説明

シールド導電体

【課題】 シールド導電体の小径化を図る。
【解決手段】 シールドパイプ20に貫通される導体10は、ヒートパイプ11の端部に端子15を設けた形態であり、導体10に通電したときに生じる熱は、ヒートパイプ11内において作動流体が蒸発と凝縮を繰り返しつつ循環移動することによりヒートパイプ11外へ放出される。導体10のほぼ全体が放熱性能に優れるヒートパイプ11によって構成されるようにしたので、ヒートパイプの端部に棒材を接続したものに比べると導体全体の放熱効率に優れ、導体10全体を小径化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車などの車両に搭載されるシールド導電体としては、複数本のノンシールド電線を、金属細線をメッシュ状に編んだ筒状の編組線からなるシールド部材で包囲することにより一括してシールドする構造のものが考えられている。この種のシールド導電体においてシールド部材と電線を保護する方法としては、一般に、シールド部材を合成樹脂製のプロテクタで包囲する手段がとられるが、プロテクタを用いると部品点数が増えるという問題がある。
そこで、本願出願人は、特許文献1に記載されているように、ノンシールド電線を金属製のパイプ内に挿通する構造を提案した。この構造によれば、パイプが、電線をシールドする機能と電線を保護する機能を発揮するので、シールド部材とプロテクタを用いたシールド導電体に比べて部品点数が少なくて済むという利点がある。
【特許文献1】特開2004−171952公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パイプを用いたシールド導電体では、電線とパイプとの間に空気層が存在しているため、通電時に電線で発生した熱が、熱伝導率の低い空気によって遮断されてパイプに伝わり難く、しかも、パイプには、編組線における編み目の隙間のような外部との通気経路が存在しないため、電線で発生した熱がパイプの内部に籠もり易く、放熱性が低くなる傾向がある。
ここで、導体に所定の電流を流したときの発熱量は、導体の断面積が大きい程小さくなり、発熱に起因する導体の温度上昇値は、導電路の放熱性が高いほど小さく抑えられる。したがって、導体の温度上昇値に上限が定められている環境下では、上記のように放熱効率の低いシールド導電体の場合、導体の断面積を大きくして発熱量を抑える必要がある。
ところが、導体の断面積を増大することは、シールド導電体が大径化し重量化することを意味するため、その対策が望まれる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シールド導電体の小径化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、シールドパイプと、前記シールドパイプに貫通され、端部が他の導電手段に接続される端子とされている導体とを備えてなるものであって、前記導体が、ヒートパイプの端部に前記端子を設けた形態とされているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ヒートパイプが、金属管材の端部を潰れ変形させて閉塞することで前記金属管材の内部に作動流体を封入した形態とされているものであって、前記金属管材の端面に、前記ヒートパイプとは別体の端子が固着されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記ヒートパイプに、放熱フィンを有するヒートシンクが設けられているところに特徴を有する。
【0007】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記ヒートパイプの放熱部が、自動車の車体に対して取付け可能とされており、前記放熱部を前記車体に取り付けた状態では、前記放熱部の熱が前記車体へ伝達されるようになっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
導体としてのヒートパイプに通電したときに生じる熱は、ヒートパイプ内において作動液が蒸発と凝縮を繰り返しつつ循環移動することによりヒートパイプの外部へ放出される。本発明では、導体自体が放熱機能を備えており、導体の熱を別の放熱部材に伝達して放出するものに比べて、放熱効率に優れているので、導体の断面積、即ち外径を小さくすることができる。
ヒートパイプを用いた導体の形態としては、ヒートパイプの端部に金属製の棒材の基端部を接続し、その棒材の先端部を端子とするものも考えられるが、このような形態では、棒材の放熱効率がヒートパイプに比べて低いことから、発熱を抑えるために棒材をヒートパイプよりも大径にする必要があり、その結果、導体の全体を小径化することができなくなる。その点、本発明では、ヒートパイプの端部に端子を設ける形態としたことで、導体のほぼ全体が放熱性能の高いヒートパイプによって構成されるようにしたので、ヒートパイプの端部に棒材を接続したものに比べると、導体全体の放熱効率に優れ、導体全体を小径化することができる。
【0009】
<請求項2の発明>
ヒートパイプの端面の閉塞部分が端子によって覆い隠されるので、ヒートパイプ内の作動流体の漏出が確実に防止される。
【0010】
<請求項3の発明>
通電によってヒートパイプに生じた熱は、ヒートシンクの放熱フィンの表面から大気中に放出される。本発明によれば、ヒートパイプの外周面から直接大気中に放熱する場合に比べて、放熱面積が広いので、放熱効率に優れている。
【0011】
<請求項4の発明>
本発明では、自動車の車体が熱容量の大きい吸熱体及び走行風が活用できることで効率的な放熱体として利用可能であることに着目し、ヒートパイプの放熱部を自動車の車体に取り付けることができるようにした。放熱部を車体に取り付けた状態では、車体の吸熱性能と放熱性能により、放熱部と車体との間の温度勾配が保たれて放熱部から車体側へ熱が効率的に伝達される。したがって、放熱部の熱を大気中に放出する手段に比べて、放熱効率が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図4を参照して説明する。電気自動車EV(本発明の構成要件である自動車)の車体Bdの前部にはエンジンルームが設けられ、エンジンルーム内には、走行用モータMoを駆動するための動力回路を構成する機器Ma(例えば、インバータ)とガソリン駆動用のエンジンEgとが収容されている。車体Bdの後部(例えば、トランクルーム)には動力回路を構成する機器Mb(例えば、バッテリ)が搭載されている。2つの機器Ma,Mbとの間にはシールド導電体Waと車内用導電体Wbが配索されている。
【0013】
シールド導電体Waは、3本の導体10と、一括シールド機能及び導体保護機能を兼ね備える金属製(例えば、アルミニウム合金、ステンレス、銅、銅合金等)のシールドパイプ20とを備えて構成される。導体10は、ヒートパイプ11の前端部に端子15を固着するとともに、ヒートパイプ11の後端部に接続部材(図示せず)を接続した形態とされている。ヒートパイプ11は、その内部の気密状に封止されている作動空間に作動流体(例えば、水)を封入した周知の構造のものであり、各ヒートパイプ11の外周は、夫々、合成樹脂製の絶縁被覆12で覆われている。
【0014】
ヒートパイプ11は、円筒形の金属管材13からなり、金属管材13の内周には、ヒートパイプ11の低温側(放熱部16)に移動した作動流体を高温側へ戻すためのウイック(図示せず)が貼り付けられている。ヒートパイプ11の製造に際しては、まず、金属管材13の基端部(下端部)を、プレスにより縮径変形させることで気密状に封止し、金属管材13の内部に作動流体を注入し、その後、ヒートパイプ11の先端部(上端部)を、プレスにより縮径変形させることで気密状に封止する。また、縮径変形させる部分は、絶縁被覆12が除去されており、その外周には金属製(例えば、銅又は銅合金製)のスリーブ14が外嵌されている。このスリーブ14の外径は、ヒートパイプ11のうち縮径変形させられていない大部分の領域の外径とほぼ同じ寸法となっている。また、ヒートパイプ11の前後両端面は、ヒートパイプ11の軸線(長さ方向)と直角な平坦面となっている。この平坦面は、縮径変形させられた金属管材13の端面によって形成される円形部と、この金属管材13の円を略同心状に包囲するスリーブ14の端面によって形成される円環部とから構成されるが、金属管材13による円形部の端面とスリーブ14による円環部の端面とは面一状に連続している。
上記のようにして製造された3本のヒートパイプ11は1本のシールドパイプ20に一括して貫通され、ヒートパイプ11の前後両端部はシールドパイプ20の外部へ導出(突出)されている。
【0015】
ヒートパイプ11の前端部には、ヒートパイプ11とは別体部品である端子15が導通可能に固着されている。端子15は、金属製(例えば、銅、銅合金、アルミニウム合金等)であり、全体として細長い円柱形をなす。端子15の前端部は半球形をなし、端子15の後端面は、端子15の軸線と直角な平坦面となっている。そして、端子15の後端面は、ヒートパイプ11の前端面に対し冷間圧接法等により導通可能に且つ同心状に固着されている。また、端子15の外径はスリーブ14(ヒートパイプ11)の外径と同寸法であるため、端子15の外周面とスリーブ14(ヒートパイプ11)の外周面とは滑らかに連続している。
【0016】
かかる導体10の前端部はハーネス側コネクタ25に取り付けられている。ハーネス側コネクタ25は、合成樹脂製の雄側ハウジング26内に3つのキャビティ27を形成したものであり、各キャビティ27内に導体10の前端部、即ち端子15と、ヒートパイプ11の前端部が収容されている。また、雄側ハウジング26の前端部には、嵌合凹部28が形成され、嵌合凹部28内に、端子15の略前半部分が突出されている。
【0017】
一方、ヒートパイプ11の後端部には、シールド導電体Waに車内用導体10Wbを接続させるための手段として、後端部にオープンバレル状の圧着部が形成された金属製の棒状をなす接続部材(図示せず)の前端部が、冷間圧接等によって導通可能に且つ同軸状に固着されている。
車内用導電体Wbは、可撓性を有するノンシールドタイプの3本の電線(図示せず)を、金属細線をメッシュ状に編んだ編組線からなる可撓性シールド部材で一括して包囲したものであり、接続部材の圧着部には、車内用導電体Wbの電線の端末部における樹脂被覆を剥いて露出させた撚り線からなる芯線が圧着により導通可能に固着されている。また、車内用導電体Wbの可撓性シールド部材の前端部が、シールド導電体Waのシールドパイプ20の後端部に導通可能に接続されている。
【0018】
シールド導電体Waは、車体Bdの床下(床板Fpの下方)に沿うように概ね水平に配索されている。シールド導電体Waの前後両端部においては、シールドパイプ20の前端部がブラケット21により車体Bdに吊下状態で固定されている。シールドパイプ20から突出した導体10の前端側部分のうちシールドパイプ20に近い部分は、放熱部16となっており、この放熱部16が、ヒートシンク30によって床板Fpの外面(下面)に固定されている。一方、シールド導電体Waの後端部に接続された車内用導体10Wbは、床板Fpを貫通して車内に配索され、機器Mbに接続されている。
【0019】
次に、ヒートシンク30について説明する。
ヒートシンク30は、保持体31と固定具34とを備えて構成される。
保持体31は、熱伝導率の高い金属材料からなり、略直方形(ブロック状)をなしている。保持体31には、前後方向に貫通する3本の保持孔32が形成され、各保持孔32には、導体10のうちシールドパイプ20から外部前方に突出した放熱部16、即ちヒートパイプ11における絶縁被覆12で覆われた部分が貫通されている。絶縁被覆12の外周と保持孔32の内周との間には殆ど隙間が空かないようになっている。また、保持体31の左右両側縁からは、一対のリブ33が突出形成されている。
【0020】
固定具34は、金属板材からなり、保持体31の下面と左右両側面に面接触する略「コ」字形の覆い部35と、覆い部35の左右両側縁から延出してリブ33の下面に面接触する左右一対の支持板部36と、覆い部35の外面から略直角に延出する板状の放熱フィン37とからなる。固定具34の支持板部36には、金属製のボルト38が下方から貫通されている。ボルト38は、保持体31のリブ33を貫通して、床板Fpの雌ネジ部(図示せず)に螺合されている。このボルト38の締付けにより、固定具34と保持体31とヒートパイプ11が車体Bd(床板Fp)に取り付けられ、保持体31とリブ33の上面が床板Fpの下面(外面)に面接触する状態で固定されている。
【0021】
また、固定具34とハーネス側コネクタ25との間には、ヒートシンク30(保持体31)から前方へ突出している3本の導体10を一括してシールドする筒状の前部シールド部材40が設けられている。前部シールド部材40の後端部は保持体31の前端面に固着され、前部シールド部材40の前端部は、雄側ハウジング26を包囲するように設けられる筒状のシールドシェル(図示せず)に接続されている。一方、固定具34の後端部とシールドパイプ20の前端部との間には、3本の導体10を一括して包囲する筒状の後部シールド部材41を介して導通可能に接続されている。
【0022】
機器Maには機器側コネクタ50が設けられている。機器側コネクタ50は、機器を構成する金属製のシールドケース51の取付孔52に貫通するように取り付けられた雌側ハウジング53と、雌側ハウジング53内に収容した雌端子金具54(本発明の構成要件である他の導電手段)とから構成される。雌端子金具54の接続孔55内には筒状の弾性接触片56が収容されている。
かかる機器側コネクタ50には、ハーネス側コネクタ25が嵌合されている。嵌合状態では、ハーネス側コネクタ25の嵌合凹部28に機器側コネクタ50の雌側ハウジング53の先端部が嵌入され、端子15が雌端子金具54の接続孔55内に嵌入され、弾性接触片56が端子15の外周に対して弾性接触し、もって、端子15と雌端子金具54が導通可能に接続される。また、シールドシェルの前端部がシールドケース51に接続される。
【0023】
次に、本実施形態の作用を説明する。
導体10に通電すると、導体10を構成するヒートパイプ11が発熱する。通電が続くと、シールドパイプ20の内部ではヒートパイプ11が高温となり、シールドパイプ20の前方外部に位置するヒートパイプ11の放熱部16が低温部となるため、シールドパイプ20の内部と放熱部16との間で温度勾配が生じる。すると、シールドパイプ20の内部でヒートパイプ11内の作動流体が蒸発して潜熱を吸収し、その蒸気が放熱部16に向けて移動し、放熱部16において蒸気が凝縮して潜熱を放出し、作動流体となって高温側へ戻る。これが繰り返されることにより、シールドパイプ20内の熱が放熱部16へ移動する。
【0024】
また、導体10のうち放熱部16よりも前方の領域は、シールドパイプ20の外部に露出しているため、シールドパイプ20で包囲されている領域に比べて温度上昇は低いものの、ヒートシンク30に接続されている放熱部16よりも温度は高くなる。したがって、導体10のうち放熱部16(ヒートシンク30)から端子15に至る領域においても、ヒートパイプ11内の作動流体が蒸発して潜熱を吸収し、その蒸気が放熱部16に向けて移動し、放熱部16において蒸気が凝縮して潜熱を放出し、作動流体となって高温側へ戻る、という動作が繰り返され、放熱部16より前方で発生した熱も、シールドパイプ20内で発生した熱と同様、放熱部16へ移動する。
【0025】
放熱部16に移動した熱は、放熱部16の外面から保持体31に伝達され、保持体31の内部を移動する。保持体31の図2及び図3における上面に移動した熱は、金属製の床板Fpに伝わって、床板Fpから車体Bd全体に拡がる。また、保持体31の図2及び図3における下面及び図3における左右両側面に移動した熱は、固定具34に伝わり、固定具34の表面から大気中に放散されるとともに、固定具34から放熱フィン37へ移動して放熱フィン37の表面から大気中に放散される。
【0026】
上述のように本実施形態においては、導体10に通電したときに生じる熱が、ヒートパイプ11内において作動流体が蒸発と凝縮を繰り返しつつ循環移動することにより放熱部16へ移動し、放熱部16から放出されるようになっている。このように、導体10自体が放熱機能を備えており、導体10の熱を別の放熱部16材に伝達して放出するものに比べて、放熱効率に優れているので、導体10の断面積、即ち外径を小さくすることができる。
【0027】
また、ヒートパイプを用いた導体の形態としては、ヒートパイプの端部に金属製の棒材の基端部を接続し、その棒材の先端部を端子とするものも考えられるが、このような形態では、棒材の放熱効率がヒートパイプに比べて低いことから、発熱を抑えるために棒材をヒートパイプよりも大径にする必要があり、その結果、導体の全体を小径化することができなくなる。その点、本実施形態では、ヒートパイプ11の端部に端子15を設ける形態としたことで、導体10のほぼ全体が放熱性能の高いヒートパイプ11によって構成されるようにしたので、ヒートパイプの端部に棒材を接続したものに比べると、導体10全体の放熱効率に優れ、導体10全体を小径化することができる。
【0028】
また、ヒートパイプ11の放熱部16に、放熱フィン37を有するヒートシンク30が設けられているので、通電によってヒートパイプ11に生じた熱は、ヒートシンク30の放熱フィン37の表面から大気中に放出される。つまり、本実施形態によれば、放熱面積が広いので、ヒートパイプ11の外周面から直接大気中に放熱する場合に比べて、放熱効率に優れている。
【0029】
さらに、自動車の車体Bdが熱容量の大きい吸熱体及び放熱体として利用可能であることに着目し、ヒートパイプ11の放熱部16を車体Bdの床板Fpに取り付けるようにした。放熱部16を車体Bdに取り付けた状態では、車体Bdの吸熱性能の放熱性能により、放熱部16と車体Bdとの間の温度勾配が保たれて放熱部16から車体Bd側へ熱が効率的に伝達される。したがって、放熱部16の熱を大気中に放出する手段に比べて、放熱効率が良い。
【0030】
また、ヒートパイプ11は、金属管材13の端部を潰れ変形させて閉塞することで金属管材13の内部に作動流体を封入した形態とされているものであるが、金属管材13の端面に、ヒートパイプ11とは別体の端子15を固着したので、ヒートパイプ11の端部の閉塞部分(前端面)が端子15(の後端面)によって覆い隠されている。これにより、ヒートパイプ11内の作動流体の漏出が確実に防止されている。
【0031】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではヒートパイプの放熱部にヒートシンクを設けたが、本発明によれば、このようなヒートシンクを設けず、放熱部から大気中に熱を放出させてもよい。
(2)上記実施形態では1つのシールドパイプ内に3本のヒートパイプを挿通したが、本発明によれば、1つのシールドパイプに挿通されるヒートパイプの本数は1本、2本、4本以上のいずれとしてもよい。
(3)上記実施形態ではヒートパイプの放熱部の熱を車体に伝達するようにしたが、本発明によれば、放熱部の熱は、車内用導電体の導体に伝達させてもよく、放熱部から大気中に放出させてもよい。
(4)上記実施形態ではヒートパイプ(金属管材)の内周にウイックを張り付けたが、本発明によれば、ウイックを設けない形態としてもよい。
(5)上記実施形態では端子をヒートパイプとは別体の部品としたが、本発明によれば、ヒートパイプの端部を端子としてもよい。
(6)上記実施形態では端子がヒートパイプの端部の閉塞部を覆い隠すようにしたが、本発明によれば、端子がヒートパイプの端部の閉塞部を覆い隠さない形態としてもよい。
(7)上記実施形態では端子を雄形としたが、本発明によれば、端子を雌形としてもよい。
(8)上記実施形態ではヒートパイプに放熱フィンを有するヒートシンクを設けたが、本発明によれば、ヒートシンクに替えて水冷パイプをヒートパイプに接触させるか若しくはヒートパイプに沿わせてもよく、また、ヒートシンクの内部に水冷パイプを配管してもよい。
(9)上記実施形態ではシールド導電体の端部を機器側コネクタに接続したが、本発明は、シールド導電体の端部を他のハーネスに接続する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態1の全体図
【図2】車体に対する取付部分をあらわす部分拡大断面図
【図3】図2のX−X線断面図
【図4】ヒートパイプの端部をあらわす部分拡大断面図
【符号の説明】
【0033】
Bd…車体
Ev…電気自動車(自動車)
Wa…シールド導電体
10…導体
11…ヒートパイプ
15…端子
20…シールドパイプ
30…ヒートシンク
37…放熱フィン
54…雌端子金具(他の導電手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドパイプと、
前記シールドパイプに貫通され、端部が他の導電手段に接続される端子とされている導体とを備えてなるものであって、
前記導体が、ヒートパイプの端部に前記端子を設けた形態とされていることを特徴とするシールド導電体。
【請求項2】
前記ヒートパイプが、金属管材の端部を潰れ変形させて閉塞することで前記金属管材の内部に作動流体を封入した形態とされているものであって、
前記金属管材の端面に、前記ヒートパイプとは別体の端子が固着されていることを特徴とする請求項1記載のシールド導電体。
【請求項3】
前記ヒートパイプに、放熱フィンを有するヒートシンクが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシールド導電体。
【請求項4】
前記ヒートパイプの放熱部が、自動車の車体に対して取付け可能とされており、
前記放熱部を前記車体に取り付けた状態では、前記放熱部の熱が前記車体へ伝達されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシールド導電体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−66574(P2007−66574A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−248089(P2005−248089)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】