説明

ジアザビシクロオクタンのアミド及びその用途

本発明は、ニューロンのニコチン性アセチルコリン受容体と結合してその活性を調節する以下の式I及びIIの化合物、これらの化合物を調製する方法、これらの化合物を含有する医薬組成物、並びに様々な症状及び障害(中枢神経系(CNS)の機能障害に関係するものを含む)を治療するためにこれらの化合物を用いる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューロンのニコチン性アセチルコリン受容体に結合してその活性を調節する化合物、これらの化合物を調製する方法、これらの化合物を含有する医薬組成物、並びに中枢神経系(CNS)の機能障害に関係するものを含む多様な症状及び障害を治療するためにこれらの化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)としても知られるニューロンのニコチン受容体(NNR)を標的とする化合物の治療上の可能性は、いくつかの総括の対象になっている。例えば、Breining et al., Ann. Rep. Med. Chem. 40: 3 (2005);Hogg and Bertrand, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 3: 123 (2004);Suto and Zacharias, Expert Opin. Ther. Targets 8: 61 (2004);Dani et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 14: 1837 (2004);Bencherif and Schmitt, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 349 (2002)を参照されたい(それぞれその教示に関して参照により援用する)。NNRリガンドが治療法として提案されている各種適応症の中には、認知障害、例えばアルツハイマー病、注意欠陥障害及び統合失調症(Newhouse et al., Curr. Opin. Pharmacol. 4: 36 (2004)、Levin and Rezvani, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 423 (2002)、Graham et al., Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 387 (2002)、Ripoll et al., Curr. Med. Res. Opin. 20(7): 1057 (2004)、及びMcEvoy and Allen, Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 433 (2002));疼痛及び炎症(Decker et al., Curr. Top. Med. Chem. 4(3): 369 (2004)、Vincler, Expert Opin. Invest. Drugs 14(10): 1191 (2005)、Jain, Curr. Opin. Inv. Drugs 5: 76 (2004)、Miao et al., Neuroscience 123: 777 (2004));抑鬱及び不安(Shytle et al., Mol. Psychiatry 7: 525 (2002)、Damaj et al., Mol. Pharmacol. 66: 675 (2004)、Shytle et al., Depress. Anxiety 16: 89 (2002));神経変性(O'Neill et al., Curr. Drug Targets: CNS Neurol. Disord. 1: 399 (2002)、Takata et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 306: 772 (2003)、Marrero et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 309: 16 (2004));パーキンソン病(Jonnala and Buccafusco, J. Neurosci. Res. 66: 565 (2001));依存症(Dwoskin and Crooks, Biochem. Pharmacol. 63: 89 (2002)、Coe et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 15(22): 4889 (2005));肥満(Li et al., Curr. Top. Med. Chem. 3: 899 (2003));並びにトゥレット症候群(Sacco et al., J. Psychopharmacol. 18(4): 457 (2004)、Young et al., Clin. Ther. 23(4): 532 (2001))がある(これらの参照文献のそれぞれを受容体の結合部分(ネクサス)及び列挙した適応症に関して参照により援用する)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかのニコチン化合物の制限は、複数のnAChRサブタイプへの非特異的結合のために、様々な望ましくない副作用に関係する点である。例えば、筋肉及び神経節nAChRサブタイプへの結合及び刺激によって、特定のニコチン様結合化合物の治療薬としての用途を制限しうる作用を生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の化合物は、α4β2 nAChRサブタイプに対する高度の結合と、α7、神経節及び筋肉nAChRサブタイプに対する低いアフィニティを示す。従って、これらの化合物は、その治療を必要とする患者において、非特異的なnAChRサブタイプ結合により引き起こされる副作用を生じることなく、α4β2 nAChRの治療用調節因子として機能しうる。
【0005】
本発明は、式I又は式IIのいずれかの化合物、あるいはその製薬上許容される塩を包含する:
【化1】

【0006】
〔式中、
YはC(O)、C(S)又はS(O)qであり、
qは1又は2であり、
Z1はメチレンであり、nは0又は1であり、
Z2はメチレンであり、mは0又は1であり、
nが0である場合にはmは1であり、
mが0である場合にはnは1であり、
X1は水素又はC1-6アルキルであり、
X2はRI、ORII、又はNRIIIRIVであり、
YがC(O)である場合には、RIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
YがC(S)又はS(O)qである場合には、RIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
RIIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
RIII及びRIVのそれぞれは個々に、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
あるいはRIII及びRIVは、それらが結合している窒素と一緒になって、1以上の不飽和度を含んでもよくかつN、O又はSから選択される1以上のさらなるヘテロ原子を含んでもよい3〜8員環を形成することができ、
ここで「場合により置換されていてもよい」という用語は、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ORV、NRVRVI、C1-6ハロアルキル、-CN、-NO2、-C2RV、-SRV、-N3、-C(=O)NRVRVI、-NRVC(=O)RVI、-OC(=O)NRVRVI、-NRVC(=O)ORVI、-SO2RV、-SO2NRVRVI、及び-NRVSO2RVIから独立して選択される置換基による1以上の水素原子の任意的な置換を意味し、
RV及びRVIは個々に、水素、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はアリールアルキルである〕。
【0007】
本発明の化合物は、α4β2サブタイプのNNRと高アフィニティで結合し、かつこのサブタイプに対してα7 NNRサブタイプ並びに神経節及び筋肉サブタイプを超える選択性を示す。本発明はまた、これらの化合物から調製される製薬上許容される塩に関する。
【0008】
本発明は、本発明の化合物又はその製薬上許容される塩を含む医薬組成物を包含する。本発明の医薬組成物は、多様な症状又は障害、例えばニコチン性コリン作動性神経伝達機能障害又はニコチン性コリン作動性ニューロン変性を特徴とする障害などを治療又は予防するために用いることができる。
【0009】
本発明は、障害及び機能障害、例えばCNS障害及び機能障害、炎症、細菌及び/若しくはウイルス感染と関連した炎症反応、疼痛、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、又は本明細書にさらに詳細に記載される他の障害を治療又は予防する方法を含む。本発明は、血管新生を調節する方法を含む。本方法は、被験体に治療上有効な量の本発明の化合物(その塩を含む)、又はかかる化合物を含む医薬組成物を投与するステップを含む。さらに本発明は、本明細書に記載するような診断薬としての用途及び受容体結合研究における用途を有する化合物を含む。
【0010】
本発明の以上の及び他の態様を、下記の詳細な説明及び実施例においてさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
I. 化合物
次の定義は明確にすることを意図し、定義した用語を限定するものではない。本明細書で使用される特定の用語が具体的に定義されていない場合には、かかる用語は不明確であると考えてはならない。むしろ、用語はその容認される意味で使用される。
【0012】
本明細書全体で使用する、原子、例えば炭素原子の好ましい数は、例えば、表現「Cx〜Cyアルキル」により表し、この表現は、この具体的な数の炭素原子を含有する本明細書に定義したアルキル基を意味する。類似の用語法を他の好ましい用語及び範囲にも適用しうる。本発明の一実施形態は、1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子のいわゆる「低級」アルキル鎖を含む。従って、例えば、C1〜C6アルキルは上記の低級アルキル鎖を表す。
【0013】
本明細書で使用する用語「アルキル」は1〜8個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素であって、本明細書でさらに記載するように場合により置換されていてもよくかつ多重度の置換が許容される前記炭化水素を意味する。本明細書で使用する「アルキル」の例には、限定されるものでないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及びn-ペンチルが含まれる。
【0014】
本明細書で使用する用語「アルケニル」は2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有しかつ1以上の炭素-対-炭素二重結合を含有する直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素であって、本明細書にさらに記載するように場合により置換されていてもよくかつ多重度の置換が許容される前記炭化水素を意味する。本明細書で使用する「アルケニル」の例には、限定されるものでないが、ビニル及びアリルが含まれる。
【0015】
本明細書で使用する用語「アルキニル」は2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有しかつ1以上の炭素-対-炭素三重結合を含有する直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素であって、本明細書にさらに記載するように場合により置換されていてもよくかつ多重度の置換が許容される前記炭化水素を意味する。本明細書で使用する「アルキニル」の例には、限定されるものでないが、エチニルが含まれる。
【0016】
本明細書で使用する用語「シクロアルキル」は完全飽和の場合により置換されていてもよい3〜12員の、好ましくは3〜8員の、単環式、二環式、スピロ、又は架橋した炭化水素環であって、多重度の置換が許容される前記炭化水素環を意味する。本明細書で使用する「シクロアルキル」基の例には、限定されるものでないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及び シクロヘプチルが含まれる。
【0017】
同様に、本明細書で使用する用語「シクロアルケニル」及び「シクロアルキニル」は場合により置換されていてもよい、部分的に飽和であるが非芳香族の、3〜12員の、好ましくは5〜8員又は7〜10員の、単環式、二環式、又は架橋した炭化水素環であって、1以上の不飽和度を有しかつ多重度の置換が許容される前記炭化水素環を意味する。
【0018】
本明細書で使用する用語「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は場合により置換されていてもよい、1以上の不飽和度を含有しかつ1個以上のヘテロ原子を含有する単環又は多環系であって、本明細書にさらに記載するように場合により置換されていてもよくかつ多重度の置換が許容される前記単環又は多環系を意味する。ヘテロ原子の例には窒素、酸素、又は硫黄原子が含まれ、窒素酸化物、硫黄酸化物、及び二酸化物が含まれる。好ましくは、前記環は3〜12員、好ましくは3〜8員であり、完全飽和であるか又は1以上の不飽和度を有する。かかる環は場合により、1以上の他のヘテロ環又はシクロアルキル環と環縮合していてもよい。本明細書で使用する「ヘテロ環」基の例には、限定されるものでないが、テトラヒドロフラン、ピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、テトラヒドロチオピラン、及びテトラヒドロチオフェンが含まれる。
【0019】
本明細書で使用する用語「アリール」は、本明細書にさらに記載するように場合により置換されていてもよくかつ多重度の置換が許容される一価のベンゼン環又は環縮合したベンゼン環系を意味する。使用される「アリール」基の例には、限定されるものでないが、フェニル、2-ナフチル、1-ナフチル、アントラセン、及びフェナントレンが含まれる。好ましいアリール環は5〜10員を有する。
【0020】
本明細書で使用する用語「アリール」内に包含される環縮合したベンゼン環系は、環縮合した多環式炭化水素、すなわち最大数より少ない非累積二重結合を有する環式炭化水素を含み、例えば、ここでは飽和炭化水素環(シクロアルキル、例えばシクロペンチル環)が芳香環(アリール、例えばベンゼン環)と環縮合して、たとえばインダニル及びアセナフタレニルなどの基を形成しており、そしてまた、限定されない例として、ジヒドロナフタレン及びヘキサヒドロシクロペンタ-シクロオクテンなどの基を含む。
【0021】
本明細書で使用する用語「アラルキル」は、アルキレンリンカーを介して結合した本明細書に定義した「アリール」基を意味する。
【0022】
本明細書で使用する用語「ヘテロアリール」は、単環式5〜7員の芳香環又はかかる芳香環の2つを含有する環縮合した二環式芳香族環系であって、本明細書にさらに記載するように場合により置換されていてもよくかつ多重度の置換が許容される前記芳香環又は芳香族環系を意味する。好ましくは、かかる環は5〜10員を含有する。これらのヘテロアリール環は1個以上の窒素、硫黄、及び/又は酸素原子を含有し、ここで窒素酸化物、硫黄酸化物、及び二酸化物は許容しうるヘテロ原子置換物である。本明細書で使用する「ヘテロアリール」基の例には、限定されるべきでないが、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、イミダゾピリジン、ピラゾロピリジン、及びピラゾロピリミジンが含まれる。
【0023】
本明細書で使用する用語「ヘテロアラルキル」は、アルキレンリンカーを介して結合した本明細書で定義した「ヘテロアリール」基を意味する。
【0024】
本明細書で使用する用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を意味する。
【0025】
本明細書で使用する用語「ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンにより置換された、本明細書で定義したアルキル基を意味する。本明細書で使用する分枝鎖又は直鎖の「ハロアルキル」基の例には、限定されるものでないが、独立して1以上のハロゲン、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードにより置換されたメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、及びt-ブチルが含まれる。用語「ハロアルキル」は、-CF3などのペルフルオロアルキル基のような置換基を含むと解釈すべきである。
【0026】
本明細書で使用する用語「アルコキシ」は、基-ORa(ここでRaは先に定義したアルキルである)を意味する。
【0027】
本明細書で使用する用語「ニトロ」は基-NO2を意味する。
【0028】
本明細書で使用する用語「シアノ」は基-CNを意味する。
【0029】
本明細書で使用する用語「アジド」は基-N3を意味する。
【0030】
本明細書で使用する「アミノ」は基-NRaRbを意味し、ここでRa及びRbのそれぞれは個々に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、又はヘテロアリールである。本明細書で使用するかかる基は、Ra又はRbが水素でない場合は、「置換されたアミノ」、又は、例えばRaがHでありかつRbがアルキルであれば「アルキルアミノ」と呼ぶことができる。
【0031】
本明細書で使用する用語「ヒドロキシル」は基-OHを意味する。
【0032】
本発明の一実施形態は、式I又は式IIのいずれかで表される化合物、あるいはその製薬上許容される塩を包含する:
【化2】

【0033】
〔式中、
YはC(O)、C(S)又はS(O)qであり、
qは1又は2であり、
Z1はメチレンであり、nは0又は1であり、
Z2はメチレンであり、mは0又は1であり、
nが0である場合にはmは1であり、
mが0である場合にはnは1であり、
X1は水素又はC1-6アルキルであり、
X2はRI、ORII、又はNRIIIRIVであり、
YがC(O)である場合には、RIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
YがC(S)又はS(O)qである場合には、RIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
RIIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
RIII及びRIVのそれぞれは個々に、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
あるいはRIII及びRIVは、それらが結合している窒素と一緒になって、1以上の不飽和度を含んでもよくかつN、O又はSから選択される1以上のさらなるヘテロ原子を含んでもよい3〜8員環を形成することができ、
ここで「場合により置換されていてもよい」という用語は、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ORV、NRVRVI、C1-6ハロアルキル、-CN、-NO2、-C2RV、-SRV、-N3、-C(=O)NRVRVI、-NRVC(=O)RVI、-OC(=O)NRVRVI、-NRVC(=O)ORVI、-SO2RV、-SO2NRVRVI、及び-NRVSO2RVIから独立して選択される置換基による1以上の水素原子の任意的な置換を意味し、
RV及びRVIは個々に、水素、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はアリールアルキルである〕。
【0034】
本発明の一実施形態は、以下からなる群より選択される化合物、又はその製薬上許容される塩を包含する:
3-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(テトラヒドロフラン-3-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2-ジメチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(2,2-ジメチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(イソプロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-フルオロフェノキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(4-フルオロフェノキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(プロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(ブタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2-メチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロペンチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
E-(1S,5S)-3-(3-ペンテノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(メチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(イソプロピルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(フェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-フルオロフェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-クロロフェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2-メチルシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2-ジメチルシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2-ジフルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(スピロ[2.3]ヘキサン-1-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(ペンタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(イソプロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-エチルカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-アリルカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-(4-フルオロフェニル)カルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-アリルチオカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(3-メチルブタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(n-プロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロプロピルカルボニル)-6-メチル-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(cis-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(trans-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(3-フルオロプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(3,3,3-トリフルオロプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(エチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(n-プロピルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(n-ブチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
6-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(cis-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(trans-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(ブタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(2-メチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(プロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(cis-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(trans-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(2-メチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(3-フルオロプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、及び
(1R,5S)-6-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン。
【0035】
本発明の一実施形態は、医薬の製造における本発明の化合物の使用を含む。
【0036】
本発明の一実施形態は、種々の障害及び機能障害を治療又は予防する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物に、本発明の化合物の治療上有効な量を投与するステップを含む方法を含む。さらに具体的には、障害又は機能障害は、CNS障害、炎症、細菌及び/若しくはウイルス感染と関連した炎症反応、疼痛、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、又は本明細書にさらに詳細に記載する他の障害からなる群より選択される。本発明の他の実施形態は血管新生を調節する方法を含む。本発明の別の実施形態は、本明細書に記載するような診断薬としての用途及び受容体結合研究における用途を有する化合物を含む。
【0037】
さらに、これらの化合物はまた、本明細書に記載するような診断薬としての用途及び受容体結合研究における用途を有しうる。
【0038】
本発明の一実施形態は、本発明の化合物の治療上有効な量及び1以上の製薬上許容される担体を含む医薬組成物を含む。
【0039】
本発明の一実施形態は、中枢神経系障害及び機能障害を治療するための医薬の製造における本発明の化合物の使用を含む。
【0040】
本発明の他の実施形態は、実施例のいずれか1つを参照して本明細書に記載した化合物を含む。
【0041】
本発明の他の実施形態は、活性治療物質として使用するための本発明の化合物を含む。
【0042】
本発明の他の実施形態は、それを必要とする被験体においてNNRを調節するために使用するための本発明の化合物を含む。
【0043】
本発明の他の実施形態は、NNRが介在する症状又は障害の治療又は予防に使用するための本発明の化合物を含む。
【0044】
本発明の他の実施形態は、それを必要とする被験体においてNNRを調節するために使用するための医薬の製造における本発明の化合物の使用を含む。
【0045】
本発明の他の実施形態は、NNRが介在する症状又は障害の治療又は予防に使用するための医薬の製造における本発明の化合物の使用を含む。
【0046】
本発明の他の実施形態は、それを必要とする患者において本発明の化合物の投与を介してNNRを調節する方法を含む。
【0047】
本発明の範囲は実施形態の組合わせを包含する。
【0048】
特に断らない限り、本明細書に記載の構造はまた、1以上の同位体濃縮された原子の存在だけが異なる化合物も含むことを意味する。例えば、水素原子の重水素若しくはトリチウムによる置換え、又は炭素原子の13C若しくは14Cが濃縮された炭素原子による置換えを除いて本発明の構造を有する化合物は本発明の範囲内である。
【0049】
本発明の化合物は多形として公知の1を超える形態で結晶化してもよく、そして、かかる多形は本発明の範囲内である。多形は、一般に、温度、圧力又はそれらの両方の変化に対する応答の結果生じうる。多形はまた、結晶化過程における変化からも生じうる。多形は、当技術分野で公知の様々な特徴、例えば、x線回折パターン、溶解度、及び融点により識別することができる。
【0050】
本明細書に記載の化合物のいくつかは1以上のキラル中心を含有するか、又は、そうでなければ、複数の立体異性体として存在しうる。本発明の範囲は、立体異性体の混合物並びに精製されたエナンチオマー又はエナンチオマー/ジアステレオマーが濃縮された混合物を包含する。また、本発明の範囲に包含されるのは、本発明の化学式により表される化合物の個々の異性体、並びにいずれかの全く又は部分的に平衡化したその混合物である。本発明はまた、上記式により表される化合物の個々の異性体の、1以上のキラル中心が反転したその異性体との混合物も含む。
【0051】
本発明は、本明細書に記載の化合物の塩又は溶媒和物を含み、それには塩の溶媒和物などのその組合わせが含まれる。本発明の化合物は、溶媒和物、例えば水和物、並びに非溶媒和物形態で存在してもよく、本発明はかかる形態の全てを包含する。
【0052】
典型的には(絶対ではないが)、本発明の塩は製薬上許容される塩である。用語「製薬上許容される塩」に包含される塩は、本発明の化合物の非毒性塩を意味する。
【0053】
好適な製薬上許容される塩の例には、無機酸付加塩、例えば塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩、及び硝酸塩;有機酸付加塩、例えば酢酸塩、ガラクタル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びアスコルビン酸塩;酸性アミノ酸、例えばアスパラギン酸及びグルタミン酸との塩;アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩及びカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩及びカルシウム塩;アンモニウム塩;有機塩基の塩、例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、及びN,N'-ジベンジルエチレンジアミン塩;及び塩基性アミノ酸との塩、例えばリシン塩及びアルギニン塩が含まれる。塩はいくつかの場合には水和物又はエタノール溶媒和物であってもよい。代表的な塩は米国特許第5,597,919号(Dullら)、同第5,616,716号(Dullら)及び同第5,663,356号(Ruecroftら)に記載のように提供されており、これらはそれぞれかかる塩に関して参照により本明細書に援用する。
【0054】
本明細書に記した通り、本発明は、本明細書において特に特定されている具体的な代表的化合物を含む。本発明の化合物は、周知の標準的な合成方法を含む様々な方法により調製することができる。例示の一般的な合成方法を以下に説明し、次いで本発明の具体的な化合物を実施例で調製する。
【0055】
以下に記載した全ての例において、必要であれば、合成化学の一般原理に従って感受性又は反応性基に対する保護基を使用する。保護基は有機合成の標準方法に従って操作される(T. W. Green and P. G. M. Wuts, Protecting Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley & Sons, New York (1999)、保護基に関して参照により援用する)。これらの基は、化合物合成の好都合な段階で、当業者は容易に理解できる方法を用いて除去される。方法と反応条件及びそれらの実施順序の選択は、本発明の化合物の調製と一貫性がなければならない。
【0056】
当業者は立体中心が存在するかを認識しうる。上記の通り、本発明は全ての可能な立体異性体を含みかつラセミ化合物だけでなく個々のエナンチオマーも含む。化合物を単一エナンチオマーとして所望する場合、かかる化合物は、立体特異的合成により、最終生成物若しくは好都合な中間体の分割により、又はキラルクロマトグラフィ法により得ることができ、これらは当技術分野で公知である。最終生成物、中間体又は出発物質の分割は、任意の好適な当技術分野で公知の方法により行なうことができる。例えば、"Stereochemistry of Organic Compounds"(Wiley-Interscience、1994)を参照されたい(立体化学に関して参照により援用する)。
【0057】
本発明はまた、本発明の化合物の調製において中間体として有用な化合物を合成する方法並びにそれらを調製する方法も提供する。
【0058】
本化合物は次の方法に従って、容易に入手可能な出発物質と試薬を用いて調製することができる。これらの反応では、当業者にそれ自体公知である変法を用いてもよいが、さらに詳しく記述しない。
【0059】
II. 一般的な合成方法
本発明の化合物は、2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン及び3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの両方の誘導体を含む。好適に保護された3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成方法はPCT WO 05/028477号(Basha et al.)に記載されており、かかる合成手法に関して参照により本明細書に援用する。この手順では、ホルマリン及び塩化アンモニウムをシクロペンタジエンと合わせ、続いてジカルボン酸ジ-tert-ブチルと反応させて、2-(tert-ブトキシカルボニル)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エンを得る。オゾン及びジメチルスルフィドで連続処理して、1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,4-ジホルミルピロリジンを生成する。1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,4-ジホルミルピロリジンのベンジルアミン及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムによる処理により、6-(tert-ブトキシカルボニル)-3-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンを得る。単一保護されたジアザ二環系アミン化合物を生成するため、ベンジル基を水素化により除去してもよいし、又はtert-ブトキシカルボニル基を強酸を用いた処理により除去してもよく、それにより、それぞれ6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン及び3-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンを生成する。3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンのエナンチオマー形態の分離方法は有機合成の分野の当業者に公知である。従って、単一エナンチオマーキラル酸を用いたジアステレオマー塩の形成による分割が可能であり、また、クロマトグラフィー手段によって分離することができるジアステレオマー中間体(例えば、還元的アミノ化工程においてベンジルアミンの代わりに(R)-又は(S)-1-フェニルエチルアミンのいずれかを用いて生成されうるようなもの)の形成による分割も可能である。このようにして生成され、好適に保護されたこれらの単一エナンチオマー形態を本発明の化合物に変換することができる。
【0060】
あるいは、好適に保護された単一エナンチオマーである3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンを単一エナンチオマー出発物質から生成することも可能である。従って、水素化アルミニウムリチウム及びジカルボン酸ジ-tert-ブチルによる市販の(1R)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン又は(1S)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オンの連続的な処理によって、それぞれ、(1R)-2-(tert-ブトキシカルボニル)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エンを生成することができ、また(1S)-2-(tert-ブトキシカルボニル)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エンを生成することができる。これらの単一エナンチオマーの中間体は、対応のラセミ体について上述したように、6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン及び3-ベンジル-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの単一エナンチオマーへと変換することができる。異なる手法では、単一エナンチオマーである2,4-ジホルミルピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルは、ホルミル基を対応のアルコールへ還元し、続いてジ-メシレート誘導体の形成とアンモニア及びヨウ化第1銅による環化によって、単一エナンチオマーである3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンに変換することができる。これにより、ベンジル保護基を除去することなく、エナンチオマーである6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンが直接生成される。エナンチオマーである3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-6-カルボン酸tert-ブチルは本発明の化合物への変換のための好適な中間体である。
【0061】
本発明の化合物のために、スキーム1に示されるように、上述した方法の変法を用いて3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン骨格を調製した。市販の2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン(1)の水素化アルミニウムリチウムによる処理と、それに続くジカルボン酸ジ-tert-ブチルとの反応によって、2-(tert-ブトキシカルボニル)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン(2)が得られる。この化合物のオゾンによる処理と、それに続く水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元によって、1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン(3)が得られる。この化合物の塩化メタンスルホニルとの反応により、1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,4-ビス((メチルスルホニルオキシ)メチル)ピロリジン(4)(Ms=メタンスルホニル)が生成され、これを密閉管内でヨウ化銅及び水酸化アンモニウムと反応させて、6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(5)を得た。
【化3】

【0062】
化合物5に保護/脱保護の順序を行い、5の無水トリフルオロ酢酸による処理と、それに続くトリフルオロ酢酸を用いた処理によるtert-ブトキシカルボニル保護基の除去を行って、3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン6(スキーム2)を得た。このようなtert-ブトキシカルボニル及びトリフルオロ酢酸アミン保護基の導入及び脱離を行う方法は、当業者には周知であり、T. W. Greene and P.G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, New York (1999)に記載されている。
【化4】

【0063】
本発明の化合物は、単一保護されたジアザ二環系(5又は6)と、好適に官能化された酸塩化物、クロロホルメート、塩化スルホニル、イソシアネート、イソチオシアネート又は他の反応性誘導体とのカップリングにより調製することができる。そのような化合物は、市販品を利用可能であるし又は当業者に周知の方法により調製することができ、例えばM. B. Smith and J. March, March’s Advanced Organic.Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure, Sixth Edition, John Wiley & Sons, New York (2007)に記載されている(この手順に関して参照により本明細書に援用する)。カップリング後、boc又はTFA保護基の除去は、酸又は塩基を用いた処理により行い、それぞれ本発明の化合物を生成することができる。本発明の他の化合物は、残りの塩基性窒素を活性化アルキル化合物(ハロゲン化アルキルなど)を用いてアルキル化することにより合成することができる。
【0064】
好適に保護された2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成方法は様々である。そのような方法の1つがPCT WO 05/028477号(Basha et al.)に記載されており、かかる合成手法に関して参照により本明細書に援用する。この手法では、5-オキソ-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-カルボン酸ベンジル(Carroll, et al., J. Med. Chem. 35: 2184 (1992)に記載の手順により調製したもの、この合成手法に関して参照により本明細書に援用する)を、そのオキシム誘導体に変換し、続いてこれをポリリン酸トリメチルシリルエステルと共に撹拌して環拡大を行い、3-オキソ-2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-6-カルボン酸ベンジルを得る。ボラン-硫化メチル複合体及びn-プロピルアミンとの連続処理によって、単一保護されたジアザ二環系生成物である2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-6-カルボン酸ベンジルが生じる。遊離の2-位アミンをジカルボン酸ジ-tert-ブチルで保護し、続いてベンジルオキシカルボニル保護基の水素化分解を行って、別の単一保護されたジアザ二環系である2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-2-カルボン酸tert-ブチルが生じる。本発明の化合物は、2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-6-カルボン酸ベンジル又は2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン-2-カルボン酸tert-ブチルと、好適に官能化された酸塩化物、クロロホルメート、塩化スルホニル、イソシアネート、イソチオシアネート又は他の反応性誘導体とのカップリングとその後の保護基の除去により調製することができる。
【0065】
2,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンのエナンチオマー形態の分離方法は有機合成の分野の当業者に公知である。従って、単一エナンチオマーキラル酸を用いたジアステレオマー塩の形成による分割が可能であり、また、クロマトグラフィー手段によって分離することができるジアステレオマー中間体の形成による分割も可能である。このようにして生成され、好適に保護されたこれらの単一エナンチオマー形態を本発明の化合物に変換することができる。
【0066】
有機合成の当業者は、様々な診断用途にとって適当な放射性同位体で標識された本発明の化合物を調製する複数の手段が存在することを理解するであろう。従って、11C-又は18F-標識された反応性誘導体と化合物5又は化合物6との縮合と、その後の上述した保護基の除去により、ポジトロン放出断層撮影における使用のための好適な化合物を調製しうる。この化合物のさらなる誘導体化は、上述のように残りの塩基性窒素を活性化アルキル化合物を用いてアルキル化することにより可能である。
【0067】
III. 医薬組成物
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載する塩を、純粋な状態で、又は本化合物を不活性若しくは生理学的活性な任意の他の製薬上適合可能な製品と組み合わせた組成物の形態で含む。得られる医薬組成物は、ある症状又は障害に罹りやすい被験体において該症状又は障害を予防するため、並びに/あるいは該症状又は障害に罹患した被験体を治療するために用いることができる。本明細書に記載する医薬組成物は、式Iの化合物及び/又はその製薬上許容される塩を1又は複数含む。
【0068】
化合物を投与する方法は多様であることができる。本組成物は、好ましくは経口投与される(例えば、水系若しくは非水系の液体などの溶媒中の液体の形態で、又は固体担体中で)。経口投与用に好ましい組成物には、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、シロップ剤及び溶剤があり、例えば硬質ゼラチンカプセル剤及び徐放性カプセル剤がある。標準的な賦形剤としては、結合剤、充填剤、着色剤、可溶化剤などが含まれる。組成物は、単位用量剤形で、又は複数若しくはサブユニット用量剤形で製剤化することができる。好ましい組成物は、液体又は半固体形態である。水又は他の製薬上適合性の液体若しくは半固体などの製薬上不活性な液体担体を含む組成物を用いることができる。そのような液体及び半固体の使用は当業者には周知である。
【0069】
組成物はまた、注射により、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、髄腔内及び脳室内に投与することができる。静脈内投与が好ましい注射の方法である。注射用の好適な担体は当業者に周知であって、それには5%デキストロース溶液、生理食塩水、及びリン酸緩衝生理食塩水が含まれる。本化合物は、注入又は注射によって投与することもできる(例えば、製薬上許容される液体又は液体混合物中の懸濁液又は乳濁液として)。
【0070】
製剤はまた、他の手法、例えば、直腸投与を用いて投与することができる。直腸投与に有用な製剤、例えば座剤は当業者に周知である。化合物はまた、吸入により(例えば、エーロゾルの剤形で、経鼻的に又はBrooksらに対する米国特許第4,922,901号(その開示内容は参照によって全体が本明細書に援用される)に記載の種類の送達製品を用いて);局所的に(例えば、ローションの剤形で);経皮的に(例えば、経皮パッチを用いて);又はイオン導入により;あるいは舌下又は頬側投与により投与することができる。活性化学物質バルクの形態で化合物を投与することが可能ではあるが、各化合物を効率的かつ効果的な投与を行うための医薬組成物又は製剤の形態で提供することが好ましい。
【0071】
そのような化合物の投与方法の例は、当業者には明らかであろう。これら製剤の有用性は、使用される特定の組成物及び治療を受ける特定の被験体によって異なる可能性がある。これらの製剤は、油系、水系、乳化の液体担体を含んでもよいし、又は投与形態に好適なある種の溶媒を含んでいてもよい。
【0072】
本組成物は、温血動物(例えば、哺乳動物、例としてマウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ又はサル)に、間欠的に、又は徐々の、連続の、一定の若しくは制御した速度で投与することができるが、ヒトに投与することが有利である。さらに、医薬製剤を投与する1日の時間及び1日当たりの回数は変動しうる。本発明の化合物を投与するために他の好適な方法は、米国特許第5,604,231号(Smith et al.)に記載されており、その内容を参照により本明細書に援用する。
【0073】
本発明の一実施形態において、また当業者には理解されるように、本発明の化合物は、他の治療用化合物と組み合わせて投与してもよい。例えば、本発明の化合物は、他のNNRリガンド(例えばバレニクリン)、抗酸化剤(例えばフリーラジカル除去剤)、抗細菌薬(例えばペニシリン抗生物質)、抗ウイルス薬(例えばジドブジン及びアシクロビルのようなヌクレオシド類似体)、抗凝血薬(例えばワルファリン)、抗炎症薬(例えばNSAID)、抗発熱薬、鎮痛薬、麻酔薬(例えば、外科で使用されるようなもの)、アセチルコリンエステラーゼインヒビター(例えばドネペジル及びガランタミン)、抗精神病薬(例えばハロペリドール、クロザピン、オランザピン、及びクエチアピン)、免疫抑制薬(例えばシクロスポリン及びメトトレキセート)、神経保護薬、ステロイド(例えばステロイドホルモン)、コルチコステロイド(例えばデキサメタゾン、プレドニソン、及びヒドロコルチゾン)、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、抗うつ薬(例えばイミプラミン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン、ベンラファキシン、及びデュロキセチン)、抗不安薬(例えばアルプラゾラム及びブスピロン)、抗痙攣薬(例えばフェニトイン及びガバペンチン)、血管拡張薬(例えばプラゾシン及びシルデナフィル)、気分安定剤(例えばバルプロエート及びアリピプラゾール)、抗癌薬(例えば抗増殖薬)、血圧降下薬(例えばアテノロール、クロニジン、アムロピジン、ベラパミル、及びオルメサルタン)、下剤、糞便軟化剤、利尿薬(例えばフロセミド)、鎮痙薬(例えばジサイクロミン)、抗運動障害薬、及び抗潰瘍薬物治療(例えばエソメプラゾール)と組合わせて用いることができる。
【0074】
本発明の化合物は、単独で使用してもよいし、又は他の治療薬、例えば本発明の他の化合物と組み合わせて使用してもよい。かかる医薬活性薬剤の組合わせは、一緒に又は別々に投与することができ、別々に投与する場合、投与は同時に又は逐次に、任意の順で行うことができる。化合物又は薬剤の量並びに投与の相対的なタイミングは所望の治療効果を達成する目的で選択する。本発明の化学式の化合物(その塩又は溶媒和物を含む)と他の治療剤との組合わせの投与は、(1)両方の化合物を含む単位医薬組成物;又は(2)化合物の1つをそれぞれ含む別々の医薬組成物、での同時投与による組合わせとすることができる。あるいは、組合わせは、1つの治療剤を最初にそして他の治療薬剤を次に又はその逆で投与する、逐次的に別々に投与してもよい。かかる逐次投与は時間的に近接していても又は時間的に離れていてもよい。本発明の化合物は、種々の障害及び症状の治療に用いることができ、本発明の化合物は、これらの障害又は症状の治療又は予防に有用な様々な他の治療剤と組合わせて用いることができる。
【0075】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供するものであり、その限定として解釈されるべきではない。これらの実施例では、他に指摘しない限り、部及びパーセントは全て重量部及び重量パーセントである。
【0076】
化合物の適切な用量は、障害の症状発症を予防したり、又は患者が罹患する障害のいくつかの症状を治療する上で有効な量である。「有効量」、「治療量」又は「有効用量」という用語は、所望の薬理的又は治療的効果を誘発することで、結果的に障害の有効な予防又は治療を生じる上で十分な量を意味する。
【0077】
CNS障害を治療する場合、化合物の有効量とは、被験体の血液−脳関門を通過し、被験体の脳内の関連する受容体部位に結合し、関連するNNRサブタイプの活性を調節する(例えば、神経伝達物質分泌を調節することで、障害の有効な予防又は治療を行う)上で十分な量である。障害の予防は、その障害の症状の発症を遅延されることで現れる。障害の治療は、障害に関連する症状の軽減又は障害の症状再発の軽減によって現れる。好ましくは、有効量は、所望の結果を得るために十分なものであるが、相当の副作用を生じるには不十分なものである。
【0078】
有効用量は、患者の状態、障害の症状の重度及び医薬組成物の投与方法などの要因に応じて変動し得る。ヒト患者の場合、代表的な化合物の有効用量には通常、関連するNNRの活性を調節するのに十分な量で化合物を投与することが必要とされるが、その量は、重大な程度まで骨格筋及び神経節に対する効果を誘発するには不十分なものでなければならない。当然のことながら、化合物の有効用量は患者ごとに異なるものであるが、CNS効果又は他の所望の治療効果が起こるが、筋肉の作用が認められる量以下で開始する量を含むものである。
【0079】
本明細書に記載の化合物は、本明細書に記載の方法において有効量で使用した場合に、CNS又は他の障害の進行のある程度の予防、症候の改善、及びある程度の再発の改善をもたらすことができる。上記化合物の有効量は、典型的には、相当の副作用を誘発しないために必要な閾値濃度以下である。そのような作用は、例えば骨格筋及び神経節に関係する作用である。化合物は、特定のCNS及び他の障害が治療され、特定の副作用が回避される治療枠内で投与されうる。理想的には、本明細書に記載する化合物の有効量は、障害に対して所望の効果をもたらすのに十分なものであるが、望ましくない副作用を生じるのに不十分なものである(すなわちそれほど高いレベルではない)。好ましくは、化合物は、CNS又は他の障害の治療に有効な投与量で、しかし何らかの有意な程度で特定の副作用が誘発されるのに必要な量の1/5未満、しばしば1/10未満で投与される。
【0080】
最も好ましくは、有効用量は、最小の副作用で最大の効果が生じることが観察される非常に低濃度である。かかる化合物の有効用量には、患者体重1kg当たり5mg未満の量で化合物を投与する必要がある。本発明の化合物は、患者体重1kg当たり約1mg未満から通常は患者体重1kg当たり約100μg未満で投与するが、患者体重1kg当たり約10μgから100μg未満の量であってもよい。前記用量は典型的には、単一用量として、又は24時間の期間にわたって投与される1以上の用量として投与される量を表すものである。
【0081】
ヒト患者の場合、典型的な化合物の有効用量には、一般的には少なくとも約1mg/24時間/患者であって、しばしば少なくとも約10mg/24時間/患者の量で、そして多くの場合少なくとも約100mg/24時間/患者の量で化合物を投与することが必要である。ヒト患者について、典型的な化合物の有効用量は、一般的には約500 mg/24時間/患者を超えない、しばしば約400 mg/24時間/患者を超えない、多くの場合には約300 mg/24時間/患者を越えない化合物の投与が必要である。さらに、患者の血漿中の化合物濃度が通常50 ng/mLを超えず、しばしば30 ng/mLを超えず、そして多くの場合には10 ng/mLを超えないような有効用量で組成物を投与することが有利である。
【0082】
IV. 医薬組成物の使用方法
本発明の化合物を用いて、他のタイプのニコチン化合物が治療薬として提案された又は有用であることが示された様々な症状又は障害、例えば、CNS障害、炎症、細菌及び/若しくはウイルス感染に関係する炎症性応答、疼痛、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、依存症、肥満、又は本明細書にさらに詳しく記載した他の障害を予防又は治療することができる。本化合物はまた、受容体結合研究(in vitro及びin vivo)における診断薬としても用いることができる。かかる治療上の及び他の教示は、例えば、先に本明細書で掲げた参考文献に記載されていて、Williams et al., Drug News Perspec. 7(4): 205 (1994);Arneric et al., CNS Drug Rev. 1(1): 1-26 (1995);Arneric et al., Exp. Opin. Invest. Drugs 5(1): 79-100 (1996);Bencherif et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 279: 1413 (1996);Lippiello et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 279: 1422 (1996);Damaj et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 291: 390 (1999);Chiari et al., Anesthesiology 91: 1447 (1999);Lavand'homme and Eisenbach, Anesthesiology 91: 1455 (1999);Holladay et al., J. Med. Chem. 40(28): 4169-94 (1997);Bannon et al., Science 279: 77 (1998);PCT WO 94/08992号;PCT WO 96/31475号;PCT WO 96/40682号;及び米国特許第5,583,140号(Bencherifら);同第5,597,919号(Dullら);同第5,604,231号(Smithら)及び同第5,852,041号(Cosfordら)が挙げられる。
【0083】
CNS障害
本化合物及びその医薬組成物は、神経変性障害、神経精神医学的障害、神経性障害、及び依存症を含む様々なCNS障害を治療又は予防するのに有用である。前記化合物及びその医薬組成物を用いて、認知欠陥及び機能障害(加齢に伴う及びその他のもの);注意障害及び認知症(感染性病原体又は代謝障害によるものを含む)を治療又は予防し;神経保護をもたらし;痙攣及び多発性脳梗塞を治療し;気分障害、強迫症及び依存症行為を治療し;鎮痛をもたらし;炎症(サイトカイン類及び核内因子κBが介在するものなど)を抑制し;炎症障害を治療し;疼痛軽減をもたらし;感染を治療する(細菌感染、真菌感染及びウィルス感染を治療するための抗感染薬として)ことができる。本発明の化合物及び医薬組成物を用いて治療又は予防することができる障害、疾患及び症状の中には次のものがある:加齢に伴う記憶障害(AAMI)、軽度の認識障害(MCI)、加齢に伴う認知低下(ARCD)、早期老年認知症、若年性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型の認知症、アルツハイマー病、非認知症の認知障害(CIND)、レヴィー小体認知症、HIV認知症、AIDS認知症複合症、血管性認知症、ダウン症候群、頭部外傷、外傷性脳傷害(TBI)、拳闘家認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病及びプリオン疾患、卒中、中枢虚血、末梢虚血、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、失読症、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、統合失調症における認知機能障害、統合失調症における認知欠陥、パーキンソン症候群(パーキンソン病、脳炎後パーキンソン症候群、グアム島のパーキンソン症候群-認知症、前頭側頭骨認知症パーキンソン型(FTDP)を含む)、ピック病、ニーマン-ピック病、ハンチントン病、ハンチントン舞踏病、遅発性運動障害、運動亢進症、進行性核上性麻痺、進行性核上性運動麻痺、下肢静止不能症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン病(MND)、多発性系委縮症(MSA)、皮質基底変性症、ギヤンバレー症候群(GBS)、及び慢性炎症性脱髄性多発神経障害(CIDP)、癲癇、常染色体優性夜間前頭葉癲癇、躁病、不安、うつ病、月経前神経不安、パニック障害、過食症、摂食障害、ナルコレプシー、昼間の過剰な眠気、双極性障害、全般的不安障害、強迫性障害、激しい怒りの爆発、行為障害、反抗性障害、トゥレット症候群、自閉症、薬物及びアルコール依存症、タバコ依存症、肥満、悪液質、乾癬、狼蒼、急性胆管炎、アフタ性口内炎、潰瘍、喘息、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、過敏性腸症候群、痙攣性ジストニー、下痢、便秘、嚢炎、ウイルス性肺臓炎、関節炎(関節リウマチ及び変形性関節症を含む)、内毒血症、敗血症、アテローム性動脈硬化症、特発性肺線維症、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害、尿失調、糖尿病、性機能障害、新形成症及び子癇前症。
【0084】
認知障害又は機能障害は次の精神医学的障害又は症状と関連しうる。例えば、統合失調症及び他の精神病性障害、(限定されるものでないが、精神病性障害、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想障害、短時間の精神病性障害、共有精神病性障害、及び一般医学症状による精神病性障害を含む)、認知症、及び他の認知障害(限定されるものでないが、軽度の認知障害、早期老年認知症、アルツハイマー病、老年認知症、アルツハイマー型の認知症、加齢に伴う記憶障害、レーヴィ小体認知症、血管性認知症、AIDS認知症複合症、失読症を含む)、パーキンソン症候群(パーキンソン病、パーキンソン病の認知障害及び認知症を含む)、多発性硬化症の認知障害、外傷性脳傷害により生じた認知障害、他の一般的医学症状による認知症、不安障害(限定されるものでないが広場恐怖のないパニック障害、広場恐怖のあるパニック障害、パニック障害病歴のない広場恐怖、特異的恐怖症、社会恐怖症、妄想強迫性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、急性ストレス障害、一般化不安障害及び一般医学症状による一般化不安障害を含む)、気分障害(限定されるものでないが、大抑うつ障害、気分変調障害、双極うつ病、双極躁病、双極I型障害、躁病を伴ううつ病、抑うつ又は混合症状、双極II型障害、循環気質障害、及び一般医学症状による気分障害を含む)、睡眠障害(限定されるものでないが、睡眠不全障害、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、睡眠時異常行動障害、悪夢障害、睡眠恐怖障害及び夢遊症障害を含む)、精神遅滞、学習障害、運動技能障害、伝達障害、広汎な発達障害、注意欠陥及び分裂挙動障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、幼児、小児、又は成人の摂食及び食事障害、チック障害、排泄障害、物質に関係する障害(限定されるものでないが、物質依存症、物質乱用、物質中毒、物質退薬、アルコールに関係する障害、アンフェタミン又はアンフェタミン様物質に関係する障害、カフェインに関係する障害、大麻に関係する障害、コカインに関係する障害、幻覚発現物質に関係する障害、吸入薬に関係する障害、ニコチンに関係する障害、オピオイドに関係する障害、フェンシクリジン又はフェンシクリジン様物質に関係する障害、及び鎮静薬、催眠薬又は抗不安薬に関係する障害を含む)、性格障害(限定されるものでないが、妄想強迫性性格障害及び衝動調節障害を含む)。
【0085】
認識能力は、有効性が確認されている認識スケール、例えばアルツハイマー病評価スケール(Alzheimer’s Disease Assessment Scale (ADAS-cog))の認識サブスケールなどを用いて評価することができる。認識の改善における本発明の化合物の有効性の1つの尺度は、そのようなスケールに従って患者の変化の程度を測定することを含む。
【0086】
衝動強迫及び依存性挙動に関して、本発明の化合物は、ニコチン依存症、及び他の脳報酬障害、例えばアルコール依存症、違法及び処方箋薬物中毒などの薬物乱用、摂食障害、例えば肥満、並びに行動中毒、例えば賭博、又は他の中毒の類似の行動的発現のための治療として用いることができる。
【0087】
上記症状及び障害は、例えば、American Psychiatric Association: "Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders", Fourth Edition, Text Revision, Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000にさらに詳しく考察されている。このマニュアルはまた、物質使用、乱用、及び依存症に関係する症候群及び診断の特徴についてさらに詳しく言及している。
【0088】
好ましくは、顕著な有害副作用(例えば、血圧及び心拍数の大幅な上昇、消化管に対する重大な悪影響、及び骨格筋に対する重大な作用など)を起こすことなく、疾患、障害及び症状の治療又は予防を行う。
【0089】
本発明の化合物は、有効量で使用される場合、ヒト神経節(副腎クロム親和性組織でのニコチン機能を誘発する能力がないことによって示される)又は骨格筋(筋肉型ニコチン受容体を発現する細胞調製物においてニコチン機能を誘発する能力がないことによって示される)を特徴とするニコチンサブタイプとの顕著な相互作用を生じることなく、α4β2及びα7 NNRの活性を調節すると考えられる。従って、これらの化合物は、神経節部位及び神経筋部位での活性に関連する重大な副作用を誘発することなく、疾患、障害及び症状を治療又は予防すると考えられる。従って、これらの化合物を投与することで、ある種の疾患、障害及び症状の治療が行われ、ある種の副作用が回避される治療窓が提供される。すなわち、前記化合物の有効用量は、疾患、障害又は症状に対する所望の効果を提供する上で十分であると考えられるが、望ましくない副作用を生じるには不十分であると考えられる(すなわち、十分に高いレベルではない)。
【0090】
従って本発明は、治療(上記の治療法など)に使用するための本発明の化合物又はその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0091】
さらに別の態様において、本発明は、CNS障害(上記の障害、疾患又は症状など)の治療に使用するための医薬の製造における、本発明の化合物又はその製薬上許容される塩の使用を提供する。
【0092】
炎症
主に迷走神経を介する神経系は、マクロファージ腫瘍壊死因子(TNF)の放出を阻害することにより生得的な免疫応答の大きさを調節することが知られている。この生理機構は「コリン作動性抗炎症経路」として知られている(例えば、Tracey, “The Inflammatory Reflex,” Nature 420: 853-9 (2002)を参照)。過剰な炎症及び腫瘍壊死因子合成は様々な疾患における罹患率及びさらに死亡率を誘発する。これらの疾患には、限定されるものでないが、内毒血症、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化症、特発性肺線維症、及び炎症性腸疾患が含まれる。
【0093】
本明細書に記載の化合物を投与することにより治療又は予防することができる炎症症状には、限定されるものでないが、慢性及び急性炎症、乾癬、内毒血症、痛風、急性偽痛風、急性通風性関節炎、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、同種移植片拒絶、慢性移植拒絶、喘息、アテローム性動脈硬化症、単核食細胞依存性肺傷害、特発性肺線維症、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸困難症候群、鎌形赤血球病の急性胸部症候群、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性胆管炎、アフタ性口内炎、嚢炎、糸球体腎炎、狼蒼腎炎、血栓症、及び移植片対宿主反応が含まれる。
【0094】
細菌及び/又はウイルス感染と関連した炎症反応
多くの細菌及び/又はウイルス感染は、毒素の形成並びに細菌又はウイルス及び/又は毒素に対する身体の自然応答により持ち込まれる副作用と関係がある。上述したように、感染に対する身体の応答はしばしば、有意な量のTNF及び/又は他のサイトカインを産生することに関わる。これらのサイトカインの過剰発現は顕著な傷害、例えば敗血症ショック(細菌が敗血症である場合)、内毒素ショック、尿路性敗血症及び毒素ショック症候群を生じうる。
【0095】
サイトカイン発現にはNNRが介在し、これらの受容体のアゴニスト又はパーシャルアゴニストを投与することにより阻害することができる。それ故に、これらの受容体のアゴニスト又はパーシャルアゴニストである本明細書に記載のこれらの化合物を用いて、細菌感染並びにウイルス及び真菌感染と関連した炎症反応を最小化することができる。かかる細菌感染の例には、炭疽症、ボツリヌス中毒、及び敗血症が含まれる。これらの化合物のいくつかはまた抗微生物特性を有しうる。
【0096】
これらの化合物はまた、細菌、ウイルス及び真菌感染を管理する現存の療法、例えば抗生物質、抗ウイルス薬及び抗真菌薬と組合わせて、補助的療法として用いることもできる。また抗毒素を用いて感染性病原体が産生した毒素に結合し、結合した毒素は炎症反応を生じることなく身体を通過することができる。抗毒素の例は、例えば、米国特許第6,310,043号(Bundleら)に開示されている。細菌毒素及び他の毒素に対して有効な他の薬剤が有効でありうるのであって、これらの治療効果を本明細書に記載の化合物との共投与により補完することができる。
【0097】
疼痛
本化合物を投与して疼痛(急性、神経性、炎症性、神経障害性及び慢性の疼痛を含む)を治療及び/又は予防することができる。本化合物を鎮静薬(アヘン)と組み合わせて使用して、アヘン中毒の可能性を最小限にすることができる(例えばモルヒネ回避治療)。本明細書に記載の化合物の鎮痛薬活性は、米国公開特許出願20010056084A1(Allgeierら)に記載の通り実施した持続的な炎症性疼痛及び神経障害性疼痛のモデル(例えば、炎症性疼痛の完全フロイントアジュバントラットモデルにおける機械的痛覚過敏及び神経障害疼痛のマウス部分的坐骨神経ライゲーションモデルにおける機械的痛覚過敏)で実証することができる。
【0098】
鎮痛薬の効果は様々な起源又は病因学の疼痛を治療するのに、特に炎症性疼痛及び関連する痛覚過敏、神経障害性疼痛及び関連する痛覚過敏、慢性疼痛(例えば、重篤な慢性疼痛、手術後の疼痛及び癌、アンギナ、腎又は胆石仙痛、月経、片頭痛及び痛風を含む様々な症状に関係する疼痛)を治療するのに好適である。炎症性疼痛は、関節炎及びリウマチ様の疾患、腱滑膜炎及び血管炎を含む、様々な起源でありうる。神経障害性疼痛には、三叉神経又は疱疹神経痛、糖尿病神経障害性疼痛、灼熱痛、低背部疼痛及び求心路遮断症候群、例えば上腕神経叢裂離が含まれる。
【0099】
血管新生
α7 NNRは血管新生と関係している。血管新生の抑制、例えばα7 NNRのアンタゴニスト(又はある投与量のパーシャルアゴニスト)の投与による血管新生の抑制は、望ましくない血管新生又は血管形成を特徴とする症状を治療又は予防することができる。そのような症状としては、炎症性血管形成及び/又は虚血によって引き起こされた血管形成を特徴とするものが挙げられる。腫瘍増殖と関係した血管新生もまた、α7 NNRのアンタゴニスト又はパーシャルアゴニストとして機能する、本明細書に記載の化合物の投与により抑制することができる。
【0100】
α7 NNR特異的活性の特異的な拮抗作用は、炎症、虚血及び新生物に対する血管新生反応を低減する。本明細書に記載の化合物を評価するための適当な動物モデル系に関するガイダンスは、例えばHeeschen, C. et al., “A novel angiogenic pathway mediated by non-neuronal nicotinic acetylcholine receptors,” J. Clin. Invest. 110(4):527-36 (2002)に見出すことができる。
【0101】
本明細書に記載の化合物を用いて処置することができる代表的な腫瘍タイプとしては、NSCLC、卵巣癌、膵癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、中咽頭癌、下咽頭癌、食道癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、胆嚢癌、胆管癌、小腸癌、尿路癌、腎臓癌、膀胱癌、尿路上皮癌、女性生殖管癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、絨毛癌、妊娠性絨毛性疾患、男性生殖管癌、前立腺癌、精嚢癌、精巣癌、胚細胞腫瘍、内分泌腺癌、甲状腺癌、副腎癌、下垂体癌、皮膚癌、血管腫、黒色腫、肉腫、骨及び軟部組織肉腫、カポジ肉腫、脳腫瘍、神経系腫瘍、眼の腫瘍、髄膜腫瘍、星状細胞腫、神経膠腫、膠芽細胞腫、網膜芽腫、神経腫、神経芽細胞腫、神経鞘腫、髄膜腫、造血系悪性腫瘍(例えば白血病、緑色腫、形質細胞腫、菌状息肉腫のプラーク及び腫瘍、皮膚T細胞性リンパ腫/白血病など)により生じる固形腫瘍、並びにリンパ腫により生じる固形腫瘍が挙げられる。
【0102】
本化合物はまた、抗癌療法の他の形態と組み合わせて投与してもよく、例えば、抗血管新生抗癌剤、例としてシスプラチン、アドリアマイシン、ダウノマイシンなど、及び/又は当技術分野で公知の抗VEGF(血管内皮細胞増殖因子)剤との共投与が挙げられる。
【0103】
本化合物は、腫瘍部位へ標的化されるように投与することができる。例えば、本化合物を、微粒子を腫瘍に向かわせる種々の抗体とコンジュゲートさせたミクロスフェア、微粒子又はリポソームに封入して投与することができる。さらに、動脈及び静脈を通過するが、腫瘍の周囲の毛細血管床には留まるように適切にサイジングしたミクロスフェア、微粒子又はリポソームに存在させて、本化合物を腫瘍に局所的に投与することができる。そのような薬物送達デバイスは当技術分野で公知である。
【0104】
他の障害
CNS障害、炎症、新血管形成及び疼痛を治療するだけでなく、本発明の化合物はまた、NNRが役割を果たすある特定の他の症状、疾患、及び障害を予防又は治療するために用いることができる。例としては、自己免疫疾患、例えば狼蒼、サイトカイン放出に関係する障害、感染続発性の悪液質(例えば、AIDSで起こる、AIDSに関係する複合症及び新形成)、肥満、天疱瘡、尿失調、網膜疾患、感染性疾患、筋無力症、イートン‐ランバート症候群、高血圧、子癇前症、骨粗鬆症、血管狭窄、血管拡張、心臓不整脈、I型糖尿病、過食症、摂食障害、並びに公開された国際特許出願WO 98/25619号に記載の適応症が含まれる。本発明の化合物はまた、痙攣、例えば癲癇の徴候のあるものを治療するために、そして梅毒及びクロイツフェルト・ヤコブ病などの症状を治療するために投与することができる。
【0105】
診断用途
本化合物は、特にこれらを適当な標識を含むように改変された場合、診断組成物、例えばプローブに用いることができる。プローブを用いて、例えば、特定の受容体、特にα4β2及びα7受容体サブタイプの相対数及び/又は機能を決定することができる。この目的には、本発明の化合物を最も好ましくは、放射性同位体部分、例えば11C、18F、76Br、123I又は125Iによって標識する。
【0106】
投与した化合物は、使用した標識に適当な公知の検出方法を用いて検出することができる。検出方法の例には、ポジトロン断層法(position emission topography)(PET)及び単一光子放射断層撮影(SPECT)が含まれる。上記の放射性標識はPET(例えば、11C、18F又は76Br)及びSPECT(例えば、123I)イメージングで有用であり、11Cでは約20.4分間、18Fでは約109分間、123Iでは約13時間、76Brでは約16時間の半減期を有する。高い比活性が非飽和濃度の選択された受容体サブタイプを可視化するために望ましい。投与用量は、典型的には、毒性範囲未満であり、高いコントラストのイメージを提供する。本化合物は非毒性レベルで投与できると予想される。用量の測定は放射性標識イメージングの当業者に公知の方法で行われる。例えば、米国特許第5,969,144号(Londonら)を参照されたい。
【0107】
化合物は公知の技法を用いて投与することができる。例えば、上述のように米国特許第5,969,144号(Londonら)を参照されたい。本化合物は、他の成分、例えば診断組成物を製剤する上で有用なタイプの成分を組み入れた製剤組成物で投与することができる。本発明を実施する上で有用な化合物は、最も好ましくは、高純度の形態で使用する。米国特許第5,853,696号(Elmalchら)を参照されたい。
【0108】
化合物を被験体(例えば、ヒト被験者)に投与した後、被験体内のその化合物の存在を適当な技法によりイメージングして数値化し、選択したNNRサブタイプの存在、量、及び機能性を示すことができる。ヒトだけでなく、本化合物はまた、動物、例えばマウス、ラット、イヌ、及びサルに投与することもできる。SPECT及びPETイメージングは任意の適当な技法及び装置を用いて行うことができる。Villemagne et al., Arneric et al. (編) Neuronal Nicotinic Receptors: Pharmacology and Therapeutic Opportunities, 235-250 (1998)及び米国特許第5,853,696号(Elmalchら)を参照されたい(代表的なイメージング技術の開示について、各文献を参照により本明細書に援用する)。
【0109】
放射性標識した本化合物は、高アフィニティで選択的なNNRサブタイプ(例えば、α4β2、α7)と結合し、好ましくは他のニコチン性コリン作動性受容体サブタイプ(例えば、筋肉及び神経節と関連する受容体サブタイプ)とは無視しうる非特異的結合しか示さない。このように、様々なCNS疾患及び障害に関係する診断のために、被験体の身体内、特に脳内のニコチン性コリン作動性受容体サブタイプの非侵襲性イメージング用の薬剤として用いることができる。
【0110】
一態様においては、診断組成物を、被験体、例えばヒト患者の疾患を診断する方法に用いることができる。前記方法は、患者に本明細書に記載の検出可能な標識化合物を投与するステップ、及びその化合物と選択したNNRサブタイプ(例えば、α4β2及びα7受容体サブタイプ)との結合を検出するステップを含むものである。PET及びSPECTなどの診断ツールを使用する当業者は、本明細書に記載の放射性標識化合物を用いて、広範囲の症状及び障害を診断することができ、それには中枢神経及び自律神経系の機能障害に関係する症状及び障害が含まれる。かかる障害には、アルツハイマー病、パーキンソン病及び統合失調症を含む広範囲のCNS疾患及び障害が含まれる。これら及びその他の評価することができる代表的な疾患及び障害は、米国特許第5,952,339号(Bencherifら)に記載されている。
【0111】
他の態様においては、診断組成物を被験体、例えばヒト患者の選択的ニコチン受容体サブタイプをモニターする方法に用いることができる。その方法は、本明細書に記載の検出可能な標識化合物を患者に投与するステップ及びその化合物と、選択したニコチン受容体サブタイプ、すなわち、α4β2及びα7受容体サブタイプとの結合を検出するステップを含むものである。
【0112】
受容体結合
本発明の化合物は、NNRサブタイプ、特にα4β2及びα7受容体サブタイプと結合する化合物についての結合アッセイにおいて、参照リガンドとして用いることができる。この目的のためには、本発明の化合物を好ましくは、3H又は14Cなどの放射性同位体部分により標識する。かかる結合アッセイの例を以下に詳しく記載する。
【実施例】
【0113】
合成例
下記の実施例は本発明を説明することを目的として提供されるものであり、本発明に限定を加えるものと解釈すべきではない。これらの実施例において、部表示及びパーセント表示はいずれも、別段の断りがない限りは重量部及び重量パーセントである。
【0114】
実施例1:6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成
ラセミ体又は単一エナンチオマーの出発物質のいずれか(全て市販品を入手可能である)を使用して以下の一般的な手順を用いることができる。ラセミ体の合成は本明細書において詳細に報告している。同様の手順を用いて、(1S,4R)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン(Aldrich Chemical)から35%全収率で(1R,5S)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンを得、また(1R,4S)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン(Aldrich Chemical)から45%全収率で(1S,5R)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0115】
乾燥テトラヒドロフラン(THF)(100 mL)中の2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-3-オン(5.0 g, 49 mmol)の溶液を、0℃にて乾燥THF(100 mL)中の水素化アルミニウムリチウム(1.8 g, 49 mmol)のスラリーに添加した。反応混合物を3時間にわたり還流加熱し、続いて周囲温度まで冷却した。エーテル(100 mL)を添加し、混合物を冷却し、0℃で撹拌して、水酸化ナトリウム溶液(5N, 20 mL)をゆっくりと添加して反応を停止させた。スラリーを珪藻土を通してろ過し、ろ液をジカルボン酸ジ-tert-ブチル(10.6 g, 48.6 mmol)及びトリエチルアミン(6.3 mL, 45 mmol)と合わせた。この混合物を周囲温度で12時間撹拌した。ロータリーエバポレーションにより溶媒留去し、残渣をジクロロメタン(200 mL)に溶解し、塩化アンモニウム飽和水溶液(200 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。ジクロロメタンのエバポレーションにより、9.4 gの2-(tert-ブトキシカルボニル)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エンが油として残った。
【0116】
2-(tert-ブトキシカルボニル)-2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エンを200 mLのジクロロメタン-メタノール(2:1)に溶解し、溶液を-78℃まで冷却した。溶液が青色になるまで溶液にオゾンを通過させ、その後さらに10分間通過させた。アルゴン気泡を溶液に導入して過剰なオゾンを除去した(溶液は無色に変わる)。この工程(オゾンとそれに続くアルゴン)をもう1回繰り返し、オゾニドが完全に形成されるようにした。水素化ホウ素ナトリウム(3.7 g, 97 mmol)を-78℃で反応混合物に注意深く添加し、得られた混合物を16時間撹拌し、反応温度を徐々に周囲温度まで高めた。飽和塩化アンモニウム溶液(100 mL)を添加し、混合物をさらに1時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(2×150 mL)で抽出し、有機抽出物を合わせ、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。ロータリーエバポレーションにより溶媒留去して、1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジンを淡黄色油として得た。
【0117】
1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,4-ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジンを300 mLの乾燥ジクロロメタンに溶解し、0℃まで冷却した。冷却した溶液にトリエチルアミン(9.7 mL, 70 mmol)を添加し、続いて塩化メタンスルホニル(5.4 mL, 70 mmol)を注意深く添加した。反応物を周囲温度で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(200 mL)を添加し、層を分離させた。水層をジクロロメタン(200 mL)で洗浄し、有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、ろ過し、揮発物のエバポレーションにより濃縮した。残渣油である1-(tert-ブトキシカルボニル)-2,4-ビス((メチルスルホニルオキシ)メチル)ピロリジンを200 mL圧力管(各管で最大約10 mmol)に入れた。濃縮水酸化アンモニウム水溶液(150 mL)及びヨウ化銅(190 mg, 10 mol%)を各圧力管に添加した。管を密封し、100℃で16時間加熱した。管を周囲温度まで冷却し、反応混合物を60℃(湯浴温度)でロータリーエバポレーションで濃縮した。固形物をメタノールに溶解し、珪藻土を通してろ過し、銅塩を除去した。ロータリーエバポレーションにより溶媒留去し、残渣をSF25-120g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、クロロホルム勾配中のメタノール(30分にわたり0〜50%メタノール)で溶出して精製した。溶媒のエバポレーションにより、6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンを粘性油(4.1 g, 40%)として得た。
【0118】
実施例2:3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成
ジクロロメタン(20 mL)中の6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(500 mg, 2.36 mmol)の溶液に、0℃でトリエチルアミン(325μL, 1 mol等量)を添加し、続いて無水トリフルオロ酢酸(328μL, 1 mol等量)を添加した。溶液を室温まで温め、酢酸ナトリウム水溶液(50 mM溶液、20 mL)及びジクロロメタン(2×20 mL)で洗浄した。有機抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、ろ過した。粗製材料を、SF15-12g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、ジクロロメタンからジクロロメタン:酢酸エチル(1:1)への勾配で24分かけて溶出して精製し、3-(トリフルオロアセチル)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(400 mg, 92%)を橙色油として得た。
【0119】
3-(トリフルオロアセチル)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(400 mg, 1.30 mmol)をジクロロメタンに溶解し、それに25%トリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液0.5 mLを添加した。反応混合物を2時間撹拌したままにした後、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20 mL)で洗浄した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を合わせ、硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、SF15-12g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、クロロホルムから90:9:1 クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムへの勾配で24分かけて溶出して精製し、3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(250 mg, 90%)を黄色油として得た。
【0120】
実施例3:(1S,5S)-3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成
(1R,5S)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(60 mg, 0.28 mmol)のジクロロメタン溶液(5 mL)に、トリエチルアミン(67 mL, 2 mol等量)を添加した。反応物を0℃まで冷却し、クロロギ酸メチル(21 mL, 26 mmol 1.1 mol等量)を添加した。反応混合物を1時間撹拌し、溶媒を減圧留去した。残渣をジクロロメタン及び50mM 酢酸ナトリウム水溶液と合わせ、反応混合物をさらに10分撹拌し、続いて相分離器に通した。有機相を減圧濃縮し、残渣を3 mLの酢酸エチルに溶解し、3N塩酸の酢酸エチル溶液3 mLと合わせた。反応混合物を2時間撹拌した。溶媒を60℃で減圧留去した。得られた残渣をメタノール:ジクロロメタンの1:1混合物中に取り、Biotage SCX-2カラム(カチオン交換樹脂)を通過させた。溶媒を減圧留去し、残渣をSF10-4g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、クロロホルムから90:9:1 クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムへの勾配で10分かけて溶出して精製し、(1S,5S)-3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(10 mg, 25%)を透明油として得た。1H NMR (CD3OD, 300 MHz): δ 4.06 (m, 1 H), 3.85 (m, 2 H), 3.67 (s, 3 H), 3.36 (m, 1 H), 2.74 - 3.14 (m, 3 H), 2.40 (m, 1 H), 1.71 (m, 2 H). MS (m/z): 171 (M+1)。
【0121】
実施例4:(1S,5S)-3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成
シクロプロパンカルボン酸(24μL, 0.30 mmol)及びo-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(155 mg, 0.41 mmol, 1.7 mol等量)を反応バイアル中で5 mLの乾燥ジクロロメタンと共に撹拌した。10分後、2.5 mLのジクロロメタン中の(1R,5S)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(50 mg, 0.24 mmol)を添加し、反応物を2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム(5 mL)を添加し、反応混合物を10分間撹拌し、続いて相分離器に通した。有機相について溶媒を減圧留去し、残渣を3 mLの酢酸エチルに溶解し、3N塩酸の酢酸エチル溶液3 mLと合わせた。反応混合物を2時間撹拌した後、60℃で溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメタノール及びジクロロメタンの1:1混合物中に取り、Biotage SCX-2カラム(カチオン交換樹脂)を通過させた。溶媒を減圧留去し、残渣をSF10-4g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、クロロホルムから90:9:1 クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムへの勾配で8分かけて溶出して精製し、(1S,5S)-3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(18 mg, 42%)を透明油として得た。HCl塩の1H NMR (CD3OD, 400 MHz): δ 4.41 (m, 1 H), 4.26 (m, 1 H), 4.13 (m, 1 H), 3.36 (m, 3 H), 2.95 (m, 1 H), 2.78 (m, 1 H), 2.08 (3, 2 H), 1.95 (bs, 1 H), 0.87 (m, 4 H). MS (m/z): 181 (M+1)。
【0122】
実施例5:(1S,5R)-6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成
シクロプロパンカルボン酸(24μL, 0.30 mmol)及びo-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(155 mg, 0.410 mmol, 1.70 mol等量)を反応バイアル中で5 mLの乾燥ジクロロメタンと共に撹拌した。10分後、2.5 mLのジクロロメタン中の(1R,5R)-3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(50 mg, 0.24 mmol)を添加し、反応物を2時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム(5 mL)を添加し、反応混合物を10分間撹拌し、続いて相分離器に通した。有機相について溶媒を(減圧)留去し、残渣を3 mLのメタノールに溶解し、2N重炭酸カリウム水溶液3 mLと合わせた。反応混合物を60℃で2時間撹拌したままにし、60℃で溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメタノール及びジクロロメタンの1:1混合物中に取り、Biotage SCX-2カラム(カチオン交換樹脂)を通過させた。溶媒を減圧留去し、残渣をSF10-4g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、クロロホルムから90:9:1 クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムへの勾配で8分かけて溶出して精製し、(1S,5R)-6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(15 mg, 35%)を透明油として得た。MS (m/z): 181 (M+1)。
【0123】
実施例6:(1S,5S)-3-(メチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成
5 mLのジクロロメタン中の(1R,5S)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(50 mg, 0.24 mmol)の溶液に、トリエチルアミン(67μL, 2 mol等量)を添加し、溶液を0℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(20μL, 26 mmol, 1.1 mol等量)及び反応混合物を1時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をジクロロメタン及び50 mM酢酸ナトリウム水溶液と合わせた。反応混合物を10分間撹拌し、相分離器に通した。有機相を減圧濃縮し、残渣を3 mLの酢酸エチルに溶解し、3N塩酸の酢酸エチル溶液3 mLと合わせた。反応混合物を2時間撹拌したままにした後、60℃で溶媒を減圧留去した。得られた残渣をメタノール及びジクロロメタンの1:1混合物中に取り、Biotage SCX-2カラム(カチオン交換樹脂)を通過させた。溶媒を減圧留去し、残渣をSF10-4g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、クロロホルムから90:9:1 クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムへの勾配で10分かけて溶出して精製し、(1S,5S)-3-(メチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(12 mg, 26%)を透明油として得た。MS (m/z): 191 (M+1)。
【0124】
実施例7:(1S,5S)-3-(N-アリルカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタンの合成
10 mLのジクロロメタン中の(1R,5S)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(100 mg, 0.47 mmol)の溶液に、トリエチルアミン(134μL, 0.94 mmol, 2 mol等量)を添加し、反応物を0℃まで冷却した。アリルイソシアネート(42μL, 0.47 mmol, 1 mol等量)を添加し、反応溶液を2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をジクロロメタン及び50 mM酢酸ナトリウム水溶液と合わせた。反応混合物を10分間撹拌した後、相分離器を通過させた。有機相を減圧濃縮し、残渣を2.5 mLの酢酸エチルに溶解し、それに3N塩酸の酢酸エチル溶液2.5 mLを添加した。反応混合物を2時間撹拌したままにし、60℃で溶媒を減圧留去した。得られた残渣を1:1メタノール及びジクロロメタン中に溶解し、Biotage SCX-2カラム(カチオン交換樹脂)を通過させた。溶媒を減圧留去し、残渣をSF10-4g Siカラムを備えたAnalogix IntelliFlash 280システムを用いて、クロロホルムから90:9:1 クロロホルム:メタノール:水酸化アンモニウムへの勾配で10分かけて溶出して精製し、(1S,5S)-3-(N-アリルカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン(15 mg, 16%)を透明油として得た。MS (m/z): 196 (M+1)。
【0125】
上で説明したアミドカップリング手順を基礎として用いて、表1に示す化合物を生成した。試薬及び条件は当業者には容易に理解されるだろう。いくつかの場合には、化合物を核磁気共鳴(NMR)データで特性決定した。他の場合には、化合物をLCMSにより構造特性決定した。
【0126】
VIII. 生物学的アッセイ
実施例8:CNS nAChRにおける放射性リガンド結合
α4β2 nAChRサブタイプ
ラット大脳皮質からの膜の調製: 体重150〜250gのラット(雌、Sprague-Dawley)を、12時間の明/暗サイクルに維持し、水及び飼料(PMI Nutrition International, Inc.が供給)を自由に摂取させた。動物に70%CO2で麻酔を施し、断頭により犠牲にした。脳を摘出し、氷冷プラットホーム上に置いた。大脳皮質を取り出し、20体積(重量:体積)の氷冷調製緩衝液(137mM NaCl、10.7mM KCl、5.8mM KH2PO4、8mM Na2HPO4、20mM HEPES(遊離酸)、5mMヨードアセトアミド、1.6mM EDTA、pH7.4)に入れ、メタノールに溶解して最終濃度100μMとしたPMSFを加え、懸濁液をポリトロンによってホモジナイズした。そのホモジネートを4℃にて18000×gで20分間遠心分離し、得られるペレットを20体積の氷冷水に再懸濁した。氷上で60分間インキュベーションした後、4℃にて18000×gで20分間遠心分離することで、新しいペレットを回収した。最終ペレットを10体積の緩衝液に再懸濁させ、-20℃で保存した。
【0127】
SH-EP1/ヒトα4β2クローン細胞からの膜の調製: 40 150mm培養皿からの細胞ペレットをプールし、氷冷調製緩衝液20mL中にてポリトロン(Kinematica GmbH, Switzerland)によってホモジナイズした。そのホモジネートを4℃にて48000gで20分間遠心分離した。得られるペレットを氷冷調製緩衝液20mLに再懸濁し、-20℃で保存した。
【0128】
アッセイ当日、凍結した膜を解凍し、48000×gで20分間遠心分離した。上清をデカントして廃棄した。ペレットをpH7.4のダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(PBS、Life Technologies)に再懸濁し、ポリトロンで6秒間ホモジナイズした。タンパク質濃度はPierce BCAタンパク質アッセイキット(Pierce Chemical Company, Rockford, IL)を用いて、ウシ血清アルブミンを標準として用いて測定した。
【0129】
アッセイ: 膜調製物(ヒトα4β2では約50μg、ラットα4β2では200〜300μgタンパク質)を、PBS(それぞれ50μL及び100μL)中で競合化合物(0.01nM〜100μM)及び5nM [3H]ニコチンの存在下、氷上で2〜3時間インキュベートした。インキュベーションは、非特異的結合を低減するために0.33%ポリエチレンイミン(w/v)に予め浸したGF/Bフィルターを用いて多岐管組織ハーベスター(Brandel, Gaithersburg, MD)で急速濾過することにより停止した。組織をpH7.4のPBSで3回すすいだ。シンチレーション液を、洗浄した組織を含有するフィルターに加えて平衡化した。次いで、液体シンチレーションカウンティングによってフィルターのカウンティングを行い、膜に結合した放射能を測定した(2200CA Tri-Carb LSC, Packard Instruments、50%効率、又はWallac Trilux 1450 MicroBeta、効率40%, Perkin Elmer)。
【0130】
データは、毎分の壊変(DPM)として表した。各アッセイ内で、各点は2〜3重の反復測定をした。各点の反復測定値の平均を求め、薬剤濃度の対数に対してプロットした。結合の50%阻害を生じる化合物濃度であるIC50を、最小自乗非線形回帰によって求めた。Cheng-Prussofの式(1973)を用いてKi値を次式:
Ki = IC50/(1+N/Kd)
[式中、Nは[3H]ニコチンの濃度であり、Kdはニコチンのアフィニティ(3nM、別の実験で測定した)である]で計算した。
【0131】
α7 nAChRサブタイプ
ラット海馬からの膜の調製: 体重150から250gのラット(雌、Sprague-Dawley)を、12時間の明/暗サイクルに維持し、水及び飼料(PMI Nutrition International, Inc.が供給)は自由に摂取させた。動物に70%CO2で麻酔を施し、断頭により犠牲にした。脳を取出し、氷冷プラットホーム上に置いた。海馬を取り出し、10体積(重量:体積)の氷冷調製緩衝液(137mM NaCl、10.7mM KCl、5.8mM KH2PO4、8mM Na2HPO4、20mM HEPES(遊離酸)、5mMヨードアセトアミド、1.6mM EDTA、pH7.4)に入れ、メタノールに溶解して最終濃度100μMとしたPMSFを加え、組織懸濁液をポリトロンによってホモジナイズした。そのホモジネートを4℃にて18000×gで20分間遠心分離し、得られるペレットを10体積の氷冷水に再懸濁させた。氷上で60分間インキュベーションした後、4℃にて18000×gで20分間遠心分離することで、新たなペレットを回収した。最終のペレットを10体積の緩衝液に再懸濁させ、-20℃で保存した。
【0132】
アッセイ当日、組織を解凍し、18000×gで20分間遠心分離し、次いで氷冷PBS(ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水、138mM NaCl、2.67mM KCl、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、0.9mM CaCl2、0.5mM MgCl2、Invitrogen/Gibco、pH 7.4)に再懸濁して、最終濃度を約2mgタンパク質/mLとした。タンパク質はウシ血清アルブミンを標準として用い、文献(Lowry et al., J. Biol. Chem. 193: 265 (1951))の方法によって測定した(この文献を参照により本明細書に援用する)。
【0133】
アッセイ: [3H]MLAの結合を、Davies et al., Neuropharmacol. 38: 679 (1999)の方法の変法を用いて測定した(この文献を参照により本明細書に援用する)。[3H]MLA(比放射能=25〜35 Ci/mmol)はTocrisから入手した。[3H]MLAの結合を、21℃での2時間のインキュベーションを用いて測定した。インキュベーションは、48ウェルのマイクロタイタープレートで行い、最終インキュベーション体積300μL中に1ウエル当たりタンパク質約200μgを含有した。インキュベーション緩衝液はPBSであり、[3H]MLAの最終濃度は5nMであった。結合反応は、室温でブランデル組織ハーベスターを用いて、結合したリガンドを含むタンパク質をガラス繊維フィルター(GF/B、Brandel)上で濾過することにより停止した。フィルターは0.33%ポリエチレンイミンを含む脱イオン水に浸漬して、非特異的結合を低減した。各フィルターを、室温にてPBS(1mLで3回)で洗浄した。非特異的結合は、選択したウェルに50μMの非放射性MLAを含ませることにより測定した。
【0134】
選択したウェルに7種類の異なる濃度の試験化合物を含ませることで、試験化合物による[3H]MLA結合の阻害を測定した。各濃度について三重で測定を行った。IC50値は、特異的[3H]MLA結合の50%を阻害する化合物の濃度として推算した。Cheng et al., Biochem. Pharmacol. 22: 3099-3108 (1973)の方法を用い(この文献を参照により本明細書に援用する)、IC50値からnMの単位で報じた阻害定数(Ki値)を計算した。
【0135】
実施例9:平板受容体結合データ
本発明の化合物についての受容体結合データを表1に示す。
【表1】

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】

【0141】

【0142】

【0143】

【0144】

【0145】

【0146】

【0147】

【0148】

【0149】
生物アッセイデータの総括
本発明を代表する表1の化合物は、ラット及びヒトα4β2サブタイプでそれぞれ0.5nM〜9,900nM及び0.8nM〜>10,000nMの範囲の阻害定数(Ki値)を示し、これはα4β2サブタイプに対するアフィニティを示している。α7サブタイプにおけるKi値は29nM〜>10,000nMの範囲内で変化し、α7サブタイプに対するアフィニティを示している。「ND」の表記は、Ki値を測定しなかったことを意味する。いくつかの場合には、これは一定時間にわたり利用可能ではなかったアッセイの結果であり、他の場合には、これは、化合物がハイスループットスクリーニング(HTS)においてKi決定を保証するのに十分な結合をしなかったためである。この後者の状況は、α4β2サブタイプと比較してα7サブタイプでの結合においてより多く見られた。
【0150】
これに関係して、HTSにおける十分な結合を示さなかったとは、その化合物がα4β2サブタイプについて5μM濃度で5nM 3H-ニコチンの結合を少なくとも50%阻害できなかったことを、α7サブタイプ結合についてその化合物が5μM濃度で5nM 3H-MLA(メチルリカコニチン)の結合を少なくとも50%阻害できなかったことを意味する。
【0151】
観察された具体的な薬理学的応答は、選択した特定の活性化合物、又は医薬品担体が存在するかどうか、並びに製剤のタイプ及び使用した投与方法によってかつこれに依存して変化しうるのであって、結果におけるこのような予想される変動又は相違は本発明の実施において想定される。
【0152】
本発明の具体的な実施形態を本明細書に詳しく説明しかつ記載したが、本発明はこれに限定されるものでない。上記の詳細な説明は本発明の例示として与えられたものであって、本発明になんらかの限定を課するものとみなしてはならない。改変は当業者には明らかであり、本発明の精神から逸脱しない全ての改変は添付した特許請求の範囲内に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I又は式IIのいずれかで表される化合物:
【化1】

〔式中、
YはC(O)、C(S)又はS(O)qであり、
qは1又は2であり、
Z1はメチレンであり、nは0又は1であり、
Z2はメチレンであり、mは0又は1であり、
nが0である場合にはmは1であり、
mが0である場合にはnは1であり、
X1は水素又はC1-6アルキルであり、
X2はRI、ORII、又はNRIIIRIVであり、
YがC(O)である場合には、RIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
YがC(S)又はS(O)qである場合には、RIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
RIIは、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
RIII及びRIVのそれぞれは個々に、水素、場合により置換されていてもよいC1-6アルキル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、場合により置換されていてもよいC2-6アルケニル、場合により置換されていてもよいC3-8シクロアルケニル、場合により置換されていてもよいC2-6アルキニル、場合により置換されていてもよいヘテロシクリル、場合により置換されていてもよいアリール、場合により置換されていてもよいヘテロアリール、場合により置換されていてもよいアリールアルキル、又は場合により置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり、
あるいはRIII及びRIVは、それらが結合している窒素と一緒になって、1以上の不飽和度を含んでもよくかつN、O又はSから選択される1以上のさらなるヘテロ原子を含んでもよい3〜8員環を形成することができ、
ここで「場合により置換されていてもよい」という用語は、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ORV、NRVRVI、C1-6ハロアルキル、-CN、-NO2、-C2RV、-SRV、-N3、-C(=O)NRVRVI、-NRVC(=O)RVI、-OC(=O)NRVRVI、-NRVC(=O)ORVI、-SO2RV、-SO2NRVRVI、及び-NRVSO2RVIから独立して選択される置換基による1以上の水素原子の任意的な置換を意味し、
RV及びRVIは個々に、水素、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はアリールアルキルである。〕
あるいはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
以下からなる群より選択される化合物:
3-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(テトラヒドロフラン-3-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(トリフルオロアセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2-ジメチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(2,2-ジメチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(イソプロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-フルオロフェノキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(2-メトキシエトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(4-フルオロフェノキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(プロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(ブタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2-メチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(シクロペンチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
E-(1S,5S)-3-(3-ペンテノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(メチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(イソプロピルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(フェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-フルオロフェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-クロロフェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(4-メトキシフェニルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2-メチルシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2-ジメチルシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2-ジフルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(スピロ[2.3]ヘキサン-1-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(ペンタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(イソプロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-エチルカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-アリルカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-(4-フルオロフェニル)カルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(N-アリルチオカルバモイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(3-メチルブタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(n-プロポキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5R)-3-(シクロプロピルカルボニル)-6-メチル-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(2,2,3,3-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(cis-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(trans-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(3-フルオロプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(3,3,3-トリフルオロプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(エチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(n-プロピルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5S)-3-(n-ブチルスルホニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
6-(シクロペンテン-4-イルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(cis-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(trans-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(ブタノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(2-メチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(プロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1S,5R)-6-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(シクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(cis-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(trans-2-フルオロシクロプロピルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(シクロブチルカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(2-メチルプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(3-フルオロプロパノイル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(メトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
(1R,5S)-6-(エトキシカルボニル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、及び
(1R,5S)-6-(アセチル)-3,6-ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン、
又はそれらの製薬上許容される塩。
【請求項3】
医薬の製造における、請求項1又は2に記載の化合物の使用。
【請求項4】
中枢神経系障害及び機能障害の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物に、請求項1又は2に記載の化合物の治療上有効な量を投与するステップを含む方法。
【請求項5】
障害が、加齢に関係する記憶障害、軽度の認知障害、早期老年認知症、早期アルツハイマー病、老年認知症、アルツハイマー型の認知症、レーヴィ小体認知症、血管性認知症、アルツハイマー病、卒中、AIDS認知症複合症、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、失読症、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、統合失調症における認知欠陥、及び統合失調症における認知機能障害からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
障害が軽度から中度のアルツハイマー型認知症、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、軽度の認知障害、加齢に関係する記憶障害、統合失調症における認知欠陥、及び統合失調症における認知機能障害からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の化合物、及び1以上の製薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
中枢神経系障害及び機能障害を治療するための医薬の製造における、請求項7に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
炎症、細菌及び/又はウイルス感染と関連した炎症反応、疼痛、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、依存症及び肥満を治療する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳動物に、請求項1又は2に記載の化合物の治療上有効な量を投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2012−502039(P2012−502039A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526147(P2011−526147)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/055718
【国際公開番号】WO2010/028033
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】