説明

ジェット風力発生装置

【課題】広範囲の気流を多量に収集し、強風より装置を保護し、風力等を強めて、風力利用機械器具の能力を高めることができるジェット風力発生装置を開発すること。
【解決手段】本発明のジェット風力発生装置は、第1気流受体2と第2気流受体8を設けた気流取り入れ部1と、誘導パイプ11と、本体部16と、排出部31と、風力利用機械器具25からなり、第1気流受体2の側壁5に気流ガイド部6と、開閉自在ドア7を設けており、排出部31に排出変更部32と、間隙通路35を設けており、又、加圧気流取り出し装置40と雨水貯蔵装置48を設けることができる。これにより、広範囲の気流を収集し、強風より装置を保護し、風力等を強めて、風力利用機械器具25の能力を高め、問題点の解決と人類が地球に優しく共存できる為に多大の効果を発揮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧された気流を発生させるためのジェット風力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地球温暖化等の問題で、二酸化炭素(CO2)削減や省エネについての気運が高まり、その中で自然エネルギー、例えば風力を利用したものがいろいろ考えられている。
【0003】
風力を利用した装置として一般的に風力発電装置があり、風力発電装置においては、
気流を加圧発生させる技術を利用した発電が行われているので、そのような風力発電装置について説明する。
【0004】
例えば、特許文献1の特開昭56−135762号公報に風力発電装置が公開されている。そこには、半径方向に開口するシャッター付き集風口と、増速路と、噴出口と、中心部に位置する集風路と、発電室内に設けた発電機と、発電機の後流側の周囲に設けた複数方向の排風口とからなる風力発電装置である。この風力発電装置は、任意方向からの風を、多数の集風口のうちのいくつかで収集し、上側が曲線あるいは斜状で、下側がくの字状の屈曲部になっている増速路によって、増速すると同時に風の吹き込んでいない集風口からも集風路に空気を巻き込み、この気流を一方向の回転トルクを得るように、風車の片側に吹き付けて風車を回転させ、風車軸に接続した発電機によって発電を行う構成である。
【0005】
また、この風力発電装置は、集風口と増速路を備えているため微風時にも発電が得られ、また、強風時には集風口をシャッターで小さくするか、あるいは風車の位置を移動させて風車に当たる風を小さくすることで、安全に発電を続けることができる。また、この風力発電装置は、集風路の周囲に複数個所の排風口を設け、重力落下式の開閉扉となっていれば、反対方向からの風の流入を防ぎ、排出が好ましい流れになる。このように、この風力発電装置は、風がどの方向からどのような強さで吹いてきても、安全に効率よく電力を得ることができるとしている。
【0006】
つぎに特許文献2の特開平11−141452号公報には、前方へ向かって拡開するラッパ状の複数個の導風筒を、その前端部が前位のものの後端部と重合状態となるようにして、もしくは、近接するようにして、かつ同一軸線上へ直列に並べて配設し、最後位の導風筒の後端部の内側に、発電機を駆動するように連係されているプロペラを配設し、風力発電装置全体を、垂直軸まわりに旋回しうるようにした基板に取り付け、又、発電機及びそれによる送電線をも、基板上に取り付けるようにした風力発電装置である。
【0007】
この風力発電装置は、外径が従来のプロペラのそれと同一であっても、従来のものに比して、風力エネルギーを著しく有効に回収することができ、効率の高い発電効果が得られるようにした風力発電装置を得ることができるとしている。
【0008】
つぎに特許文献3の特開昭59−082584号公報には、集風フードの壁面と、集風フードの壁面に設けた蓋体とを弾条体にて連結したことを特徴とする風力原動機である。
【0009】
この風力原動機は、集風フードの壁面の開口部に弾機にて付勢した揺動自在の蓋体を設けたので強風の場合には一部風が自動的に集風フードの内側から外側に逃がされて、安全に回転動力を得ることができるという効果があるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭56−135762号公報
【特許文献2】特開平11−141452号公報
【特許文献3】特開昭59−082584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特開昭56‐135762号に公開されているこの風力発電装置の気流取り入れにおいて、集風口の断面形状は、上側が下にさがり、下側が上にあがる斜上の屈曲部になっており、又、吹き出し口の気流吹き出し方向は集風路に斜状に形成しており、これでは増速できたとしても、気流の流れに抵抗が掛かり、乱気流となり、集風量が少なくなる。又、集風口の上側は屋根になっており、上方向からの気流は利用されていないので集風量が少ない。したがって集風量を増すためには、多角形室を二段又は三段と積み重ねる構成が採用されている。
【0012】
次に全周の集風口の下部にシャッターと格納場所が取り付けてあり、強風時、シャッターごとに手動や機械等によって半径方向に風量調整等の開閉作業を行う必要があり、風車もそのたびごとに手動や機械等によって移動しなければならない。
【0013】
次に取り入れた気流を一方向の回転トルクにするために、風車の片側に気流を吹き付けており、回転にムラができ、安定した性能が得にくく、騒音も発生する。又、風車の羽根のタイプは、風車軸を集風路の真下に垂直に取り付けることも考えられるとしているが、気流の排出を無視した考えであり、気流の排出が速やかに行われない。
【0014】
次に集風路の周囲に複数個所の排出口を設け、重力落下の開閉扉となっており、強風や逆流防止のために、周囲の開閉扉や風車を手動や機械等で移動しなければならない。
【0015】
以上の様に、この特開昭56−135762号の風力発電装置は、広範囲の気流を取り込み、強風から装置を保護し、安定した発電能力を得るために、二段又は三段重ねの多角形室、シャッターの格納場所、移動式風車、気流排出用開閉扉等を設ける必要があり、大掛りな設備、複雑な装置、労力、時間等が掛る問題がある。
【0016】
つぎに、特許文献2の特開平11−141452号の風力発電装置は、導風筒が同一軸上に直列に重合状態となるように配設されており、水平方向の気流のみを順に重ねて取り入れていく方法であり、上方向からの気流取り込みは行っていない。又、強風気流に対する対策はなされていない。又、装置全体は基板、支筒を支持軸を中心に水平方向に回転するように設けてあり、いずれも水平方向のみの気流しか取入れを行っていない。
【0017】
つぎに、特許文献3の特開昭59−082584号の風力発動機は、水平方向の一方向に流れる強風気流に対してのみ、外側にのみ開閉するドアで、上方向、両方向からの取り入れ気流及び、強風気流には対応していない。
【0018】
本発明は、このような従来の構成が有していた風量、風速、風力等の有効利用、強風対策、羽根回転による安定性、気流の速やかな排出、騒音、逆流防止等の問題点を解決し、風力利用機械器具の能力を高め、又、加圧風力と、雨水の有効利用をしようとすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のジェット風力発生装置は、気流取り入れ部と、それに接続された誘導パイプと、誘導パイプに接続された筒型羽根本体部と、その筒型羽根本体部に接続された排出部とを備えたジェット風力発生装置であって、気流取り入れ部は、テーパー状型又は筒状型の第1気流受体と、その第1気流受体の後方に設けたテーパー状型又は筒状型の第2気流受体とからなり、第1気流受体は、前部の第1取り込み口と、後部の第1吹き出し口と、側壁とからなり、側壁には、側壁先端周囲及び側壁前側から後側に気流受けを設けた複数の気流ガイド部と、その中に開閉自在ドアとがあり、第2気流受体は、第2取り込み口と、第2吹き出し口とからなり、第2気流受体の第2取り込み口は、第1気流受体の第1吹き出し口より大きくて、第1吹き出し口と同じ位置か、それより前の第1気流受体側の位置にあり、第2気流受体の第2吹き出し口は、誘導パイプに接続しており、前記開閉自在ドアは、前記第1取り込み口から前記第1吹き出し口へ通過しようとする所定の強さの気流と、前記第2取り込み口から前記第2吹吹き出し口へ通過しようとする所定の強さの気流との、いずれのものによっても開閉自在で、
【0020】
筒型羽根本体部は、内部に加圧した気流を発生させる羽根付きローターを取り付けた
主軸があり、その主軸は、風力利用機械器具に接続されたことを特徴とする。
【0021】
また、気流取り入れ部は、縦方向に固定して設けたことを特徴とする。
【0022】
また、筒型羽根本体部は、外筒ケーシングと、内筒ケーシングと、その外筒ケーシングと内筒ケーシングにより作られる隔壁通路と、内筒ケーシングに取り付けた主軸と、内筒ケーシングの前方に主軸中心線から外側に向かって設けた第1整流板と、その第1整流板の中央部に組み込んだ円錐状形等の第1コーンと、内筒ケーシングの後方で主軸に取り付けられた羽根付きローターと、その羽根付きローターの後方に主軸中心線から外側に向かって設けた第2整流板と、その第2整流板の中央部に組み込んだ円錐状形等の第2コーンとからなることを特徴とする。
【0023】
また、筒型羽根本体部に、気流取り出し口を設け、加圧された気流を気流取り出し口より取り出し、貯蔵、配風等を行う装置に利用できるようにしたことを特徴とする。
【0024】
また、ジェット風力発生装置の、内側及び外側の一方又は両方を通過する雨水を、収集、貯蔵、又は配水する装置をジェット風力発生装置に設けたことを特徴とする。
【0025】
以下に本発明の作用について説明する。
【0026】
そこで、まず本発明の気流取り入れ部について説明する。気流取り入れ部は、図1に示すような縦設置型と、図8に示すような横設置型があるが、気流を取り込む方向が変わるだけであるので図1に示している縦設置型気流取り入れ部のテーパー状型又は筒状型の第1気流受体、第2気流受体について説明する。
【0027】
気流取り入れ部の第1気流受体に、第1取り込み口と、側壁と、第1吹き出し口とを設けたので、上方向からの気流は、第1取り込み口で収集し、第1吹き出し口より吹き出し、第2気流受体にある第2吹き出し口を通り誘導パイプに進入する。
【0028】
又、第1気流受体には、側壁と、側壁に設けた気流ガイド部とがあり、第2気流受体には、第2取り込み口と、第2吹き出し口とを設けたので、水平方向からの気流は、側壁と気流ガイド部と第2取り込み口で収集し、第2吹き出し口より誘導パイプに進入する。
【0029】
このようにしたので、気流取り入れ部は、上方向の気流と、水平方向の気流の広範囲に対応し、速やかに多量の気流を収集することができる。
【0030】
次に、開閉自在ドアについて説明する。開閉自在ドアは、第1気流受体の側壁と、複数の気流ガイド部の中に設けたので、強風時、第1取り込み口から入ってくる上方向からの強風気流は、ある一定以上の強さになった場合に、自らの力で開閉自在ドアを側壁の内側から外側に押し開けて外部に逃げることになる。強風時、第2取り込み口から入ってくる水平方向からの強風気流は、ある一定以上の強さになった場合に、自らの力で開閉自在ドアを側壁の外側から内側に押し開けた後、第1取り込み口から上方の外部に逃げるか、もしくは、他方の開閉自在ドアを側壁の内側から外側方向に押し開けて外部に逃げることになるので、開閉自在ドアは、強風時に気流の取り込み量を自動的に調整する。
【0031】
次に、第2気流受体の第2吹き出し口と、誘導パイプを接続し、さらに筒型羽根本体部(以下、本体部と云う。)と接続した配置にしたので、気流は本体部に流れる。
【0032】
又、気流取り入れ部を縦方向に固定して設けることによって、各方向の気流に対して安定した気流の収集をする。
【0033】
次に、本体部について説明する。本体部は、外筒ケーシングと、内筒ケーシングと、その外筒ケーシングと内筒ケーシングにより作られる隔壁通路と、内筒ケーシングに取り付けた主軸と、内筒ケーシングの前方に主軸中心線から外側に向かって設けた第1整流板と、その第1整流板の中央部に組み込んだ円錐状形等の第1コーンと、内筒ケーシングの後方で主軸に取り付けられた羽根付きローターと、その羽根付きローターの後方に主軸中心線から外側に向かって設けた第2整流板と、その第2整流板の中央部に組み込んだ円錐状形等の第2コーンとから構成されているので、本体部は、誘導パイプからの気流を第1整流板と第1コーンで整流と収縮を同時に行い、風速、風力等を強めて隔壁通路を通り、次に複数の羽根が気流を効率よく受けて、ローターを回転し、ローターはフライホイルも兼ねており安定して主軸を回転し、その主軸は、風力利用機械器具に接続されており、さらにローターの後方では、第2整流板と第2コーンが再整流と拡散を同時に行い、排出部に気流を送ることにより、本体部内では、強力な気流を発生させることができる。
【0034】
次に、本体部に、気流取り出し口を設けたので、羽根により加圧された気流を気流取り出し口より、取り出すことができるので、その加圧気流を貯蔵、配風等を行い、必要に応じて利用することができる。
【0035】
次に、本装置の構造上、雨水は、気流取り入れ部と、誘導パイプと、本体部と、排出部の、内側及び外側の一方又は両方を通過するので、雨水を収集、貯蔵、又は、配水する装置を設けることで、雨水を必要によって有効利用することができる。又、上記の加圧気流と組合せて使用することも可能である。
【発明の効果】
【0036】
気流取り入れ部は、上方向からの気流を第1取り込み口で収集し、水平方向からの気流を第2取り込み口で収集するので、気流の流れに抵抗が掛かり乱気流になることなく、広範囲の気流を多量に収集し、風量、風速、風力等を強める効果がある。
【0037】
開閉自在ドアを自然に中立の位置に戻るようにスプリング等を取り付けて設けたので、上方向からの強風気流は、自体の力で開閉自在ドアを内側から外側に押し開いた状態にして自然に装置外へ逃げ、水平方向からの強風気流は、自体の力で開閉自在ドアを外側から内側に押し開いた状態にし、又、他方の対面する開閉自在ドアを内側から外側に押し開いた状態にして自然に装置外へ逃げることになり、開閉自在ドアは、自動的に両方向の強風を制御し、取り込み量を調整するので装置を保護し、効率的な効果があり、又、構造が簡単であり大掛かりな設備や労力等を必要としない効果もある。
【0038】
気流取り入れ部は、縦方向に固定したことにより、機動的な動きを必要とせずに、下方向からの気流を除いて全方向で安定した気流の収集ができるので、構造、機能、経済的等に高度に安定した能力を安全に行える効果がある。
【0039】
本体部は、第1整流板と第1コーンで気流の整流と収縮を行い、次に気流は隔壁通路を通り複数の羽根を均等に回転させ、フライホイルの役目も兼ねたローターと共に安定した高回転で主軸を回転させて風力利用機械器具を回転させる。第2整流板と第2コーンで再整流と拡散を行い、騒音を低下して速やかに排出部に送ることができるので、回転速度、出力、性能、安定性等において高度の能力を発揮する効果がある。又、ローター、羽根等を複数段重ねると、回転、出力等をさらに高める効果もある。
【0040】
気流取り出し口より、取り出した加圧気流を貯蔵、配風等を行うことができるので、送風して、工場等では製品の熱を冷まし、乾燥等を行え、農場等では湿度や温度調節等を行うことができる効果がある。
【0041】
本装置に、雨水を収集、貯蔵、配水等を行う装置を設けることによって、学校、工場、農場、畑等では、雨水を必要に応じて散水等を行うことができる効果がある。又、上記の加圧気流と組合せて使用することによって用途は広範囲に使うことができる効果がある。
【0042】
以上の様に、本発明は、風力利用機械器具の能力を高めるもので、従来の風力利用機械器具に比べ、効率が良く、施設等の維持、管理が容易で、人為的操作を少なくして広範囲の気流を多量に収集し、大型化、小型化も可能であり、又、風と雨水の配風、配雨水を行い、有効利用ができる等、人類が地球に優しく共存でき、生物が生きていける地球を守るために多大の効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】一部断面を含む本発明のジェット風力発生装置の全体図。
【図2】気流取り入れ部における通常の気流と強風時の気流の流れを表した図。(イ)第1取り込み口方向からの場合。(ロ)第2取り込み口方向からの場合。
【図3】図1以外の気流取り入れ部の組み合わせ図。(イ)テーパー状型第1気流受体と筒状型第2気流受体。(ロ)筒状型第1気流受体とテーパー状型第2気流受体。(ハ)筒状型第1気流受体と筒状型第2気流受体。
【図4】開閉自在ドアの実施例を表した図。(イ)両面開きにしたもの。(ロ)油圧式にしたもの。
【図5】各種の気流取り入れ部と各種コーンの組み合わせを表した図。
【図6】図1以外の本発明のジェット風力発生装置の構成を表した図。
【図7】本発明の横設置型にフリーローター、ブレード、ベルトを取り付けた全体断面図。
【図8】本発明の加圧気流取り出し装置と雨水貯蔵装置の設置例図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明のジェット風力発生装置を図面に基づいて説明する。
【0045】
図1のジェット風力発生装置は、気流取り入れ部1と、誘導パイプ11と、本体部16と、排出部31と、風力利用機械器具25からなるジェット風力発生装置である。
【0046】
本発明は、小型、軽量にすることで、一般家庭、学校、病院、工場等の屋根、屋上等で利用でき、大型化することで、広大な平野、洋上、島、岬、半島、山頂等で利用でき、大小の範囲に製作可能であるので具体的に屋上等用とした場合について説明する。
【0047】
気流取り入れ部1は、内側に第1気流受体2を設け、外側に第2気流受体8を重ね合わせて設けており、第1気流受体2は、前部内周囲で第1取り込み口3を形成し、後部内周囲で第1吹き出し口4を形成し、側壁5の外部に複数の気流ガイド部6を設け、気流ガイド部6の内側の側壁5に開閉自在ドア7を取り付けた。
【0048】
第2気流受体8は、前部と、第1気流受体2の側壁5と、複数の気流ガイド部6により、第2取り込み口9を形成して設け、第2気流受体8の後部に第2吹き出し口10を設け、誘導パイプ11と接続した。
【0049】
気流取り入れ部1は、上方向からの気流12を第1取り込み口3で収集し、水平方向からの気流13を第2取り込み口9で収集し、共に第2吹き出し口10から誘導パイプ11に送り出すので、広範囲の気流を多量に収集し、風量を増し、風力等を強めることができる。
【0050】
側壁5に取り付けられている開閉自在ドア7は、通常は閉まった状態にあり、気流12は第1吹き出し口4を通り、気流13は第2吹き出し口10を通りそれぞれ誘導パイプ11に流れる。又、開閉自在ドア7は、強風時には風力に押されて自然に開いた状態になり、強風気流14は開閉自在ドア7a状態から、強風気流15は開閉自在ドア7b状態からそれぞれ装置外に放出されるので、開閉自在ドア7は強風気流14、15が装置内に進入するのを防止して装置を保護する。
【0051】
本体部16は、外筒ケーシング17と内筒ケーシング18で隔壁通路19を形成し、内筒ケーシング18の前方に第1整流板20と第1コーン21を設け、後方に羽根22を備え付けたローター23を主軸24と接続して配置し、さらに主軸24を風力利用機械器具25に接続し、ローター23の後方に第2整流板26と第2コーン27を設けている。本体部16は、気流の整流と収縮を行い、羽根22、ローター23、主軸24を強力な気流で回転させ、風力利用機械器具25を回し、さらに気流の再整流と拡散を行い強力な気流の発生を助長することができる。
【0052】
排出部31は、突出した排出変更部32と、その排出変更部32により変更された方向に気流を排出するために排出変更部32の周囲に排出口34とを設けたことによって、排出気流38の排出距離を短くして多量に排出できるので排出部31を縮小して取り付けでき、又、本体部16と排出変更部32との間に外気流39通り抜けの間隙通路35を設けたことによって、排出口34から進入する外気流39に妨げられずに排気ができるので風力利用機械器具25の能力を高めることができる。
【0053】
上記の様に気流は、高い位置、又は前方の気流取り入れ部1により収集されたのちに誘導されて、低い位置、又は、後方の本体部16を通り風量、風速、風力等を強めて、風力利用機械器具25を回転させ、排出部31を通り排出される。
【0054】
気流取り入れ部1、誘導パイプ11、本体部16、排出部31等の材質は、金属、軽金属、セメント、プラスチック、樹脂、石、木材等で構成する事が出来る。
【0055】
気流取り入れ部1は、固定式の説明にしたが設置場所等の状況により、角度調整等のために可動式にしたり、気流の流れに向き合うように回転式にしてもよい。
【0056】
気流取り入れ部1に、ネット、スクリーン等を取り付けると、鳥等の進入を防止できる。又、気流取り入れ部1の気流ガイド部6は、支柱を兼ねることができる。又、気流取り入れ部1の内部に、前方から後方に向けてフインを設け整流等の効果を上げて
もよい。
【0057】
本発明のジェット風力発生装置における通常の気流と、強風時の気流の流れを図2で
説明すると、通常の気流は、第1取り込み口方向からの気流12と第2取り込み口方向からの気流13があり、強風時の気流は、第1取り込み口方向からの強風気流14と第2取り込み口方向からの強風気流15がある。
【0058】
図1において、本発明のジェット風力発生装置の気流取り入れ部1を説明したが、図3の(イ)、(ロ)、(ハ)でもかまわない。気流取り入れ部1の第1気流受体2と、第2気流受体8のテーパー状型と筒状型の組み合わせ図である。
【0059】
図4(イ)は、開閉自在ドア7を分割して両側に取り付けたもので、気流の風量、風速、風力等の流動差をもって作動し、強風気流14と、強風気流15に対応するので、通常は、中立の位置で閉の状態にある実施例で、ボルト7c、ワッシャー7d、スプリング7e、ナット7f等で側壁5に取り付ける。又、逆作動にして第1取り込み口3から第1吹き出し口4へ通過しようとする所定の強さの気流と、第2取り込み口9から第2吹き出し口10へ通過しようとする所定の強さの気流と、に対して、それぞれ一方向のみに作動させることも可能である。図4(ロ)は、開閉自在ドア7を油圧式にして、点検、検査、修理、整備、緊急時等に強制的に開閉を行うことができる様にしたもので、機械式、電気式等で行うのも可能であり、支柱軸7g、作動シリンダー7h等で取り付ける。
【0060】
図5は、気流取り入れ部1の型を変えた例と、筒等の内部において0度から90度の範囲の角度をもち直線及び曲線等により形成された円錐状形、多角錐状形、砲弾状形、ロングノーズ状形等の各種第1コーン21との組み合わせ実施例であり、第2コーン27にも適用できる。気流、気体、液体等の流体に対し、取り入れ、圧縮、収縮、又は、膨張、拡張、拡散、流れ変更等を行い、流体に変化を与える構成にした例。
【0061】
本発明のジェット風力発生装置を図1で説明したが、図1以外に図6のように構成することもできる。図6(イ)は、縦型気流取り入れ部1、誘導パイプ11、縦型本体部16、縦型排出部31。(ロ)は、横型気流取り入れ部1、誘導パイプ11、縦型本体部16、縦型排出部31。(ハ)は、横型気流取り入れ部1、誘導パイプ11、横型
本体部16、横型排出部31である。
【0062】
風力利用機械器具25には、混ぜる、潰す、伸ばす、洗う、加工、加圧、製造、製作、作業等の機械器具やポンプ、コンプレッサー、発電機等がある。
【0063】
図6に記載したジェット風力発生装置の組み合わせ構成で、図1の記載とは別案装置を図7で説明する。図7は、本発明の横設置型にフリーローター28、ブレード29を取り付け、主軸24を短くしてベルト30で風力利用機械器具25と接続した全体断面図であり、気流取り入れ部1は、第1気流受体2の第1取り込み口3が前方向に設置され、第2気流受体8の第2取り込み口9が側壁周面方向に設置されているので、第1取り込み口3で前方からの気流を強制的に収集でき、第2取り込み口9では側壁周面方向からの気流を収集するので、多方向から気流を多量に収集できる効果がある。
【0064】
本体部16には、第1整流板20と第1コーン21の後方であり、隔壁通路19の前方で、主軸24に接続して自由に回転するフリーローター28に取り付けられたブレード29を配置しており、さらに隔壁通路19の後方には、ローター23に取り付け
られた羽根22を配置し、ローター23の後方に第2整流板26と、第2コーン27を配置したので、気流12と気流13が、フリーローター28とブレード29を高回転させると、圧縮された気流となりローター23に取り付けた羽根22に作用し、より安定した力で主軸24、風力利用機械器具25を高回転させる効果があり、その後、第2整流板26と第2コーン27で再整流と拡散を行い、気流をスムーズに排出部31に流す効果がある。
【0065】
羽根22、ローター23、ブレード29等は、複数段とすることができる。
【0066】
本体部16の主軸24と、風力利用機械器具25の接続方法として、主軸24を短くして、第2整流板26と第2コーン27の後方で、主軸24と風力利用機械器具25をベルト30で接続した。又、主軸24と風力利用機械器具25の接続位置は前後等に変更でき、ベルト30の他にチェーン、ギヤー等の接続方法もできる。
【0067】
図8は、本発明のジェット風力発生装置に加圧気流取り出し装置40と雨水貯蔵装置48の設置例図であり、
【0068】
まず、加圧気流取り出し装置40について説明すると、本体部16の羽根22周辺部に加圧気流取り出し口41を設けたので、取り出された加圧気流は、気流パイプ42と一方通行の逆流防止バルブ43を通り、圧力計44を取り付けた加圧気流貯蔵庫45に貯められる。
【0069】
加圧気流貯蔵庫45はゴム風船の応用形式又はボンベ形式等で構成し、加圧気流が必要な時は、パイプ46を通過し、気流開閉バルブ47を開閉することによって配風される。
【0070】
加圧気流取り出し口41は複数ヶ所設けてもよい。
【0071】
つぎに、雨水貯蔵装置48について説明すると、本発明のジェット風力発生装置の下部に雨水受皿49と雨水パイプ50を設け、さらに雨水残量計51を取り付けた雨水貯蔵庫52を接続して設けたので、ジェット風力発生装置の内側及び外側を通過する雨水は、雨水貯蔵庫52に貯められる。
【0072】
雨水貯蔵庫52からの雨水は、パイプ53を通過し、雨水開閉バルブ54を開閉することで配水される。
【0073】
加圧気流貯蔵庫45と雨水貯蔵庫52に、合流開閉パイプ55と合流バルブ56を接続することによって、加圧気流と雨水を混合して使用することができる。
【0074】
以上のように、本発明のジェット風力発生装置は、従来の風力発電等に比べて、効率が良く、維持、管理が容易であり、又、加圧気流、雨水の有効利用等、人類が地球に優しく共存でき、生物が生きていける地球を守る為に役立てる努力を提供できるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 気流取り入れ部
2 第1気流受体
3 第1取り込み口
4 第1吹き出し口
5 側壁
6 気流ガイド部
7 開閉自在ドア(通常、閉の状態)
7a 強風気流14により開閉自在ドアが内側から外側に押し開いた状態。
7b 強風気流15により開閉自在ドアが外側から内側に押し開いた状態と、対面側の開閉自在ドアを内側から外側に押し開いた状態。
7c ボルト
7d ワッシャー
7e スプリング
7f ナット
7g 支柱軸
7h 作動シリンダー
8 第2気流受体
9 第2取り込み口
10 第2吹き出し口
11 誘導パイプ
12 第1取り込み口方向からの気流
13 第2取り込み口方向からの気流
14 第1取り込み口方向からの強風気流
15 第2取り込み口方向からの強風気流
16 本体部(筒型羽根本体部)
17 外筒ケーシング
18 内筒ケーシング
19 隔壁通路
20 第1整流板
21 第1コーン
22 羽根
23 ローター(フライホイル)
24 主軸
25 風力利用機械器具
26 第2整流板
27 第2コーン
28 フリーローター
29 ブレード
30 ベルト
31 排出部
32 突出した排出変更部(円錐状形、多角錐状形)
34 排出口
35 間隙通路
38 排出気流
39 外気流
40 加圧気流取り出し装置
41 加圧気流取り出し口
42 気流パイプ
43 逆流防止バルブ
44 圧力計
45 加圧気流貯蔵庫
46 パイプ
47 気流開閉バルブ
48 雨水貯蔵装置
49 雨水受皿
50 雨水パイプ
51 雨水残量計
52 雨水貯蔵庫
53 パイプ
54 雨水開閉バルブ
55 合流パイプ
56 合流開閉バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流取り入れ部と、それに接続された誘導パイプと、誘導パイプに接続された筒型羽根本体部と、その筒型羽根本体部に接続された排出部とを備えたジェット風力発生装置であって、気流取り入れ部は、テーパー状型又は筒状型の第1気流受体と、その第1気流受体の後方に設けたテーパー状型又は筒状型の第2気流受体とからなり、第1気流受体は、前部の第1取り込み口と、後部の第1吹き出し口と、側壁とからなり、側壁には、側壁先端周囲及び側壁前側から後側に気流受けを設けた複数の気流ガイド部と、その中に開閉自在ドアとがあり、第2気流受体は、第2取り込み口と、第2吹き出し口とからなり、第2気流受体の第2取り込み口は、第1気流受体の第1吹き出し口より大きくて、第1吹き出し口と同じ位置か、それより前の第1気流受体側の位置にあり、第2気流受体の第2吹き出し口は、誘導パイプに接続しており、前記開閉自在ドアは、前記第1取り込み口から前記第1吹き出し口へ通過しようとする所定の強さの気流と、前記第2取り込み口から前記第2吹き出し口へ通過しようとする所定の強さの気流との、いずれのものによっても開閉自在で、筒型羽根本体部は、内部に加圧した気流を発生させる羽根付きローターを取り付けた主軸があり、その主軸は、風力利用機械器具に接続されたことを特徴とするジェット風力発生装置。
【請求項2】
気流取り入れ部は、縦方向に固定して設けたことを特徴とする請求項1に記載のジェット風力発生装置。
【請求項3】
筒型羽根本体部は、外筒ケーシングと、内筒ケーシングと、その外筒ケーシングと内筒ケーシングにより作られる隔壁通路と、内筒ケーシングに取り付けた主軸と、内筒ケーシングの前方に主軸中心線から外側に向かって設けた第1整流板と、その第1整流板の中央部に組み込んだ円錐状形等の第1コーンと、内筒ケーシングの後方で主軸に取り付けられた羽根付きローターと、その羽根付きローターの後方に主軸中心線から外側に向かって設けた第2整流板と、その第2整流板の中央部に組み込んだ円錐状形等の第2コーンとからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジェット風力発生装置。
【請求項4】
筒型羽根本体部に、気流取り出し口を設け、加圧された気流を気流取り出し口より取り出し、貯蔵、配風等を行う装置に利用できるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3に記載のジェット風力発生装置。
【請求項5】
ジェット風力発生装置の、内側及び外側の一方又は両方を通過する雨水を、収集、貯蔵、又は配水する装置をジェット風力発生装置に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又は請求項4に記載のジェット風力発生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100751(P2013−100751A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244103(P2011−244103)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【特許番号】特許第4915710号(P4915710)
【特許公報発行日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(711001985)
【Fターム(参考)】