説明

シールド掘進機の掘削ビット交換装置および掘削ビット交換方法

【課題】掘削ビットの交換時にシール材が破損しにくく信頼性が高い。
【解決手段】掘削途中で磨耗した掘削ビット31を交換するビット交換ユニット30において、カッタヘッドの開口部33の背面に形成された支持体保持室35に、出退軸心Os周りに回動自在でかつ出退自在な可動支持体36を配置し、可動支持体36に開口部33に対面可能でかつ対称位置に一対の収納穴37A,37Bを形成し、一方の収納穴37Aに、掘削ビット31を有するビット支持体33を設けるとともに、他方の収納穴37Bに開口部33を閉鎖可能な閉鎖プラグ38を設け、交換時に、可動支持体36を後退して掘削ビット31を支持体保持室35に収容した後、可動支持体36を回動して他方の収納穴37Bを開口部33に対面させ、閉鎖プラグ38を突出させて開口部33を閉鎖し、磨耗したローラビット31を収納穴37Aから抜き出して新規な掘削ビットに交換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削途中で、磨耗した掘削ビットをカッタヘッド内の作業空間から交換するシールド掘進機の掘削ビット交換装置および掘削ビット交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削途中に磨耗した掘削ビットを交換する掘削ビット交換装置には、数多くの構造が提案されているが、たとえば特許文献1乃至3に示すように、掘削ビットを挿脱する開口部を有する前面板の背面に、掘削ビットをスライド自在に嵌合される支持穴を形成した回転体を配置したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4163965号
【特許文献2】特許第3139749号
【特許文献3】特開2008−63801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回転体を回転など姿勢変更させる際に、シール材が前面板の開口部のエッジを通過する際に、泥水等の浸入を防ぐシール材が破損しやすく、泥水の浸入に対して信頼性が低いという問題があった。
本発明は上記問題点を解決して、シール材が破損しにくく泥水の浸入に対して信頼性が高いシールド掘進機の掘削ビット交換装置および掘削ビット交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、
カッタヘッド前面に配置されて磨耗した掘削ビットを、掘削途中でカッタヘッド内に形成した作業空間から交換するシールド掘進機の掘削ビット交換装置であって、
作業空間内で、カッタヘッドの前面板に形成された開口部の背面に支持体保持室を形成し、
当該支持体保持室に、前記前面板に垂直な出退軸心周りに回動自在でかつ当該出退軸心に沿って所定範囲で出退自在な可動支持体を配置し、
当該可動支持体に前記開口部に対面可能に形成された一対で単数組または複数組の収納穴のうち、一方の収納穴に、掘削ビットを有するビット支持体を出退可能に設けるとともに、他方の収納穴に前記開口部を閉鎖可能な閉鎖プラグを出退可能に設け、
前記支持体保持室の内周面と前記可動支持体の間、および収納穴の内周面と閉鎖プラグの間、ならびに収納穴とビット支持体の間にそれぞれシール材を設け、
掘削ビット交換時に、前記可動支持体を後退して掘削ビットを前記支持体保持室に収容し、前記可動支持体を回動して他方の収納穴を前記開口部に対面させ、前記閉鎖プラグを突出させて前記開口部を閉鎖した後、磨耗した掘削カッタを有するビット支持体を収納穴から抜き出して、新規な掘削ビットを有するビット支持体と交換するものである。
【0006】
請求項2記載の発明は、
カッタヘッド前面に配置されて磨耗した掘削ビットを、掘削途中でカッタヘッド内に形成した作業空間から交換するシールド掘進機の掘削ビット交換装置であって、
作業空間内で、カッタヘッドの前面板に形成された開口部の背面に支持体保持室を形成し、
当該支持体保持室に、前記前面板に垂直な出退軸心周りに回動自在でかつ当該出退軸心に沿って所定範囲で出退自在な可動支持体を配置し、
当該可動支持体に前記開口部に対面可能に形成された一対で単数組または複数組の収納穴のうち、一方の収納穴に、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を出退可能に配置するとともに、他方の収納穴に新規な掘削ビットを有する新ビット支持体を出退可能に配置し、
前記支持体保持室の内周面と前記可動支持体の間、および各収納穴の内周面とビット支持体の間にそれぞれシール材を設け、
掘削ビットの交換時に、前記可動支持体を後退して磨耗掘削ビットを前記支持体保持室に収容し、前記可動支持体を回動して他方の収納穴を前記開口部に対面させ、前記新ビット支持体を突出させた後、前記可動支持体を突出して新規なビットを前記開口部から突出させてこの新ビット支持体により前記開口部を閉鎖し、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を収納穴から抜き出すものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、
支持体保持室で、後退された可動支持体の前部空間に充填剤を注入する供給配管と、前記前部空間から充填剤および泥水を排出するドレン配管とを設けたものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成において、
掘削ビットをローラビットとし、
ビット支持体に、ローラビットの周囲から出退軸心方向に沿う排泥通路を貫通形成し、
前記排泥通路とカッタヘッドの外面とを連通する排泥配管を、出退軸心に平行でかつ接続離脱自在に設け、
当該排泥配管の離脱位置の前後に遮断バルブを介在させたものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、
カッタヘッドの前面板から開口部を介して突出された掘削ビットを、掘削途中で当該カッタヘッド内に形成された作業空間から交換するに際し、
前面板の開口部背面に形成された支持体保持室内で、可動支持体を後退させることにより、当該可動支持体にビット支持体を介して保持された掘削ビットを、前記開口部から後退させて支持体保持室内に収容し、
前記可動支持体の後退移動中に、前記可動支持体が後退して生じた前記支持体保持室の前部空間に充填剤を注入し、
前記可動支持体を回動して姿勢変更した後、当該可動支持体から閉鎖プラグまたは新規掘削ビットを有する新ビット支持体を突出して前記開口部を閉鎖し、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を前記可動支持体から抜き出すものである。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の構成において、
閉鎖プラグにより開口部を閉鎖する場合、
支持体保持室の前部空間から充填剤および泥水を排出した後、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を可動支持体から抜き出し、
新規掘削ビットを有する新ビット支持体を前記可動支持体に装填し、
閉鎖プラグを前記開口部から後退した後、前記可動支持体を回動して姿勢変更し、新規掘削ビットを有する新ビット支持体を前記開口部から突出させるものである。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の構成において、
新規掘削ビットを有する新ビット支持体により開口部を閉鎖する場合、
後退された可動支持体から新規掘削ビットを有する新ビット支持体を突出させた後、可動支持体を回動して姿勢変更し、
さらに前記可動支持体を突出して支持体保持室の前部空間から充填剤および泥水を排出するとともに、前記新ビット支持体を前記開口部に嵌合させて閉鎖し、
磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を前記可動支持体から抜き出すものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、可動支持体を一旦後退して掘削ビットを開口部から支持体保持室に収容した後、可動支持体を回転させて姿勢変更するので、前面板の開口部のエッジと可動支持体との摺接部分が無くなり、シール材を破損することが無く、これにより泥水の浸入に対するシール性能を高くすることができる。また可動支持体を回動した後、可動支持体から閉鎖プラグを突出して開口部を閉じることができるので、泥水の流入なく可動支持体から磨耗掘削ビットを有するビット支持体を抜き出すことができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、可動支持体を一旦後退して掘削ビットを開口部から支持体保持室に収容した後、可動支持体を回転させて姿勢変更するので、前面板の開口部のエッジと可動支持体との摺接部分が無くなり、シール材を破損することが無く、泥水の浸入に対するシール性能を高くすることができる。また、可動支持体を回動した後、新規掘削ビットを有する新ビット支持体を可動支持体から突出させて開口部に嵌合し閉鎖することにより、泥水が支持体保持室内に流入することがなくなり、可動支持体から磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を抜き出して新規掘削ビットと容易に交換することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、後退された可動支持体前部の支持体保持室内に、充填剤を注入することにより、開口部からの泥水等の浸入を効果的に防止することができ、泥水に含まれる砂利や砕石によるシール材の破損を効果的に減少させることができて、シール性能を高めることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、ビット支持体に、ローラビットにより掘削された砕石交じりの泥水を排出する排泥通路を出退軸心方向に形成するとともに、この排泥通路に直線的に接続された排泥配管を設けたので、砕石交じりの泥水を、閉塞させることなくスムーズに排出することができる。また排泥配管を、2個の遮断弁を介して離脱可能とすることで、排泥通路付きのローラビットを容易に交換することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、支持体保持室内で可動支持体を後退させる動作中に、後退により生じた支持体保持室の前部空間に充填剤を注入するので、開口部から支持体保持室内に浸入する砕石交じりの泥水の浸入量を、大幅に抑制することができ、シール性能の低下を抑制することができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、可動支持体を回動して姿勢変更し、この可動支持体から閉鎖プラグを突出して開口部を閉鎖し、支持体保持室の前部空間に充填された充填剤や泥水を排出してから、可動支持体の掘削ビットを交換するので、容易かつ安定して掘削ビットを交換することができる。
【0018】
請求項7記載の発明によれば、可動支持体を回動して姿勢変更し、この可動支持体から新規掘削ビットを有するビット支持体を突出し、さらに可動支持体を突出するとともに支持体保持室の前部空間から充填剤や泥水を排出し、前記ビット支持体により開口部を閉鎖した後に、可動支持体の掘削ビットを交換するので、容易かつ短時間で掘削ビットを交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るシールド掘進機のビット交換ユニットの実施例1を示す縦断面図である。
【図2】(a)はビット支持体を示す斜視図、(b)は閉鎖プラグを示す斜視図である。
【図3】ビット交換作業中のビット交換ユニットを示す拡大縦断面図である。
【図4】(a),(b)はビット交換ユニットを示し、(a)は正面図、(b)はビット交換作業中の図3に示すI−I断面図である。
【図5】ビット交換動作Aを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図6】ビット交換動作Bを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図7】ビット交換動作Cを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図8】ビット交換動作Dを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図9】ビット交換動作Eを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図10】ビット交換動作Fを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図11】ビット交換動作Gを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図12】ビット交換動作の完了状態を説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図13】本発明に係るビット交換ユニットを具備したシールド掘進機を示す縦断面図である。
【図14】同シールド掘進機の正面図である。
【図15】(a),(b)はビット交換ユニットの実施例2を示す正面視の図で、(a)は正面図、(b)はビット交換作業中のハウジングの正面視の断面図である。
【図16】(a),(b)はローラビットをカッタビットに変更した実施例3を示し、(a)は交換前の縦断面図、(b)は交換作業中の縦断面図である。
【図17】ビット交換ユニットの正面図である。
【図18】本発明に係るビット交換ユニットの実施例4を示す縦断面図である。
【図19】ビット交換動作Hを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図20】ビット交換動作Iを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図21】ビット交換動作Jを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図22】ビット交換動作Kを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図23】ビット交換動作Lを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図24】ビット交換動作Mを説明するビット交換ユニットの縦断面図である。
【図25】本発明に係るビット交換ユニットの実施例5を示す正面図である。
【図26】(a)(b)はビット交換動作の説明図で、(a)はビット交換動作Oを説明する縦断面図、(b)はビット交換動作Pを説明する縦断面図である。
【図27】(c)(d)はビット交換動作の説明図で、(c)はビット交換動作Qを説明する縦断面図、(d)はビット交換動作Rを説明する縦断面図である。
【図28】本発明に係るビット交換ユニットの実施例6を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施例1]
以下、本発明の実施例1を図1〜図14に基づいて説明する。
(シールド掘進機)
図13に示すように、円筒形のシールド本体11の前部に圧力隔壁12が設けられ、この圧力隔壁12の前部に切羽崩壊土圧を保持する収納穴28Aが形成されている。前記圧力隔壁12には、旋回軸受13を介して旋回リング体14がシールド軸心O周りに回転自在に支持されており、この旋回リング体14から前方に突出された複数の支持脚15に、円形のカッタヘッド16が支持されている。圧力隔壁12後方の大気室28Bには、このカッタヘッド16を回転駆動するカッタ駆動装置17が設けられており、このカッタ駆動装置17は、旋回リング体14の背面に設けられたリングギヤ17aと、このリングギヤ17aに噛み合う複数の駆動ピニオン17bと、前記駆動ピニオン17bをそれぞれ回転駆動する回転駆動装置(油圧式または電動式モータ)17cとで構成されている。さらに圧力隔壁12には、カッタヘッド16により掘削された土砂を、収納穴28Aから切羽崩壊土圧を保持しつつ大気室28Bに排出する排土用スクリュコンベヤ18が貫設されている。
【0021】
カッタヘッド16は、図14に示すように、シールド軸心O位置に配置された中心部材20から半径方向に延びる複数の主スポーク21と、主スポーク21の間で半径方向に延びる複数の副スポーク22と、シールド軸心Oを中心とする円弧方向に配設されて主スポーク21および副スポーク22を連結する中間リング23および外周リング24とを具備し、これら部材21〜24間に土砂取り入れ口25が形成されている。
【0022】
そして主スポーク21の前部に、本発明に係るいわゆるリボルバー式の複数のビット交換ユニット(掘削ビット交換装置)30が配列され、各ビット交換ユニット30に交換用の掘削ビットであるローラビット(ディスクカッタともいう)31がそれぞれ設けられている。また中心部材20や副スポーク22の前面および側面、主スポーク21の側面に複数の固定ビット26がそれぞれ設けられている。
【0023】
図13に示すように、前記中心部材20の背面側に、作業員が出入り可能なマンホール27が設けられており、このマンホール27は圧力隔壁12を貫通して大気圧室28B側から出入り可能に連通されている。また各主スポーク21の背面側に、作業員が入ってビット交換作業が可能な作業空間29が形成され、マンホール27からこの作業空間29に作業員が行き来できて連通され、掘削途中で磨耗したローラビット31を作業空間29から交換することができる。
【0024】
(ビット交換ユニット)
図1〜図4に示すように、主スポーク21に半径方向に沿って所定ピッチで配設されたビット交換ユニット30に、それぞれ1個(2枚刃)ずつのローラビット31が配置されている。各ビット交換ユニット30は、それぞれ同一構造である。
【0025】
主スポーク21(カッタヘッド16)の前面板32に、図2(a)に示す掘削ビットであるローラビット31を配置する開口部33が形成され、開口部33は、長径がシールド軸心O(後述の出退軸心Os)の接線方向に沿う長円形に形成されている。
【0026】
前面板32の背面に、開口部33のたとえば上部で前面板32に垂直な出退軸心Osを中心として円筒形のハウジング34が取り付けられ、ハウジング34内に支持体保持室35が形成されている。この支持体保持室35には、出退軸心Os周りに回動自在でかつ出退軸心Osに沿って所定範囲で出退自在な円柱形の可動支持体36が配置されている。
【0027】
この可動支持体36は、出退軸心Osを中心として開口部33の中心を通る円弧線上で、たとえば180°隔てた対称位置に収納穴37A,37Bが出退軸心Osと平行に形成され、それぞれ開口部33と対面可能に配置されている。そして、一方の収納穴37Aに、図2(a)に示すローラビット31を有するビット支持体41が出退可能に配置され、他方の収納穴37Bに開口部33を閉鎖可能な図2(b)に示す閉鎖プラグ38が出退可能に配置される。
【0028】
これら2個の収納穴37A,37Bは、それぞれ開口部33より少し大きい相似形の長円形断面に形成されている。そして、ビット支持体41も、収納穴37Aにスライド自在に嵌合される長円筒形断面に形成されており、このビット支持体41には、出退軸心Osと平行な出退方向に沿って外形と相似形の長円形断面の排泥通路42が貫通形成されている。また、排泥通路42の前部に、短径方向の支軸43を介してローラビット31が回転自在に支持され、排泥通路42の後部に排泥配管44が接続されている。この排泥配管44は、作業空間29から主スポーク21の背面板46または側面板を貫通して、圧力室28Aに開口されている。そして、この実施例1では、排泥通路42および排泥配管44は、出退軸心Osに平行な連続直線状に形成され、ローラビット31で掘削された土砂や砕石交じりの泥水を、排泥通路42および排泥配管44を介して圧力室28Aに閉塞することなくスムーズに排出することができる。
【0029】
図1、図2(a)および図3に示すように、ビット支持体41の筒部本体41aの外周部には、中央部と後部に全周にわたって複数本の溝部が形成され、これら溝部にそれぞれ収納穴37Aの内面に摺接するビットシール材(シール材)40Aが外嵌されている。なお、このビットシール材40Aは、収納穴37Aの内周面に溝部を介して配置されていてもよい。さらにビット支持体41は、前端部に開口部33に嵌合可能な小径部41bが形成され、後端部に僅かに径の大きい規制部41cが突設されている。そして小径部41bの外周に溝部を介して開口部33の内面に摺接するビットシール材40Bが設けられている。さらに開口部33に小径部41bが嵌合され、収納穴37Aの後端部に形成された規制部41cが嵌合されて、ビット支持体41が突出限で規制される。さらにまた、ハウジング34の背面で収納穴37Aの外周部に固定ボルトを介して取り付けられた固定板47により、ビット支持体41が抜け止めされて掘削反力が支持される。
【0030】
排泥配管44は、ビット支持体41にテーパ管44aを介して接続された第1ゲートバルブ(遮断弁)45Aと、この第1ゲートバルブ45Aに短管44bを介して接続された第2ゲートバルブ(遮断弁)45Bと、背面板46に貫設された排出管44cを具備しており、ビット交換に際して、短管44bが第1,第2ゲートバルブ45A,45Bの間から分離され、さらにビット支持体41とテーパ管44aとが分離される。
【0031】
ハウジング34には、可動支持体36を後退させてローラビット31を支持体保持室35内に引き込む交換用出退装置51と、可動支持体36を出退軸心Os周りに回動させて収納穴37A,37Bを開口部33にそれぞれ対面させる交換用回動装置61が設けられている。
【0032】
交換用出退装置51は、前面板32の背面に出退軸心Osに沿う円柱形のセンターブロック52が取り付けられており、可動支持体36の軸心部に、このセンターブロック52に出退自在でかつ回動自在に嵌合されるガイド穴53が形成されている。そして、センターブロック52に、先端部が軸受を介して回転自在に支持された出退用ねじ軸54が後方に出退軸心Osに沿って突出され、可動支持体36の軸心部に、出退用ねじ軸54が螺合される雌ねじ穴55が形成される。57は、センターブロック52の外周面に溝部を介して配設されガイド穴53の内面に摺接されるブロックシール材である。
【0033】
したがって、出退用ねじ軸54の後端部に取り付けられた操作ハンドル56を回転させることにより、出退用ねじ軸54と雌ねじ穴55の作用で、可動支持体36を、ローラビット31が開口部33から前方に突出される使用位置と、ローラビット31dが支持体保持室35内に引き込まれる収容位置との間で出退させることができる。
【0034】
交換用回動装置61は、ビット支持体41の後端外周部にリングギヤ62が略180°の範囲に形成され、ハウジング34の外周部で所定位置に設けられた支持部材64と背面カバー66との間に駆動軸65を介して、リングギヤ62に噛み合う駆動ピニオン63が配置されている。したがって、後端部に取り付けられた手動または自動旋回工具により駆動軸65を回転させることにより、駆動ピニオン63およびリングギヤ62の作用で可動支持体36を、出退軸心Osを中心として、ビット支持体41(収納穴37A)が開口部33に対面する使用位置と,閉鎖プラグ38(収納穴37B)が開口部33に対面する交換位置との間で往復回動させることができる。なお、リングギヤ62は、交換用出退装置61による可動支持体36の出退範囲で噛み合って追従できるように、歯幅が長いスプライン軸状に形成されている。
【0035】
前記収納穴37Bに収容された閉鎖プラグ38は、図2(b)に示すように、ビット支持体41と同一の長円筒形断面に形成されて、筒状本体38aの前面が前板38bで閉止されており、筒状本体38aの前端部に開口部33に嵌合可能な小径部38cが形成されている。
【0036】
収納穴37B内で閉鎖プラグ38を出退移動させるプラグ出退装置71が可動支持体36に設けられている。このプラグ出退装置71は、収納穴37Bに対応してビット支持体41の背面に取り付けられた支持部材72と、この支持部材72の中央部に設けられた雌ねじ部材73と、前端部が閉鎖プラグ38の前板38a背面に軸受を介して回転自在に支持され、前記雌ねじ部材73に螺合されたプラグ出退ねじ軸74を具備している。また、閉鎖プラグ38の外周部の所定位置と、小径部38aの外周面と段部端面とに溝部を介してプラグシール材(シール材)76A,76Bが全周にわたって設けられている。なお、プラグシール材76Aは、収納穴37Bの内周面に溝部を介して設けられていてもよい。したがって、プラグ出退ねじ軸74の後端部に取り付けられた操作ハンドル75を回転させることにより、閉鎖プラグ38を収納穴37Bから突出させて、その小径部38aを開口部33に嵌合させることにより、プラグシール材76Bを介して開口部33を密に閉鎖し泥水の浸入を防止することができる。
【0037】
前記ハウジング34には、支持体保持室35の前部空間に充填剤を供給する充填剤供給配管81が所定位置(図では上部)に接続され、また充填剤等を排水するドレン配管82が所定位置(図では下部)に接続されている。さらに支持体保持室35の前部空間を洗浄水により洗浄する洗浄水供給配管83が所定位置(図では上部)に接続されている。そして各配管81〜83にそれぞれ開閉バルブ81a〜83aが介在されている。したがって、可動支持体36が後退される時に、充填剤を供給することにより、開口部33から支持体保持室35内に泥水の浸入を防ぐことができる。
【0038】
(ローラビット交換方法)
上記ビット交換ユニット30における掘削ビット交換動作を、図5〜図12を参照して説明する。
【0039】
トンネルを所定距離掘削してローラビット31が磨耗すると、交換するビット交換ユニット30を有する主スポーク21が略水平となる姿勢でカッタヘッド16を停止させ、マンホール27から作業空間29に作業員が入って交換作業を行う。
【0040】
A)図5に示すように、第1ゲートバルブ45Aおよび第2ゲートバルブ45Bを閉じ、排泥配管44の短管44bを取り外す。この時、ドレン配管82の開閉弁82aは閉止されている。
【0041】
B)図6に示すように、交換用出退装置51の操作ハンドル56を操作して可動支持体36を後退させ、磨耗ローラビット31を開口部33から支持体保持室35内に引き込む。この時、開閉バルブ81aを操作して充填剤供給配管81から支持体保持室35の前部空間に充填剤の注入を適宜行い、開口部33から支持体保持室35内に泥水が浸入するのを防止する。
【0042】
C)図3(b)、図7に示すように、交換用回動装置61を手動または自動旋回工具を操作して可動支持体36を使用位置から交換位置に回動させ、閉鎖プラグ38を保持した収納穴37Bを開口部33に対面させる。
【0043】
D)図4,図8に示すように、プラグ出退装置71の操作ハンドル75を操作し、収納穴37B内の閉鎖プラグ38を前方に突出させて開口部33に嵌合させ、開口部33を閉鎖する。
【0044】
E)図9に示すように、開閉弁82aを開放して支持体保持室35の前部空間に充填された充填剤や泥水をドレン配管82から排出する。この時、必要に応じて、開閉弁83aを操作して洗浄水供給配管83から支持体保持室35内に洗浄水を供給して前部空間を洗浄し、ドレン配管82から排出する。そして、ビット支持体36から排泥配管44のテーパ管44aおよび第1ゲートバルブ45Aを取り外し、さらに図示しない引き抜き治具を使用して、磨耗ローラビット31を有するビット支持体41を収納穴37Aから引き抜く。
【0045】
F)図10に示すように、引き抜き治具を使用して、新規なローラビット31を有するビット支持体41を収納穴37Aに挿入し、テーパ管44aおよび第1ゲートバルブ45Aを取り付ける。そして開閉弁82aによりドレン配管82を開放し、開閉バルブ81aを操作して充填剤供給配管81から支持体保持室35の前部空間に充填剤を注入し充填する。
【0046】
G)図10に示す状態から、操作ハンドル75によりプラグ出退装置71を操作し、閉鎖プラグ38を収納穴37B内に後退させて開口部33を開放する。その後、旋回工具により交換用回動装置61を操作し、可動支持体36を交換位置から使用位置に回動させ、図11に示すように、新規ローラビット31を有するビット支持体41が保持された収納穴37Aを開口部33に対面させる。さらに図11に示す状態から図12に示すように、操作ハンドル56により交換用出退装置51を操作し、可動支持体36を突出させてビット支持体41の小径部41bを開口部33に嵌合させ、新規ローラビット31を主スポーク21の前面に突出させ、開口部33が閉鎖される。この時、充填された充填液は、開口部33およびドレン配管82から排出される。さらに第1ゲートバルブ45Aと第2ゲートバルブ45Bとの間に短管45bを接続して排泥配管44を連通させた後、第1,第2ゲートバルブ45A,45Bを開放する。
【0047】
(実施例1の効果)
上記実施例1のビット交換ユニット30によれば、磨耗したローラビット31の交換時に、可動支持体36を一旦後退して、開口部から突出されたローラビット31を支持体保持室35に収容した後、可動支持体36を回転させて姿勢変更するので、前面板32の開口部33のエッジと可動支持体36との摺接部分が無くなる。したがって、開口部33のエッジを通過するシール材がなくなり、砕石混じりの泥水によるシール性能の低下を防止することができる。また、可動支持体36を回動した後、可動支持体36から閉鎖プラグ38を突出して開口部33を閉じることができるので、泥水が流入することなく可動支持体から磨耗ローラビット31を有するビット支持体41をスムーズに抜き出すことができる。
【0048】
なお、このビット交換ユニット30では、ビット支持体41の外周面に配置されて収納穴37Aの内面に摺接するビットシール材40A、ビット支持体41の小径部41aの外周面に配置されて開口部33の内面に摺接するビットシール材40B、ハウジング34の内周面に配置されて可動支持体36の外周面に摺接する支持体シール材48、閉鎖プラグ38の外周面に配置されて収納穴37Bの内面に摺接するプラグシール材76A、閉鎖プラグ38の小径部41aの外周面に配置されて開口部33の内面に摺接するプラグシール材76B、およびセンターブロック52の外周面に配置されてガイド穴55の内面に摺接するブロックシール材57が設けられている。これらは、交換時に開口部33のエッジを通過することがなく、安定したシール性能が得られる。
【0049】
またハウジング34の前部に、充填剤供給配管81とドレン配管82と洗浄水供給配管83とを接続したので、可動支持体36が後退されて支持体保持室35に生じる前部空間に、充填剤を注入することにより、開口部33からの泥水等の浸入を効果的に防止することができ、泥水に含まれる砂利や砕石によるシール材の破損を効果的に減少させることができる。また、閉鎖プラグ38により開口部33を閉鎖した後、支持体保持室35の前部空間の充填剤や泥水をドレン配管82から排出し、さらに洗浄水供給配管83から洗浄水を前部空間に注入して洗浄し排水するので、ピット支持体41の抜き出しや装着をスムーズに行うことができ、シール材40A,40B,57,76A,76Bの破損を未然に防止できる。
【0050】
さらに、ビット支持体41に、ローラビット31により掘削された砕石交じりの泥水を排出する排泥通路42を出退軸心Os方向に形成するとともに、この排泥通路42に接続された排泥配管44を直線状に接続したので、砕石交じりの泥水を閉塞させることなくスムーズに圧力室28Aに排出することができる。また排泥配管44では、2個のゲートバルブ45A,45B間の短管44bを離脱可能とすることで、排泥配管44を備えたローラビット31を容易に交換することができる。
【0051】
[実施例2]
図15(a)(b)は、このビット交換ユニット90は、出退軸心Osを中心とする半径方向の対称位置に2個の開口部33A,33Bを形成し、可動支持体36の出退軸心Os周りに90度ごとに形成されて開口部33A,33Bに対面可能な4個の収納穴37Aa,37Ba,37Ab,37Bbに、ローラビット31A,31Bを備えたビット支持体41A,41Bと、閉鎖プラグ38A,38Bとを出退軸心Osの対称位置に配置したものである。なお、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
この実施例2では、交換用回動装置61によるビット支持体41の回動角を略90°とする他、2つのビット支持体の出退作業と、2つの閉鎖プラグ38による開口部33A,33Bの開閉作業を同時に行う以外は同様に交換作業を行うことができる。
【0053】
実施例2によれば、一度の交換作業に2個のローラビット31を交換することができ、実施例1同一の作用効果を奏することができる。
[実施例3]
図16および図17のビット交換ユニット100は、交換用掘削ビットをローラビット31からカッタビット31Cに替えたもので、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
カッタビット31Cのビット支持体41Cに排泥通路が無く、円形断面の収納穴37Cに収容されて排泥配管42が接続されることがない。また円形断面の閉鎖プラグ38Cが円形断面の収納穴37Dに収容されている。さらに主スポーク21の前面板32からのカッタビット101の突出量が大きいため、可動支持体36の後退距離を長く設定している以外は、ビット交換ユニット30と同じ構造となっている。もちろん、ビット交換時に排泥配管の離脱、接続作業が不要となる。
【0055】
実施例3によれば、ローラビット31と同様に、カッタビット31Cを交換することができ、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
なお、このビット交換ユニット100には、カッタビット31Cを1個配置したが、実施例2と同様に、出退軸心Osを中心として180°隔てて2個のカッタビット31Cと2個の閉鎖プラグ38A,38Bを配置してもよい。
【0056】
[実施例4]
本発明に係るビット交換ユニット130の実施例4を、図18〜図24を参照して、説明する。この実施例4は、図18に示すように、実施例1における閉鎖プラグ38を、新規なローラビット131を有しかつ開口部33を閉鎖可能なビット支持体141に変更したもので、実施例1と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
新規ローラビット131を有するビット支持体(新ビット支持体という)141は、掘削に使用した使用済みの磨耗ローラビット31を有するビット支持体(旧ビット支持体という)41と同一構造である。可動支持体36の収納穴37A,37Bに対する新旧ビット支持体41,141の出し入れは、実施例1で使用した引き抜き治具(図示せず)を使用する。新ビット支持体141の後部には、排泥通路42に連通するテーパ管44aを介して第1ゲートバルブ45Aが取り付けられている。そして新規ローラビット131を有する新ビット支持体141は、可動支持体36の収納穴37B内に全体が収納された格納位置に保持されている。
【0058】
上記構成のビット交換ユニット130によるローラビット31,131の交換動作を図19〜図24を参照して説明する。
H)図19に示すように、旧ビット支持体41の第1ゲートバルブ45Aおよび第2ゲートバルブ45Bを閉じ、排泥配管44の短管44bを取り外す。この時、ドレン配管82の開閉弁82aは閉止されている。
【0059】
I)図20に示すように、交換用出退装置51の操作ハンドル56を操作して可動支持体36を後退させ、掘削位置の磨耗ローラビット31を開口部33から支持体保持室35内に引き込み収納する。この時、開閉バルブ81aを操作して充填剤供給配管81から支持体保持室35の前部空間に充填剤の注入を適宜行い、開口部33から支持体保持室35内に泥水が浸入するのを防止する。
【0060】
J)図21に示すように、引き抜き治具を使用して、収納穴37B内の新ビット支持体141を前方に突出移動させ、新規ローラビット131を収納穴37Bから支持体保持室35の前部空間に突出させる。
【0061】
K)図22に示すように、手動または自動旋回工具を使用して交換用回動装置61を操作し、可動支持体36を使用位置から交換位置に略180°回動させて、収納穴37B内に新ビット支持体141が保持された新規ローラビット131を、開口部33に対面させる。
【0062】
L)引き抜き治具を使用して、旧ビット支持体41を後方に引き抜き、磨耗ローラビット31を完全に収納穴37A内に収納した格納位置とし、次いで図23に示すように、交換用出退装置51を操作して可動支持体36を突出させて、新規ローラビット131を開口部33から突出させ、新ビット支持体131を開口部33に嵌合させて閉鎖する。この時、支持体保持室35の前部空間内の充填剤や泥水は、開口部33から排出されるとともに、開閉バルブ82aを開けてドレン配管82から排出する。この時、洗浄水供給配管83から支持体保持室35の前部空間に洗浄水を注入して洗浄することもできる。
【0063】
M)図24に示すように、引き抜き治具を使用して、格納位置の磨耗ローラビット31を有する旧ビット支持体41を収納穴37Aから抜き出し、収納穴37Aを閉鎖板などで閉鎖しておいてもよいし、新規ローラビット131を有する新ビット支持体141を、収納穴37Aの格納位置に装填しておいてもよい。
【0064】
上記実施例4に係るビット交換ユニット130によれば、磨耗ローラビット31の交換時に、可動支持体36を後退して、開口部から突出されたローラビット31を支持体保持室35内に収容し、新規ローラビット131を収納穴37Bから支持体保持室35の前部空間に突出させた後、可動支持体36を回動させて姿勢変更するので、前面板32の開口部33のエッジと可動支持体36との摺接部分が無くなる。したがって、開口部33のエッジを通過するシール材がなくなり、砕石混じりの泥水によるシール性能の低下を防止することができる。
【0065】
詳細には、新旧ビット支持体41,141の外周面に配置されて収納穴37Aの内面に摺接するビットシール材40A、ビット支持体41,141の小径部41aの外周面に配置されて開口部33の内面に摺接するビットシール材40B、ハウジング34の内周面に配置されて可動支持体36の外周面に摺接する支持体シール材48、およびセンターブロック52の外周面に配置されてガイド穴55の内面に摺接するブロックシール材57は、交換時に開口部33のエッジをそれぞれ通過することがなく、安定したシール性能が得られる。
【0066】
また、可動支持体36を回動した後、可動支持体36を突出させて新規ローラビット131を有するビット支持体141により開口部33を閉じることができるので、泥水が流入することなく可動支持体36から磨耗ローラビット31を有する旧ビット支持体41をスムーズに、かつ短時間で抜き出すことができる。
【0067】
さらに、ビット支持体41に、ローラビット31により掘削された砕石交じりの泥水を排出する排泥通路42を出退軸心Os方向に形成するとともに、この排泥通路42に接続された排泥配管44を直線状に接続したので、砕石交じりの泥水を閉塞させることなくスムーズに圧力室28Aに排出することができる。また排泥配管44では、2個のゲートバルブ45A,45B間の短管44bを離脱可能とすることで、排泥配管44を備えたローラビット31を容易に交換することができる。
【0068】
さらにまた、実施例1の閉鎖プラグ38に替えて新規ローラビット131を有する新ビット支持体141としたので、ビット交換に要する工程を半減することができ、交換時間を大幅に短縮することができる。
【0069】
[実施例5]
図25のビット交換ユニット160は、実施例4を実施例2に適用した正面図を示したもので、先の実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。ハウジング34内の可動支持体36に略90°ごとに形成された収納穴37Aa,37Ab,37Ba,37Bbに、それぞれ磨耗ローラビット31A,31Bをそれぞれ有する旧ビット支持体41A,41Bと、新規なローラビット131A,131Bをそれぞれ有する新ビット支持体141A,141Bが出退自在に収納され、磨耗ローラビット31A,31Bが半径方向の対称位置に形成された開口部33A,33Bから前方に突出されている。実施例4とこの実施例5を比較すると、ビット交換時に可動支持体36の回転角が略90°である点、同時に2本のローラビット31A,31Bを新規ローラビット131A,131Bに交換できる点以外は共通している。そして実施例5は、実施例4と同様の作用効果を奏し、実施例2と同様に効率よくビット交換作業を行うことができる。
【0070】
[実施例6]
図25〜図27は、実施例4のローラビット31,131に替えて、磨耗カッタビット31Cを有する旧ビット支持体41Cおよび新規カッタビット131Cを有する新ビット支持体141Cを設けたビット交換ユニット200で、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
旧ビット支持体41Cは可動支持体36の収納穴37C,37Dの掘削位置に、新ビット支持体141Cは可動支持体36の収納穴37D内に格納位置にそれぞれ保持されている。
【0072】
カッタビットの交換動作は、
O)図26(a)に示す交換開始状態では、交換用出退装置51の操作ハンドル56を操作して可動支持体36を後退させ、図26(b)に示すように、掘削位置の磨耗ローラビット31を開口部33から支持体保持室35内に引き込み収容する。この時、ドレン配管82の開閉弁82aは閉止されており、開閉バルブ81aを操作して充填剤供給配管81から支持体保持室35の前部空間に充填剤の注入を適宜行い、開口部33から支持体保持室35内に泥水が浸入するのを防止する。
【0073】
P)図26(b)に仮想線で示すように、引き抜き治具を使用して、収納穴37B内の新ビット支持体141を前方に突出移動させ、新規ローラビット131を収納穴37Bから支持体保持室35の前部空間に突出させる。
【0074】
Q)図27(c)に示すように、手動または自動旋回工具を使用して交換用回動装置61を操作し、可動支持体36を使用位置から交換位置に略180°回動させて、収納穴37Bに保持された新規ローラビット131を開口部33に対面させる。さらに図27(c)に仮想線で示すように、引き抜き治具を使用して、旧ビット支持体41Cを収納穴37A内の格納位置に後退させる。
【0075】
R)図27(d)に示すように、交換用出退装置51を操作して可動支持体36を突出させ、新規ローラビット131を開口部33から突出させ、新ビット支持体141Cを開口部33に嵌合させて開口部33を閉鎖する。この時、支持体保持室35の前部空間内の充填剤や泥水を開口部33から排出するとともに、開閉バルブ82aを開けてドレン配管82から排出する。なお、この時に洗浄水供給配管83から支持体保持室35の前部空間に洗浄水を注入して洗浄してもよい。
【0076】
S)引き抜き治具を使用して、格納位置の磨耗ローラビット31を有する旧ビット支持体41を収納穴37Aから抜き出す。その後、収納穴37Aを閉鎖板で閉鎖しておいてもよいし、新規ローラビット131を有する新ビット支持体141を収納穴37Aの格納位置に装填しておいてもよい。
【0077】
実施例6によれば、交換手順において、排泥配管44の分離、接続以外は、実施例4と同様に行われ、実施例4と同様の作用効果を奏することができる。
[実施例7]
図28に示すように、このビット交換ユニット200に、実施例6を実施例2と同様に、可動支持体36に90°隔てて4個の収納穴37Aa,37Ab,37Ba,37Bbを形成するとともに、前面板32で半径方向の対称位置に2個の開口部33C,33Dを形成し、磨耗カッタビット31Cを有する旧ビット支持体41Cと、新規カッタビット131Cを有する新ビット支持体141Cとを2組ずつ配置したビット交換ユニット210で、実施例2と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0078】
実施例7とこの実施例6を比較すると、ビット交換時に可動支持体36の回転角が略90°である点、同時に2本のカッタビット31C,31Cを新規カッタビット131C,131Cに交換できる点以外は共通している。そして実施例5は、実施例4と同様の作用効果を奏し、実施例2と同様に効率よくビット交換作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
O シールド軸心
Os 出退軸心
11 シールド本体
16 カッタヘッド
21 主スポーク
27 マンホール
29 作業空間
30 ビット交換ユニット(掘削ビット交換装置)
31 ローラビット(掘削ビット)
31A,31B ローラビット(掘削ビット)
31C カッタビット(掘削ビット)
32 前面板
33 開口部
33A,33B 開口部
33C 開口部
34 ハウジング
35 支持体保持室
36 可動支持体
37A,37B 収納穴
37Aa,37Ab,37Ba,37Bb 収納穴
37C,37D 収納穴
38 閉鎖プラグ
38A,38B 閉鎖プラグ
38C 閉鎖プラグ
40A ビットシール材(シール材)
40B ビットシール材(シール材)
41 ビット支持体
41C ビット支持体
42 排泥通路
43 支軸
44 排泥配管
44b 短管
45A 第1ゲートバルブ(遮断バルブ)
45B 第2ゲートバルブ(遮断バルブ)
51 交換用出退装置
61 交換用回動装置
71 プラグ出退装置
76A,76B プラグシール材(シール材)
81 充填剤供給配管
82 ドレン配管
83 洗浄水供給配管
90 ビット交換ユニット
100 ビット交換ユニット
101 カッタビット
102 ビット本体
131 ローラビット
131C カッタビット
141 ビット支持体
141C ビット支持体
200 ビット交換ユニット
210 ビット交換ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カッタヘッド前面に配置されて磨耗した掘削ビットを、掘削途中でカッタヘッド内に形成した作業空間から交換するシールド掘進機の掘削ビット交換装置であって、
作業空間内で、カッタヘッドの前面板に形成された開口部の背面に支持体保持室を形成し、
当該支持体保持室に、前記前面板に垂直な出退軸心周りに回動自在でかつ当該出退軸心に沿って所定範囲で出退自在な可動支持体を配置し、
当該可動支持体に、前記開口部に対面可能に形成された一対で単数組または複数組の収納穴のうち、一方の収納穴に、掘削ビットを有するビット支持体を出退可能に設けるとともに、他方の収納穴に前記開口部を閉鎖可能な閉鎖プラグを出退可能に設け、
前記支持体保持室の内周面と前記可動支持体の間、および収納穴の内周面と閉鎖プラグの間、ならびに収納穴とビット支持体の間にそれぞれシール材を設け、
掘削ビットの交換時に、前記可動支持体を後退して掘削ビットを前記支持体保持室に収容し、前記可動支持体を回動して他方の収納穴を前記開口部に対面させ、前記閉鎖プラグを突出させて前記開口部を閉鎖した後、磨耗した掘削カッタを有するビット支持体を収納穴から抜き出して、新規な掘削ビットを有するビット支持体と交換する
ことを特徴とするシールド掘進機の掘削ビット交換装置。
【請求項2】
カッタヘッド前面に配置されて磨耗した掘削ビットを、掘削途中でカッタヘッド内に形成した作業空間から交換するシールド掘進機の掘削ビット交換装置であって、
作業空間内で、カッタヘッドの前面板に形成された開口部の背面に支持体保持室を形成し、
当該支持体保持室に、前記前面板に垂直な出退軸心周りに回動自在でかつ当該出退軸心に沿って所定範囲で出退自在な可動支持体を配置し、
当該可動支持体に前記開口部に対面可能に形成された一対で単数組または複数組の収納穴のうち、一方の収納穴に、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を出退可能に配置するとともに、他方の収納穴に新規な掘削ビットを有する新ビット支持体を出退可能に配置し、
前記支持体保持室の内周面と前記可動支持体の間、および各収納穴の内周面とビット支持体の間にそれぞれシール材を設け、
掘削ビットの交換時に、前記可動支持体を後退して磨耗掘削ビットを前記支持体保持室に収容し、前記可動支持体を回動して他方の収納穴を前記開口部に対面させ、前記新ビット支持体を突出させた後、前記可動支持体を突出して新規なビットを前記開口部から突出させてこの新ビット支持体により前記開口部を閉鎖し、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を収納穴から抜き出す
ことを特徴とするシールド掘進機の掘削ビット交換装置。
【請求項3】
支持体保持室で、後退された可動支持体の前部空間に充填剤を注入する供給配管と、前記前部空間から充填剤および泥水を排出するドレン配管とを設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載のシールド掘進機の掘削ビット交換装置。
【請求項4】
掘削ビットをローラビットとし、
ビット支持体に、ローラビットの周囲から出退軸心方向に沿う排泥通路を貫通形成し、
前記排泥通路とカッタヘッドの外面とを連通する排泥配管を、出退軸心に平行でかつ接続離脱自在に設け、
当該排泥配管の離脱位置の前後に遮断バルブを介在させた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシールド掘進機の掘削ビット交換装置。
【請求項5】
カッタヘッドの前面板から開口部を介して突出された掘削ビットを、掘削途中で当該カッタヘッド内に形成された作業空間から交換するに際し、
前面板の開口部背面に形成された支持体保持室内で、可動支持体を後退させることにより、当該可動支持体にビット支持体を介して保持された掘削ビットを、前記開口部から後退させて支持体保持室内に収容し、
前記可動支持体の後退移動中に、前記可動支持体が後退して生じた前記支持体保持室の前部空間に充填剤を注入し、
前記可動支持体を回動して姿勢変更した後、当該可動支持体から閉鎖プラグまたは新規掘削ビットを有する新ビット支持体を突出して前記開口部を閉鎖し、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を前記可動支持体から抜き出す
ことを特徴とするシールド掘進機の掘削ビット交換方法。
【請求項6】
閉鎖プラグにより開口部を閉鎖する場合、
支持体保持室の前部空間から充填剤および泥水を排出した後、磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を可動支持体から抜き出し、
新規掘削ビットを有する新ビット支持体を前記可動支持体に装填し、
閉鎖プラグを前記開口部から後退した後、前記可動支持体を回動して姿勢変更し、新規掘削ビットを有する新ビット支持体を前記開口部から突出させる
ことを特徴とする請求項5記載のシールド掘進機の掘削ビット交換方法。
【請求項7】
新規掘削ビットを有する新ビット支持体により開口部を閉鎖する場合、
後退された可動支持体から新規掘削ビットを有する新ビット支持体を突出させた後、可動支持体を回動して姿勢変更し、
さらに前記可動支持体を突出して支持体保持室の前部空間から充填剤および泥水を排出するとともに、前記新ビット支持体を前記開口部に嵌合させて閉鎖し、
磨耗掘削ビットを有する旧ビット支持体を前記可動支持体から抜き出す
ことを特徴とする請求項5記載のシールド掘進機の掘削ビット交換方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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