説明

シート貼付装置及びシート貼付方法

【課題】被貼着体の上面にシートを簡単に且つ効率良く貼り付けることができるシート貼付装置及びシート貼付方法を提供する。
【解決手段】テーブル2を二台以上備え、装置本体1にはテーブル2をスライド移動させるためのガイドレール11が設けられ、テーブル2は、押圧ローラ3の上流側において装置本体1に装着可能で且つ押圧ローラ3の下流側において装置本体1から取り外し可能である。テーブル2を押圧ローラ3の上流側に順次装着して押圧ローラ3の下方を連続的に通過させることにより、各テーブル2上の被貼着体80に長尺状の粘着シート80を連続的に貼り付けていく。装置本体1の下流側から外したテーブル2は再び上流側にセットして循環的に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被貼着体の上面にシートを貼り付けるシート貼付装置及びシート貼付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、所定位置に配置されたローラの下方を、被貼着体を載置したテーブルがスライド移動しながら通過することによって、長尺状のシートをローラで被貼着体の上面に押圧して貼り付ける構成が種々提案されている(下記特許文献1、2)。
【0003】
しかしながら、テーブルが所定区間内を往復移動する構成の場合、所定区間を元の位置に戻す必要があるために装置が複雑になる。即ち、下記特許文献1所載のものでは復帰用のシリンダが必要となり、下記特許文献2所載のものではモータを逆転制御する必要がある。しかも、元の位置に戻した後でないと、次の貼り付けを行うことができず、貼り付けを効率良く行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−40922号公報
【特許文献2】特開2005−297458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、被貼着体の上面にシートを簡単に且つ効率良く貼り付けることができるシート貼付装置及びシート貼付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るシート貼付装置は、押圧部材を有する装置本体と、被貼着体が載置されるテーブルとを備え、被貼着体が載置されたテーブルが押圧部材の下方をスライド移動しながら通過することにより、押圧部材が被貼着体の上面に長尺状のシートを押圧して貼り付けるシート貼付装置であって、装置本体にはテーブルをスライド移動させるためのガイドレールが設けられ、テーブルは、押圧部材の上流側において装置本体に装着可能で且つ押圧部材の下流側において装置本体から取り外し可能であり、且つ、テーブルを二台以上備えていることを特徴とする。
【0007】
該構成のシート貼付装置にあっては、テーブルを装置本体における押圧部材の上流側の位置に装着するのであるが、装着するテーブルには予め被貼着体を載置していてもよく、また、装置本体に装着した後にテーブルに被貼着体を載置してもよい。何れにしても、被貼着体が載置されたテーブルをガイドレールに沿ってスライド移動させて押圧部材の下方を通過させる。この押圧部材の下方をテーブルが通過する際に、長尺状のシートが押圧部材によって被貼着体に押圧されて貼り付けられていく。そして、テーブルが押圧部材を通過すると被貼着体には既に長尺状のシートが貼り付けられているので、押圧部材の下流側において長尺状のシートを切断して長尺状のシートからテーブルを分離し、押圧部材の下流側の位置においてテーブルを装置本体から取り外す。
【0008】
特に、テーブルを二台以上備えているので、一台目のテーブルが押圧部材の下方を通過するのに続いて二台目のテーブルを通過させることで、各テーブル上の被貼着体に長尺状のシートを連続的に貼り付けることができる。更に、例えばテーブルが二台である場合、二台目のテーブルが押圧部材の下方を通過している段階で、装置本体から外した一台目のテーブルを再び装置本体の上流側の位置に装着し、二台目のテーブルに続けて一台目のテーブルをスライド移動させる。同様にして、二台目のテーブルを装置本体から外して再び上流側に装着して一台目のテーブルの後に続ける。このように装置本体から外したテーブルを再び上流側の位置に装着して使用することにより、二台のテーブルで三つ以上の被貼着体への貼り付けを連続的に行うことができる。テーブルを三台以上備える場合でも同様であって、押圧部材の上流側の位置にテーブルを順次装着して押圧部材の下方を続けて通過させることにより、複数の被貼着体に長尺状のシートを連続的に貼り付けることができる。尚、三台以上のテーブルを備えている場合においてそれと同数の被貼着体にシートを貼り付ける場合には、全てのテーブルを続けてスライド移動させて貼り付けを行うこともでき、また、全てのテーブルのうちの二台のテーブルのみを繰り返し使用して貼り付け工程を行うこともできる。
【0009】
また、テーブルよりも全長が短い延長テーブルを更に備えていることが好ましい。特に、片面に粘着層を有する粘着シートをシート状のように薄い被貼着体に貼り付ける場合には、最初の被貼着体に粘着シートを貼り付ける際のスタート部分が重要になる。即ち、粘着シートの先端を被貼着体に直接貼り付けると、貼り付け開始部分において粘着シートに皺が入ったり、粘着シートと被貼着体との間に気泡が入り込んだりしやすい。従って、ある程度の区間を助走区間として、まずそこに粘着シートを貼り付けたうえで続けて一台目の被貼着体に粘着シートを貼り付けていくことが好ましい。そのために、最初のテーブルの前側に延長テーブルを置き、該延長テーブルの上面を助走区間としてそこに粘着シートを貼り付けるようにすることで、最初のテーブルの被貼着体に貼り付ける粘着シートに皺や気泡が発生しにくくなる。また、複数の被貼着体への貼り付け工程が終了する際にも延長テーブルを使用することができる。即ち、最後の被貼着体を載置したテーブルの後に続けて延長テーブルをスライド移動させてこの延長テーブルの上面に粘着テープを所定長さ貼り付けるようにすれば、日や時間をおいて次の所定数の貼り付け工程をスタートする際に、粘着シートの先端を改めて延長テーブルに貼り付けるという作業が不要になり、次の貼り付け工程を素早く開始することができる。
【0010】
更に、延長テーブルは、延長テーブル本体と該延長テーブル本体に着脱可能な分離片とを備え、分離片の上面は延長テーブルの上面のうち前側の所定領域を構成することが好ましい。尚、前側とは下流側で、後側とは上流側を意味する。上述のように最後のテーブルに続けて延長テーブルをスライド移動させて該延長テーブルに粘着シートを貼り付けて所定数の貼り付け工程を終了する場合、貼り付け工程終了後に延長テーブル本体から分離片を分離することで、粘着テープの先端を分離片に貼り付けた状態にして次の貼り付け工程までおいておくことができる。一般に粘着テープの粘着層は剥離紙で被覆されており、その剥離紙を剥がしながら被貼着体に貼り付けていくことになるが、次の所定数の貼り付け工程までの間、粘着テープの粘着層が長時間露出した状態になることは好ましくない。従って、露出した粘着層の部分に再び剥離紙を貼り付けるようにして保管することが好ましいが、その際、延長テーブル全体ではなく分離片のみに粘着シートが貼り付けられているので、分離片を設けない構成に比して取り扱いが容易であり、従って、剥がした剥離紙を再び粘着シートに貼り付けて保管するということも分離片のみであるので楽に行うことができ、貼り付け工程終了後における粘着シートの保管作業が容易になる。
【0011】
また、本発明に係るシート貼付方法は、テーブルに載置された被貼着体の上面に長尺状のシートを押圧部材で押圧し、その状態でテーブルを移動させることにより被貼着体にシートを貼り付けるシート貼付方法であって、二台以上のテーブルを移動経路の上流側の位置に順次セットして移動経路上をスライド移動させて押圧部材の下方を連続的に通過させることにより各テーブルの被貼着体に長尺状のシートを連続的に貼り付けると共に、押圧部材の下流側において長尺状のシートを切断して、押圧部材を通過したテーブルを移動経路から順次外していくことを特徴とする。尚、シート付きの被貼着体をテーブルから外す際には、移動経路においてまずテーブルからシート付きの被貼着体を外してその後に移動経路からテーブルを外しても、また、移動経路からテーブルを外した後にそのテーブルからシート付きの被貼着体を外してもよい。
【0012】
該方法にあっては、二台以上のテーブルを移動経路に順次セットして続けてスライド移動させて被貼着体に長尺状のシートを連続的に貼り付けていくので、一つの被貼着体に長尺状のシートを貼り付ける毎にテーブルを移動経路に沿って押圧部材の上流側に戻す必要がない。
【0013】
特に、移動経路から外したテーブルを再び移動経路の上流側の位置にセットして使用することが好ましい。一回の貼り付け工程で貼り付ける被貼着体の数と同数のテーブルを使用することもできるが、移動経路から外したテーブルを再び移動経路の上流側の位置にセットして使用することにより、少ない数のテーブルで貼り付け工程を行うことができる。
【0014】
特に、二台のテーブルで三つ以上の被貼着体にシートを連続的に貼り付けることが好ましい。テーブルの数が最低数の二台で済み、テーブルの保管スペースも小さくて済む。
【0015】
一方、テーブルを押圧部材の上流側から手動で押してスライド移動させると共に、上流側のテーブルでその下流側のテーブルを押すことが好ましい。手動でテーブルをスライド移動させることにより電源が不要になる。また、手動でテーブルをスライド移動させる場合、押圧部材を下流側から引っ張ることもできるが、押圧部材の上流側から押すことにより、被貼着体への貼り付け状態を目視確認しながらテーブルをスライド移動させることができる。また、上流側のテーブルでその下流側のテーブルを押すことで、上流側のテーブルを容易に押圧部材の下流側までスライド移動させることができると共に、長尺状のシートを上流側のテーブルの被貼着体にスムーズに連続的に貼り付けていくことができる。
【0016】
また、片面に粘着層を有する粘着シートをシート状の被貼着体に貼り付ける場合において、テーブルの前端から後方に離間した位置に被貼着体を載置して、押圧部材によってテーブルの上面の前側の区間に粘着シートを貼り付けたうえで被貼着体に粘着シートを貼り付けることが好ましい。このようにテーブルの上面の前側の区間に粘着シートを貼り付けることにより、テーブルに載置された被貼着体の前側部分を粘着シートでテーブルに確実に固定したうえで粘着シートを貼り付けていくことができる。
【0017】
また、一台目のテーブルの前側に別体の延長テーブルを置くことが好ましい。延長テーブルに粘着シートを貼り付けることになるので、粘着シートの先端から一台目のテーブルにおける被貼着体の前端までの距離が、二台目のテーブルの前端からその上面の被貼着体の前端までの距離よりも長くなる。即ち一台目の被貼着体に粘着シートを貼り付けるまでの助走区間が長くなり、粘着シートの貼り付け状態を安定化させることができ、特に皺や気泡が発生しやすい一台目の被貼着体において粘着シートを確実に貼り付けることができる。
【0018】
同様に、一台目のテーブルとして二台目のテーブルよりも長いものを使用することにより助走区間を長くして、一台目の被貼着体における皺や気泡の発生を抑制することも好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明におけるシート貼付装置にあっては、テーブルが押圧部材の上流側において装置本体に装着可能で且つ押圧部材の下流側において装置本体から取り外し可能に構成されているので、装置本体から取り外したテーブルを再び押圧部材の上流側において装置本体に装着して使用することができる。従って、テーブルをガイドレールに沿って押圧部材の下流側から上流側に戻す必要がなく、ガイドレールに沿ってテーブルを上流側に復帰させる構造に比して、装置の構造をシンプルなものにすることができる。しかも、二台以上のテーブルを続けてスライド移動させて連続的な貼り付けを行うことができるので、テーブルを往復動させる構成に比して、効率良く貼り付けていくことができる。
【0020】
また、本発明におけるシート貼付方法にあっては、二台以上のテーブルを続けてスライド移動させてそれらの上の被貼着体に長尺状のシートを連続的に貼り付けていくので、テーブルを移動経路に沿って押圧部材の上流側に戻す必要がなく、貼り付け工程を容易且つ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態におけるシート貼付装置を示す断面図。
【図2】同実施形態におけるシート貼付装置を示す平面図。
【図3】同実施形態におけるシート貼付装置のテーブルを示し、(a)は平面図、(b)は断面図。
【図4】同実施形態におけるシート貼付装置のテーブルに被貼着体を載置した状態を示す平面図。
【図5】同実施形態におけるシート貼付装置の延長テーブルを示す斜視図。
【図6】同実施形態におけるシート貼付装置の延長テーブルの使用状態を示す正面図。
【図7】同実施形態におけるシート貼付装置の使用状態を示し、(a)は平面図、(b)は概略正面図。
【図8】同実施形態におけるシート貼付装置の使用状態を示し、(a)は平面図、(b)は概略正面図。
【図9】同実施形態におけるシート貼付装置の使用状態を示し、(a)は平面図、(b)は概略正面図。
【図10】同実施形態におけるシート貼付装置の使用状態を示し、(a)は平面図、(b)は概略正面図。
【図11】同実施形態におけるシート貼付装置の使用状態を示し、(a)は平面図、(b)は概略正面図。
【図12】同実施形態におけるシート貼付装置の要部の使用状態を示す正面図であって、(a)は貼り付け工程終了後の状態を、(b)は次の貼り付け工程までの間の保管状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態にかかるシート貼付装置とシート貼付方法について図1乃至図11を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるシート貼付装置は、シート状の被貼着体80をテーブル2に載置し、該テーブル2をガイドレール11に沿ってスライド移動させることで押圧部材としての押圧ローラ3の下方を通過させ、該押圧ローラ3によって長尺状の粘着シート90を被貼着体80の上面に貼り付けていくものであって、装置本体1と二台のテーブル2(テーブル21、22)と延長テーブル4とを備えている。以下、詳細に説明する。
【0023】
尚、図中の矢印Aはテーブル2をスライド移動させる際の進行方向を示している。また、進行方向の上流側を後、下流側を前と呼ぶこととする。
【0024】
図1及び図2は、被貼着体80が載置されたテーブル2が装置本体1の押圧ローラ3の下方を通過している途中の状態を示している。但し、図1では断面を示すハッチングを省略している。該装置本体1は、板状のベース10を備えている。該ベース10は進行方向に長い長方形状となっており、その上面にテーブル2が載置されると共に、該上面がテーブル2を支持する支持面となってテーブル2は摺動するように進行方向にスライド移動していく。該ベース10の上面には、進行方向に対して左右一対のガイドレール11が取り付けられている。テーブル2は、両ガイドレール11間を移動経路としてスライド移動する。従って、両ガイドレール11の各内面11aがテーブル2のガイド面となっている。該ガイドレール11は、ベース10の後端10bから進行方向に所定距離離れた位置から進行方向に向けて設けられていて、ベース10の前端10aまで達している。即ち、ベース10の後部(上流側)にはガイドレール11が設けられていないスペースがある。換言すれば、テーブル2が載置されるベース10の上面は、ガイドレール11の後端11cよりも後方に延設されている。その延設の長さは、少なくともテーブル2を延設部分に載置できる程度の長さ、つまり、延設部分がテーブル2の長さ以上あるか、あるいは、テーブル2の長さより短い場合であってもテーブル2の前側が浮き上がるようなことなく載置できる程度の長さであり、本実施形態では、テーブル2の長さよりも若干短い程度となっている。
【0025】
また、両ガイドレール11の外面にはそれぞれ板状の支持壁12が取り付けられ、該一対の支持壁12に前記押圧ローラ3が回転可能に支持されている。該押圧ローラ3は、進行方向と直交する方向に伸びると共に、ベース10の上面との間の距離が略一定となるように水平に設けられている。具体的には、押圧ローラ3は、軸部3aと、該軸部3aの外周面に取り付けられた筒状の押圧部3bとから構成され、軸部3aが支持壁12にベアリング(図示省略)を介して支持されている。尚、ガイドレール11の上面には切欠部11bが形成されていて、該切欠部11b内に押圧ローラ3の軸部3aが位置する。また、筒状の押圧部3bは、クッション性を有する部材から構成されていて、テーブル2に載置される最大の被貼着体80の幅よりも長い全長を有しており、後述するテーブル2の薄板26の幅よりも若干長くなっている。該筒状の押圧部3bが長尺状の粘着シート90を被貼着体80に押圧するのであるが、ベース10の上面に対する押圧部3bの高さは、図1のように、テーブル2が押圧部3bの下方を通過する際において押圧部3bが径方向に数mm程度圧縮するように設定されている。
【0026】
更に、一対の支持壁12の上部には、図1のように、剥離紙付きの粘着シート90を巻回したシートロール91が装着される。該シートロール91は、剥離紙92が内面となるようにしてロール状に巻回されたものであって、供給軸13に装着される。尚、一例として、横幅がA4サイズの横寸法であるシートロール91を使用できるが、何れにしても、シートロール91は、両支持壁12間の離間距離より短いものが使用される。従って、図1において二点鎖線にて示しているように、シートロール91の一方の端面、具体的には、進行方向に対して左側の端面を規制するために供給軸13にはフランジとして円盤14が取り付けられている。尚、他方の端面は円盤によって規制せずにフリーの状態としているが、他方側にも円盤を設けて位置を規制するようにしてもよい。
【0027】
また、供給軸13の下方には、中間軸15と巻き取り軸16がそれぞれ回転可能に支持されており、シートロール91から引き出された剥離紙付きの粘着シート90は中間軸15においてその剥離紙92が分離され、分離された剥離紙92は巻き取り軸16に巻き付けられる一方、剥離紙92が剥がされた粘着シート90は、中間軸15の下方に位置する押圧ローラ3へと向かう。尚、巻き取り軸16は中間軸15よりも高い位置に設けられていて、従って、中間軸15と押圧ローラ3との間には他の構成部材が存在しない。尚、供給軸13を回転させて剥離紙付きの粘着シート90を引き出したり、巻き取り軸16を回転させて剥離紙92を巻き取る作業は手動で行う。その際、円盤14が大径であるので、それを回転させることで供給軸13を容易に回転させることができる。また、供給軸13と巻き取り軸16を連動させるように両軸13,16にベルト17が巻回されているので、供給軸13を回転させることにより、剥離紙92を巻き取り軸16に巻き取ることができる。但し、所定数の貼り付け工程が終了する毎に巻き取り軸16に巻き取った剥離紙92を取り除くので、シートロール91の径の方が巻き取り軸16側の径よりも常に大きく、従って、供給軸13を回転させる際において、シートロール91からの引き出し長さの方が巻き取り軸16の巻き取り量よりも長くなって、中間軸15と巻き取り軸16との間で剥離紙92が下方に少し弛むことになるが、中間軸15と巻き取り軸16との間の剥離紙92はベース10から上方に位置しているので問題はない。
【0028】
尚、粘着シート90は片面に粘着層を有しているが、該粘着シート90としては、柔軟性を有する各種のプラスチックシート(プラスチックフィルム)が使用できる。また、シート状の被貼着体80としては、紙やプラスチックからなる単層、多層のシートがあり、特に、表面に文字や図柄が印刷されたものが好適であって、その印刷面の保護として透明又は半透明の粘着シート90をラミネートすることが好ましい。その中でも特に、名刺の表記を多数枚分印刷した紙あるいはプラスチックからなるシートに透明又は半透明の粘着シート90をラミネートしてその印刷面を保護すれば、多層の名刺を容易に作成することができる。更に、名刺の表記を印刷した透明のシートの上に透明又は半透明の粘着シート90をラミネートすれば、全体として透明の名刺を作成することができる。
【0029】
このように、ベース10の上方には、押圧ローラ3、供給軸13、中間軸15、及び、巻き取り軸16が位置しており、供給軸13、中間軸15、及び、巻き取り軸16は全て押圧ローラ3の上流側(後側)に位置している。従って、押圧ローラ3の下流側においてベース10の上方は開放されている。逆に、押圧ローラ3の上流側にはこれらの供給軸13等が存在するが、上述したように、ベース10の上面はガイドレール11よりも上流側に所定長さ延設されており、そのベース10の延設部分の上方は開放されている。従って、押圧ローラ3の上流側においては、ベース10の上面の延設部分にテーブル2を上方から載置することができ、押圧ローラ3の下流側においてはベース10の上面からテーブル2を上方に離反させて取り外すことができる。尚、ベース10の前端10aにはストッパー等が設けられておらず両ガイドレール11間は前方にも開放されているので、テーブル2をベース10から前方にスライド移動させて取り外すこともできる。
【0030】
このようにテーブル2は、押圧ローラ3の上流側においてベース10に載置されるようにして装着され、押圧ローラ3の下流側においてベース10から上方あるいは前方に離反するように取り外されるのである。即ち、テーブル2は、装置本体1とは別体の構成であって装置本体1に着脱可能であり、本実施形態においては同一のテーブル2を二台備えている。
【0031】
具体的には、テーブル2は、図3のように平面視長方形状の板状である。テーブル2は、進行方向の長さが進行方向と直交する方向の長さ(幅方向の長さ)に比して長い長方形状となっている。テーブル2は主板25と該主板25の上面に接着されて主板25よりも薄い薄板26とから構成され、テーブル2の上面は薄板26の上面から構成されている。即ち、薄板26の上面が被貼着体80を載置する載置面となっている。該薄板26は、主板25とは進行方向の長さが同じである一方、幅方向の長さは主板25よりも短い。従って、図3のようにテーブル2の上面の進行方向両側部には薄板26の存在しない一段低くなった非載置領域27,28が形成されており、進行方向に対して向かって右側の非載置領域27は向かって左側の非載置領域部28よりも幅広に形成されている。そして、図4のように、薄板26の上面に被貼着体80が載置されるのであるが、その際には、薄板26の進行方向左側の縁部26aに被貼着体80の左側の縁部を合わせる。つまり、薄板26の進行方向左側の縁部26aは、被貼着体80を載置する際において幅方向の位置を示す目印となるものであり、また、主板25との間には段差が形成されるので、指先でその段差を感じつつ被貼着体80の左側の縁部を薄板26の進行方向左側の縁部26aに合わせることができる。
【0032】
尚、被貼着体80の前端80aはテーブル2の前端2aから所定長さ(例えば20mm〜30mm)後方に位置ずれさせる。尚、図4には、A4サイズの被貼着体80を使用する場合を示しており、従って、テーブル2はA4サイズの被貼着体80を載置可能な大きさに形成されていて、通常は、薄板26はA4サイズよりも一回り大きいサイズとする。また、被貼着体80として上述したような印刷面を有するシートを使用する場合、図4に二点鎖線で示す有効印刷領域81の外側に、ある程度の余白部分を設けておいて粘着シート90の貼り付け完了後に余白部分を切除するようにすることが好ましく、その場合には被貼着体80と同一幅の粘着シート90(図4に二点鎖線で示す)を使用することができる。但し、テーブル2に載置する被貼着体80の大きさは任意であって、例えば、A4サイズの被貼着体80を載置することができるテーブル2の場合にはA4サイズ以下の任意の大きさ、形状の被貼着体80が載置可能である。
【0033】
また、主板25は金属、プラスチック、木質等、適宜の材質を使用可能で、薄板26も同様の材質を使用可能である。但し、薄板26の材質には、特にアクリル等のプラスチックが軽量化と耐久性の観点から好ましく、また、上面を粗面として粘着シート90の剥離性を良好なものにすることが好ましい。
【0034】
更に、二台のテーブル2(テーブル21,22)の他に延長テーブル4を備えている。該延長テーブル4は、所定数の被貼着体80に粘着シート90を貼り付ける貼り付け工程において、そのスタート時と終了時に使用されるものである。具体的な使用方法については後述するが、図5に示すように、延長テーブル4はテーブル2と同一厚さ、同一幅に形成される一方、進行方向の長さ(全長)はテーブル2よりも短く、例えば、60mm程度である。該延長テーブル4は、延長テーブル本体40と、該延長テーブル本体40とは別体に構成されて延長テーブル本体40に着脱可能な分離片45とを備えている。延長テーブル本体40は、テーブル2と同様に、主板41と該主板41の上面後部に接着されて主板41よりも薄い薄板42とから構成されている。該薄板42は、その幅方向の長さが主板41のそれよりも短く、上述したテーブル2の薄板26と同一幅とされている。そして、テーブル2の薄板26と幅方向の位置を揃えるようにして主板41の上面後部に固定されており、薄板42は主板41の後端まで達している。尚、主板41と薄板42はテーブル2と同様の材質が使用でき、特に、同一材質とすることが好ましく、薄板42の上面は同様に粗面とすることが好ましい。
【0035】
一方、分離片45は、薄板42の前側に位置して延長テーブル4の上面のうち前側の所定領域を構成する。即ち、分離片45は主板41の上面前部に載置されるようにして取り付けられ、その上面は、薄板42の上面と面一であって、薄板42の上面と共に延長テーブル4の上面を構成する。具体的には、分離片45は、主板41の上面前部に載置される横板部46と、該横板部46の前端から下方に直角に折り曲げ延設された縦板部47とから、全体として断面視L字状に形成されている。縦板部47の下端は主板41の下面と面一あるいはそれよりも若干上側に位置する。また、横板部46と縦板部47は互いに同一幅に形成されていて、横板部46の上面は分離片45の上面であり、縦板部47は主板41の前面に当接して延長テーブル4の前面を構成する。尚、分離片45は、延長テーブル本体40の幅と同一幅に形成されていて、延長テーブル本体40と共に、ガイドレール11によってガイドされる。かかる分離片45の材質についても、金属、プラスチック、木質等が使用できるが、特に、アルミニウム等の金属やプラスチックが耐久性の観点から好ましい。また、横板部46の上面は粗面に形成することが好ましい。
【0036】
次に、以上のように構成されたシート貼付装置を使用して被貼着体80に長尺状の粘着シート90を貼り付ける手順について説明する。尚、図4に示すように左右に余白部分を有して印刷されたシートを被貼着体80とし、その被貼着体80と同一幅のシートロール91を使用する場合について説明する。但し、粘着シート90の幅にバラツキがあったり、粘着シート90の左右縁部26aがうねりを有していたりすることもあり、また、被貼着体80に対して粘着シート90は僅かに左右に(幅方向に)位置ずれしたりもするので、被貼着体80の全幅に粘着シート90を正確に貼り付ける必要がある場合には、被貼着体80よりも幅広のシートロール91を使用する。
【0037】
まず、シートロール91の剥離紙92の先端から例えば25mm程度の箇所に予め幅方向に沿ってミシン目を入れておく。このシートロール91を供給軸13に装着して、剥離紙付きの粘着シート90を押圧ローラ3の下方を通して前方側(下流側)まで引き出す。そして、図7に示すように、延長テーブル4を押圧ローラ3の下流側においてベース10の上面に載置する一方、図6のように剥離紙92の先端部分を剥がしてミシン目で折り返し、露出した粘着シート90の先端部分を分離片45の上面に貼り付ける。図7は露出した粘着シート90の先端部分を分離片45の上面に貼り付けた状態を示している。尚、剥離紙92の先端部分をミシン目でカットしてもよい。尚、図7乃至11においてガイドレール11の図示は省略されている。
【0038】
分離片45の上面に粘着シート90の先端部分を貼り付けた後、分離片45を延長テーブル本体40から分離する。延長テーブル本体40はベース10から外して押圧ローラ3の上流側に持ってきてベース10の上面に載置する一方、分離片45は粘着シート90と共に押圧ローラ3の下方を逆向きに通して上流側に戻し、図8のように押圧ローラ3の上流側において延長テーブル本体40と分離片45を合体させる。尚、粘着シート90から剥離紙92を所定長さ剥がして、剥離紙92の先端部分を巻き取り軸16に固定すると共に巻き付けておく。
【0039】
そして、延長テーブル4の上流側に一台目のテーブル21をセットする。この際、ベース10の上面がガイドレール11よりも上流側に延設されているので容易にテーブル2をベース10の上面に載置してガイドレール11間にテーブル2を位置させることができる。テーブル2には予め被貼着体80を載置していてもよいが、ベース10にテーブル2を載置した後に被貼着体80を載置してもよい。何れにしても、被貼着体80が所定位置に載置された一台目のテーブル21を図8の矢印で示すように滑らせて延長テーブル4を押していくと、押圧ローラ3によって粘着シート90が押圧されて、延長テーブル4の分離片45から薄板42へと粘着シート90が貼り付けられ、更に続けて延長テーブル4からテーブル21の上面に粘着シート90が連続的に貼り付けられていく。被貼着体80はテーブル21の前端2aから後方に離間した位置に載置されているので、粘着シート90はテーブル21の上面のうち被貼着体80が載置されていない前側の区間に貼り付けられ、続けて被貼着体80に貼り付けられていくことになる。そして、図9のように、延長テーブル4が押圧ローラ3から所定距離下流側まで来ると、延長テーブル4とテーブル21の間の位置(図中二点鎖線にて示す位置P)で粘着シート90をカットして延長テーブル4をベース10から取り除き、延長テーブル4から粘着シート90を剥がしてそれを廃棄する。
【0040】
そのまま続けて一台目のテーブル21を手で前方に押していくが、一台目のテーブル21の全体が押圧ローラ3を通過する前に二台目のテーブル22をベース10に載置してスライド移動させていき、その二台目のテーブル22で一台目のテーブル21を押していく。二台目のテーブル22を手で押し続けていくと、図10のように、一台目のテーブル21に引き続いて二台目のテーブル22に粘着シート90が連続して貼り付けられていく。そして、一台目のテーブル21が押圧ローラ3の下方を完全に通過してその下流側に位置すると、上述した延長テーブル4のときと同様に、一台目のテーブル21と二台目のテーブル22の間の位置(図中の二点鎖線で示す位置P)で粘着シート90をカットし、一台目のテーブル21をベース10から取り外す。
【0041】
その後、ベース10から取り外した一台目のテーブル21から粘着シート90付きの被貼着体80を取り外すのであるが、一台目のテーブル21の前後所定区間には粘着シート90が貼り付けられているので、その部分を剥がして、粘着シート90付きの被貼着体80を取り外す。そして、まわりの余白部分を切除すれば、上述したような多数の名刺が作成できる。
【0042】
また、三つ以上(三枚以上)の被貼着体80に続けて粘着シート90を貼り付ける際には、粘着シート90付きの被貼着体80を取り外した後の一台目のテーブル21を再び押圧ローラ3の上流側にセットして、その前側に位置する二台目のテーブル22をそれで押していく。二台目のテーブル22も同様にして再び押圧ローラ3の上流側にセットして使用することができる。このように二台のテーブル2(テーブル21,22)を循環的に繰り返して使用することで、多数の被貼着体80に粘着シート90を連続的に貼り付けていくことができる。
【0043】
そして、一つのロットとして所定数(例えば10枚)の被貼着体80の貼り付け工程が終了する際には、図11のように、最後の被貼着体80を載置したテーブル2が押圧ローラ3の下方を通過しているときに、他の場所に置いておいた延長テーブル4を再び押圧ローラ3の上流側にセットする。その延長テーブル4で最後のテーブル2を押して押圧ローラ3の下流側にスライド移動させ、粘着シート90が延長テーブル4の分離片45に貼り付けられた段階で、最後のテーブル2と延長テーブル4の間の位置で粘着シート90をカットする。更に、延長テーブル4の分離片45を延長テーブル本体40から分離して、延長テーブル本体40はそのままベース10の上面から外して他の場所にて保管しておく。一方、分離した分離片45には粘着シート90の先端部分が貼り付けられた状態となっているが、図12(a)のように、その状態のまま押圧ローラ3の下方を逆向きに通して上流側に移す。そして、図12(b)のようにシートロール91を逆回転させることで、引き出されていた粘着シート90をシートロール91に巻き取っていく。その際、巻き取り軸16に巻き取られていた剥離紙92を粘着シート90に再貼着させていく。最終的に、分離片45が中間軸15に近い位置まで来たところで、中間軸15と巻き取り軸16との間で剥離紙92をカットし、次のロットである所定数の貼り付け工程までその状態で保管しておく。但し、巻き取り軸16から剥離紙92を取り除いて廃棄しておく。尚、次に所定数の貼り付け工程を行う場合には、吊り下げられている分離片45を把持して押圧ローラ3の下方を下流側に通すことで容易にシートロール91から粘着シート90を引き出すことができる。
【0044】
このように、本実施形態のシート貼付装置とそれを用いたシート貼付方法にあっては、一つの被貼着体80への貼り付け作業が終わる毎にテーブル2を元の上流側の位置に戻す必要がなく、作業者はテーブル2を続けて前方に押していけばよいので、貼り付け作業が簡単である。特に、テーブル2を上流側から押す作業となるので、貼り付け状態を目視確認しながらテーブル2をスライド移動させることができるという利点がある。従って、仮に貼り付け途中で粘着シート90に皺等が発生した場合には貼り付け作業を止めてテーブル2を逆走させ、粘着シート90を貼り付け直すか、あるいは、その位置で粘着シート90をカットして再スタートすることもでき、粘着シート90や被貼着体80が無駄になりにくい。しかも、中間軸15と押圧ローラ3との上下間に他の構成部材が存在していないので、作業者が上流側から視認しやすい。尚、シートロール91からの引き出し箇所S(図1参照)の下方には、中間軸15から巻き取り軸16へと向かう剥離紙92が存在している。従って、シートロール91から引き出される際にシートロール91からゴミ等が発生して落下したとしても、そのゴミ等は剥離紙92上に落下することになり、下方をスライド移動しているテーブル2の被貼着体80にゴミ等が落下して付着する可能性を小さくすることができる。
【0045】
また、二台のテーブル2を続けてスライド移動させることで長尺状の粘着シート90を二台のテーブル2上の各被貼着体80に連続的に貼り付けていくことができ、効率良く貼り付け作業を行うことができる。また、押圧ローラ3を通過したテーブル2を再び上流側にセットするという循環的な使用が可能であるので、テーブル2が最低数の二台で済み、テーブル2の保管スペースが小さくて済む。また、押圧ローラ3からベース10の前端10aまでの長さよりも後端10bまでの長さの方が長くなっているので、次のテーブル2を載置して準備したりそのテーブル2に被貼着体80を載置したりする際の作業性に優れているうえに、装置本体1の全長が長くなりすぎることも防止できて装置をコンパクトにすることができる。
【0046】
また、ガイドレール11の内面11aをガイド面としてテーブル2の側面をガイドする構成であるので、テーブル2の側面やガイドレール11の内面11aが摩耗しにくく、しかも、ベース10の上面にガイドレール11を取り付けるだけでよいので、構造もシンプルであって装置の組み立ても簡単にできる。更に、ベース10の上面がそのままテーブル2の移動経路になっているので、ベース10の上面にテーブル2を載置するだけでそのままスライド移動させることができる。
【0047】
更に、テーブル2の前端2aから後方に離間した位置に被貼着体80を載置するようにしているので、テーブル2の上面の前側の区間に粘着シート90が貼り付けられた後に被貼着体80に粘着シート90が貼り付けられることになり、被貼着体80の特に前側部分が粘着シート90によってテーブル2にしっかりと固定されることになる。従って、貼り付け途中で被貼着体80が位置ずれしたり傾いたりすることが防止されて、被貼着体80に粘着シート90を確実に貼り付けることができる。尚、その粘着シート90はその後テーブル2から剥がす必要があるが、被貼着体80と同一幅の粘着シート90を用いているので、被貼着体80の両側において粘着シート90がテーブル2に貼り付いたとしても僅かである。従って、テーブル2から粘着シート90を容易に剥がすことができる。特に、薄板26の上面を粗面としているので、粘着シート90の剥離作業が容易である。尚、例えば図4にも示しているように、テーブル2の後端2bと被貼着体80との間にも僅かに残存区間ができるようにしているので、そのテーブル2と後続のテーブル2との間で粘着シート90をカットする際に、下流側のテーブル2の被貼着体80が傷つけられるおそれがない。しかも、上流側のテーブル2の被貼着体80についてもテーブル2の前端2aから後方に離間した位置にあるので、その被貼着体80の傷つきも同時に防止できる。
【0048】
また、貼り付け工程をスタートする際に延長テーブル4を使用してそこにまず粘着シート90を助走区間として貼り付けることにより、いきなり粘着シート90をテーブル2あるいはその上の被貼着体80に貼り付ける場合に比して、被貼着体80に粘着シート90をきれいに貼り付けることができる。しかも、この延長テーブル4は、貼り付け工程の終了段階で最後のテーブル2を押すために使用することもできるので、利用価値が高い。
【0049】
更に、延長テーブル4は分離片45を分離することができる構造であるので、貼り付け工程のスタート段階で分離片45に粘着シート90の先端部分を貼り付けた後に、分離片45を分離してそれのみ押圧ローラ3の下方を通して上流側に戻すということができる。即ち、延長テーブル4に分離片45が設けられない構成の場合、延長テーブル4全体を押圧ローラ3の下方を逆走させて上流側に戻す必要がある。押圧ローラ3とベース10の上面との間の距離は狭いので、分離片45が分離できる構造であれば押圧ローラ3の下方を分離片45のみ逆向きに通すことができ、延長テーブル4全体を逆向きに通す場合よりも作業が容易である。
【0050】
しかも、貼り付け工程の終了後に次の貼り付け工程まで図9のように分離片45のみを粘着シート90に貼り付けた状態にして保管できるので、粘着層の露出部分を最小限に抑えることができる。また、次の貼り付け工程をスタートする際にも分離片45のみを把持して押圧ローラ3の下方を下流側に容易に通すことができ、素早い準備作業が可能になる。
【0051】
また、分離片45が延長テーブル4と同一幅となっているので、スライド移動させる際に分離片45が左右にがたつくこともなく粘着シート90が安定する。しかも、分離片45には、延長テーブル本体40の前面に当接する縦板部47が設けられているので、延長テーブル4を下流側に向けてスライド移動させる際に、分離片45が延長テーブル本体40から上方に浮き上がったり外れたりすることも防止される。更に、分離片45は単に延長テーブル本体40に載置すればよい構成であるので、その着脱に要する作業も極めて簡単である。
【0052】
尚、分離片45の形状、構成については種々の変更が可能であって、例えば縦板部47を全幅に亘って設けるのではなく幅方向の一部に設けてもよく、その場合には、幅方向に間隔をおいて複数箇所に縦板部47を設けるようにしてもよい。また、縦板部47が延長テーブル本体40の前面に当接する構成ではなく、例えば、延長テーブル本体40の前部に溝を形成してその溝に縦板部47を上方から差し込むようにしてもよい。更に、横板部46の下面に縦板部47を設けたり、同じく下面に縦板部47に代えて他の形状の突起を設けてそれを延長テーブル本体40の凹部に上方から差し込むようにしてもよい。同様に、横板部46についても種々の変更が可能であって、縦板部47と同様に幅方向の一部に設けてもよいが、粘着シート90を貼り付ける必要性から、ある程度の幅とするか、あるいは、間隔をおいて複数箇所に設けることが望ましい。
【0053】
尚、延長テーブル4を用いずに例えば一台目のテーブル21の全長を二台目よりも長くする、例えば、延長テーブル4に相当する分だけ長くすることによって助走区間を設けるようにしてもよい。この場合、二台目のテーブル22に続けて一台目のテーブル21を使用する毎に、粘着シート90の不要部分がそれだけ長く形成されることになるものの、延長テーブル4を別途必要としないという利点があり、部品点数が少なくて済む。尚、二台のテーブル2とは別に全長の長いテーブルを用意して、その長いテーブルをスタート時の専用テーブルとして使用してもよい。
【0054】
また更に、テーブル2の構成についても適宜設計変更可能であって、上述したような薄板26を設けずに、一枚構成としてその少なくとも進行方向の左側部分を一段低くするようにしてもよい。また、一段低い部分を進行方向に沿って連続して形成したが、断続的に形成したり、一部のみに形成したりしてもよい。更に、テーブル2の上面に進行方向に沿って溝を連続的や断続的あるいは一部のみに設けてその溝を目印にしてもよい。但し、上述したように一段低い段差を設けると、目視のみならず指先でも段差を確認しながら被貼着体80の位置を合わせることができるため好ましい。
【0055】
尚、テーブル2の数を三台以上としてもよく、また、上述したようにテーブル2を再び上流側にセットして繰り返し使用するのではなく、一つのロットにつき複数のテーブル2を一度だけ使用するようにして複数の被貼着体80に粘着シート90を連続的に貼り付けるようにしてもよい。例えば、一つのロットとして10枚の被貼着体80に貼り付ける場合、10台のテーブル2を用意してそれを順次装置本体1にセットして貼り付けるようにしてもよい。
【0056】
また、テーブル2の上面に被貼着体80を位置決めするための突起を設けてもよい。また更に、テーブル2にロック機構を設けて被貼着体80をロックしてもよい。その他、テーブル2に被貼着体80を吸着保持するようにしてもよい。
【0057】
尚、テーブル2の側面あるいはガイドレール11の内面11aにコロやボールを設けるなどして、より一層スムーズにテーブル2がスライド移動できるようにしてもよい。また、ガイドレール11の内面に突条や溝を形成して、テーブル2の側面にその突条や溝と係合可能な溝や突条を形成してもよい。更に、ベース10の上面に溝を設けると共にテーブル2の下面には溝に係合する突条を形成して、ベース10の溝をガイドレールとすることもでき、無論、溝と突条とを逆にしてもよい。このようにガイドレールの構成は種々のものが採用可能である。
【0058】
また、テーブル2を手動でスライド移動させたが、駆動部を設けてもよい。同様に、供給軸13や巻き取り軸16を駆動部で回転させるようにしてもよい。但し、上述のように手動でスライド移動させることにより電源が不要になり、装置を設置する場所の自由度も高くなる。
【0059】
更に、シート状の被貼着体80ではなく、例えば数十mmの厚さを有するような厚い被貼着体にも使用できる。また、一つの装置で薄い被貼着体から厚い貼着体まで幅広く対応できるようにするために、押圧ローラ3を上下に移動できるようにしてもよい。例えば、押圧ローラ3の両端を支持する部材に上下に貫通するネジ孔を形成し、それを上下に貫通するようにボルトを螺着させ、ボルトをその軸線回りに回転させることで押圧ローラ3の高さを上下に調節できるようにしてもよい。
【0060】
尚、粘着シート90を使用したが、粘着層を有しない長尺状のシートの貼り付けにも適用可能であって、例えば、被貼着体80や長尺状のシートに接着剤を塗布しつつ貼り付けてもよく、予め被貼着体80の上面に接着剤を塗布しておいてもよい。
【0061】
また、押圧ローラ3を進行方向に間隔をあけて二カ所以上設けてもよく、その場合、押圧力が互いに異なるようにしてもよい。更に、押圧部材として押圧ローラ3を使用したが、回転しない構成の押圧部材を用いてその下方を摺動するようにして通過させてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 装置本体
2 テーブル
2a 前端
2b 後端
3 押圧ローラ(押圧部材)
3a 軸部
3b 押圧部
4 延長テーブル
10 ベース
10a 前端
10b 後端
11 ガイドレール
11a 内面
11b 切欠部
11c 後端
12 支持壁
13 供給軸
14 円盤
15 中間軸
16 巻き取り軸
17 ベルト
21 一台目のテーブル
22 二台目のテーブル
25 主板
26 薄板
26a 縁部
27 非載置領域
28 非載置領域
40 延長テーブル本体
41 主板
42 薄板
45 分離片
46 横板部
47 縦板部
80 被貼着体
80a 前端
81 有効印刷領域
90 粘着シート(長尺状のシート)
91 シートロール
92 剥離紙
A テーブルの進行方向
P 粘着シートのカット位置
S 引き出し箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧部材を有する装置本体と、被貼着体が載置されるテーブルとを備え、被貼着体が載置されたテーブルが押圧部材の下方をスライド移動しながら通過することにより、押圧部材が被貼着体の上面に長尺状のシートを押圧して貼り付けるシート貼付装置であって、
装置本体にはテーブルをスライド移動させるためのガイドレールが設けられ、テーブルは、押圧部材の上流側において装置本体に装着可能で且つ押圧部材の下流側において装置本体から取り外し可能であり、且つ、テーブルを二台以上備えていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記テーブルよりも全長が短い延長テーブルを更に備えている請求項1記載のシート貼付装置。
【請求項3】
延長テーブルは、延長テーブル本体と該延長テーブル本体に着脱可能な分離片とを備え、分離片の上面は延長テーブルの上面のうち前側の所定領域を構成する請求項2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
テーブルに載置された被貼着体の上面に長尺状のシートを押圧部材で押圧し、その状態でテーブルを移動させることにより被貼着体にシートを貼り付けるシート貼付方法であって、
二台以上のテーブルを移動経路の上流側の位置に順次セットして移動経路上をスライド移動させて押圧部材の下方を連続的に通過させることにより各テーブルの被貼着体に長尺状のシートを連続的に貼り付けると共に、押圧部材の下流側において長尺状のシートを切断して、押圧部材を通過したテーブルを移動経路から順次外していくことを特徴とするシート貼り付け方法。
【請求項5】
移動経路から外したテーブルを再び移動経路の上流側の位置にセットして使用する請求項4記載のシート貼り付け方法。
【請求項6】
二台のテーブルで三つ以上の被貼着体にシートを連続的に貼り付ける請求項5記載のシート貼付方法。
【請求項7】
テーブルを押圧部材の上流側から手動で押してスライド移動させると共に、上流側のテーブルでその下流側のテーブルを押す請求項4乃至6の何れかに記載のシート貼付方法。
【請求項8】
片面に粘着層を有する粘着シートをシート状の被貼着体に貼り付ける場合において、テーブルの前端から後方に離間した位置に被貼着体を載置して、押圧部材によってテーブルの上面の前側の区間に粘着シートを貼り付けたうえで被貼着体に粘着シートを貼り付ける請求項4乃至7の何れかに記載のシート貼付方法。
【請求項9】
一台目のテーブルの前側に別体の延長テーブルを置く請求項8記載のシート貼付方法。
【請求項10】
一台目のテーブルとして二台目のテーブルよりも長いものを使用する請求項8記載のシート貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate