説明

シート製オブジェおよびシート製ブロック遊具

【課題】
可撓性シートからなり、折り畳み可能で、立体にしたときに所定の強度を有し、オブジェや遊具に利用可能な、立体構造のブロックを提供する。
【解決手段】
可撓性シートからなる立体構造のブロック(1a)を第1〜4の側面(2a1、2a2、…)からなる環状体と、環状体の2箇所の開口部に接続されている、四角錐状を呈する上蓋体(3a)と下蓋体(4a)とから構成する。第1〜4の側面(2a1、2a2、…)と上蓋体(3a)と下蓋体(4a)には切り抜きを空ける。環状体の開口部の大きさは、上蓋体(3a)と下蓋体(4a)のそれぞれの底面の大きさと異なる大きさにする。そうすると、環状体が上蓋体(3a)と下蓋体(4a)の底面の大きさに拘束されるので、環状体が内部に絞られるように変形する。この変形によって、テンションが生じて立体構造に強度が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内装飾用のオブジェ、または遊具として利用可能な、可撓性シートからなる立体構造のブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
美観を生じさせる置物、いわゆるオブジェは色々な場所に置かれて人々の目を楽しませている。このようなオブジェには、ブロンズやガラス等から形成され、屋外に設置されるような比較的大型で重量のあるものもあれば、棚や卓上に置いて楽しむことのできる比較的小型で軽量のものもある。ペーパークラフト、折り紙等のように、紙や樹脂のシートからなる立体構造のオブジェは、比較的小型で軽量な上安価であるので人気を博している。このような、紙や樹脂のシートからなる立体構造のオブジェは、幾何学的な構造に形成されていたり彩色を施されたりしているので単独でも充分に美観を生じさせる。また、帆掛け舟またはだまし舟として広く知られている折り紙のように、形状を変化させることができれば直接手に取って、形状の変化を楽しむこともできる。さらに、オブジェがブロック状に形成されていれば、複数個のブロックを組み合わせて互いに連結できるので、全体として新たなオブジェを作ることもできるし、ブロック遊具として楽しむことも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−58631号公報
【0004】
特許文献1には、ポリ塩化ビニル、プラスチック、厚紙等の可撓性シートからなり他のブロックと自由に結合できるブロック遊具が記載されている。特許文献1に記載のブロック遊具は、可撓性シートからなる2個の筒状立方体をユニットとするブロック遊具であって、一方の筒状立方体の所定の辺と他方の筒状立方体の所定の辺とが、連結部において蝶番状に屈曲できるように粘着テープで連結されている。特許文献1に記載のブロック遊具は、複数のブロックを連結することができるので、容易に複雑な形状を作り出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のブロック遊具は、個々のブロックがシンプルな構造であるにも拘わらず、複数のブロックを組み合わせれば容易に色々な形状を作り出せるので、遊具として楽しめるし、組み合わされた複数のブロックはオブジェとして棚等に置いて室内を装飾することも可能である。さらには、ポリ塩化ビニル、プラスチック、厚紙等の可撓性シートから構成されているので、安価に提供できる利点もある。しかしながら、改良すべき問題点も見受けられる。例えば、特許文献1に記載のブロック遊具は、複数のブロックを組み合わせることを前提として提供されているので、単体のブロックだけでは形状に面白みはない。すなわち、単なる2個の筒状立方体に過ぎないので、単体のブロックだけではオブジェとしての美観は充分とは言えない。また、単体のブロックは、粘着テープによる連結部が蝶番状に屈曲するので形状を変化させることはできるが、その変化は予想の範囲内に留まり意外性はない。従って、折り紙の帆掛け舟等のように直接手にとって形状の変化を楽しむことはできない。さらには、収納や運搬時の問題も認められる。すなわち、遊びを終了して多数のブロックに分解するとき、そのままでは嵩張ってしまい収納用に大型の箱を要する。従って、運搬も容易ではない。特許文献1に記載のブロック遊具は、可撓性シートから筒状立方体に形成されているので、収納や運搬時の問題点を解決するために押しつぶして平面状にすることも考えられる。しかしながら、このようにすると折り癖が付いてしまい、ブロック遊具は元の立体の形状に戻りにくくなってしまう。また、構造に格別の考慮が払われていないので、立体にしたときの強度も充分に得られない。複数のブロックを結合するときの問題もある。特許文献1に記載のブロック遊具は、筒状の立方体に他の筒状の立方体が挿入されて結合されるようになっているが、挿入時に可撓性シートがたわんでしまい筒状立方体が変形していまう。さらには、経年劣化によって立方体の変形が大きくなってくると、結合されにくくなる。
【0006】
本発明は、上記したような従来の問題点あるいは課題を解決した、装飾用のオブジェや遊具として適用可能な、可撓性シートからなる立体構造のブロックを提供することを目的とし、具体的には安価でありながら、ブロック単体でも美観を生じさせ、収納時や運搬時には嵩張らないように平面状に折り畳んで形状を変化させることができ、立体構造と平面状との双方向の形状の変化も楽しむことができると共に、立体構造にしたときにも所定の強度を有するブロックを提供することを目的としている。また、本発明の他の目的は、ブロックを複数個組み合わせるとき、容易にブロックを結合することができる、可撓性シートからなるブロックを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、以下のように構成される。下記の構成要件(A01〜A13)を備えた可撓性シートからなる立体構造のブロック、
要件A01:前記ブロックは、環状体と、前記環状体の上下に接続されている上蓋体と下蓋体とからなる、
要件A02:前記環状体は、n面の第1〜nの側面からなり、第1の側面と第2の側面、第2の側面と第3の側面、…、第nの側面と第1の側面とが、それぞれ所定の山折り線によって接続されて形成されている、
要件A03:前記第1〜nの側面は、山折り線によって前記上蓋体と接続される上接続線分と、山折り線によって前記下蓋体と接続される下接続線分と、山折り線によって左隣の他の側面と接続される左接続線分と、山折り線によって右隣の他の側面と接続される右接続線分と、を備えている、
要件A04:前記第1〜nの側面には、中央に切り抜きが明けられている、または、中央近傍に入れられている所定長さの切れ目であって中央で互いに交差する少なくとも2本以上の切れ目が入れられている、
要件A05:前記第1〜nの側面には、縁から該切り抜きまたは該切れ目に達する第1〜4の谷折り線が設けられ、前記第1の谷折り線は前記左接続線分と前記上接続線分とを、前記第2の谷折り線は前記上接続線分と前記右接続線分とを、前記第3の谷折り線は前記右接続線分と前記下接続線分とを、前記第4の谷折り線は前記下接続線分と前記左接続線分とを、それぞれ分割するように設けられている、
要件A06:前記第1〜nの側面を、前記上接続線分と前記下接続線分と前記左接続線分と前記右接続線分で切断して平面状に広げると、前記第1の谷折り線と前記第3の谷折り線は同一延長線上に、前記第2の谷折り線と前記第4の谷折り線は同一延長線上にそれぞれ配置され、前記第1、2の谷折り線のそれぞれの延長線は前記側面の中央で交差する、
要件A07:前記第1〜nの側面の任意の側面において、前記第1の谷折り線と前記上接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第4の谷折り線と前記下接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線のそれぞれの延長線の交点と、からなる三角形は、前記左接続線分で接続される左隣の他の側面における、前記第2の谷折り線と前記上接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第3の谷折り線と前記下接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第2の谷折り線と前記第3の谷折り線のそれぞれの延長線の交点と、からなる三角形と合同である、
要件A08:前記第1〜nの側面の任意の側面において、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線と前記左接続線分のそれぞれの延長線で形成される三角形は、前記左接続線分で接続される左隣の他の側面における、前記第2の谷折り線と前記第3の谷折り線と前記右接続線分のそれぞれの延長線で形成される三角形と合同である、
要件A09:前記第1〜nの側面において、前記第1の谷折り線と前記上接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第4の谷折り線と前記下接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線のそれぞれの延長線の交点と、からなる三角形は、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線と前記左接続線分のそれぞれの延長線で形成される三角形と非合同である、
要件A10:前記上蓋体には、前記第1〜nの側面の前記上接続線分のそれぞれと山折り線で接続される、第1〜nの上蓋側接続線分が設けられている、
要件A11:前記上蓋体を、所定の一点である上蓋体仮想点から前記上蓋体の縁に達するn本の上蓋線分によって、前記第1〜nの上蓋側接続線分を互いに分割するように第1〜nの上蓋面に分割するとき、任意の番号pについて、第pの上蓋面における2本の前記上蓋線分と第pの上蓋側接続線分のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形が、第pの側面における前記上接続線分と前記第1の谷折り線と前記第2の谷折り線のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形と合同になるように、前記上蓋体仮想点を定めることができる、
要件A12:前記下蓋体には、前記第1〜nの側面の前記下接続線分のそれぞれと山折り線で接続される、第1〜nの下蓋側接続線分が設けられている、
要件A13:前記下蓋体を、所定の一点である下蓋体仮想点から前記下蓋体の縁に達するn本の下蓋線分によって、前記第1〜nの下蓋側接続線分を互いに分割するように第1〜nの下蓋面に分割するとき、任意の番号pについて、第pの下蓋面における2本の前記下蓋線分と第pの下蓋側接続線分のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形が、第pの側面における前記下接続線分と前記第3の谷折り線と前記第4の谷折り線のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形と合同になるように、前記下蓋体仮想点を定めることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブロックにおいて、前記上蓋体と前記下蓋体は、平面状を呈するように構成される。そして、請求項3に記載の発明は以下のように構成される。すなわち、請求項1に記載のブロックにおいて、下記の構成要件(A14〜A18)を備えた立体構造のブロック、
要件A14:前記第1〜nの側面の枚数は偶数からなる、
要件A15:前記上蓋体において、前記第1〜nの上蓋側接続線分のそれぞれの延長線からなる図形は、正多角形を呈する、
要件A16:前記上蓋体には、n本の谷折り線が設けられ、前記n本の谷折り線のそれぞれは、前記要件A11における前記n本の上蓋線分に対応する、
要件A17:前記下蓋体において、前記第1〜nの下蓋側接続線分のそれぞれの延長線からなる図形は、正多角形を呈する、
要件A18:前記下蓋体には、n本の谷折り線が設けられ、前記n本の谷折り線のそれぞれは、前記要件A13における前記n本の下蓋線分上に対応する。
さらに、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの項に記載のブロックにおいて、前記第1〜nの側面の前記上接続線分と、前記下接続線分と、前記左接続線分と、前記右接続線分には、環状磁石(M、M、…)が設けられるように構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように構成されているので、請求項1に記載の発明に係るブロックは、発明を実施するための最良の形態の項で詳しく説明するように、平面状に折り畳むことができる。従って、ブロックは立体構造から平面状に、平面状から立体構造に構造を変化させることができるので、形状の変化を楽しむことができる。そして、平面状に折り畳めるので、収納や運搬時にはブロックが嵩張ることもない。さらには、ブロックが立体構造になったとき、後で詳しく説明するようにブロックの側面にテンションが生じてブロックには所定の強度が与えられるようになっている。従って、比較的柔らかいシートから構成されていても、立体の形状が変形して容易につぶれてしまうことはないし、複数のブロックを重ね合わせても、ブロックが押しつぶされることもない。また、ブロックを構成する側面には所定の切り抜きが明けられていると共に、谷折り線が複数設けられているので、幾何学的に美しい。従って、単独でもオブジェとして利用できる。さらには、可撓性シートからなるので、ブロックは、紙や樹脂シート等の安価な材料から製造できる。そして、請求項2に記載の発明によると、上蓋体と下蓋体は平面状を呈しているので、ブロックを折り畳むときに、上蓋体と下蓋体が平面状態を維持した状態で折り畳むことができる。また、請求項3に記載の発明に係るブロックは、上蓋体と下蓋体には谷折り線が設けられているので、ブロックを平面状に折り畳むときに上蓋体と下蓋体を二つ折りすることができる。さらには、請求項4に記載の発明によると、ブロックの側面と上蓋体と下蓋体の各接続線分には環状磁石が設けられているので、磁石の磁力によって複数のブロックを容易に接続することができ、ブロック遊具として楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るブロックを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るブロックを分割して得られた4個の分割体のうち第1の分割体を平面状に展開した第1の平面状シートの平面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るブロックを製造するためのシートを示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るブロックについて、立体構造から平面状に折り畳む様子を模式的に示す図で、その(ア)〜(エ)はブロックの各状態を示す斜視図である。
【図5】所定の辺に環状磁石が設けられた、本実施の形態に係るブロックを示す図で、その(ア)はブロックの斜視図、その(イ)、(ウ)は環状磁石をブロックの辺に取り付けた状態を模式的に示す図、そしてその(エ)は複数のブロックが結合されている状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るブロックを示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るブロックを分割して得られた6個の分割体のうち第1の分割体を平面状に展開した第1の平面状シートの平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るブロックを製造するためのシートを示す平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るブロックについて、立体構造から平面状に折り畳む様子を模式的に示す図で、その(ア)〜(ウ)はブロックの各状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るブロックを示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係るブロックを製造するためのシートを示す平面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るブロックを分割して得られた5個の分割体のうち第1の分割体を平面状に展開した第1の平面状シートの平面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係るブロックについて、立体構造から平面状に折り畳む様子を模式的に示す図で、その(ア)〜(ウ)はブロックの各状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係るブロックを示す斜視図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態に係るブロックを製造するためのシートを示す平面図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係るブロックを分割して得られた分割体を平面状に展開した図であり、その(ア)〜(オ)はそれぞれ第1〜5の分割体を平面状に展開した第1〜5の平面状シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の複数の実施形態について順に説明するが、部材や構成要素に付する符号については、次のルールに基づいて決定されている。符号は、ユニークな数字からなる部材番号と、部材番号の後ろに付される英文字であって実施の形態の連番を表す1文字の英文字と、その後ろに適宜付される要素番号とからなる。部材番号は、部材毎に付与されるユニークな数字である。部材番号の後ろに付される1文字の英文字は、第1の実施の形態においては「a」が、第2の実施の形態においては「b」が、以下、第3、4の実施の形態においては「c」、「d」が、それぞれ与えられている。要素番号は、同等の部材が複数個設けられている場合に、これら1個ずつの部材、すなわち要素に付される連番である。例えば、第3の実施の形態において、部材番号「18」の部材が複数個ある場合に、第5の部材、もしくは第5の要素に対して符号「18c5」が付されることになる。部材が1個のみのときや、説明上要素番号を付して区別する必要がない場合は、要素番号は省略され、符号「28b」等が付されることになる。
【0012】
本発明の第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態に係るブロック1aは、図1の斜視図に示されているように、概略的に底面が正方形の直方体状を呈している。ブロック1aは、中央が長方形に切り抜かれた第1〜4の側面2a1、2a2、2a3、2a4と、中央が切り抜かれた上面、すなわち上蓋体3aと、同様に中央が切り抜かれた底面、すなわち下蓋体4aとから構成され、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂、紙等の可撓性シートからなる。そして、直方体の8個の頂点5a、5a、…近傍は、所定の大きさに切り抜かれている。
【0013】
ブロック1aにおいて、隣り合う2面の側面2a1、2a2、…同士を互いに接続している山折り線、すなわち接続線分7a、7a、…を切断する。そして、上蓋体3aに設けられている4本の谷折り線8a、8a、…を切断し、同様に下蓋体4aに設けられている4本の谷折り線9a、9a、…を切断して、得られた4個の分割体を平面状に広げる。そうすると、そのような1枚のシートが図2に示されているように、4枚のシート、第1〜4の平面状シート11a1、11a2、…が得られる。第1〜4の平面状シート11a1、11a2、…は合同であり、1枚の平面状シートについて説明すれば他の平面状シートについても同様に理解可能である。以下、第1の平面状シート11a1について説明するが、第2〜4の平面状シート11a2、11a3、11a4については、第1の平面状シート11a1において付されている符号において、要素番号「1」がそれぞれ「2」、「3」、「4」に置き換えられた符号が付されるものとする。
【0014】
第1の平面状シート11a1は、第1の側面2a1と、上蓋体3aの一部すなわち第1の上蓋面12a1と、下蓋体4aの一部すなわち第1の下蓋面13a1とからなる。第1の側面2a1は、4個の頂点近傍が円弧状に切り取られた長方形状を呈している。長方形の左辺、すわなち第1の側面2a1の左端の縁は、図示されていない第4の側面2a4と山折り線で接続されるいわゆる左接続線分15a1になっており、長方形の右辺、すなわち右端の縁は、図示されていない第2の側面2a2と山折り線で接続されるいわゆる右接続線分16a1になっている。長方形の上辺は、第1の上蓋面12a1と山折り線で接続される上接続線分17a1になっており、下辺は第1の下蓋面13a1と山折り線で接続される下接続線分18a1になっている。本明細書においては、上接続線分17a1と下接続線分18a1のことを、それぞれ第1の上蓋側接続線分17a1と第1の下蓋側接続線分18a1と呼称することもある。第1の側面2a1の中央部には、所定の切り抜き、すなわち切り抜き20aが明けられている。第1の側面2a1には、長方形の4個の頂点近傍から切り抜き20aに達する第1〜4の谷折り線22a1、23a1、24a1、25a1が設けられている。ちょうど、第1の谷折り線22a1は左接続線分15a1と上接続線分17a1とを、第2の谷折り線23a1は上接続線分17a1と右接続線分16a1とを、第3の谷折り線24a1は右接続線分16a1と下接続線分18a1とを、第4の谷折り線25a1は下接続線分18a1と左接続線分15a1とを、それぞれ分割するように設けられている。さらに、第1の谷折り線22a1と第3の谷折り線24a1とは同一直線上に設けられ、第2の谷折り線23a1と第4の谷折り線25a1も同一直線上に設けられている。第1の谷折り線22a1と第2の谷折り線23a1のそれぞれの延長線の交点、すなわち点27a1は、切り抜き20a内に位置している。
【0015】
第1の上蓋面12a1は、二等辺三角形の一部からなり、二等辺三角形の2個の底角近傍が円弧状に切り抜かれ、頂角近傍が直線状に切り落とされた形状を呈している。二等辺三角形の左右の辺の一部をなす左右の2本の縁は、それぞれ、図示されていない第2、4の上蓋面12a2、12a4に谷折り線で接続される接続線分、すなわち、上蓋線分8a、8aになっている。第1〜4の上蓋面12a1、12a2、12a3、12a4が、隣り合う上蓋線分8a、8aが互いに接続されて上蓋体3aが形成されるとき、上蓋体3aは、二等辺三角形の頂点すなわち点28aを頂点とする正四角錐の、頂点近傍が切り落とされた形状を呈することになる。なお、上蓋体3aは、正四角錐の頂点がブロック1aの中心に向かう様に形成されることになる。
【0016】
第1の下蓋面13a1は、二等辺三角形の一部からなり、二等辺三角形の2個の底角近傍が円弧状に切り抜かれ、頂角近傍が直線状に切り落とされた形状を呈している。二等辺三角形の左右の辺の一部をなす左右の2本の縁は、それぞれ第2、4の下蓋面13a2、13a4に谷折り線で接続される接続線分、すなわち、下蓋線分9a、9aになっている。第1〜4の下蓋面13a1、13a2、13a3、13a4が、隣り合う下蓋線分9a、9aが互いに接続されて下蓋体4aが形成されるとき、下蓋体4aは、二等辺三角形の頂点すなわち点29aを頂点とする正四角錐の、頂点近傍が切り落とされた形状を呈することになる。なお、下蓋体4aは、正四角錐の頂点がブロック1aの中心に向かう様に形成されることになる。
【0017】
本実施の形態に係るブロック1aは、後で説明するように実質的に平面状に折り畳むことができる。従って、折り畳めるように、第1〜4の側面2a1、2a2、…と、上蓋体3aを構成する第1〜4の上蓋面12a1と、下蓋体4aを構成する第1〜4の下蓋面13a1と、の間には所定の図形上の条件が成立している。また、ブロック1aが立体に形成されるときに、所定のテンションが生じて立体構造に強度が与えられるように、他の条件も成立している。このような条件について説明する。まず、条件を説明するにあたり、仮想的な点について定義し、各点について割り当てられる符号について説明する。左右の上蓋線分8a、8aと、第1の上蓋側接続線分17a1のそれぞれの延長線の交点には、それぞれ符号31a1、32a1が与えられ、それぞれの交点は点31a1、点32a1と呼称される。同様に右と左の下蓋線分9a、9aと、第1の下蓋側接続線分18a1のそれぞれの延長線の交点には、それぞれ符号33a1,34a1が与えられ、それぞれの交点は点33a1、点34a1と呼称される。また、第1の谷折り線22a1と左接続線分15a1のそれぞれの延長線の交点には符号35a1が与えられて点35a1と呼称され、第2の谷折り線23a1と右接続線分16a1のそれぞれの延長線の交点には符号36a1が与えられて点36a1と呼称される。右接続線分16a1と第3の谷折り線24a1のそれぞれの延長線の交点には符号37a1が与えられて点37a1と呼称され、第4の谷折り線25a1と左接続線分15a1のそれぞれの延長線の交点には符号38a1が与えられて点38a1と呼称される。このように各点に割り当てられる符号が定義付けられると、第2〜4の側面2a2、2a3、2a4においても同様に各点に割り当てられる符号が一意的に決定される。例えば、第3の側面2a3における第1の谷折り線22a3と左接続線分15a3のそれぞれの延長線の交点は点35a3と呼称することができる。
【0018】
ブロック1aを平面上に折り畳むことのできる条件は下記の[条件1]〜[条件4]である。[条件1]と[条件2]は第1の平面状シート11a1において記述されているが、他の平面状シート11a2、11a3、…においても同様に成り立つ。
[条件1]点28a、点31a1、点32a1からなる三角形は、点27a1、点31a1、点32a1からなる三角形と合同である。
[条件2]点29a、点33a1、点34a1からなる三角形は、点27a1、点33a1、点34a1からなる三角形と合同である。
任意の隣り合う2面の側面2a1、2a2、…において、下記の[条件3]と[条件4]が成り立つ。例として、隣り合う第1、2の側面2a1、2a2において説明するが、他の隣り合う側面2a2、2a3、…においても同様に成り立つ。
[条件3]第1の側面2a1における、点32a1、点33a1、点27a1からなる三角形は、第2の側面2a2における、点31a2、点34a2、点27a2からなる三角形と合同である。
[条件4]第1の側面2a1における、点36a1、点37a1、点27a1からなる三角形は、第2の側面2a2における、点35a2、点38a2、点27a2からなる三角形と合同である。
ブロック1aが立体に形成されるときに、所定のテンションが生じて立体構造に強度が与えられる条件は下記の[条件5]である。[条件5]は、第1の側面2a1に関して記述されているが、他の側面2a2、2a3、…についても同様に成立する。
[条件5]点31a1、点34a1、点27a1からなる三角形と点35a1、点38a1、点27a1からなる三角形とは非合同である。
【0019】
本実施の形態に係るブロック1aの製造方法について説明する。合成樹脂、紙等の可撓性シートを切断して、図3に示されているような所定の形状のシート41aを得る。シート41aは、第1〜4の平面状シート11a1、11a2、…が互いに接続された形状を呈しており、所定の糊代N、N、…が設けられている。なお、隣り合う2面の側面2a1、2a2、…の接続線分7a、7aは、それぞれの側面の右接続線分と左接続線分でもあり、例えば第1の側面2a1の右接続線分16a1と第2の側面2a2の左接続線分15a2は、同一の接続線分7aを構成している。全ての側面2a1、2a2、…の第1〜4の谷折り線22a1、22a2、…25a3、25a4を谷折りにして折り癖を付ける。接続線分7a、7a、…と、上接続線分17a1、17a2、…と下接続線分18a1、18a2、…を山折りして、折り癖を付けた後、シート41aを環状にして、第1の平面状シート11a1の左接続線分15a1と第4の平面状シート11a4の右接続線分16a4とによって同一の山折り線が形成されるように糊代Nを貼り合わせる。次いで、隣り合う任意の2本の上蓋線分8a、8aによって同一の谷折り線が形成されるように糊代N、N、…を貼り合わせて上蓋体3aを形成し、隣り合う任意の2本の下蓋線分9a、9aによって同一の谷折り線が形成されるように糊代N、N、…を貼り合わせて下蓋体4aを形成する。そうすると図1に示されているようなブロック1aが得られる。
【0020】
本実施の形態にかかるブロック1aの作用について説明する。最初にブロック1aにテンションが生じて立体構造に強度が与えられる理由について説明する。既に説明されているようにブロック1aの上蓋体3aと下蓋体4aは四角錐状を呈している。例えば上蓋体3aを形成している四角錐の底面の正方形は、点31a1と点32a1とを結ぶ線分、点31a2と点32a2とを結ぶ線分、点31a3と点32a3とを結ぶ線分、点31a4と点32a4とを結ぶ線分とからなる。すなわち正方形の一辺の長さは、点31a1と点32a1とを結ぶ線分の長さに等しい。同様に下蓋体4aを形成している四角錐の底面の正方形は、点33a1と点34a1とを結ぶ線分、点33a2と点34a2とを結ぶ線分、点33a3と点34a3とを結ぶ線分、点33a4と点34a4とを結ぶ線分とからなる。すなわち正方形の一辺の長さは、点33a1と点34a1とを結ぶ線分の長さに等しい。従って、ブロック1a全体は、点31a1と点32a1とを結ぶ線分の長さを一辺とする正方形を上面とし、点33a1と点34a1とを結ぶ線分の長さを一辺とする正方形を底面とする、直方体状を呈するように形成されるはずである。もし、前記した[条件5]に反して、点31a1、点34a1、点27a1からなる三角形と点35a1、点38a1、点27a1からなる三角形が合同になっていて、同様に点32a1、点33a1、点27a1からなる三角形と点36a1、点37a1、点27a1からなる三角形が合同になっていれば、第1〜4の側面2a1、2a2、…の各側面の幅は、点31a1と点32a1とを結ぶ線分の長さと等しくなるので、第1〜4の側面2a1、2a2、…は、平板状のまま前記した直方体状の側面を形成することになる。従って、側面2a1、2a2、…にテンションが生じることはない。しかしながら、実際には[条件5]によって、点31a1、点34a1、点27a1からなる三角形と点35a1、点38a1、点27a1からなる三角形は非合同なので、第1〜4の側面2a1、2a2、…がブロック1aの側面を構成するとき側面は平面状に維持されることはなく変形されることになる。この変形によってテンションが生じる。本実施の形態に即して詳しく検討する。本実施の形態に係るブロック1aにおいては、第1〜4の側面2a1、2a2、…の横幅は、点31a1と点32a1とを結ぶ線分の長さや、点33a1と点34a1とを結ぶ線分の長さよりも幅広に形成されている。仮に、上蓋体3aと下蓋体4aを取り除いて第1〜4の側面2a1、2a2、…のみから仮想的な直方体を形成すると、前記した直方体よりも横幅が広く形成されることになる。しかしながら、実際には第1〜4の側面2a1、2a2、…からなる環状体は、上蓋体3a、下蓋体4aに拘束されているので、全体として環状体の横幅が縮むように中心部に向かって変形する。このとき、第1〜4の側面2a1、2a2、…における第1〜4の谷折り線22a1、22a2、…、25a3、25a4は環状体の変形に応じて折り曲げられる。この変形によって第1〜4の側面2a1、2a2、…にはテンションが生じる。また、このとき第1〜4の谷折り線22a1、22a2、…、25a3、25a4によって分割された第1〜4の側面2a1、2a2、…の、それぞれの分割面は、ブロック1aの外方に向かって凸になるようにわずかに湾曲する。このような湾曲はシートの弾力に抗して生じているので、第1〜4の側面2a1、2a2、…にはさらにテンションが生じる。従って、ブロック1aが紙等の比較的柔らかいシートから構成されていても、これらのテンションによって所定の強度が与えられることになる。つまり、ブロック1aは立体の状態に保持されることになる。ブロック1aは、立体の状態に保持されているので、単独でも幾何学的な形状を楽しむことができ、室内装飾用のオブジェに適用可能である。そして、所定の強度を有するので、複数個のブロック1a、1a、…を積み上げて集合体としてのオブジェも作ることができる。さらに、彩色が施されていればオブジェとしての魅力は増す。
【0021】
次に、このようなブロック1aを平面状に折り畳む場合について説明する。図4の(ア)に示されているように、ブロック1aの第3の側面2a3を固定した状態で、第1の側面2a1に所定の力を与えて、矢印42、42の方向に回転する。そうすると、ブロック1aは図4の(イ)に示されているように捻れて、上蓋体3aが捻れながら矢印43、43で示されているようにわずかに畳み込まれる。同様に下蓋体4aもわずかに畳み込まれる。この状態になると、上蓋体3aと下蓋体4aにも捻れによってテンションが生じる。既に説明した第1〜4の側面2a1、2a2、…に生じているテンションと、上蓋体3aと下蓋体4aに生じるテンションによって、ブロック1aには捻れを復元する方向に力が働く。従って、第1の側面2a1を回転する力を解除すればブロック1aは速やかに図4の(ア)に示されている状態に戻る。引き続き第1の側面2a1を矢印42、42の方向に回転する。そうすると図4の(ウ)に示されているように、立体構造のブロックに戻ろうとする復元力が働かない状態になる。さらに、第1の側面2a1を矢印42、42の方向に回転すると、上蓋体3aと下蓋体4aに生じていた捻れは、上蓋体3aと下蓋体4aが二つ折りに折り畳まれる方向に付勢する力として働くようになる。そうすると、図4の(エ)に示されているように、ブロック1a自らが畳み込まれるようにして、ブロック1aを折り畳むことができる。すなわち、ブロック1aは折り畳まれた状態で安定する。このようにして、上蓋体3aと下蓋体4aは二つ折りに折り畳まれることになる。また、第2の側面2a2と第4の側面2a4も、図には詳しくは示されていないが、二つ折りに折り畳まれることになる。具体的には、第2の側面2a2は、第1、3の谷折り線22a2、24a2で谷折りされ、第4の側面2a4は、第1、3の谷折り線22a4、24a4で谷折りされて二つ折りされる。
【0022】
ブロック1aが平面状に折りたためる理由を説明する。ブロック1aが図4の(エ)のように折り畳まれるとき、第1の側面2a1において、上接続線分17a1が折り畳まれ、[条件1]によって点28aは点27a1に重ねられる。同様に第1の側面2a1において下接続線分18a1が折り畳まれて[条件2]によって点29aも点27a1に重ねられる。同様に他の側面2a2、2a3、2a4においても、点28a、28a、28aは点27a2、27a3、27a4に重ねられ、点29a、29a、29aは、点27a2、27a3、27a4に重ねられることになる。ところで、ブロック1aが折り畳まれるとき、右接続線分16a1が折り畳まれるので、[条件3]と[条件4]によって、第2の側面2a2の点27a2は、第1の側面2a1の点27a1に重ねられる。同様に、第3、4の側面2a3,2a4の点27a3、27a4も点27a1に重ねられることになる。従って、点28a、29a、27a1、27a2、27a3、27a4は一点に重ねられることになるので、ブロック1aは捻れることなく平面状に折り畳むことができる。
【0023】
ブロック1aの各接続辺に所定の磁石を取り付けると、複数個のブロック1a、1a、…を容易に連結することができる。図5の(ア)には、全ての接続辺の中間位置近傍に小型の環状磁石M、M、…が取り付けられた、ブロック1a’が記載されている。本実施の形態に係るブロック1a’に取り付けられている環状磁石M、M、…は、直径約2mm、長さ約1mm程度の小型の環状磁石であって、小型でも充分に磁力の強いネオジム磁石、マサコバ磁石等からなる。このような環状磁石Mは、図5の(イ)に示されているように、ポリアミド系繊維等の所定の強度を有する繊維からなり所定の長さの取り付け紐45に通される。そして、ブロック1a’の各接続線分の中間位置近傍には、図5の(ウ)に示されているように所定の切り抜き46が明けられ、環状磁石Mが切り抜き46に収められるように、取り付け紐45が紐押さえ48、48によってブロック1a’の接続線分に接着される。環状磁石Mは取り付け紐45を軸にして自在に回転できる。従って、1個のブロック1a’の所定の接続線分と、他の1個のブロック1a’の所定の接続線分を近づけると、それぞれの接続線分に取り付けられている環状磁石M、Mは回転して、互いに引きつけ合い2個のブロック1a’、1a’が結合される。ブロック1a’の全ての接続線分には環状磁石M、M、…が取り付けられているので、任意の方向から他のブロック1a’を結合できる。図4の(エ)には、3個のブロック1a’、1a’、…が磁石によって互いに結合されている様子が示されている。
【0024】
第2の実施の形態に係るブロック1bについて説明する。第2の実施の形態に係るブロック1bは、図6に示されているように、全体的に正六角柱状を呈しているが、直方体状を呈している第1の実施の形態に係るブロック1aとは、上蓋体3bと下蓋体4bの形状が異なるだけで、概ね第1の実施の形態に係るブロック1aと同様に構成されている。第2の実施の形態に係るブロック1bを説明するにあたり、第1の実施の形態に係るブロック1aと同様な構成要素には、同じ部材番号に、本実施の形態の連番を表す1文字の英文字「b」を付した符号を用いて表し、詳しい説明は省略する。ブロック1bは、中央が長方形に切り抜かれた第1〜4の側面2b1、2b2、2b3、…と、中央が切り抜かれた上面、すなわち上蓋体3bと、同様に中央が切り抜かれた底面、すなわち下蓋体4bとから構成され、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂、紙等の可撓性シートからなる。
【0025】
第2の実施の形態に係るブロック1bは、図8に示されているような、シート41bから製造されている。当業者であればシート41bからブロック1bの構造を容易に理解することができるので詳しくは説明しないが、上蓋体3bと下蓋体4bは、頂点近傍が切り取られた正六角錐状に形成されている。このようなシート41bを接続線分7b、7b、…で切断すると共に糊代Nを切り取ると、6枚の合同な図形からなるシート、すなわち第1〜6の平面状シート11b1、11b2、…が得られる。図7には、第1の平面上シート11b1が示されている。
【0026】
第1の平面状シート11b1においても、第1の実施の形態に係るブロック1aの第1の平面状シート11a1において定義づけた各接続線分や各点と同様に、接続線分や点を定義することができる。そうすると、第2の実施の形態に係るブロック1bにおいても、既に第1の実施の形態に係るブロック1aにおいて説明されている[条件1]〜[条件5]が同様に成り立っている。例えば、点28b、点31b1、点32b1からなる三角形は、点27b1、点31b1、点32b1からなる三角形と合同であり、点29b、点33b1、点34b1からなる三角形は、点27b1、点33b1、点34b1からなる三角形と合同になっている。また、隣り合う第1、2の側面2b1、2b2において、第1の側面2b1における、点32b1、点33b1、点27b1からなる三角形は、第2の側面2b2における、点31b2、点34b2、点27b2からなる三角形と合同であり、第1の側面2b1における、点36b1、点37b1、点27b1からなる三角形は、第2の側面2b2における、点35b2、点38b2、点27b2からなる三角形と合同になっている。さらに、点31b1、点34b1、点27b1からなる三角形と点35b1、点38b1、点27b1からなる三角形とは非合同になっている。従って、第2の実施の形態に係るブロック1bも、立体時には所定のテンションが生じて立体構造に強度が与えられていると共に、平面状に折り畳むことが可能になっている。
【0027】
ブロック1bを折り畳む方法について説明する。図9の(ア)に示されているように、下蓋体4bに対して上蓋体3bを矢印44、44の方向に回転する。そうすると、図9の(イ)に示されているように第1〜6の側面2b1、2b2、…が捩れる。この状態において矢印45、45、…で示されているように、上蓋体3bを折り畳み、同様に下蓋体4bを折り畳む。そうすると、図9の(ウ)に示されているように、上蓋体3bと下蓋体4bが折り畳まれ、さらに、第2、3、5、6の側面2b2、2b3、2b5、2b6がそれぞれ二つ折りされて、ブロック1bは平面状に折り畳まれる。このとき、第1、4の側面2b1、2b4は、平面状に広げられることになる。なお、ブロック1bは、図9の(ア)において、矢印44、44と反対の方向に上蓋体3bを回転させても平面状に折り畳むことができる。
【0028】
図10には、第3の実施の形態に係るブロック1cが示されている。第3の実施の形態に係るブロック1cは、第1、2の実施の形態に係るブロック1a、1bとは、上蓋体3cと下蓋体4cの構造が異なっているだけで、他の構造はブロック1a、1bと同様に構成されている。ブロック1cは前記実施の形態に係るブロック1a、1bとは上蓋体3cと下蓋体4cの構造が異なっているので、ブロック1cが折り畳まれるとき、これらのブロック1a、1bとは折り畳まれ方が異なることになる。第3の実施の形態に係るブロック1cを説明するにあたり、第1の実施の形態に係るブロック1aと同様な構成要素には、同じ部材番号に、本実施の形態の連番を表す1文字の英文字「c」を付した符号を用いて表し、詳しい説明は省略する。ブロック1cは、全体的に正5角柱状を呈しており、第1の実施の形態に係るブロック1aと同様に、正5角柱の各頂点近傍は切り抜かれている。また、第1〜5の側面2c1、2c2、…は第1の実施の形態に係るブロック1aと同様に中央に切り抜きが設けられ、第1〜4の谷折り線22c1、22c2、…、25c3、25c4が折り曲げられてテンションが生じている。しかしながら、ブロック1cの上蓋体3cと下蓋体4cは、第1の実施の形態に係るブロック1aの上蓋体3aと下蓋体4aとは異なっており、平面状に形成されている。
【0029】
第3の実施の形態に係るブロック1cは、図11に示されているような、シート41cから製造されている。当業者であればシート41cの形状からブロック1cの構造を容易に理解することができるので詳しくは説明しないが、上蓋体3cと下蓋体4cは正5角形に形成され、中心部に切り抜きが明けられている。このような上蓋体3cと下蓋体4cには谷折り線は設けられていないが、上蓋体3cと下蓋体4cのそれぞれの正5角形の中心点28c、29cから正5角形の各頂点とを結ぶ線分で上蓋体3cと下蓋体4cを分割すると、第1〜5の上蓋面12c1、12c2、…、12c5、第1〜5の下蓋面13c1、13c2、…、13c5に分割できる。第iの上蓋面12ciと第iの側面2ciと第iの下蓋面13ciをそれぞれの接続線分で接続すると、図12に示されているような、平面状シートが得られる。図12には、第1の平面状シート11c1が記載されており、他の平面状シート11c2、11c3、…も、第1の平面状シート11c1と合同な図形からなる。
【0030】
第1の平面状シート11c1においても、第1の実施の形態に係るブロック1aの第1の平面状シート11a1において定義づけた各接続線分や各点と同様に、接続線分や点を定義することができる。第3の実施の形態に係るブロック1cにおいても、既に第1の実施の形態に係るブロック1aにおいて説明されている[条件1]〜[条件5]が同様に成り立っている。例えば、点28c、点31c1、点32c1からなる三角形は、点27c1、点31c1、点32c1からなる三角形と合同であり、点29c、点33c1、点34c1からなる三角形は、点27c1、点33c1、点34c1からなる三角形と合同になっている。また、隣り合う第1、2の側面2c1、2c2において、第1の側面2c1における、点32c1、点33c1、点27c1からなる三角形は、第2の側面2c2における、点31c2、点34c2、点27c2からなる三角形と合同であり、第1の側面2c1における、点36c1、点37c1、点27c1からなる三角形は、第2の側面2c2における、点35c2、点38c2、点27c2からなる三角形と合同になっている。さらに、点31c1、点34c1、点27c1からなる三角形と点35c1、点38c1、点27c1からなる三角形とは非合同になっている。従って、第3の実施の形態に係るブロック1cも、立体時には所定のテンションが生じて立体構造に強度が与えられていると共に、平面状に折り畳むことが可能になっている。
【0031】
ブロック1cを折り畳む方法について説明する。図13の(ア)に示されているように、下蓋体4cに対して上蓋体3cを矢印51、51の方向に回転する。そうすると、図13の(イ)に示されているように第1〜5の側面2c1、2c3、…が均等に捩れる。この状態において矢印51、51の回転方向の力を解除すると、第1〜5の側面2c1、2c2、…に生じているテンションによって捩れは復元され、ブロック1cは図13の(ア)に示されている状態に戻る。図13の(イ)に示されている状態において、さらに矢印51、51の方向に回転する。そうすると、図13の(ウ)に示されているように、第1〜5の側面2c1、2c2、…が折り畳まれて、ブロック1cは平面状に折り畳まれる。このとき、上蓋体3cと下蓋体4cは平面状に維持された状態で折り畳まれることになる。また、全ての側面、すなわち第1〜5の側面2c1、2c2、…は、それぞれの第1の谷折り線22c1、22c2、…と第3の谷折り線24c1、24c2、…において折り曲げられて、二つ折りされることになる。ブロック1cは、図13の(ア)において、矢印51、51と反対の方向に上蓋体3cを回転させても平面状に折り畳むことができる。このようにして折り畳まれるとき、第1〜5の側面2c1、2c2、…は、それぞれの第2の谷折り線23c1、23c2、…と第4の谷折り線25c1、25c2、…において折り曲げられて、二つ折りされることになる。
【0032】
図14には、第4の実施の形態に係るブロック1dが示されている。第4の実施の形態に係るブロック1dは、第3の実施の形態に係るブロック1cと同様に、上蓋体3dと下蓋体4dが平面状に形成されている。従って、ブロック1dが平面状に折り畳まれるとき、第3の実施に形態に係るブロック1cと同様に上蓋体3dと下蓋体4dは平面状態が維持されて折り畳まれることになる。第4の実施の形態に係るブロック1dについても、第1の実施の形態に係るブロック1aと同様な構成要素には、同じ部材番号に、本実施の形態の連番を表す1文字の英文字「d」を付した符号を用いて表し、詳しい説明は省略する。第4の実施の形態に係るブロック1dは、図15に示されているような、シート41dから製造されている。シート41dの形状からブロック1dの構造を容易に理解できるように、ブロック1dは、第3の実施の形態に係るブロック3cが変形されたような構造からなる。具体的には、上蓋体3dは、各辺の長さが異なる5角形になっており、上蓋体3dと下蓋体4dとは形状が異なると共に、上蓋体3dの方が小さい。従って、ブロック1dの、第1〜5の側面2d1、2d2、…からなる環状体は、上蓋体3dに向かって径が小さく絞られている。また、上蓋体3dは、下蓋体4dとは平行ではなく所定の方向に傾いている。
【0033】
ブロック1dにおいては、下蓋体4dは正5角形状を呈しているが、上蓋体3dは各辺の長さが異なる5角形からなり将棋の駒の上面形状を呈している。このような上蓋体3dと下蓋体4dには谷折り線は設けられていないが、第1の実施の形態に係るブロック1aの上蓋体3aと下蓋体4aと同様に、[条件1]〜[条件5]が成立するように第1〜5の上蓋面12d1、12d2、…と第1〜5の下蓋面13d1、13d2、…に分割することができる。すなわち、上蓋体3dと下蓋体4dの中央部近傍に一意的に所定の点28d、29dを定める。そして、上蓋体3dと下蓋体4dを点28d、29dからそれぞれの5角形の各頂点とを結ぶ線分で分割すると、第1〜5の上蓋面12d1、12d2、…、12d5、第1〜5の下蓋面13d1、13d2、…、13d5に分割することができる。第iの上蓋面12diと第iの側面2diと第iの下蓋面13diをそれぞれの接続線分で接続すると、図16の(ア)〜(オ)に示されているような、第1〜5の平面状シート11d1、11d2、…が得られる。
【0034】
第1〜5の平面状シート11d1、11d2、…においても、第1の実施の形態に係るブロック1aの第1の平面状シート11a1において定義づけた各接続線分や各点と同様に、接続線分や点を定義することができる。このとき、ブロック1dにおいて[条件1]〜[条件5]が同様に成り立つ。つまり、1〜5の任意の数字iに対して、点28d、点31di、点32diからなる三角形は、点27di、点31di、点32diからなる三角形と合同であり、点29d、点33di、点34diからなる三角形は、点27di、点33di、点34diからなる三角形と合同になっている。また、隣り合う任意の第i、jの側面2ci、2cjにおいて、第iの側面2ciにおける、点32di、点33di、点27diからなる三角形は、第jの側面2djにおける、点31dj、点34dj、点27djからなる三角形と合同であり、第iの側面2diにおける、点36di、点37di、点27diからなる三角形は、第jの側面2djにおける、点35dj、点38dj、点27djからなる三角形と合同になっている。さらに、第iの側面2diにおいて、点31di、点34di、点27diからなる三角形と点35di、点38di、点27diからなる三角形とは非合同になっている。従って、第4の実施の形態に係るブロック1dも、所定のテンションが生じて、立体構造に強度が与えられていると共に、平面状に折り畳むことが可能になっている。
【0035】
本発明に係るブロックは、上記実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、側面には、中央に所定の切り抜きが明けられているように説明されているが、切り抜きを明ける代わりに2本以上の所定の切り込みが入れられていてもよい。このような切り込みは、それぞれの側面の中央近傍のみに入れられて、側面の縁にまで達しないようにする必要がある。このような切り込みが入れられていても、それぞれの側面は、側面に設けられている第1〜4の谷折り線で折り曲げられると共に、第1〜4の谷折り線で分割される各分割面が湾曲してテンションが生じる。すなわち、立体に強度が与えられる。さらに、本実施の形態に係るブロックにおいては、上蓋体と下蓋体には中央部に切り抜きが明けられているように説明されているが、格別に切り抜きを明けなくても同様に実施することができる。さらには、第2〜4の実施に形態にかかるブロックに環状磁石を設ければ、第1の実施の形態に係るブロックと同様に複数個のブロックを容易に連結できることは明らかである。また、ブロックの表面に描く図柄や彩色については特に説明されてはいないが、複数のブロックを組み合わせたときに全体として1つの図柄が表現されるように各々のブロックに図柄を描いたり、色彩を施しても良い。このようにすると、ブロック遊具としての魅力が増す。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るブロックは、室内装飾用のオブジェやブロック遊具に限定されることなく、ランプのシェード、写真を立てかけるフレーム、お菓子等を入れる容器、ペン立て等としても利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ブロック 2 側面
3 上蓋体 4 下蓋体
7 接続線分
8、9 谷折り線 11 平面状シート
12 上蓋面 13 下蓋面
15 左接続線分 16 右接続線分
17 上接続線分 18 下接続線分
20 切り抜き
22、23、24、25 谷折り線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構成要件(A01〜A13)を備えた可撓性シートからなる立体構造のブロック、
要件A01:前記ブロックは、環状体と、前記環状体の上下に接続されている上蓋体と下蓋体とからなる、
要件A02:前記環状体は、n面の第1〜nの側面からなり、第1の側面と第2の側面、第2の側面と第3の側面、…、第nの側面と第1の側面とが、それぞれ所定の山折り線によって接続されて形成されている、
要件A03:前記第1〜nの側面は、山折り線によって前記上蓋体と接続される上接続線分と、山折り線によって前記下蓋体と接続される下接続線分と、山折り線によって左隣の他の側面と接続される左接続線分と、山折り線によって右隣の他の側面と接続される右接続線分と、を備えている、
要件A04:前記第1〜nの側面には、中央に切り抜きが明けられている、または、中央近傍に入れられている所定長さの切れ目であって中央で互いに交差する少なくとも2本以上の切れ目が入れられている、
要件A05:前記第1〜nの側面には、縁から該切り抜きまたは該切れ目に達する第1〜4の谷折り線が設けられ、前記第1の谷折り線は前記左接続線分と前記上接続線分とを、前記第2の谷折り線は前記上接続線分と前記右接続線分とを、前記第3の谷折り線は前記右接続線分と前記下接続線分とを、前記第4の谷折り線は前記下接続線分と前記左接続線分とを、それぞれ分割するように設けられている、
要件A06:前記第1〜nの側面を、前記上接続線分と前記下接続線分と前記左接続線分と前記右接続線分で切断して平面状に広げると、前記第1の谷折り線と前記第3の谷折り線は同一延長線上に、前記第2の谷折り線と前記第4の谷折り線は同一延長線上にそれぞれ配置され、前記第1、2の谷折り線のそれぞれの延長線は前記側面の中央で交差する、
要件A07:前記第1〜nの側面の任意の側面において、前記第1の谷折り線と前記上接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第4の谷折り線と前記下接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線のそれぞれの延長線の交点と、からなる三角形は、前記左接続線分で接続される左隣の他の側面における、前記第2の谷折り線と前記上接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第3の谷折り線と前記下接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第2の谷折り線と前記第3の谷折り線のそれぞれの延長線の交点と、からなる三角形と合同である、
要件A08:前記第1〜nの側面の任意の側面において、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線と前記左接続線分のそれぞれの延長線で形成される三角形は、前記左接続線分で接続される左隣の他の側面における、前記第2の谷折り線と前記第3の谷折り線と前記右接続線分のそれぞれの延長線で形成される三角形と合同である、
要件A09:前記第1〜nの側面において、前記第1の谷折り線と前記上接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第4の谷折り線と前記下接続線分のそれぞれの延長線の交点と、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線のそれぞれの延長線の交点と、からなる三角形は、前記第1の谷折り線と前記第4の谷折り線と前記左接続線分のそれぞれの延長線で形成される三角形と非合同である、
要件A10:前記上蓋体には、前記第1〜nの側面の前記上接続線分のそれぞれと山折り線で接続される、第1〜nの上蓋側接続線分が設けられている、
要件A11:前記上蓋体を、所定の一点である上蓋体仮想点から前記上蓋体の縁に達するn本の上蓋線分によって、前記第1〜nの上蓋側接続線分を互いに分割するように第1〜nの上蓋面に分割するとき、1〜nの任意の番号iに対して、第iの上蓋面における2本の前記上蓋線分と第iの上蓋側接続線分のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形が、第iの側面における前記上接続線分と前記第1の谷折り線と前記第2の谷折り線のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形と合同になるように、前記上蓋体仮想点を定めることができる、
要件A12:前記下蓋体には、前記第1〜nの側面の前記下接続線分のそれぞれと山折り線で接続される、第1〜nの下蓋側接続線分が設けられている、
要件A13:前記下蓋体を、所定の一点である下蓋体仮想点から前記下蓋体の縁に達するn本の下蓋線分によって、前記第1〜nの下蓋側接続線分を互いに分割するように第1〜nの下蓋面に分割するとき、1〜nの任意の番号jに対して、第jの下蓋面における2本の前記下蓋線分と第jの下蓋側接続線分のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形が、第jの側面における前記下接続線分と前記第3の谷折り線と前記第4の谷折り線のそれぞれの延長線で形成される仮想的な三角形と合同になるように、前記下蓋体仮想点を定めることができる。
【請求項2】
請求項1に記載のブロックにおいて、前記上蓋体と前記下蓋体は、平面状を呈することを特徴とする、立体構造のブロック。
【請求項3】
請求項1に記載のブロックにおいて、下記の構成要件(A14〜A18)を備えた立体構造のブロック、
要件A14:前記第1〜nの側面の枚数は偶数からなる、
要件A15:前記上蓋体において、前記第1〜nの上蓋側接続線分のそれぞれの延長線からなる図形は、正多角形を呈する、
要件A16:前記上蓋体には、n本の谷折り線が設けられ、前記n本の谷折り線のそれぞれは、前記要件A11における前記n本の上蓋線分に対応する、
要件A17:前記下蓋体において、前記第1〜nの下蓋側接続線分のそれぞれの延長線からなる図形は、正多角形を呈する、
要件A18:前記下蓋体には、n本の谷折り線が設けられ、前記n本の谷折り線のそれぞれは、前記要件A13における前記n本の下蓋線分上に対応する。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの項に記載のブロックにおいて、前記第1〜nの側面の前記上接続線分と、前記下接続線分と、前記左接続線分と、前記右接続線分には、環状磁石(M、M、…)が設けられていることを特徴とする立体構造のブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−10785(P2011−10785A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156488(P2009−156488)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(509186454)
【Fターム(参考)】