説明

ジアゼニウムジオール化に有用なポリマー骨格に反応性第2級アミンペンダントを導入するための方法

ジアゼニウムジオール化に適切な少なくとも1つの第2級アミンを有するポリマー骨格を有する生体適合性ポリマーを開示する。具体的には、エポキシド開環反応を使用する、第2級アミン含有ポリマーを提供するための方法を提供する。より具体的には、これらのポリマーを使用して作製される一酸化窒素放出性医療装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置を製造し、被覆するためのエポキシド由来一酸化窒素(NO)供与性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
一酸化窒素(NO)は、細胞生理学における多様、かつ複雑な役割を果たす単純二原子分子である。ほんの25年前、NOは、空気と混合する化石燃料が燃焼する間に形成される煙霧成分であると主に考えられた。しかしながら、Ferid Murad et al.の先駆的研究の結果、NOは、現在、内皮細胞、神経系細胞、およびマクロファージを含むほとんどすべての組織に見られる強力なシグナル伝達化合物および細胞毒性/細胞増殖抑制剤であることが周知である。哺乳類細胞は、L−アルギニンをN−ω−ヒドロキシ−L−アルギニンに酸化させ、その後、L−シトルリンおよび非荷電NO遊離基に変換する二段階酵素過程を使用してNOを合成する。3つの異なる一酸化窒素シンターゼ酵素が、NO製造を調節する。神経系一酸化窒素シンターゼ(NOSl、またはnNOS)は、神経組織内で形成され、神経伝達における重要な役割を果たし、内皮一酸化窒素シンターゼ(NOS3またはeNOS)は、内皮細胞によって分泌され、血管拡張を誘導し、誘導性一酸化窒素シンターゼ(NOS2またはiNOS)は、主にマクロファージ、肝細胞、および軟骨細胞で見られ、免疫細胞毒性に関連する。
【0003】
神経系NOSおよびeNOSは、少量のNOの迅速、かつ短期間の放出を調節する構成酵素である。これらの微量では、NOは、環状グアノシン一リン酸(cGMP)濃度を上昇させ、次に、細胞内Ca2+レベルを増加させるグアニル酸シクラーゼを活性化する。細胞内Ca2+濃度の増加は、NOの血管拡張作用の主な原因となる平滑筋弛緩を引き起こす。誘発性NOSは、大量のNOの持続放出に関与し、内毒素およびサイトカインを含む細胞外因子によって活性化される。これらの高いNOレベルは、細胞性免疫における重要な役割を果たす。
【0004】
医学研究により、血管外科および介入臓病学の分野を含め、NOの治療的用途が急速に発見されている。経皮経管冠動脈形成(PTCA)(バルーン血管形成としても周知)ならびにアテローム切除および/またはステント留置等の閉塞動脈を除去するために使用される手順は、バルーン膨張またはステント配置の部位で血管壁外傷を引き起こし得る。この外傷に反応して、再狭窄として周知の複雑な多因子過程が生じ得、それにより、以前は開いていた血管腔が狭くなり、再閉塞となる。再狭窄は、外傷部位へ移動する血小板が、外傷内皮にマイトジェンを放出する際に始まる。血小板は、凝集し始め、外傷部位に付着し、血栓形成、または血塊形成を開始する。結果として、以前は開いていた腔は、血小板およびフィブリンが血管壁を収集するにつれて狭くなり始める。再狭窄のより頻繁に見られる機序では、血管壁に付着する活性化血小板によって分泌されるマイトジェンは、治癒過程の間、血管平滑筋細胞の過剰増殖を刺激し、外傷血管腔を制限するか、または閉塞する。得られた新生内膜過形成は、ステント再狭窄の主要な原因である。
【0005】
近年、NOは、血小板凝集および付着を著しく低下させることを示し、これは、NOの直接的な細胞毒性/細胞増殖抑制作用と組み合わせて、血管平滑筋細胞増殖を著しく低下させ、再狭窄の予防に役立つ可能性がある。血小板凝集は、初期血管傷害後数分で生じ、再狭窄につながるイベントのカスケードが開始されると、回復困難な損傷がもたらされ得る。さらに、血栓形成および再狭窄のリスクは、血管腔の内側を覆う内皮が修復されるまで存続する。したがって、NO、または任意の抗再狭窄薬が、直ぐに外傷部位に到達することが不可欠である。
【0006】
外傷部位で治療レベルのNOを提供するための1つの方法は、予防的に全身的NOレベルを増加させることである。これは、内因性NO製造を刺激するか、または外因性NO源を使用することによって行うことができる。内因性NO放出を調節する方法は、主に、L−アルギニン等の過量のNO前駆体を使用する合成経路の活性化、または遺伝子治療を使用して一酸化窒素シンターゼ(NOS)の発現を増加させることに注目している。米国特許第(USPN)5,945,452号、同第5,891,459号および同第5,428,070号では、経口投与のL−アルギニンおよび/またはL−リジンを使用する持続NOの上昇が記載される。しかしながら、これらの方法は、再狭窄の予防における効果が証明されていない。遺伝子治療法を使用する内因性発現NOの調節は、未だ非常に実験的であり、安全性および有効性が証明されていない。米国特許第5,268,465号、同第5,468,630号、および同第5,658,565号では、様々な遺伝子治療法が記載される。
【0007】
純粋なNOガス等の外因性NO源は、毒性が高く、短命であり、生理液中で比較的不溶性である。結果として、全身的外因性NO送達は、該して、ニトログリセリン錠剤、静脈内懸濁液、スプレー、および経皮パッチ等の有機硝酸塩プロドラッグを使用して行われる。ヒトの体は、ニトログリセリンをNOに急速に変換するが、プロドラッグを活性化するために必要な酵素レベルおよび補因子が急速に枯渇し、薬剤耐性を引き起こす。さらに、全身的NO投与は、低血圧および遊離基細胞傷害を含む深刻な副作用を有し得る。したがって、全身的な抗再狭窄治療のための血液レベルを維持するために有機硝酸塩プロドラッグを使用することは、現在不可能である。
【0008】
したがって、全身的予防法に関する不利点を改善するための限局的または部位特異的NO送達が大きく注目されている。NO放出化合物、またはNOS遺伝子を標的細胞に送達するベクターで被覆される医療装置を含む、埋め込み型医療装置および/または局部的遺伝子治療手技が評価されている。それらの全身的対応物と同様に、限局的NO送達のための遺伝子治療手技は、安全性および有効性が証明されていない。部位特異的NOS遺伝子送達が現実となる前に、克服しなければならない重要な技術的問題および安全性に対する懸念が未だ存在する。
【0009】
しかしながら、限局的外因性NOの適用の分野において、著しい進歩が見られている。再狭窄の予防に対して効果的であるために、NO等の抑制性治療薬は、治療レベルで持続した期間で投与しなければならない。結果として、再狭窄を治療するために使用されるいずれのNO放出性医療装置も移植に適さなければならない。理想的な候補装置は、血管ステントである。したがって、NOの治療的有効量を正確な位置に安全に提供するステントは、再狭窄治療および予防において著しい伸展を提示する。
【0010】
体内での適用に適する一酸化窒素放出化合物は、多くの研究者によって開発されている。早くも1960年には、NOガスは、アミン、例えば、ジエチルアミンと反応して、次の一般式R--R′N--N(O)NOで表されるNO放出アニオンを形成することができることが証明された。これらの化合物の塩は、溶液中で自然に分解し、NOを放出することができる。
治療薬として有用な、体温で十分な安定性を有する一酸化窒素放出化合物は、米国特許第4,954,526号、同第5,039,705号、同第5,155,137号、同第5,212,204号、同第5,250,550号、同第5,366,997号、同第5,405,919号、同第5,525,357号、および同第5,650,447号において記載されるように、Keefer et al.によって最終的に開発され、これらのすべての内容は、参照することにより本明細書に含まれる。
【0011】
しかしながら、NOの体内半減期は、限定され、NOの目的とする部分への送達を困難にする。したがって、NOの持続放出を製造することができるNO放出化合物が必要とされる。例えば、NO供与アスピリン誘導体、亜硝酸アミル、および硝酸イソソルビドを含む、いくつかの例示的なNO放出化合物が、この目的で開発されている。さらに、NO付加物を有し(例えば、米国特許公開第2006/0008529号、および同第2004/0037836号を参照)、制御された方法でNOを放出する生体適合性ポリマーが報告されている。
第2級アミンは、2モルのNOに結合し、水性の環境においてそれらを放出する能力を有する。2つのNO分子に結合することが可能な例示的な第2級アミンの一般構造は、式1に示され、以下においてジアゼニウムジオレートと称される(式中、Mは、対イオンであり、適切な荷電を有する金属、またはプロトンであり得、R1およびR2は、有機および無機化学基に対する一般表記である)。高圧下でNOガスを組み込みながら、第2級アミンを塩基性条件に暴露させることは、ジアゼニウムジオレートの形成につながる。
【0012】
【化1】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、医療装置を製造及び被覆するのに適切な一酸化窒素(NO)供与性ポリマーを提供する。より具体的には、本発明は、生理環境において、NOを制御可能に放出または供与するようにジアゼニウムジオレート化することができる少なくとも1つの第2級アミンを含むエポキシド由来ポリマーを提供する。さらに、エポキシドからの第2級アミンを含むポリマーの合成のための方法を開示する。
【0014】
本発明の一実施態様において、少なくとも1つの反応性第2級アミンを有するポリマーを提供する方法が開示され、(a)エポキシドペンダント基を有するポリマーを提供する工程と、(b)該ポリマーを、一般式R2−NH2で表される化合物と、第2級アミンが形成される条件下で反応させる工程と(式中、R2は、C1−C20直鎖アルキル、C3−C20シクロアルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C1−C10多重(multiple)アミン含有炭化水素、C4−C10置換アリール、およびC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールから成る群より選択される)、(c)該第2級アミンを圧力下でNOと反応させ、そのジアゼニウムジオレートを形成する工程とを含む。
本発明の別の実施態様においては、少なくとも1つの反応性第2級アミンを有するモノマーを提供する方法が開示され、
(a)式2で表される重合可能な第1のモノマーを提供する工程と、
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R1は、アクリレート、メタクリレート、ラクトン、C2−C20アルケニル、およびC2−C20アルキニルから成る群より選択される重合可能な部分である)
(b)該第1のモノマーを、一般式R2−NH2で表される化合物と、式3で表される反応性第2級アミンを有するモノマーが形成される条件下で反応させる工程(式中、R2は、C1−C20直鎖アルキル、C3−C20シクロアルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C1−C10多重アミン含有炭化水素、C4−C10置換アリール、およびC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールから成る群より選択される)とを含む。
【0017】
【化3】

【0018】
本発明の別の実施態様において、反応工程(b)は、LiClO4、鉱酸、ブレンステッド酸、イオン交換樹脂、ゼオライト、酸素親和性(oxophilic)金属、プロトンスポンジ(proton sponge)、緩衝液、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および有機金属化合物から成る群より選択される触媒をさらに含む。
【0019】
別の実施態様において、C1−C10多重アミン含有炭化水素は、N−メチルエチレンジアミン、N−メチルプロピリレンジアミン、N−メチルブチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−エチルプロピリレンジアミン、N−エチルブチレンジアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、N−ベンジルプロピリレンジアミン、N−ベンジルブチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−プロピルプロピリレンジアミン、N−プロピルブチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミンから成る群より選択される。
【0020】
反応性第2級アミンを有するポリマーを提供する方法の別の実施態様において、該ポリマーは、ポリエーテル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、およびポリ(塩化ビニル)等のビニルポリマー、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびポリエステルから成る群より選択される。別の実施態様において、該ポリマーとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(エトキシエチルメタクリレート)、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ε−カプロラクトン、ポリエチレングリコール(PEG)、トリメチレンカーボネート、ラクチド、グリコリド、N−アセチル4−アザ−カプロラクトン、シクロヘキシルカプロラクトン、4−tert−ブチルカプロラクトン、および式4のカプロラクトンから成る群より選択されるモノマーがあげられる。
【0021】
本発明の一実施態様において、NO供与性ポリマーを提供する方法が開示され、(a)少なくとも1つの反応性第2級アミンを有するモノマーを含むポリマーを提供する工程と、(b)該第2級アミンを圧力下でNOと反応させ、そのジアゼニウムジオレートを形成する工程と、を含む。
本発明の別の実施態様において、本発明の方法によって調製されるポリマーを含む医療装置が提供される。別の実施態様において、該医療装置は、血管ステントを備える。
一実施態様において、ポリマー被覆を含む医療装置が提供され、該ポリマーは、本発明の方法によって調製される。別の実施態様において、該医療装置は、血管ステントを備える。
【0022】
本発明の別の実施態様において、該ポリマーは、FKBP−12結合剤、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマリガンド(PPARγ)、ヒポテマイシン、NO、ビスフォスフォネート、上皮細胞増殖因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症薬、アンチセンスヌクレオチド、および形質転換核酸から成る群より選択される少なくとも1つの薬物をさらに含む。別の実施態様において、該薬物は、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン)、テムシロリムス(CCI−779)、およびゾタロリムス(ABT−578)から成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含む。さらに別の実施態様において、該薬物は、ゾタロリムスである。
【0023】
用語の定義
ラクチド:本明細書において、ラクチドは、3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンを指す。より一般的に、ラクチドは、本明細書において、乳酸のRおよびS型のヘテロ二量体、乳酸のS型のホモ二量体、および乳酸のR型のホモ二量体とも称される。乳酸およびラクチドは、本明細書において、ほとんど同じ意味で使用される。二量体という用語は、当業者に周知である。
【0024】
【化4】

【0025】
グリコリド:本明細書において、グリコリドは、以下の一般構造を有する分子を指す。
【0026】
【化5】

【0027】
4−tert−ブチルカプロラクトン:本明細書において、4−tert−ブチルカプロラクトンは、以下の一般構造を有する分子を指す。
【0028】
【化6】

【0029】
N−アセチル4−アザ−カプロラクトン:本明細書において、N−アセチル4−アザ−カプロラクトンは、以下の一般構造を有する分子を指す。
【0030】
【化7】

【0031】
骨格:本明細書において、「骨格」は、本発明のポリマーまたはコポリマーの主鎖を指す。本明細書において、「ポリエステル骨格」は、エステル結合を含む生分解性ポリマーの主鎖を指す。
生物活性剤:本明細書において、「生物活性剤」は、動物において治療効果を有する任意の薬物、医薬化合物、または分子を含む。例示的、かつ非限定的な例としては、これらに限定されないが、FKBP12結合性化合物を含むマクロライド抗生物質、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマリガンド(PPARγ)、ヒポテマイシン、NO、ビスフォスフォネート、上皮細胞増殖因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症薬、アンチセンスヌクレオチド、および形質転換核酸を含む、抗増殖剤が挙げられる。生物活性剤は、これらに限定されないが、細胞増殖抑制化合物、化学療法剤、鎮痛剤、スタチン、核酸、ポリペプチド、成長因子、および組み換え微生物、およびリポソームを含む送達ベクターも含み得る。
例示的なFKBP12結合性化合物としては、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカンまたはRAD−001)、テムシロリムス(CCI−779または3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸を有する非晶質ラパマイシン42−エステル)、およびゾタロリムス(ABT−578)が挙げられる。さらに、他のラパマイシンヒドロキシエステルも、本発明のポリマーと組み合わせて使用することができる。
【0032】
生体適合性:本明細書において、「生体適合性」は、動物の組織と密接に接触する位置に配置される場合、動物に外傷または死をもたらさないか、または動物において有害反応を誘導しない任意の材料を意味する。有害反応としては、炎症、感染、線維性組織形成、細胞死、または血栓形成が挙げられる。
コポリマー:本明細書において、「コポリマー」は、モノマー等の2つ以上の異種単位の同時鎖付加重合によって製造される高分子である。コポリマーとしては、二元ポリマー(2つの異種単位)、三元ポリマー(3つの異種単位)等が挙げられる。
【0033】
制御放出:本明細書において、「制御放出」は、所定の速度での医療装置表面からの生物活性化合物の放出を指す。制御放出は、特別に意図されない限り、生物活性化合物が、予測不可能な方法で散発的に医療装置表面から剥がれず、生物環境との接触後に装置を「破裂」(本明細書において、一次速度過程とも称される)させないという意味を含む。しかしながら、本明細書において、「制御放出」という用語は、配置に関連する「バースト現象」を除外しない。本発明の一部の実施態様において、後により段階的な放出が続く薬物の初期バーストは、好ましい場合がある。放出速度は、定常状態(一般的に、「徐放」またはゼロ次速度過程と称される)であり得、つまり、薬物は、所定の時間にわたって均一な量で放出される(初期バースト段階を伴うか、または伴わない)か、または勾配放出であり得る。勾配放出は、装置表面から放出される薬物の濃度が経時的に変化するという意味を含む。
【0034】
ジアゼニウムジオレート:本明細書において、「ジアゼニウムジオレート」は、[N(O)NO]−官能基を有し、予測可能な速度で、生理条件下において一酸化窒素(NO)分子を放出する化学種であるNONOate(1−置換ジアゼニウム−1,2−ジオレート)としても称される、一酸化窒素供与性分子のクラスを指す。さらに、「ジアゼニウムジオレート化された」または「ジアゼニウムジオール化」は、ジアゼニウムジオレート基を有する分子、またはそのような基をポリマーに添加する過程を指す。
ガラス転移温度(Tg):本明細書において、「ガラス転移温度」または「Tg」は、温度を指し、ポリマーは、構造的に、弾力性のある柔軟な状態から堅い不安定な状態へ転移する。
グリシジルメタクリレート:本明細書において、グリシジルメタクリレートは、以下の一般構造を有する分子を指す。
【0035】
【化8】

【0036】
n本明細書において、Mnは、数平均分子量を指す。数学的に、以下の式によって表される。
n=Σiii/Σii
(式中、Niは、重量がMiであるモルの数である。)
w本明細書において、Mwは、既定のポリマーが有し得る平均重量である重量平均分子量を指す。数学的に、以下の式によって表される。
w=Σiii2/Σiii
(式中、Niは、重量がMiである分子の数である。)
【発明を実施するための形態】
【0037】
一酸化窒素(NO)分子を有する第2級アミンを含むポリマーが合成され、ジアゼニウムジオレートが形成されている。ポリマー中の第2級アミンの数を増加させることにより、NO負荷(loading)を増加し、より安定的なジアゼニウムジオレートを提供し、より細かく調製された制御放出の可能性を高める。出願人は、第1級アミンとのエポキシド開環反応に基づく生体適合性ポリマーにより、医療装置を製造及び被覆するのに適切なNO供与性ポリマーを提供すると判断した。
本発明により、医療装置を製造及び被覆するのに適切なエポキシド由来NO供与性ポリマーを提供する。より具体的には、本発明は、生理環境において、NOを制御可能に放出または供与するようにジアゼニウムジオレート化することができる少なくとも1つのエポキシド由来第2級アミンを有する側鎖を含むポリマーを提供する。さらに、エポキシドからの第2級アミンを含むエポキシド由来ポリマーの合成のための方法を開示する。
本発明のポリマーは、ホモポリマーおよびコポリマーを含む。ホモポリマーは、各側鎖上に少なくとも1つの第2級アミン基を含むモノマー単位から成る。本発明のポリマーとしては、これらに限定されないが、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ならびに他の生体安定性および生分解性ポリマーが挙げられる。
本発明の方法における使用のために適切なモノマーは、式2で表されるモノマーを含む。
【0038】
【化9】

【0039】
式中、R1は、これらに限定されないが、メタクリレート、アクリレート、ラクトン、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、およびC2−C14ヘテロ原子置換アルキルを含む、重合可能な部分である。
本発明の方法において使用するのに適切なポリマー骨格としては、ポリエーテル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレンおよびポリ(塩化ビニル)等のビニルポリマー、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、およびそれらの誘導体から成る群より選択される骨格があげられる。
【0040】
アクリレートまたはメタクリレートポリマーとしては、これらに限定されないが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(エトキシエチルメタクリレート)、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレートを含む、アクリルまたはメタクリルモノマーが挙げられる。一実施態様において、メタクリレートモノマーは、エポキシド側鎖を有するグリシジルメタクリレートである。本発明の非アクリレートモノマーとしては、これらに限定されないが、ε−カプロラクトン、ポリエチレングリコール(PEG)、トリメチレンカーボネート、ラクチド、グリコリド、N−アセチル4−アザ−カプロラクトン、シクロヘキシルカプロラクトン、4−tert−ブチルカプロラクトン、式4のカプロラクトン、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0041】
本発明のポリマーは、側鎖を含み、側鎖のうちの1つ以上は、少なくとも1つの第2級アミン基をさらに含む。第2級アミン基は、モノマー重合の前(式3を製造するスキーム1における反応1)または後(スキーム1における反応2)のいずれかで導入することができる。一実施態様において、第2級アミンは、モノマーまたはポリマーのいずれかに対する求核または求電子エポキシド開環反応により導入することができる。一般反応がスキーム1に示され、式中、R1は、これらに限定されないが、アクリレート、メタクリレート、ラクトン、C2−C20アルケニル、およびC2−C20アルキニルを含む、重合可能な部分であり、R2は、C1−C10直鎖アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C1−C10多重アミン含有炭化水素、C4−C10置換アリール、またはC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールである。R1およびR2は、同じであるか、または異なり得る。例示的なC1−C10多重アミン含有炭化水素としては、これらに限定されないが、N−メチルエチレンジアミン、N−メチルプロピリレンジアミン、N−メチルブチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−エチルプロピリレンジアミン、N−エチルブチレンジアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、N−ベンジルプロピリレンジアミン、N−ベンジルブチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−プロピルプロピリレンジアミン、およびN−プロピルブチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミンが挙げられる。
【0042】
【化10】

【0043】
ポリマー側鎖におけるエポキシドは、脱水反応、アルケンの酸化、および閉環反応を含む、反応によって合成される。エポキシド含有側鎖を有する例示的なモノマーは、グリシジルメタクリレートである。本発明は、モノマー上のエポキシド側鎖を合成し、モノマーを重合するために調製する方法も含む。一実施態様において、アルケンを含有する重合可能なモノマーは、エポキシド含有側鎖を得るためにジメチルジオキシランで処理される。別の実施態様において、アルケン含有モノマーは、2−アリルカプロラクトンである(式4)。アルケン含有モノマーのエポキシ化は、モノマーの重合前または重合後のいずれかに行われる。
【0044】
【化11】

【0045】
アルケン含有モノマーは、異なるモノマーでホモ重合または共重合することができる。一実施態様において、2−アリルカプロラクトン(式4)は、これらに限定されないが、グリコリド、ラクチド、および他の生体適合性ラクトン等の他のラクトンで共重合される。その後、得られたコポリマーは、エポキシ化される。アルケン含有モノマーまたはアルケン含有ポリマーに対するエポキシ化反応は、これらに限定されないが、ジメチルジオキシラン、mCPBA、金属酸化物、過酸化物、過酸、環状過酸化物、およびそれらの誘導体等の多くの試薬で行うことができる。別の実施態様において、2−アリルカプロラクトン(式4)は、ホモ重合され、その後、得られたポリマーは、エポキシ化される。エポキシド含有側鎖を有するポリマーが合成されると、それらは第2級アミン側鎖を有するポリマーを得るために第1級アミンで処理される(スキーム1に示される)。反応2の生成物において示される(スキーム1)第2級側鎖を有する得られたポリマーは、アミノアルコールとしても見なされる。
【0046】
本発明のポリマーは、アミン含有モノマー単位当たり少なくとも1つの第2級アミンを含む。第2級アミンは、モノマー単位上の求電子部分に対するアミンの求核攻撃により導入される。求核攻撃によりアミンを導入する反応は、触媒されてもよい。本発明のポリマーを合成する際に有用な触媒としては、これらに限定されないが、LiClO4、鉱酸、ブレンステッド酸、イオン交換樹脂、ゼオライト、酸素親和性金属、プロトンスポンジ、緩衝液、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および有機金属化合物が挙げられる。式5に示される本発明の一実施態様において、アミンは、エポキシドに対する求核攻撃による、グリシジルメタクリレート(サブユニットa)およびメタクリレート(サブユニットb)に由来するポリマーに対して導入される。式5および6において、R3は、C1−C20直鎖アルキル、C5−C10シクロアルキル、アルコキシ置換C2−C10アルキル、またはヘテロ原子置換C2−C10アルキル、またはポリエチレングリコール(PEG)である(反応3)。式6において、R2は、C1−C10直鎖アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C1−C10多重アミン含有炭化水素、C4−C10置換アリール、またはC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールである。
【0047】
【化12】

【0048】
本発明の一実施態様において、式5および6のaおよびb単位は、それぞれ、1〜20,000の整数である。更なる実施態様において、aは、10〜20,000、50〜15,000、100〜10,000、200〜5,000、500〜4,000、700〜3,000、または1000〜2000の整数である。更なる実施態様において、bは、10〜20,000、50〜15,000、100〜10,000、200〜5,000、500〜4,000、700〜3,000、または1000〜2000の整数である。
側鎖は、前駆体ポリマーに対する求核攻撃に適切なアミンを選択することによって、NOの制御放出を提供するように合成的に微調整することができる。
本発明の非アクリレートポリマーとしては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、および他の生体安定性または生分解性ポリマーが挙げられる。本発明の一実施態様において、NO供与ポリマーは、式9のポリエステルであり、式中、nは、0〜4の整数であり、mは、1〜20,000の整数である。式9のポリエステルは、第1級アミンとの標準開環反応により式8のエポキシドから合成される。式9では、R2は、C1−C10直鎖アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C1−C10多重アミン含有炭化水素、C4−C10置換アリール、またはC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールである。
【0049】
【化13】

【0050】
本発明の式7、8、および9の一実施態様において、mは、1〜20,000の整数である。更なる実施態様において、mは、10〜19,000、200〜17,000、400〜15,000、500〜14,000、600〜13,000、700〜12,000、800〜11,000、900〜12,000、1,000〜11,000、1,100〜10,000、1,200〜9,000、1,300〜8,000、1,400〜7,000、1,500〜6,000、1,600〜5,000、1,600〜4,000、1,700〜3,000、1,800〜2,000、または1,900〜1,950の整数である。本発明の式7、8、および9の別の実施態様において、nは、0〜4の整数である。更なる実施態様において、nは、2または3である。
【0051】
本発明の非アクリルポリマーは、ホモポリマーに限定されない。本発明の一実施態様において、ポリエーテルおよびポリエステルのコポリマーは、式11のエポキシドを形成するように上述の反応を受ける式10によって合成される。その後、式11のエポキシドは、式12のポリマーを得るために第1級アミンで処理される。式12では、R2は、C1−C10直鎖アルキル、C3−C8シクロアルキル、C1−C10多重アミン含有炭化水素、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C4−C10置換アリール、またはC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールである。式12では、nは、0〜4の整数であり、mは、1〜20,000の整数であり、fは、1〜20,000の整数である。
【0052】
【化14】

【0053】
本発明の式10、11、および12の一実施態様において、mおよびfは、それぞれ、1〜20,000の整数である。更なる実施態様において、mは、10〜19,000、200〜17,000、400〜15,000、500〜14,000、600〜13,000、700〜12,000、800〜11,000、900〜12,000、1,000〜11,000、1,100〜10,000、1,200〜9,000、1,300〜8,000、1,400〜7,000、1,500〜6,000、1,600〜5,000、1,600〜4,000、1,700〜3,000、1,800〜2,000、または1,900〜1,950の整数である。更なる実施態様において、fは、10〜19,000、200〜17,000、400〜15,000、500〜14,000、600〜13,000、700〜12,000、800〜11,000、900〜12,000、1,000〜11,000、1,100〜10,000、1,200〜9,000、1,300〜8,000、1,400〜7,000、1,500〜6,000、1,600〜5,000、1,600〜4,000、1,700〜3,000、1,800〜2,000、または1,900〜1,950の整数である。本発明の式10、11、および12の別の実施態様において、nは、1〜4の整数である。更なる実施態様において、nは、2または3である。
【0054】
本発明のポリマーの物理的特性は、ポリマーがそれらの目的の用途のために任意に機能することができるように、微調整することができる。微調整することができる特性は、制限されないが、Tg、分子量(MnおよびMwの両方)、多分散性指数(PDI、Mw/Mnの商)、弾性度、および両親媒性の程度を含む。本発明の一実施態様において、ポリマーのTgは、約−10℃〜約85℃である。本発明のさらに別の実施態様において、ポリマーのPDIは、約1.3〜約4.0である。本発明の別の実施態様において、ポリマーのTgは、約0℃〜約40℃である。本発明のさらに別の実施態様において、ポリマーのPDIは、約1.5〜約2.5である。
【0055】
本発明のエポキシド由来NO供与性ポリマーで被覆するために適切な埋め込み型医療装置としては、これらに限定されないが、血管ステント、ステントグラフト、尿道ステント、胆管ステント、カテーテル、ガイドワイヤ、ペースメーカーリード、骨ねじ、縫合、および人工心臓弁が挙げられる。本発明のポリマーは、埋め込み型医療装置を製造するために適切である。本発明のエポキシド由来NO供与性ポリマーから製造することができる医療装置としては、これらに限定されないが、血管ステント、ステントグラフト、尿道ステント、胆管ステント、カテーテル、ガイドワイヤ、ペースメーカーリード、骨ねじ、縫合、および人工心臓弁が挙げられる。
本発明のポリマー被覆剤は、血行力学的環境に配置される医療装置を対象とし、優れた付着性を有する。つまり、被覆剤は、医療装置表面に安定的に連結しなければならない。これらに限定されないが、ステンレス鋼、ニチノール、アルミニウム、クロム、チタン、金、コバルト、セラミック、および幅広い合成ポリマー、ならびにこれらに限定されないが、コラーゲン、フィブリン、および植物繊維を含む天然材料を含む、多くの異なる材料は、埋め込み型医療装置を製造するために使用することができる。これらの材料のすべて、および他の材料は、本発明の教示に従って作製されるポリマー被覆剤と併用することができる。さらに、本発明のポリマーは、医療装置の全体を製造するために使用することができる。
【0056】
ポリマーがどのようにして表面に付着するかということの我々の理解を説明しようと試みるか、またはそれに貢献する多くの理論が存在する。最も重要な力としては、静電および水素結合が挙げられる。しかしながら、湿潤性、吸収性、および弾力性を含む他の要因も、ポリマーが異なる表面にいかに良く付着するかを決定する。したがって、ポリマー塩基被膜、またはプライマーは、しばしば、より均一な被覆表面を作製するために使用される。
本発明のエポキシド由来NO供与性ポリマー被覆剤は、当業者に周知の任意の方法で下塗りされるか、または裸の医療装置表面に塗布することができる。本発明に適合する塗布法としては、これらに限定されないが、溶射、浸漬、ブラッシング、真空蒸着、静電スプレー被覆、血漿被覆、回転被覆電気化学的被覆、および他の方法が挙げられる。さらに、本発明のエポキシド由来のNO供与性ポリマー被覆剤は、キャップ被膜と併用することができる。本明細書において、キャップ被膜は、別の被覆剤上に塗布される最外被覆層を指す。NO供与性ポリマー被覆剤は、プライマー被膜上に塗布される。その後、ポリマーキャップ被膜は、エポキシド由来のNO供与性ポリマー被覆剤上に塗布される。キャップ被膜は、任意で、NO放出を制御する拡散障壁として機能することができる。キャップ被膜は、単に、ステントを保護し、NO放出速度に影響を与えないようにステントの表面に塗布される生体適合性ポリマーであり得る。
【0057】
本発明のエポキシド由来NO供与性ポリマーは、薬物の送達および制御放出にも有用である。本発明のポリマーからの放出に適切な薬物としては、これらに限定されないが、抗増殖化合物、細胞増殖抑制化合物、毒性化合物、抗炎症化合物、化学療法剤、鎮痛剤、抗生物質、プロテアーゼ阻害剤、スタチン、核酸、ポリペプチド、成長因子、および組み換え微生物、リポソームを含む送達ベクター等が挙げられる。
本発明の一実施態様において、制御可能に放出される薬物としては、これらに限定されないが、FKBP−12結合剤を含む、マクロライド抗生物質が挙げられる。このクラスの例示的な薬物としては、シロリムス(ラパマイシン)(式2)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカンまたはRAD−001)、テムシロリムス(CCI−779、または米国特許出願第10/930,487号に開示される3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸を有する非晶質ラパマイシン42−エステル)、およびゾタロリムス(ABT−578、米国特許第6,015,815号および同第6,329,386号を参照)(式1)が挙げられる。加えて、米国特許第5,362,718号に開示される他のラパマイシンヒドロキシエステルが、本発明のポリマーと組み合わせて使用することができる。前述の特許および特許出願のすべての全内容は、FKBP−12結合性化合物および誘導体に関する、それらが教示するすべてを参照することにより、本明細書において組み込まれる。
【0058】
実施例
以下の非限定的な例により、本発明の教示による例示的なポリマーの合成方法を提供する。
実施例1
グリシジルメタクリレート/ヘキシルメタクリレートコポリマーの合成
【0059】
【化15】

【0060】
グリシジルメタクリレート(9.02g)、n−ヘキシルメタクリレート(21.03g)、1,4−ジオキサン(59.98g)、およびAIBN(240mg)を120mLの瓶の中で混合し、密封し、窒素で30分間パージした。瓶を、油浴中で攪拌しながら60℃で3時間加熱した。ポリマーを、ジクロロメタン溶液からメタノール中で繰り返し(3回)沈殿させることにより精製した。真空オーブンにおいて45℃で一晩乾燥させた後、n−ヘキシルメタクリレート(56モル%)およびグリシジルメタクリレート(44モル%)のコポリマーを、1H NMRによって得た。ポリマーは、GPC(THF、35Cおよびポリスチレン標準)による、232240の重量平均分子量および2.0のPDIを有した。第2の熱に対する20℃/分の加熱速度で、DSCによって測定されたポリマーのTgは、28.8℃であった。
【0061】
実施例2
側鎖における第2級アミン基へのエポキシド基の変換
【0062】
【化16】


【0063】
この実施例において、1.0gの実施例1のポリマーを、瓶の中で3mlのTHFに溶解させた。その後、14.5mLの1−ヘキシルアミンを添加した。瓶を密封し、油浴中で50℃で一晩加熱した。NMRは、エポキシドが消費されたことを示した。得られたポリマーは、THF溶液からヘキサン/酢酸エチル(v/v 80/20)への繰り返し(3回)沈殿させることにより精製した。ポリマーを、真空で、室温で一晩乾燥させた。
【0064】
実施例3
第2級アミン機能性ポリマーのジアゼニウムジオレート化ポリマーへの変換
約1mgの実施例2のポリマー(N27)を、4分の1インチのステンレス鋼切り取り試片上にTHF溶液から浸漬被覆した。切り取り試片は、真空で乾燥させ、被覆ポリマーを、80psiのNO下で3日間乾燥ジアゼニウムジオレート化した。切り取り試片をPBS(pH7.4)バッファー管中でインキュベートし、放出された一酸化窒素が、一酸化窒素分析器(GE Analytical Instrument 280i)で検出された。ジアゼニウムジオレート化ポリマーは、5.78pmol/分/mgの初期放出速度を示し、18.5時間で1.49nmol/mgの一酸化窒素を放出した。
【0065】
実施例4
側鎖における多重第2級アミン基へのエポキシド基の変換
【0066】
【化17】

【0067】
ヘキシルメタクリレート(64モル%)およびグリシジルメタクリレート(36モル%)の前駆体コポリマーを、実施例1と同様に調製した。この実施例において、2.03グラムの前駆体ポリマーを、4mLのTHFに溶解し、瓶の中で19.2mLのN−メチルエチレンジアミンと混合した。瓶を密封し、油浴中で60℃で22時間加熱した。ポリマーを、THF溶液からのヘキサン中で繰り返し(3回)沈殿させることにより精製した。ポリマーを、真空で、室温で一晩乾燥させた。
【0068】
実施例5
約1mgの実施例2のポリマー(N47)を、4分の1インチのステンレス鋼切り取り試片上にTHF溶液から浸漬被覆した。切り取り試片は、真空で乾燥させ、被覆ポリマーを、80psiのNO下で3日間乾燥ジアゼニウムジオレート化した。切り取り試片をPBS(pH7.4)バッファー管中でインキュベートし、放出された一酸化窒素が、一酸化窒素分析器(GE Analytical Instrument 280i)で検出された。ジアゼニウムジオレート化ポリマーは、401pmol/分/mgの初期放出速度を示し、23.5時間で110nmol/mgの一酸化窒素を放出した。
【0069】
実施例6
側鎖における多重アミン基へのエポキシド基の変換
【0070】
【化18】

【0071】
重量2.0gの実施例3の前駆体ポリマーを、8mLのTHFに溶解した。それとは別に、23.9mLのジエチレントリアミンを、12mLのTHFと混合することによって、別の溶液を調製した。ポリマー溶液を、攪拌下において、滴下でジエチレントリアミン溶液に添加した。混合物を、油浴中で50℃で3日間加熱した。得られたポリマーを、THF溶液から脱イオン水へ沈殿させることによって精製した。d4−メタノール中の1H NMRスペクトルは、エポキシド官能基の消失、およびNCH2基に対応する約2.7ppmの新規ピークの出現を示した。
【0072】
実施例7
約1mgの実施例6のポリマー(N59)を、4分の1インチのステンレス鋼切り取り試片上にTHF溶液から浸漬被覆し、80psiのNO圧力下で3日間ジアゼニウムジオレート化した。切り取り試片をPBS(pH7.4)バッファー管中でインキュベートし、放出されたNOが、NO分析器(GE Analytical Instrument 280i)で検出された。ジアゼニウムジオレート化ポリマーは、635pmol/分/mgの初期放出速度を示し、以下の一酸化窒素放出曲線に示されるように122.1時間で141nmol/mgのNOを放出した。
【0073】
【化19】

【0074】
実施例8
エポキシド由来NO供与性ポリマーからのステントの製造
例示的、非限定的な目的のために、血管ステントを説明する。生分解性NO供与性ポリマーは、射出成形機のバレル中で溶融するまで加熱し、圧力下でステント鋳型へ押し込められる。成形ポリマー(ここで、ステントに類似し、ステントである)が冷却し、固化した後、ステントは、鋳型から取り出される。本発明の一実施態様において、ステントは、第1および第2の端部、ならびに第1と第2の端部との間に配置される壁付き表面を有するチューブ状部材である。壁は、編組状形態に織り込まれた押出ポリマーモノフィラメントから成る。第2の実施態様において、ステントは、射出成形または押し出される。穿孔は、チューブの壁に成形、レーザー切断、ダイス切断、または機械加工される。編組ステント形態モノフィラメントは、小球状にされ、乾燥したポリマー材料から製造される。その後、乾燥ポリマー小球は、押し出され、粗いモノフィラメントを形成し、それは、急冷される。その後、押出急冷粗モノフィラメントは、約0.01mm〜0.6mm、好ましくは、約0.05mm〜0.15mmの平均直径を有する最終モノフィラメントに成形される。その後、約10〜約50の最終モノフィラメントは、用途に対して適切な大きさの編組マンドレル上において編組角度約90〜170度で編み込み法によって織り込まれる。その後、編み込みステントは、編組マンドレルから外され、編組マンドレル直径以下の外径を有するアニールマンドレル上に配置され、空気中、不活性雰囲気中、または真空下において、約5分〜約18時間、約ポリマーTgからポリマー混合物の融解温度の温度でアニールされる。その後、ステントは、冷却させられ、切断される。
【0075】
他に示されない限り、本明細書および請求項で使用される成分の量、分子量、反応条件等の特性を表す、すべての数は、「約」という用語によって、いかなる場合にも修正されるものと理解される。したがって、これと異なることが示されない限り、以下の明細書および添付請求項で説明される数値パラメータは、本発明によって得ようとされる所望の特性によって異なり得る近似値である。少なくとも請求項の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数を踏まえ、一般的な四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値域およびパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例で説明される数値は、できるだけ正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定で見られる標準偏差からやむを得ず得られるある程度の誤差を本質的に包含する。
本発明の記載内容(特に、以下の請求項の内容)で使用される「1つの」、「ある」、「前記」という用語、および同様の指示対象は、本明細書において指示されるか、または内容によって明確に反論されない限り、単数形および複数形の両方を対象とするように解釈される。本明細書における値域の列挙は、単に、範囲に該当する各別々の値を個々に言及する速記法として機能することを目的とする。本明細書において指示されない限り、個々の値は、本明細書において個々に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書において記載されるすべての方法は、本明細書において指示されるか、または内容によって明確に反論されない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書において提供される任意およびすべての例、または例示的な言葉(例えば、「等」)の使用は、単に、本発明をより明らかにすることを目的とし、主張される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書における言葉は、本発明の実行に不可欠な任意の非主張的構成要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0076】
本明細書において開示される本発明の代替の構成要素または実施態様の分類は、限定と解釈されるものではない。各群の要素は、個々に言及され、主張されるか、または本明細書において見られる群の他の要素または他の構成要素と任意で組み合わされ得る。群の1つ以上の要素は、便宜および/または特許性の理由で、群に含まれるか、または削除され得ることが予期される。任意のそのような包含または削除が生じる場合、本明細書は、修正される群を包含すると見なされるため、付属請求項で使用されるすべてのマーカッシュ群の記述を実行する。
【0077】
本発明のある実施態様は、本明細書において記載され、本発明を実行するための発明者に周知の最良の態様を含む。当然のことながら、これらの記述された実施態様に対する変更は、前述の説明を読むと、当業者にとって明らかとなる。発明者は、当業者が、必要に応じてそのような変更を使用することを予期し、発明者は、本明細書において明確に記載される以外に、本発明が実行されることを目的とする。したがって、本発明は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付される請求項で記載される主題のすべての修正および同等物を含む。さらに、そのすべての可能な変更における上述の構成要素の任意の組み合わせは、本明細書において指示されるか、または内容によって明確に反論されない限り、包含される。
【0078】
さらに、本明細書を通して多数の特許および刊行物が言及された。上述の各参考文献および刊行物は、それらの全体として参照することにより、本明細書にそれぞれ組み込まれる。
最後に、当然のことながら、本明細書において開示される本発明の実施態様は、本発明の原理を反映する。使用することができる他の修正は、本発明の範囲内である。したがって、例として、限定ではないが、本発明の代替の構成が、本明細書における教示に従って使用することができる。したがって、本発明は、示され、記載されるように正確なものに限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの反応性第2級アミンを有するポリマーを提供する方法であって、
(a)エポキシドペンダント基を有するポリマーを提供する工程と、
(b)前記ポリマーを、第2級アミンが形成される条件下で、一般式R2−NH2で表される化合物と反応させる工程と(式中、R2は、C1−C20直鎖アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C1−C10多重アミン含有炭化水素、C4−C10置換アリール、およびC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールから成る群より選択される)、
(c)前記第2級アミンを圧力下でNOと反応させ、そのジアゼニウムジオレートを形成する工程と、
を含む前記方法。
【請求項2】
少なくとも1つの反応性第2級アミンを有するモノマーを提供する方法であって、
(a)式2で表される重合可能な第1のモノマーを提供する工程と、
【化1】

(式中、R1は、アクリレート、メタクリレート、ラクトン、C2−C20アルケニル、およびC2−C20アルキニルから成る群より選択される重合可能な部分である)、
(b)前記第1のモノマーを、式3で表される反応性第2級アミンを有するモノマーが形成される条件下で、一般式R2−NH2で表される化合物と反応させる工程と(式中、R2は、C1−C20直鎖アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、C2−C14ヘテロ原子置換アルキル、C2−C14ヘテロ原子置換シクロアルキル、C1−C10多重アミン含有炭化水素、C4−C10置換アリール、およびC4−C10置換ヘテロ原子置換ヘテロアリールから成る群より選択される)、
【化2】

を含む前記方法。
【請求項3】
前記反応工程(b)が触媒をさらに含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が、LiClO4、鉱酸、ブレンステッド酸、イオン交換樹脂、ゼオライト、酸素親和性金属、プロトンスポンジ、緩衝液、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および有機金属化合物から成る群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記C1−C10多重アミン含有炭化水素が、N−メチルエチレンジアミン、N−メチルプロピリレンジアミン、N−メチルブチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N−エチルプロピリレンジアミン、N−エチルブチレンジアミン、N−ベンジルエチレンジアミン、N−ベンジルプロピリレンジアミン、N−ベンジルブチレンジアミン、N−プロピルエチレンジアミン、N−プロピルプロピリレンジアミン、およびN−プロピルブチレンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、およびペンタエチレンヘキサミンから成る群より選択される、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーが、ポリエーテル、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレンおよびポリ(塩化ビニル)のビニルポリマー、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびポリエステルから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(エトキシエチルメタクリレート)、グリシジルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ε−カプロラクトン、ポリエチレングリコール(PEG)、トリメチレンカーボネート、ラクチド、グリコリド、N−アセチル4−アザ−カプロラクトン、シクロヘキシルカプロラクトン、4−tert−ブチルカプロラクトン、および式4のカプロラクトンから成る群より選択されるモノマーから構成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
一酸化窒素供与性ポリマーを提供する方法であって、
(a)請求項2に記載の少なくとも1つの反応性第2級アミンを有するモノマーを含むポリマーを提供する工程と、
(b)前記第2級アミンを圧力下でNOと反応させ、そのジアゼニウムジオレートを形成する工程と、
を含む、前記方法。
【請求項9】
請求項1または8のいずれかの方法によって調製されるポリマーを含む医療装置。
【請求項10】
前記医療装置が血管ステントを備える、請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
前記ポリマーが、FKBP−12結合剤、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマリガンド(PPARγ)、ヒポテマイシン、一酸化窒素、ビスフォスフォネート、上皮細胞増殖因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症薬、アンチセンスヌクレオチド、および形質転換核酸から成る群より選択される少なくとも1つの薬物をさらに含む、請求項9に記載の医療装置。
【請求項12】
前記薬物が、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン)、テムシロリムス(CCI−779)、およびゾタロリムス(ABT−578)から成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項11に記載の医療装置。
【請求項13】
前記薬物が、ゾタロリムスを含む、請求項12に記載の医療装置。
【請求項14】
ポリマー被覆剤を含む医療装置であって、前記ポリマーは、請求項1または8のいずれかに記載の方法によって調製される、前記医療装置。
【請求項15】
前記医療装置が、血管ステントを備える、請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
前記ポリマーが、FKBP−12結合剤、エストロゲン、シャペロン阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、タンパク質チロシンキナーゼ阻害剤、レプトマイシンB、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマリガンド(PPARγ)、ヒポテマイシン、一酸化窒素、ビスフォスフォネート、上皮細胞増殖因子阻害剤、抗体、プロテアソーム阻害剤、抗生物質、抗炎症薬、アンチセンスヌクレオチド、および形質転換核酸から成る群より選択される少なくとも1つの薬物をさらに含む、請求項14に記載の医療装置。
【請求項17】
前記薬物が、シロリムス(ラパマイシン)、タクロリムス(FK506)、エベロリムス(サーティカン)、テムシロリムス(CCI−779)、およびゾタロリムス(ABT−578)から成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項16に記載の医療装置。
【請求項18】
前記薬物が、ゾタロリムスを含む、請求項17に記載の医療装置。

【公表番号】特表2010−534270(P2010−534270A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518252(P2010−518252)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/067323
【国際公開番号】WO2009/014829
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(502129357)メドトロニック カルディオ ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】