説明

シート貼付装置およびシート貼付方法

【課題】資源を有効利用するために開発された所定の情報を記憶可能な情報シートを使用し、接着シートを適切に貼付するための初期設定の操作を容易にすることができるシート貼付装置を提供すること。
【解決手段】貼付装置1は、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが設けられた接着シートASが当該接着剤層ADによって帯状の剥離シートRLに仮着された原反RSを繰り出す繰出手段3と、接着シートASを剥離シートRLから剥離する剥離板34と、接着シートASをウェハWFに押圧して貼付する押圧手段5とを備え、原反RSには、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられた固定用接着シートFSが再接着可能に設けられ、固定用接着シートFSから所定の情報を読み取ることおよび固定用接着シートFSに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方が可能な繰出側アンテナ221を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置およびシート貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻芯に巻回したラベル連続体の印字に関する情報を読み取って、当該ラベル連続体の印字条件を適切に制御する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の構成では、巻芯に内包されたICユニットから情報を読み取るために、当該巻芯を支持する支持軸にリーダを設けている。
また、ボビンに線材を巻回し、線材の終端末部を接着シール材で固定する構成も知られている(例えば、特許文献2参照)。この接着シール材は、線材の固定のみに使用されるだけであり、固定が不要となった後には廃棄されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−281268号公報
【特許文献2】特開平7−25545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、巻芯を支持する支持軸にリーダを設けているため、例えば、資源の有効利用を図るために、特許文献2で使用される接着シール材に所定の情報を記憶させて情報シートとし、当該情報シートから所定の情報を読み取って、装置を制御するといったことに対応できないという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、資源を有効利用するために開発された所定の情報を記憶可能な情報シートを使用し、接着シートを適切に貼付するための初期設定の操作を容易にすることができるシート貼付装置およびシート貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記原反には、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられた情報シートが再接着可能に設けられ、前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段を有することを特徴とする。
また、本発明の他のシート貼付装置は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた原接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記原接着シートに切り込みを形成することで、当該切り込みの内側に接着シートを形成するとともに、当該切り込みの外側に不要シートを形成する切断手段と、前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、前記原反には、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられた情報シートが再接着可能に設けられ、前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段を有することを特徴とする。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記繰出手段は、前記接着シートが剥離された剥離シートを巻き取る巻取軸を含み、前記通信手段は、前記巻取軸または前記巻取軸に対向する位置に設けられていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記繰出手段は、前記原反を支持する支持軸を含み、前記通信手段は、前記支持軸または前記支持軸に対向する位置に設けられていることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置では、前記情報シートを発行可能な情報シート発行手段を有することが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反に再接着可能であるとともに、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能な情報シートと、前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段とを用い、前記情報シートが設けられた原反を準備する準備ステップと、前記通信手段が前記少なくとも一方の処理が可能な状態に前記情報シートを配置する配置ステップと、前記原反を繰り出す繰出ステップと、前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離ステップと、前記接着シートを被着体に押圧して押圧ステップと、前記繰出ステップ、前記剥離ステップ、前記押圧ステップの少なくとも1つのステップを行う前に前記情報シートから所定の情報を読み取って、当該読み取った情報に基づいて以後のステップを行うこと、および、前記少なくとも1つのステップを行った後に前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方を含む通信ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の他のシート貼付方法は、基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反に再接着可能であるとともに、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能な情報シートと、前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段とを用い、前記情報シートが設けられた原反を準備する準備ステップと、前記通信手段が前記少なくとも一方の処理が可能な状態に前記情報シートを配置する配置ステップと、前記原反を繰り出す繰出ステップと、前記原接着シートに切り込みを形成することで、当該切り込みの内側に接着シートを形成するとともに、当該切り込みの外側に不要シートを形成する切断ステップと、前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離ステップと、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧ステップと、前記繰出ステップ、前記切断ステップ、前記剥離ステップ、前記押圧ステップの少なくとも1つのステップを行う前に前記情報シートから所定の情報を読み取って、当該読み取った情報に基づいて以後のステップを行うこと、および、前記少なくとも1つのステップを行った後に前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方を含む通信ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、従来では外したら捨てられるだけであった端部止めの接着シール材を情報シートとして再利用するにあたり、当該情報シートを再接着し、当該情報シートから所定の情報を読み取ったり、情報シートに所定の情報を書き込んだりすることが可能な通信手段を設けているため、例えば、接着シートの貼付時の押圧力に関する情報や、原接着シートから接着シートを形成するときの切り込み深さに関する情報を情報シートに書き込んでおけば、接着シートを適切に貼付する諸条件をオペレータが貼付装置に入力する必要がなくなり、貼付装置の操作を容易にすることができる。さらには、例えば、接着シートの貼付枚数などに関する情報を情報シートに書き込めば、次回の貼付処理開始時の設定操作や原反の在庫管理が容易になる。
【0010】
また、剥離シートを巻き取る巻取軸または巻取軸に対向する位置に通信手段を設ければ、貼付開始前に、情報シートによって剥離シートを巻取軸に仮固定するだけで、情報シートから押圧力や切り込み深さに関する情報を貼付装置が読み取ることができ、操作が容易になる。
さらに、原反を支持する支持軸または支持軸に対向する位置に通信手段を設ければ、貼付開始前に情報シートを設けた原反を支持軸にセットするだけで、情報シートから押圧力や切り込み深さに関する情報を貼付装置が読み取ることができ、操作が容易になる。
また、情報シート発行手段を設けることで、接着シートを全て使用してしまう前に原反を交換するような場合にでも、次回使用するときのために即座に情報シートを発行し、使用途中の原反に貼付して保管しておくことができる。
なお、仮固定とは、一旦固定したものであっても、後に取り外すことができるように固定することを意味し、例えば、固定用接着シートを用い、剥離シートを巻取軸などの所定の部位に一時的に固定して、必要に応じて剥離シートを当該所定の部位から取り外すことができるように固定することである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(A)は、本発明の第1実施形態に係る固定用接着シートが取り付けられた原反の斜視図、(B)は、前記第1実施形態および第2実施形態の固定用接着シートの断面図、(C)および(D)は、変形例に係る固定用接着シートの断面図。
【図2】前記第1実施形態の貼付装置の側面図。
【図3】前記第2実施形態の貼付装置の側面図。
【図4】変形例に係る固定用接着シートが取り付けられた原反の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、本発明の内容を理解しやすくするために各構成の形状や配置状態を誇張して示している。
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、情報シートとしての固定用接着シートFSについて説明する。図1(A),(B)において、固定用接着シートFSは、中空円筒状の芯部材25の外周に巻回された巻回物としての原反RSの先端を当該原反RSに仮固定したり、原反RSの後端を芯部材25に仮固定したり、原反RSの先端を所定の部位に剥離シートRLを仮固定したりするものである。ここで、原反RSは、基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが積層された接着シートASが、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着された構成を有している。
固定用接着シートFSは、長方形状の基材シートFBと、当該基材シートFBの一方の面に積層され再接着可能な材料により形成された接着剤層FDと、基材シートFBの他方の面に支持されるとともに、所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能なデータキャリア本体DBとを備えている。
なお、図1(C)に示すように、データキャリア本体DBは、接着剤層FDに支持されるように設けてもよいし、図1(D)に示すように、データキャリア本体DBを基材シートFBと接着剤層FDとの間に設けてもよい。
【0014】
データキャリア本体DBは、チップCPおよび当該チップCPに接続されたチップ用アンテナATから構成されており、電磁波を通信媒体として、データを送信したり、データを記憶したりすることができるものである。このようなデータキャリア本体DBとしては、例えば、ICチップ(チップCP)と、このICチップに接続された送受信用の導電性コイル(チップ用アンテナAT)とから構成される、いわゆるRFメモリやRFIDタグ等を例示することができる。
【0015】
次に、接着シートASの貼付装置1について説明する。図2において、貼付装置1は、被着体としての半導体ウェハ(以下「ウェハ」と称す場合がある)WFに接着シートASを貼付するものである。そして、貼付装置1は、接着シートASを繰出可能に支持する支持装置2と、接着シートASを繰り出す繰出手段3と、繰り出された接着シートASをウェハWFに押圧して貼付する押圧手段5と、ウェハWFと押圧手段5とを相対移動させる移動手段6とを備え、パーソナルコンピュータやシーケンサ等の制御手段7によってその全体的な動作が制御されるように構成されている。
【0016】
支持装置2は、フレーム21と、このフレーム21の一面に設けられた支持軸としての支持部22とを備え、芯部材25における中空部の一端側から挿入されることで芯部材25を支持する。
【0017】
繰出手段3は、その全体がフレーム21に支持され、原反RSを案内するガイドローラ32,33と、原反RSの剥離シートRLを折り返すことで当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板34と、駆動機器としての回動モータ35によって駆動する駆動ローラ36と、駆動ローラ36との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ37と、駆動機器としての回動モータ39によって剥離シートRLを回収する巻取軸としての回収ローラ38とを備えている。
押圧手段5は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な部材で構成され、図示しない支持部材により回転自在に支持され、駆動機器としての図示しない直動モータにより昇降可能に設けられている。
移動手段6は、ウェハWFが載置され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない吸着保持手段によって当該ウェハWFを吸着保持可能なテーブル61と、テーブル61の下面にスライダ62が固定された駆動機器としての単軸ロボット63とを備え、スライダ62をスライド駆動することで、テーブル61を左右方向に移動可能に構成されている。
【0018】
また、支持装置2には、図2の符号AAにも示すように、フレーム21に対して回動可能に設けられ、図示しないばね等の付勢手段によって支持部22方向に付勢されるとともに、内部に通信手段としての繰出側アンテナ221を備えた原反押えアーム222が設けられている。また、回収ローラ38には、図2の符号ABにも示すように、その周面の一部に平面部38Aが形成され、当該回収ローラ38の内部であって、平面部38Aの下方に通信手段としての回収側アンテナ381が設けられている。繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381は、導電体をループ状に巻回することにより構成されている。
繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381には、制御手段7による制御に基づき、固定用接着シートFSのデータキャリア本体DBに対してデータの読み書きをすることのできる読み書き手段としてのリーダライタ8がそれぞれ接続されている。制御手段7は、リーダライタ8を制御し、各アンテナ221,381に電流を流すことで、磁束、静電気、マイクロ波等の伝送手段を発生させ、チップ用アンテナATを介して起電力を発生させてデータキャリア本体DBのチップCPに書き込まれたデータを読み取り、当該読み取ったデータに基づいて、貼付装置1全体を制御したり、データキャリア本体DBのチップCPに所定のデータを記憶させたりすることができる。
また、リーダライタ8には、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381と同様の機能を有する図示しないアンテナすなわち通信手段が内蔵された固定用接着シート発行手段9が接続されている。この固定用接着シート発行手段9は、チップ用アンテナATを介してチップCPに所定のデータを書き込んだ固定用接着シートFSを発行可能となっている。
なお、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381と、データキャリア本体DBとで通信するデータとしては、接着シートASの種類、材質、品名、コード、厚さ、長さ、幅、直径などの規格寸法、さらには、原反RSのロットナンバー、原反RSを使用した長さ、原反RSの残りの長さ、接着シートASの品質保証期限、繰出開始前後の接着シートASの残数、繰り出された接着シートASの枚数、接着シートASを最適に繰り出すことのできる推奨繰出速度、接着シートASを最適に貼付することができる推奨貼付張力や推奨押圧力などの接着シートASの貼付条件、接着シートASや原反RSについての相談窓口の連絡先などが例示できる。
そして、貼付装置1に設けられた図示しないモニタにデータキャリア本体DBから読み取ったデータを表示させたり、読み取ったデータを基に当該貼付装置1の貼付条件を設定したりすることができる。
【0019】
以上の貼付装置1において、ウェハWFに接着シートASを貼付する際には、まず、原反RSの長手方向の後端を固定用接着シートFS(以下、後端側固定用接着シートFSbと称す)(図2参照)によって芯部材25に仮固定して当該芯部材25に巻回した後、先端を固定用接着シートFS(以下、先端側固定用接着シートFSfと称す)(図1(A)参照)によって原反RSの周面に仮固定したものを準備する。そして、原反RSが巻回された芯部材25を支持部22で支持させる。
【0020】
次に、作業者は、先端側固定用接着シートFSfを原反RSの周面から剥し、原反RSの先端に先端側固定用接着シートFSfを貼付した状態で当該原反RSを引き出し、図2のABに示すように、先端側固定用接着シートFSfを回収ローラ38の平面部38Aに仮固定して繰出手段3にセットする。このとき、先端側固定用接着シートFSfの接着剤層FDが再接着可能な材料によって形成されているので、原反RSを容易に回収ローラ38に仮固定することができる。これにより、先端側固定用接着シートFSfの面が回収側アンテナ381の面と対向するので、回収側アンテナ381で発生する伝送手段の通過位置にチップ用アンテナATを常時存在させることができるため、リーダライタ8は、回収側アンテナ381を介してチップ用アンテナATに効率よく起電力を発生させ、先端側固定用接着シートFSfのチップCPのデータを確実に読み取ったり、先端側固定用接着シートFSfにデータを確実に書き込んだりすることができる。
【0021】
そして、電源投入により貼付装置1の自動運転が開始されると、制御手段7は、リーダライタ8を制御して、回収側アンテナ381に電流を流すことで伝送手段を発生させ、先端側固定用接着シートFSfに書き込まれたデータを読み取り、当該読み取ったデータに基づいて、貼付装置1全体を制御する。この制御は、例えば、先端側固定用接着シートFSfに書き込まれたデータのうち、接着シートASの推奨繰出速度を基にして、回動モータ35,39の回転速度や、単軸ロボット63でテーブル61を移動させる移動速度を決定したり、推奨押圧力を基にして、押圧手段5を昇降させる図示しない直動モータの昇降量やその出力軸に加えるトルクなどを決定し、押圧力を設定したりすることができる。なお、データキャリア本体DBから受信したすべての情報または、一部の情報を図示しないモニタや表示パネル等に表示させておくことができる。
【0022】
その後、図示しない搬送手段によってウェハWFがテーブル61上に載置されると、移動手段6がウェハWFの吸着を開始し、単軸ロボット63を駆動してテーブル61を図2中左方向に搬送させる。次いで、ウェハWFが所定の位置に達したことを図示しない光センサ等の検知手段が検知した時点で、繰出手段3が回動モータ35,39を駆動して接着シートASを繰り出し、押圧手段4が当該接着シートASを搬送されるウェハWFに押圧して貼付する。接着シートASが貼付されたウェハWFは、図示しない搬送装置で外部に搬送され、テーブル61が元の位置に戻り、以降同様の動作が繰り返される。
【0023】
ここで、制御手段7は、貼付装置1の自動運転中に種々の制御を行う。例えば、回収側アンテナ381を介して初めに読み取った接着シートASの残数から、ウェハWFに貼付した接着シートASの数を差し引き、あと何枚のウェハWFに接着シートASを貼付することができるかを計算して図示しないモニタや表示パネル等に表示させたり、残りの接着シートASの枚数が少なくなると、図示しないブザーや回転灯等の警告手段を作動させて作業者に注意を促したりすることができる。また、初めに読み取った原反RSの残りの長さから、使用した原反RSの長さを差し引き、残りの長さを図示しないモニタや表示パネル等に表示させたり、残りの原反RSの長さが短くなくなると、警告手段を作動させて作業者に注意を促したりすることもできる。なお、ウェハWFに貼付した接着シートASの数は、回動モータ35の起動回数や、ウェハWFが所定の位置に達したことを検知する図示しない検知手段が検知した回数等によって算出することができ、原反RSを使用した長さは、回動モータ35の回転数やパルス等によって算出することができる。
また、芯部材25に巻回された原反RSの量が少なくなると、繰出側アンテナ221が後端側固定用接着シートFSbと交信するようになるので、この交信を切っ掛けとして原反RSの残りの長さが少なくなったと判断させ、上記のように警告手段を作動させることもできる。
【0024】
なお、一の原反RSにおける接着シートASを全て使用してしまう前に、他の原反RSに型換えをする場合、作業者は、剥離板34で折り返された剥離シートRLにおける原反繰出方向下流側で当該剥離シートRLを切断し、回収ローラ38で巻き取られた剥離シートRLを当該回収ローラ38から抜き取って破棄する。この時、制御手段7は、リーダライタ8および情報シート発行手段9を駆動して、例えば、上述のようにして算出した接着シートASの残数や原反RSの残りの長さ等のデータを、上述のその他のデータと共に記憶させた別の先端側固定用接着シートFSf1を発行する。その後、作業者は、切断された原反RSの先端(剥離シートRLの先端)を当該別の先端側固定用接着シートFSf1によって原反RSの周面に仮固定して保存することができる。これにより、接着シートASを全て使用してしまう前に貼付装置1から取り外された原反RSでも、次回の使用時に、上述と同様にして別の先端側固定用接着シートFSf1に書き込まれたデータを読み取ることで、即対応することができる。また、後端側固定用接着シートFSbや先端側固定用接着シートFSf(FSf1)に記憶させた接着シートASの残数を、図示しない外部コンピュータに送信することで、原反RSの在庫を管理することもできる。
【0025】
以上のような第1実施形態によれば、再接着可能な固定用接着シートFSを原反RSに設けるとともに、当該固定用接着シートFSに対する情報の読み書きが可能な繰出側アンテナ221や回収側アンテナ381を設けているため、接着シートASの貼付時の押圧力に関する情報を固定用接着シートFSに書き込んでおくことで、貼付装置1の操作を容易にすることができる。
【0026】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
第2実施形態の貼付装置1Aは、図3に示すように、帯状の基材シートBSの一方の面に接着剤層ADが設けられた原接着シートAS0が当該接着剤層ADを介して帯状の剥離シートRLの一方の面に仮着された原反RS1を支持する支持装置2と、当該原反RS1を繰り出す繰出手段3と、原接着シートAS0を所定形状に切断して接着シートASを形成する切断手段4Aと、接着シートASをウェハWFに押圧して貼付する押圧手段5と、移動手段6とを備え、パーソナルコンピュータやシーケンサ等の制御手段7Aによってその全体的な動作が制御されるように構成されている。
【0027】
切断手段4Aは、原接着シートAS0に円形の切り込みCUを形成する切込刃41Aを備えたダイカットローラ42Aと、原接着シートAS0および剥離シートRLを挟んでダイカットローラ42Aと対向配置されたプラテンローラ43Aとを備えている。切込刃41Aは、基材シートBS側から剥離シートRLを貫通しない深さの切り込みCUを形成し、当該切込CUの内側に円形の接着シートASを形成する。なお、ダイカットローラ42Aおよびプラテンローラ43Aは、駆動機器としての回動モータ44A,45Aにより同期して回転可能に設けられている。また、ダイカットローラ42Aを図3中左右方向に移動させ、切り込みCUの深さを変更する駆動機器であって切込深さ変更手段としての直動モータ46Aが設けられている。なお、切込深さ変更手段としては、プラテンローラ43A側に直動モータを設けてもよいし、それら両方に直動モータを設けてもよい。また、切込刃41Aが形成する切り込みCUの形状は、円形状に限らず、方形、楕円形、多角形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。
【0028】
以上の貼付装置1Aにおいて、ウェハWFに接着シートASを貼付する際には、原反RS1の長手方向の後端を後端側固定用接着シートFSbによって芯部材25に仮固定して巻回した後、先端を先端側固定用接着シートFSfによって原反RS1に仮固定したものを準備して、支持部22で支持させる。
次に、第1実施形態と同様に、先端側固定用接着シートFSfを回収ローラ38の平面部38Aに仮固定して繰出手段3にセットする。
そして、電源投入により貼付装置1Aの自動運転が開始され、制御手段7Aは、リーダライタ8を制御して、先端側固定用接着シートFSfに書き込まれたデータを読み取り、当該読み取ったデータに基づいて、貼付装置1全体を制御する。この制御は、第1実施形態と同様の制御に加え、例えば、原接着シートAS0の種類、材質、厚さに基づいて、直動モータ46Aを駆動して切断手段4Aによる切り込み深さを設定することができる。
次いで、制御手段7Aは、原反RS1を繰り出し、切断手段4Aにより原接着シートAS0に切り込みCUを形成して、円形の接着シートASと不要シートUSとを形成する。
そして、第1実施形態と同様に、接着シートASをウェハWFに貼付するとともに、剥離シートRLを不要シートUSとともに回収ローラ38で回収する。
なお、制御手段7Aは、貼付処理中にも第1実施形態と同様の制御を行うことができる。
【0029】
以上のような第2実施形態によれば、切断手段4Aで接着シートASを形成するときの切り込み深さに関する情報を固定用接着シートFSに書き込んでおくことで、貼付装置1Aの操作を容易にすることができる。
【0030】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0031】
例えば、図4に示すように、芯部材25の端面形状と略等しい円形状に形成されるとともに、中央にデータキャリア本体DBの平面形状よりも大きい形状の穴部AP2を有する基材シートFB2と、当該基材シートFB2の一方の面に積層された接着剤層FD2と、穴部AP2の底面APB上に支持されたデータキャリア本体DBとを備え、穴部AP2の周縁部分によって保護部PR2が構成されている。この固定用接着シートFS2は、芯部材25の端面に再接着可能に仮固定される。
【0032】
また、接着剤層FD,FD2は、基材シートFB,FB2の一方の面全面に設けてもよいし、筋状に設けたり、外縁領域だけに設けたりして基材シートFB,FB2の一方の面の一部に設けてもよい。
また、固定用接着シートFS,FS2の平面形状は、方形、円形、楕円形、多角形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。
さらに、接着シートASの平面形状は、方形、円形、楕円形、多角形、それらの形状を組み合せた形状等、何ら限定されるものではない。
また、繰出側アンテナ221や回収側アンテナ381と同等の機能を有する通信手段を支持部22内に設けてもよいし、回収側アンテナ381を回収ローラ38に対向する位置に設けてもよいし、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381のうち一方を設けなくてもよい。すなわち、繰出側アンテナ221や回収側アンテナ381は、固定用接着シートFSに対して所定のデータの記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられていればよい。
さらに、原反RSから剥がした先端側固定用接着シートFSfの取り付け位置は、回収ローラ38以外の部位でもよく、例えば、回収側アンテナ381と同様の機能を果たすアンテナを支持する特設のステージを設け、当該ステージに先端側固定用接着シートFSfを接着したり、載置したりするようにしてもよい。この場合、接着剤層FDは、再接着不可能な材料により構成されていてもよい。
また、本発明における情報シートに設けられるデータキャリア本体としては、ICタグ、ICカード、電子タグ、バーコード、いわゆるQRコード(登録商標)、磁気シートを適用してもよい。データキャリア本体がバーコードやQRコードの場合、繰出側アンテナ221および回収側アンテナ381の代わりにバーコードやQRコードを読み取り可能なリーダを使用し、磁気シートの場合、磁界を発生させて磁性体を磁化してデータを書き込んだり、磁界の変化を検知してデータを読み出したりするいわゆる磁気ヘッドを使用すればよい。なお、バーコードやQRコードのように記憶する情報量が少ないものの場合は、これらコードに上位のコンピュータ等の上位の制御手段にアクセスできるコードを記憶させておき、当該上位の制御手段から上記同様のデータを受信するようにしてもよい。
さらに、芯部材25は、中空円筒状以外に中空角筒状や、中実円柱状、中実角柱状であってもよい。
また、固定用接着シートFSは、芯部材25に巻回されることのない原反RSを対象とした巻回物の固定用接着シートとしてもよい。
【0033】
また、本発明における接着シートAS、固定用接着シートFS,FS2の種別や材質などは、特に限定されず、例えば、基材シートBS,基材シートFB,FB2と接着剤層FD,FD2との間に中間層を有するものや、他の層を有する等3層以上のものでもよい。また、接着シートASは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このような半導体ウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、板状部材が光ディスクの基板であって、接着シートが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、板状部材としては、ガラス板、鋼板、樹脂板、基板等や、その他の部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
さらに、巻回物は、帯状の接着シート、紙、布、鋼板、ベルト、樹脂、木板や、長尺の糸、紐、針金、コード、チューブ、ホース、チェーン等が例示でき、何らかの部材で巻き取ることのできる長さを有するものであればよい。
【0034】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0035】
1,1A…貼付装置
3…繰出手段
4A…切断手段
5…押圧手段
9…情報シート発行手段
22…支持部(支持軸)
34…剥離板(剥離手段)
38…回収ローラ(巻取軸)
221…繰出側アンテナ(通信手段)
381…回収側アンテナ(通信手段)
AD…接着剤層
AS…接着シート
AS0…原接着シート
BS…基材シート
FS,FS2…固定用接着シート(情報シート)
RL…剥離シート
RS,RS1…原反
US…不要シート
WF…ウェハ(被着体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離手段と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記原反には、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられた情報シートが再接着可能に設けられ、
前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段を有することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた原接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記原接着シートに切り込みを形成することで、当該切り込みの内側に接着シートを形成するとともに、当該切り込みの外側に不要シートを形成する切断手段と、
前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離手段と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを備え、
前記原反には、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能に設けられた情報シートが再接着可能に設けられ、
前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段を有することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項3】
前記繰出手段は、前記接着シートが剥離された剥離シートを巻き取る巻取軸を含み、
前記通信手段は、前記巻取軸または前記巻取軸に対向する位置に設けられている請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記繰出手段は、前記原反を支持する支持軸を含み、
前記通信手段は、前記支持軸または前記支持軸に対向する位置に設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
前記情報シートを発行可能な情報シート発行手段を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項6】
基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反に再接着可能であるとともに、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能な情報シートと、
前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段とを用い、
前記情報シートが設けられた原反を準備する準備ステップと、
前記通信手段が前記少なくとも一方の処理が可能な状態に前記情報シートを配置する配置ステップと、
前記原反を繰り出す繰出ステップと、
前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離ステップと、
前記接着シートを被着体に押圧して押圧ステップと、
前記繰出ステップ、前記剥離ステップ、前記押圧ステップの少なくとも1つのステップを行う前に前記情報シートから所定の情報を読み取って、当該読み取った情報に基づいて以後のステップを行うこと、および、前記少なくとも1つのステップを行った後に前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方を含む通信ステップとを有することを特徴とするシート貼付方法。
【請求項7】
基材シートの一方の面に接着剤層が設けられた接着シートが当該接着剤層によって帯状の剥離シートに仮着された原反に再接着可能であるとともに、所定の情報の記憶および送信の少なくとも一方が可能な情報シートと、
前記情報シートから所定の情報を読み取ること、および、前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方の処理が可能な通信手段とを用い、
前記情報シートが設けられた原反を準備する準備ステップと、
前記通信手段が前記少なくとも一方の処理が可能な状態に前記情報シートを配置する配置ステップと、
前記原反を繰り出す繰出ステップと、
前記原接着シートに切り込みを形成することで、当該切り込みの内側に接着シートを形成するとともに、当該切り込みの外側に不要シートを形成する切断ステップと、
前記接着シートを前記剥離シートから剥離する剥離ステップと、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧ステップと、
前記繰出ステップ、前記切断ステップ、前記剥離ステップ、前記押圧ステップの少なくとも1つのステップを行う前に前記情報シートから所定の情報を読み取って、当該読み取った情報に基づいて以後のステップを行うこと、および、前記少なくとも1つのステップを行った後に前記情報シートに所定の情報を書き込むことの少なくとも一方を含む通信ステップとを有することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−112403(P2013−112403A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262603(P2011−262603)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】