説明

シールドケース、シールドケースを備えたコネクタ及びコネクタを備えたケーブルアッセンブリ

【目的】 本発明は、部品点数を低減でき、こじり強度及びEMI特性の向上を図ることができるシールドケースを提供する。
【構成】 シールドケース300は、内部が互いに連通するように第1方向Yに並ぶ筒状の第1、第2シェル300a、300bを備えている。第1シェル300aは、対向部311a、312aと、対向部311aの後側端部に延設された係合部320aと、対向部312aの後側端部に延設された係合部330aとを有する。第2シェル300bは、対向部311b、321bと、対向部311bの前側端部に設けられ、第1方向Yに延びたラッチアーム330bと、対向部311bの前側端部に設けられ且つ第1方向Yに延びた片持ち梁状であって、係合部320aに係合可能な係合部340bと、対向部321bの前側端部に設けられ、係合部330aに係合可能な係合部350bとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドケース、シールドケースを備えたコネクタ及びコネクタを備えたケーブルアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプラグコネクタとしては、複数のコンタクトと、ボディと、ラッチ部材と、シールドケースとを備えているものがある。ボディは、矩形状の基部部と、この基部に突設された接続部とを有している。コンタクトはボディに保持されている。シールドケースは、筒状のシェルと、断面U字状の第1、第2カバーとを有している。シェルは、接続部の外周を覆っている。第1、第2カバーは、互いに組み合わされて筒状をなし、基部の外周を覆っている。接続部及びシェルはレセプタクルコネクタの接続穴に挿入可能となっている。ラッチ部材は、第1カバーに係合可能な係合部と、この係合部に設けられた一対のラッチアームを有している。ラッチアームはボディに設けられた孔に挿入されている。ラッチアームの先端部には、接続部及びシェルに設けられた開口から突出し、レセプタクルコネクタのラッチ穴に係止可能な係止爪が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3111256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シェルと第1、第2カバーとは互いに独立しているため、前記プラグコネクタはこじり強度が弱い。また、シェルと第1、第2カバーとは互いに独立しているので、シェルと第1、第2カバーとの間に大きな隙間が生じる。この隙間が、前記プラグコネクタのEMI(ElectroMagnetic Interference)特性の悪化の要因となっている。更に、前記プラグコネクタは、コンタクト、ボディ、ラッチ部材及びシェル及び第1、第2カバーと部品点数が多い。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、部品点数を低減でき且つこじり強度及びEMI特性の向上を図ることができるシールドケース、シールドケースを備えたコネクタ及びコネクタを備えたケーブルアッセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシールドケースは、軸方向である第1方向に内部空間が互いに連通するように並べることが可能な筒状であり且つ導電性を有する第1、第2シェルを備えている。前記第1シェルは、互いに対向する第1、第2対向部と、前記第1対向部の第2シェル側の端部に設けられた第1係合部と、前記第2対向部の第2シェル側の端部に設けられた第2係合部とを有している。前記第2シェルは、互いに対向する第3、第4対向部と、前記第3対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第1方向に延びた一対のラッチアームと、前記第3対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第1係合部に係合可能な第3係合部と、前記第4対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第2係合部に係合可能な第4係合部とを有している。
【0007】
このような発明の態様による場合、ラッチアームが第2シェルに設けられているので、本シールドケースを備えるコネクタの部品点数の低減を図ることが可能になる。また、第2シェルの第3係合部が第1シェルの第1係合部に係合され、第1シェルの第2係合部が第2シェルの第4係合部に係合されるようになっている。よって、第1、第2シェル間の隙間を小さくすることができるので、前記コネクタのEMI特性を向上させることが可能になる。しかも、第第2シェルの第3係合部が第1シェルの第1係合部に係合され、第1シェルの第2係合部が第2シェルの第4係合部に係合されることにより、前記コネクタのこじり強度を向上させることも可能である。
【0008】
前記第3係合部は前記ラッチアームの間に位置する態様とすることが可能である。前記ラッチアームと前記第3係合部との間にはスリットが設けられている。このような発明の態様による場合、第2シェルのラッチアームと第3係合部との間に一対のスリットが設けられているので、ラッチアームに外力を加えられ、当該ラッチアームが変位したとしても、第3係合部がラッチアームと共に変位し、第1、第3係合部の係合が外れるのを抑止することができる。
【0009】
前記第1及び第3係合部の何れか一方は前記第1方向に延びた片持ち梁状であり且つ他方に弾性的に当接可能な態様とすることが可能である。このような発明の態様による場合、第1及び第3係合部の何れか一方が他方に弾性的に当接することにより、第1、第3係合部の寸法交差及び/又は第1、第2シェルの組み立て時に生じる第1、第3係合部の位置のバラツキを抑制しつつ、第1、第3係合部を係合させることができる。よって、第1、第3係合部を係合させ易くなる。
【0010】
前記第2、3係合部は前記第1方向に延びた片持ち梁状とすることが可能である。この場合、前記第3係合部が前記第1シェルの外側から前記第1係合部に係合可能であり、前記第2係合部が前記第2シェルの内側から前記第4係合部に係合可能である。
【0011】
このような発明の態様による場合、第2シェルの片持ち梁状の第3係合部が第1シェルの第1係合部に外側から係合される一方、第1シェルの片持ち梁状の第2係合部が第2シェルの第4係合部に内側から係合するようになっている。すなわち、第2シェルの第3係合部と第1シェルの第2係合部とが互い違いに係合するようになっているので、前記コネクタのこじり強度を更に向上させることが可能になる。しかも、第3係合部の第1係合部に対する外側からの弾性力が、第4係合部に内側から係合する第2係合部に寄与するので、第1、第3係合部の係合及び第2、第4係合部の係合が不用意に解除されるのを抑制することができる。
【0012】
前記第3係合部は、高さ位置が前記ラッチアームの高さ位置よりも前記第4対向部側に位置する下段部を有する構成とすることが可能である。このような発明の態様による場合、第3係合部の下段部の高さ位置が、ラッチアームの高さ位置よりも前記第4対向部側に位置しているので、ラッチアームが外力を受ける際に、第3係合部の下段部が前記外力を受けるのを避けることが可能になる。よって、ラッチアームが外力を受けて変位したとしても、第3係合部がラッチアームと共に変位し、第1、第3係合部の係合が外れるのを抑止することができる。
【0013】
前記第2シェルは、互いに係合されて筒状をなす第1、第2カバーを更に有する構成とすることが可能である。前記第1カバーは前記第3対向部を有する。前記第2カバーは前記第4対向部を有する。
【0014】
前記第1、第3係合部の何れか一方が係合凹部又は係合穴を有し、他方が前記係合凹部又は係合穴に係合可能な係合片を有する構成とすることが可能である。前記第3、第4係合部の何れか一方が係合凹部又は係合穴を有し、他方が前記係合凹部又は係合穴に係合可能な係合片を有する構成とすることが可能である。
【0015】
前記第1、第3係合部は、互いに係合した状態で、はんだ付け又は溶接可能な構成とすることが可能である。このような発明の態様による場合、前記第1、第3係合部は、互いに係合した状態で、はんだ付け又は溶接されるようになっている。よって、前記コネクタのこじり強度を更に向上させることが可能になる。
【0016】
前記第1シェルは一対の開口を有する構成とすることが可能である。この場合、前記ラッチアームは、前記シェル内に挿入可能なアームと、前記アームの先端部に設けられており且つ前記第1シェルの開口から当該第1シェル外に突出可能なラッチ爪とを有している。このような発明の態様による場合、ラッチアームのアームが第1シェル内に挿入されているので、第1シェルと第2シェルとの間にラッチアームを突出させる隙間を形成する必要がない。よって、前記態様の発明は、前記隙間が形成される場合に比べて、前記コネクタのEMI特性の更なる向上を図ることができる。
【0017】
本発明のコネクタは、上述した何れかの態様のシールドケースと、ボディと、前記ボディ内に配設されたコンタクトとを備えている。前記ボディは、基部と、前記基部に設けられ且つ前記第1方向に延びた接続部とを有している。前記第1シェルは前記基部の外周を、前記第2シェルは前記接続部の外周を覆っている。
【0018】
前記ボディは、第1、第2ボディを有する構成とすることが可能である。第1ボディは、嵌合穴を有する前記接続部と、前記接続部の前記第1方向に直交する第2方向の両端に設けられ且つ前記第1方向に延びた一対の延長部と、前記延長部に設けられた一対の第1ロック部とを有する構成とすることが可能である。前記第2ボディは、前記接続部の嵌合穴に嵌合した嵌合部と、前記嵌合部の嵌合方向の後側に設けられたブロックと、前記ブロックの前記第2方向の端部に設けられており且つ前記第1ロック部に係合した一対の第2ロック部とを有する構成とすることが可能である。前記第1ロック部、前記ブロック及び前記第2ロック部が前記基部を構成している。
【0019】
このような発明の態様による場合、第2ボディの嵌合部が第1ボディの接続部に嵌合した状態で、第2ボディの第2ロック部が第1ボディの第1ロック部を係合するようになっている。これにより、第1、第2ボディが組み合わされた状態が維持されるので、組み合わせた状態の第1、第2ボディにシールドケースを容易に装着させることができる。
【0020】
前記第2ボディの嵌合部及びブロックに嵌合凹部が設けられた態様とすることが可能である。この場合、前記第1ボディは、前記接続部に設けられ、前記第1方向に延びており且つ前記嵌合凹部に嵌合した嵌合凸部と、前記嵌合凸部上に設けられ、前記第1係合部に係合した第5係合部とを更に有する構成とすることが可能である。
【0021】
このような発明の態様による場合、接続部が第1シェルに覆われ、嵌合凸部上の第5係合部が第1シェルの第1係合部に係合している。よって、接続部が第1シェルから抜けるのを防止することができる。
【0022】
本発明のケーブルアッセンブリは、前記コネクタと、前記コネクタに接続されたケーブルとを備えている。前記ケーブルは、前記コネクタのコンタクトに接続された複数の信号線と、前記信号線を覆うシールド導体とを有している。前記コネクタのシールドケースの第2シェルは、前記シールド導体に接触する接触部を有している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るケーブルアッセンブリの正面、平面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図2A】図2Aは第1、第2樹脂ケースを取り外した状態の前記ケーブルアッセンブリの正面、平面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図2B】図2Bは第1、第2樹脂ケースを取り外した状態の前記ケーブルアッセンブリの正面、底面及び左側面を表した概略的斜視図である。
【図3A】図3Aは前記ケーブルアッセンブリの図2A中の3A-3A断面図である。
【図3B】図3Bは前記ケーブルアッセンブリの図2A中の3B-3B断面図である。
【図3C】図3Cは前記ケーブルアッセンブリの図2A中の3C-3C断面図である。
【図4A】図4Aは第1、第2樹脂ケース及びケーブルを取り外した状態の前記ケーブルアッセンブリの正面、平面及び右側面を表した概略的分解斜視図である。
【図4B】図4Bは第1、第2樹脂ケース及びケーブルを取り外した状態の前記ケーブルアッセンブリの背面、底面及び右側面を表した概略的分解斜視図である。
【図5A】図5Aは、前記ケーブルアッセンブリのボディ及びコンタクトの正面、平面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図5B】図5Bは、前記ケーブルアッセンブリのボディ及びコンタクトの背面、平面及び左側面を表した概略的斜視図である。
【図6A】図6Aは、前記ケーブルアッセンブリの第1シェルの正面、平面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図6B】図6Bは、前記ケーブルアッセンブリの第1シェルの背面、底面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図7A】図7Aは、前記ケーブルアッセンブリの第2シェルの第1カバーの正面、平面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図7B】図7Bは、前記ケーブルアッセンブリの第2シェルの第1カバーの背面、底面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図8A】図8Aは、前記ケーブルアッセンブリの第2シェルの第2カバーの正面、平面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【図8B】図8Bは、前記ケーブルアッセンブリの第2シェルの第2カバーの背面、底面及び右側面を表した概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例1に係るケーブルアッセンブリについて図1〜図8Bを参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0025】
図1〜図2Bに示すケーブルアッセンブリは、プラグコネクタ10と、ケーブル20と、ケーブルブッシュ30とを有している。以下、前記ケーブルアッセンブリの各構成要素について説明する。なお、図2A〜図4Bにおいて、前記ケーブルアッセンブリの長さ方向であり且つプラグコネクタ10の第1、第2シェル300bの軸方向である第1方向をY、プラグコネクタ10の幅方向である第2方向をX、プラグコネクタ10の高さ方向である第3方向をZとして表している。第2方向Xは第1方向Yに直交し、第3方向Zは第1、第2方向Y、Xに直交している。第1方向Yの一方側が後述する前側に、第1方向Yの他方側が後述する後側に、第3方向Zの一方側が後述する上側に、第3方向Zの他方側が後述する下側に相当する。
【0026】
ケーブル20は、図3A及び図3Bに示すように、複数の信号線と、シールド導体23と、外側絶縁体24とを有している。前記信号線は、複数の芯線21と、これを覆う複数の内側絶縁体22とを有している。シールド導体23は全ての信号線を覆っている。外側絶縁体24はシールド導体23を覆っている。ケーブル20の第1方向Yの端部において、シールド導体23が外側絶縁体24から露出し、内側絶縁体22がシールド導体23の露出部分から露出し、芯線21が内側絶縁体22の露出部分から露出している。ケーブルブッシュ30は絶縁樹脂製の円筒状であって、ケーブル20の前記端部が挿入されている。
【0027】
プラグコネクタ10は図示しないレセプタクルコネクタに接続可能である。プラグコネクタ10は、図1A〜図3Cに示すように、ボディ100と、複数のコンタクト200と、シールドケース300と、第1、第2ケース400a、400bとを備えている。ボディ100は、図4A〜図5Bに示すように、絶縁樹脂製の第1、第2ボディ100a、100bを有している。第1ボディ100aは、接続部110aと、一対の延長部120aと、一対のロック部130a(第1ロック部)と、嵌合凸部140aと、係合部150a(第5係合部)とを有している。
【0028】
接続部110aは第1方向Yに延びる直方体である。この接続部110aの前側部分には、前側及び上側に開口した矩形状の凹部111aが設けられている。接続部110aの凹部111aの底部及び凹部111aの後側部分には、第1方向Yに延びる複数の挿入溝112aが第2方向Xに間隔をあけて設けられている(図3B参照)。接続部110aの後側部分には、後側に開口し且つ挿入溝112aに連通した矩形状の嵌合穴113aが設けられている。嵌合穴113aの天井面の中央部には、第1方向Yに延びた平板状の突起113a1が設けられている(図3A及び図4B参照)。
【0029】
延長部120aは、接続部110aの前記前側部分の第2方向Xの両端に連設され、第1方向Yに沿って延びた板である。ロック部130aは、延長部120aの後側端部に設けられた直方体のブロックである。このロック部130aの下面には、爪131aが設けられている。接続部110aと延長部120aとの間には、スリット160aが設けられている。嵌合凸部140aは、接続部110aの前記後側端部の中央部に突起113a1に連続するように設けられている。嵌合凸部140aは、第1方向Yに延びた矩形状の板であって、第2方向Xの寸法が突起113a1の第2方向Xの寸法と略同じに設定されている。嵌合凸部140aの上面には、係合用の突起である係合部150aが設けられている。嵌合凸部140a及び突起113a1の下面には、複数のガイド溝141aが挿入溝112aと同間隔で設けられている。ガイド溝141aは、第1方向Yに延び、全挿入溝112aのうち中央の挿入溝112aに連通している。
【0030】
第2ボディ100bは、嵌合部110bと、ブロック120bと、一対のロック部130b(第2ロック部)と、テーブル140bとを有している。嵌合部110bは第1方向Yに延びた略直方体である。ブロック120bは嵌合部110bの後端面に連設された直方体である。嵌合部110bの第2方向X及び第3方向Zの寸法は、ブロック120bの第2方向X及び第3方向Zの寸法よりも小さい。この嵌合部110bは、第1ボディ100aの嵌合穴113aに第1方向Y(嵌合方向)に嵌合可能となっている。ブロック120b及び嵌合部110bの上面には、前側及び上側に開口した矩形状の嵌合凹部121bが設けられている。この嵌合凹部121bには、第1ボディ100aの突起113a1及び嵌合凸部140aが嵌合可能となっている。すなわち、第2ボディ100bの嵌合部110bが第1ボディ100aの嵌合穴113aに、第1ボディ100aの突起113a1及び嵌合凸部140aが第2ボディ100bの嵌合凹部121bに嵌合することにより、図5A及び図5Bに示すように第1、第2ボディ100a、100bが第1方向Yで組み合わせられる。また、第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で、図5A及び図5Bに示すようにブロック120bと延長部120aとの間に、スリット160aに連通する隙間122bが生じる。
【0031】
ロック部130bは、ブロック120bの第2方向Xの両端に設けられている。ロック部130bの上面には爪131bが設けられている。第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で、爪131bと爪131aとが互いに係合するようになっている。このロック部130a、130bの係合により、第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で維持される。ブロック120b及び第1、第2ロック部130a、130bが特許請求の範囲におけるボディ100の基部を構成している。第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で、接続部110aは、前記基部から第1方向Yに延びるように配置される。
【0032】
テーブル140bは、ブロック120b及びロック部130bの後面に連設された平板である。このテーブル140bの上面には、複数の溝141bが第2方向Xに間隔をあけて設けられている。
【0033】
コンタクト200は、図4A〜図5Bに示すように、導電性を有する金属板である。このコンタクト200は、先端部210と、テール部220と、中間部230(図3A及び図3B参照)とを有している。中間部230は、第2ボディ100bの嵌合部110b及びブロック120b内に第2方向Xに間隔をあけて埋設されている。先端部210は、中間部230の前側端部に連続して設けられ且つ第1方向Yに延びている。先端部210の間隔は、第1ボディ100aの挿入溝112aの間隔と同じに設定されている。すなわち、第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で、先端部210は、第1ボディ100aの挿入溝112aに挿入可能となっている。なお、挿入時には、全先端部210のうち中央の先端部210が第1ボディ100aのガイド溝141aにガイドされ、挿入溝112aに挿入される。先端部210は、上側に円弧状に湾曲した円弧部を有している。第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられた状態で、先端部210の円弧部は挿入溝112aから凹部111aに突出し得る。テール部220は、中間部230の後側端部に連続して設けられ且つ第1方向Yに延びている。テール部220の間隔は、中間部230が湾曲することにより、先端部210の間隔よりも大きくなっている。テール部220は、図3Cに示すように、テーブル140b内に埋設され、当該テーブル140bの溝141bの底面から露出している。テール部220は、ケーブル20の芯線21に接続可能となっている。
【0034】
シールドケース300は、図2A〜図3Cに示すように、第1方向Yに内部空間が互いに連通するように並べることが可能な第1、第2シェル300a、300bを有している。第1シェル300aは、図6A及び図6Bに示すように、シェル本体310aと、係合部320a、330a(第1、第2係合部)とを有している。シェル本体310aは導電性を有する金属板で構成された角筒である。シェル本体310aの内形は第1ボディ100aの接続部110aの外形に対応している。シェル本体310a内に第1ボディ100aの接続部110aが嵌合可能となっている。すなわち、シェル本体310aは、第1ボディ100aの接続部110aの外周を覆うことが可能になっている。なお、シェル本体310aの内部空間が第1シェル300aの上記内部空間に相当する。
【0035】
シェル本体310aは、互いに対向する対向板311a、312a(第1、第2対向部)を有している。接続部110aがシェル本体310a内に嵌合した状態で、シェル本体310aの対向板311aと第1ボディ100aの凹部111aとが接続口αを区画している。シェル本体310a及び接続部110aが上記レセプタクルコネクタの接続穴に嵌合可能となっている。接続口αには上記レセプタクルコネクタの接続穴内に突設された接続部が接続可能となっている。シェル本体310aの対向板311aの第2方向Xの両端には、一対の開口311a1が設けられている。接続部110aがシェル本体310a内に嵌合した状態で、開口311a1が第1ボディ100aのスリット160aに連通可能となっている。
【0036】
係合部320aは、シェル本体310aの対向板311aの後側端部(第2シェル側の端部)に延設された略L字の片持ち梁状の板である。係合部320aは、水平部と、この水平部に対して上側に略直角に折り曲げられた垂直部とを有している。前記水平部には矩形状の係合穴321aが設けられている。接続部110aがシェル本体310a内に嵌合した状態で、第1ボディ100aの係合部150aが係合穴321aに嵌まり込み、係合される。これにより、接続部110aがシェル本体310aに嵌合した状態で維持される。前記垂直部には、上側開口の係合凹部322aが設けられている。
【0037】
係合部330aは、シェル本体310aの対向板312aの後側端部(第2シェル側の端部)に係合部320aに対向するように延設された下向き略L字の片持ち梁状の係合片である。係合部330aは、水平部と、この水平部に対して下側に略直角に折り曲げられた垂直部とを有している。
【0038】
第2シェル300bは、導電性を有する金属板である第1、第2フレームを有している。第1フレームは、図7A及び図7Bに示すように、第1カバー310b、一対のラッチアーム330b、係合部340b(第3係合部)及び接触部360bを有している。第2フレームは、図8A及び図8Bに示すように、第2カバー320b、係合部350b(第4係合部)及び接触部370bを有している。
【0039】
第1、第2カバー310b、320bは、略U字状の板であって、互いに係合して角筒をなしている(図2A及び図2B参照)。第1、第2カバー310b、320bにより区画される内部空間が、第2シェル300bの上記内部空間に相当する。この内部空間にボディ100の上記基部、テーブル140b及びケーブル20の上記端部が収容可能となっている。すなわち、第1、第2カバー310b、320bは、ボディ100の上記基部、テーブル140b及びケーブル20の端部の外周を覆うことが可能となっている。
【0040】
第1カバー310bは、図7A及び図7Bに示すように、対向板311b(第3対向部)と、一対の側板と、4つの係合穴312bと、一対の折り曲げ片313bと、一対の背面板314bとを有している。対向板311bは略矩形状の板である。前記側板は、対向板311bの第2方向Xの両端に設けられ、下側に折り曲げられている。前記側板は、後述する第1、第2カバー310b、320bの係合状態で、ボディ100のロック部130a、130bの第2方向Xの端面に当接可能となっている(図3C参照)。側板には、矩形状の係合穴312bが2つずつ設けられている。各側板の下端の前側部分には、折り曲げ片313bが設けられている。折り曲げ片313bは、前記側板に対して内側に略直角に折り曲げられている。折り曲げ片313bは、第2ボディ100bのテーブル140bの第2方向Xの両端上に当接可能となっている。前記側板の後端には、背面板314bが設けられている。背面板314bは、前記側板に対して内側に略直角に折り曲げられている。この背面板314bの間からケーブル20の上記端部が第2シェル300bの上記内部空間に挿入可能となっている。
【0041】
第2カバー320bは、図8A及び図8Bに示すように、対向板321b(第4対向部)と、一対の側板と、4つの切り上げ片322bと、一対の前面板323bとを有している。対向板321bは略矩形状の板であって、第2ボディ100bのテーブル140bに当接可能となっている。前記側板は対向板321bの第2方向Xの両端に設けられ、上側に折り曲げられている。前記側板の内面間の距離は、第1カバー310bの側板の外面間の距離と略同じに設定されている。すなわち、第2カバー320bの側板が第1カバー310bの側板の外面に当接可能となっている。側板には、当該側板の一部がカットされ、内側に切り起こされた切り上げ片322bが2つずつ設けられている。第2カバー320bの側板の内面が第1カバー310bの側板の外面に当接した状態で、切り上げ片322bが第1カバー310bの係合穴312bに嵌合し得る。切り上げ片322bが第1カバー310bの係合穴312bに嵌合し、第2カバー320bの側板の内面が第1カバー310bの側板の外面に当接することにより、第1、第2カバー310b、320bが互いに係合して角筒をなす。この係合状態で、第1、第2カバー310b、320bの対向板311b、321bが対向し且つ第2ボディ100bのテーブル140bが第1カバー310bの折り曲げ片313bと第2カバー320bの対向板321bとの間で挟持され得る(図3C参照)。前記側板の前端には、前面板323bが設けられている。前面板323bは、前記側板に対して内側に略直角に折り曲げられ、ロック部130a、130bの前面に当接可能となっている。
【0042】
一対のラッチアーム330bは、図7A及び図7Bに示すように、第1カバー310bの対向板311bの前側端部(第1シェル側の端部)に設けられ、第1方向Yに延びた板である。各ラッチアーム330bは、弾性変形部331bと、折り曲げ部332bと、アーム333bと、ラッチ爪334bとを有している。弾性変形部331bは、対向板311bの前側端部がカットされた板であって、第3方向Zに弾性変形可能となっている。折り曲げ部332bは、弾性変形部331bの先端に連設された下向き略L字状の板である。アーム333bは、折り曲げ部332bの下端に連設され且つ当該折り曲げ部332bに対して前側に略直角に折り曲げられた板である。ラッチ爪334bはアーム333bの先端に設けられ、上側に凸となっている。アーム333bは、第1ボディ100aの隙間122b及びスリット160aに挿入可能となっている(図3C参照)。ラッチ爪334bは、スリット160aから突出して第1シェル300aの開口311a1を貫通可能となっている。弾性変形部331bの弾性変形に伴って、折り曲げ部332b、アーム333b及びラッチ爪334bは、第3方向Zに変位し、当該ラッチ爪334bが開口311a1から出没可能となっている。ラッチ爪334bは、開口311a1から突出した状態で、上記レセプタクルコネクタの接続穴の内面に設けられたラッチ穴に係合され得る。
【0043】
係合部340bは、図7A及び図7Bに示すように、第1カバー310bの対向板311bの前側端部に設けられ、第1方向Yに延びた片持ち梁状の板である。係合部340bはラッチアーム330bの間に配置されている。係合部340bは、係止片341bと、段差部342bと、上段部343bと、下段部344bとを有している。段差部342bは、係合部340bの中間部に設けられ、下側に向けて折り曲げられている。この段差部342bの後側部分が上段部343b、段差部342bの前側部分が下段部344bとなっている。下段部344bの先端部は下向き略L字状の係止片341bとなっている。第2ボディ100bのテーブル140bが第1カバー310bの折り曲げ片313bと第2カバー320bの対向板321bとの間で挟持された状態で、下段部344bの下面の高さ位置が、接続部110aに嵌合した第1シェル300aの係合部320aの係合凹部322aの底面の高さ位置よりも下側(対向板321b側)に位置するように設定されている。このため、係止片341bは、図2Aに示すように、第1シェル300aの係合部320aの係合凹部322aに上側(第1シェル300aの外側)から弾性的に係合可能となっている。
【0044】
第1カバー310bの対向板311bの一対のラッチアーム330bと係合部340bとの間には、図7A及び図7Bに示すように、一対のスリット315bが設けられている。このスリット315bにより、ラッチアーム330bの弾性変形部331bの変形に応じて、係合部340bが弾性変形するのを抑止している。
【0045】
係合部350bは、図8A及び図8Bに示すように、係合孔351bと、係合凹部352bとを有している。この係合部350bは、第1、第2カバー310b、320bが互いに係合した状態で、係合部340bに対向可能となっている。係合孔351bは第2カバー320bの対向板321bの前側端部(第1シェル側の端部)に設けられ、対向板321bを貫通する長孔であって、第2方向Xに延びている。係合凹部352bは、対向板321bの係合孔351bの前側に設けられた窪みである。この係合凹部352bの第2方向Xの寸法は、第1シェル300aの係合部330aの第2方向Xの寸法よりも若干大きくなっている。係合孔351bに係合部330aの垂直部が第2シェル300bの内側から挿入可能となっており、係合凹部352bに係合部330aの水平部が前記内側から嵌合可能となっている。
【0046】
接触部360bは、図7A及び図7Bに示すように、第1カバー310bの対向板311bの後側端部に連設され、第1方向Yに延びた円弧状の板である。この接触部360bはケーブル20のシールド導体23の露出部分に接触可能となっている。接触部370bは、図8A及び図8Bに示すように、第2カバー320bの対向板321bの後側端部に設けられたリング状の板である。この接触部370bは、接触部360b及びケーブル20のシールド導体23に外嵌し、当該接触部360b及びシールド導体23の露出部分に接触可能となっている。
【0047】
第1、第2ケース400a、400bは、図1に示すように絶縁樹脂製の成型品である。この第1、第2ケース400a、400bには図示しない凹部が設けられている。この凹部に、第1、第2カバー310a、310bと、第1、第2カバー310a、310bに収容されたボディ100の基部及び当該ボディ100のテーブル140bと、ケーブル20の端部と、当該端部が挿入されたケーブルブッシュ30の一部とが収容可能となっている。また、第1、第2ケース400a、400bの前側部分には、接続部110a及びこれを覆う第1シェル300aのシェル本体310aを外部に突出させる前側開口部410a、410bが設けられている。第1、第2ケース400a、400bの後側部分には、ケーブルブッシュ30及びケーブル20を導出させる図示しない後側開口部が設けられている。また、第1ケース400aには、ラッチアーム330bの弾性変形部331b及び係合部340bの下段部344b上に位置する押下ボタン420aが設けられている。下段部344bの上面の高さ位置が、ラッチアーム330bの弾性変形部331bの下面の高さ位置よりも下側(すなわち、対向板321b側)に位置するように設定されているので、押下ボタン420aは弾性変形部331bのみを押下可能となっている。
【0048】
以下、上述した構成のケーブルアッセンブリの製造工程について説明する。まず、導電性を有する金属板がプレス成型されることにより形成されたコンタクト200を用意する。その後、コンタクト200を絶縁樹脂にインサート成型して第2ボディ100bを形成する。このとき、コンタクト200の中間部230が第2ボディ100bの嵌合部110b及びブロック120b内に埋設され、コンタクト200のテール部220が第2ボディ100bのテーブル140b内に埋設され且つ当該テーブル140bの溝141bから上側に露出する。その一方で、絶縁樹脂を射出成型して第1ボディ100aを形成する。
【0049】
その後、第2ボディ100bの嵌合部110bを第1ボディ100aの嵌合穴113aに、第1ボディ100aの突起113a1及び嵌合凸部140aを第2ボディ100bの嵌合凹部121bに嵌合させる。すると、第1ボディ100aのロック部130aの爪131aが第2ボディ100bのロック部130bの爪131bに係合される。これにより、第1、第2ボディ100a、100bが組み合わせられ、ボディ100となる。このとき、コンタクト200の全先端部210のうち中央の先端部210が第1ボディ100aのガイド溝141aにガイドされつつ、全ての先端部210が対応する挿入溝112aに挿入される。これにより、先端部210の円弧部が挿入溝112aから凹部111aに突出する。
【0050】
その後、導電性を有する金属板がプレス成型されることにより形成された第1シェル300aを用意する。その後、ボディ100の接続部110aを第1シェル300a内に挿入する。すると、接続部110aが第1シェル300aのシェル本体310aに嵌合すると共に、ボディ100の係合部150aが第1シェル300aの係合穴321aに嵌合する。
【0051】
その後、ケーブル20を用意する。その後、ケーブル20の第1方向Yの端部の外側絶縁体24をカットし、シールド導体23を外側絶縁体24から露出させる。その後、シールド導体23の露出部分をカットし、複数の内側絶縁体22をシールド導体23から露出させる。その後、内側絶縁体22の露出部分を各々カットし、芯線21を内側絶縁体22から露出させる。その後、ケーブルブッシュ30を用意する。その後、ケーブル20の第1方向Yの端部をケーブルブッシュ30に挿入する。その後、ケーブル20の複数の芯線21をボディ100のテーブル140bの溝141bから露出したコンタクト200のテール部220にはんだ接続させる。このとき、テーブル140bが作業台として機能する。なお、ケーブル20の接続は、ボディ100の接続部110aを第1シェル300aに挿入する前に行うことが可能である。
【0052】
その後、導電性を有する金属板がプレス成型されることにより形成された上記第1フレームを用意する。その後、第1フレームの一対のラッチアーム330bをボディ100の隙間122b及びスリット160aに挿入し、当該ラッチアーム330bのラッチ爪334bを第1シェル300aの開口311a1に挿入させる。これと共に、第1フレームの係合部340bを上側に弾性変形させ、当該係合部340bの係止片341bを第1シェル300aの係合部320aの係合凹部322aに上側から係合させ且つ当該係合部320aに弾性的に当接させる。これにより、第1フレームが第1シェル300aに電気的に接続される。このとき、第1フレームの第1カバー310bの折り曲げ片313bが、ボディ100のテーブル140bの第2方向Xの両端に当接する。第1フレームの接触部360bがケーブル20のシールド導体23の露出部分に接触する。その後、係合部340bの係止片341bと係合部320aとをはんだ接続又は溶接する。
【0053】
その後、導電性を有する金属板がプレス成型されることにより形成された上記第2フレームを用意する。当該第2フレームの接触部370bはリング状に湾曲しておらず、板状である。その後、第2フレームの係合孔351bに第1シェルの300aの係合部330aの垂直部を挿入させると共に、第2フレームの係合凹部352bに第1シェルの300aの係合部330aの水平部が嵌合させる。すると、第2フレームの第2カバー320bの側板の内面が第1フレームの第1カバー310bの側板の外面に当接し、第2カバー320bの切り上げ片322bが第1カバー310bの係合穴312bに嵌合する。これにより、第1、第2カバー310b、320bが互いに係合し、第1、第2フレーム(第2シェル300b)が第1シェル300aに電気的に接続される。このとき、ボディ100のテーブル140bが第2カバー320bの対向板321bに当接し、当該テーブル140bが第1カバー310bの折り曲げ片313bと第2カバー320bの対向板321bとの間で挟持される。また、第1カバー310bの側板がボディ100のロック部130a、130bの第2方向Xの端面に、第2カバー320bの前面板323bがボディ100のロック部130a、130bの前面に当接する。第1、第2カバー310b、320bが互いに係合し且つ係合部340bが係合部320aに、係合部330aが係合部350bに係合した状態で、第1、第2シェル300a、300bの内部空間同士が連通するように当該第1、第2シェル300a、300bが第1方向Yにおいて並ぶ。その後、第2フレームの接触部370bをリング状に湾曲させ、接触部360b及びケーブル20のシールド導体23の露出部分に接触させる。その後、接触部370b、360bをシールド導体23にはんだ接続又は溶接する。これにより、第1、第2フレーム(第2シェル300b)及び第1シェル300aがシールド導体23に電気的に接続され、GNDと同電位となる。
【0054】
その後、絶縁樹脂が射出成型された第1、第2ケース400a、400bを用意する。その後、第1、第2ケース400a、400bの凹部の何れか一方に、第1、第2カバー310a、310bと、第1、第2カバー310a、310bに収容されたボディ100の基部及び当該ボディ100のテーブル140bと、ケーブル20の端部と、当該端部が挿入されたケーブルブッシュ30の一部と収容させる。その後、第1、第2ケース400a、400bの前記一方を他方に組み合わせる。
【0055】
以下、上記ケーブルアッセンブリの使用方法について説明する。プラグコネクタ10の接続部110a及び第1シェル300aのシェル本体310aを上記レセプタクルコネクタの接続穴に挿入する。すると、レセプタクルコネクタの接続部がプラグコネクタ10の接続口αに挿入される。このとき、プラグコネクタ10のラッチアーム330bのラッチ爪334bがレセプタクルコネクタの接続穴の内面に押圧され、当該ラッチアーム330bのラッチ爪334b、アーム333b及び折り曲げ部332bが下側に変位する。このとき、ラッチアーム330bの弾性変形部331bが下側に弾性変形するが、係合部340bは同方向に変位しない。なぜなら、第1カバー310bのラッチアーム330bと係合部340bとの間にスリット315bが設けられているからである。その後、ラッチアーム330bのラッチ爪334bがレセプタクルコネクタの接続穴のラッチ穴に嵌まり込む。これと共に、ラッチアーム330bのアーム333b及び折り曲げ部332bが上側に変位し、弾性変形部331bが上側に弾性変形する。このとき、プラグコネクタ10のコンタクト200の先端部210の円弧部がレセプタクルコネクタのコンタクトに各々接触する。このようにしてプラグコネクタ10がレセプタクルコネクタに接続される。
【0056】
プラグコネクタ10をレセプタクルコネクタから取り外すときには、プラグコネクタ10の押下ボタン420aを押下する。すると、押下ボタン420aがラッチアーム330bの弾性変形部331bを押下する。これにより、ラッチアーム330bのラッチ爪334b、アーム333b及び折り曲げ部332bが下側に変位し、ラッチ爪334bとレセプタクルコネクタのラッチ穴との係合が解除される。このとき、係合部340bは、ラッチアーム330bの変位に伴って、同方向に変位しない。その後、プラグコネクタ10の接続部110a及び第1シェル300aをレセプタクルコネクタの接続穴から引き抜く。
【0057】
以上のようなケーブルアッセンブリによる場合、ラッチアーム330bが第1カバー310bに設けられているので、同アッセンブリの部品点数の低減を図ることができる。また、第2シェル300bの片持ち梁状の係合部340bの係止片341bが第1シェル300aの係合部320aの係合凹部322aに係合される一方、第1シェルの300aの片持ち梁状の係合部330aが第2フレームの係合孔351b及び係合凹部352bに係合されるようになっている。すなわち、第2シェル300bの係合部340bと第1シェル300aの係合部330aとが互い違いに係合されるようになっているので、同アッセンブリのプラグコネクタ10のこじり強度を向上させることができる。また、第2シェル300bの係合部340bの係止片341bが第1シェル300aの係合部320aの係合凹部322aに係合され、第1シェルの300aの係合部330aが第2フレームの係合孔351bに係合されているので、第1、第2シェル300a、300b間の隙間を小さくすることができる。よって、プラグコネクタ10のEMI(ElectroMagnetic Interference)特性を向上させることができる。
【0058】
また、第1カバー310bのラッチアーム330bと係合部340bとの間にスリット315bが設けられ、係合部340bがラッチアーム330bから独立している。よって、ラッチアーム330bに外力を加えられ、当該ラッチアーム330bが変位したとしても、係合部340bがラッチアーム330bと共に変位し、係合部340bの係止片341bと第1シェル300aの係合凹部322aとの係合が外れるのを抑止することができる。すなわち、前記アッセンブリは、ラッチアーム330bが係合部340bと共に第1カバー310bに設けられることにより生じるデメリットを解消している。
【0059】
更に、第2シェル300bの係合部340bの係止片341bが第1シェル300aの係合部320aに弾性的に当接するようになっているので、係合部340bの係止片341bと係合部320aの係合凹部322aとの寸法交差及び/又は第1、第2シェル300a、300bの組み立て時に生じる係止片341bと係合部320aの係合凹部322aとの位置のバラツキを抑制しつつ、係止片341bを係合凹部322aに係合させることができる。よって、係合部340bを係合部320aに係合させ易くなる。また、係合部340bの係合部320aに対する上側(第1シェル300aの外側)からの弾性力が、係合部350bに第2シェル300bの内側から係合する係合部330aに寄与するので、係合部320a、340bの係合及び係合部330a、350bの係合が不用意に解除されるのを抑制することができる。
【0060】
なお、上述したケーブルアッセンブリ、プラグコネクタ及びシールドケースは、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0061】
上記実施例1では、第1シェル300aは、シェル本体310aと、係合部320a、330a(第1、第2係合部)とを有するとした。しかし、第1シェルは次の2点を有する限り任意に設計変更することが可能である。第1は第1シェルが導電性を有する筒状であることである。第2は、第1シェルが互いに対向する第1、第2対向部と、前記第1対向部の第2シェル側の端部に設けられた第1係合部と、前記第2対向部の第2シェル側の端部に設けられた第2係合部とを有することである。
【0062】
上記実施例1では、第2シェル300bは、第1、第2フレームを備え、第1フレームが第1カバー310b、一対のラッチアーム330b、係合部340b(第3係合部)及び接触部360bを有し、第2フレームが、第2カバー320b、係合部350b(第4係合部)及び接触部370bを有するとした。しかし、第2シェルは次の2点を有する限り任意に設計変更することが可能である。第1は第2シェルが導電性を有する筒状であることである。第2は、第2シェルが、互いに対向する第3、第4対向部と、前記第3対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第1方向に延びた一対のラッチアームと、前記第3対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第1係合部に係合可能な第3係合部と、前記第4対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第2係合部に係合可能な第4係合部とを有することである。
【0063】
したがって、第2シェルは、第3、第4対向部を有し且つボディの基部を収容可能な筒状のシェル本体と、第3対向部の第1シェル側の端部に設けられた前記ラッチアーム及び第3係合部と、前記第4対向部の第1シェル側の端部に設けられた第4係合部とを有する構成とすることが可能である。すなわち、第2シェルは、第1、第2カバー及び/又は接触部を有していない態様とすることが可能である。
【0064】
上記実施例1では、係合部320a(第1係合部)は、シェル本体310aの対向板311aの後側端部(第2シェル側の端部)に延設された略L字の片持ち梁状の板であり且つ係合穴321a及び係合凹部322aを有するとした。しかし、第1係合部は、第1シェルの第1対向部の第2シェル側の端部に設けられ、第2シェルの第3係合部に係合可能である限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施例1では、係合部340b(第3係合部)は、第1カバー310bの対向板311bの前側端部(第1シェル側の端部)に設けられた片持ち梁状の板であって、係止片341b、段差部342b、上段部343b及び下段部344bを有するとした。しかし、第3係合部は、第2シェルの第3対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ第1シェルの第1係合部に係合可能である限り任意に設計変更することが可能である。したがって、第1係合部の係合片を第3係合部の係合凹部又は係合孔に係合させるように設計変更することが可能である。
【0065】
また、第3係合部に代えて、第1係合部を片持ち梁状とすることが可能である。この場合、上記実施例1と同様に、第1係合部を第3係合部に弾性的に当接させる構成とすることが可能である。また、第1、第3係合部の双方を片持ち梁状でなく、弾性的に当接しないように設計変更することが可能である。更に、前記第1、第3係合部を互いに係合させた状態で、はんだ付け又は溶接しなくても良い。
【0066】
上記実施例1では、係合部330a(第2係合部)は、シェル本体310aの対向板312aの後側端部に延設された下向き略L字の片持ち梁状の係合片であるとした。しかし、第2係合部は、第1シェルの第2対向部の第2シェル側の端部に設けられ、第2シェルの第4係合部に係合可能である限り任意に設計変更することが可能である。上記実施例1では、係合部350b(第4係合部)は、第2カバー320bの対向板321bの前側端部に設けられた係合孔351bと、対向板321bの係合孔351bの前側に設けられた窪みである係合凹部352bとを有するとした。しかし、第4係合部は、第2シェルの第4対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ第1シェルの第2係合部に係合可能である限り任意に設計変更することが可能である。したがって、係合片である第4係合部を、第2係合部の係合孔又は係合凹部に係合させるように設計変更することが可能である。なお、第2係合部は片持ち梁状でなくても良い。
【0067】
上記実施例1では、ラッチアーム330bは、弾性変形部331bと、折り曲げ部332bと、アーム333bと、ラッチ爪334bとを有するとした。しかし、ラッチアームは、前記第2シェルの第1シェル側の端部に設けられ、第1方向に延びている限り任意に設計変更することが可能である。また、上記実施例1では、ラッチアーム330bは、ボディ100の隙間122b及びスリット160aに挿入されるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、第1シェルのシェル本体の側板と接続部との間に隙間がある場合には、ラッチアームを前記隙間に配置することが可能である。また、上記実施例1では、ラッチアーム330bのラッチ爪334bは、第1シェル300aの開口311a1から第1シェル300a外に突出しているとしたが、これに限定されるものではない。
【0068】
上記実施例1では、対向板311bのラッチアーム330bと係合部340b(第3係合部)との間にスリット315bが設けられているとした。しかし、ラッチアームと第3係合部との間のスリットは省略可能である。
【0069】
上記実施例1では、ボディ100は、第1、第2ボディ100a、100bを有するとした。しかし、ボディは、基部と、前記基部に設けられ且つ第1方向に延びた接続部とを有し、前記接続部の外周が前記第1シェルに、前記基部の外周が前記第2シェルに覆われ得る限り任意に設計変更することが可能である。
【0070】
上記実施例1では、第1ボディ100aが、接続部110aと、一対の延長部120aと、一対のロック部130a(第1ロック部)と、嵌合凸部140aと、係合部150a(第5係合部)とを有し、第2ボディ100bが、嵌合部110bと、ブロック120bと、一対のロック部130b(第2ロック部)と、テーブル140bとを有し、ブロック120b及び第1、第2ロック部130a、130bがボディ100の基部を構成するとした。しかし、第1、第2ボディは、組み合わせられた状態で、前側部分(第1方向の一方側部分)が接続部をなし、後側部分(第1方向の他方側部分)が前記基部をなすものである限り任意に設計変更することが可能である。
【0071】
上記実施例1では、第2ボディ100bの嵌合部110bを第1ボディ100aの嵌合穴113aに、第1ボディ100aの突起113a1及び嵌合凸部140aを第2ボディ100bの嵌合凹部121bに嵌合させることにより、第1、第2ボディ100a、100bが組み合わされるとした。しかし、第1、第2ボディの組み合わせの形態は任意に設計変更することが可能である。
【0072】
上記実施例1では、第1ボディ100aのロック部130aの爪131aが第2ボディ100bのロック部130bの爪131bに係合されることにより、第1、第2ボディ100a、100bを組み合わせた状態が維持されるとした。しかし、第1、第2ボディを組み合わせ状態でロックするロック手段は省略することが可能である。また、前記ロック手段は、第1、第2ボディを組み合わせ状態でロックできる限り任意に設計変更することが可能である。
【0073】
上記実施例1では、ボディ100の突起である係合部150a(第5係合部)が第1シェル300aの係合部320a(第1係合部)の係合穴321aに係合することにより、ボディ100の接続部110aが第1シェル300aに挿入された状態が維持されるとした。しかし、ボディの接続部が第1シェルに挿入された状態を維持する手段は、省略することが可能である。また、前記手段は、ボディの接続部が第1シェルに挿入された状態を維持し得る限り任意に設計変更することが可能である。
【0074】
上記実施例1では、コネクタは、ケーブル20が接続されるプラグコネクタ10であるとしたが、これに限定されるものではない。
【0075】
なお、上記実施の形態では、上記ケーブルアッセンブリ、コネクタ及びシールドケースの各部を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。なお、本発明は、第1〜第4係合部だけで第1、第2シェルを係合するものに限定されず、5以上の係合部で第1、第2シェルを係合するものにも適応可能である。
【符号の説明】
【0076】
Y・・・・・第1方向
X・・・・・第2方向
Z・・・・・第3方向
10・・・・プラグコネクタ
100・・・・・・ボディ
100a・・・・第1ボディ
110a・・・接続部
120a・・・延長部
130a・・・ロック部(第1ロック部)
140a・・・嵌合凸部
150a・・・係合部(第5係合部)
100b・・・・第2ボディ
110b・・・嵌合部
120b・・・ブロック
130b・・・ロック部(第2ロック部)
140b・・・テーブル
200・・・・・・コンタクト
300・・・・・・シールドケース
300a・・・・第1シェル
310a・・・シェル本体
311a・・対向板(第1対向部)
311a1・開口
312a・・対向板(第2対向部)
320a・・・係合部(第1係合部)
330a・・・係合部(第2係合部)
300b・・・・第2シェル
310b・・・第1カバー
311b・・対向板(第3対向部)
312b・・係合穴
313b・・折り曲げ片
341b・・背面板
315b・・スリット
320b・・・第2カバー
321b・・対向板(第4対向部)
330b・・・ラッチアーム
340b・・・係合部(第3係合部)
350b・・・係合部(第4係合部)
360b・・・接触部
370b・・・接触部
400a・・・・第1ケース
400b・・・・第2ケース
20・・・・ケーブル
30・・・・ケーブルブッシュ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向である第1方向に内部空間が互いに連通するように並べることが可能な筒状であり且つ導電性を有する第1、第2シェルを備えており、
前記第1シェルは、互いに対向する第1、第2対向部と、
前記第1対向部の第2シェル側の端部に設けられた第1係合部と、
前記第2対向部の第2シェル側の端部に設けられた第2係合部とを有しており、
前記第2シェルは、互いに対向する第3、第4対向部と、
前記第3対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第1方向に延びた一対のラッチアームと、
前記第3対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第1係合部に係合可能な第3係合部と、
前記第4対向部の第1シェル側の端部に設けられており且つ前記第2係合部に係合可能な第4係合部とを有しているシールドケース。
【請求項2】
請求項1記載のシールドケースにおいて、
前記第3係合部は前記ラッチアームの間に位置しており、
前記ラッチアームと前記第3係合部との間には、スリットが設けられているシールドケース。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシールドケースにおいて、
前記第1及び第3係合部の何れか一方は前記第1方向に延びた片持ち梁状であり且つ他方に弾性的に当接可能であるシールドケース。
【請求項4】
請求項1又は2記載のシールドケースにおいて、
前記第2、3係合部は前記第1方向に延びた片持ち梁状であり、
前記第3係合部が前記第1シェルの外側から前記第1係合部に係合可能であり、前記第2係合部が前記第2シェルの内側から前記第4係合部に係合可能であるシールドケース。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のシールドケースにおいて、
前記第3係合部は、高さ位置が前記ラッチアームの高さ位置よりも前記第4対向部側に位置する下段部を有するシールドケース。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のシールドケースにおいて、
前記第2シェルは、互いに係合されて筒状をなす第1、第2カバーを更に有しており、
前記第1カバーは前記第3対向部を有し、
前記第2カバーは前記第4対向部を有するシールドケース。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載のシールドケースにおいて、
前記第1、第3係合部の何れか一方が係合凹部又は係合穴を有し、他方が前記係合凹部又は係合穴に係合可能な係合片を有しており、
前記第3、第4係合部の何れか一方が係合凹部又は係合穴を有し、他方が前記係合凹部又は係合穴に係合可能な係合片を有しているシールドケース。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載のシールドケースにおいて、
前記第1、第3係合部は、互いに係合した状態で、はんだ付け又は溶接可能であるシールドケース。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかに記載のシールドケースにおいて、
前記第1シェルは一対の開口を有しており、
前記ラッチアームは、前記シェル内に挿入可能なアームと、
前記アームの先端部に設けられており且つ前記第1シェルの開口から当該第1シェル外に突出可能なラッチ爪とを有しているシールドケース。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかに記載のシールドケースと、
ボディと、
前記ボディ内に配設されたコンタクトとを備えており、
前記ボディは、基部と、
前記基部に設けられ且つ前記第1方向に延びた接続部とを有しており、
前記第1シェルは前記接続部の外周を、前記第2シェルは前記基部の外周を覆っているコネクタ。
【請求項11】
請求項10記載のコネクタにおいて、
前記ボディは、第1、第2ボディを有し、
前記第1ボディは、嵌合穴を有する前記接続部と、
前記接続部の前記第1方向に直交する第2方向の両端に設けられ且つ前記第1方向に延びた一対の延長部と、
前記延長部に設けられた一対の第1ロック部とを有し、
前記第2ボディは、前記接続部の嵌合穴に嵌合した嵌合部と、
前記嵌合部の嵌合方向の後側に設けられたブロックと、
前記ブロックの前記第2方向の両端部に設けられており且つ前記第1ロック部に係合した一対の第2ロック部とを有しており、
前記第1ロック部、前記ブロック及び前記第2ロック部が前記基部を構成しているコネクタ。
【請求項12】
請求項11記載のコネクタにおいて、
前記第2ボディの嵌合部及びブロックには、嵌合凹部が設けられており、
前記第1ボディは、前記接続部に設けられ、前記第1方向に延びており且つ前記嵌合凹部に嵌合した嵌合凸部と、
前記嵌合凸部上に設けられ、前記第1係合部に係合した第5係合部とを更に有しているコネクタ。
【請求項13】
請求項10〜12の何れかに記載のコネクタと、
前記コネクタに接続されたケーブルとを備えており、
前記ケーブルは、前記コネクタのコンタクトに接続された複数の信号線と、
前記信号線を覆うシールド導体とを有しており、
前記コネクタのシールドケースの第2シェルは、前記シールド導体に接触する接触部を有しているケーブルアッセンブリ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【公開番号】特開2013−4639(P2013−4639A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132811(P2011−132811)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】