説明

ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン組成物および該組成物を含有する潤滑組成物

本発明は、非対称第2級ジアルキルアミンをベースにした、摩擦低減性能、粘度および溶解性の改善された新規ジチオカルバミン酸モリブデン、およびそれを含む潤滑組成物に関する。該化合物は、式R1−NH−R2(ここで、R1およびR2は、同一でなく、C3〜C19のアルキル基から独立に選択される)の非対称ジアルキルアミンから製造される。好ましい実施形態において、R3およびR4は、同一でなく、C3〜C19のアルキル基から独立に選択される。ジチオカルバミン酸モリブデンは、次式で表される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑組成物の添加剤として有用である、非対称ジアルキルアミンから調製される新規な非対称ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンに関する。
【背景技術】
【0002】
ジチオカルバミン酸モリブデンは、潤滑製剤のための広く知られた添加剤である。対称ジアルキルアミンおよび対称ジアルキルアミン混合物から調製されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンは、抗磨耗特性を付与する目的で、潤滑油(およびその混合物)の添加剤として現在使用されている。これらの組成物は確かに有効ではあるが、改善を提供し、あるいはさらにより優れた潤滑特性を提供する化合物が求められている。また、特定の潤滑油組成物において、従来技術のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンは、特に低温度で所望される溶解性を有さず、その結果、その化合物は潤滑組成物から分離し、潤滑組成物中でヘーズ、曇りまたは沈殿の形成を引き起こし、そのため、その有効性を低下させる。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,627,146号
【0004】
【特許文献2】米国特許第6,245,725号
【0005】
【特許文献3】米国特許第2,444,328号
【0006】
【特許文献4】米国特許第3,219,666号
【0007】
【特許文献5】米国特許第4,234,435号
【0008】
【特許文献6】米国特許第5,230,714号
【0009】
【特許文献7】英国特許第1,306,529号
【0010】
【特許文献8】米国特許第3,316,177号
【0011】
【特許文献9】米国特許第3,340,281号
【0012】
【特許文献10】米国特許第3,351,552号
【0013】
【特許文献11】米国特許第3,381,022号
【0014】
【特許文献12】米国特許第3,433,744号
【0015】
【特許文献13】米国特許第3,444,170号
【0016】
【特許文献14】米国特許第3,467,668号
【0017】
【特許文献15】米国特許第3,501,405号
【0018】
【特許文献16】米国特許第3,542,680号
【0019】
【特許文献17】米国特許第3,576,743号
【0020】
【特許文献18】米国特許第3,632,511号
【0021】
【特許文献19】米国特許再発行第26,433号
【0022】
【特許文献20】米国特許第3,275,554号
【0023】
【特許文献21】米国特許第3,438,757号
【0024】
【特許文献22】米国特許第3,454,555号
【0025】
【特許文献23】米国特許第3,565,804号
【0026】
【特許文献24】米国特許第3,036,003号
【0027】
【特許文献25】米国特許第3,236,770号
【0028】
【特許文献26】米国特許第3,414,347号
【0029】
【特許文献27】米国特許第3,448,047号
【0030】
【特許文献28】米国特許第346,172号
【0031】
【特許文献29】米国特許第3,539,633号
【0032】
【特許文献30】米国特許第3,586,629号
【0033】
【特許文献31】米国特許第3,591,598号
【0034】
【特許文献32】米国特許第3,634,515号
【0035】
【特許文献33】米国特許第3,725,480号
【0036】
【特許文献34】米国特許第3,726,882号
【0037】
【特許文献35】米国特許第3,200,107号
【0038】
【特許文献36】米国特許第3,282,955号
【0039】
【特許文献37】米国特許第3,367,943号
【0040】
【特許文献38】米国特許第3,513,093号
【0041】
【特許文献39】米国特許第3,639,242号
【0042】
【特許文献40】米国特許第3,649,659号
【0043】
【特許文献41】米国特許第3,442,808号
【0044】
【特許文献42】米国特許第3,455,832号
【0045】
【特許文献43】米国特許第3,579,450号
【0046】
【特許文献44】米国特許第3,600,372号
【0047】
【特許文献45】米国特許第3,702,757号
【0048】
【特許文献46】米国特許第3,708,422号
【0049】
【特許文献47】米国特許第3,329,658号
【0050】
【特許文献48】米国特許第3,449,250号
【0051】
【特許文献49】米国特許第3,519,656号
【0052】
【特許文献50】米国特許第3,666,730号
【0053】
【特許文献51】米国特許第3,687,849号
【0054】
【特許文献52】米国特許第3,702,300号
【0055】
【特許文献53】米国特許第3,087,936号
【0056】
【特許文献54】米国特許第3,254,025号
【0057】
【特許文献55】米国特許第5,198,133号
【0058】
【特許文献56】米国特許第4,857,214号
【0059】
【特許文献57】米国特許第3,211,652号
【0060】
【特許文献58】米国特許第6,235,686号
【0061】
【特許文献59】米国特許第5,328,619号
【0062】
【特許文献60】米国特許第4,031,023号
【0063】
【特許文献61】米国特許第4,029,587号
【0064】
【特許文献62】米国特許第4,792,410号
【0065】
【特許文献63】米国特許第5,110,488号
【0066】
【特許文献64】米国特許第4,259,254号
【0067】
【特許文献65】米国特許第5,137,647号
【0068】
【特許文献66】米国特許第4,889,647号
【0069】
【特許文献67】米国特許第4,164,473号
【0070】
【特許文献68】米国特許第4,758,362号
【0071】
【特許文献69】米国特許第4,466,894号
【0072】
【特許文献70】米国特許第5,157,088号
【0073】
【特許文献71】米国特許第5,256,752号
【0074】
【特許文献72】米国特許第5,395,539号
【0075】
【特許文献73】米国特許第4,880,553号
【0076】
【特許文献74】米国特許第4,753,745号
【0077】
【特許文献75】米国特許第5,403,501号
【0078】
【特許文献76】米国特許第3,359,203号
【0079】
【特許文献77】米国特許第5,354,484号
【0080】
【特許文献78】米国特許第4,130,494号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0081】
従って、また、潤滑組成物中での溶解性が改善されたジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンが求められている。さらに、現在のジチオカルバミン酸モリブデン(DTC)には、処理するのに容認されるレベルにまで添加剤粘度を低下させるため、かなりの量の希釈オイルを添加する必要がある。このことは、希釈により添加剤の活性を低下させる。従って、容易に流し込むことのできる製品を提供するのに必要な希釈オイルがより少ない添加剤が有利である。
ジチオカルバミン酸モリブデンは、次式(1)
【0082】
【化1】

【0083】
で表される。
【0084】
モリブデン基の片側にあるR1およびR2基が反対側にあるR3およびR4と同一でない特定類型の非対称ジチオカルバミン酸モリブデン(MoDTC)が知られている。しかし、これらの化合物は、2種の異なる対称ジアルキルアミン、HNR1R2およびHNR3R4(ここで、R1=R2かつR3=R4であり、R1はR3と同一ではない)の混合物を使用して形成されると思われる。例えば、Tanakaらへの米国特許第5,627,146号には、その必須成分としての非対称型ジチオカルバミン酸モリブデンを製造するために具体的にはC8ジチオカルバモイルおよびC13ジチオカルバモイル配位子を含めた潤滑油組成物が記載されている。
【0085】
Tanakaのさらなる米国特許第6,245,725号では、非対称MoDTC化合物(ここで、R1、R2、R3およびR4は、非対称性を確保するため、1つの異なるアルキルを有するだけでよい)が一般論として言及されており、また、該化合物は、異なる炭化水素基を有する第2級アミンから形成できることが一般論として述べられている。さらに、該特許は、良好な性能を達成するために、非対称MoDTCを対称MoDTCとブレンドすべきであることを提案している。しかし、このような非対称ジアルキルアミンは当時存在しなかったので、このような化合物は、Tanakaが教示した当時では不可能であったろう。ようやく最近になって、このようなアミン、例えば、米国、ウィスコンシン州、ジェーンズヴィルのNova Molecular Technologies,Inc.からの(2−エチルヘキシル)トリデシルアミン;米国、ウィスコンシン州、ミルトンのTomah Products,Inc.からのイソデシルオキシプロピル−イソプロピルアミンおよびアルコキシプロピル−イソプロピル(アルキル=C12〜C15)などが入手可能になっている。
【0086】
従って、‘725号特許中の唯一の実用的な例は、Tanakaの‘146号特許が教示するC8/C13MoDTCに同一であると思われる。このような非対称ジアルキルアミンが当時入手可能であるとの示唆はなく、該特許は、2種の異なる第2級アミン、1つはC8を残りの1つはC13を当てにしているだけである。当時は、恐らくこのような化合物を計画することさえ可能ではなかったので、このような化合物(非対称ジアルキルアミンをベースにした)が実現可能であるばかりでなく、それらが、驚くべきことに、対称MoDTCまたは2種の異なる対称ジアルキルアミンから形成されるTanakaによって教示された非対称MoDTCよりも一層より顕著な摩擦性能を提供することは、予見することもできなかった。
【0087】
同時に、新規な非対称組成物がTanakaによって教示された組成物よりも低い粘度を有するとの発見は驚きである。取扱に必要とされる希釈オイルが少なくなるにつれ、結果として、基油組成物などの潤滑組成物は、従来技術の化合物で可能な量よりも大量のモリブデンを含むことができる。従って、本発明組成物は、対称MoDTCを使用する場合にわずか約7.5%であるのに較べ、12〜15重量%までのモリブデンを有する潤滑組成物を見込んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0088】
潤滑配合物における現在のジチオカルバミン酸モリブデン化合物の欠点を克服するために、本発明者らは、非対称ジアルキル第2級アミンから形成される新規な非対称MoDTCを発見した。このような化合物は、そのR1およびR2が同一でない一般式HNR1R2のジアルキルアミンから形成される。このようなアミンの例には、(2−エチルヘキシル)トリデシルアミン、イソデシルオキシプロピル−イソプロピルアミンおよびアルコキシプロピル−イソプロピル(アルキル=C12〜C15、すなわち、多分C12〜C15直鎖アルコールを含む脂肪アルコール混合物から誘導される)が含まれる。MoDTCがこのようなアミンから既知の方法により形成される場合、結果として、そのR1がR2に等しくない式1に記載のMoDTCが得られる。たった1種の非対称アミンが原料であるなら、R3およびR4は、それぞれR1およびR2と同一である。しかし、アミン源が別の非対称アミンをも含む場合には、R3またはR4の少なくとも一方は、R1およびR2の少なくとも一方と異なる。同様に、非対称および対称アミンの混合物をベースにしたアミン源は、そのR3およびR4は、同一であるが、R1およびR2の少なくとも一方と異なるMoDTCを与える可能性がある。
【0089】
本発明は、また、有効量の新規な非対称ジチオカルバミン酸モリブデンを含有する潤滑組成物に関する。新規で改善された潤滑添加剤は、改善された摩擦低減特性、より良好な溶解性を有し、かつ実用のために必要な希釈剤がより少ないことによって提供されるより高いモリブデン含有量を見込んでいる。詳細には、本発明は、非対称ジアルキルアミン、非対称ジアルキルアミンの混合物、または非対称および対称ジアルキルアミンの混合物から調製される新規なジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン;これらのジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンとその他のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンとの混合物;前記化合物および混合物を含有する潤滑組成物;潤滑組成物におけるMoDTCの溶解性を改善する方法;改善された粘度を有するMoDTCの調製方法;摩擦低減を高めた潤滑組成物の調製方法;ならびにモリブデン含有量を高めたMoDTCの調製方法に関する。
【0090】
新規な部類のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンは、潤滑油に改善された抗磨耗特性を付与し、潤滑組成物に対して一般に改善された溶解性を示し、より低い添加剤粘度を有する。固有粘度が低いほど、希釈オイルの使用がより少なくて済み、より高いモリブデン含有量の添加剤を得ることが可能になる。さらに、これらの新規な化合物とその他のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンとの混合物は、その他のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンの溶解性を高める。新規なジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンは、従来技術で周知の方法により非対称ジアルキルアミンまたは非対称ジアルキルアミン混合物から調製される。しかし、本発明化合物および得られる潤滑組成物は、従来技術の観点から可能ではなく、それらの驚くように改善された特性は予見できなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0091】
ジチオカルバミン酸モリブデンは、無機中心核とジチオカルバミン酸との錯体である。架橋したまたは1つだけのモリブデン核(「単核」)が理論上考えられる。さらに、モリブデン核上の配位空間は、遊離アミンまたはその他の配位部分で満たされていてもよい。本発明は、比較的新しい非対称ジアルキルアミン(異なるアルキル基を有する)を利用することによって形成される新規化合物、およびこの新しい技術によって達成される予想外の改善に関する。
【0092】
新規なジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンは、限定はしないが、三酸化モリブデン、水、二硫化炭素、および1種または複数の非対称ジアルキルアミンHNR1R2(ここでR1とR2は同一でない)の間の反応など、当業者にとって周知であるいくつかの方法のいずれかによって調製される。R1およびR2は、高い溶解効果を達成するために、3〜19個の炭素原子を含む分枝または直鎖の基、好ましくはC8〜C13かつ分枝鎖から独立に選択される。非対称と対称ジアルキルアミンの混合物も使用できる。配位子が「混ぜ合わせ」であることを考えると、このことは、新しい技術を形成すると期待される。モリブデン錯体は、典型的には、2つのジチオカルバミル配位子を有すると理論上考えられる。従って、対称および非対称のアルキルアミンを利用して形成される分子は、錯体上に各ジチオカルバミル配位子の1つを有する新規な分子を提供する。従って、新規な発明は、ジチオカルバミン酸モリブデンの合成で利用される少量の非対称ジアルキルアミンからでさえ、かなりの量で作りだされる。
【0093】
本発明者らは、好ましくは非対称ジアルキルアミンの出発基から製造されるMoDTCが、従来技術の化合物と較べて驚くほど優れた摩擦低減を提供することを発見するに至った。詳細には、そのR1がR2と異なり、かつR3がR4と異なる対称MoDTCは、R1=R2かつR3=R4である化合物と較べて優れた性能を提供する。これに関して、本発明者による化合物は、必ずしも非対称ではなく、R1とR3は同一でもよく、かつR2とR4は同一でもよい(ここでR1はR2に等しくない)。また、2種の異なる非対称ジアミンから形成される化合物は、同様に優れた摩擦特性を有すると考えられる。従って、本発明は、少なくとも1種の非対称ジアルキルアミンから形成されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンを含む。本発明化合物は、少なくともR1がR2に等しくなく、好ましくはさらにR3がR4に等しくない化合物である。また、Tanakaの‘725号特許で必要とされるような非対称MoDTCの不存在下で、特に摩擦低減に関して優れた結果が得られることが注目される。
【0094】
R1〜R4を構成できる基は、例えば、前に言及したTanakaの特許に示されているように、当技術分野で周知である。さらに、R1〜R4を構成できる基は酸素および硫黄などのヘテロ原子を含むこともできる。
【0095】
抗酸化、抗磨耗性の改善された本発明組成物は、周知の方法によって、潤滑組成物中に、例えば、潤滑組成物の総重量を基準にして0.01〜15重量%のような、所望の酸化抑制特性を生み出すのに有効な量で組み込まれることができる。本発明の一実施形態において、その量は、潤滑組成物の総重量を基準にして約0.01〜5.0重量%の範囲でよい。本発明の別の実施形態において、その添加剤量の範囲は、潤滑組成物の総重量を基準にして約0.1〜3.0%である。該組成物は、オイルまたはグリースとして製剤された天然および合成潤滑油に対して、金属不活性化および酸化抑制の特性を付与する。
【0096】
潤滑ビヒクルとして採用される基油は、中でもタービン油、油圧作動油、ギアー油、クランクケース油およびディーゼル油など、自動車および工業の応用分野で使用される典型的なオイルである。天然基油には、ミネラルオイル、石油系オイル、パラフィン系オイル、および植物オイルが含まれる。また、基油は、石油系炭化水素および合成供給源から誘導されるオイルから選択することもできる。炭化水素系基油は、ナフテン系、芳香族系、およびパラフィン系ミネラルオイルから選択できる。合成油は、中でも、エステル型オイル(ケイ酸エステル、ペンタエリスリトールエステルおよびカルボン酸エステルなど)、水素化ミネラルオイル、シリコーン、シラン、ポリシロキサン、アルキレンポリマー、およびポリグリコールエーテルから選択できる。
【0097】
潤滑組成物は、例えば、分散剤、乳化剤、および粘度改善剤のような、該組成物を調製するのに必要な成分を任意選択で含む。グリースは、例えば、脂肪酸の塩または錯体、ポリ尿素化合物、粘土および第4級アンモニウムベントナイトのような増粘剤を添加することによって調製できる。潤滑油の意図した用途に応じて、その他の機能性添加剤を添加して潤滑油の特定の特性を高めることができる。
【0098】
潤滑組成物は、また、以下の添加剤、すなわち
1.ホウ酸系および/または無ホウ酸系分散剤
2.追加の抗酸化化合物
3.シール用膨潤組成物
4.摩擦調節剤
5.極圧/抗磨耗剤
6.粘度調節剤
7.流動点降下剤
8.清浄剤
9.ホスフェート
10.消泡剤
11.錆抑制剤
12.銅腐食抑制剤
の1種または複数を含むことができる。
【0099】
1.ホウ酸系および/または無ホウ酸系分散剤
無ホウ酸系無灰分散剤は、最終の液体組成物中に、オイルを除外した量を基準として10重量%まで組み込むことができる。
【0100】
以下に挙げる多くの部類の無灰分散剤は当技術分野で周知である。ホウ酸系無灰分散剤を含めることもできる。
【0101】
(A)「カルボン酸系分散剤」は、少なくとも約34個の、好ましくは少なくとも約54個の炭素原子を含むカルボン酸系アシル化剤(酸、無水物、エステルなど)と、窒素含有化合物(アミンなど)、有機ヒドロキシ化合物(一価および多価アルコールを含む脂肪族化合物、またはフェノールおよびナフトールを含む芳香族化合物など)、および/または塩基性無機材料との反応生成物である。これらの反応生成物には、カルボン酸系アシル化剤のイミド化、アミド化、およびエステル化反応生成物が含まれる。これらの材料の例には、コハク酸イミド分散剤およびカルボン酸エステル分散剤が含まれる。カルボン酸系アシル化剤には、そのアルキル基がポリブチル部分であるアルキルコハク酸および無水物、脂肪酸、イソ脂肪族酸(例えば、8−メチルオクタデカン酸)、二量体酸、付加ジカルボン酸、不飽和脂肪酸と不飽和カルボン酸系試薬との付加(4+2および2+2)生成物、三量体酸、付加トリカルボン酸(例えば、Empol(登録商標)1040、Hystrene(登録商標)5460およびUnidyme(登録商標)60)、およびヒドロカルビル置換カルボン酸系アシル化剤(オレフィンおよび/またはポリアルケンから)が含まれる。1つの好ましい実施形態において、カルボン酸系アシル化剤は脂肪酸である。脂肪酸は、一般に、約8〜約30、または約12〜約24個の炭素原子を含む。カルボン酸系アシル化剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2,444,328号、3,219,666号および4,234,435号に教示されている。アミンは、モノ−またはポリアミンでよい。モノアミンは、一般に、1〜約12個の炭素原子を含めて1〜約24個の炭素原子を含む少なくとも1つのヒドロカルビル基を有する。モノアミンの例には、脂肪(C8〜C30)アミン、第1級エーテルアミン(SURFAM(登録商標)アミン)、第3級脂肪族第1級アミン(「Primene」)、ヒドロキシアミン(第1級、第2級または第3級アルカノールアミン)、エーテルN−(ヒドロキシヒドロカルビル)アミン、およびヒドロキシヒドロカルビルアミン(「Ethomeens」および「Propomeen」)が含まれる。ポリアミンには、アルコキシル化ジアミン(「Ethoduomeen」)、脂肪ジアミン(「Duomeen」)、アルキレンポリアミン(エチレンポリアミン)、ヒドロキシ含有ポリアミン、ポリオキシアルキレンポリアミン(JEFFAMINEなど)、縮合アミン(少なくとも1種のヒドロキシ化合物と、少なくとも1つの第1級または第2級アミノ基を含む少なくとも1種のポリアミン反応物の間での縮合反応)、および複素環ポリアミンが含まれる。有用なアミンには、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,234,435号および米国特許第5,230,714号に開示されているアミンが含まれる。これら「カルボン酸系分散剤」の例は、分散剤の開示について参照により本明細書に組み込まれる、英国特許第1,306,529号、米国特許第3,219,666号、3,316,177号、3,340,281号、3,351,552号、3,381,022号、3,433,744号、3,444,170号、3,467,668号、3,501,405号、3,542,680号、3,576,743号、3,632,511号、4,234,435号、および米国再発行第26,433号に記載されている。
【0102】
(B)「アミン系分散剤」は、比較的高分子量の脂肪族または脂環式ハライドと、アミン、好ましくはポリアルキレンアミンとの反応生成物である。その例は、分散剤の開示について参照により本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許第3,275,554号、3,438,757号、3,454,555号、および3,565,804号に記載されている。
【0103】
(C)「マンニッヒ系分散剤」は、そのアルキル基が少なくとも約30個の炭素原子を含むアルキルフェノールとアルデヒド(特にホルムアルデヒド)およびアミン(特にポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。米国特許第3,036,003号、3,236,770号、3,414,347号、3,448,047号、346,172号、3,539,633号、3,586,629号、3,591,598号、3,634,515号、3,725,480号、および3,726,882号に記載されている材料は、分散剤の開示について参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
(D)後処理分散剤は、カルボン酸、アミンまたはマンニッヒ系分散剤を尿素、チオ尿素、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換コハク酸無水物、ニトリル、エポキシド、ホウ素化合物、リン化合物などの試薬と反応させることによって得られる。米国特許第3,200,107号、3,282,955号、3,367,943号、3,513,093号、3,639,242号、3,649,659号、3,442,808号、3,455,832号、3,579,450号、3,600,372号、3,702,757号、および3,708,422号を、分散剤の開示について参照により本明細書に組み込む。
【0105】
(E)ポリマー系分散剤は、メタクリル酸デシル、ビニルデシルエーテル、および極性置換基を含むモノマーを有する高分子量オレフィン、例えば、アクリル酸アミノアルキルまたはアミノアルキルアクリルアミドおよびポリ−(オキシエチレン)−で置換されたアクリル酸エステルなどのオイルを可溶化するモノマーのインターポリマーである。ポリマー系分散剤は、分散剤および無灰分散剤の開示について参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,329,658号、3,449,250号、3,519,656号、3,666,730号、3,687,849号、および3,702,300号に開示されている。
【0106】
ホウ酸系分散剤は、ホウ酸系分散剤の開示について参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,087,936号および3,254,025号に記載されている。
参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,198,133号および4,857,214号に開示されているものも、考え得る分散用添加物として包含される。これらの特許の分散剤は、アルケニルコハク酸イミドまたはコハク酸イミド無灰分散剤とリンエステルとのまたは無機リン含有酸または無水物およびホウ素化合物との反応生成物に匹敵する。
【0107】
2.追加の抗酸化化合物
所望なら、本発明の組成物中でその他の抗酸化剤を使用できる。典型的な抗酸化剤には、ヒンダードフェノール系抗酸化剤、第2級芳香族アミン系抗酸化剤、硫化フェノール系抗酸化剤、油溶性銅化合物、リン含有抗酸化剤、有機スルフィド、ジスルフィドおよびポリスルフィドなどが含まれる。
【0108】
実例となる立体的に障害されたフェノール系抗酸化剤には、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、2−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2,8−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−メチル−6−スチリルフェノール、2,6−ジスチリル−4−ノニルフェノールなどのオルトアルキル化化合物、およびこれらの類似体および同族体が含まれる。このような単核フェノール系化合物の2種またはそれ以上からなる混合物も適している。
【0109】
本発明の組成物で使用するのに好ましいその他のフェノール系抗酸化剤は、メチレンで架橋されたアルキルフェノールであり、これらは、単独で、または互いに組み合わせて、あるいは立体的に障害された非架橋フェノール系化合物と組み合わせて使用できる。メチレンで架橋された実例となる化合物には、4,4'−メチレンビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)4,4'−メチレンビス(2−tert−アミル−o−クレゾール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)および類似の化合物が含まれる。特に好ましいのは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,211,652号に記載されているようなメチレンで架橋されたアルキルフェノール類の混合物である。
【0110】
アミン系抗酸化剤、特に油溶性芳香族第2級アミンも、本発明の組成物中で使用できる。芳香族第2級モノアミンが好ましいが、芳香族第2級ポリアミンも適している。実例となる芳香族第2級モノアミンには、ジフェニルアミン、それぞれ約16個までの炭素原子を有する1つまたは2つのアルキル置換基を含むアルキルジフェニルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−p−ナフチルアミン、それぞれ約16個までの炭素原子を有する1つまたは2つのアルキルまたはアラルキル基を含むアルキル−またはアラルキル−で置換されたフェニル−β−ナフチルアミン、それぞれ約16個までの炭素原子を有する1つまたは2つのアルキルまたはアラルキル基を含むアルキル−またはアラルキル−で置換されたフェニル−p−ナフチルアミン、および類似の化合物が含まれる。
【0111】
芳香族アミン系抗酸化剤の好ましい類型は、一般式
【0112】
1−C64−NH−C64−R2
【0113】
[式中、R1は、8〜12個の炭素原子(より好ましくは8個または9個の炭素原子)を有するアルキル基(好ましくは分枝アルキル基)であり、R2は、水素原子、または8〜12個の炭素原子(より好ましくは8個または9個の炭素原子)を有するアルキル基(好ましくは分枝アルキル基)である。最も好ましくは、R1とR2は同一である]のアルキル化ジフェニルアミンである。このような好ましい化合物の1つは、Naugalube(登録商標)438Lとして購入可能であり、この材料は、大部分が、そのノニル基が分枝である4,4'−ジノニルジフェニル(すなわち、ビス(4−ノニルフェニル)(アミン))である。
【0114】
本発明の組成物に含めるのに好ましい別の有用な類型の抗酸化剤は、一塩化硫黄をフェノール類の液体混合物(該フェノール混合物の少なくとも約50重量%は1種または複数の反応性ヒンダードフェノールから構成される)と、液体生成物を生成するために反応性ヒンダードフェノール1モル当たり約0.3〜約0.7グラム原子の一塩化硫黄を提供する比率で反応させることによって調製されるような、1種または複数の液体で部分的に硫化されたフェノール性化合物である。このような液体製品組成物を作るのに有用な典型的フェノール化合物には、約75重量%の2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、および約10重量%の2−tert−ブチルフェノール、約13重量%の2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、および約2重量%の2,4−ジ−tert−ブチルフェノールを含む混合物が含まれる。反応は、発熱であり、そのため、好ましくは約15℃〜約70℃、最も好ましくは約40℃〜約60℃の範囲内に保持される。
【0115】
別の有用な部類の抗酸化剤は、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMDQ)ポリマー、および参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,235,686号に記載されているような芳香族化された末端単位を含む同族体である。
【0116】
異なる抗酸化剤の混合物も使用できる。1つの適切な混合物は、(i)、立体的に障害された少なくとも3種の異なる一価フェノールからなる25℃で液体状態である油溶性混合物、(ii)立体的に障害された少なくとも3種の異なる立体的に障害されたtert−ブチル化メチレン架橋ポリフェノール、および(iii)そのアルキル基が8〜12個の炭素原子を有する分枝アルキル基である少なくとも1種のビス(4−アルキルフェニル)アミンからなる組み合わせから構成され、(i)、(ii)および(iii)の比率は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,328,619号に開示されているように、成分(iii)の1重量部当たり成分(i)が3.5〜5.0重量部、成分(ii)が0.9〜1.2重量部の範囲に入る。
【0117】
その他の有用な好ましい抗酸化剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,031,023号の開示に含まれる抗酸化剤である。
【0118】
3.シール用膨潤組成物
シールを柔軟に保持するように設計された組成物は、当技術分野で周知である。好ましいシール用膨潤組成物はイソデシルスルホランである。シール用膨潤剤は、好ましくは、組成物中に約0.1〜3重量%で組み込まれる。置換された3−アルコキシスルホランが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,029,587号に開示されている。
【0119】
4.摩擦調節剤
摩擦調節剤も当業者に周知である。摩擦調節剤の有用なリストは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,792,410号に含まれている。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,110,488号には、脂肪酸の金属塩、特に亜鉛塩が開示されている。有用な摩擦調節剤には、脂肪ホスファイト、脂肪酸アミド、脂肪エポキシド、ホウ酸系脂肪エポキシド、脂肪アミン、グリセロールエステル、ホウ酸系グリセロールエステルアルコキシル化脂肪アミン、ホウ酸系アルコキシル化脂肪アミン、脂肪酸の金属塩、硫化オレフィン、脂肪イミダゾリン、ジチオカルバミン酸モリブデン(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,259,254号)、モリブデン酸エステル(例えば、双方とも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,137,647号および米国特許第4,889,647号)、硫黄供与体を含むモリブデン酸アミン(例えば参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,164,473号)、およびこれらの混合物が含まれる。
【0120】
好ましい摩擦調節剤は、そのホウ素含有量について含められているとして前に言及したようなホウ酸系脂肪エポキシドである。摩擦調節剤は、好ましくは、組成物中に0.1〜10重量%の量で含められ、単一の摩擦調節剤または2種以上からなる混合物でよい。
【0121】
摩擦調節剤には、脂肪酸の金属塩も含まれる。好ましいカチオンは、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびナトリウムであり、任意のその他のアルカリまたはアルカリ土類金属も使用できる。塩は、アミンの当量に対して過剰のカチオンを含めることによって塩基過剰にできる。次いで、過剰のカチオンを二酸化炭素で処理して炭酸塩を形成する。金属塩は、適切な塩を、塩を形成するための、および反応混合物に二酸化炭素を適切に添加する場合には、塩を形成するのに必要なカチオンを超える任意のカチオンの炭酸塩を形成するための酸と反応させることによって調製される。好ましい摩擦調節剤はオレイン酸亜鉛である。
【0122】
5.極圧/抗磨耗剤
ジアルキルジチオリン酸コハク酸エステルを添加して抗磨耗保護を提供できる。亜鉛塩は、好ましくは、ホスホロジチオン酸またはジチオカルバミン酸の亜鉛塩として添加される。使用するのに好ましい化合物の中には、ジイソオクチルジチオリン酸亜鉛およびジベンジルジチオリン酸亜鉛およびアミルジチオカルバミン酸がある。また、潤滑組成物には、抗磨耗/極圧性能を付与するために亜鉛塩と同じ重量%範囲で、ホスホン酸水素ジブチル(DBPH)、モノチオリン酸トリフェニル、およびジブチルアミン、二硫化炭素、およびアクリル酸のメチルエステルを反応させることによって形成されるチオカルバミン酸エステルが含められる。チオカルバミン酸エステルは、米国特許第4,758,362号に記載されており、リン含有金属塩は、米国特許第4,466,894号に記載されている。双方の特許は、参照により本明細書に組み込まれる。アンチモンまたは鉛塩も、極圧用に使用できる。好ましい塩はジアミルジチオカルバミン酸アンチモンのようにジチオカルバミン酸からなる。
【0123】
6.粘度調節剤
粘度調節剤(VM)および分散粘度調節剤(DVM)は周知である。VMおよびDVMの例が、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、ポリオレフィン、スチレン−マレイン酸エステルコポリマー、ならびに、ホモポリマー、コポリマーおよびグラフトポリマーを含む類似の高分子系物質である。購入可能なVM、DVMの例、およびそれらの化学類型を以下に列挙する。DVMは、それらの番号の後に(D)で示す。購入可能な代表的粘度調節剤を下表1に挙げる。
【0124】
【表1】

粘度調節剤の概要は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,157,088号、5,256,752号および5,395,539号中に見出すことができる。VMおよび/またはDVMは、好ましくは、完全に製剤された組成物中に10重量%までの濃度で組み込まれる。
【0125】
7.流動点降下剤(PPD)
これらの成分は、潤滑油の低温品質を改善するのに特に有用である。好ましい流動点降下剤は、アルキルナフタレンである。流動点降下剤は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,880,553号および4,753,745号に開示されている。PPDは、一般に、潤滑組成物に応用されて低温度および低剪断速度で測定される粘度を低減する。流動点降下剤は、好ましくは、0.1〜5重量%の範囲で使用される。潤滑液の低温度、定剪断速度でのレオロジーを評価するのに使用される試験の例には、ASTM D97(流動点)、ASTM D2983(ブルックフィールド粘度)、D4684(ミニ−ロータリー粘度計)およびD5133(走査型ブルックフィールド)が含まれる。
購入できる流動点降下剤の例およびそれらの化学類型を表2に挙げる。
【0126】
【表2】

【0127】
8.清浄剤
また、潤滑組成物には、多くの場合好ましくは、清浄剤が含まれる。本発明で使用する場合、清浄剤は、好ましくは有機酸の金属塩である。清浄剤の有機酸部分は、好ましくは、スルホン酸、カルボン酸、石炭酸、またはサリチル酸である。清浄剤の金属部分は、好ましくは、アルカリまたはアルカリ土類金属である。好ましい金属は、ナトリウム、カルシウム、カリウム、およびマグネシウムである。好ましくは、清浄剤は、塩基過剰であり、これは、中性金属塩を形成するのに必要な金属を超えて化学量論的に過剰な金属が存在することを意味する。
【0128】
好ましい塩基過剰有機塩は、実質上親油特性を有し、有機材料から形成されるスルホン酸塩である。有機スルホン酸塩は、潤滑油および清浄剤の技術分野で周知の材料である。スルホン酸塩化合物は、好ましくは、平均で約10〜約40個の炭素原子、より好ましくは約12〜約36個の炭素原子、最も好ましくは約14〜約32個の炭素原子を含む。同様に、石炭酸塩、オキシレートおよびカルボン酸塩は、好ましくは、実質上親油特性を有する。
【0129】
本発明は、炭素原子が芳香族またはパラフィン系の形態であることを見込んでいるが、アルキル化された芳香族を採用することが極めて好ましい。ナフタレンをベースにした材料も採用できるが、好ましい芳香族はベンゼン部分である。
【0130】
従って、1つの特に好ましい成分は、塩基過剰のモノスルホン化されたアルキルベンゼンであり、好ましくはモノアルキルベンゼンである。好ましくは、アルキルベンゼン部分は、蒸留器底部供給源から得られ、モノ−またはジ−アルキル化化合物である。本発明では、モノ−アルキル化芳香族が、総合的特性でジアルキル化芳香族に優っていると考えられる。
【0131】
本発明では、モノ−アルキル化芳香族(ベンゼン)の混合物を利用して、モノ−アルキル化された塩(ベンゼンスルホン酸塩)を得ることが好ましい。組成物のかなりの部分が、アルキル基の供給源としてプロピレンのポリマーを含む混合物は、塩の溶解性を高める。単官能性(例えば、モノ−スルホン化された)材料は、分子の架橋を防止し、潤滑油からの塩の沈殿を低減する。塩は塩基過剰であることが好ましい。塩基過剰による過剰な金属は、潤滑油中に蓄積する可能性のある酸を中和する効果を有する。第2の利点は、塩基過剰の塩は、動摩擦係数を高めることである。好ましくは、過剰な金属は、酸を中和するのに必要な金属を超えて、当量基準で約30:1まで、好ましくは5:1〜18:1の比率で存在する。
【0132】
組成物中で利用される塩基過剰塩の量は、好ましくは、オイルを除いた基準で約0.1〜約10重量%である。塩基過剰塩は、通常、約50%のオイル中、オイルを除いた基準で10〜600のTBN範囲で調製される。ホウ酸系および無ホウ酸系の塩基過剰清浄剤は、この点に直接関係のある開示について参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,403,501号および4,792,410号に記載されている。
【0133】
9.ホスフェート
また、潤滑組成物は、好ましくは、少なくとも1種の亜リン酸、亜リン酸塩、亜リン酸エステル、または硫黄含有類似体を始めとするそれらの誘導体を、好ましくは0.002〜1.0重量%の量で含むことができる。亜リン酸、それらの塩、エステルまたは誘導体には、亜リン酸エステルまたはその塩、ホスファイト、リン含有アミド、リン含有カルボン酸またはエステル、リン含有エーテル、およびこれらの混合物から選択される化合物が含まれる。
【0134】
一実施形態において、亜リン酸、そのエステルまたは誘導体は、亜リン酸、亜リン酸エステル、亜リン酸塩、またはこれらの誘導体でよい。亜リン酸には、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ならびに、ジチオリン酸およびモノチオリン酸、チオホスフィン酸およびチオホスホン酸を始めとするチオリン酸類が含まれる。
化合物の1つの部類は、O,O−ジアルキルホスホロジチオアートとマレイン酸またはフマル酸との付加物である。該化合物は、例えば、O,O−ジ(2−エチルヘキシル)S−(1,2−ジカルボブトキシエチル)ホスホロジチオアートに関して米国特許第3,359,203号に記載されているような既知の方法で調製できる。
【0135】
カルボン酸エステルのジチオリン酸エステルは、本発明にとって有用な化合物のもう1つの部類である。好ましいのは、例えば、3−[[ビス(1−メチルエトキシ)ホスフィノチオイル]チオ]プロピオン酸エチルエステルのような、2〜8個の炭素原子を有するアルキルエステルである。
【0136】
本発明で使用するための、無灰ジチオホスフェートの第3の部類には、
【0137】
(i)式
【化2】

【0138】
(式中、RおよびR1は、3〜8個の炭素原子を有するアルキル基から独立に選択される)のエステル(R.T.Vanderbilt Co.Inc.からVANLUBE 7611Mとして購入可能である)、
(ii)Ciba Geigy Corp.からIRGALUBE(登録商標)63として購入可能であるもののような、カルボン酸のジチオリン酸エステル、
(iii)Ciba Geigy Corp.からIRGALUBE(登録商標)TPPTとして購入可能であるもののような、トリフェニルホスホロチオナート、および
(iv)そのアルキル基が4〜8個の炭素原子を含むメチレンビス(ジアルキルジチオカルバメート)。例えば、メチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)がR.T.Vanderbilt Co.Inc.からVANLUBE 7723(登録商標)として購入可能である。
【0139】
亜鉛塩は、好ましくは、潤滑組成物に、トリフェニルホスホロチオナート(ここで、フェニル基は2つまでのアルキル基で置換されていてもよい)が0.1〜5の量で添加される。この群の例は、中でも、IRGALUBE(登録商標)TPPT(Ciba−Geigy Corp.製造)として購入できるトリフェニルホスホロチオナートである。
リン化合物の好ましい群は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,354,484号に記載されているような、ジアルキルリン酸モノアルキルの第1級アミン塩である。85%リン酸は、完全に製剤されたATFパッケージに添加するための好ましい化合物であり、好ましくは、ATFの重量を基準にして約0.01〜0.3重量%の濃度で含められる。
【0140】
アルキルホスフェートのアミン塩は、既知の方法、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,130,494号に開示されている方法で調製される。リン酸の適切なモノ−またはジエステルあるいはそれらの混合物は、アミンで中和される。モノエステルを使用する場合には、2モルのアミンが必要であり、ジエステルは1モルのアミンを必要とする。いかなる場合でも、必要なアミン量は、総酸価が総塩基価に本質的に等しい反応中和点を監視することによって調節できる。別法として、アンモニアまたはエチレンジアミンなどの中和剤を反応物に添加できる。
【0141】
好ましいリン酸エステルは、脂肪族エステル、中でも、2−エチルヘキシル、n−オクチル、およびヘキシルのモノ−またはジエステルである。アミンは、第1級または第2級アミンから選択できる。特に好ましいのは、10〜24個の炭素原子を有するtert−アルキルアミンである。これらのアミンは、例えば、Rohm and Haas Co.からPrimene(登録商標)81Rとして購入可能である。
【0142】
スルホン酸塩は、当技術分野で周知であり、購入可能である。本発明の相乗剤の調製で使用できる芳香族スルホン酸の典型は、それぞれ8〜20個の炭素原子からなる1〜4個のアルキル基を有するアルキル化ベンゼンスルホン酸およびアルキル化ナフタレンスルホン酸である。特に好ましいのは、例えば、ジノニルナフタレンスルホナートのような、それぞれ9〜18個の炭素を有するアルキル基で置換されたナフタレンスルホナートである。
【0143】
10.消泡剤
消泡剤は、シリコーンまたはフルオロシリコーンとして、当技術分野で周知である。このような消泡剤は、Dow Corning Chemical CorporationおよびUnion Carbide Corporationから入手できる。好ましいフルオロシリコーン消泡剤製品は、Dow FS−1265である。好ましいシリコーン消泡剤製品は、Dow Corning DC−200およびUnion Carbide UC−L45である。組成物に単独でまたは混合物の状態で含めることのできるその他の消泡剤は、PC−1244として知られる、ウェストバージニア州ニトロのMonsanto Polymer Products Co.から入手できるポリアクリレート系消泡剤である。また、ミシガン州ファーミントンヒルズのOSI Specialties Inc.から入手できるシロキサンポリエーテルコポリマー消泡剤も含めることができる。1つのこのような材料は、SILWET−L−7220として販売されている。消泡剤製品は、好ましくは、本発明の組成物中に、オイルを除いた基準である有効成分として5〜80ppmの濃度で含められる。
【0144】
11.錆抑制剤
錆抑制剤の実施形態には、アルキルナフタレンスルホン酸の金属塩が含まれる。
【0145】
12.銅腐食抑制剤
任意選択で添加してもよい銅腐食抑制剤の実施形態には、チアゾール、トリアゾールおよびチアジアゾールが含まれる。このような化合物の例となる実施形態には、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、オクチルトリアゾール、デシルトリアゾール、ドデシルトリアゾール、2−メルカプト−ベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルチオ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−ヒドロカルビルジチオ−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ヒドロカルビルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、および2,5−ビス(ヒドロカルビルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールが含まれる。
以下の実施例は、本発明を例示する目的で提供され、本発明を制限することを意図したものではない。パーセントおよび部は、特記しない限り、すべて重量を基準とする。
【実施例】
【0146】
(実施例1)
500mLの丸底フラスコに、水(23.5g)、(2−エチルヘキシル)トリデシルアミン(70.7g、0.226モル)およびErgon Hygoldオイル(8.8g)を仕込む。混合物を約20℃に冷却し、次いで、十分に撹拌しながら三酸化モリブデン(16.2g、0.113モル)を添加する。冷却浴を使用して、二硫化炭素(18.0g、0.237モル)を、反応温度が45℃を超えない速度で添加する。すべての二硫化炭素を添加した後、混合物を、55〜60℃で30分間撹拌し、次いで4.5時間加熱還流する。次いで、蒸留のためにコンデンサーを取り付け、混合物を加熱してほとんどの水を留去する。次いで、徐々に十分な真空とし、温度を125〜130℃で2.5〜3時間維持する。真空を解除し、Ergon Hygold 100オイル(100g)を添加する。次いで、生成物を80℃で吸引濾過し、澄明の暗褐色液体(BT−521−144)を得る。
【0147】
(実施例2)
500mLの丸底フラスコに、水(23.5g)、イソデシルオキシプロピル−イソプロピルアミン(Tomah3 ProductsからSA−14,3−エーテルアミンとして入手できる)(55.3g、〜0.23モル)およびUninap 100SDオイル(8.8g)を仕込む。混合物を約20℃に冷却し、次いで、十分に撹拌しながら三酸化モリブデン(16.2g、0.113モル)を添加する。冷却浴を使用して、二硫化炭素(18.0g、0.237モル)を、反応温度が30℃を超えない速度で添加する。すべての二硫化炭素を添加した後、混合物を約6.5時間加熱還流する。次いで、蒸留のためにコンデンサーを取り付け、混合物を加熱してほとんどの水を留去する。徐々に十分な真空とし、温度を125〜130℃で30分間維持する。真空を解除し、さらなるUninap 100SDオイル(41.2g)を添加し、生成物をまだ熱い間に吸引濾過し、澄明の暗赤−琥珀色の液体(BT−521−167)を得る。
【0148】
(実施例3)
500mLの丸底フラスコに、水(23.5g)、アルコキシプロピル−イソプロピルアミン(アルキル=C12〜C15)(Tomah3 ProductsからSA−19,3−エーテルアミンとして入手できる)(80.0g、〜0.23モル)およびUninap 100SDオイル(8.8g)を仕込む。混合物を約25℃に冷却し、次いで、十分に撹拌しながら三酸化モリブデン(16.2g、0.113モル)を添加する。冷却浴を使用して、二硫化炭素(18.0g、0.237モル)を、反応温度が40℃を超えない速度で添加する。すべての二硫化炭素を添加した後、混合物を約3.5時間加熱還流する。次いで、蒸留のためにコンデンサーを取り付け、混合物を加熱してほとんどの水を留去する。徐々に十分な真空とし、温度を125〜130℃で30分間維持する。真空を解除し、生成物をまだ熱い間に吸引濾過し、澄明の暗赤−琥珀色の液体(BT−521−177)を得る。
【0149】
(実施例4):溶解性実験
本発明は、本発明のジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンを含有する潤滑組成物、および潤滑組成物中での本発明化合物の改善された溶解性に関する。表1のデータは、本発明化合物が、Infineumオイル中、−10℃で、対称アミン系モリブデンDTC、MOLYVAN(登録商標)822よりもはるかにより良好な溶解性を有し、90日間の全試験期間中、溶液のままで留まることを示している。
【0150】
【表3】

【0151】
表2のデータは、15重量%など比較的少量の本発明化合物をMOLYVAN822などの対称ジアルキルアミンから調製されるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンと混合すると、潤滑組成物中における対称ジアルキルアミンをベースにしたMoDTCの低温溶解性が明らかに改善されることを示している。20%またはそれ以上の本発明化合物で劇的な改善が観察される。
【0152】
【表4】

【0153】
(実施例5):SRV摩擦係数データ
この実施例で使用する摩擦特性試験法は、ASTM法D5707「高振動数、直線振動(SRV)試験機を使用する潤滑グリースの摩擦および磨耗特性測定」の下、ASTM基準アニュアルブック2004のセクション5、石油製品、潤滑油、および化石燃料、05.03巻に由来する。この試験は、この方法の中で試験方法の概要に「本試験方法は、試験ディスクに対して一定の荷重の下で振動する試験球を使用するSRV試験機で実施される」と記載されている。この試験は、時間を2時間から1時間に短縮したこと以外は、最初の試験説明から修正しなかった。本方法の「範囲」の中で、「本試験方法は、類似の試験条件下で液体潤滑油の磨耗保護能力および摩擦係数を判定するのに使用することもできる」と述べられている。後記のグラフに試験条件を示す。添加剤製剤によって基油の摩擦係数を低減することは、潤滑油製剤で所望される目標である。ジチオカルバミン酸モリブデンは、これを達成することが知られているが、この摩擦をさらにいっそう低減することが望ましい。後記のグラフは、この発明のさらなる改善を立証している。市販C8/C13と記載されている化合物は、2種の対称アミンからTanakaの特許により調製された非対称ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデンである。結果を図1にグラフで示す。
【0154】
表3に要約される図1のデータは、本発明のジチオカルバミン酸モリブデンであるBT−521−144およびBT−521−177が、市販C8/C13MoDTCおよびMOLYVAN(登録商標)822(R.T.Vanderbilt Companyが販売しているジチオカルバミン酸モリブデン)の2つの代表的なロットよりも大きな摩擦低減を提供することを示している。従って、本発明化合物は、ジチオカルバミン酸モリブデンの摩擦性能を改善し、従来技術を超えるより低い摩擦係数を達成している。
【0155】
【表5】

【0156】
(実施例6):本発明ジチオカルバミン酸モリブデンのより低い粘度
本発明化合物は、驚くべきことに、対称アミンから調製されるジチオカルバミン酸モリブデン、例えばMOLYVAN822よりも同一のモリブデン濃度でかなり低い粘度を示し、そのため、より容易に添加剤を取り扱うことができる(従来技術を超えるさらなる改善)。実施例1、2および3の化合物は、それぞれ、添加する希釈オイルの量を変えることによって3種の異なるモリブデン濃度で調製した。粘度を測定し、図2でモリブデン濃度に対してプロットした。図2は、粘度対モリブデン含有量の曲線が本発明のBT−521−144、BT−521−167およびBT−521−177の化合物に対してよりもC13/C13MOLYVAN822に対してはるかにより鋭く立ち上がっていることを示している。
【0157】
図2で観察されるように、エーテルアミンから調製された本発明化合物BT−521−167およびBT−521−177は、MOLYVAN822よりも劇的に低い粘度を有し、12重量%〜ほぼ15重量%のモリブデン濃度で容易に流し込まれる組成物を提供する。MOLYVAN822において希釈オイルをより少なく使用すると、モリブデンが約7.5重量%を超えただけでその組成物は余りにも粘度が大きく容易に流し込めないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本発明化合物の摩擦特性を従来技術による化合物と比較したグラフである。
【図2】本発明化合物の粘度特性を従来技術による化合物と比較したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式R1−NH−R2(ここで、R1およびR2は異なり、C3〜C19のアルキル基から独立に選択される)の非対称ジアルキルアミンを含む少なくとも1種のジアルキルアミン、
二硫化炭素、および
モリブデン供給源
の反応生成物を含有する、潤滑油組成物のための添加剤。
【請求項2】
非対称ジアルキルアミンが、(2−エチルヘキシル)トリデシルアミン、イソデシルオキシプロピル−イソプロピルアミンおよびアルキルオキシプロピル−イソプロピルアミン(ここで、アルキルはC12〜C15の1種または複数である)の1種または複数からなる群から選択される、請求項1に記載の添加剤。
【請求項3】
次式に記載のジチオカルバミン酸モリブデン組成物
【化1】

(式中、R1およびR2は異なり、C3〜C19のアルキル基から独立に選択され、かつR3およびR4は、同一でも異なってもよく、かつC3〜C19のアルキル基から独立に選択される)。
【請求項4】
R3がR4と異なる、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
R1およびR3が2−エチルヘキシルであり、かつR2およびR4がトリデシルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
R1およびR3がイソデシルオキシプロピルであり、かつR2およびR4がイソプロピルアミンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
R1およびR3がアルキルオキシプロピル(ここで、アルキルは、C12〜C15の1種または複数である)であり、かつR2およびR4がイソプロピルアミンである、請求項4に記載の添加剤。
【請求項8】
添加剤のモリブデン含有量が約12〜15重量%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
基油、および約0.1〜15重量%の次式に記載の第1ジチオカルバミン酸モリブデン組成物を含む潤滑組成物
【化2】

(式中、R1およびR2は異なり、C3〜C19のアルキル基から独立に選択され、かつR3およびR4は、同一でも異なってもよく、C3〜C19のアルキル基から独立に選択される)。
【請求項10】
次式に記載の第2ジチオカルバミン酸モリブデン組成物をさらに含み、第1ジチオカルバミン酸モリブデンが、第1および第2ジチオカルバミン酸モリブデンの総重量の少なくとも約15重量%である、請求項9に記載の潤滑組成物
【化3】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一であり、C3〜C19のアルキル基から選択される)。
【請求項11】
第1ジチオカルバミン酸モリブデンの量が、第1および第2ジチオカルバミン酸モリブデンの総重量の少なくとも約20重量%である、請求項9に記載の潤滑組成物。
【請求項12】
潤滑油に十分な量の次式に記載のジチオカルバミン酸モリブデン組成物を添加するステップを含む、潤滑油中でのジチオカルバミン酸モリブデンの溶解性を改善する方法
【化4】

(式中、R1およびR2は異なり、C3〜C19のアルキル基から独立に選択され、かつR3およびR4は、同一でも異なってもよく、C3〜C19のアルキル基から独立に選択される)。
【請求項13】
次式に記載の第2ジチオカルバミン酸モリブデン組成物を添加するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法
【化5】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一であり、C3〜C19のアルキル基から選択される)。
【請求項14】
第1ジチオカルバミン酸モリブデンの量が、第1および第2ジチオカルバミン酸モリブデンの総重量の少なくとも約15重量%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1ジチオカルバミン酸モリブデンの量が、第1および第2ジチオカルバミン酸モリブデンの総重量の少なくとも約20重量%である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式R1−NH−R2(ここで、R1およびR2は、C3〜C19のアルキル基から独立に選択される)の非対称ジアルキルアミンを含む少なくとも1種のジアルキルアミン、
二硫化炭素、および
モリブデン供給源
を反応させることを含む、粘度が改善されおよび/または摩擦の低下したジチオカルバミン酸モリブデンの調製方法。
【請求項17】
ジチオカルバミン酸モリブデンが改善された粘度を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
次式に記載の第1ジチオカルバミン酸モリブデン組成物
【化6】

(式中、R1およびR2は異なり、C3〜C19のアルキル基から独立に選択され、かつR3およびR4は、同一でも異なってもよく、C3〜C19のアルキル基から独立に選択される)、および
次式に記載の第2ジチオカルバミン酸モリブデン組成物
【化7】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、同一であり、C3〜C19のアルキル基から選択される)を含み、第1ジチオカルバミン酸モリブデンの量が、第1および第2ジチオカルバミン酸モリブデンの総重量の少なくとも約15重量%である添加剤組成物。
【請求項19】
第1ジチオカルバミン酸モリブデンの量が、第1および第2ジチオカルバミン酸モリブデンの総重量の少なくとも約20重量%である、請求項18に記載の添加剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−531821(P2008−531821A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558159(P2007−558159)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/007175
【国際公開番号】WO2006/094011
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(507293620)アール.ティー. ヴァンダービルト カンパニー インコーポレーティッド (11)
【Fターム(参考)】