説明

シールドを固定するためのラグにより、一体的な回路基板に固定された、シールドされたコネクタを備える電子モジュール

【課題】ヘッドライトに対する給電用モジュールからの電磁放射を低減させる。
【解決手段】光源に給電するようになっている電圧変換のための電子モジュールであって、
水平のプリント回路基板(36)と、
前記プリント回路基板(36)の頂面(38)に固定された、少なくとも1つのコネクタ(26、32、50)と、
前記コネクタ(26、32、50)に固定された電磁シールドジャケット(78A、78B)とを備え、
前記ジャケット(78A、78B)は、前記プリント回路基板(36)の頂面(38)に対して押圧されるように水平に延びる底部固定ラグ(86)を備え、前記コネクタ(26、32、50)は、固定ラグ(86)により、前記プリント回路基板(36)に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のヘッドライトの光源に給電するようになっている電圧変換器のための電子モジュールに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、自動車のヘッドライトの光源に給電するようになっている電圧変換のための電子モジュールであって、
電子電圧変換手段を支持するプリント回路基板と、
前記プリント回路基板の頂面に固定された少なくとも1つの頂部コネクタと、
前記頂部コネクタに固定された電磁シールドジャケットと、
前記プリント回路基板を収納するとともに、このプリント回路基板が固定された底部を含む電磁シールドハウジングとを備え、 前記ジャケットおよびハウジングは、前記プリント回路基板の基準トラックにより共通基準電位に電気的に接続されている電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車業界では、ランプの寿命を長くし、かつ輝度を高めるために、キセノンランプのような放電ランプを備えるヘッドライトの使用が、次第に増加している。
【0004】
このタイプのランプでは、高電圧の交流電源が必要である。ランプへの電流の供給を制御するために、ヘッドライトは、通常バラストと称される変換電子モジュールが装備された電源デバイスを備え、この電源デバイスは、自動車のバッテリー電圧から、使用されている放電ランプのタイプに適合した高圧交流電圧を供給するようになっている。
【0005】
放電ランプは、大量の電磁波を放出し得るが、この電磁波の作用は、自動車の他の電子回路の作動上の安全性、および自動車が走行している無線環境の双方にとって、望ましくないものである。
【0006】
この欠点をなくすために、ヘッドライトの放電ランプの電源デバイスを設計する際に、環境に応じて、単独または組み合わせて、いわゆるEMC(electromagnetic compatibility 電磁的適合性)と称されるいくつかの対策をとることが行われている。
【0007】
第1の対策によれば、バラストおよびそのコネクタにより、電磁波の一部が放射される。電磁放射を低減するためのこのような第1の対策は、周知のように、バラストおよびそのコネクタをシールドすることである。
【0008】
第2の対策によれば、使用中に種々のシールドが電圧を変化させず、従って、寄生電磁放射構造体とならないよう、シールドを共通の基準電位に接続しなければならない。
【0009】
従って、シールドハウジングをバラストに設けることが知られている。同様に、コネクタにも、シールドジャケットが設けられている。
【0010】
公知の構造によれば、ハウジングおよびコネクタのジャケットは、バラストのプリント回路基板の基準トラックにより、電気的に基準電位に接続されている。
【0011】
この公知の構造では、プリント回路基板は、固定されたスタッドによってハウジングの底部に固定され、この固定スタッドは、ハウジングと基準電位とを電気的に接続するよう、基準トラックにも電気的に接触している。
【0012】
この公知の構造では、コネクタは、カードを貫通するラグによって、プリント回路基板に固定される。プリント回路基板の下に配置されるこのラグの底端部は、4つ爪アンカーのように、形状を変えるようになっており、この4つ爪アンカーを、ラグの軸線を中心として一旦ねじると、コネクタをプリント回路基板に固定できる。
【0013】
一方、これら同一のラグは、ジャケットに電気的に接触するとともに、基準トラックに接触する。従って、ジャケットは、ラグにより、基準トラックに電気的に接続される。
【0014】
バラストを製造するには、プリント回路基板の上にコネクタを位置決めし、次にコネクタを固定する作業を行う。恒久的に電気的に接続するには、ハンダ作業により、プリント回路基板の基準トラックにコネクタのラグを固定しなければならず、最終的に、位置決め作業中に、ハウジングの底部にプリント回路を位置決めし、次に固定作業により固定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、かかるバラストを製造するには、極めてコストがかかり、多くの作業を必要とする。
【0016】
更にコネクタを固定する作業は、自動化するには複雑過ぎる。
【0017】
本発明は、製造が簡単で、かつ短時間で行うことができるモジュールを提案することより、特にこれら課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の対象は、自動車のヘッドライトの光源に給電するようになっている電圧変換のための電子モジュールであって、
電子電圧変換手段を支持するプリント回路基板と、
前記プリント回路基板の頂面に固定された少なくとも1つの頂部コネクタと、
前記頂部コネクタに固定された電磁シールドジャケットと、
前記プリント回路基板を収納するとともに、このプリント回路基板が固定された底部を含む電磁シールドハウジングとを備え、 前記ジャケットおよびハウジングは、前記プリント回路基板の基準トラックにより、共通基準電位に電気的に接続されており、
前記ジャケットは、前記プリント回路基板の頂面に対して押圧されるように延びる底部固定ラグを備え、前記コネクタは、固定ラグにより前記プリント回路基板に固定されている電子モジュールにある。
【0019】
本明細書で、「頂部」または「底部」なる用語を使用する際には、バラストの配置がどのようになっているかに係わらず、バラストの底部を基準とする。従って、1つの要素または2つの要素の2つの部分を検討する場合、バラストの底部に最も近い、これら2つの部分の一部(またはこれら2つの要素のうちの要素)が、底部(または底部要素)となり、これら2つの部分のうちの、バラストの底部から最も離れている部分(またはこれら2つの要素のうちの要素)が頂部となる。本明細書において、バラストの底部、またはバラストのハウジングの底部とは、プリント回路基板を固定した、バラストのハウジングの面を意味する。
【0020】
本発明の他の特徴事項は、次のとおりである。
前記ジャケットは、前記固定ラグにより基準トラックに電気的に接触している。
【0021】
前記プリント回路基板は、導電性材料から製造された固定手段により、前記ハウジングに固定されており、もって前記ハウジングは、前記固定手段により前記基準トラックに電気的に接続されている。
【0022】
前記固定ラグは、前記プリント回路基板に、鑞付け、ハンダ付け、または再溶融により固定されている。
【0023】
前記固定ラグと基準トラックとの接触領域に、ハンダ付けポイントが形成されている。
【0024】
前記プリント回路基板をハウジングに固定する前記固定手段により、前記ハウジングと協働した状態で、前記固定ラグとプリント回路基板とが固定されている。
【0025】
前記固定手段は、前記固定ラグにより、基準トラックに電気的に接触している。
【0026】
前記固定手段は、ロッドと固定ヘッドとを備え、このロッドは、底端部により、前記ハウジングに固定され、かつ前記プリント回路基板内のオリフィスを貫通し、 前記固定ヘッドは、ハウジングに対して、前記プリント回路基板をグリップするように、前記ロッドの頂端部に配置されている。
【0027】
前記オリフィスは、前記基準トラックによって境界が定められている。
【0028】
前記固定ヘッドとプリント回路基板の頂面との間に前記固定ラグがグリップされるように、前記プリント回路基板を前記ハウジングに固定する固定手段により、前記固定ラグとプリント回路基板とは、協働して前記ハウジングに固定されている。
【0029】
前記固定ヘッドは、前記固定ラグにより、基準トラックに電気的に接触している。
【0030】
前記固定手段は、ハウジングの底部に設けたネジ孔と協働するネジ軸からなっている。
【0031】
前記固定手段は、ハウジングの底部から垂直上方に延びるスタッドによって形成されており、このスタッドのヘッドは、例えばクリンプ加工により、その頂部自由端部を変形させることによって製造されている。
【0032】
前記ヘッドライトの光源は、放電ランプである。
【0033】
添付図面を参照して、次の詳細な説明を読めば、上記以外の特徴および利点が明らかになると思う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下の説明では、図2〜図7において、3つの軸線L、V、Tは、後方から前方へ向く長手方向、底部から頂部に向く垂直方向、および左から右へ向かう横方向を非限定的に指すものとする。
【0035】
以下、同一、類似、または同様の機能を有する要素には、同じ符号を使用する。
【0036】
図1は、反射器14内に配置された放電ランプ12を備える自動車用ヘッドライト10を示す。放電ランプ12は、高圧のキセノン、固体状の金属塩、およびハロゲン化物が充填された電球としてある。
【0037】
放電ランプ12は、光を発生させるための電気アークを高圧ガス内で発生するための手段(図示せず)を含んでいる。電気アークを発生するための手段には、電源デバイス16により給電される。
【0038】
電源デバイス16は、電子変換モジュール18を備え、この電子変換モジュール18は、通常使用されている名称としては、バラストと呼ばれる。この電子変換モジュールには、バラスト18に給電する第1クラスター22により、DC電流源20から給電される。
【0039】
DC電源は、自動車のバッテリー20からなり、このバッテリー20は、図1では、+記号および−記号により、それぞれ示される正のターミナルおよび負のターミナルを有する。
【0040】
バラスト18は、入力コネクタ26を備え、この入力コネクタには、電源クラスター22の第1レシプロ端部コネクタ28が、電気的に接続された状態で機械的に係合している。
【0041】
電源クラスター22は、2本の絶縁された導線22A、22Bからなり、各ワイヤーは、バッテリー20の関連するターミナルに電気的に接続された第1端部と、第1レシプロ入力コネクタ28を形成するクランプ状のプラグが設けられた第2端部とを有する。
【0042】
従って、第1レシプロ入力コネクタ28は、図5および図7に示すように、負のターミナルに電気的に接続された負の第1プラグ28Aと、正のターミナルに電気的に接続された正の第2プラグ(図示せず)とを有している。
【0043】
電子変換モジュール18は、第2電気接続クラスター30により、バッテリー20からのDC電流を、放電ランプ12に給電できるAC電流に変換するようになっている。
【0044】
電源デバイス16には、高電圧スタータモジュール24も設けられており、この高電圧スタータモジュール24は、バラスト18と放電ランプ12との間の電気回路内に挿入されている。図1に示す例では、放電ランプ12と、このスタータと、ジュール24とが、コンパクトな組立体を形成している。
【0045】
バラスト18は、出力電気コネクタ32を備え、このコネクタには、接続クラスター30の第1レシプロ出力コネクタ34が電気的に接続された状態に機械的に係合している。
【0046】
レシプロ出力コネクタ28は、電源クラスター22のプラグ28Aの外観に類似した外観の複数のプラグ(図示せず)を備え、このプラグは、接続クラスター30を構成する導線の各々に電気的に接続されている。レシプロ出力コネクタ34のプラグは、レシプロ出力コネクタ34の中空のコーティングされたサポート(図示せず)内に横方向に置かれている。
【0047】
バラスト18は、図2に、より詳細に示されている。
【0048】
バラスト18は、プリント回路基板36を備え、このプリント回路基板36は、例では、水平面に延びている。プリント回路基板36は、頂面38と、底面40とを備えている。
【0049】
プリント回路基板36は、その頂面38に、電気トラックおよび電圧を変換するための電子手段(図示せず)を備えている。第1前端部44から後端部46まで、いわゆる基準電気トラック42が長手方向に延びており、後端部46は、プリント回路基板36を垂直方向に貫通する円形の固定オリフィス48を囲むリング状となっている。図2では、明瞭にするために、基準トラック42しか示していない。
【0050】
プリント回路基板36の頂面38には、第1入力コネクタ26、および第2出力コネクタ32が固定されている。レシプロ入力コネクタ28、およびレシプロ出力コネクタ34は、頂部から底部に垂直方向に並進運動することにより、関連する入力コネクタ26および出力コネクタ32に接続された位置に挿入されるようになっている。
【0051】
より詳細には、入力コネクタ26は、基準トラック42の前端部44に近いオリフィス48の前方で、長手方向に配置されており、他方、第2出力コネクタ32は、オリフィス48の後方に長手方向に配置されている。従って、第1入力コネクタ26と第2出力コネクタ32との間に、オリフィス48が長手方向に挟まれている。
【0052】
図3に、より詳細に示すように、入力コネクタ26と出力コネクタ32とは、実質的に同じ外観となっている。従って、次のコネクタ26、32の説明は、出力コネクタ26および出力コネクタ32の各々にも適用できる。以下、入力コネクタ26の構成要素を示す符号の後に、アルファベットAを付け、出力コネクタ32の構成要素を示す符号の後に、アルファベットBを付けることにする。
【0053】
各コネクタ26、32は、スリーブ50A、50Bを備え、これらのスリーブは、底部の四角形の水平エッジから、頂部の四角形の水平エッジまで、上方向に垂直に延びている。
【0054】
スリーブ50A、50Bは、四角形の水平断面を有する。従って、スリーブ50A、50Bは、前方の外部垂直面52A、52B、後方の外側垂直面54A、54B、および2つの外側の側方垂直面56A、56Bを有する。スリーブ50A、50Bの底部エッジは、プリント回路基板36の頂面38に配置されるようになっている。
【0055】
スリーブ50A、50Bは、接続された位置に向かう、関連するレシプロコネクタ28、34の移動をガイドするとともに、前記レシプロコネクタ28、34を、接続された位置に水平に保持するようになっている。
【0056】
各スリーブ50A、50Bは、例えば剛性プラスチック材料から製造されている。
【0057】
各スリーブ50A、50Bの内部には、垂直ロッド状の複数の電気接触プラグ58A、58Bが固定されており、各スリーブ50A、50Bには、3つのプラグ58A、58Bが設けられている。
【0058】
各プラグ58A、58Bは、関連するレシプロコネクタ28、34の相補的な形状のプラグによってグリップされるようになっている頂部自由端と、関連するスリーブ50A、50Bの底部エッジと同じレベルに配置された底端部とを有する。
【0059】
各プラグ58A、58Bは、関連する水平の電気接触ラグ60A、60Bに電気的に接触しており、接触ラグ60A、60Bは、スリーブ50A、50Bの長手方向外側面の底部エッジから、自由端部まで、長手方向に突出するように延びている。より詳細に説明すれば、入力コネクタ26の接触ラグ60Aは、入力コネクタ26の前方外側垂直面52Aの底部エッジから前方に向かって延び、出力コネクタ32の接触ラグ60Bは、出力コネクタ32の後方垂直面54Bの底部エッジから後方に延びている。
【0060】
各接触ラグ60A、60Bは、プリント回路基板36上の関連するトラックに接触ラグ60A、60Bを、例えばハンダ付け、または鑞付けすることにより、プリント回路基板36上の関連するトラックに電気的に接続するようになっている。より詳細に説明すれば、図の中心に示されている電源クラスター22の負のプラグ28Aに対応する接触ラグ60Aは、基準トラック42に電気的に接続されている。
【0061】
図2〜図7に示す例では、入力コネクタ26および出力コネクタ32は、単一のブロック50内に一体的に製造されている。このように製造するために、出力コネクタ32のスリーブ50Bの前面52Bから、入力コネクタ26のスリーブ50Aの後面54Aまで、長手方向に2つの左右の垂直ウィング62が延び、2つの入力コネクタ26と出力コネクタ32とを機械的に接続している。各垂直ウィング62は、より詳細には、2つのスリーブ50A、50Bの側方垂直面56A、56Bに対して直線状に延びている。
【0062】
従って、コネクタ26、32のブロック50は、中心にウィンドー64を有し、この中心ウィンドー64の横方向の境界は、2つの垂直ウィング62によって定められ、長手方向の境界は、出力コネクタ32のスリーブ50Bの前面52B、および入力コネクタ26のスリーブ50Aの後面54Aによって定められている。
【0063】
図4に示されるように、プリント回路基板36にコネクタ26、32のブロック50を固定すると、ウィンドー64の内部に、プリント回路基板36の固定用オリフィスが現れる。
【0064】
電子変換手段は、寄生電磁波を放出しやすく、自動車のキャビン内での寄生電磁波の伝搬を防止するために、プリント回路基板36は、図2に示すように、電磁シールドハウジング66内に収納されている。
【0065】
この目的のために、電磁シールドハウジング66は、導電性の剛性材料から製造されている。
【0066】
電磁シールドの効果を更に改善するために、電磁シールドハウジング66は、バッテリー20の負電位によって形成される基準電位に接続されている。
【0067】
電磁シールドハウジング66は、図2に示す第1底部、および入力コネクタ26および出力コネクタ32にアクセスできるように孔開けされた頂部カバー(図示せず)を備えている。ハウジング66を閉じると、これら2つの部分は、互いに電気的に接触し、これら部分を共通基準電位に接続する。
【0068】
ハウジング66の底部は、水平の底部68を備え、この底部に、プリント回路基板36の底面40が固定されている。
【0069】
プリント回路基板36は、固定手段60により、ハウジング66の底部68に固定されている。この固定手段60は、
− 底端部74によりハウジング66の底部68に固定され、かつプリント回路基板36の固定オリフィスを貫通する少なくとも1本の垂直の固定ロッド72と、
− ハウジング66の底部68にプリント回路基板36を係止するように、固定ロッド72の頂端部に配置された固定ヘッド76とを備えている。
【0070】
図2に示す例では、固定ロッド72は、ハウジング66の底部68に固定された垂直スタッドからなり、プリント回路基板36の位置決めを容易にするように、プリント回路基板36のオリフィスに、固定ロッド72が挿入されている。図5に示すように、クリンプ加工によって、固定リベットのように自由頂端部を変形させることにより、固定ヘッド76は製造される。
【0071】
オリフィスの境界は、基準トラック42によって定められており、スタッド72のヘッドの底部環状面は、基準トラック42に電気的に接触している。固定ロッド72は、ハウジング66が固定手段70によって基準トラック42に電気的に接続され、もって基準電位に接続されるよう、導電性材料から製造されている。
【0072】
この固定ロッド72は、ハウジング66の底部68と一体に製造することが好ましい。
【0073】
入力コネクタ26および出力コネクタ32を通って、寄生電磁波が漏れるのを防止するために、入力コネクタ26および出力コネクタ32には、例えば接着剤による接着、リベット締め、スナップ留め、または他の適当な固定手段により、電磁シールドジャケット78A、78Bが固定されている。
【0074】
図3に示すように、各ジャケット78A、78Bは、関連するスリーブ50A、50Bの外側垂直面52、54、56をカバーするように折りたたまれた導電性材料のシートから製造されている。従って、各ジャケット78A、78Bは、四角形の水平断面を有するチューブのような外観となっている。
【0075】
出力コネクタ32のジャケット73Bの前面80B、および入力コネクタ26のシールドジャケット78Aの後面82Aは、コネクタ26、32のブロック50の垂直ウィング62をまたがる側方底部スカラップ84A、84Bを備えている。
【0076】
本発明の要旨によれば、ジャケット78A、78Bのうちの少なくとも1つは、底部固定ラグ86を有し、この固定ラグ86により、プリント回路基板36にコネクタ26、32のブロック50が固定されている。この固定ラグ86は、コネクタ26、32のスリーブ50A、50Bの底部エッジの水平面に延びる水平プレート状となっている。固定ラグ86の底面は、プリント回路基板36の頂面38に対してプレス加工されている。
【0077】
より正確には、固定ラグ86は、コネクタ26、32のブロック50内のウィンドー64を貫通している。
【0078】
底部固定ラグ86は、関連するジャケット78A、78Bと一体に製造することが望ましい。
【0079】
図2〜図7に示す例では、底部固定ラグ86は、2つのジャケット78A、78Bに対して共通であり、この固定ラグ86の後方エッジは、出力コネクタ32のシールドジャケット78Bの前面80Bに機械的に接続されており、前方エッジが入力コネクタ26のジャケット78Aの後面82Aに機械的に接続されている。このように、2つのジャケット78A、78B、および底部固定ラグ86は、同じ材料からなる単一部品として製造されており、底部固定ラグ86は、2つのジャケット78A、78Bと協働して、電気的に接触している。
【0080】
底部固定ラグ86は、コネクタ26、32のブロック50のウィンドー64を閉じており、この固定ラグは、プリント回路基板36の固定ロッド72を通過できるようにするよう、プリント回路基板36の固定オリフィスと一致する中心孔88を備えている。この中心孔88は、円形である。
【0081】
図4および図5に示す本発明の第1実施例によれば、中心孔88は、プリント回路基板36を固定する作業の後で、固定ヘッド76とプリント回路基板36との間に、垂直方向に底部固定ラグ86が挟持されないように、十分に大きくなっている。換言すれば、固定ヘッド76は、プリント回路基板36の基準トラック42に直接接触している。
【0082】
図4および図5に示すように、コネクタ26、32のブロック50は、電磁シールドジャケット78A、78Bの固定ラグ86により、プリント回路基板36に固定されている。
【0083】
この固定ラグ86は、ハンダ付け、鑞付け、再溶融、またはその他の類似する固定方法により、プリント回路基板36の頂面38に固定されている。より詳細に説明すれば、固定ラグ86の中心孔88の周辺に、ハンダポイントが配置されている。
【0084】
各電磁シールドジャケット78A、78Bは、プリント回路基板36の基準トラック42によって、共通基準電位にも電気的に接続されている。より詳細に説明すれば、電磁シールドジャケット78A、78Bは、固定ラグ86により、基準トラック42に電気的に接続している。
【0085】
固定ラグ86と基準トラック42との間の電気的な接触を容易にするために、中心孔88の周辺部には、固定オリフィスのまわりで、基準トラック42と直線状に水平方向の切込み(トウ)90が設けられている。ハンダポイントは、これら切込み90の自由端、すなわち固定ラグ86と基準トラック42の環状後端部46との接触領域内に設けられている。
【0086】
このように、切込み90の中にハンダポイントを形成することにより、プリント回路基板36にコネクタ26、32のブロック50を固定すると同時に、固定ラグ86と基準トラック42とを、恒久的に電気的に接触させることが可能となっている。このようにして、基準トラック42に対するジャケット78A、78Bの電気接続と、プリント回路基板36へのコネクタ26、32のブロックの機械的な固定とを、1回の作業で行うことができる。
【0087】
図7に示す本発明の変形実施例によれば、固定ロッド72は、プリント回路基板36の固定オリフィスと一致するネジに螺合される垂直ネジに置換されている。このネジは、導電性材料から製造されている。
【0088】
次に、これまで説明した種々の実施例に係わる電子モジュール18を製造する作業について説明する。
【0089】
電子モジュール18の製造時に入力コネクタ26、32を位置決めする最初の作業の間で、固定ラグ86の中心孔88を、プリント回路基板36の固定オリフィスと一致させ、更に、負のプラグ58Aの接触ラグ60Aが、基準トラック42の前端部44に押圧されるよう、プリント回路基板36の頂面38に対して、コネクタ26、32のブロック50を位置決する。次に、固定ラグ86の中心孔88の切込み90を、基準トラック42の後端部46の周辺に電気的に接触させる。
【0090】
次に、入力コネクタ26、32を固定する第2の作業中、負のプラグ58Aの接触ラグ60A、および入力コネクタ26、32のブロック50の固定ラグ86を、ハンダ付け、鑞付け、または再溶融により、プリント回路基板36に固定する。このようにして、入力コネクタ26、32のブロック50は、プリント回路基板36に機械的に固定され、入力コネクタ26、32をシールドするジャケット78A、78Bは、負のプラグ58Aの接触ラグ60Aに電気的に接触する。
【0091】
入力コネクタ26、32を固定するこの作業中、他方の電子要素を、鑞付け、またはハンダ付けにより、プリント回路基板36の頂面38に固定することが好ましい。
【0092】
次に、プリント回路基板36に位置決めする第3の作業中、スタッド72を、固定オリフィス内に挿入することにより、ハウジング66の底部68に、プリント回路基板36を配置する。
【0093】
最後に、プリント回路基板36を固定する第4の作業中に、ハウジング66の底部68にプリント回路基板36を押圧する固定ヘッド76を形成するように、スタッドのロッド72の頂端部を変形させる。固定ヘッド76の底部環状表面は、基準トラック42の後端部46の内側環状部に電気的に接触する。
【0094】
従って、本発明の要旨に従って製造される電子モジュール18は、1回の再溶融作業でコネクタ26、32のブロック50をプリント回路基板36に固定するとともに、電磁シールドジャケット78A、78Bと基準トラック42とを、電気的に接触させることを可能にする。
【0095】
上記電子モジュール18には、製造プロセスをある程度フレキシブルにできるという利点もある。プリント回路基板36の上に固定ラグ86が配置されるので、第4の固定作業後に、第2の再溶融作業を行うことができる。従って、プリント回路基板36がハウジング66に配置されているときでも、回路基板へのアクセスが可能である。
【0096】
図6および図7に示された本発明の第2実施例によれば、固定ラグ86とプリント回路基板36とは、共通する固定手段70によって、ともにハウジング66に固定されている。前記固定手段70は、固定ヘッド76とプリント回路基板36の頂面38との間の垂直方向のグリップにより、固定ラグ86を固定するよう、第1実施例において説明したハウジング66に、プリント回路基板36を固定する固定手段70となっている。
【0097】
図6および図7に示す例では、固定手段70は、ネジ切りされた固定ロッド72からなり、固定ロッド72の自由底端部74は、ハウジング66の底部68に形成されたネジに螺合されるようになっている。ネジの頂部ヘッドはプリント回路基板36に対する固定ヘッド76を形成している。
【0098】
本発明の図示していない変形例によれば、共通の固定手段70を、本発明の第1実施例において説明した、リベット締めされたスタッドとすることもできる。
【0099】
図8に示すように、固定ラグ86における中心孔88は、プリント回路基板36の固定オリフィスと同じ形状および寸法を有する。従って、中心孔88が固定オリフィスと一致した状態で、プリント回路基板36の頂面38に、固定ラグ86の底面を押圧すると、固定ラグ86全体は、基準トラック42をカバーする。
【0100】
従って、プリント回路基板36の頂面38に対して、固定ヘッド76を垂直方向下方にグリップすると、固定ヘッド76と基準トラック42との間に、固定ラグ86が挟持される。従って、固定ラグ86は、固定ヘッド76とプリント回路基板36の頂面38との間のグリップにより固定される。
【0101】
更に、固定ヘッド76は、固定ラグ86により、基準トラック42に電気的に接触する。
【0102】
よって、バラスト18を製造する際に、第1位置決め作業の間に、固定オリフィスがハウジング66の底部68にあるネジと一致するよう、ハウジング66の底部に、プリント回路基板36を位置決めする。次に、中心孔88が固定オリフィスと一致するように、プリント回路基板36の頂面38に、コネクタ26、32のブロック50を位置決めする。
【0103】
次に、第2の固定ステップ中に、開口部および固定オリフィスを貫通するように、オリフィス内に固定ネジを挿入する。次に、頂部固定ヘッド76が固定ラグ86に接触するまでネジを回し、固定ラグ86とプリント回路基板36とを、ハウジング66の底部68に協働させてグリップする。
【0104】
次に、固定ラグ86およびプリント回路基板36を、ハウジング66に対し、互いに移動しないように、固定する。
【0105】
更に、固定ラグ86およびネジにより、ハウジング66を基準トラック42に接触させる。
【0106】
本発明の第2の実施例の図示していない変形例として、図4と類似するように、固定ラグ86内の中心孔88を、固定ヘッド76の直径よりも大きい直径とすることがある。しかし、中心孔88は、切込み90を有し、この切込み90は、固定ヘッド76とプリント回路基板36の頂面38との間に挟持されるように、中心孔88の内側に径方向に向かって延びている。従って、固定ヘッド76の底部環状面は、所定の部分にある基準トラック42に直接接触し、他方、別の部分では、固定ラグ86の切込み90により、基準トラック42と接触する。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】変換モジュールにより給電される放電ランプを備える自動車用ヘッドライトを示す略図である。
【図2】本発明の要旨に従って製造される変換モジュールを示す分解斜視図である。
【図3】シールドが装備された、図2の変換モジュールの2つのコネクタを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第1実施例に係わる接続モジュール内に配置されたコネクタを示す平面図である。
【図5】図4の切断線5−5における断面図である。
【図6】本発明の第1実施例において配置されたコネクタを示す、図4と類似した平面図である。
【図7】図6の切断線7−7における断面図である。
【符号の説明】
【0108】
10 ヘッドライト
12 光源
18 電子モジュール
20 バッテリー
22 電気クラスター
26 入力コネクタ
28 レシプロコネクタ
28A 負のプラグ
32 出力コネクタ
34 レシプロコネクタ
36 プリント回路基板
38 頂面
40 底面
42 基準トラック
44 前端部
46 後端部
48 オリフィス
50 ブロック
50A、50B スリーブ
52A、52B 外部垂直面(前面)
54A、54B 外側垂直面(後面)
56A、56B 側方垂直面
58A、58B 電気接触プラグ
60 固定手段
60A、60B 接触ラグ
62 垂直ウィング
64 ウィンドー
66 電磁シールドハウジング
68 底部
70 固定手段(ネジ軸)
72 固定ロッド(スタッド)
73B ジャケット
74 底端部
76 固定ヘッド
78A、78B 電磁シールドジャケット
80B 前面
82A 後面
84A、84B スカラップ
86 固定ラグ
88 中心孔
90 切込み(トウ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のヘッドライト(10)の光源(12)に給電するようになっている電圧変換のための電子モジュール(18)であって、
電子電圧変換手段を支持するプリント回路基板(36)と、
前記プリント回路基板(36)の頂面(38)に固定された少なくとも1つの入力コネクタ(26、32、50)と、
前記入力コネクタ(26、32、50)に固定された電磁シールドジャケット(78A、78B)と、
前記プリント回路基板(36)を収納するとともに、このプリント回路基板(36)が固定された底部(68)を有する電磁シールドハウジング(66)とを備え、 前記ジャケット(78A、78B)およびハウジング(66)は、前記プリント回路基板(36)の基準トラック(42)により、共通基準電位(−)に電気的に接続されている電子モジュール(18)において、
前記ジャケット(78A、78B)は、前記プリント回路基板(36)の頂面(38)に対して押圧されるように延びる底部固定ラグ(86)を備え、前記コネクタ(26、32、50)は、固定ラグ(86)により、前記プリント回路基板(36)に固定されていることを特徴とする電子モジュール(18)。
【請求項2】
前記ジャケット(78A、78B)は、前記固定ラグ(86)により、基準トラック(42)に電気的に接触していることを特徴とする請求項1に記載のモジュール(18)。
【請求項3】
前記プリント回路基板(36)は、導電性材料から製造された固定手段(70)により、前記ハウジング(66)に固定されており、もって前記ハウジングは、前記固定手段(70)により、前記基準トラック(42)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のモジュール(18)。
【請求項4】
前記固定ラグ(86)は、前記プリント回路基板(36)に、鑞付け、ハンダ付け、または再溶融により固定されていることを特徴とする請求項3に記載のモジュール(18)。
【請求項5】
前記固定ラグ(86)と基準トラック(42)との接触領域に、ハンダ付けポイントが形成されていることを特徴とする請求項4に記載のモジュール(18)。
【請求項6】
前記プリント回路基板(36)をハウジング(66)に固定する前記固定手段(70)により、前記ハウジング(66)と協働させて、前記固定ラグ(86)およびプリント回路基板(36)が固定されていることを特徴とする請求項3に記載のモジュール(18)。
【請求項7】
前記固定手段(70)は、前記固定ラグ(86)により、基準トラック(42)に電気的に接触していることを特徴とする請求項6に記載のモジュール(18)。
【請求項8】
前記固定手段(70)は、
底端部(74)によりハウジング(66)の底部に固定されるとともに、前記プリント回路基板(36)内のオリフィス(48)を貫通するロッド(72)と、
前記基準トラック(42)に押圧することにより、前記ハウジング(66)に対して前記プリント回路基板をグリップするように、前記ロッド(72)の頂端部に配置された固定ヘッド(76)とを含むことを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のモジュール(18)。
【請求項9】
前記オリフィス(48)は、前記基準トラック(42)によって境界が定められていることを特徴とする請求項8に記載のモジュール(18)。
【請求項10】
前記固定ヘッド(76)とプリント回路基板(36)の頂面(38)との間に前記固定ラグ(86)がグリップされるように、前記プリント回路基板(36)を前記ハウジング(66)に固定する固定手段(70)により、前記固定ラグ(86)とプリント回路基板(36)とは、協働して前記ハウジング(66)に固定されていることを特徴とする請求項8または9に記載のモジュール(18)。
【請求項11】
前記固定ヘッドは、前記固定ラグ(86)により、前記基準トラック(42)に電気的に接触していることを特徴とする請求項10に記載のモジュール(18)。
【請求項12】
前記固定手段(70)は、ハウジング(66)の底部(68)に設けたネジ孔と協働するネジ軸からなることを特徴とする請求項3〜11のいずれか1項に記載のモジュール(18)。
【請求項13】
前記固定手段(70)は、ハウジング(86)の底部(68)から垂直上方に延びるロッド(72)によって形成されており、このロッドのヘッド(76)は、例えばクリンプ加工により、その頂部自由端部を変形させることによって製造されていることを特徴とする請求項3〜11のいずれか1項に記載のモジュール(18)。
【請求項14】
前記ヘッドライト(12)の光源は、放電ランプであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のモジュール(18)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−94513(P2009−94513A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−260200(P2008−260200)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(391011607)ヴァレオ ビジョン (133)
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
【Fターム(参考)】