説明

シールビード及びエンボス加工を備える平形シール並びにその製造方法

本発明は、金属製平形シール、特にシリンダヘッドガスケットに関し、少なくとも1つの貫通孔、機能層(2)、スペーサ層(4)、及び、機能層(2)とスペーサ層(4)との間に配置されたストッパ層(6)、並びに、全ての貫通孔の周囲の、機能層(2)中の、ストッパ層(6)の方向を向いている、閉じたシールビード(12)を備え、このシールは、加えて、全ての貫通孔の周囲の、少なくともストッパ層(6)、機能層(2)又はスペーサ層(4)中の、固定補助体を形成する、エンボス加工された閉じた輪郭(16)を備える。
本発明は、さらに、少なくとも1つの貫通孔を有する、金属製平形シール、特にシリンダヘッドガスケットの製造方法に関し、次のステップ:機能層(2)、スペーサ層(4)、及び機能層(2)とスペーサ層(4)との間に配置されたストッパ層(6)を提供するステップ、各貫通孔の周囲の、機能層(2)中に、ストッパ層(6)の方向を向いている、閉じたシールビード(12)を提供するステップ、及び、各貫通孔の周囲の、少なくともストッパ層(6)、機能層(2)又はスペーサ層(4)中に、固定補助体を形成する、閉じた輪郭(16)をエンボス加工するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールビード並びにエンボス加工された滑り止め及び/又はエンボス加工された追加のシールを備える金属製平形シール、特にシリンダヘッドガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
金属製平形シールのシール機能は、とりわけ、局所的な圧縮の増大をもたらし、かつシリンダ開口部のような通路や水や油の流路を閉鎖するように囲むシールビードを形成することにより発生される。シールビードにおいて、1つ又は複数の線状のシールゾーンが作り出される。シールビードは、ハーフビードまたはフルビードとして形成することができる。
【0003】
しかしながら、シールビードは、限られた変形の範囲内のみにおいて最適に機能する。一方では、シールビードのわずかで弾性的な変形によってシールを作り出すように、最小限の圧縮が確保される必要がある。他方では、シールビードは、完全に平坦に押圧されてはならず、特に塑性変形してはならず、弾性を維持しなければならず、そうでなければシール効果がなくなってしまう。したがって、エンジン動作中において、シールビードが弾性変形の範囲内で機能することができるように必要がある。
【0004】
完全な平坦化を防止するために、いわゆる圧縮リミッタ又はストッパが用いられる。これは、シールビードの近くの局所的厚さの増加を伴う。圧縮リミッタの最大厚さは、最小限の変形が可能であるように選択され、同時に最小厚さは、圧力下で最大限起こりうる変形がシールビードを塑性変形させるのには十分でないように選定される。
【0005】
2以上のシリンダを有するエンジン用のシリンダヘッドガスケットの場合、圧縮リミッタはめがね状の形状(即ち、連結リングの形状)に構成することができる。ストッパを形成するために層にフランジを付けることができるが、しかしながら、それは柔軟性が低く、またシール層の縁においてのみ可能である。圧縮リミッタとその下部の層とを有するシールであって、圧縮リミッタと前記層との間に被覆材料が設けられているシールは技術的に既知である。追加のストッパ層を固定するために、レーザ溶接または機械接合の技法によって機能層、スペーサ層または同様に、保護層上に圧縮リミッタを固定することが技術的に知られている。
【0006】
しかしながら、追加の層としてストッパを固定するこれらの方法の場合、圧縮リミッタまたはストッパグランドがエンジン動作中、移動するという危険性がある。また、ストッパ層と隣接層との間から、または、一般に、任意の層間から漏洩ガスが突き通るか、または漏れる可能性がある。従来技術において、これは、それぞれの層のうちの1層に塗布される被覆によって防止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、層間の改良された滑り止めおよび/または改良されたシールを含む、一般的な平形シールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、金属製平形シール、特に少なくとも1つの貫通孔を有するシリンダヘッドガスケットであって、機能層、スペーサ層、及び、前記機能層と前記スペーサ層との間に配置されたストッパ層、各貫通孔の周囲の、前記機能層中の1つの閉じたシールビード、及び、各貫通孔の周囲の、少なくとも前記ストッパ層、前記機能層又は前記スペーサ層中の1つのエンボス加工された閉じた輪郭であって、当該輪郭は、固定補助体を形成する輪郭、を備える、金属製平形シールが提供される。
【0009】
本発明によれば、エンボス加工は、固定補助体を形成し、これにより、滑りを効果的に防止することができる。板の滑りは、固定補助体により形成された追加の支持によって防止することができる。
【0010】
一実施形態によれば、前記スペーサ層及び前記ストッパ層は、互いに支え合い、前記エンボス加工された輪郭は、前記スペーサ層及び前記ストッパ層中で、形状が嵌合した共通の輪郭であり、かつ、前記エンボス加工された輪郭は、前記機能層の方向を向いている。
【0011】
ストッパ層並びにスペーサ層中に、共通の、形状が嵌合したエンボス加工を形成することにより、滑り止めはさらに改善される。さらに、形状が嵌合したエンボス加工は、スペーサ層とストッパ層との間に、漏洩ガスが層間から漏れるのを防止する防ぎ、追加の微小のシールを生成する。したがって、これを防止するための追加の被覆は、もはや必要でない。間隔層及びストッパ層は、例えば、クリンチによって接続することができ、それに加えて、エンボス加工を設けることができる。
【0012】
一実施形態によれば、前記機能層及び前記ストッパ層は、互いに支え合い、前記エンボス加工された輪郭は、前記機能層及び前記ストッパ層中で、形状が嵌合した共通の輪郭であり、かつ、前記エンボス加工された輪郭は、前記スペーサ層の方向を向いている。
【0013】
機能層並びにスペーサ層中に、共通の、形状が嵌合したエンボス加工を形成することにより、滑り止めはさらに改善される。さらに、形状が嵌合したエンボス加工は、スペーサ層とストッパ層の間に、漏洩ガスが層間から漏れるのを防止する、追加の微小のシールを生成する。したがって、これを防止するための追加の被覆は、もはや必要でない。間隔層及びストッパ層は、例えば、クリンチによって接続することができ、それに加えて、エンボス加工を設けることができる。
【0014】
一実施形態によれば、前記スペーサ層は、エンボス加工された輪郭を有しており、かつ、前記エンボス加工された輪郭は、前記機能層の方向を向いている。
【0015】
これらの実施形態は、とりわけ、例えばクリンチによって、ストッパ層が機能層に固定され、ストッパ層と機能層とがシールビードを形成するように一体形成される平形シール用に提供される。次に、エンボス加工を、機能層及び隣接するストッパ層中に、スペーサ層の方向を向くように、あるいは、スペーサ層中に、機能層の方向を向くように、共同して、形状嵌合するように設ける。
【0016】
一実施形態によれば、前記エンボス加工された輪郭は、それぞれの貫通孔から半径方向に見たとき、対応するシールビードの前方及び/又は後方に配置され、かつ前記シールビードは、前記ストッパ層の方向に整列されることが好ましい。
【0017】
貫通孔から半径方向に見て、エンボス加工は、それぞれのシールビードの前方前若しくは後方後に設けることができ、又はエンボス加工は、それぞれのシールビードの前方前ならびに後方後に設けた二重の輪郭とすることができる。本発明の実施形態において、エンボス加工の高さまたは深さは、1/200mm〜1/400mmの範囲とすることができ、かつ0.1mmの幅とすることができる。
【0018】
本発明の実施形態において、エンボス加工は、シールビード用の圧縮リミッタとしての機能を追加的に有することができる。
【0019】
一実施形態によれば、本発明の平形シールは、
前記スペーサ層の、前記ストッパ層に対向する面上の第2の機能層、及び、
各貫通孔の周囲の、前記第2の機能層中の各々の閉じたシールビードであって、当該シールビードは、前記スペーサ層の方向を向いている、シールビードをさらに備える。
【0020】
一実施形態によれば、前記機能層および/または前記第2の機能層中の前記1つ又は複数のシールビードは、前記ストッパ層と重なる。これは、いわゆる「ストッパ上のビード」設計を含む。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つの貫通孔を有する、金属製平形シール、特にシリンダヘッドガスケットの製造方法であって、
機能層を提供するステップ、
スペーサ層を提供するステップ、及び、
前記機能層と前記スペーサ層との間に配置されたストッパ層を提供するステップ、
各貫通孔の周囲の、前記機能層中に各々の閉じたシールビードを提供するステップ、及び、
各貫通孔の周囲の、少なくとも前記ストッパ層、前記機能層又は前記スペーサ層中に固定補助体を形成する閉じた輪郭をエンボス加工するステップ、を含む、金属製平形シールの製造方法が提供される。
【0022】
一実施形態によれば、本発明の方法は、前記スペーサ層及び前記ストッパ層が互いに支えあうように、前記スペーサ層及び前記ストッパ層を接続するステップをさらに含み、
前記輪郭は、前記スペーサ層及び前記ストッパ層に、形状嵌合して、かつ、共同してエンボス加工され、前記エンボス加工された輪郭は、前記機能層の方向を向いている。
【0023】
一実施形態によれば、本発明の方法は、前記機能層及び前記ストッパ層が互いに支えあうように、前記機能層及び前記ストッパ層を接続するステップをさらに含み、
前記輪郭は、前記機能層及び前記ストッパ層に、形状嵌合して、かつ、共同してエンボス加工され、前記エンボス加工された輪郭は、前記スペーサ層の方向を向いている。
【0024】
層間を接続するステップは、クリンチによって実行することができる。
【0025】
一実施形態によれば、前記機能層及び前記ストッパ層は、前記シールビードを形成するように共同で形成される。
【0026】
一実施形態によれば、前記輪郭は、前記スペーサ層中にエンボス加工され、前記エンボス加工された輪郭は、前記機能層の方向を向いている。
【0027】
一実施形態によれば、前記輪郭は、それぞれの貫通孔から半径方向に見たとき、前記対応するシールビードの前方及び/又は後方でエンボス加工され、前記シールビードが前記ストッパ層の方向を向いている。
【0028】
一実施形態によれば、本発明の方法は、
前記スペーサ層の、前記ストッパ層に対向する面上の第2の機能層を提供するステップ、及び、
各貫通孔の周囲の、前記第2の機能層中の各々の閉じたシールビードであって、当該シールビードは、前記スペーサ層の方向を向いている、シールビードを提供するステップをさらに含む。
【0029】
一実施形態によれば、前記機能層および/または前記第2の機能層中の前記1つ又は複数のシールビードは、前記ストッパ層と重なる。
【0030】
エンボス加工するステップは、例えばクリンチによって層間を接続するステップと同時に実行することができ、従って、追加の製造工程は必要でない。
【0031】
本発明を、図面を参照して、以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第一の実施形態による平形シールの断面図である。
【図2】本発明の第二の実施形態による平形シールの断面図である。
【図3】本発明の第三の実施形態による平形シールの断面図である。
【図4】図1の平形シールの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明による平形シールの第一の実施形態を示している。平形シールは、機能層2、スペーサ層4、ストッパ層6及び第二の機能層8を備えている。機能層2及び8において、シールビード12及び18がそれぞれ設けられており、各々が間隔層およびストッパ層の方向にそれぞれ向いている。ここでの図示例において、ビードは、フルビードである。別の実施形態において、ハーフビードまたはハーフビードとフルビードの組合せとすることもできる。
【0034】
ストッパ層6は、クリンチ点10(ここでは、一つのみ示している)にてクリンチされることによりスペーサ層4に接続されている。スペーサ層4は、炭素鋼層とすることができる。ここで示す実施形態において、スペーサ層4とストッパ層6とにおける、共有のエンボス加工16が設けられている。エンボス加工16は、形状嵌合し、すなわちスペーサ層4とストッパ層6とは、形状嵌合するように接続される。従って、少なくともエンボス加工16にて液密である。
【0035】
エンボス加工16は、機能層2/ストッパ層6用の追加の支持体をスペーサ層4上に形成することにより、機能層2、又は相互接続されたストッパ層6と間隔層4とが滑るのを防止する、固定補助体又は滑り止めを形成している。エンボス加工16は、機能層2の方向を向いている。図示例では、エンボス加工16は、燃焼室孔からの半径方向に見たとき、ビード12の後方に配置されている。ビードの前方に配置することもでき、又はビードの後方にも前方にも(すなわち二重の輪郭として)配置することもできる。例示的な実施形態において、エンボス加工の幅は0.1mmであり、高さは0.02〜0.04mmである。
【0036】
エンボス加工16の他の機能は、追加のシールである。ストッパ層6が被覆されずにスペーサ層4上で支えられているならば、漏洩ガスは、層間を突き通るか、又は漏れることがある。エンボス加工16を形成することによって、後者を防止する追加のシールが生成される。これには、被覆は必要でない。
【0037】
図2は、本発明の第2の実施形態を示している。この変形例も、機能層2、スペーサ層4、ストッパ層6及び第二の機能層8(ただし随意)を備えている。
【0038】
機能層2及び8において、シールビード12及び18がそれぞれ設けられており、各々は、スペーサ層又はストッパ層の方向を向いている。ここでの図示例において、ビードはフルビードである。別の実施形態において、ハーフビード又はハーフビードとフルビードとの組合せとすることもできる。機能層2はストッパ層6にクリンチ点10(一つのみ示している。)にてクリンチすることにより接続されている。ストッパ層6は機能層2に支えられており、したがってビード12の形状にぴったり合う。
【0039】
この幾何学的形状は、例えば、ストッパ層6が機能層2に例えばクリンチによって接続されるところにおいて、及び、シールビード12を形成するように機能層2と一体形成されるところにおいて達成することができる。したがって、同時に、エンボス加工16は機能層2とストッパ層6とにおいて一緒に組み込むことができる。従って、機能層2及びストッパ層6は、形状嵌合した、従って液密な態様でエンボス加工16の領域に接続されている。
【0040】
エンボス加工16は、機能層2及びそれに接続されたストッパ層6並びにスペーサ層4の板用の滑り止めを形成する。この実施形態においては、エンボス加工16はビード12と同じ方向を、すなわちスペーサ層4の方向を向いている。図示例において、エンボス加工16は、燃焼室孔から半径方向に見たとき、ビード12の後方に配置されている。ビードの前方に配置することもでき、又はビードの後方にも前方にも(すなわち二重の輪郭として)配置することもできる。
【0041】
機能層2とストッパ層6との間の追加のシールは、エンボス加工16により形成することができる。これにより、漏洩ガスが突き通るか、又は漏れるのを防止することができる。これには、被覆は必要でない。
【0042】
図3は、図2の平形シールの変形例を示す、本発明の第3の実施形態を示している。この平形シールも、機能層2、スペーサ層4、ストッパ層6及び第2の機能層8を含む。ここにおいても、第二の機能層8は随意のものである。
【0043】
機能層2及び8において、シールビード12及び18がそれぞれ設けられ、各々はスペーサ層又はストッパ層の方向を向いている。ここでの図示例において、ビードはフルビードである。別の実施形態において、ハーフビード又はハーフビードとフルビードとの組み合わせとすることもできる。機能層2はクリンチ点10(ここでは1つのみを示している)にてクリンチすることによりストッパ層6に接続されている。ストッパ層6は機能層2に支えられており、したがってビード12の形状にぴったりと合う。
【0044】
この幾何学的形状も、例えばストッパ層6が機能層2にクリンチによって接続されるところにおいて、及びシールビード12を形成するように機能層2と一体形成されるところにおいて、達成することができる。しかし、図2に示された実施形態との差として、エンボス加工16は、スペーサ層4に設けられている。エンボス加工16は、機能層2の方向を向いており、機能層2及びストッパ層6又はそれに接続されるスペーサ層4の板用の滑り止めを形成する。
【0045】
ここで示す実施形態においては、エンボス加工にてストッパ層6がスペーサ層4を押圧するため、シール補助体は、エンジンコンパートメント内での押圧の後で、エンボス加工16により作り出される。
【0046】
図4は、図1の実施形態に実質的に対応する、図1の平形シールの別の実施形態を示している。しかし、それとの差として、エンボス加工16は、半径方向に見たとき、ビード12の前方に配置されている。
【0047】
第2の機能層は、上述の全ての実施形態のおいて随意のものである。本発明による平形シールは、図示例のようなシリンダヘッドガスケットであることが好ましく、しかし、他の金属製平形シールであってもよい。
【0048】
燃焼室(又は一般的に、貫通孔)は、上記の図面中のそれぞれの場合で、図面の左側に示している。上記それぞれの場合で1つの燃焼室に対応する1つの貫通孔のみが例として示されているが、平形シールは、2つ以上の燃焼室開口部を有する多数シリンダエンジンにも設けることができる。同様に、例えば冷却及び潤滑油の通路用の追加の貫通孔、あるいは、取り付けボルト用の貫通孔がシール内にあってもよい。しかし、かような貫通孔は、エンボス加工の形式で、本発明に従うシールビード及び圧縮リミッタに対応した方法でシールすることができる。
【0049】
平形シールのシールビードは、フルビード又はハーフビードとすることができる。ハーフビード及びフルビードは、任意の組合せで平形シールにおいて形成することができる。例えば、第1の機能層のシールビードをフルビードとし、かつ、随意の第2の機能層における追加のビードをハーフビードとすることができ、その逆もまた然りである。
【0050】
層の接続は、クリンチ以外の方法、例えば、レーザ溶接によっても行うことができる。
【0051】
貫通孔から半径方向に見たとき、エンボス加工はシールビードの後方に(図1に示すように)またはシールビードの前方に(図4に示すように)配置することができる。しかし、エンボス加工は、シールビードの前方及び後方に組合せで、例えば二重の輪郭の形で配置することができる。
【0052】
本発明に従うシールを用いて、層間の漏洩ガスが漏れるのを、減少させるかまたは完全に防止することができる。ストッパまたはストッパグランドが滑るのも防止することができる。圧縮リミッタは、エンボス加工によって適所に保たれるか、あるいは、固定位置でのエンボス加工によって形成することができる。エンボス加工は、滑り止めとしての役割を果たす追加の支持を形成する。
【0053】
本発明の目的は、エンボス加工によって獲得されるため、漏洩ガスが突き通ること又は漏れることを防止するための層間の被覆は必要ではない。接続点の他の、例えば、クリンチ用の、追加の取付けは、必要でない。エンボス加工をクリンチしている間に実行することができるため、追加の製造工程は必要でない。
【0054】
本発明は、層を備えるシールの全ての実施形態に適している。本発明によれば、コスト効率の良い材料を用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの貫通孔を有する、金属製平形シール、特にシリンダヘッドガスケットであって、
機能層(2)、
スペーサ層(4)、及び、
前記機能層(2)と前記スペーサ層(4)との間に配置されたストッパ層(6)、
各貫通孔の周囲の、前記機能層(2)中の各々の閉じたシールビード(12)、及び、
各貫通孔の周囲の、少なくとも前記ストッパ層(6)、前記機能層(2)又は前記スペーサ層(4)中の各々のエンボス加工された閉じた輪郭(16)であって、当該輪郭(16)は、固定補助体を形成する輪郭(16)、
を備える、金属製平形シール。
【請求項2】
前記スペーサ層(4)及び前記ストッパ層(6)は、互いに支え合い、
前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記スペーサ層(4)及び前記ストッパ層(6)中で、形状が嵌合した共通の輪郭であり、かつ、
前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記機能層(2)の方向を向いている、請求項1に記載の金属製平形シール。
【請求項3】
前記機能層(2)及び前記ストッパ層(6)は、互いに支え合い、
前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記機能層(2)及び前記ストッパ層(6)中で、形状が嵌合した共通の輪郭であり、かつ、
前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記スペーサ層(4)の方向を向いている、請求項1に記載の金属製平形シール。
【請求項4】
前記スペーサ層(4)は、エンボス加工された輪郭(16)を有しており、かつ、
前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記機能層(2)の方向を向いている、請求項1に記載の金属製平形シール。
【請求項5】
前記エンボス加工された輪郭(16)は、それぞれの貫通孔から半径方向に見たとき、それぞれのシールビード(12)の前方及び/又は後方に配置され、前記シールビード(12)は、前記ストッパ層(6)の方向を向いている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属製平形シール。
【請求項6】
前記スペーサ層(4)の、前記ストッパ層(6)に対向する面上の第2の機能層(8)、及び、
各貫通孔の周囲の、前記第2の機能層(8)中の各々の閉じたシールビード(18)であって、当該シールビード(18)は、前記スペーサ層(4)の方向を向いている、シールビード(18)をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属製平形シール。
【請求項7】
前記機能層(2)および/または前記第2の機能層(8)中の前記1つ又は複数のシールビード(12、18)は、前記ストッパ層(6)と重なる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属製平形シール。
【請求項8】
少なくとも1つの貫通孔を有する、金属製平形シール、特にシリンダヘッドガスケットの製造方法であって、
機能層(2)を提供するステップ、
スペーサ層(4)を提供するステップ、及び、
前記機能層(2)と前記スペーサ層(4)との間に配置されたストッパ層(6)を提供するステップ、
各貫通孔の周囲の、前記機能層(2)中に各々の閉じたシールビード(12)を提供するステップ、及び、
各貫通孔の周囲の、少なくとも前記ストッパ層(6)、前記機能層(2)又は前記スペーサ層(4)中に固定補助体を形成する閉じた輪郭(16)をエンボス加工するステップ、を含む、金属製平形シールの製造方法。
【請求項9】
前記スペーサ層(4)及び前記ストッパ層(6)が互いに支えあうように、前記スペーサ層(4)及び前記ストッパ層(6)を接続するステップをさらに含み、
前記輪郭(16)は、前記スペーサ層(4)及び前記ストッパ層(6)に、形状嵌合して、かつ、共同してエンボス加工され、前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記機能層(2)の方向を向いている、請求項8に記載の金属製平形シールの製造方法。
【請求項10】
前記機能層(2)及び前記ストッパ層(6)が互いに支えあうように、前記機能層(2)及び前記ストッパ層(6)を接続するステップをさらに含み、
前記輪郭(16)は、前記機能層(2)及び前記ストッパ層(6)に、形状嵌合して、かつ、共同してエンボス加工され、前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記スペーサ層(4)の方向を向いている、請求項8に記載の金属製平形シールの製造方法。
【請求項11】
前記機能層(2)及び前記ストッパ層(6)は、前記シールビード(12)を形成するように一体形成される、請求項10に記載の金属製平形シールの製造方法。
【請求項12】
前記輪郭(16)は、前記スペーサ層(4)中にエンボス加工され、前記エンボス加工された輪郭(16)は、前記機能層(2)の方向を向いている、請求項8に記載の金属製平形シールの製造方法。
【請求項13】
前記輪郭(16)は、それぞれの貫通孔から半径方向に見たとき、前記対応するシールビード(12)の前方及び/又は後方でエンボス加工され、前記シールビード(12)が前記ストッパ層(6)の方向を向いている、請求項8〜12のいずれか1項に記載の金属製平形シールの製造方法。
【請求項14】
前記スペーサ層(4)の、前記ストッパ層(6)に対向する面上の第2の機能層(8)を提供するステップ、及び、
各貫通孔の周囲の、前記第2の機能層(8)中の各々の閉じたシールビード(18)であって、当該シールビード(18)は、前記スペーサ層(4)の方向を向いている、シールビード(18)を提供するステップをさらに含む、請求項8〜13のいずれか1項に記載の金属製平形シールの製造方法。
【請求項15】
前記機能層(2)および/または前記第2の機能層(8)中の前記1つ又は複数のシールビード(12、18)は、前記ストッパ層(6)と重なる、請求項8〜14のいずれか1項に記載の金属製平形シールの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−526953(P2012−526953A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510175(P2012−510175)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050824
【国際公開番号】WO2010/130469
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(595157503)フェデラル−モーグル シーリング システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Federal−Mogul Sealing Systems GmbH
【Fターム(参考)】