説明

ジエン−ベースのポリマーの水素化

【課題】ジエン−ベースのポリマーの水素化を提供する。
【解決手段】本発明は、白金族金属含有触媒の存在下におよびいかなる有機溶媒も用いない、水素でのポリマーの処理によるバルク形態でのジエン−ベースのポリマー中の炭素−炭素二重結合の選択的な水素化方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いかなる有機溶媒も用いない、バルク形態で存在するジエン−ベースのポリマーの炭素−炭素二重結合の選択的な水素化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー中の炭素−炭素二重結合は、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)、(特許文献6)および(特許文献7)に開示されているように、触媒の存在下に有機溶媒中のポリマーを水素で処理することによって成功裡に水素化することができることは公知である。かかる方法は、例えば、芳香族またはナフタレン基中の二重結合は水素化されず、かつ、炭素と窒素または酸素などの他の原子との間の二重または三重結合は影響を受けないように、水素化される二重結合に選択的であることができる。この分野の技術は、コバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、およびパラジウムをベースとする触媒をはじめとする、かかる水素化に好適な触媒の多くの例を含有する。触媒の好適性は、必要とされる水素化度、水素化反応の速度、ならびにポリマー中の、カルボキシルおよびニトリル基などの、他の基の存在または不存在に依存する。特徴として、かかる水素化方法は常に、水素化されるポリマーを溶解させるために大量の有機溶媒の使用を必要とし、そして比較的高い温度(100℃より上)でうまくいき、それは生産コストおよび環境保護に関して懸念を提起する。
【0003】
水素化操作での大量の有機溶媒の必要性をなくすために、(非特許文献1)および(非特許文献2)は、封入触媒(Rh(PPhClまたは[Ir(COD)(PMePh]PF)を使用してポリマーのバルク水素化を実現しようと試みた。約90パーセントの転化率が適度の温度および圧力で得られたが、反応速度は非常に遅く、反応は、比較的高い転化率に達するために5日以上を要した。
【0004】
(特許文献8)は、水素およびロジウムバースの触媒の存在下にいかなる有機溶媒も加えない、バルク形態のポリマーおよびコポリマー中のオレフィン系不飽和の選択的な水素化方法を開示している。しかしながら、かかる方法は一般に、100℃をかなり上回る比較的高い温度で行われる必要がある。
【0005】
不飽和ポリマーの水素化のための反応条件を穏やかにするために、不飽和ポリマーの水素化のためのパラジウム−ベースの触媒が広範囲の注目を集めてきた。
【0006】
(特許文献9)は、溶液でのポリマーまたはコポリマー中のオレフィン系不飽和の選択的な水素化に有用である触媒前駆体を記載している。この前駆体は、有機ホスフェート、ジアルキリデンアセトン、および水酸化テトラアルキルアンモニウムからなる群から選択された錯化剤と錯体を形成するパラジウム塩を含む。
【0007】
(特許文献10)は、VIII族金属触媒、特に担持パラジウム触媒の存在下に不飽和ポリマーを水素供与化合物と接触させることによって添加ガス状水素を用いない不飽和ホモポリマーおよびコポリマーの水素化方法を開示している。
【0008】
(非特許文献3)に、触媒として酢酸パラジウムを使用する均一溶液水素化方法が記載されている。96%の最高転化率が報告された。
【0009】
(特許文献11)は、水素および水素化触媒として中性配位子を有するパラジウム錯体の存在下の、溶液でのニトリル基含有不飽和コポリマーの選択的水素化方法を教示している。
【0010】
(特許文献12)および(特許文献13)は、好適な溶媒中で1つ以上のパラジウムカルボキシレートを1つ以上のアルミニウム化合物と組み合わせることにより調製された触媒の存在下にポリマー溶液を水素と接触させることによるポリマー中のエチレン性不飽和の選択的水素化方法を開示している。
【0011】
(特許文献14)は、カルボン酸のパラジウム塩が触媒として使用されることを特徴とする、共役ジエンポリマーの溶液に水素を導入することによる前記ポリマーの不飽和の接触水素化方法を開示している。
【0012】
(特許文献15)は、触媒としてのパラジウム化合物の存在下に水性エマルジョン中で、およびポリマーを溶解させるまたは膨潤させることができる有機溶媒中で水素での不飽和ポリマーのC=C二重結合の選択的な水素化方法を教示している。かかる有機溶媒は、1:1〜1:0.05の範囲での水性エマルジョン対有機溶媒の容量比で使用された。
【0013】
(特許文献16)、(特許文献17)および(特許文献18)は、水素ゲッターを使用することによる密閉空間内の雰囲気からの水素の除去方法を開示している。この水素ゲッターは、炭素−炭素二重結合を有する有機ポリマー分子と、パラジウムまたは白金などの貴金属触媒からなる水素化触媒とを含む。かかる水素化触媒は、不活性な触媒担体に必ず担持されている。C=C二重結合は水素化され、それは水素の除去をもたらす。しかしながら、(特許文献16)、(特許文献17)および(特許文献18)の方法は、最高の水素化度を与えることを意図していないが、環境から望ましくない微量水素を除去するための実行可能な方法である。
【0014】
他の不均一のパラジウム−ベースの触媒系は、(特許文献19)、(特許文献20)、(特許文献21)および(特許文献22)に記載されている。前記特許に記載された触媒系のそれぞれは、有機溶媒に溶解させられた、ジエン−ベースのポリマーおよびコポリマー中のオレフィン系不飽和の水素化のために使用される、担体およびそれに担持されたパラジウムに関する。
【0015】
要約すれば、この分野における研究、すなわち、ジエン−ベースのポリマーの水素化は、ポリマーが有機溶媒に溶解させられた場合または水素化が比較的高い反応温度で実施される場合には非常に成功してきた。バルク形態でのジエン−ベースのポリマーの効率的な水素化に明らかに焦点を合わせた研究活動は、今までのところ非常に限定されている。(非特許文献1)および(非特許文献2)では、ロジウムおよびイリジウムベースの触媒が適用されたが、反応速度は非常に遅かった。(特許文献8)では、ロジウムベースの触媒が関係しているが、比較的高い反応温度を適用しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,881,797号明細書
【特許文献2】米国特許第6,683,136号明細書
【特許文献3】米国特許第6,410,657号明細書
【特許文献4】米国特許第6,020,439号明細書
【特許文献5】米国特許第5,705,571号明細書
【特許文献6】米国特許第5,057,581号明細書
【特許文献7】米国特許第3,454,644号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0211826 A1号明細書
【特許文献9】米国特許第5,652,191号明細書
【特許文献10】米国特許第5,399,632号明細書
【特許文献11】米国特許第5,164,457号明細書
【特許文献12】米国特許第4,892,928号明細書
【特許文献13】米国特許第4,876,314号明細書
【特許文献14】米国特許第4,510,293号明細書
【特許文献15】米国特許第5,272,202号明細書
【特許文献16】米国特許第6,110,397号明細書
【特許文献17】米国特許第6,063,307号明細書
【特許文献18】米国特許第5,837,158号明細書
【特許文献19】米国特許第4,954,576号明細書
【特許文献20】米国特許第4,853,441号明細書
【特許文献21】米国特許第4,501,685号明細書
【特許文献22】米国特許第4,337,329号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】ラウラ R.ギリオム(Laura R.Gilliom)、Macromolecules 第22巻(1989)、第2号、662−665ページ
【非特許文献2】ラウラ R.ギリオム、ケビン G.ホンネル(Kevin G.Honnell)、Macromolecules 第25巻(1992)、第22号、6066−6068ページ
【非特許文献3】Journal of Polymer Science、Part A、Polymer Chemistry 第30巻(1992)、第3号、471−484ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、本発明は、許容される短い反応時間内でそして穏やかな反応温度で、高い水素化度でバルク形態でのジエン−ベースのポリマーの選択的な水素化を可能にする新規な、そして改良された方法を提供するという目的を有した。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、バルク形態で存在するジエン−ベースのポリマーを、いかなる有機溶媒も用いずに、そして非担持の白金族金属含有触媒の存在下に水素化にかける工程を含むジエン−ベースのポリマー中の炭素−炭素二重結合の選択的水素化方法であって、かかる白金族金属がパラジウムおよび白金からなる群から選択される方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の方法は、ジエン−ベースのポリマー中に存在する炭素−炭素二重結合の選択的な水素化を可能にする。これは、例えば、芳香族またはナフタレン基中の二重結合が水素化されず、かつ、炭素と窒素または酸素などの他の原子との間の二重または三重結合もまた影響を受けないことを意味する。
【0021】
バルク形態で存在するエチレン性不飽和ポリマーを水素化するためにいかなる有機溶媒も用いずに非担持の白金族金属含有触媒を使用するという特徴は、本発明による方法の良好な性能にとって重要である。
【0022】
かかる新規方法を用いると、高い水素化度が達成され、水素化の速度は高く、そして先行技術から公知の方法で起こる架橋問題が克服される。
【0023】
白金族金属含有水素化触媒は、不活性担体、すなわち触媒担体に担持されない。これにより、本発明の方法はかなり容易になる。
【0024】
本発明の水素化方法は、白金族金属が白金およびパラジウムからなる群から選択される、非担持の白金族金属含有水素化触媒を使用して行われる。本発明の一実施形態では、白金族金属含有水素化触媒は白金またはパラジウム塩である。
【0025】
好ましくは、本発明の方法は、パラジウム含有触媒、より好ましくはカルボン酸のパラジウム塩を使用して行われる。カルボン酸として、飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸が使用されてもよい。好ましくは酢酸、ギ酸、ラウリン酸、オレイン酸、コハク酸、ステアリン酸、フタル酸、プロピオン酸、および安息香酸が使用される。
【0026】
触媒は典型的には少量で使用される。触媒中のパラジウムまたは白金の量は、水素化されるポリマーを基準として、20〜25,000ppmの、好ましくは500〜10,000ppmの範囲にある。
【0027】
本発明の方法にかけられてもよい炭素−炭素二重結合を有するポリマーは、少なくとも1つの共役ジエンモノマーをベースとする繰り返し単位を含む。
【0028】
共役ジエンは任意の性質のものであることができる。一実施形態では、(C〜C)共役ジエンが使用される。1,3−ブタジエン、イソプレン、1−メチルブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレン、クロロプレン、またはそれらの混合物が好ましい。1,3−ブタジエンおよびイソプレンまたはそれらの混合物が特に好ましい。1,3−ブタジエンが特に好ましい。
【0029】
さらなる実施形態では、モノマー(a)として少なくとも1つの共役ジエンのみならずさらに少なくとも1つのさらなる共重合性モノマー(b)の繰り返し単位を含む、炭素−炭素二重結合を有するポリマーが本発明の方法にかけられてもよい。
【0030】
好適なモノマー(b)の例は、エチレンまたはプロピレンなどのオレフィンである。
【0031】
好適なモノマー(b)のさらなる例は、スチレン、アルファ−メチルスチレン、o−クロロスチレンまたはビニルトルエンなどのビニル芳香族モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニルおよびステアリン酸ビニルなどの、脂肪族または分岐C〜C18モノカルボン酸のビニルエステルである。
【0032】
本発明に使用される好ましいポリマーは、1,3−ブタジエンとスチレンまたはアルファ−メチルスチレンとのコポリマーである。前記コポリマーはランダムまたはブロック型構造を有してもよい。
【0033】
好適なモノマー(b)のさらなる例は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸などのエチレン性不飽和モノ−もしくはジカルボン酸の、一般に、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノールなどの、C〜C12アルカノール、またはシクロペンタノールまたはシクロヘキサノールなどの、C〜C10シクロアルカノールとのエステル、そしてこれらのうちで好ましくは、例がメタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸第三ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸第三ブチル、およびアクリル酸2−エチルヘキシルである、アクリル酸および/またはメタクリル酸のエステルである。
【0034】
好適なさらなる共重合性モノマー(b)はα,β−不飽和ニトリルである。任意の公知のα,β−不飽和ニトリル、好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物などの(C〜C)α,β−不飽和ニトリルを使用することが可能である。アクリロニトリルが特に好ましい。
【0035】
本発明に使用される特に好適なコポリマーはニトリルゴム(「NBR」とまた省略される)であり、これはα,β−不飽和ニトリル、特に好ましくはアクリロニトリルと、共役ジエン、特に好ましくは1,3−ブタジエンと、場合により、α,β−不飽和モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、それらのエステルまたはアミドなどの、1つ以上のさらなる共重合性モノマーとのコポリマーである。
【0036】
かかるニトリルゴム中のα,β−不飽和モノカルボン酸もしくはジカルボン酸として、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0037】
かかるニトリルゴム中のα,β−不飽和カルボン酸のエステルとして、それらのアルキルエステルおよびアルコキシアルキルエステルを使用することが好ましい。α,β−不飽和カルボン酸の特に好ましいアルキルエステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸第三ブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸第三ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシルおよびアクリル酸オクチルである。α,β−不飽和カルボン酸の特に好ましいアルコキシアルキルエステルは、(メタ)アクリル酸エトキシエチルおよび(メタ)アクリル酸メトキシエチルである。アルキルエステル、例えば上述のものと、例えば上述のものの形態での、アルコキシアルキルエステルとの混合物を使用することもまた可能である。
【0038】
本発明に使用される好ましいターポリマーは、アクリロニトリルと、1,3−ブタジエンと、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸第三ブチルからなる群から選択された第3モノマーとのターポリマーである。
【0039】
水素化にかけられるべきポリマーが1つ以上の共役ジエンの繰り返し単位のみならず、1つ以上のさらなる共重合性モノマーの繰り返し単位も含む場合には、共役ジエンおよび他の共重合性モノマーの割合は広い範囲内で変わってもよい。
【0040】
水素化のために使用中のNBRポリマーの場合には、共役ジエンのまたはそれらの合計の割合は通常、全体ポリマーを基準として、40〜90重量%の範囲に、好ましくは50〜85重量%の範囲にある。α,β−不飽和ニトリルのまたはそれらの合計の割合は通常、全体ポリマーを基準として、10〜60重量%、好ましくは15〜50重量%である。モノマーの割合はそれぞれ合計100重量%になる。追加のターモノマーが場合により存在してもよい。使用される場合、それらは典型的には、全体ポリマーを基準として、0超〜40重量%、好ましくは0.1〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%の量で存在する。この場合には、共役ジエンのおよび/またはα,β−不飽和ニトリルの相当する割合は、全てのモノマーの割合がそれぞれ合計100重量%になる状態で、追加のターモノマーの割合で置き換えられる。
【0041】
上述のモノマーの重合によるニトリルゴムの製造は当業者に十分に知られており、ポリマー文献に包括的に記載されている。
【0042】
本発明の目的のために使用することができるニトリルゴムはまた、例えば、ランクセス・ドイチュラント社(Lanxess Deutschland GmbH)から商品名パーブナン(Perbunan)(登録商標)およびクライナック(Krynac)(登録商標)の製品範囲からの製品として市販品として入手可能である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、それらの分子量を下げるためにメタセシス反応にかけられたニトリルゴムを使用することが可能である。かかるメタセシス反応は当該技術分野で公知であり、例えば国際公開第02/100905号パンフレットおよび国際公開第02/100941号パンフレットに開示されている。
【0044】
本発明に従って使用されてもよいニトリルゴムは、3〜75、好ましくは5〜75、より好ましくは20〜75、さらにより好ましくは25〜70、特に好ましくは30〜50のムーニー(Mooney)粘度(100℃でML 1+4)を有する。重量平均分子量Mは25,000〜500,000の範囲に、好ましくは200,000〜500,000の範囲に、より好ましくは200,000〜400,000の範囲にある。例えば約34のムーニー粘度を有するニトリルゴムは、約1.1dL/gの、35℃でクロロベンゼン中で測定される、固有粘度を有する。使用されるニトリルゴムはまた、1.5〜6.0、好ましくは1.8〜6.0、より好ましくは1.9〜6.0の範囲の、さらにより好ましくは2.0〜4.0の範囲の多分散性PDI=M/M(ここで、Mは重量平均分子量であり、Mは数平均分子量である)を有する。ムーニー粘度の測定は、ASTM(米国材料試験協会)標準D1646に従って実施される。
【0045】
1つ以上の共役ジエンと例えばスチレンまたはアルファ−メチルスチレンのような1つ以上の他の共重合性モノマーとの繰り返し単位を含有するニトリルゴム以外のポリマーが本発明に使用される場合、全てのモノマーの割合がそれぞれの合計して100%になる状態で、共役ジエンの割合は通常15〜100重量%未満であり、共重合性モノマーの合計の割合は0超〜85重量%である。スチレンまたはアルファ−メチルスチレンが他の共重合性モノマーとして使用される場合、スチレンおよび/またはメチルスチレンの割合は好ましくは15〜60重量%であり、一方100重量%への残りは共役ジエンで表される。
【0046】
本発明にバルク形態で使用される炭素−炭素二重結合含有ポリマーは、乳化重合、溶液重合またはバルク重合などの、当業者に公知の任意の方法によって製造されてもよい。好ましくは、本発明に有用な炭素−炭素二重結合含有ポリマーは、水性乳化重合法が本明細書で後に記載されるような水素化触媒との接触を実現するために使用されてもよいポリマーのラテックス形態を直接にもたらすので、この方法で製造される。
【0047】
ポリマーの水素化は、いかなる有機溶媒も用いずに行われ、ポリマーはバルク形態で存在する。先行技術に従った水素化反応で慣習的である有機溶媒の使用はなくされ、それは、本発明による方法の実行中に有機溶媒が全く存在しないことを意味する。本発明に従って水素化されるポリマーは、粒子または薄膜の形態で使用することができる。粒径および粒子形状またはフィルムの厚さについての限定要件は全くない。しかしながら、粒径が小さいほど、フィルムが薄いほど、水素化は速くなり。一般に、粒径またはフィルムの厚さは、10mm未満、好ましくは3mm未満である。
【0048】
本発明の方法は一般に、0℃〜100℃の範囲の、好ましくは10℃〜90℃の範囲の、より好ましくは15℃〜70℃の範囲の、さらにより好ましくは20℃〜60℃の範囲の温度で実施される。これは、本方法が穏やかな条件で実施されてもよいことを意味する。
【0049】
本発明の水素化方法は好ましくは、0.1〜20MPaの圧力の、好ましくは1〜16MPaの圧力の水素ガスで実施される。本方法の一実施形態で前記水素ガスは本質的に純粋である。
【0050】
本発明によれば、触媒は、含浸または機械的な混合などの、任意の可能な手段によって、好ましくは触媒とポリマーとの分子混合をもたらし得る手順を用いることによってポリマー中へ導入することができる。
【0051】
本発明の一実施形態で白金族金属含有触媒は、触媒または触媒溶液をポリマー溶液に加え、触媒の効率的な分配および溶解が行われてしまうまで混合することによって水素化されるポリマーと接触させられる。触媒の溶解後に、溶媒は完全に除去され、ポリマーフィルムまたは粒子のいずれかが得られ、それは次に本発明の水素化にかかられる。典型的には温度は、かかる混合および溶媒除去操作の間、0℃〜30℃の範囲に、好ましくは0℃〜10℃の範囲にあるように制御される。典型的な実施形態では、このように調製されたサンプルは、サンプルが水素化されるであろう反応温度に依存して、余り長い時間保管されない。典型的には、水素化前のサンプル保管の時間は、その後の水素化温度が37〜50℃であるとき、大気条件で余り長い時間、好ましくは約70時間よりはるかに長い時間であってはならず、水素化温度が37℃より低いとき、大気条件で約20時間よりはるかに長い時間であってはならない。しかしながら、サンプルがより低い温度で保管され、および/または酸素と接触するのを防がれる場合、保管時間は全く問題ではなく、サンプルは、水素化が実施される前にはるかに長く保管することができる。このサンプル調製のために、水素化触媒と水素との直接接触は、ポリマー水素化プロセス前に起こらない。
【0052】
さらなる実施形態で白金族金属含有触媒は、有機溶媒または触媒粉末についてCOのみなどの、媒体を使用することによりポリマー粒子またはポリマーフィルムに触媒粉末を含浸させることによって水素化されるポリマーと接触させられる。かかる媒体は、ポリマーを溶解させるべきではなく、そしてまたポリマー/触媒系に化学的に不活性であるべきである。含浸の温度は典型的には50℃より低いことが推奨される。含浸操作の時間は、粒径またはフィルム厚さおよび使用される媒体だけでなく含浸温度に依存して、数分〜10時間であることができよう。含浸工程の後、媒体、例えば溶媒またはCOは完全に放出/除去され、触媒−含浸ポリマーフィルムまたは粒子のいずれかが得られ、それは次に水素化にかけられる。再び、このように調製されたサンプルは典型的には、サンプルが水素化されるであろう反応温度に依存して、余り長い時間保管されない。一般にこの時間は、水素化温度が37〜50℃であるとき、約70時間よりはるかに長い時間であってはならず、水素化温度が37℃より低いとき、約20時間よりはるかに長い時間であってはならない。このサンプル調製のためにはまた、水素化触媒と水素との間の直接接触は、ポリマー水素化プロセス前に起こらない。
【0053】
本発明の水素化方法は、温度制御および攪拌手段を備えた好適な反応器で行うことができる。必要に応じて、炭素−炭素二重結合含有ポリマーは、通常の刃物(はさみもしくはナイフなど)または任意の粒子発生プロセスを用いることなどの、任意の可能な方法を用いることによって異なるサイズの粒子またはフィルムにすることができる。
【0054】
本発明の水素化反応の進行中に、水素が反応器に追加されてもよい。反応時間は典型的には、操作条件に依存して、約1/4時間〜約100時間である。
【0055】
本発明によれば、水素化反応が所望の程度まで完了したとき、反応容器を冷却し(妥当な場合)、ガス抜きすることができ、水素化されたポリマーが得られる。
【0056】
本発明に従って得られた水素化ニトリルゴムは、6〜150の範囲の、好ましくは25〜100の範囲の、より好ましくは35〜100の範囲の、さらにより好ましくは39〜100の範囲の、特に好ましくは40〜100の範囲のムーニー粘度(100℃でML 1+4)を有する。
【0057】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示するが、これによって限定することは意図しない。
【実施例】
【0058】
水素化反応に使用した材料を表1に挙げる。
【0059】
【表1】

【0060】
参考例1
15gの上述のブタジエン−アクリロニトリルコポリマー溶液(アセトン中4重量%)を、真空システムに連結することができるアーム付きフラスコに入れた。フラスコを氷水浴に浸し、0.012gの酢酸パラジウムをフラスコに装入した。酢酸パラジウムの溶解後に、溶液を真空下に約2時間乾燥させた。乾燥操作の後、ポリマーサンプルはフィルムのようになり、厚さは約0.2〜2mmであった。
【0061】
得られたサンプルをサンプルAと表示し、実施例1〜12での水素化のために使用した。
【0062】
参考例2
0.003gの酢酸パラジウムを適用したことを除いて、参考例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。
【0063】
得られたサンプルをサンプルBと表示し、実施例13〜21での水素化のために使用した。
【0064】
参考例3
0.01415gのプロピオン酸パラジウムを触媒として適用したことを除いて、参考例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。
【0065】
得られたサンプルをサンプルCと表示し、実施例22での水素化のために使用した。
【0066】
参考例4
0.0045gの酢酸パラジウムを適用したことを除いて、参考例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。
【0067】
得られたサンプルをサンプルDと表示し、実施例23〜26での水素化のために使用した。
【0068】
参考例5
0.006gの酢酸パラジウムを適用したことを除いて、参考例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。
【0069】
得られたサンプルをサンプルEと表示し、実施例27〜29での水素化のために使用した。
【0070】
参考例6
0.02gの酢酸パラジウムを約3mlのアセトンに溶解させ、酢酸パラジウム溶液をポリマー溶液中へ加えたことを除いて、参考例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。
【0071】
得られたサンプルをサンプルFと表示し、実施例30〜31での水素化のために使用した。
【0072】
参考例7
0.012gの酢酸パラジウムを適用し、ポリマーサンプル調製および真空乾燥プロセスの間、氷水浴を全く用いず、フラスコを室温、すなわち24±2℃の環境に保ったことを除いて、参考例6に記載したものと同じ条件および手順を用いた。
【0073】
得られたサンプルをサンプルGと表示し、実施例32での水素化のために使用した。
【0074】
実施例1〜12:サンプルA
実施例1
温度制御手段、攪拌機、圧力計および水素ガス添加口を備えた、300mlガラス内張りステンレススチール・オートクレーブを反応器として用いた。参考例1で製造した0.5gのサンプルAを反応器へ入れ、反応器を水素ガスで脱ガスした。室温(24±2℃)で、400psi(2.7MPa)の水素圧を3.5時間かけた。その後圧力を解除し、ポリマーサンプルを反応器から取り出し、メチルエチルケトンに溶解させ、そして水素化度を赤外分析によって測定した。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、56.7%の水素化度を達成した。
【0075】
実施例2
15.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例1に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、99.4%の水素化度を達成した。
【0076】
実施例3
100psi(0.675MPa)の水素圧を適用したことを除いて、実施例1に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、31.9%の水素化度を達成した。
【0077】
実施例4
8時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例3に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、72.2%の水素化度を達成した。
【0078】
実施例5
20時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例3に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、99.3%の水素化度を達成した。
【0079】
実施例6
800psi(5.4MPa)の水素圧を適用したことを除いて、実施例1に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、82.4%の水素化度を達成した。
【0080】
実施例7
5.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例6に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、99.4%の水素化度を達成した。
【0081】
実施例8
1400psi(9.45MPa)の水素圧を適用したことを除いて、実施例1に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、83.8%の水素化度を達成した。
【0082】
実施例9
1.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例8に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、61.9%の水素化度を達成した。
【0083】
実施例10
37℃の反応温度を適用したことを除いて、実施例6に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、99.8%の水素化度を達成した。
【0084】
実施例11
1.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例10に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、85.2%の水素化度を達成した。
【0085】
実施例12
51℃の反応温度、800psi(5.4MPa)の水素圧および45分の反応時間を適用したことを除いて、実施例1に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、98.4%の水素化度を達成した。
【0086】
実施例13〜21:サンプルB
実施例13
サンプルBを適用したことを除いて、実施例12に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、82.1%の水素化度を達成した。
【0087】
実施例14
1.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例13に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、89.4%の水素化度を達成した。
【0088】
実施例15
2.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例13に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、91.4%の水素化度を達成した。
【0089】
実施例16
3.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例13に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、94.0%の水素化度を達成した。
【0090】
実施例17
37℃の反応温度を適用したことを除いて、実施例16に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、84.8%の水素化度を達成した。
【0091】
実施例18
5.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例17に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、92.7%の水素化度を達成した。
【0092】
実施例19
室温(24±2℃)の反応温度および22時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例18に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、41.0%の水素化度を達成した。
【0093】
実施例20
46時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例19に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、53.2%の水素化度を達成した。
【0094】
実施例21
70時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例19に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、74.3%の水素化度を達成した。
【0095】
実施例22:サンプルC
実施例22
ポリマーサンプルCおよび3時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例10に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、99.6%の水素化度を達成した。
【0096】
実施例23〜26:サンプルD
実施例23
ポリマーサンプルDを適用したことを除いて、実施例11に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、64.3%の水素化度を達成した。
【0097】
実施例24
2.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例23に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、81.0%の水素化度を達成した。
【0098】
実施例25
3.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例23に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、90.0%の水素化度を達成した。
【0099】
実施例26
2.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例23に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、94.5%の水素化度を達成した。
【0100】
実施例27〜29:サンプルE
実施例27
ポリマーサンプルEおよび1.7時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例26に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、90.7%の水素化度を達成した。
【0101】
実施例28
2.5時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例27に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、97.1%の水素化度を達成した。
【0102】
実施例29
4.0時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例28に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、98.3%の水素化度を達成した。
【0103】
実施例30〜31:サンプルF
実施例30
ポリマーサンプルFおよび1.0時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例11に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、96.7%の水素化度を達成した。
【0104】
実施例31
2.0時間の反応時間を適用したことを除いて、実施例30に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、98.8%の水素化度を達成した。
【0105】
実施例32:サンプルG
実施例32
ポリマーサンプルGを適用したことを除いて、実施例30に記載したものと同じ手順および条件を用いた。得られたポリマーをメチルエチルケトンに溶解させ、97.0%の水素化度を達成した。
【0106】
実施例1〜32についてのまとめを次表2に示す。
【0107】
【表2】

【0108】
本発明を、例示の目的のためにこれまで詳細に説明してきたが、かかる詳細は専ら当該目的のためであること、及び特許請求の範囲によって限定されうる場合を除いて、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によって変形が行われてよいことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク形態で存在するジエン−ベースのポリマーを、いかなる有機溶媒も用いずに、そして非担持の白金族金属含有触媒の存在下に水素化にかける工程を含むジエン−ベースのポリマー中の炭素−炭素二重結合の選択的水素化方法であって、前記白金族金属がパラジウムおよび白金からなる群から選択される方法。
【請求項2】
パラジウム含有触媒、好ましくはカルボン酸のパラジウム塩が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
飽和脂肪族カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸のパラジウム塩、好ましくは酢酸、ギ酸、ラウリン酸、オレイン酸、コハク酸、ステアリン酸、フタル酸、プロピオン酸、または安息香酸のパラジウム塩が使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記触媒が、水素化されるポリマーを基準として、20〜25,000ppmの、好ましくは500〜10,000ppmの範囲の量で使用される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記水素化にかけられる炭素−炭素二重結合含有ポリマーがモノマー(a)としての少なくとも1つの共役ジエンと少なくとも1つのさらなる共重合性モノマー(b)との繰り返し単位を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
モノマー(b)オレフィンとして、好ましくはエチレンまたはプロピレン、ビニル芳香族モノマー、好ましくはスチレン、アルファ−メチルスチレン、o−クロロスチレンまたはビニルトルエン、脂肪族または分岐C〜C18モノカルボン酸のビニルエステル、より好ましくは酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、デカン酸ビニル、ラウリン酸ビニルおよびステアリン酸ビニルが使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1,3−ブタジエンとスチレンまたはアルファ−メチルスチレンとのコポリマーが水素化にかけられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
モノマー(b)としてエチレン性不飽和モノ−もしくはジカルボン酸、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸と、C〜C12アルカノール、より好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、第三ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、またはC〜C10シクロアルカノール、より好ましくはシクロペンタノールまたはシクロヘキサノールとのエステル、そしてこれらのうちでさらにより好ましくはアクリル酸および/またはメタクリル酸のエステル、そして最も好ましくはメタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸第三ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸第三ブチル、およびアクリル酸2−エチルヘキシルが使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
モノマー(b)としてα,β−不飽和ニトリル、好ましくは(C〜C)α,β−不飽和ニトリル、より好ましくはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルまたはそれらの混合物が使用される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
α,β−不飽和ニトリル、特に好ましくはアクリロニトリルと、共役ジエン、特に好ましくは1,3−ブタジエンと場合により少なくとも1つのさらなる共重合性モノマー、特に好ましくはα,β−不飽和モノ−もしくはジカルボン酸、それのエステルまたはアミドとのコポリマーであるニトリルゴム(「NBR」)が水素化にかけられる、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
アクリロニトリルと、1,3−ブタジエンと、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸第三ブチルからなる群から選択された第3モノマーとのターポリマーが水素化にかけられる、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記水素化が0℃〜100℃の範囲の、好ましくは10℃〜90℃の範囲の、より好ましくは15℃〜70℃の範囲の、およびさらにより好ましくは20℃〜60℃の範囲の温度で、そして0.1〜20MPaの、好ましくは1〜16MPaの水素圧で実施される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2009−144159(P2009−144159A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−320190(P2008−320190)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(506241042)ランクセス・インコーポレーテッド (20)
【Fターム(参考)】