説明

シート製造装置および製造方法

【課題】良質の接着シートが剥離シートに適切に仮着された原反を確実に製造可能なシート製造装置および製造方法を提供すること。
【解決手段】シート製造装置1は、第1原反R1を繰り出す繰出手段10と、帯状接着シートSから剥離シートRLを剥離する第1剥離ローラ20と、帯状接着シートSを吸着保持する保持手段30と、帯状接着シートSから剥離された剥離シートRLを迂回させる迂回手段40と、帯状接着シートSを所定形状に切断して接着シートS1を形成する切断手段50と、切込刃511を洗浄する洗浄手段60と、迂回させた剥離シートRLに接着シートS1を再仮着して、接着シートS1と剥離シートRLから構成される第2原反R2を形成する再仮着ローラ80と、接着シートS1の周囲に形成される不要シートS2を巻き取る巻取手段90と、第2原反R2を巻き取る回収手段100とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定形状の接着シートが剥離シートに仮着された原反を製造するシート製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の接着シートが剥離シートに仮着された原反に対して、切断刃で切り込みを形成することで、所定形状の接着シートを製造するシート製造装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の構成では、ラベル原紙を剥離シートに仮着した積層体を、ラベル原紙側からラベル型抜き装置で型抜きすることで、ラベルを製造する。そして、原反の型抜きにより製造されたラベルを、剥離再仮着装置において剥離シートから一旦剥離して、ラベルの端縁と剥離基材食い込み跡とが一致することなく離間するように、ラベルを剥離シートに再仮着している。
一方、特許文献2に記載の構成では、ラベル原料を台紙とラベル材料とに分離して、台紙を迂回させるとともに、ラベル材料をバキューム手段により吸引しつつ感圧性接着剤層側からラベル切断手段で型抜きすることで、ラベル片およびかす取り部を形成する。そして、迂回させた台紙にラベル片およびかす取り部を再仮着した後、かす取り部のみをかす取り用案内ローラで剥離することで、ラベル片のみが台紙に残った感圧性接着ラベルを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−37090号公報
【特許文献2】特開平9−254282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようなラベル原紙側から型抜きする構成では、ラベル原紙が硬い場合、型抜きの深さをラベル原紙の厚さと略等しくすると、粘着剤層が流動性を有するため、型抜きするための押圧力の一部が粘着剤層に吸収されてしまい、確実に型抜きできない。ここで、型抜きの深さをラベル原紙の厚さよりも深くすると、ラベル原紙とともに剥離シートも型抜きされてしまい、この型抜きされた部分が脱落してしまう。
一方、特許文献2のような接着剤層側から型抜きする構成では、接着剤層の流動性に係らず適切に型抜きできるものの、切断刃に付着した接着剤が徐々に蓄積されて接着剤の塊となり、不特定のラベル材料にこの接着剤の塊が付着して不良ラベルを形成してしまったり、切断刃に付着した接着剤により、ラベル材料が切断刃側に接着してしまったり、一旦切断刃側に接着したラベル材料が歪んだ状態で剥離シートに再仮着されてしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、良質の接着シートが剥離シートに適切に仮着された原反を確実に製造可能なシート製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のシート製造装置は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状接着シートの当該接着剤層側に帯状の剥離シートが仮着された第1原反を繰り出す繰出手段と、前記繰出手段により繰り出された第1原反の帯状接着シートから前記剥離シートを剥離する剥離手段と、前記剥離シートが剥離された帯状接着シートを前記基材シート側から保持する保持手段と、前記保持手段で保持されている帯状接着シートに対して前記接着剤層側から切り込みを形成し、複数の接着シートを形成可能な切込刃を有する切断手段と、前記切込刃を洗浄する洗浄手段と、前記切断手段により形成された前記複数の接着シートを、前記剥離手段で剥離した剥離シートまたは別の剥離シートに再仮着して、前記第1剥離シートまたは別の剥離シートに前記複数の接着シートが仮着された第2原反を形成する再仮着手段とを備える、という構成を採用している。
【0008】
この際、本発明のシート製造装置では、前記帯状接着シートのうち前記切り込みにより前記接着シートの周囲に形成される不要シートを巻き取る巻取手段を備える、ことが好ましい。
また、本発明のシート製造装置では、前記切込刃は、前記接着シートの外縁に対応し断続的に設けられた複数の切り込みを形成する、ことが好ましい。
また、本発明のシート製造装置では、前記切断手段は、互いに隣り合う前記切り込みの間に設けられた不連続部を打ち抜く打抜手段を備える、ことが好ましい。
【0009】
また、本発明のシート製造方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状接着シートの当該接着剤層側に帯状の剥離シートが仮着された第1原反を繰り出す工程と、繰り出された第1原反の帯状接着シートから前記剥離シートを剥離する工程と、前記剥離シートが剥離された帯状接着シートを前記基材シート側から保持する工程と、保持された帯状接着シートに対し、前記接着剤層側から切込刃により切り込みを形成して、複数の接着シートを形成する工程と、前記切込刃を洗浄する工程と、前記複数の接着シートを、前記剥離する工程で剥離した剥離シートまたは別の剥離シートに再仮着することで、前記剥離シートまたは別の剥離シートに前記複数の接着シートが仮着された第2原反を形成する工程とを有する、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0010】
以上のような本発明によれば、帯状接着シートの接着剤層側に剥離シートが仮着された第1原反から剥離シートを剥離し、帯状接着シートの接着剤層側から切込刃により切り込みを形成するため、接着剤の流動性によらず確実に切り込みを入れて接着シートを形成できる。また、洗浄手段により切込刃を洗浄するため、帯状接着シートの接着剤層側から切り込みを形成する際に切込刃に付着する接着剤を洗浄して取り除くことができる。これにより、切断刃に付着した接着剤の塊が接着シートに付着することで不良ラベルが形成されることを防止できる上、切込刃に付着した接着剤によって、切り込みの形成後に接着シートが切込刃とともに保持手段から外れたり、一旦外れた接着シートが歪んだ状態で剥離シートに再仮着されたりすることを防止することができ、接着シートが剥離シートに適切に仮着された原反を確実に製造することができる。
【0011】
さらに、巻取手段を設けることで、第2原反を使用するときに特に必要でない不要シートを予め排除しておくことができ、使い勝手のよい第2原反を製造することができる。
また、切込刃により、接着シートの外縁に対応する複数の切り込みと不連続部を一旦形成することで、帯状接着シートを確実に保持手段に保持させることができるため、接着シートが保持手段から外れたりすることを防止することができる。
さらに、切断手段により複数の切り込みと不連続部を一旦形成し、その後に不連続部を打ち抜けば、切り込み形成時および形成後における保持手段からの接着シートの落下やずれを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るシート製造装置の側面図。
【図2】帯状接着シートの一部を示す図。
【図3】本発明の第1変形例に係るシート製造装置の側面図。
【図4】本発明の第2変形例に係る帯状接着シートの一部を示す図。
【図5】本発明の第3変形例に係る接着シートの製造方法を示す図。
【図6】本発明の第4変形例に係るシート製造装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
また、実施形態では、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」といった方位を示す用語は、図1を基準として用いる。
図1において、第1原反R1は、帯状の基材シートBSの一方の面に接着剤層ADを有する帯状接着シートSの接着剤層AD側に帯状の剥離シートRLが仮着されて構成されている。シート製造装置1は、第1原反R1から剥離シートRLを剥離し、帯状接着シートSの着剤層AD側から当該帯状接着シートSを所定形状に切断して接着シートS1を形成した後、この接着シートS1を剥離シートRLに再仮着することで、剥離シートRLに複数の接着シートS1が仮着された第2原反R2を形成するものである。
【0014】
シート製造装置1は、第1原反R1を繰り出す繰出手段10と、帯状接着シートSから剥離シートRLを剥離する剥離手段としての第1剥離ローラ20と、帯状接着シートSを吸着保持する保持手段30と、帯状接着シートSから剥離された剥離シートRLを迂回させる迂回手段40と、帯状接着シートSを切込刃511により所定形状に切断して接着シートS1を形成する切断手段50と、切込刃511を洗浄する洗浄手段60と、迂回させた剥離シートRLに接着シートS1を再仮着して、接着シートS1と剥離シートRLから構成される第2原反R2を形成する再仮着手段としての再仮着ローラ80と、接着シートS1の周囲に形成される不要シートS2を巻き取る巻取手段90と、第2原反R2を巻き取る回収手段100とを備えている。
【0015】
繰出手段10は、第1原反R1をロール状に巻回して支持するとともに駆動機器としての回動モータ14により駆動される支持ローラ11と、支持ローラ11から引き出された第1原反R1を案内するとともに駆動機器としての回動モータ15により駆動する駆動ローラ12と、この駆動ローラ12との間に第1原反R1を挟み込むピンチローラ13とを備えている。
第1剥離ローラ20は、左方向に繰り出される第1原反R1の剥離シートRLを帯状接着シートSから剥離して、迂回手段40へ案内する。
【0016】
保持手段30は、図示しないフレームに支持される2本のプーリ31,32と、これらのプーリ31,32に巻回された無端のサクションベルト33と、サクションベルト33の内側にてプーリ31,32間に位置する吸引チャンバ34と、プーリ32を駆動する駆動機器としての駆動モータ35とを有して構成されている。プーリ31は、第1剥離ローラ20と対向する位置に配置され、プーリ32は、再仮着ローラ80と対向する位置に配置されている。サクションベルト33は、多孔性を有した帯状部材で構成されるとともに、プーリ32の回転によって図1中時計回りに回転駆動される。吸引チャンバ34には、切込刃511の先端を受けるための凹部36が形成されている。また、吸引チャンバ34がサクションベルト33を介して空気を吸引することで、吸引チャンバ34の反対側のサクションベルト33表面に吸引力が生じ、帯状接着シートSを吸引保持する保持面33Aが形成されるようになっている。これにより、繰出手段10から繰出された帯状接着シートSが保持面33Aに支持され、サクションベルト33の回転に伴ってプーリ31側からプーリ32側に向かって搬送されるようになっている。
【0017】
迂回手段40は、第1剥離ローラ20の下方と再仮着ローラ80の下方にそれぞれ設けられた第1,第2迂回ローラ41,42を備え、第1剥離ローラ20で剥離された剥離シートRLを、切込形成手段51を避けるように迂回させて再仮着ローラ80まで案内する。
切断手段50は、帯状接着シートSを切断することで、長手方向が帯状接着シートSの搬送方向と一致する長方形状の接着シートS1を形成する。この切断手段50は、接着シートS1の外縁に対応し断続的に設けられたそれぞれ一対ずつの第1,第2切り込みC1,C2(図2参照)を形成する切込形成手段51と、互いに隣り合う第1,第2切り込みC1,C2の間に設けられた不連続部D(図2参照)を打ち抜く打抜手段52とを備えている。
【0018】
切込形成手段51は、第1剥離ローラ20と再仮着ローラ80との間に設けられ、第1,第2切り込みC1,C2を形成する切込刃511を備えたダイカット部512と、このダイカット部512をその出力軸513で支持して昇降させる駆動機器としての直動モータ514とを有している。切込刃511は、帯状接着シートSの接着剤層AD側から第1,第2切り込みC1,C2を形成可能に構成されている。具体的に、切込刃511は、図2に示すように、第1切り込みC1を帯状接着シートSの長辺に沿って形成し、第2切り込みC2を短辺に沿って形成し、不連続部Dを接着シートS1の短辺上における第2切り込みC2の両端に形成する。なお、ダイカット部512には貫通孔512Aが設けられている。
【0019】
打抜手段52は、再仮着ローラ80の左側に設けられ、駆動機器としての直動モータ522による昇降により、帯状接着シートSの基材シートBS側から不連続部Dを打ち抜く打抜刃521と、帯状接着シートSおよび剥離シートRLを挟んで打抜刃521と対向して配置された受け板523とを備えている。この打抜刃521は、幅方向が帯状接着シートSの搬送方向と直交する(接着シートS1の短辺と平行になる)ように設けられており、一つの短辺上に設けられた一対の不連続部Dを同時に打ち抜き可能に構成されている。
なお、切込刃511あるいは打抜刃521には、帯状接着シートSの接着剤の付着を防止するために、フッ素樹脂コート等の不接着処理を施しておくことが好ましい。
【0020】
洗浄手段60は、切込形成手段51のダイカット部512を収納可能でサクションベルト33の保持面33Aに向かって開口する貯液槽61と、貯液槽61に貯められた洗浄液62とを備えている。貯液槽61の底面に形成された孔61Aによって直動モータ514の出力軸513が昇降可能に設けられている。このような構成により、出力軸513が上昇すると、切込刃511の先端側が洗浄液62の液面よりも上方に位置し、帯状接着シートSに切り込みが形成される。一方、出力軸513が下降すると、切込刃511全体が洗浄液62に浸漬された状態となり、切込刃511が洗浄液62で洗浄される。
【0021】
再仮着ローラ80は、サクションベルト33との間に帯状接着シートSと迂回手段40で迂回させた剥離シートRLとを挟み込むことにより、帯状接着シートSを剥離シートRLに再仮着させ、左方向に誘導する。
巻取手段90は、打抜手段52の左側に配置され、切断手段50によって形成された帯状の不要シートS2を、剥離シートRLから剥離する第2剥離ローラ91と、この第2剥離ローラ91で剥離された不要シートS2を案内するガイドローラ92と、駆動機器としての回動モータ94により回転し不要シートS2を巻き取る巻取ローラ93とを備えている。
回収手段100は、駆動機器としての回動モータ104により回転する駆動ローラ101と、駆動機器としての回動モータ105により回転し第2原反R2を回収する回収ローラ103とを備えている。
【0022】
以上のシート製造装置1において、第2原反R2を製造する手順としては、まず、図1に示すように、剥離シートRLを第1剥離ローラ20で帯状接着シートSから剥離して迂回手段40および再仮着手段80を経由させて回収ローラ103にセットする。また、帯状接着シートSから剥離された剥離シートRLを保持手段30および洗浄手段60の間、再仮着手段80を経由させて巻取ローラ93にセットする。
この状態で、回動モータ14,15を駆動して支持ローラ11、駆動ローラ12を回転させて第1原反R1を繰り出し、回動モータ14,15に同期して各モータ35,94,104,105を駆動してプーリ32、巻取ローラ93、駆動ローラ101、回収ローラ103を回転させる。
【0023】
第1原反R1が繰り出されると、保持手段30が帯状接着シートSを吸引チャンバ34で吸引し、帯状接着シートSを基材シートBS側から保持面33Aで保持するとともに、サクションベルト33の回転によって帯状接着シートSを左方向に搬送する。この後、帯状接着シートSが所定の距離だけ左方向に進むと、各ローラ11,12,32,93,103の回転駆動を停止させる。そして、直動モータ514の駆動によりダイカット部512を上昇させ、切込刃511により、図2に示すような第1,第2切り込みC1,C2と不連続部Dを形成する。このとき、切込刃511の先端がサクションベルト33とともに吸引チャンバ34の凹部36に押し込まれるまで上昇させることで、帯状接着シートSに第1,第2切り込みC1,C2を確実に形成することができる。
【0024】
この後、ダイカット部512を下降させて切込刃511を貯液槽61内の洗浄液62に浸漬させる。この浸漬により、切込刃511に接着剤が付着した場合でも、切込刃511が洗浄され、接着剤が付着していない状態で次回の第1,第2切り込みC1,C2の形成が可能となる。さらに、ダイカット部512が下降して切込刃511が帯状接着シートSから離れると、各ローラ11,12,32,93,103の回転駆動を再開し、帯状接着シートSの第1,第2切り込みC1,C2の形成対象部分が切込刃511に対向する位置に到達するごとに、上述の第1,第2切り込みC1,C2の形成動作と、切込刃511の洗浄動作を繰り返す。
【0025】
また、第1,第2切り込みC1,C2と不連続部Dが形成された帯状接着シートSは、迂回してきた剥離シートRLとともに、再仮着ローラ80とサクションベルト33とで挟み込まれることで、剥離シートRL上に再仮着される。
さらに、再仮着された帯状接着シートSおよび剥離シートRLが左方向に進み、打抜刃521の下に不連続部Dが到達すると、直動モータ522の駆動により打抜刃521を下降させて帯状接着シートSの基材シートBS側から不連続部Dを打ち抜くことで、矩形状の接着シートS1と、この接着シートS1の周囲に位置する不要シートS2が形成された第2原反R2が形成される。この後、打ち抜かれていない不連続部Dが打抜刃521の上に到達するごとに、上述の打ち抜き動作を繰り返して接着シートS1を順次形成する。
【0026】
そして、第2原反R2が第2剥離ローラ91と駆動ローラ101とで挟まれた位置に達すると、不要シートS2は剥離シートRLから剥離され、巻取ローラ93に巻き取られるとともに、接着シートS1は剥離シートRL上に仮着された状態のまま、回収ローラ103に回収される。
【0027】
以上のような実施形態によれば、第1原反R1から剥離シートRLを剥離して、帯状接着シートSの接着剤層AD側から切込刃511により第1,第2切り込みC1,C2を形成するごとに、この切込刃511を洗浄液62に浸漬して洗浄しているため、切込刃511に付着した接着剤を取り除くことができ、切断刃511に付着した接着剤の塊が接着シートS1に付着することで不良接着シートが形成されることを防止できる上、第1,第2切り込みC1,C2の形成後に切込刃511が帯状接着シートSから離れるときに、帯状接着シートSが切込刃511とともにサクションベルト33の保持面33Aから外れてしまったり、剥離シートRLに歪んで再仮着してしまったりすることを防止することができる。したがって、良質の接着シートS1が剥離シートRLに適切に仮着された第2原反R2を確実に製造することができる。また、帯状接着シートSに対して接着剤層AD側から切り込みを形成するので、接着剤の流動性に係らず確実に接着シートS1を製造できる。
【0028】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0029】
前記実施形態では、切込形成手段51を直動モータ514の駆動により昇降させて帯状接着シートSに切り込みを形成する構成としたが、切込刃515Aを備えたダイカットローラ516Aを用いて、図3に示すような切断手段50Aを備えたシート製造装置1Aとしてもよい。
切込形成手段51Aは、第1,第2切り込みC1,C2を形成する切込刃515Aを備えたダイカットローラ516Aと、このダイカットローラ516Aを駆動する駆動機器としての回動モータ517Aと、切込刃515Aをブラッシングするブラシ518Aとを有している。切込刃515Aは、帯状接着シートSの接着剤層AD側から第1,第2切り込みC1,C2を形成可能に構成されている。貯液槽61内の洗浄液62の液面と帯状接着シートSとは所定の距離で離間し、ダイカットローラ516Aの一部は洗浄液62の液面よりも上方に位置している。すなわち、切込刃515Aで帯状接着シートSに第1,第2切り込みを形成する際は、洗浄液62から出ている状態となり、切り込み形成後は、再度洗浄液62に浸漬されるようになっている。ブラシ518Aは、洗浄液62中で切込刃515Aに毛部519Aが当たる位置に配置され、ダイカットローラ516Aが回転することにより、切込刃515Aがブラッシングされる構成となっている。
【0030】
このような構成のシート製造装置1Aでは、サクションベルト33の保持面33Aに保持された帯状接着シートSの左方向への搬送に伴い、回動モータ517Aの駆動によりダイカットローラ516Aが回転することで、切込刃515Aにより帯状接着シートSに第1,第2切り込みC1,C2を形成することができる。
【0031】
また、前記実施形態では、保持手段30により帯状接着シートSを保持したが、帯状接着シートSの基材シートBS側に粘着シートを仮着させ、帯状接着シートSから剥離シートRLを剥離させている間は、この粘着シートに帯状接着シートを保持させる構成としてもよい。
また、前記実施形態では、不連続部Dを接着シートS1の短辺上に形成したが、図4に示すように、長辺上に形成して、打抜刃521の幅方向を長辺と平行にしてもよい。また、図5(A)に示すように、切込刃511で形成される切り込みを帯状接着シートSの搬送方向と一致する一対の第1切り込みC1のみとし、これら一対の第1切り込みC1の間を不連続部Dとし、図5(B)に示すように、打抜刃521で不連続部Dを打ち抜き線C3に沿って打ち抜くようにしてもよい。なお、切込刃511で形成される切り込みを帯状接着シートSの搬送方向と直交する一対の切り込みのみとし、これら一対の切り込みの間を不連続部とし、打抜刃521で不連続部Dを打ち抜くようにしてもよい。さらには、図5(B)中、上側の第1切り込みC1と左側の打ち抜き線C3に対応する1つの切り込みを切込刃511で形成した後、下側の第1切り込みC1と右側の打ち抜き線C3に対応する部分を打抜刃521で打ち抜くようにしてもよい。
【0032】
さらに、帯状接着シートSに不連続部Dを形成せずに、長方形状の切り込みを入れることで接着シートS1を形成してもよい。また、接着シートS1の形状としては、長方形に限らず、正方形や三角形などの多角形、真円や楕円としてもよい。
また、巻取手段90を設けなくてもよい。
さらに、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエタ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
さらに、図6に示すシート製造装置1Bのように、帯状接着シートSから剥離した剥離シートRLを、駆動機器としての回動モータ111Bにより回転する回収ローラ112Bで回収するとともに、駆動機器としての回動モータ113Bにより回転する支持ローラ114Bから繰り出される別の剥離シートRL2に接着シートS1を再仮着させて第2原反R2を形成するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1,1A,1B…シート製造装置
10…繰出手段
20…第1剥離ローラ(剥離手段)
30…保持手段
50,50A…切断手段
51,51A…切込形成手段
52…打抜手段
80…再仮着ローラ(再仮着手段)
90…巻取手段
100…回収手段
R1…第1原反
R2…第2原反
RL…剥離シート
RL2…別の剥離シート
S…帯状接着シート
S1…接着シート
S2…不要シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状接着シートの当該接着剤層側に帯状の剥離シートが仮着された第1原反を繰り出す繰出手段と、
前記繰出手段により繰り出された第1原反の帯状接着シートから前記剥離シートを剥離する剥離手段と、
前記剥離シートが剥離された帯状接着シートを前記基材シート側から保持する保持手段と、
前記保持手段で保持されている帯状接着シートに対して前記接着剤層側から切り込みを形成し、複数の接着シートを形成可能な切込刃を有する切断手段と、
前記切込刃を洗浄する洗浄手段と、
前記切断手段により形成された前記複数の接着シートを、前記剥離手段で剥離した剥離シートまたは別の剥離シートに再仮着して、前記第1剥離シートまたは別の剥離シートに前記複数の接着シートが仮着された第2原反を形成する再仮着手段とを備えることを特徴とするシート製造装置。
【請求項2】
前記帯状接着シートのうち前記切り込みにより前記接着シートの周囲に形成される不要シートを巻き取る巻取手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項3】
前記切込刃は、前記接着シートの外縁に対応し断続的に設けられた複数の切り込みを形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート製造装置。
【請求項4】
前記切断手段は、互いに隣り合う前記切り込みの間に設けられた不連続部を打ち抜く打抜手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のシート製造装置。
【請求項5】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状接着シートの当該接着剤層側に帯状の剥離シートが仮着された第1原反を繰り出す工程と、
繰り出された第1原反の帯状接着シートから前記剥離シートを剥離する工程と、
前記剥離シートが剥離された帯状接着シートを前記基材シート側から保持する工程と、
保持された帯状接着シートに対し、前記接着剤層側から切込刃により切り込みを形成して、複数の接着シートを形成する工程と、
前記切込刃を洗浄する工程と、
前記複数の接着シートを、前記剥離する工程で剥離した剥離シートまたは別の剥離シートに再仮着することで、前記剥離シートまたは別の剥離シートに前記複数の接着シートが仮着された第2原反を形成する工程とを有することを特徴とするシート製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−153064(P2012−153064A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15589(P2011−15589)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】