説明

シールド部材及びシールド導電体

【課題】本発明は、第1シールド部材と第2シールド部材との接続不良が抑制されたシールド部材及びシールド導電体を提供する。
【解決手段】互いに対向する一対の対向壁37,37と一対の対向壁37,37間を連ねる湾曲した一対の湾曲壁38,38とからなる扁平な形状の筒部35に電線14が挿通される金属製のブラケット16と、電線14が挿通されると共に端末部が筒部35の一方の端部を覆った状態で外嵌される編組線17と、筒部35に外嵌された編組線17を外周側からかしめ付けて固定するカシメリング18とを備えたシールド部材10であって、筒部35の他方の端部のうち、少なくとも一対の湾曲壁38,38には湾曲壁38の肉厚方向の外方に突出する突出縁部36が形成されており、一対の対向壁37,37には、突出縁部36が形成されないことにより筒部35の径方向外方に撓み変形可能な可撓領域が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド部材及びシールド導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線の周囲をシールド部材で包囲してなるシールド導電体として特許文献1に記載のものが知られている。このシールド導電体の端部にはコネクタが取り付けられている。シールド導電体は、電線と、電線が挿通される筒部を有するシールド部材と、を備える。シールド部材は、電線が挿通される金属製のブラケット(第1シールド部材)と、電線が挿通されると共に端末部が筒部に外嵌される編組線(第2シールド部材)と、ブラケットの筒部に外嵌された編組線を外周側からかしめ付けて固定するカシメリングと、を備える。編組線が筒部の外周に外嵌された状態で、カシメリングで外側からかしめ付けられることにより、ブラケットと編組線とが電気的に接続されている。これにより、ブラケット及び編組線に挿通された電線が電磁的にシールドされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−276570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シールド導電体のシールド性能を向上させるためには、筒部と編組線とを強固に接続することが考えられた。このためには、カシメリングを筒部にかしめ付けた時に、筒部が縮径方向に撓み変形してしまうことを抑制することが望ましいと考えられた。
【0005】
そこで、図13に示すように、筒部135のうち編組線(図示せず)が外嵌された端部と反対側の端部に、筒部135の径方向外方に突出する突出縁部136を、筒部135の全周に亘って形成することが考えられた。これにより、筒部135にカシメリング118をかしめ付けることにより、カシメリング118から筒部135に対して矢線Xで示す方向に力が加えられても、筒部135に形成された突出縁部136によってこの力が受けられ、筒部135が径方向内方に撓み変形することが抑制されると考えられた。
【0006】
しかし、突出縁部136を筒部135の全周に亘って形成しても、依然として、筒部135のうち長径方向の略中央付近において、筒部135がその径方向内方(矢線Yで示す方向)に撓み変形し勝ちで、その結果、編組線を筒部135とカシメリング118との間に十分に締め付けることができなかった。
【0007】
その理由は、次のようであると推測される。筒部135に編組線をカシメリング118でかしめ付けると、筒部135には縮径されるような力が加わり、その力は筒部135に連なる突出縁部136によっても受けられる。筒部135の小径側の両端部(湾曲壁部分)に加わる強い縮径力は、突出縁部136が筒部135の全周にわたって連続しているから、筒部135のうち小径側の両端部以外の部分(湾曲壁間に位置する一対の対向壁)にも突出縁部136から押さえ込まれるような力を受け、結局、筒部135の対向壁にも強い力が加えられてしまい、筒部135は、その径方向内方(矢線Yで示す方向)に撓み変形してしまうのである。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、第1シールド部材と第2シールド部材との接続不良が抑制されたシールド部材及びシールド導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、互いに対向する一対の対向壁と前記一対の対向壁間を連ねる湾曲した一対の湾曲壁とからなる扁平な形状の筒部に電線が挿通される金属製の第1シールド部材と、前記電線が挿通される編組線からなり端末部が前記筒部の一方の端部を覆った状態で外嵌される第2シールド部材と、前記筒部に外嵌された前記編組線を外周側からかしめ付けて固定するカシメリングとを備えたシールド部材であって、前記筒部の他方の端部のうち、少なくとも前記一対の湾曲壁には前記湾曲壁の肉厚方向の外方に突出する突出縁部が形成されており、前記一対の対向壁には、前記突出縁部が形成されないことにより前記筒部の径方向外方に撓み変形可能な可撓領域が形成されている。
【0010】
また、本発明は、電線と、互いに対向する一対の対向壁と前記一対の対向壁間を連結する湾曲した一対の湾曲壁とからなる扁平な形状の筒部に前記電線が挿通される金属製の第1シールド部材と、前記電線が挿通される編組線からなり端末部が前記筒部の一方の端部側から外嵌される第2シールド部材と、前記筒部に外嵌された前記編組線を外周側からかしめ付けて固定するカシメリングとを備えたシールド導電体であって、前記筒部の他方の端部のうち、少なくとも前記一対の湾曲壁には前記湾曲壁の肉厚方向の外方に突出する突出縁部が形成されており、前記一対の対向壁には、前記突出縁部が形成されないことにより前記筒部の径方向外方に撓み変形可能な可撓領域が形成されている。
【0011】
本発明によれば、可撓領域が筒部の径方向外方に撓み変形することにより、カシメリングと可撓領域との間において第2シールド部材を確実に挟持することができる。これにより、第1シールド部材と第2シールド部材との電気的な接続を確実にすることができる。また、第1シールド部材と第2シールド部材との引っ張り強度を向上させることができる。
【0012】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。前記一対の対向壁は、前記筒部の径方向外方について凸形状に湾曲していることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、一対の対向壁は、カシメリングがかしめ付けられたときに、確実に、筒部の径方向外方に撓み変形する。これにより、第1シールド部材と第2シールド部材との電気的な接続及び、引っ張り強度を確実に向上させることができる。
【0014】
前記一対の対向壁には、前記対向壁の肉厚方向の外方に突出すると共に、前記突出縁部と離間した突出部が形成されており、前記突出部は機器のケースと接触することが好ましい。
【0015】
上記の態様によれば、突出部が機器のケースと接触することにより、ケースと第1シールド部材との接触面積が増大するので、シールド性能を向上させることができる。また、突出部は突出縁部と離間しているので、筒部を拡径変形させようとする力が、突出部から突出縁部に伝達されて、突出縁部によって受けられることはない。この結果、筒部は容易に拡径変形することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1シールド部材と第2シールド部材との接続不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係るコネクタを示す側面図
【図2】コネクタを示す側断面図
【図3】ブラケットを示す平面図
【図4】ブラケットを示す背面図
【図5】ブラケットにカシメリングが取り付けられた状態を示す一部省略背面図
【図6】コネクタハウジングに対してブラケット及びカシメリングが分離された状態を占める側断面図
【図7】実施形態2に係るブラケットを示す平面図
【図8】実施形態2に係るブラケットを示す背面図
【図9】実施形態3に係るブラケットを示す平面図
【図10】実施形態3に係るブラケットを示す背面図
【図11】実施形態4に係るブラケットを示す平面図
【図12】実施形態4に係るブラケットを示す背面図
【図13】従来技術に係るブラケットにカシメリングが取り付けられた状態を示す一部省略背面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明に係るシールド部材10及びシールド導電体11をコネクタ12に適用した実施形態1について、図1ないし図6を参照しつつ説明する。シールド導電体11は、図示しないハイブリッド自動車や電気自動車等の車両において、図示しないインバータ、モータ(ジェネレータ)、バッテリ間等の動力電線として配設される。本実施形態に係るコネクタ12は、インバータとモータとの間に配設されるシールド導電体11の端末に取り付けられて、図示しないインバータのケース(図示せず)に組み付けられる。以下では、上下方向については、図1を基準とし、前後方向については、図1の左方を前方、右方を後方として説明する。
【0019】
(コネクタ12)
コネクタ12は、合成樹脂製のコネクタハウジング13の内部に、複数の電線14の端末に接続された複数の端子金具15が収容されている。シールド導電体11は、複数の電線14と、この電線14を電磁的にシールドするシールド部材10と、を備える。シールド部材10は、電線14が挿通される金属製のブラケット16(第1シールド部材に相当)と、電線14が挿通されることで電線14を一括して包囲する編組線17(第2シールド部材に相当)と、編組線17の端部をブラケット16との間で加締めて保持するカシメリング18と、を備える。
【0020】
電線14は、芯線19の周囲が絶縁被覆20で覆われてなる被覆電線14である。芯線19は、多数の金属素線が撚り合わされてなる撚り線が用いられている。
【0021】
図2に示すように、金属製の端子金具15は、インバータ側の相手端子(図示せず)に対して接続可能な機器接続部21と、電線14の端末に露出した芯線19にかしめ付けられるバレル部22とから構成される。機器接続部21は、片持ちの板状をなすとともに、その先端部には相手端子に対して固定するためのボルト(図示せず)を挿通可能な貫通孔23が形成されている。端子金具15及び電線14の外側には、合成樹脂でモールド成形されることによりモールド部24が形成されている。上記した機器接続部21はモールド部24から外方に突出されている。
【0022】
コネクタハウジング13は、端子金具15及び電線14を保持する合成樹脂製の部材であって、端子金具15、電線14、及びモールド部24が収容されるようになっている。
【0023】
コネクタハウジング13の外面には、機器のケースとの間に介在して、コネクタハウジング13とケースとの間をシールするシールリング25が取り付けられている。また、電線14の絶縁被覆20にはゴム栓26が外嵌されており、このゴム栓26は、コネクタハウジング13の内面と密着することにより、電線14とコネクタハウジング13との間をシールするようになっている。ゴム栓26の後方には、コネクタハウジング13からゴム栓26が抜けるのを規制する合成樹脂製のゴム栓保持部材27が、コネクタハウジング13に取り付けられている。
【0024】
モールド部24の前端部には外方側に段差状に張り出す段差部28が全周に亘って形成されており、この段差部28にコネクタハウジング13の前端部が後方から突き当てられる。モールド部24の上下には、電線14における径方向の外側へ突出する係止凸部29がそれぞれ設けられている。
【0025】
コネクタハウジング13は、全体として前後に開口した略筒状をなし、モールド部24に対して電線14の軸方向に沿って後方から組み付けられるとともに内部に電線14が挿通可能とされる。コネクタハウジング13の内面には、モールド部24の係止凸部29に係止する係止凹部30が設けられている。
【0026】
コネクタハウジング13の前端側の外周面には、シールリング25が装着されている。コネクタハウジング13の後端部の内周面には、ゴム栓26及びゴム栓保持部材27を装着可能な装着凹部32が設けられている。ゴム栓保持部材27には、コネクタハウジング13の係止孔33に係止してゴム栓26を抜け止めする係止爪34が上下にそれぞれ突設されている。
【0027】
(シールド部材10)
金属製のブラケット16は、コネクタハウジング13に対して後方から外嵌可能とされており、図3及び図4に示すように、左右方向に細長い扁平な長円形状の筒部35と、筒部35の左右両端部から、筒部35の径方向外方に張り出す突出縁部36と、を備える。
【0028】
筒部35は、互いに上下に対向配置された一対の対向壁37,37と、これら一対の対向壁37,37の両側で一対の対向壁37,37の間を連ねる湾曲した一対の湾曲壁38,38とからなる。
【0029】
一対の対向壁37,37は、ほぼ一定の間隔を空けて左右方向に略水平に延びている。詳細に説明すると、一対の対向壁37,37は、筒部35の径方向外方について僅かに凸形状に湾曲して形成されている。
【0030】
湾曲壁38は、半円筒形状(半円形状)であって、左右方向に膨らむようにほぼ一定の曲率でU字状に湾曲している。
【0031】
突出縁部36は、筒部35の前端部のうち、一対の湾曲壁38,38が形成された領域に、湾曲壁38の肉厚方向外方に突出して形成されている。突出縁部36は、機器のケースに取り付けられるようになっている。突出縁部36には、円形の取り付け孔39が貫通形成されており、ボルト等をケースのねじ孔に挿通することにより、突出縁部36とケースとを一体に固定するようになっている。
【0032】
編組線17は、銅にスズメッキが施された複数本の金属細線を編み込んで構成されている。編組線17は、複数の電線14を一括して包囲することが可能な横長な筒状に形成されており、電線14の軸方向に沿って延出されている。編組線17は、ブラケット16の筒部35に対して筒部35の後端部側から外嵌されるようになっている。筒部35の後端部は編組線17によって覆われている。
【0033】
カシメリング18は金属製であって、例えばアルミニウムやアルミニウム合金からなる。カシメリング18は略筒状をなしており、カシメ前においては、ブラケット16の筒部35よりもやや大きい長円形状をなし、治具等を用いてかしめ付けられた後は、筒部35の外周の全体に密着するとともに、周径の余った部分は、図5に示すように、2重に重なった折り返し部40として左右にそれぞれ水平に突出する。折り返し部40は、筒部35の湾曲壁38に対応する位置に形成される。
【0034】
図5に示すように、筒部35のうち一対の対向壁37,37が形成された領域には、突出縁部36は形成されていない。これにより、対向壁37のうち突出縁部36が形成されていない領域は、筒部35の径方向外方(図5における矢線Aで示す方向)について撓み変形可能な可撓領域とされる。なお、図5には、ブラケット16とカシメリング18以外の構成については省略して記載してある。
【0035】
(組み付け工程)
続いて、本実施形態に係るコネクタ12の組み付け工程について説明する。なお、組み付け工程は、以下の説明に限定されない。
【0036】
まず、電線14の端末に端子金具15を圧着接続し、それらの接続部分の周りにモールド部24をモールド成形する。また、各電線14にコネクタハウジング13、ゴム栓26、ブラケット16、編組線17及びカシメリング18を先通ししておき、コネクタハウジング13をモールド部24に対して後方から組み付ける。
【0037】
次に、図6に示すように、コネクタハウジング13に対して後方(矢線Cで示す方向)からブラケット16を組み付け、編組線17の前端部を筒部35に対して後方から外嵌させるとともに、その編組線17の前端部に対してカシメリング18を後方から外嵌させる。
【0038】
そして、編組線17の前端部を筒部35とカシメリング18との間に介在させた状態で、カシメリング18を外部から治具を使って全周に亘ってかしめ付けると、カシメリング18の左右両側が折り重なって折り返し部40として突出し、筒部35の外周の全周に亘って編組線17が筒部35とカシメリング18との間で挟持される。
【0039】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。まず、従来技術における問題点について図13を参照して説明する。従来技術に係るシールド部材においては、ブラケット116の筒部135には、筒部135の全周に亘って、筒部135の径方向外方に突出する突出縁部136が形成されている。この突出縁部136の筒部135に編組線をカシメリング118でカシメ付けると、筒部135には縮径される方向(図13における矢線Xで示す方向)の力が加わり、その力は筒部135に連なる突出縁部136によっても受けられる。筒部135の小径側の両端部(湾曲壁部分)に加わる強い縮径力は、突出縁部136が筒部135の全周にわたって連続しているから、筒部135のうち小径側の両端部以外の部分(湾曲壁間に位置する一対の対向壁)にも突出縁部136から押さえ込まれるような力を受け、結局、筒部135の対向壁にも強い力が加えられてしまい、筒部135は、その径方向内方(矢線Yで示す方向)に撓み変形してしまうと考えられる。
【0040】
これに対し本実施形態によれば、ブラケット16の筒部35にカシメリング18がかしめ付けられ、折り返し部40が湾曲壁38に対応する領域に形成されると、湾曲部に対しては、カシメリング18から、筒部35の径方向内方(図5における矢線Bで示す方向)に圧縮する力が加えられる。すると、筒部35のうち対向壁37については、その反作用によって拡径方向(図5における矢線Aで示す方向)の力が加えられる。本実施形態においては、一対の対向壁37,37には突出縁部36が形成されていないことにより、撓み変形可能な可撓領域が形成されている。この可撓領域が筒部35の径方向外方に撓み変形するということは、筒部35とカシメリング18との隙間が一層小さくなることを意味する。これにより、カシメリング18と可撓領域との隙間間において編組線17を確実に挟持することができる。これにより、ブラケット16と編組線17との電気的な接続を確実にすることができる。また、ブラケット16と編組線17との引っ張り強度を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態においては、一対の対向壁37,37は、筒部35の径方向外方について凸形状に湾曲している。これにより、一対の対向壁37,37は、カシメリング18がかしめ付けられたときに、確実に、筒部35の径方向外方に撓み変形する。これにより、ブラケット16と編組線17との電気的な接続及び、引っ張り強度を確実に向上させることができる。この結果、ブラケット16と編組線17との接続不良を抑制することができる。
【0042】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について図7ないし図8を参照しつつ説明する。本実施形態においては、突出縁部46の上下方向の高さ寸法は、湾曲壁38の上下方向の高さ寸法を略同じに設定されている。
【0043】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0044】
本実施形態によれば、ブラケット45の高さ寸法を小さくすることができるので、シールド部材10及びシールド導電体11を全体として小型化することができる。
【0045】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3について図9ないし図10を参照しつつ説明する。本実施形態においては、ブラケット55の突出縁部56の上下方向の高さ寸法は、一対の対向壁37,37の外面における上下方向の高さ寸法と略同じに形成されている。これにより、一対の対向壁37,37に形成された可撓領域Qの左右方向の幅寸法は、比較的に狭くなっている。
【0046】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0047】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4について図11ないし図12を参照しつつ説明する。本実施形態においては、一対の対向壁37,37には、対向壁37の肉厚方向の外方に突出する複数の突出部60が、互いに間隔を空けて形成されている。突出部60は突出縁部36とは離間して形成されている。突出部60は、ブラケット65がケースに取り付けられた状態で、ケースと接触するようになっている。
【0048】
本実施形態においては、隣り合う突出部60の間に、複数の可撓領域Rが形成されている。複数の可撓領域Rは、互いに突出部60によって分断されているが、全体として対向壁37を撓み変形可能にしている。
【0049】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0050】
本実施形態によれば、突出部60が機器のケースと接触することにより、ケースとブラケット65との接触面積が増大するので、シールド性能を向上させることができる。また、突出部60は突出縁部36と離間しているので、筒部35を拡径変形させようとする力が、突出部60から突出縁部36に伝達されて、突出縁部36によって受けられることはない。この結果、筒部35は容易に拡径変形することができる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、一対の対向壁37,37は、筒部35の径方向外方について凸形状に僅かに湾曲する形状としたが、これに限られず、一対の対向壁37,37は、平坦な形状としてもよい。
【0052】
(2)本実施形態においては、第1シールド部材としてブラケット16を用いたが、これに限られず、例えば、第1シールド部材として、コネクタハウジング13の外側を包囲するように取り付けられて、コネクタハウジング13を電磁的にシールドするシールドシェルを用いてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…シールド部材
11…シールド導電体
14…電線
16,45,55,65…ブラケット(第1シールド部材)
17…編組線(第2シールド部材)
18…カシメリング
35…筒部
36,46,56…突出縁部
37…対向壁
38…湾曲壁
60…突出部
P,Q,R…可撓領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の対向壁と前記一対の対向壁間を連ねる湾曲した一対の湾曲壁とからなる扁平な形状の筒部に電線が挿通される金属製の第1シールド部材と、
前記電線が挿通される編組線からなり端末部が前記筒部の一方の端部を覆った状態で外嵌される第2シールド部材と、
前記筒部に外嵌された前記編組線を外周側からかしめ付けて固定するカシメリングとを備えたシールド部材であって、
前記筒部の他方の端部のうち、少なくとも前記一対の湾曲壁には前記湾曲壁の肉厚方向の外方に突出する突出縁部が形成されており、
前記一対の対向壁には、前記突出縁部が形成されないことにより前記筒部の径方向外方に撓み変形可能な可撓領域が形成されているシールド部材。
【請求項2】
前記一対の対向壁は、前記筒部の径方向外方について凸形状に湾曲している請求項1に記載のシールド部材。
【請求項3】
前記一対の対向壁には、前記対向壁の肉厚方向の外方に突出すると共に、前記突出縁部と離間した突出部が形成されており、前記突出部は機器のケースと接触する請求項1または請求項2に記載のシールド部材。
【請求項4】
電線と、
互いに対向する一対の対向壁と前記一対の対向壁間を連結する湾曲した一対の湾曲壁とからなる扁平な形状の筒部に前記電線が挿通される金属製の第1シールド部材と、
前記電線が挿通される編組線からなり端末部が前記筒部の一方の端部側から外嵌される第2シールド部材と、
前記筒部に外嵌された前記編組線を外周側からかしめ付けて固定するカシメリングとを備えたシールド導電体であって、
前記筒部の他方の端部のうち、少なくとも前記一対の湾曲壁には前記湾曲壁の肉厚方向の外方に突出する突出縁部が形成されており、
前記一対の対向壁には、前記突出縁部が形成されないことにより前記筒部の径方向外方に撓み変形可能な可撓領域が形成されているシールド導電体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−45557(P2013−45557A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181534(P2011−181534)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】