説明

シート給送装置および印刷装置

【課題】装置の省スペース化および小型化を図るために、特に孔版印刷装置に適用する場合には高さ方向の装置の省スペース化および小型化を図るために、吸引ベルトピッチ間を小さく、または駆動(従動)ローラの直径を小さくした場合でも、DCファンのエア吸引駆動源で対応できるエア給送装置およびこれを有する印刷装置を実現し提供する。
【解決手段】吸引中継管13に吸引駆動源チャンバ17を連通・接続した後、吸引駆動源チャンバ17に上流のシロッコファン15aのエア吸引口15a1を連通・接続し、シロッコファン15aのエア吐出口15a2にファン接続ダクト45を連通・接続し、下流のシロッコファン15bのエア吸引口15b1にファン接続ダクト45を連通・接続することで、2つのシロッコファン15a,15bを直列に連通・接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置および印刷装置に関し、詳しくは、エアを吐出することにより積載されたシート束からシート同士を分離させ、分離された最上位の1枚のシートをエア吸引しつつ給送するエア吸引式のシート給送装置およびこれを有する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積載されたシート束からシートを1枚ずつ取り出し給送するシート給送装置(給紙装置)には、周知のとおり、摩擦式およびエア式のものがある(摩擦式については図10参照)。エア式の給紙装置は、エアを吐出することによりシート束からシート同士を分離させ、分離された最上位の1枚のシートをエア吸引しつつ給送するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6および図7に、従来のエア式の給紙装置500(以下、「エア給紙装置500」ともいう)の一例を示す。エア給紙装置500の原理は、概略以下の(1)〜(3)の工程・動作で行われる。
(1)用紙束2の先端面および側端面にエアaを吹き付けることで、用紙間にエアが入り、図6に示すように用紙束2の用紙S同士が1枚ずつに分離しバラける。
(2)分離した用紙S1,Sの最上位の用紙S1を1枚のみ吸引することで、吸引ベルト11に用紙S1が貼り付き・保持される。
(3)吸引ベルト11が回転・走行することで、用紙S1を1枚給送・搬送する。
【0004】
用紙束2の先端面および側端面にエアaを吹き付ける工程(1)で機能する構成部品(構成要素)の動作は、次のようである。図6に示すように、用紙束2の前方からはフロントエア吐出駆動源としてのDCファンからなるフロントエア吐出ファン23によりエアaの流れを作り、このエアaがフロント吐出チャンバ20を通りフロント吐出口21から外に出て、用紙束2の先端面(前端面)に吹き付ける。
【0005】
また、図6および図7に示すように、用紙束2の左右の両側端面からも同様に、サイドエア吐出駆動源としてのDCファンからなる左右一対のサイドエア吐出ファン41,41よりエアaの流れを作り、このエアaがサイド吐出チャンバ42を通り外に出て、用紙束2の各側端面に吹き付ける。上記各エアが用紙束2の先端面および両側端面に吹き付けることで、用紙束2の上部が図6に示すように1枚ずつ分離しバラける。
ここで、サイドエア吐出ファン41,41およびサイド吐出チャンバ42は、サイド吐出ユニット40を構成している。フロント吐出チャンバ20およびフロントエア吐出ファン23からなるフロント吐出ユニットおよびサイド吐出ユニット40は、給紙トレイ3上に積載された用紙束2の先端面および両側端面にエアaを吹き付けることにより用紙Sを1枚ずつ分離させるエア分離手段を構成している。
【0006】
給紙トレイ3は、図示しない駆動手段としての昇降モータを備えた昇降機構によって、昇降可能に構成されている。給紙トレイ3の上方には、給紙トレイ3上に積載されている用紙束2の最上位の用紙Sの後端部に当接して、分離された1枚の最上位の用紙S1をエア吸引給紙可能とする給紙位置を占めるようにするための上限検知センサ(図示せず、例えば、コロ状部材とこれを回転自在に支持するブラケットに設けられたフィラーで透過型フォトセンサをオン/オフする構成)が配設されている。この図示しない上限検知センサからの信号に基づいて、図示しない制御手段は給紙トレイ3が用紙束2の積載高さに応じた適正高さを保持するように上記図示しない昇降モータを制御するようになっている。
給紙トレイ3における用紙搬送方向Xと直交する用紙幅方向Yには、用紙束2の両側端面を位置決め揃えるための図示しない一対のサイドフェンスが用紙幅方向Yに移動可能に設けられている。各サイドフェンスにはサイドエアを通過させる開口部が形成されている。
【0007】
分離した最上位の用紙S1を1枚のみ吸引する工程(2)および吸引ベルト11が回転・走行することで用紙S1を1枚搬送する工程(3)で機能する構成部品(構成要素)は、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引チャンバ12、吸引中継管(ダクト)13、エア吸引駆動ファン15、吸引駆動源チャンバ17、吸引ベルト駆動モータ47である。
用紙束2における最上位の用紙S1の上方に、駆動ローラ14aと従動ローラ14bとに掛け渡された無端ベルトからなる吸引ベルト11が有り、吸引ベルト11には、エア吸引用の多数の孔11aが形成されている。なお、図7においては、図示の簡明化を図るため、孔11aの形成箇所を駆動ローラ14aと従動ローラ14bとの間の吸引ベルト11の特定の範囲に形成されているように描かれているが、孔11aが吸引ベルト11における用紙搬送方向(シート給送方向)Xおよび用紙幅方向Yの全体に亘って、当然吸引ベルト11の下側および各ローラ上14a,14bにも等ピッチで形成されていることは無論である(後述する図2、図12等も同様)。
用紙束2が積載されている給紙トレイ3の左右外側には、後述する給紙ユニット500A(該給紙トレイ3を含め上記工程(1)〜(3)で機能するほぼ全ての構成部品で構成される)を構成する図示しない一対のユニット側板が配設されていて、駆動ローラ14aと従動ローラ14bとは、上記一対のユニット側板に図6中矢印方向(時計回り方向)に回転可能に軸支されている。なお、給紙ユニットを構成しないエア給紙装置にあっては、駆動ローラ14aと従動ローラ14bとは、装置本体に固着された図示しない一対の側板に図6中矢印方向(時計回り方向)に回転可能に軸支される。
駆動ローラ14aの軸の一端は、カップリング14cを介して、上記一方のユニット側板側に固設された、ベルト駆動手段としての吸引ベルト駆動モータ47の出力軸47aに接続されている。吸引ベルト駆動モータ47は、速度可変制御および回転による搬送距離の制御が容易で正確な、例えばステッピングモータからなる。
【0008】
駆動ローラ14aと従動ローラ14bとの間であって、上下の吸引ベルト11で囲まれた内部には、下向きに開口12aを形成されほぼ箱状をなす、エアaを吸引する吸引チャンバ12が設けられている。吸引チャンバ12の一側には、吸引中継管13が連通・接続されている。
エア吸引をする駆動源は、エア吸引駆動源としてのエア吸引駆動ファン15であり、このエア吸引駆動ファン15には、吸引駆動源チャンバ17が連通・接続されている。従って、吸引チャンバ12とエア吸引駆動ファン15とは、吸引中継管(ダクト)13と吸引駆動源チャンバ17とを介して連通・接続されている。
上記した吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引チャンバ12、吸引中継管13、エア吸引駆動ファン15、吸引駆動源チャンバ17、吸引ベルト駆動モータ47は、吸引ユニット10を構成している。
上記した吸引ユニット10中、吸引ベルト11、吸引チャンバ12、吸引中継管13、エア吸引駆動ファン15、吸引駆動源チャンバ17は、エア吸引手段を構成している。
また、上記した吸引ユニット10中、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引ベルト駆動モータ47は、上記エア吸引手段により吸引・保持された用紙Sを給送するシート給送手段を構成している。
【0009】
上記工程(2)および(3)での動作は、次のようである。すなわち、エア吸引駆動ファン15を駆動させることにより、吸引駆動源チャンバ17および吸引中継管13を介して、吸引チャンバ12によりエアaが吸引されると、吸引チャンバ12の内部が負圧になり、吸引チャンバ12の開口12a面に対向した範囲の吸引ベルト11の孔11aからエアaが吸引されるので、上記(1)の工程で1枚に分離された最上位の用紙S1が吸引ベルト11に貼り付き・吸着保持される。
用紙S1が吸引ベルト11に貼り付いたら、吸引ベルト駆動モータ47を駆動させて、駆動ローラ14aを図6中矢印方向に回転させ、吸引ベルト11を走行させることで、用紙搬送方向X(以下、「給紙方向X」ともいう)の下流側に配設された上下一対のレジストローラ113a,113bまで用紙S1を搬送する。レジストローラ対113a,113bまで用紙S1を搬送後、吸引ベルト駆動モータ47の駆動を停止させることにより、吸引ベルト11の走行を停止させ、所定時間、吸引動作待ちをする。残りの用紙S1の搬送は、レジストローラ対113a,113bの回転により行う。用紙S1の後端が用紙束2の先端面を突き当てている前面板4の近傍にくると、上記したと同様の動作によって次の1枚に分離された用紙Sが吸引ベルト11に貼り付く。この工程・動作を繰り返すことで給紙をするのが、エア給紙のシステムである。
【0010】
図6および図7において、500Aは、エア給紙装置500を構成する構成部品のうち、レジストローラ対113a,113bを除いて一体的に構成された給紙ユニットを示している。給紙ユニット500Aは、図示しないネジ等の締結手段を含む着脱手段を介して、例えば後述する図10に示す孔版印刷装置の装置本体50に対して着脱自在に構成されている。
【0011】
エアの吸引力は、吸引チャンバ12の開口12a面に対向した範囲に位置する吸引ベルト11の孔11aのトータルの面積(以下、「吸引ベルト孔面積」という)と、これらの孔11aから吸引するエアの速度とで決まる。エアの吸引力を大きくするには、一般的に、上記吸引ベルト孔面積は大きく、エアの速度は速いほうがよい。これは、エアの吸引力が大きくなって用紙Sを吸引・保持する働きが良好となるためである。なお、ここでいうエアの吸引力とは、単位時間当たりのエアの容積・風量を意味している。
吸引ベルト11の孔11aより吸引する風速を速くするには、吸引ベルト11の上記トータルの孔11aの面積より大きな断面積の吸引中継管13がよい。
従来の吸引中継管13は、
(イ)図6および図7に示したように、吸引ベルト11の横から1箇所にて吸引していた。
(ロ)図8に示すように、用紙吸引方向である上方向より吸引する方式であった。
【0012】
ところで、上記(1)の用紙分離工程で用紙束2の用紙S同士を1枚ずつに分離させるには、用紙束2の左右の両側端面に対するエアa(以下、「サイドエアa」ともいう)の吹付け力が重要である。
サイドエアaの吹付け力Fは、吹付け面積(断面積)Acとエアの速度(風速)Vとの次式で決まる。但し、次式において、Qはサイドエアaの流量、ρはサイドエアaの密度である。すなわち、F=Q×V×ρ=Ac×V×V×ρである(∴Q=Ac×V)。
【0013】
【特許文献1】特開2007−31070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、エアの吸引力に関して、上記(イ)の吸引ベルト11の横から1箇所で吸引する方式では、吸引中継管13の大きさ・断面積は、吸引ベルト11ピッチ間、すなわちローラ14a,14b間の距離で決まってしまう(図6参照)。つまり、吸引中継管13の大きさ・断面積は、図6に示す関係から、吸引ベルトピッチ間より短く、駆動(従動)ローラ14a(14b)の直径より小さくなってしまう。
【0015】
今までは、スペースの制約等のないため、吸引ベルト孔面積<吸引中継管(ダクト)断面積であったが、スペースを小さくしなければならない場合、すなわち吸引ベルトピッチ短く、または駆動(従動)ローラの直径小さくしなければならないが、これでは吸引中継管13の断面積も小さくなってしまう。つまり、吸引ベルト孔面積>吸引中継管(ダクト)断面積となってしまい、吸引力が落ちてしまう。
スペースの制約がある場合として、特に印刷装置の中でも孔版印刷装置にエア給紙装置を配設する場合を想定すると、装置本体の高さ方向には、後述する図10等に示すように製版部100またはレイアウト構成が異なるものにあっては排版部70が配置されるためスペースの余裕が少なくなっており、それ故に製版部100または排版部70の下方に配置される給紙部(給紙装置)110の高さ方向Zの省スペース化および小型化の要望が強いものとなってきている。
【0016】
もし、吸引ベルト孔面積>吸引中継管(ダクト)断面積の関係で吸引力を上げるとなると、エア吸引駆動ファン15の静圧を上げることにより、吸引中継管13を通過する風速を上げることで対応していた。
しかしながら、エア吸引駆動ファン15の静圧を上げるとなると、DC(直流)ファンモータ(以下、「DCファン」という)では限界があり、電気掃除機に使用されているAC(交流)モータ等で駆動する大きなブロアを使用していた。これでは、大きなブロア自体による高さ方向Zのスペース確保、装置の大型化およびコストアップが避けられなかった。
【0017】
一方、図8は、エアの吸引力に関する上記(ロ)について、用紙吸引方向である上方向より吸引する一例を示している。この方式では、吸引ベルト孔面積≒吸引面積となるが、上側の吸引ベルト11と吸引駆動源チャンバ17Aとの間、特に駆動ローラ14a近傍の上側の吸引ベルト11と吸引駆動源チャンバ17Aとの間に隙間19が発生することにより、エアが漏れてしまい、安定した吸引搬送ができないと共に高さ方向Zの省スペース化および小型化が図れないという問題点があった。なお、図8において、吸引チャンバ12Aと上下の吸引ベルト11との間、従動ローラ14b近傍の吸引駆動源チャンバ17Aと吸引ベルト11との間には、吸引時に吸引力が働いて密着傾向となるため、上記部位の隙間19と比較して無視してよいレベルである。
【0018】
次に、サイドエアの吹付け力に関する課題について述べる。サイドエアで用紙を確実に1枚ずつ分離する、つまり用紙を吹き上げるには、サイドエアの速度が速いほうが確実に分離し、また単位面積当たりにかかる力が強いほど良い。
例えば、速度の遅い弱い力のサイドエアを用紙、特には厚紙等や高温高湿給紙条件下の塗工紙(コート紙やアート紙等を指し、以下「コート紙」で代表する)の両側端面全体に吹き付けてもコート紙同士の密着力が高くなっていて分離できない。吹付け面積が狭くても風速(サイドエアの速度)が速ければ速いほど用紙を確実に1枚ずつに分離することができる。これは、図6および図7に示したエア給紙装置500の構成にて、サイドエアの速度と吹付け面積とをパラメータにして、厚紙等や高温高湿給紙条件下のコート紙を分離する実験にて確認した。よって、風速をできるだけ速くしたい。風速はエア駆動源の静圧と比例関係にある。静圧が高ければ風速が速くなる。
【0019】
そこで、本発明は、上記問題点・事情に鑑みてなされたものであり、エア給送方式のシート給送装置およびこれを有する孔版印刷装置を含む印刷装置において、装置の省スペース化および小型化を図るために、特に孔版印刷装置に適用する場合には高さ方向の装置の省スペース化および小型化を図るために、吸引ベルトピッチ間を小さく、または駆動(従動)ローラの直径を小さくした場合でも、安価なDCファンのエア吸引駆動源を用いて対応できるようにすることを第1の目的とする。
【0020】
また、本発明は、第1の目的に加えてあるいは第1の目的とは独立で、安価なDCファンのサイドエア駆動源(エア吹付駆動源)を用いて、静圧を可能な限り高くすることで、サイドエアの速度(風速)を速くし、もって、特には厚紙等や塗工紙(コート紙等)でも確実に1枚ずつに分離できるシート給送装置およびこれを有する孔版印刷装置を含む印刷装置を実現し提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、積載されたシート束からシートを1枚ずつ分離させた後、分離された最上位のシートを吸引するエア吸引駆動源を備えたエア吸引手段と、該エア吸引手段により吸引保持されたシートを給送するシート給送手段とを有するシート給送装置において、上記エア吸引駆動源は、エアを吸引するエア吸引口と、エアを吐出するエア吐出口とを備えた複数のシロッコファンからなり、上流側の上記シロッコファンの上記エア吐出口に、該上流側の上記シロッコファンに隣る下流側の上記シロッコファンの上記エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とする。
【0022】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシート給送装置において、上記各シロッコファンは、静圧仕様が同等であることを特徴とする。
【0023】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のシート給送装置において、上記各シロッコファンは、回転数を可変することで、静圧および風量を変えることが可能であるDCファンからなることを特徴とする。
【0024】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート給送装置において、積載されたシート束の両側端面にエアを吹き付けることによりシートを1枚ずつ分離させるエア分離手段を具備し、上記エア分離手段は、シート束の上記各側端面にエアを吹き付けるサイドエア吐出口と、該サイドエア吐出口に連通・接続されたエア吹付駆動源とを有し、上記エア吹付駆動源は、エアを吸引するエア吹付駆動源用エア吸引口と、エアを吐出するエア吹付駆動源用エア吐出口とを備えた複数のエア吹付駆動源用シロッコファンからなり、上流側の上記エア吹付駆動源用シロッコファンの上記エア吹付駆動源用エア吐出口に、上記上流側の上記エア吹付駆動源用シロッコファンに隣る下流側の上記エア吹付駆動源用シロッコファンの上記エア吹付駆動源用エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とする。
【0025】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のシート給送装置において、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンは、静圧仕様が同等であることを特徴とする。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項4または5記載のシート給送装置において、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンは、回転数を可変することで、静圧および風量を変えることが可能であるDCファンからなることを特徴とする。
【0027】
請求項7記載の発明は、シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、請求項1ないし6の何れか一つに記載のシート給送装置と、上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段とを有することを特徴とする。
【0028】
請求項8記載の発明は、シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、請求項3記載のシート給送装置と、上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0029】
請求項9記載の発明は、シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、請求項3記載のシート給送装置と、上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記印刷装置の温度を検知する温度検知手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記印刷装置の温度に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0030】
請求項10記載の発明は、シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、請求項6記載のシート給送装置と、上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0031】
請求項11記載の発明は、シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、請求項6記載のシート給送装置と、上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記印刷装置の温度を検知する温度検知手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記印刷装置の温度に応じて、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0032】
請求項12記載の発明は、シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、請求項6記載のシート給送装置と、上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、シートの重送を認識する重送認識手段と、上記重送認識手段により認識されたシートの重送によって、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、上記諸課題を解決して新規なシート給送装置およびこれを有する印刷装置を提供することができる。主な発明の効果を挙げれば、以下のとおりである。
本発明によれば、エア給送方式のシート給送装置およびこれを有する孔版印刷装置を含む印刷装置において、装置の省スペース化および小型化を図るために、特に孔版印刷装置に適用する場合には高さ方向の装置の省スペース化および小型化を図るために、エア吸引手段およびシート給送手段を構成する例えば吸引ベルトピッチ間を小さく、または駆動(従動)ローラの直径を小さくした場合でも、上記構成により、つまり安価なDCファンからなるエア吸引駆動源として複数のシロッコファンを直列に連通・接続して配置したことにより、静圧をアップしてシートを十分に吸引・保持して給送することができる(請求項1〜3、7〜9)。
【0034】
また、本発明によれば、安価なDCファンからなるサイドエア駆動源(エア吹付駆動源)として複数のエア吹付駆動源用シロッコファンを直列に連通・接続して配置したことにより、静圧を可能な限り高くして、サイドエアの速度(風速)を速くし、特には厚紙等や塗工紙(コート紙等)でも確実に1枚ずつに分離できる(請求項4〜7、10〜12)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態および実施例を含む実施形態を説明する。上述した背景技術例、実施形態および変形例等に亘り、同一の機能を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。
【0036】
まず、図9および図10を参照して、本発明を適用する印刷装置の一例としてのデジタル感熱式の孔版印刷装置の全体構成を説明する。図9は、上記デジタル感熱式の孔版印刷装置の全体構成を模式的に示し、図10は、図9における主として孔版印刷装置本体200の全体構成を示している。
図9および図10に示す孔版印刷装置では、活性エネルギー線硬化型インキの使用が可能であるため、その活性エネルギー線硬化型のインキを硬化させるための活性エネルギー線硬化定着装置201が図10の孔版印刷装置本体の排紙側に併設されている。活性エネルギー線硬化型インキとしては、その一例として紫外線硬化型インキが用いられ、活性エネルギー線硬化定着装置としては、その一例として紫外線硬化定着装置が用いられる。
【0037】
図9および図10において、孔版印刷装置本体200の右側には給紙部110が設けられている。上記したように、孔版印刷装置本体200の排紙側に、活性エネルギー線硬化定着装置201が併設されている。この活性エネルギー線硬化定着装置201内には、活性エネルギー線ランプや用紙を搬送するモータやベルト、吸着ファン等が組み込まれている。そして、活性エネルギー線硬化定着装置201内で活性エネルギー線硬化型インキを用紙上に定着させ、ベルト・吸着搬送で排紙台52へ印刷・定着済み用紙を排紙させるように構成されている。
活性エネルギー線硬化定着装置201の内部構成は、例えば本出願人が提案した特開2006−281658号公報の図1に示されている紫外線照射装置としてのUV照射装置(2)と同様である。これとの関連で、図10に示す孔版印刷装置本体200側には、上記特開2006−281658号公報の図4等に記載されている孔版印刷制御装置(55)と同様の構成が配設されている。
【0038】
次に、図10を参照して、孔版印刷装置本体200側の全体構成について説明する。図10において、50は、孔版印刷装置本体200側の骨組みをなす装置本体を示す。同図に示すように、装置本体50の上部にある、80で示す部分は原稿読取装置としての原稿読取部を、その下方の100で示す部分はデジタル感熱孔版式の製版装置としての製版部を、製版部100の左側に129で示す部分は多孔性円筒状の版胴を外周部に備えた印刷ドラム121が配置された印刷ドラム装置としての印刷ドラム部を、印刷ドラム121の下方の120で示す部分は印圧装置としての印圧部を、印刷ドラム121の左側に70で示す部分は排版装置としての排版部を、製版部100の下方の110で示す部分は給紙装置としての給紙部を、印圧装置120の左側であって排版装置70の下方の130で示す部分は排紙装置としての排紙部を、それぞれ示している。
なお、図9および図10において、孔版印刷装置本体200の符号と共に、括弧を付して示す150〜156はそれぞれ後述する第1の実施形態、変形例1、変形例2、第2の実施形態、変形例3、変形例4、変形例5に係る孔版印刷装置本体であることを表しており、本発明を適用する孔版印刷装置本体200と区別している。
【0039】
原稿読取部80は、図示しない原稿載置台上から移送される原稿60の表面の画像を読み取る機能を、製版部100は、ロール状に巻かれたマスタ101を製版し給版搬送する機能を、印刷ドラム部129は、製版済みのマスタ101をその外周面に巻装し印刷ドラム121上の製版済みのマスタ101にインキを供給する機能を、印圧部120は、後述する押圧手段により印刷ドラム121に対してシート状の記録媒体・被印刷媒体としての用紙Sを押し付けて用紙S上に印刷画像を形成する機能を、排版部70は、印刷ドラム121の外周面から使用済みのマスタ101を剥ぎ取りこれを排版ボックス74内に排出・排版する機能を、給紙部110は、給紙台としての給紙トレイ51上に積載された用紙Sを印刷ドラム部129と印圧部120との間に給送する機能を、排紙部130は、印刷ドラム部129と印圧部120にて印刷された用紙Sを排紙台52に排出する機能を、それぞれ有する。
【0040】
図10および図11を参照して、孔版印刷装置本体での基本的な全体動作について、説明する。先ず、使用者が、原稿読取部80の上部に配置された図示しない原稿載置台に印刷すべき画像を持った原稿60を載置・セットし、図11に示す操作パネル90の製版スタートキー91を押す。この製版スタートキー91の押下に伴い、製版スタート信号が生成されこれがトリガとなって、先ず排版工程が実行される。すなわち、この状態においては、印刷ドラム121の外周面(版胴の外周面)に前回の印刷で使用された使用済みのマスタ101が装着されたまま残っている。印刷ドラム121は、図示しない駆動機構を介して印刷ドラム駆動手段(図示せず、例えばメインモータ等)に連結されていて、印刷ドラム駆動手段によって回転駆動される。
【0041】
印刷ドラム121が図中矢印方向Aと反対方向に回転し、印刷ドラム121の外周面に装着されていた使用済みのマスタ101の後端部が排版部70の排版剥離ローラ対71a,71bに近づくと、同ローラ対71a,71bは回転しつつ一方の排版剥離ローラ71bで使用済みのマスタ101の後端部をすくい上げ、排版剥離ローラ対71a,71bの左方に配設された排版コロ対73a,73bと排版剥離ローラ対71a,71bとの間に掛け渡された排版搬送ベルト対72a,72bで構成される排版剥離搬送装置により、使用済みのマスタ101は印刷ドラム121の外周面から漸次剥され矢印方向X1方向へ搬送されつつ排版ボックス74内へ排出されていわゆる排版工程が終了する。この時印刷ドラム121は反時計回り方向への回転を続けている。排出された使用済みのマスタ101は、その後、圧縮板75によって排版ボックス74の内部で圧縮される。
【0042】
排版工程と並行して、原稿読取部80が作動して原稿読み取りが行われる。すなわち、図示しない原稿載置台に載置された原稿60は、分離ローラ81、前原稿搬送ローラ対82a,82bおよび後原稿搬送ローラ対83a,83bのそれぞれの回転により矢印X2からX3方向(以下、「原稿搬送方向X2」という)に搬送されつつ露光読み取りに供される。このとき、原稿60が多数枚あるときは、分離ブレード84の作用でその最下部の原稿のみが搬送される。
上側の後原稿搬送ローラ83aは、例えばステッピングモータからなる原稿搬送モータ(図示せず)によって回転駆動される。上側の前原稿搬送ローラ82aは、上側の搬送ローラ83aと搬送ローラ82aとの間に掛け渡されたタイミングベルト(図示せず)を介して上記原稿搬送モータによって回転駆動され、各ローラ82b,83bはそれぞれ従動回転する。
【0043】
原稿60の画像読み取りは、コンタクトガラス85上を搬送されつつ、蛍光灯86により照明された原稿60の表面からの反射光を、ミラー87で反射させレンズ88を通して、CCD(電荷結合素子等の光電変換素子)からなる画像センサ89に入射させることにより行われる。その画像が読み取られた原稿60は原稿トレイ80A上に排出される。
【0044】
原稿60の光学情報(画像データ)は画像センサ89で光電変換され、そのアナログの電気信号はアナログ/デジタル(A/D)変換部(図示せず)に入力されデジタルの画像信号に変換される。このデジタルの画像信号は図示しない制御部内の画像処理部(図示せず)で孔版用に画像処理を施され、こうして画像処理を施された2値の黒画素および白画素に関するデジタル画像信号は、図示しないサーマルヘッド駆動制御部に入力される。このサーマルヘッド駆動制御部は、主としてサーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介して図10に示すサーマルヘッド102の個々の発熱体102aを制御するものであり、図示しない制御手段からの指令を受けて制御動作を行う。
【0045】
なお、上記A/D変換部へ入力される光学情報(画像データ)は上記CCDで読み取ったものに限らず、例えば密着イメージセンサ(CIS)等からのものでも構わない。また、上記図示しない制御部内のサーマルヘッド駆動制御部に入力されるデジタル画像データは、パソコン等のコンピュータから送信されるデジタル画像信号であっても構わない。
上記図示しない制御部内のサーマルヘッド駆動制御部に入力したデジタル画像信号は、サーマルヘッド駆動用の信号としてデジタル画像データ信号等を生成されて、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)を介してサーマルヘッド102に送信される。
【0046】
一方、このような原稿走査および画像読み取り動作と並行して、デジタル信号化された画像情報(デジタル画像信号)に基づき製版および給版工程が行われる。すなわち、上記製版スタート信号がトリガとなって、プラテンローラ103に連結されたステッピングモータ(図示せず)が回転駆動されることにより、図示しないマスタ支持部材を介してマスタ101を繰り出し可能にセットされ、芯管101aの周りにロール状に巻かれて形成されたマスタロール101Aからマスタ101が引き出される。この時、マスタ101は、マスタ101を介してサーマルヘッド102に押し付けられているマスタ搬送手段としてのプラテンローラ103およびテンションローラ対105a,105bの一定速度の回転により、図中矢印X4で示す副走査方向X4(以下、「マスタ搬送方向X4」ともいう)の下流側に搬送される。
搬送されるマスタ101に対して、サーマルヘッド102の主走査方向にライン状に並んで配列された多数の微小な発熱体102aが、上記図示しない制御部内のサーマルヘッド駆動制御部から送られてくるデジタル画像データ信号に応じて各々位置選択的に発熱し、発熱した発熱体102aに接触しているマスタ101のフィルム部分が加熱溶融穿孔される。このようにして、画像情報に応じたマスタ101の位置選択的な溶融穿孔により、画像情報が穿孔パターンとしてマスタ101に書き込まれる。
【0047】
プラテンローラ103は、タイミングベルトおよびギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して上記図示しないステッピングモータに連結されていて、ステッピングモータにより回転される。上記ステッピングモータの回転駆動力は、ギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介して、テンションローラ対105a,105bおよび電磁クラッチ(図示せず)を介して上下一対の反転ローラ107a,107bに伝達されるようになっている。なお、上記電磁クラッチに代えて、反転ローラ対107a,107bの駆動ローラを回転させる、上記ステッピングモータとは別のステッピングモータを配設した装置もある。
【0048】
サーマルヘッド102は、上記したように画像センサ89、それぞれ図示しない、上記A/D変換部、上記画像処理部等を経由して、あるいは図示しないパソコン等からのデジタル画像信号を受信するための図示しないパソコン・コントローラやインターフェース装置、データ展開部等を経由して上記画像処理部を介して、図示しない制御部のサーマルヘッド駆動制御部で処理されて送出されるデジタル画像データ信号を含むサーマルヘッド駆動用の信号に基づいて、多数の発熱体102aを位置選択的に加熱することにより、マスタ101を位置選択的に加熱溶融穿孔し製版する製版手段としての機能を有する。サーマルヘッド102は、図示しない周知の接離手段により、マスタ101を介してプラテンローラ103に接離自在となっている。
【0049】
図9および図10で使用されるマスタ101としては、例えば熱可塑性樹脂フィルムと、和紙繊維とか合成繊維あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造のものが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系のものが用いられる。
図10において、二点鎖線で示す65,66,76,77,78は、後述する第1の実施形態の変形例1、2および第2の実施形態の変形例3ないし5に係る制御手段を、同図において二点鎖線で示す67は、孔版印刷装置本体150〜156,200の内部の温度を検知する温度検知手段としての温度検知センサを、それぞれ表している。制御手段65,66、温度検知センサ67は、上述したように後述の第1の実施形態の変形例2、第2の実施形態の変形例4で使用されるものであるが、図示の便宜上図10に示した。
製版部100は、装置本体50に対して周知の着脱手段を介して着脱自在な製版ユニットを構成している。上記着脱手段としては、例えば、装置本体50側に設けられ製版ユニットを案内する断面コ字形状の案内部材と、製版ユニット側に設けられ上記案内部材に対して摺動可能な凸状部材との組合せが挙げられる。このように装置本体50側には、図示しない案内部材等が配設されることからも、給紙ユニット110Aにおける高さ方向Zの省スペース化および小型化が要望されている。
【0050】
画像情報が書き込まれた製版済みのマスタ101の先端は、反転ローラ対107a,107bにより印刷ドラム121の版胴外周部側へ向かって送り出され、さらに給版ガイド板108により進行方向を下方へ変えられ、図10に二点鎖線で示す給版位置状態にある印刷ドラム121の拡開したマスタクランパ122へ向かって垂れ下がる。このとき印刷ドラム121は、排版工程により使用済みのマスタ101を既に除去されている。
そして、装置本体50側に配設されマスタクランパ122を開閉する図示しない開閉装置の作動により、製版済みのマスタ101の先端が一定のタイミングでマスタクランパ122によってクランプ・保持されると、印刷ドラム121は図中矢印A方向(時計回り方向)に回転しつつ外周面に製版済みのマスタ101を徐々に巻き付けていく。製版済みのマスタ101の後端部は、製版完了後にカッタ104により一定の長さに切断されて、1版の製版済みのマスタ101が印刷ドラム121の外周面に完全に巻装された段階で製版および給版工程が終了する。
【0051】
その後、プラテンローラ103、テンションローラ対105a,105bおよび反転ローラ対107a,107bの回転により、切断された上流側の残りのマスタ101の先端が反転ローラ対107a,107bのニップ部に向けて搬送される。こうして搬送されたマスタ101の先端が図示しないマスタ先端検知センサによって検知され、マスタ101の先端が初期位置を占めたと判断されると、プラテンローラ103、テンションローラ対105a,105bおよび反転ローラ対107a,107bの回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。マスタ101の初期位置は、例えば、反転ローラ対107a,107bのニップ部で挟持された位置から少し前方にはみ出た位置に予め設定されている。
【0052】
次いで、印刷工程が開始される。先ず、給紙トレイ51上に積載された用紙Sのうちの最上位の1枚が、給紙コロ111により引き出され、さらに分離コロ対112a,112bの協働作用により1枚に分離されてレジストローラ対113a,113bに向けて矢印X方向(用紙搬送方向X)に給送され、さらにレジストローラ対113a,113bにより印刷ドラム121の回転と同期した所定のタイミングで印圧部120における印刷ドラム121とプレスローラ123との間に給送される。このプレスローラ123は、図示しない公知のプレスローラ変位手段により印刷ドラム121の外周面に接離自在になされており、外周面に製版済みのマスタ101が巻装された印刷ドラム121に対して給送されてきた用紙Sを押し付けて印刷画像を用紙S上に形成する押圧手段として機能する。そして、給送されてきた用紙Sが、印刷ドラム121とプレスローラ123との間に挿入されてくると、印刷ドラム121の外周面下方に離間していたプレスローラ123が揺動・上昇されることにより、印刷ドラム121の外周面に巻装されている製版済みのマスタ101に押し付けられる。こうして、印刷ドラム121の多孔部から滲み出たインキの粘性による付着力によって、製版済みのマスタ101が印刷ドラム121の外周面上に密着すると同時に、さらに製版済みのマスタ101の穿孔パターン部からインキが滲み出し、この滲み出たインキが用紙Sの表面に転移されて、印刷画像が形成される。
【0053】
この時、印刷ドラム121の内周側では、支軸124を兼ねるインキ供給管124からインキローラ125とドクターローラ126との間に形成されるインキ溜まり127にインキが供給され、印刷ドラム121の回転方向と同一方向に、かつ、印刷ドラム121の回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキローラ125により、インキが印刷ドラム121の内周側に供給される。
なお、インキ供給管124、インキローラ125およびドクターローラ126は、印刷ドラム121上の製版済みのマスタ101にインキを供給するインキ供給手段を構成する。押圧手段は、プレスローラ123に限らず、印刷ドラム(版胴)121の直径とほぼ同径の圧胴等も用いられ、このような圧胴方式の孔版印刷装置でも無論、本発明は適用される。
上記したとおり、印刷ドラム121、上記インキ供給手段およびプレスローラ123は、印刷部110により給送されてきた用紙Sにインキによる印刷画像を形成する印刷画像形成手段を構成している。
【0054】
上質紙等への非コート紙に印刷する場合に使用するインキとしては、例えばW/O型のエマルジョンインキが好ましく用いられる。以下、図9および図10に示す孔版印刷装置例においては、説明の簡明化を図るために活性エネルギー線硬化型インキとしての紫外線硬化型インキが用いられるものとして説明する。以下、単にインキというときは、活性エネルギー線硬化型インキ(紫外線硬化型インキ)を意味するものとする。
【0055】
印圧部120において印刷画像が形成された用紙Sは、排紙部130における排紙剥離爪114により印刷ドラム121から剥がされ、吸引用ファン118に吸引されつつ、吸着排紙入口ローラ115および吸着排紙出口ローラ116に掛け渡された多孔性の搬送ベルト117に吸着され、この搬送ベルト117の反時計回り方向の回転・走行により、矢印X5のように排紙台52へ向かって搬送され、排紙台52上に順次排出積載される。このようにしていわゆる版付け印刷が終了する。
版付け印刷終了後、プレスローラ123は印刷ドラム121から離間し、印刷ドラム121は図10においてマスタクランパ122が略真上となる初期位置(ホームポジション)に復帰して、印刷待機状態となる。
【0056】
次に、図11に示す操作パネル90に配置されている図示しない印刷速度設定キーを押下することにより、所望する印刷速度値を設定し、これに前後して操作パネル90のテンキー93で印刷枚数をセットし、印刷スタートキー92を押すと上記版付け印刷と同様の工程で、給紙、印刷および排紙の各工程が設定された印刷速度でセットした印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0057】
図10において、レジストローラ対113a,113bを除き二点鎖線で囲んだ部分は、図示しないネジ等の締結手段を含む着脱手段を介して、装置本体50に対して着脱自在に構成された給紙ユニット110Aを示している。給紙ユニット110Aは、上述した摩擦方式によるシート給送装置として構成されている。給紙ユニット110Aでは、分離手段として分離コロ対112,112bを用いたが、給紙ローラと摩擦部材である摩擦パッドとの組み合わせたものなども用いられる。
図10において、給紙ユニット110Aの符号と共に括弧を付して示す1A,1Bは、図示しないネジ等の締結手段を含む着脱手段を介して、装置本体50に対して着脱自在に構成された後述する第1および第2の実施形態に係る給紙ユニットを表している。
また、エア給紙装置は、例えば大量給紙が可能な大量給紙ユニットと組み合わせ、印刷装置本体に対し外付けオプションとして装着可能なように構成してもよい。
【0058】
(第1の実施形態)
図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
第1の実施形態は、図6および図7に示したエア給紙装置500の給紙ユニット500Aと比較して、図1および図2にその要部のみを示すように、エア給紙装置1の給紙ユニット1Aを用いることのみ相違する。エア給紙装置1の給紙ユニット1Aは、エア給紙装置500の給紙ユニット500Aと比較して、給紙ユニット500Aの吸引ユニット10に代えて、吸引ユニット10Aを用いることのみ相違する。
吸引ユニット10Aは、図6および図7に示した吸引ユニット10と比較して、エア吸引駆動ファン15に代えて、図1および図2に示すように、エア吸引駆動源として複数(本実施形態例では2つ)のシロッコファン15a,15bを用いることを明定した点、すなわちエアを吸引するエア吸引口15a1とエアを吐出するエア吐出口15a2とを備えたシロッコファン15aおよびエアを吸引するエア吸引口15b1とエアを吐出するエア吐出口15b2とを備えたシロッコファン15bを用いることを明定した点、エア排出経路(エア流れ方向)の上流側のシロッコファン15aのエア吐出口15a2に、隣る下流側のシロッコファン15bのエア吸引口15b1を連通・接続して配置した点が主に相違する。
第1の実施形態のエア給紙装置1は、上記相違点以外は図6および図7に示したエア給紙装置500と同様である。図9および図10において、摩擦方式の給紙ユニット110Aと共に括弧を付して示すエア方式の給紙ユニット1Aは、給紙ユニット110Aに代えて同図に示す孔版印刷装置に装着・適用したことを表している。
【0059】
DCファンでも静圧が上げる方式として、エア吸引駆動源としてのエア吸引駆動ファンをシロッコファン15a,15bとし、そのシロッコファン15a,15bを両図に示すように配置するものである。すなわち、図6および図7に示したと同様にして吸引中継管(ダクト)13に吸引駆動源チャンバ17を連通・接続した後、図1および図2に示すように、吸引駆動源チャンバ17に上流のシロッコファン15aのエア吸引口15a1が連通・接続されている。
そして、上流のシロッコファン15aのエア吐出口15a2にはファン接続ダクト45が連通・接続されており、それから下流のシロッコファン15bのエア吸引口15b1にはファン接続ダクト45が連通・接続されており、最も下流側にシロッコファン15bのエア吐出口15b2が開口されていて、エアを吐出するようになっている。換言すれば、2つのシロッコファン15a,15bが直列に連通・接続された構成である。
当然のことながら、吸引中継管13と吸引駆動源チャンバ17との接続部、吸引駆動源チャンバ17とシロッコファン15aのエア吸引口15a1との接続部、シロッコファン15aのエア吐出口15a2とファン接続ダクト45との接続部、シロッコファン15bのエア吸引口15b1とファン接続ダクト45との接続部は、それぞれエア漏れがないように適切な嵌合接続形状により、また適宜のシールテープ等の貼り付けによってエア漏れ防止が図られている。
【0060】
図3に、シロッコファン15a,15bの具体的な製品例を示す。図3中、15cはシロッコファン15a,15bに設けられている多翼ファンを、15dはシロッコファン15a,15bに設けられているDCファンモータに電力を供給するリード線をそれぞれ示している。なお、シロッコファンの名称は当業者の間で広く用いられている用語であるが、その正式名称(学術用語)は、遠心送風機の多翼ファンに相当する。
周知のように、多翼ファンを備えた遠心送風機(シロッコファン)は、小型かつ安価であり、特に軸流式送風機と比べて、1段での圧力上昇を大きくとることが容易で騒音も少ないという特徴がある。
【0061】
各シロッコファン15a,15bは、その静圧仕様が同等のもの、すなわち静圧仕様を含め形状・寸法等が共通のものである。2つのシロッコファン15a,15bを直列に連通・接続した構成にすることで、シロッコファン15a,15bの何れか一方の場合と比べて、静圧を約50%アップさせることができる。例えば1つのシロッコファンの静圧が仮に400Paとすると、図1および図2に示したようにシロッコファン15a,15bを直列に接続した構成と、シロッコファン15a,15bのうちの何れか一方のみに構成した場合との比較試験を行った結果、本実施形態例では600Paに約50%アップすることができた。
一般的に、その静圧仕様が同等の2つのシロッコファンを直列に連通・接続した構成の場合、理論上の静圧は2倍になるが、本実施形態では吸引駆動源チャンバ17およびファン接続ダクト45による摩擦、負荷抵抗等により約50%アップすることが分かった。
本実施形態においては、各シロッコファン15a,15bは、DCファンからなるので、各々の回転数を可変することで、静圧および風量を変えることも可能であるが、本実施形態では、通常、各シロッコファン15a,15bは最大の回転数で回転駆動される設定である。
【0062】
図1および図2において、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14bおよび吸引チャンバ12(図6および図7に示し、図1および図2には図示せず)、吸引中継管13、吸引駆動源チャンバ17、各シロッコファン15a,15b、ファン接続ダクト45、吸引ベルト駆動モータ47(図6および図7に示し、図1および図2には図示せず)は、吸引ユニット10Aを構成している。
上記した吸引ユニット10A中、吸引ベルト11、吸引チャンバ12(図6および図7に示し、図1および図2には図示せず)、吸引中継管13、吸引駆動源チャンバ17、各シロッコファン15a,15bは、エア吸引手段を構成している。
また、上記した吸引ユニット10中、吸引ベルト11、駆動ローラ14a、従動ローラ14b、吸引ベルト駆動モータ47は、上記エア吸引手段により吸引・保持された用紙Sを給送するシート給送手段を構成している。
【0063】
本実施形態によれば、エア給紙装置1の給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体150において、特に装置本体50の高さ方向Zの省スペース化および小型化を図るために、吸引ベルト11のピッチ間を小さく、または駆動(従動)ローラ14a(14b)の直径を小さくした場合でも、安価なDCファンであるシロッコファン15a,15bを上述したように直列に連通・接続して配置したことにより、静圧がアップすることで用紙Sを十分に吸引・保持して給送することができるようになった。
【0064】
(第1の実施形態の変形例1)
図4および図10を参照して、第1の実施形態の変形例1を説明する。
変形例1は、第1の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体150に代えて、図4、図10および図11に示すように、操作パネル90に設けられた用紙種類認識手段としての用紙種類設定手段と、制御手段65とを有する孔版印刷装置本体151を用いる点が主に相違する。変形例1は、上記相違点以外の構成は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aを有していることは無論である。
【0065】
図11に示す操作パネル90は、原稿読取部80の上部の一側部に配置されている。操作パネル90には、図11に詳しく示すように、製版スタートキー91、印刷スタートキー92、テンキー93、試し刷りキー94、エンターキー95、モードクリアキー96、タッチパネル98および表示器99等が配設されている。また、操作パネル90には、報知手段およびシートの種類を認識するシート種類認識手段としての用紙種類設定手段として機能するものも配設されている。
製版スタートキー91は、原稿の画像の読み取りから排版、製版、給版、給紙、版付け印刷、排紙工程に至るまでの一連の工程(動作)を起動するための動作起動手段としての機能を、テンキー93は、印刷枚数等を入力・設定する機能を、印刷スタートキー92は、テンキー93で入力・設定された印刷枚数分の印刷動作の起動等を行う機能を、試し刷りキー94は、試し刷り印刷動作を起動する機能を、それぞれ有する。エンターキー95は、各種設定時に数値等を確定・設定する機能を、モードクリアキー96は、各種モード設定状態を消去・クリアする機能を有し、それぞれそれらの機能を発揮させたい場合等に押下される。
【0066】
タッチパネル98は、図示しないタッチパネル駆動回路を含むLCD(液晶表示装置)駆動回路により駆動され、周知のタッチパネル方式で画面表示された各種モードや種々の選択設定手段(上述の用紙種類設定手段)を白黒反転表示させて選択設定できるように構成されている。
タッチパネル98に配設されたLCD画面からなる表示手段ないしは報知手段は、使用するインキや各シロッコファン15a,15bによる回転数による風量が薄紙、普通紙、コート紙あるいは厚紙に見合っていない場合に、それを表示ないしは報知するものである。
用紙種類設定手段は、用紙として、薄紙、普通紙、コート紙、厚紙を選択設定することが可能な用紙種類認識手段としての機能を有し、具体的にはタッチパネル98に設けられた薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134で構成されている。用紙種類設定手段は、上記したものに限らず、より詳細に厚紙等を設定可能なキーを配設してもよい。
【0067】
上記用紙種類設定手段に限らず、薄紙、普通紙、コート紙、厚紙の各表面の反射光量をその平滑度の差を利用して検出し認識する公知の用紙(シート・被印刷媒体)種類検出手段を含む用紙(シート・被印刷媒体)種類認識手段であってもよい。用紙種類検出手段としては、例えば特開2001−328332号公報の図5に示されている用紙種類検知センサ(40)と同様のものを利用することができる。すなわち、用紙種類検出手段は、上記公報の段落番号「0059」ないし「0065」に記載され、図5に詳しく示されているように、用紙62の表面に光を投射する発光手段としての発光素子(40aa)を備えた発光部(40a)と、その用紙62の表面で反射された反射光を受ける受光手段としての複数の受光素子(40ba)を備えた受光部(40b)とを有し、これらの発光部(40a)および受光部(40b)は、搬送されることで移動する用紙62に対して、受光部(40b)の複数の受光素子(40ba)が受けた反射光の受光位置のバラツキを認識することにより被印刷媒体種類を自動的に検出するものである。また、レーザ光の透過光量を検出することで、薄紙、普通紙、コート紙、厚紙を検知するものであってもよい。シート種類認識手段には、シート種類設定手段およびシート種類検出手段の双方が含まれる。
【0068】
制御手段65は、シート種類認識手段としての用紙種類設定手段によって選択設定された薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134からの何れか1つの用紙種類に応じて、各シロッコファン15a,15bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。
制御手段65は、操作パネル90に配設された各種キーやスイッチ、各種センサからの信号に基づいて、操作パネル90に配設された液晶表示装置(LCD)や各種LED、上記各装置・各部の動作を制御可能な、それぞれ図示しないCPU、ROM、RAMおよびタイマ等を備えた周知のマイクロコンピュータを具備している(後述する変形例2の制御手段66、変形例3の制御手段76、変形例4の制御手段77、変形例5の制御手段78も同様である)。ROMには、制御手段65の上記CPUの機能を発揮するための動作プログラムや関係データが予め記憶されている(後述する変形例2の制御手段66、変形例3の制御手段76、変形例4の制御手段77、変形例5の制御手段78も同様である)。
【0069】
第1の実施形態で説明したように、通常、各シロッコファン15a,15bは最大の回転数で回転駆動される。しかしながら、薄紙等で腰の無い紙の場合、静圧が高いと吸引ベルト11の孔11aに入り込んでしまい、用紙にダメージを与える虞がある。その場合は、制御手段65からの指令によって、各シロッコファン15a,15bの一方のファンの回転数を半分にし、もしくは作動停止させることで、薄紙(用紙)にダメージを与えないように静圧を下げることができる。
つまり、変形例1によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することは元より、操作パネル90上で、薄紙を使用する際、薄紙モードを設定する薄紙設定キー131を押すことで、制御手段65による制御によって自動的に片方のファンの回転数を遅くすることができる。
【0070】
変形例1では、制御手段65およびシート種類認識手段が孔版印刷装置本体151側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段65およびシート種類認識手段を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1A側に配設して構成することもできる。これを上位概念的に表現した構成、すなわち、請求項3記載のシート給送装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有するシート給送装置であってもよい。
【0071】
(第1の実施形態の変形例2)
図5および図10を参照して、第1の実施形態の変形例2を説明する。
変形例2は、第1の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aおよびこれを有する孔版印刷装置本体150に代えて、図5、図10および図11に示すように、操作パネル90に設けられた用紙種類認識手段としての用紙種類設定手段と、装置本体内に配設された例えばサーミスタ等からなる温度センサ67と、制御手段66とを有する孔版印刷装置本体152を用いる点が主に相違する。変形例2は、上記相違点以外の構成は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aを有していることは無論である。
【0072】
制御手段66は、シート種類認識手段としての用紙種類設定手段によって選択設定された薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134からの何れか1つの用紙種類および温度センサ67によって検知された装置本体50内の温度に応じて、各シロッコファン15a,15bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。
【0073】
変形例2では、制御手段65による変形例1に特有の制御に加えて、高温高湿時になるとさらに薄紙等の用紙にダメージを与えてしまう虞がある。そこで、変形例2では、第1の実施形態と同様の効果を奏することは元より、薄紙を使用する際、薄紙モードを設定する薄紙設定キー131を押すことで薄紙モードを設定すると共に、温度センサ67からの温度が予め図示しないROM等に記憶している温度よりも高い場合は、制御手段66による制御によって自動的に片方のファンの作動を停止して、薄紙(用紙)にダメージを与えないように他方のファンのみによって適正な静圧に下げることができる。
なお、高温高湿状態をより正確に検知したい場合には、温湿度検知手段としての温度センサと湿度センサとが一体型の公知の温湿度センサを採用してもよい。
【0074】
変形例2では、制御手段66、シート種類認識手段および温度検知手段としての温度センサ67が孔版印刷装置本体152側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段66、シート種類認識手段および温度検知手段としての温度センサ67を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1A側に配設して構成することもできる。これを上位概念的に表現した構成、すなわち、請求項3記載のシート給送装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート給送装置の温度を検知する温度検知手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記シート給送装置の温度に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有するシート給送装置であってもよい。
【0075】
(第2の実施形態)
図12〜図15を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。図12および図14では、給紙トレイ3およびこの給紙トレイ3上の用紙束2における用紙搬送方向Xの長さを用紙搬送方向Xに長く誇張して示す。また、図14では、図の簡明化のためシロッコファン15a,15bおよびサイド吐出中継菅43の紙面奥側の図示を省略している。
第2の実施形態は、図1〜図3に示した第1の実施形態におけるエア給紙装置1の給紙ユニット1Aと比較して、図12〜図15に示すように、エア給紙装置1の給紙ユニット1Bを用いることのみ相違する。給紙ユニット1Bは、第1の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Aと比較して、サイド吐出ユニット40に代えて、サイド吐出ユニット40Aを用いる点、このサイド吐出ユニット40Aの採用に伴い、これを構成するエア吹付駆動源等を後述するように特有の配置で構成した点が主に相違する。
【0076】
フロント吐出チャンバ20およびフロントエア吐出ファン23からなるフロント吐出ユニット、およびサイド吐出ユニット40Aは、給紙トレイ3上に積載された用紙束2の先端面および両側端面にエアaを吹き付けることにより用紙Sを1枚ずつ分離させるエア分離手段を構成している。本実施形態は、上記エア分離手段の構成において、特にサイド吐出ユニット40Aに焦点を当てたものである。
エア給紙装置1の給紙ユニット1Bは、上記相違点を詳細に後述する点以外は図1〜図3に示した第1の実施形態におけるエア給紙装置1の給紙ユニット1Aと同様である。図9および図10において、摩擦方式の給紙ユニット110Aと共に括弧を付して示すエア方式の給紙ユニット1Bは、給紙ユニット110Aに代えて同図に括弧を付して示す孔版印刷装置本体153に装着・適用したことを表している。
【0077】
サイド吐出ユニット40Aは、図7に示したサイド吐出ユニット40と比較して、サイドエア吐出源としてのサイドエア吐出ファン41に代えて、図12〜図15に示すように、エア吹付駆動源として複数(本実施形態例では2つ)のエア吹付駆動源用シロッコファン41a,41b(以下、単に「シロッコファン41a,41b」ともいう)を用いる点、すなわちエアを吸引するエア吹付駆動源用エア吸引口41a1(以下、単に「エア吸引口41a1」ともいう)とエアを吐出するエア吹付駆動源用エア吐出口41a2(以下、単に「エア吐出口41a2」ともいう)とを備えたシロッコファン41aおよびエアを吸引するエア吹付駆動源用エア吸引口41b1(以下、単に「エア吸引口41b1」ともいう)とエアを吐出するエア吹付駆動源用エア吐出口41b2(以下、単に「エア吐出口41b2」ともいう)とを備えたシロッコファン41bを用いる点、エア排出経路(エア流れ方向)の上流側のシロッコファン41bのエア吐出口41b2に、隣る下流側のシロッコファン41aのエア吸引口41a1を連通・接続して配置した点が主に相違する。
【0078】
DCファンでも静圧が上げる方式として、エア吹付駆動源としてのエア吹付駆動ファンをシロッコファン41a,41bとし、そのシロッコファン41a,41bを図12〜図15に示すように配置するものである。すなわち、上流のシロッコファン41bのエア吐出口41b2にはファン接続ダクト46が連通・接続されており、それから下流のシロッコファン41aのエア吸引口41a1にはファン接続ダクト46が連通・接続されており、最も下流側にシロッコファン41aのエア吐出口41a2が開口されていて、エアを圧送して吐出するようになっている。換言すれば、2つのシロッコファン41a,41bが直列に連通・接続された構成である。
【0079】
そして、シロッコファン41aのエア吐出口41a2には、サイド吐出駆動源チャンバ44が連通・接続されており、さらにサイド吐出駆動源チャンバ44の両側に用紙幅方向Yに延びたサイド吐出中継管(ダクト)43が連通・接続されている。サイド吐出中継管43は給紙トレイ3上に積載された用紙束2の両側端面に対向して用紙搬送方向Xの上流および下流側に延在して設けられている。用紙幅方向Yの両側のサイド吐出中継管43の末端部には、用紙束2の各側端面にエアaを吹き付け・吐出するサイドエア吐出口を備えたサイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dが連通・接続されている。
【0080】
上述したとおり、サイドエア吐出口を備えた各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dは、サイド吐出中継管43およびサイド吐出駆動源チャンバ44を介して、2つのシロッコファン41a,41bに連通・接続されている。それ故に、直列に連通・接続された2つのシロッコファン41a,41bによって生成された高い静圧で圧送されるエアaがサイド吐出駆動源チャンバ44およびサイド吐出中継管43を通って、各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dより吐出し用紙束2の各側端面に吹き付けることで、用紙Sが1枚ずつに確実に分離されることとなる。
【0081】
当然のことながら、各サイド吐出ノズル42a,42b,42c,42dとサイド吐出中継管43との接続部、サイド吐出中継管43とサイド吐出駆動源チャンバ44との接続部、サイド吐出駆動源チャンバ44とシロッコファン41aのエア吐出口41a2との接続部、シロッコファン41aのエア吸引口41a1とファン接続ダクト46との接続部、ファン接続ダクト46とシロッコファン41bのエア吐出口41b2との接続部は、それぞれエア漏れがないように適切な嵌合接続形状により、また適宜のシールテープ等の貼り付けによってエア漏れ防止が図られている。
【0082】
シロッコファン41a,41bの具体的な製品例としては、図3に示すように、第1の実施形態のシロッコファン15a,15bと同様である。すなわち、図3中、41cはシロッコファン41a,41bに設けられている多翼ファンを、41dはシロッコファン41a,41bに設けられているDCファンモータに電力を供給するリード線をそれぞれ示している。
【0083】
各シロッコファン41a,41bは、その静圧仕様が同等のもの、すなわち静圧仕様を含め形状・寸法等が共通のものである。2つのシロッコファン41a,41bを直列に連通・接続した構成にすることで、シロッコファン41a,41bの何れか一方の場合と比べて、静圧を約50%アップさせることができる。例えば1つのシロッコファンの静圧が仮に400Paとすると、図12〜図15に示したようにシロッコファン41a,41bを直列に接続した構成と、シロッコファン41a,41bのうちの何れか一方のみに構成した場合との比較試験を行った結果、本実施形態例では600Paに約50%アップすることができた。
上述したように、その静圧仕様が同等の2つのシロッコファンを直列に連通・接続した構成の場合、理論上の静圧は2倍になるが、本実施形態ではファン接続ダクト46、サイド吐出駆動源チャンバ44およびサイド吐出中継管43による摩擦、負荷抵抗等により約50%アップすることが分かった。
【0084】
本実施形態においては、各シロッコファン41a,41bは、DCファンからなるので、各々の回転数を可変することで、静圧および風量を変えることも可能であるが、本実施形態例では、通常、各シロッコファン41a,41bは最大の回転数の70%で回転駆動される設定である。すなわち、各シロッコファン41a,41bの定格電圧が例えば24Vであると、17V程度に設定している。以下、各シロッコファン41a,41bの定格電圧が24Vの設定として説明する。
【0085】
本実施形態によれば、エア給紙装置1の給紙ユニット1Bおよびこれを有する孔版印刷装置本体153において、エア吹付駆動源として安価なDCファンであるシロッコファン41a,41bを上述したように直列に連通・接続して配置したことにより、静圧が可能な限り高くなることで、サイドエアの速度(風速)が速くなり、特には厚紙等や塗工紙(コート紙等)でも確実に1枚ずつに分離できるようになった。
【0086】
(第2の実施形態の変形例3)
図10、図11および図16を参照して、第2の実施形態の変形例3を説明する。
変形例3は、第2の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Bおよびこれを有する孔版印刷装置本体153に代えて、図10、図11および図16に示すように、操作パネル90に設けられた用紙種類認識手段としての用紙種類設定手段と、制御手段76とを有する孔版印刷装置本体154を用いる点が主に相違する。変形例3は、上記相違点以外の構成は、第2の実施形態と同様であり、第2の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Bを有していることは無論である。
【0087】
制御手段76は、シート種類認識手段としての用紙種類設定手段によって選択設定された薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134からの何れか1つの用紙種類に応じて、各シロッコファン41a,41bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。
【0088】
第2の実施形態で説明したように、通常、各シロッコファン41a,41bは最大の回転数の70%で回転駆動されるよう設定されている。しかしながら、薄紙等で腰の無い用紙を用いる場合、サイドエアの速度(風速)が速いと薄紙等からなる用紙束2上の用紙Sを必要以上に吹き上げたり、用紙Sをばたつかせたりすることで、吸引ユニット10A側の吸引ベルト11が最上位の用紙S1を吸引しずらくなり、搬送ミスが発生する場合がある。
その場合は、制御手段76からの指令によって、両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に遅く(例えばファン電圧14V)し、またはシロッコファン41a,41bの片方を停止するものである。
また、厚紙を用いる場合であるが、厚紙からなる用紙束2上の用紙Sを確実に1枚ずつ分離するためにサイドエアの速度(風速)を速くするほうがよい。その場合は、制御手段76からの指令によって、両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に速くする(ファン電圧21V程度)。
【0089】
つまり、変形例3によれば、第2の実施形態と同様の効果を奏することは元より、薄紙を使用する際、操作パネル90上で薄紙モードを設定する薄紙設定キー131を押すことで、制御手段76による制御によって両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に遅く(例えばファン電圧14V)し、またはシロッコファン41a,41bの片方を停止させることで、サイドエアの速度(風速)を遅くすることができる。また、厚紙を使用する際、操作パネル90上で、厚紙設定キー134を押すことで、制御手段76による制御によって両シロッコファン41a,41bの回転数を自動的に速く(ファン電圧21V)させることができる。
【0090】
変形例3では、制御手段76およびシート種類認識手段が孔版印刷装置本体153側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段76およびシート種類認識手段を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1B側に配設して構成することもできる。これを上位概念的に表現した構成、すなわち、請求項6記載のシート給送装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有するシート給送装置であってもよい。
【0091】
(第2の実施形態の変形例4)
図10、図11および図17を参照して、第2の実施形態の変形例4を説明する。
変形例4は、第2の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Bおよびこれを有する孔版印刷装置本体153に代えて、図10、図11および図17に示すように、操作パネル90に設けられた用紙種類認識手段としての用紙種類設定手段と、装置本体内に配設された例えばサーミスタ等からなる温度センサ67と、制御手段77とを有する孔版印刷装置本体155を用いる点が主に相違する。変形例4は、上記相違点以外の構成は、第2の実施形態と同様であり、第2の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Bを有していることは無論である。
【0092】
制御手段77は、シート種類認識手段としての用紙種類設定手段によって選択設定された薄紙設定キー131、普通紙設定キー132、コート紙設定キー133および厚紙設定キー134からの何れか1つの用紙種類および温度センサ67によって検知された装置本体50内の温度に応じて、各シロッコファン41a,41bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。
【0093】
変形例4では、制御手段76による変形例3に特有の制御に加えて、さらに高温高湿条件下の塗工紙(コート紙)の厚紙になると1枚ずつに分離しずらくなる。そこで、制御手段76からの指令によって、両シロッコファン41a,41bの回転数を最大にする(定格電圧24V)。
変形例4によれば、第2の実施形態と同様の効果を奏することは元より、厚紙でかつ塗工紙(コート紙)を使用する際、厚紙設定キー134を押すことで厚紙モードを設定すると共にコート紙設定キー133を押すことで塗工紙(コート紙)モードを設定し、温度センサ67からの温度が予め図示しないROM等に記憶している温度よりも高い場合(例えば27℃)は、制御手段77による制御によって自動的に両シロッコファン41a,41bの回転数を最大(定格電圧24V)にすることで、最大のサイドエアの速度(風速)とし、もって高温高湿時の塗工紙(コート紙)の厚紙を使用する場合であってもその用紙Sを確実に1枚ずつに分離することができる。
なお、高温高湿状態をより正確に検知したい場合には、温湿度検知手段としての温度センサと湿度センサとが一体型の公知の温湿度センサを採用することが好ましい。
【0094】
変形例4では、制御手段77、シート種類認識手段および温度検知手段としての温度センサ67が孔版印刷装置本体154側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段77、シート種類認識手段および温度検知手段としての温度センサ67を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1B側に配設して構成することもできる。これを上位概念的に表現した構成、すなわち、請求項6記載のシート給送装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート給送装置の温度を検知する温度検知手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記シート給送装置の温度に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段とを有するシート給送装置であってもよい。
【0095】
(第2の実施形態の変形例5)
図10、図11および図18を参照して、第2の実施形態の変形例5を説明する。
変形例5は、第2の実施形態のエア給紙装置1の給紙ユニット1Bおよびこれを有する孔版印刷装置本体153に代えて、図10、図11および図18に示すように、用紙Sの重送を認識する重送認識手段・重送検知手段としての重送センサ79と、制御手段78とを有する孔版印刷装置本体156を用いる点が主に相違する。変形例5は、上記相違点以外の構成は、第2の実施形態と同様であり、第2の実施形態と同様のエア給紙装置1の給紙ユニット1Bを有していることは無論である。
【0096】
制御手段78は、重送センサ79により検知された用紙Sの重送によって、各シロッコファン41a,41bの回転数および風量を変えるように制御する機能を有する。本実施形態の重送センサ79は、給紙ユニット1Bから搬送される用紙出口とレジストローラ対113,113bとの間の用紙搬送経路上に配設されている。
重送センサ79としては、例えば特開平7−121079号公報の図1および段落「0012」で開示されている、フォトダイオード等で構成され、用紙の透過率等の変化から重送を検知する重送センサ(7)を用いる例が挙げられる。また、特開2000−159393号公報の図2および段落「0023」等で開示されている超音波センサを利用した重送センサ(10)や光学センサを利用した公知のセンサを用いてもよい。
重送認識手段には、重送を自動的に検知する重送検知手段の他に、重送発生を設定する重送設定手段が含まれる。
【0097】
重送センサ79により用紙Sの重送が検知された場合、制御手段78からの指令によって、現に動作しているシロッコファン41a,41bの電圧を2V程度高くし、これによりシロッコファン41a,41bの回転数をアップさせることで、サイドエアの速度(風速)が自動的にアップすることとなるから、ジャム処理後の給紙・分離動作において用紙Sを確実に1枚ずつに分離することができるようになる。
【0098】
各シロッコファン41a,41bを最大電圧24Vで動作させている場合には対応できないが、24V以外で重送が発生した時は、制御手段78からの指令によって、重送発生が操作パネル90のタッチパネル98のLCD画面に警告表示されたり、ブザー97吹鳴により警告報知されるので、使用者は上記警告表示や警告音によって重送したことを理解し、操作パネル90のタッチパネル98等に適宜配設される重送設定手段としての図示しない重送モードキーや重送モードボタンを押すことで、上述したと同様に対応できる。
上述した例に限らず、重送が2、3回以上続いた場合に、現に動作しているシロッコファン41a,41bの電圧を高くし、これによりシロッコファン41a,41bの回転数をアップさせることで、サイドエアの速度(風速)が自動的にアップすることもできるようになっている。
【0099】
変形例5では、制御手段78が孔版印刷装置本体155側に配設された例で説明したが、これに限らず、制御手段78および重送認識手段・重送検知手段としての重送センサ79を、シート給送装置としてのエア給紙装置1における給紙ユニット1B側に配設して構成することもできる。これを上位概念的に表現した構成、すなわち、請求項6記載のシート給送装置において、シートの重送を認識する重送認識手段と、上記重送認識手段により認識されたシートの重送によって、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンを制御する制御手段とを有するシート給送装置であってもよい。
【0100】
本発明は、孔版印刷機(孔版印刷装置)やオフセット印刷機等を含む印刷装置に限らず、電子写真方式の複写機、プリンタ、インクジェット記録装置、あるいはこれらの少なくとも複数から構成される複合機等の画像形成装置にも適用できることは無論である。本発明を画像形成装置に適用した場合、「印刷装置」を「画像形成装置」と、「印刷画像形成手段」を「画像形成手段」とそれぞれ読み替えればよい。
【0101】
本発明は、2以上の発明を包含している。すなわち、第2の実施形態、変形例3ないし5に対応した発明は、第1の実施形態、変形例1、2に対応した発明とは独立して構成可能である。これらを上位概念的に表現すると、以下の第1の技術構成ないし第7の技術構成となる。
すなわち、第1の技術構成は、積載されたシート束の両側端面にエアを吹き付けることによりシートを1枚ずつ分離させるエア分離手段と、分離された最上位のシートを吸引するエア吸引手段と、該エア吸引手段により吸引保持されたシートを給送するシート給送手段とを有するシート給送装置において、上記エア分離手段は、シート束の上記各側端面にエアを吹き付けるサイドエア吐出口と、該サイドエア吐出口に連通・接続されたエア吹付駆動源とを有し、上記エア吹付駆動源は、エアを吸引するエア吸引口と、エアを吐出するエア吐出口とを備えた複数のシロッコファンからなり、上流側の上記シロッコファンの上記エア吐出口に、上記上流側の上記シロッコファンに隣る下流側の上記シロッコファンの上記エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とする。
【0102】
第2の技術構成は、第1の技術構成記載のシート給送装置において、上記各シロッコファンは、静圧仕様が同等であることを特徴とする。
【0103】
第3の技術構成は、第1または第2の技術構成記載のシート給送装置において、上記各シロッコファンは、回転数を可変することで、静圧および風量を変えることが可能であるDCファンからなることを特徴とする。
【0104】
第4の技術構成は、シートを給送して該シートに画像を形成する画像形成装置において、第1ないし第3の技術構成の何れか一つに記載のシート給送装置と、上記シート給送装置により給送されたシートに画像を形成する画像形成手段とを有することを特徴とする。
【0105】
第5の技術構成は、第4の技術構成記載の画像形成装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各シロッコファンを制御する第1の制御手段とを有することを特徴とする。
【0106】
第6の技術構成は、第4または第5の技術構成記載の画像形成装置において、シートの種類を認識するシート種類認識手段と、上記画像形成装置の温度を検知する温度検知手段と、上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記画像形成装置の温度に応じて、上記各シロッコファンを制御する第2の制御手段とを有することを特徴とする。
【0107】
第7の技術構成は、第4ないし第6の何れか一つの技術構成記載の画像形成装置において、シートの重送を認識する重送認識手段と、上記重送認識手段により認識されたシートの重送によって、上記各シロッコファンを制御する第3の制御手段とを有することを特徴とする。
【0108】
以上説明したとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した実施形態や変形例あるいは実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
例えば、上述した変形例1ないし5を適宜組み合わせた制御構成であってもよく、本願が開示した発明の内容から、当業者であれば、変形例1ないし5の全ての制御を行える制御構成等を構成するようなことも容易に理解し実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1の実施形態のエア給紙装置の給紙ユニットにおける吸引ユニットの要部(2つのシロッコファンの連通・接続状態)を示す模式的な平面図である。
【図2】図1の下面図である。
【図3】(a)は、シロッコファンの製品例を示す下面図、(b)は、同ファンの右側面図、(c)は、同ファンの平面図である。
【図4】第1の実施形態の変形例1の制御構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態の変形例2の制御構成を示すブロック図である。
【図6】従来のエア給紙装置の要部を示す概略的な一部断面正面図である。
【図7】図6の概略的な平面図である。
【図8】図6とは別の従来のエア給紙装置の要部を示す概略的な一部断面正面図である。
【図9】本発明を適用する孔版印刷装置の全体構成を示す概略的な正面図である。
【図10】図9の孔版印刷装置本体の全体構成を示す正面図である。
【図11】変形例1ないし5等に使用する操作パネルの平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態のエア給紙装置の要部を示す概略的な一部断面正面図である。
【図13】図12のサイド吐出ユニットにおける要部(2つのシロッコファンの連通・接続状態)を示す模式的な正面図である。
【図14】図12の概略的な一部断面正面図である。
【図15】図12のサイド吐出ユニットの概略的な側面図である。
【図16】第2の実施形態の変形例3の制御構成を示すブロック図である。
【図17】第2の実施形態の変形例4の制御構成を示すブロック図である。
【図18】第2の実施形態の変形例5の制御構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0110】
1 エア給紙装置(シート給送装置)
1A,1B 給紙ユニット
2 用紙束(シート束)
3 給紙トレイ(シート積載台、給紙台)
10A 吸引ユニット
11 吸引ベルト(エア吸引手段・シート給送手段を構成)
12 吸引チャンバ(エア吸引手段を構成)
13 吸引中継管(エア吸引手段を構成)
14a 駆動ローラ(シート給送手段を構成)
14b 従動ローラ(シート給送手段を構成)
15a,15b シロッコファン(エア吸引駆動源、エア吸引手段を構成)
15a2 上流側のシロッコファンのエア吐出口
15b1 下流側のシロッコファンのエア吸引口
15c 多翼ファン
17 吸引駆動源チャンバ(エア吸引手段を構成)
23 フロントエア吐出ファン(フロントエア吐出源、エア分離手段を構成)
40A サイド吐出ユニット(エア分離手段を構成)
41a,41b エア吹付駆動源用シロッコファン(エア吹付駆動源、エア分離手段を構成)
41a1 下流側のエア吹付駆動源用シロッコファンのエア吹付駆動源用エア吸引口
41b2 上流側のエア吹付駆動源用シロッコファンのエア吹付駆動源用エア吐出口
42a〜42d サイド吐出ノズル(サイドエア吐出口)
45 ファン接続ダクト(エア吸引手段を構成)
46 ファン接続ダクト(エア分離手段を構成)
50 装置本体
65,66,76,77,78 制御手段
67 温度センサ(温度検知手段)
79 重送センサ(重送検知手段)
121 印刷ドラム(印刷画像形成手段を構成)
123 プレスローラ(印刷画像形成手段を構成)
131 薄紙設定キー(シート種類設定手段・シート種類認識手段)
133 コート紙設定キー(シート種類設定手段・シート種類認識手段)
134 厚紙設定キー(シート種類設定手段・シート種類認識手段)
150〜156 孔版印刷装置本体(印刷装置)
S 用紙(シート、被印刷媒体)
X 用紙搬送方向(シート搬送方向、シート給送方向)
Y 用紙幅方向(シート幅方向)
Z 高さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載されたシート束からシートを1枚ずつ分離させた後、分離された最上位のシートを吸引するエア吸引駆動源を備えたエア吸引手段と、該エア吸引手段により吸引保持されたシートを給送するシート給送手段とを有するシート給送装置において、
上記エア吸引駆動源は、エアを吸引するエア吸引口と、エアを吐出するエア吐出口とを備えた複数のシロッコファンからなり、
上流側の上記シロッコファンの上記エア吐出口に、該上流側の上記シロッコファンに隣る下流側の上記シロッコファンの上記エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
請求項1記載のシート給送装置において、
上記各シロッコファンは、静圧仕様が同等であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のシート給送装置において、
上記各シロッコファンは、回転数を可変することで、静圧および風量を変えることが可能であるDCファンからなることを特徴とするシート給送装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載のシート給送装置において、
積載されたシート束の両側端面にエアを吹き付けることによりシートを1枚ずつ分離させるエア分離手段を具備し、
上記エア分離手段は、シート束の上記各側端面にエアを吹き付けるサイドエア吐出口と、該サイドエア吐出口に連通・接続されたエア吹付駆動源とを有し、
上記エア吹付駆動源は、エアを吸引するエア吹付駆動源用エア吸引口と、エアを吐出するエア吹付駆動源用エア吐出口とを備えた複数のエア吹付駆動源用シロッコファンからなり、
上流側の上記エア吹付駆動源用シロッコファンの上記エア吹付駆動源用エア吐出口に、上記上流側の上記エア吹付駆動源用シロッコファンに隣る下流側の上記エア吹付駆動源用シロッコファンの上記エア吹付駆動源用エア吸引口を連通・接続して配置したことを特徴とするシート給送装置。
【請求項5】
請求項4記載のシート給送装置において、
上記各エア吹付駆動源用シロッコファンは、静圧仕様が同等であることを特徴とするシート給送装置。
【請求項6】
請求項4または5記載のシート給送装置において、
上記各エア吹付駆動源用シロッコファンは、回転数を可変することで、静圧および風量を変えることが可能であるDCファンからなることを特徴とするシート給送装置。
【請求項7】
シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、
請求項1ないし6の何れか一つに記載のシート給送装置と、
上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、
請求項3記載のシート給送装置と、
上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、
シートの種類を認識するシート種類認識手段と、
上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、
請求項3記載のシート給送装置と、
上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、
シートの種類を認識するシート種類認識手段と、
上記印刷装置の温度を検知する温度検知手段と、
上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記印刷装置の温度に応じて、上記各シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、
請求項6記載のシート給送装置と、
上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、
シートの種類を認識するシート種類認識手段と、
上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類に応じて、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、
請求項6記載のシート給送装置と、
上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、
シートの種類を認識するシート種類認識手段と、
上記印刷装置の温度を検知する温度検知手段と、
上記シート種類認識手段により認識されたシートの種類および上記温度検知手段により検知された上記印刷装置の温度に応じて、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
シートを給送して該シートに印刷画像を形成する印刷装置において、
請求項6記載のシート給送装置と、
上記シート給送装置により給送されたシートに印刷画像を形成する印刷画像形成手段と、
シートの重送を認識する重送認識手段と、
上記重送認識手段により認識されたシートの重送によって、上記各エア吹付駆動源用シロッコファンを制御する制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−203072(P2009−203072A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125009(P2008−125009)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】