説明

シール構造

【課題】穴の開口を蓋で覆うシール構造に関し、均一なシールが得られ、蓋の取り外しが可能なシール構造を提供することを課題とする。
【解決手段】開口3が形成された面から突出するように、開口3に沿って設けられた弾性シール部材41と、シール部材41を覆う形状に設定され、シール部材41上に載置される第1蓋21と、第1蓋21上に積層される第2蓋31と、開口3の周りに設けられ、第1蓋21上に積層された第2蓋31の第1蓋21と対向する面と反対側の面が当接可能な蓋当接面53aを有する立壁51と、からなり、シール部材41の厚さ、第1蓋21の厚さ、第2蓋31の厚さ、及び立壁51の蓋当接面53aとシール部材41が設けられた面との間隔は、第2蓋31が立壁51の蓋当接面53aに押接するように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
蓋で覆われる開口のシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋で覆われる穴の開口をシールする場合、開口の周縁に、開口に沿ってシール部材を配置し、蓋を開口に押しつけてシールを行う。
蓋を開口に押しつける方法としては、ボルトでの固定や、接着,溶着(超音波溶着やレーザ溶着等)がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2652911号(図3−図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ボルトを用いて蓋を開口に押しつける方法は、極部固定であり、蓋を均一に押さえることが難しく、シールが不均一となる問題点がある。
又、接着,溶着等で蓋を開口に押しつける方法は、一旦蓋を取り付けると取り外しができない問題点がある。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、均一なシールが得られるシール構造を提供することにある。
又、蓋の取り外しが可能なシール構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、穴の開口を蓋で覆うシール構造において、前記開口が形成された面から突出するように、前記開口に沿って設けられたの弾性シール部材と、前記シール部材を覆う形状に設定され、前記シール部材上に載置される第1蓋と、前記第1蓋上に積層される第2蓋と、前記開口の周りに設けられ、前記第1蓋上に積層された第2蓋の前記第1蓋と対向する面と反対側の面が当接可能な蓋当接面を有する蓋固定部と、からなり、前記シール部材の厚さ、前記第1蓋の厚さ、前記第2蓋の厚さ、及び前記蓋固定部の蓋当接面と前記シール部材が設けられた面との間隔は、前記第2蓋が前記蓋固定部の蓋当接面に押接するように設定されていることを特徴とするシール構造である。
【0006】
最初に、シール部材を覆うように第1蓋を載置する。
次に、第1蓋をシール部材が設けられた面方向に押した状態で、第1蓋の上に第2蓋を積層し、積層が完了したならば、第1蓋をシール部材が設けられた面方向に押すことを解除する。
【0007】
すると、第2蓋は蓋固定部の蓋当接面に押接すると共に、第1蓋をシール部材方向に押す。そして、第1蓋を介してシール部材が押され、シール部材が弾性変形し、第1蓋と、開口の周縁に密着し、穴の開口のシールが行われる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記蓋固定部は、前記開口の周りに形成された立壁であり、前記蓋当接面は、前記立壁の内壁面に沿って形成され、前記開口が形成された面と対向し、前記内壁面から前記穴の中心に向かって延出する折曲部の前記開口が形成された面側の面であることを特徴とする請求項1記載のシール構造である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記穴は、開口側の大穴部と、該大穴部に連設された小穴部とからなり、前記大穴部と、前記小穴部との間の段部には、前記シール部材が配置され、前記第1蓋、前記第2蓋が設けられていない状態では、前記シール部材は、前記開口が形成された面より突出する形状に設定されていることを特徴とする請求項2記載のシール構造である。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記第1蓋には、前記大穴部の内壁面と間隔を介して対向するシール保持面が形成されていることを特徴とする請求項3記載のシール構造である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1−請求項4に係る発明によれば、第1蓋は、第2蓋で押される。即ち、第1蓋は面で押される。よって、シール部材と第1蓋とは均一に密着し、均一なシールが得られる。シール部材を押しつける方向に第1蓋を押せば、第2蓋と蓋固定部の蓋当接面との押接がなくなり、第2蓋を取り外すことが可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、蓋当接面を有する蓋固定部は、開口の周りに形成されているので、蓋当接面と第2の蓋との当接面積が広い。従って、大きな圧力が第1蓋に作用しても、蓋当接面(蓋固定部)に作用する単位面積当たりの圧力は小さくなり、蓋固定部が破損しない。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、前記穴は、開口側の大穴部と、該大穴部に連設された小穴部とからなり、前記大穴部と、前記小穴部との間の段部には、前記シール部材が配置されることにより、シール部材の位置決めが確実になされる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、前記第1蓋には、前記大穴部の内壁面と間隔を介して対向するシール保持面が形成されていることにより、シール部材の位置決めが確実になされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。本形態例では、本発明のシール構造を有したドアチェック装置351で説明する。
最初に、ドアチェック装置が設けられたドア回りの分解斜視図である図7に示すように、ドア300は、アッパヒンジ301とロアヒンジ303を用いて、ボデー305に回転可能に取り付けられている。そして、ドアチェック装置351が、アッパヒンジ301側に設けられる。
【0016】
図7のアッパヒンジ部分を拡大した図である図8に示すように、アッパヒンジ301は、基端部側がボデー305側に取り付けられるヒンジフィメール311と、基端部側がドア300側に取り付けられるヒンジメール313と、ヒンジフィメール311の先端部側に設けられたヒンジピン穴311aに嵌合固着され、ヒンジメール313の先端部側に設けられたヒンジピン穴313aに遊嵌されて、ヒンジメール313に対して相対的にヒンジフィメール311と一体となって回転するヒンジピン315とからなっている。そして、ドア300側でヒンジメール313の下部にドアチェック装置351が取り付けられ、このドアチェック装置351のシャフト69はヒンジピン315と結合され、ヒンジピン315とシャフト69とが一体に回転するようになっている。
【0017】
次に、図1−図4を用いてドアチェック装置351の説明を行う。図1−図3はドアチェック装置の分解斜視図、図4はドアチェック装置の外観図である。
これらの図において、ドアチェック装置351のケーシング1には、上部に開口3を有する有底穴5が形成されている。
【0018】
更に、穴5内には、フラップ11が設けられたシャフト13が配置される。穴5の底部には、シャフト13の下端部が回転可能に嵌合する穴(図示せず)が設けられている。この穴5内には、シリコーンオイル等の液体が設けられている。
【0019】
穴5の開口3は、第1蓋21と、第2蓋31とで塞がれ、シャフト13は第1蓋21、第2蓋31に形成された穴23,33を介して外部に突出している。
フラップ11は穴5内を2つの室、第1室、第2室に分けるようになっている。また、フラップ11には、2つの一方向バルブが設けられている。この一方向バルブは、弁体が閉位置で大きな力で保持され、開方向に移動すると、弁体を保持する力が低下するバルブである。そして、2つの一方向バルブのうち、一方の一方向バルブは、第1室から第2室への液体の流れを許可し、第2室から第1室への液体の流れを禁止するように設けられている。他方の一方向バルブは、第2室から第1室への液体の流れを許可し、第1室から第2室への液体の流れを禁止するように設けられている。
【0020】
従って、ドア(シャフト13)300が回転しようとすると、フラップ11に設けられた2つの一方向バルブのうちの一方の一方向バルブの弁体が閉位置から開位置に移動し、第1室、第2室間の液体の行き来が自由になり、ドア300が回転する。この時、他方の一方向バルブの弁体は動かず、閉状態のままである。
【0021】
一方向バルブの弁体は、閉位置で大きな力で保持され、開方向に移動すると、弁体を保持する力が低下するので、ドア300を開閉しようとするときには大きな力が必要となるが、一旦ドア300が動き出すと小さな力でドア300の開閉が可能となる。このため、ドア300を任意の位置に止めることができる。
【0022】
次に、図1−図6を用いて、穴5の開口3を第1蓋21,第2蓋31で覆うシール構造を説明する。
図5,6に示すように、穴5は、開口3側の大穴部5aと、大穴部5aに連設された小穴部5bとからなり、大穴部5aと、小穴部5bとの間の段部5cには、開口3に沿って環状で弾性を有するシール部材(例えば、Oリング)41が配置されている。自然状態では、シール部材41は、開口3が設けられた面4より突出する形状に設定されている(図6参照)。
【0023】
第1蓋21は、環状のシール部材41を覆う形状に設定され、シール部材41上に載置される。又、第2蓋31は、第1蓋21上に積層される。
図1−図3に示すように、開口3の周りには、第1蓋21上に積層された第2蓋31の第1蓋21と対向する面と反対側の面が当接可能な蓋当接面を有する蓋固定部が形成されている。本形態例では、平面4上に、開口3にそって立壁51が形成されている。この立壁51が蓋固定部となっている。立壁51の一部は切りかかれ、切りかかれた箇所は、第1蓋21、第2蓋31が挿入可能な蓋挿入部55となっている。
【0024】
図5,図6に示すように、立壁51の上部には、内壁面に沿って、開口3が形成された面4と対向し、内壁面から穴5の中心に向かって延出する折曲部53が形成されている。そして、折曲部53の開口3が形成された面4側の面が蓋当接面53aとなっている。
【0025】
シール部材41の厚さ、第1蓋21の厚さ、第2蓋31の厚さ、及び蓋固定部の蓋当接面53aとシール部材41が設けられた面(本形態例では、段部5c)との間隔(図5,図6において、寸法Hで示す)は、第2蓋31が蓋固定部の蓋当接面53aに押接するように設定されている。
【0026】
図1−図3に示すように、シャフト13が挿通する第1蓋21の穴23、第2蓋31の穴33の形状は、シャフト13が蓋の周縁から挿入可能なように、蓋の周縁から中心部に向かって延びる長穴となっている。
【0027】
このため、穴23、穴33のシャフト13が占める部分の以外の部分を塞ぐため穴塞ぎ部材61が設けられている。この穴塞ぎ部材61は、第1蓋21の穴23の内壁面に形成された溝23aに嵌合する突部61aと、穴23、穴33のシャフト13が占める部分の以外の部分を塞ぐ本体部61bとからなっている。
【0028】
又、図1−図3、図5,図6に示すように、第1蓋21には、大穴部5aの内壁面と間隔を介して対向するシール保持面21aが形成されている。
次に、上記構成のドアチェック装置の組み付けを説明する。
(1)フラップ11が設けられたシャフト13をケーシング1の穴5内に挿入し、シャフト13の下端部を穴5の底部に形成された穴に嵌合させる。
(2)蓋塞ぎ部材61を開口3上で保持した状態で、面4と平行な方向な面上に沿って、第1蓋21を蓋挿入部55から挿入し、蓋塞ぎ部材61と第1蓋21とでシール部材41を覆うように載置する。この時、蓋塞ぎ部材61と第1蓋21とで、シャフト13の上部も保持される。
(3)第1蓋21を面4方向に押す。この状態で、面4と平行な方向な面上に沿って、第2蓋31を蓋挿入部55から挿入し、第1蓋21の上に第2蓋31を積層する。積層が完了したならば、第1蓋21を面4方向に押すことを解除する。
【0029】
すると、第2蓋31は立壁51の蓋当接面53aに押接すると共に、第1蓋21をシール部材41方向に押す。そして、第1蓋21を介してシール部材41が押され、シール部材41が弾性変形し、第1蓋21と、開口3の周縁である段部5cに密着し、穴5の開口3のシールが行われる。
【0030】
上記構成によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)第1蓋21は、第2蓋31によって押される。即ち、第1蓋21は、面で押される。よって、シール部材41と第1蓋21とは均一に密着し、均一なシールが得られる。
(2)シール部材41を押しつける方向に第1蓋21を押せば、第2蓋31と立壁51の蓋当接面53aとの押接がなくなり、第2蓋31を取り外すことが可能となる。
(3)蓋当接面53aを有する立壁51は、開口3の周りに形成されているので、蓋当接面53aと第2の蓋31との当接面積が広い。従って、大きな圧力が第1蓋21に作用しても、蓋当接面(蓋固定部)53aに作用する単位面積当たりの圧力は小さくなり、立壁51が破損しない。
(4)穴5は、開口側の大穴部aと、大穴部5aに連設された小穴部5bとからなり、大穴部5aと、小穴部5bとの間の段部5cには、シール部材41が配置されることにより、シール部材41の位置決めが確実になされる。
(5)第1蓋21には、大穴部5aの内壁面と間隔を介して対向するシール保持面21aが形成されていることにより、シール部材41の位置決めが確実になされる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】形態例のシール構造を有するドアチェック装置の分解斜視図である。
【図2】図1と異なる方向からみたドアチェック装置の分解斜視図である。
【図3】図1、図2と異なる方向からみたドアチェック装置の分解斜視図である。
【図4】図1のドアチェック装置の外観図である。
【図5】図4の切断線A−Aでの断面図である。
【図6】図5で、第1蓋,第2蓋がない状態の断面図である。
【図7】ドアチェック装置が設けられたドア回りの分解斜視図である。
【図8】図7のアッパヒンジ部分を拡大した図である。
【符号の説明】
【0032】
3 開口
21 第1蓋
31 第2蓋
41 シール部材
51 立壁(蓋固定部)
53a 蓋当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴の開口を蓋で覆うシール構造において、
前記開口が形成された面から突出するように、前記開口に沿って設けられた弾性シール部材と、
前記シール部材を覆う形状に設定され、前記シール部材上に載置される第1蓋と、
前記第1蓋上に積層される第2蓋と、
前記開口の周りに設けられ、前記第1蓋上に積層された第2蓋の前記第1蓋と対向する面と反対側の面が当接可能な蓋当接面を有する蓋固定部と、
からなり、
前記シール部材の厚さ、前記第1蓋の厚さ、前記第2蓋の厚さ、及び前記蓋固定部の蓋当接面と前記シール部材が設けられた面との間隔は、前記第2蓋が前記蓋固定部の蓋当接面に押接するように設定されていることを特徴とするシール構造。
【請求項2】
前記蓋固定部は、前記開口の周りに形成された立壁であり、
前記蓋当接面は、前記立壁の内壁面に沿って形成され、前記開口が形成された面と対向し、前記内壁面から前記穴の中心に向かって延出する折曲部の前記開口が形成された面側の面であることを特徴とする請求項1記載のシール構造。
【請求項3】
前記穴は、開口側の大穴部と、該大穴部に連設された小穴部とからなり、
前記大穴部と、前記小穴部との間の段部には、前記シール部材が配置され、
前記第1蓋、前記第2蓋が設けられていない状態では、前記シール部材は、前記開口が形成された面より突出する形状に設定されていることを特徴とする請求項2記載のシール構造。
【請求項4】
前記第1蓋には、
前記大穴部の内壁面と間隔を介して対向するシール保持面が形成されていることを特徴とする請求項3記載のシール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−69865(P2008−69865A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249006(P2006−249006)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】