、プレプリントシート、カラーシート、特殊シート等がある。折りシートには、2つ折りシート、3つ折りシート等がある。折りシートは、画像が形成されている場合と、されていない場合とがある。なお、インサータ3の構成についての詳細な説明は、後述する。
【0033】
複写機300の動作を説明する。
【0034】
給紙部303は、装置本体300Aから給紙信号が出力されると、カセット306から記録シートPを送り出す。一方、光源302が、プラテンガラス301に載置されている原稿を照射する。照射した反射した光は、レンズ系302、不図示のコントローラをへて、レーザビームスキャナによって、レーザ光として、感光ドラム307を照射する。感光ドラム307は、あらかじめ一次帯電器により帯電されており、レーザ光が照射されると静電潜像が形成される。静電潜像は、現像器308によって現像されてトナー像になる。
【0035】
給紙部303から給送された記録シートPは、レジストローラ対311で斜行が補正されて、感光ドラム307上のトナー像に位置を合わされて画像形成部304に送り込まれる。そして、画像形成部304は、記録シートにトナー像を転写する。トナー像を転写された記録シートPは、定着装置309によりトナー像を永久定着される。トナー像を定着された記録シートPは、排出ローラ対310により装置本体300Aからシート処理装置2に送り込まれる。
【0036】
複写機300の装置本体300Aから送り出された記録シートPは、シート処理装置2の搬送受け渡し部11から、シート処理装置2内に搬送される。そして、記録シートPに何ら処理を施さない場合、記録シートPは、上流搬送路切換フラッパ12、上部ガイド13、下流搬送路切換フラッパ20、そして、上トレイガイド21に案内されて、上積載トレイ22に積載される。シート処理装置2は、記録シートに孔をあける場合には、上流搬送路切換フラッパ12と上部ガイド13との途中で、孔あけ装置4によって孔をあける。
【0037】
束状に綴じられる記録シートPは、上流搬送路切換フラッパ12、上部ガイド13、下流搬送路切換フラッパ20、搬送ガイド14を通り、処理トレイ15の上に排出される。
【0038】
処理トレイ15上に排出された記録シートは、後端ストッパ24に後端を受け止められて後端を揃えられ、かつシート幅整合板23によって幅を揃えられる。処理トレイ15に所定枚数の記録シートが積載されると、ステイプラ16は、シート束を綴じる。そして、排出ローラ対17がシート束を下積載トレイ18に排出する。
【0039】
また、シート処理装置2は、インサータと異なる所としての装置本体300Aから送り込まれた記録シートと、インサータ3から送り込まれたインサートシートとを処理トレイ15上に混載して綴じることもできるようになっている。非折りシートは、シート束の表紙に使用されたり、シート束の中を仕切る仕切りシートとしてシート束内に入れられて使用されたりするようになっている。
【0040】
折りシートは、装置本体300Aから送り込まれた記録シートと処理トレイ15に混載されて綴じられる場合、図1に示すように、折り畳まれていない非折り部P2bが、ステイプラ16側に位置していなければならない。このため、折りシートP2は、インサータ3のシート積載台31にされるとき、折り畳まれた折り部P2aを下流側に向けて積載されなければならない。
【0041】
(インサータ)
インサータ3の構成を説明する。
【0042】
図1、図2は、インサータ2のシート搬送方向に沿った断面図である。シート積載台31は、インサートシート(非折りシートP1、折りシートP2)が積載されるようになっている。通常、非折りシートP1と折りシートP2とが混載されることなく、一方のシートのみ積載されることが多い。
【0043】
シート形状検知センサ32,33は、光センサである。形状検知手段としてのシート形状検知センサ32,33は、積載手段としてのシート積載台31の上方に配設されて、シート積載台31からインサータ3内に給送されていくインサートシートを照射し、反射光を受光するようになっている。
【0044】
シート形状検知センサ32,33がインサートシートを照射してから反射光を受光するまでの時間の変化に基づいて、後述するCPU50(図3参照)は、インサートシートが非折りシートP1であるか折りシートP2であるかを判断するようになっている。なお、センサが2つ設けてあるのは、折りシートP2の折り位置がシートのサイズによって異なるためである。また、光センサの代わりにカメラを使用して、シートの形状を認識できるようにしてもよい。したがって、形状検知手段は、光センサに限定されるものではない。
【0045】
ピックアップローラ34は、ピックアップモータM1によって回転し、最上位のインサートシートを下流側に搬送するようになっている。また、ピックアップローラ34は、ピックアッププランジャPL1によって、最上位のインサートシートに接離するようになっている。
【0046】
ガイド部材としての分離下ガイド41は、ピックアップローラ34で搬送されるインサートシートを分離ローラ対35に案内する部材である。また、分離下ガイド41は、後述する重送シートの下位のインサートシートを上位のインサートシートから分離させる役目もしている。このため、分離下ガイド41と後述する分離ローラ対35は分離手段としての分離部43を構成している。また、分離下ガイド41は、インサートシートの内、折りシートが搬送されるとき、分離動作停止手段としてのガイドプランジャPL2によって下降して搬送パス42の上流側の上下間隔を広げて、折りシートにジャムが生じないようにしている。なお、分離下ガイド41は必ずしも必要としない。
【0047】
分離ローラ対35は、非折りシートが1枚ずつ搬送されてくると、そのまま搬送し、非折りシートが重送されてくると、最上位の非折りシートのみ下流側に搬送し、下位の非折りシートをシート積載台31に逆送するようになっている。
【0048】
ここで、分離ローラ対35を説明しておく。
【0049】
分離ローラ対35の回転体としての分離搬送ローラ35aは、順送モータM2によって順送回転(矢印A方向回転)してシートを下流側に搬送するようになっている。分離ローラ対35の回転体としての摩擦ローラ35bは、分離クラッチCL1を介して分離モータM3から逆送方向(矢印B方向)の回転力を受けている。
【0050】
分離クラッチCL1は、分離モータM3の回転力を摩擦ローラ35bに伝達して、摩擦ローラ35bが矢印B方向に逆送回転するようにしている。しかし、分離クラッチCL1は、摩擦ローラ35bが所定の回転力以上の順送方向(矢印C方向)の回転力を受けると、分離モータM3の回転力の伝達を断って摩擦ローラ35bが矢印C方向に順送回転できるようにしている。
【0051】
このため、摩擦ローラ35bは、常時、分離モータM3から逆送回転力を受けているが、非折りシートが1枚ずつ送られてきたときには、非折りシートを介して分離搬送ローラ35aから順送回転力を受ける。このときの順送回転力が、所定の回転力以上の順送回転力であるため、分離クラッチCL1が、分離モータM3の回転力の伝達を断って摩擦ローラ35bが矢印C方向に順送回転するのを許容する。この結果、摩擦ローラ35bは、分離搬送ローラ35aに矢印C方向に追従回転して、分離搬送ローラ35aとともに非折りシートを下流側に搬送する。
【0052】
ところで、非折りシートが重送されてきたとき、常時、分離モータM3から逆送回転力を受けている摩擦ローラ35bが下位の非折りシートに逆送力を与え、分離搬送ローラ35aが上位の非折りシートに順送力を与えることになる。分離搬送ローラ35aと非折りシートとの摩擦係数と、摩擦ローラ35bと非折りシートとの摩擦係数は、非折りシート同士の摩擦係数より大きく設定されている。このため、非折りシート同士の間に滑りが生じる。この結果、摩擦ローラ35bが下位の非折りシートを逆送し、分離搬送ローラ35aが上位の非折りシートを順送することになるので、重送シートは1枚だけ搬送されることになる。
【0053】
このように、分離ローラ対35は、重送シートがいつ送られてきても、重送シートを分離できる分離機能を備えている。このため、分離ローラ対35は、折りシートが1枚送られてきたとき、折りシートに対してもシートを分離する分離機能が作用して、折りシートP2の折り重なっている折り部P2aの上側を順送して、下側を逆送し、折りシートP2を詰まらせるおそれがある。
【0054】
そこで、本実施形態のインサータ3は、シート形状検知センサ32,33が折りシートを検知したとき、CPU50が、図2に示すように、分離動作停止手段としての分離プランジャPL3によって、摩擦ローラ35bを分離搬送ローラ35aから離間させるようになっている。
【0055】
摩擦ローラ35bは、折りシートの搬送を損なわない程度に分離搬送ローラ35aから離間して、摩擦ローラ35bの矢印B方向の逆送回転力が折りシートに殆ど加わらないようにしている。
【0056】
以上の説明における、分離搬送ローラ35aと摩擦ローラ35bは、接触するようになっているが、軸方向に沿って、互い違いに配設されて接触しないようにしてもよい。また、分離ローラ対35を使用しているが、少なくとも一方がベルトであってもよい。さらに、摩擦ローラの代わりに摩擦部材としての摩擦パッドを使用して、その摩擦パッドを分離プランジャPL3によって分離搬送ローラ35aから離間させるようにしてもよい。
【0057】
いずれにしても、本実施形態のインサータ3は、折りシートを給送する場合、分離ローラ対35の分離機能を停止、あるいは弱めるようになっている。
【0058】
分離下流搬送ローラ対37,38は、分離ローラ対35の下流に近接して配置されて、折りシートがより確実に搬送できるようにしている。分離下流搬送ローラ対37,38は、搬送モータM4によって回転する。ピックアップローラ34と分離ローラ対35との間隔L1(図1参照)は、分離ローラ対35と分離下流搬送ローラ37,38との間隔L2以上(L1≧L2)に設定してある。また、ピックアップローラ34と分離ローラ対35との間隔L1は、搬送されるインサートシートの最小搬送方向長さをLS以下(Ll≦LS)に設定してある。この設定によって、インサータ3は、最小搬送方向長さのインサートシートであっても、確実に搬送することができる。
【0059】
中間搬送ローラ対40,39は、搬送モータM4によって回転して、インサートシートをインサータパス30(図1参照)へ搬送するようになっている。
【0060】
図3は、インサータ3の制御ブロック図である。インサータ3の制御系は、マイクロコンピュータシステムで構成されている。マイクロコンピュータシステムは、CPU50、ROM51、RAM52からなり、ROM51内には、インサート給紙プログラム、及びステープリング処理用プログラム等が予め格納されている。CPU50は各プログラムを実行し、RAM52との間で適宜データのやり取りをしながら入力データ処理を行うことにより、所定の制御信号の授受により各部を制御するようになっている。
【0061】
このようなシステムにおいて、CPU50には、入力インターフェイス回路53を介してシート形状検知センサ32,33、不図示の搬送パスセンサ等からの各信号が入力データとして取り込まれるようになっている。
【0062】
また、CPU50は、出力インターフェイス回路54を介して、各制御機器(モータドライバ等)へ制御信号を送り、各制御機器を制御するようになっている。制御機器には、ピックアップモータM1、順送モータM2、分離モータM3、搬送モータM4、分離クラッチCL1、ピックアッププランジャPL1、ガイドプランジャPL2等がある。なお、分離プランジャPL3は、必要に応じて接続してもよい。
【0063】
さらに、インサータ3のCPU50は、図7に示す、複写機300の装置本体300Aを制御するCPU81と、シート処理装置2を制御するCPU82との間で信号の授受が行われるようになっている。CPU81からは、原稿サイズや自動原稿給送装置305による原稿コピー枚数等の各種情報がCPU50に取り込まれるようになっている。なお、CPU50,81,82は、いずれ1つを他の1つと一体化するか、あるいは、3つとも一体化してもよい。
【0064】
次に、図4、図5に基づいてインサートシートの搬送の流れ及び、各部の動作を説明する。
【0065】
図4、図5は、動作説明用の図である。図4(a)は、インサートシートがインサータにセットされた状態を示した図である。図4(b)は、インサートシートの給送が開始された状態を示した図である。図5(a)は、給送中のインサートシートが折りシートであると検知したときの状態を示す図である。図5(b)は、折りシートの先端が分離部を通過して、さらに、折りシートが搬送方向下流側に搬送されている図である。図5(c)は、折りシートが、分離下流搬送ローラ対に到達した状態を示した図である。
【0066】
図4(a)において、ピックアップローラ34は、ピックアッププランジャPL1の吸引によって、インサートシートから離れている。図4(b)において、ピックアップローラ34は、ピックアッププランジャPL1の吸引が解除されて、最上位のインサートシート上に下降する。その後、ピックアップローラ34は、ピックアップモータM1によって、矢印方向に回転して、最上位のインサートシートを下流側に給送する。このとき、最上位のインサートシートが折りシートP2であると、シート形状検知センサ32(又は33)は、折り部P2aから非折り部P2bへの変化を検知して、CPU50がインサートシートが折りシートP2であると判断する。なお、折りシートP2は、折り部P2aを下流側にしてシート積載台31に積載されているものとする。
【0067】
インサートシートが折りシートP2であると、図5(a)に示すように、CPU50は、ガイドブランジャPL2を作動させて、分離下ガイド41を下降させ、搬送パス42の上流側の上下間隔を広げる。また、CPU50は、分離プランジャPL3も作動させて、折りシートの搬送を損なわない程度に、摩擦ローラ35bを分離搬送ローラ35aから離間させて、隙間Gを生じさせる。
【0068】
したがって、インサータ3は、分離下ガイド41を下降させて搬送パス42の上流側の上下間隔を広げ、かつ分離ローラ対35のニップを解消して、分離下ガイド41と分離ローラ対35とからなる分離部43の分離機能を停止、あるいは弱めることができる。よって、インサータ3は、折りシートを分離ローラ対35に詰まらせることなく給送することができる。
【0069】
図5(a)において、ピックアップローラ34は、回転を継続するようになっているが、分離ガイド41と摩擦ローラ35aの移動が間に合わないときには、停止してもよい。分離部43が分離動作をしないことによって、折りシートが重送されることが懸念される。しかし、折りシートに多少空気が入り込むので、折りシート同士は、僅かな力で分離されるようになっており、給送開始時期、分離下ガイド41への当接時において、殆どの場合、分離されている。このため、上記のような制御を行っても折りシートに、重送が発生することが殆ど無い。
【0070】
その後、折りシートP2は、図5(b)に示すように、分離部43を通過して、搬送方向下流側に搬送されていく。
【0071】
引き続いて、折りシートP2は、図5(c)に示すように、CPU50が搬送モータM4を制御して、分離下流搬送ローラ対37,38、中間搬送ローラ対39,40を回転させることによって、搬送される。この時点において、ピックアップローラ34は、折りシートP2から離れている。
【0072】
なお、折りシートの非折り部を下流側にしてシート積載台31に折りシートP2をセットした場合(逆向きにセットした場合)、分離ローラ対35は、当初、非折り部P2bを搬送し、折り部P2aが接近してくると、ニップを解除するようになっている。このようにすると、インサータ3は、次のシートとの分離性を向上させることができる。折りシートを逆向きにセットすると、折り部P2bがステイプラ16によって綴じられることになる。このため、折りシートP2を逆向きにセットする場合は、孔あけ装置4で折りシートの非折り部P2bに孔をあける場合である。なお、折り部P2aを下流側にしてシート積載台31に折りシートP2をセットしたときも、孔あけ装置4で折りシートP2の非折り部P2bに孔をあけることができる。
【0073】
以上の説明において、摩擦ローラ35bは、分離搬送ローラ35aから離間するようになっているが、図6に示すインサータ3のように、離間することなく、折りシート用モータM5によって、順送方向に回転するようにしてもよい。
【0074】
また、摩擦ローラ35bは、分離モータM3の回転を停止させて、分離搬送ローラ35aに追従回転するようにしてもよい。
【0075】
これらの場合、分離プランジャPL3が不要であることは勿論である。また、分離下ガイド41は、下降させてもさせなくてもいずれであってもよい。
【0076】
さらに、以上の説明において、シートの形状は、シート形状検知センサ32,33の検知で得られるようになっているが、複写機に設けられた不図示の操作パネルからユーザによって入力されてもよい。
【0077】
以上、説明したように、本実施形態のインサータ3は、折りシートを給送するとき、分離下ガイド41と分離ローラ対35とからなる分離部43の分離機能を停止、あるいは弱めることができるようになっているので、次の特長がある。
【0078】
折りシートを分離ローラ対35に殆ど詰まらせることなく折りシートの形状を維持して給送することができる。また、非折りシートの重送を防止して非折りシートの給送もできる。したがって、折りシート、非折りシートに係わらず、シートを円滑に、かつ効率よく給送することができる。
【0079】
本実施形態のシート処理装置2は、折りシートを詰まらせることが殆どないインサータ3を備えているので、ユーザの手を煩わせることなく、インサータからの折りシートと複写機の装置本体からの記録シートとを自動的に混載処理をすることができる。
【0080】
また、本実施形態のシート処理装置2は、シートを円滑に、かつ効率よく給送することができるインサータを備えているので、シートの処理効率を高めることができる。
【0081】
本実施形態の複写機300は、シートの処理効率の高いシート処理装置2を備えているので、画像形成効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態におけるシート給送装置としてのインサータのシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】図1のインサータの部分拡大図である。
【図3】インサータの制御ブロック図である。
【図4】動作説明用の図である。(a)は、インサートシートがインサータにセットされた状態を示した図である。(b)は、インサートシートの給送が開始された状態を示した図である。
【図5】動作説明用の図である。(a)は、給送中のインサートシートが折りシートであると検知したときの状態を示す図である。(b)は、折りシートの先端が分離部を通過して、さらに、折りシートが搬送方向下流側に搬送されている図である。(c)は、折りシートが、分離下流搬送ローラ対に到達した状態を示した図である。
【図6】他の実施形態におけるインサータのシート搬送方向に沿った断面図である。
【図7】本発明の実施形態における画像形成装置としての複写機のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図8】従来のインサータのシート搬送方向に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0083】
P 記録シート
P1 非折りシート
P2 折りシート
P2a 折りシートの折り部
P2b 折りシートの非折り部
M1 ピックアップモータ
M2 順送モータ
M3 分離モータ
M4 搬送モータ
M5 折りシート用モータ
CL1 分離クラッチ
SL1 分離ソレノイド
PL1 ピックアッププランジャ
PL2 ガイドプランジャ(分離動作停止手段)
PL3 分離プランジャ(分離動作停止手段)
2 シート処理装置
3 インサータ(シート給送装置)
4 孔あけ装置(シート処理手段)
15 処理トレイ
16 ステイプラ(シート処理手段)
31 シート積載台(積載手段)
32,33 シート形状検知センサ(形状検知手段)
34 ピックアップローラ
35 分離ローラ対
35a 分離搬送ローラ(回転体)
35b 摩擦ローラ(回転体)
41 分離下ガイド(ガイド部材)
42 搬送パス
43 分離部(分離手段)
50 インサータのCPU
81 装置本体のCPU
82 シート処理装置のCPU
103 インサータ(シート給送装置)
300 複写機(画像形成装置)
300A 複写機(画像形成装置)の装置本体(シート給送装置と異なる所)
304 画像形成部(画像形成手段)
305 自動原稿給送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されてきたシートが重なっているとき、分離手段によって前記シートを1枚ずつに分離してなるシート給送装置おいて、
搬送されてくる前記シートに関する情報が折りシートであるとき、前記分離手段に分離動作を停止させる分離動作停止手段を備えた、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記分離手段が、互いに接離可能で一方が順送回転し他方が逆送回転する1対の回転体を有し、
前記分離動作停止手段が、前記情報が折りシートであるとき、前記1対の回転体を離間させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記分離手段が、順送回転する回転体と、前記回転体に接離する摩擦部材とを有し、
前記分離動作停止手段が、前記情報が折りシートであるとき、前記摩擦部材を前記回転体から離間させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記分離手段が、互いに接触して一方が順送回転し他方が逆送回転する1対の回転体を有し、
前記分離動作停止手段が、前記情報が折りシートであるとき、前記他方の回転体を順送回転させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記分離手段の上流側に配設されて、前記情報が折りシートであるとき、前記シートを案内する案内位置より下方に待避するガイド部材を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至4に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記分離手段の上流側に配設されて前記シートが積載される積載手段と、
前記積載手段の上方に配設されて前記積載手段に積載されたシートが折りシートであるか否かを検知する形状検知手段と、を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
シートを給送するシート給送装置と、
前記シート給送装置によって給送されてきた前記シートと前記シート給送装置と異なる所から給送されてきたシートとを混在させて処理をするシート処理手段と、を備え、
前記シート給送装置が、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置であることを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
シートを給送するシート給送装置と、
前記画像形成手段によって画像を形成された前記シートと前記シート給送装置によって給送されてきた前記シートとを混在させて処理をするシート処理手段と、を備え、
前記シート給送装置が、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−302376(P2007−302376A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−130837(P2006−130837)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】