説明

ジエンとアセチレンの選択的水素化反応に使用するプロセスと触媒

スチーム熱分解炉から導入される混合炭化水素流中のジエンとアセチレンの選択的水素化プロセス。フロントエンド方式単一段アセチレン水素化が、(A)触媒全重量基準で1〜30重量%のニッケルのみ、またはニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素との触媒成分を(B)1〜約100m/gのBET表面積と0.2〜約0.9cc/gの全窒素細孔容積と約110〜450Åの平均細孔径を有する担体に担持した触媒を使用して、アセチレンとジエンを選択的に水素化する温度と圧力下に行われる。本プロセスは、重質成分と軽質成分の双方に含まれるエチレンとプロピレンを損失せずに、アセチレンとジエンを水素化するので、重質成分流をさらに処理する必要はなくなる。さらに、反応蒸留塔の下の部分に生じる重合量も減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素、メタン、C〜C、および重質成分を含有する炭化水素流の中のジエンとアセチレンの選択的水素付加に使用するプロセスと触媒に関する。特に、本発明は、炭化水素流が反応蒸留塔内に備えられた触媒床の間に供給されるプロセスに関する。特に、本発明は、新規な触媒を利用するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素のスチーム熱分解炉の急冷システムから生じる気相生成物流は、典型的に、主として水素、メタン、C〜Cオレフィンとパラフィン、C〜Cアセチレンとジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、および他のC成分から成る。炭素数に基づいて行われる生成物の分離と回収は、一般に、最初に高圧コールドボックスシステムで水素をメタンから分離した後、シーケンシャル蒸留システムで蒸留することによって達成される。蒸留システムの設計は、同じ炭素数のオレフィン、アセチレン、およびジエンの比揮発度の相違が小さく、従って純粋なオレフィン製品を生産するのが困難であるという事実があるので、複雑なものとなる。この問題に対処する方法の一つは、最初に炭素数が相異なる留分を分離し、次いで各留分に選択的に水素を付加し、アセチレンおよび/またはジエンを対応するオレフィンまたはパラフィンに転化することである。この、いわゆる「バックエンド」アプローチでは、各炭素数留分に対する水素化反応システムが必要であり、さらに各システムに所要の水素を添加しなければならない。他の一つの方法は、分離の前に、含有されている水素を転化用水素源として使用して、原料流を水素化処理することである。この、いわゆる「フロントエンド」アプローチでは、原料流からある程度大部分の水素を取り除いてコールドボックスに送るので、コールドボックスのサイズと冷凍所要量が減少するという利点がある。
【0003】
米国特許第5,679,241号に概説された発明では、CまたはCオレフィンの水素付加を行わないですべてのC〜Cアセチレンとより重質のアセチレンを単一段で転化する方法が提唱されている。この特許は、C〜C4アセチレンとジエンおよびC4以上の重質オレフィンを水素付加することによって、所要の極低温分離以前に分解ガスに含まれる水素の70%以上を除去する能力があると記載されているシステムに関する。水素の70%以上を除去すれば、C成分以上の重質成分の分離に必要なエネルギー所要量を大幅に削減できるので、経済性が改善される。水素分圧を低下すれば、分離は、より低圧で、より少量の冷凍量で達成される。しかし、本特許権者は、具体的な触媒を明らかにせず、「水素付加触媒」というだけであった。米国特許第6,759,562号B2は、米国特許第5,679,241号の特許権者と共同所有になるものであるが、同特許の特許権者は、米国特許第5,679,241号に記載のプロセスは、エチレンとプロピレンの相当程度の損失なしには、単一段システムでは運転不可能であると主張する。しかし、触媒が開示されていないので、後願の方の特許権者は、2,000ppm未満のPdを含有する典型的なフロントエンドアセチレン水素付加触媒としてのみ記載されている触媒で評価を行った。後願の方の特許権者は、主反応器の他に仕上げまたは調整の反応器を追加してプロセスを改良すると主張する。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,679,241号明細書
【特許文献2】米国特許第6,759,562号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この既往技術は、プロセス開発に当たり既知の入手可能なフロントエンド触媒に依存しており、従来の単一段法フロントエンド水素付加に関連した問題を解決する方法として適切かつ新規な触媒の意義を全く認識していなかった。本発明の利点は、新規な触媒を開発して、単一段法フロントエンド水素化反応をエチレンの損失なしで運転可能としたことである。特に、本プロセスの利点は、重質および軽質両生成物の中のアセチレンとジエンとを水素付加することによって、重質生成物をさらに処理する必要をなくしてしまうことである。
【0006】
さらなる利点は、反応蒸留塔の下の部分に生じる重合の量が減少することである。また、エチレンとプロピレンの含有量は、処理流中で減少されないことが、本発明のプロセスの利点である。
【0007】
本発明は、熱分解プラントから導入される生成物流内に含有されるアセチレンとジエンとを単一段法で除去するための新規な触媒、および同新規触媒を使用する水素付加プロセスである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要を言えば、C〜C炭化水素を含有する混合炭化水素流中のアセチレンとジエンの選択的水素化反応を行わせる本発明のプロセスは、アセチレンとジエンを選択的に水素付加するに適切な温度と圧力でエチレン、アセチレンとジエンを含むC〜C炭化水素と水素とを含有する混合炭化水素流を触媒と接触させるステップを含むプロセスであり、前記触媒は、(A)触媒全重量基準で1〜30重量%のニッケルのみ、またはニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素との触媒成分を(B)1〜約100m/gのBET表面積と0.2〜約0.9cc/gの全窒素細孔容積と約110〜450Åの平均細孔径を有する担体に担持した触媒である。
【0009】
実施の形態の一つでは、アセチレンとジエンの選択的水素付加は、反応蒸留塔で行われ、熱分解プラントから装入されるガスは、水素付加触媒が充填された二段の触媒床の間に供給され、触媒床の下には必要に応じて水素が追加される。水素の追加量は、最小限の水素が反応蒸留塔の頂部から排出されるように制御され、下流の処理機器にかかる負荷が低減される。
【0010】
使用触媒は、ニッケル単独で、または銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される元素との組み合わせで製造される。銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスの修飾剤の量は、ニッケルの量に比較して比較的少量で、担体上のニッケル成分基準で約5%未満である。金属(または、その酸化物)は、約1〜約100m/gのBET表面積と0.2〜約0.9cc/gの全窒素細孔容積と約110〜450Åの平均細孔径を有する担体に担持される。担体は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、タルサイト、シリカアルミナ、および活性炭から成る群から選択される。アルミナが好ましい担体で、特に、700〜1,200℃の範囲の温度で仮焼されたアルミナが好ましい。好ましい触媒は、細孔径100Å超の細孔を少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約50%を有し、約0.2cc/g〜約0.9cc/gの全細孔容積と約0.35〜約0.75g/ccのABD(見掛け嵩密度)を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のプロセスでは、前記触媒は、熱分解プラントから装入されるガス流のような水素、メタン、Cおよび重質成分から一般に成る原料流中のアセチレンとジエンを選択的に水素付加する。原料は低いレベルのCOを含んでいても差し支えない。反応で消費される水素は原料にすでに存在するが、必要ならば追加の水素を添加し得る。前記触媒はジエンとアセチレンを水素付加するが、原料流中のエチレンまたはプロピレンを水素で飽和することはない。従って、アセチレンとジエンの混合程度に依存するが、エチレンとプロピレンの正味の増加が得られることが多い。
【0012】
本発明に使用される選択的フロントエンド水素付加触媒は、ニッケル成分を含む。ニッケル成分は、ニッケルだけもあり得るが、またはニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素との場合もあり得る。ニッケル成分は、1〜約100m/gのBET表面積と0.2〜約0.9cc/gの全窒素細孔容積と約110〜450Åの平均細孔径との物理的性質を有する担体成分に担持される。前記担体は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、タルサイト、シリカアルミナ、および活性炭から成る群から選択される。前記触媒は、触媒全重量基準で1〜30重量%の触媒成分濃度を有する。銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスの修飾剤は、ニッケルが触媒の主成分であるので、極めて少量の量だけ存在するが、触媒の活性、安定性、および所望のオレフィン化合物の回収を改良すると考えられている。
【0013】
触媒を保持し、反応物を一緒に反応条件にもたらし得る反応器には、固定床シングルパス反応器、断熱アップフローまたはダウンフロー反応器(沸点反応器)、パルスフロー反応器、反応蒸留反応器、分割壁反応器などがある。好ましいプロセスは、反応蒸留塔(distillation column reactor)と称される単一容器で蒸留と反応が一緒に行われるプロセスである。従って、触媒は、接触反応蒸留に適応した構造物という形で調製されなければならない。接触反応蒸留構造物は、触媒および物質移動媒体として機能しなければならない。触媒は、接触反応蒸留構造物として機能するように、塔内に適切に支持・配置されなければならない。接触反応蒸留プロセスは、同じ反応器で、触媒システム内で少なくとも部分的に反応と蒸留双方を同時に行わせる触媒システム(米国特許第5,730,843号、4,302,356号、第4,215,011号を参照のこと)を採用する。同プロセスに含まれる方法は、同時並行的の反応と蒸留とが、反応器と蒸留塔とを組み合わせた構造で起こる方法の一つとして概略的に説明される。同構造は、幾つかの米国特許、すなわち米国特許第4,242,530号、第4,250,052号、第4,232,177号、第4,302,356号、第4,307,254号、および第4,336,407号に記載されている。さらに、米国特許第4,302,356号と第4,443,559号には、蒸留構造物として有用な触媒構造が開示されている。
【0014】
触媒が蒸留部品として役立つプロセスの通常の適用では、平衡が常に乱されているので、反応を完結する方向に動かされる、すなわち、反応の駆動力が増す。反応生成物が取り除かれるので、逆反応が寄与し得なくなるからである(ルシャトリエの原理)。水素化反応は、約900°F超の高温では可逆反応と説明されているけれども、本発明に採用された温度条件下では、水素付加は可逆反応ではないので、接触蒸留システムの使用を促す理由とはなり得ない。
【0015】
本反応では、接触反応蒸留の利点は、第一に、反応が蒸留と同時並行的に起こるので、初期反応生成物および他の流れ成分が可能な限り迅速に反応ゾーンから取り除かれ、副反応の可能性が少なくなることであると考えられる。第二に、全ての成分が沸騰状態にあるので、反応温度が混合物の系の圧力における沸点で制御されることである。反応熱は、沸騰を単に引き起こすだけで、所与の圧力下では温度は上昇しない。結果として、反応の速度と生成物の分布の厳密な制御が、系の圧力を調節することによって達成し得る。また、スループット(滞留時間=液時間空間速度−1)を調整することにより、生成物分布のさらなる制御が行われ、オリゴマ生成などの副反応のある程度の制御も行われる。この反応が接触蒸留から得られるさらなる利点は、洗浄効果であり、内部還流が触媒に加えられるので、ポリマの蓄積やコーキングが低減されることである。内部還流は、0.1〜40、好ましくは0.2〜20L/D(触媒床直下の液重量/留出物重量)の範囲で変化され、優れた結果が得られ、C〜C流れでは、通常0.5〜4.0L/Dの範囲である。
【0016】
極めて驚くことは、蒸留システムに使用された低い水素分圧でも、水素化反応が起こらない結果にはならなかったことである。水素化反応に問題が起こることは、世界標準である液相システムでは高水素分圧が使用されていることから当然のように想定されている。本発明の範囲を限定せずに提唱されることは、本プロセスの有効性を示すメカニズムは、反応系に蒸気の一部が凝縮することであり、凝縮液中に十分な水素が閉じこめられ、触媒の存在下に水素と高度不飽和化合物との間に所要の緊密な接触がもたらされ、結果として水素化反応が惹起されるということである。蒸留では不変の因子である凝縮という現象によって、液相の場合の高圧と同じ、またはそれ以上の優れた水素利用率が得られる、すなわち、水素が液に導入され、水素化反応が起こると考えられる。触媒を充填した塔は、どのような蒸留の場合にも気相と液相とを含むものと認め得る。反応蒸留塔は、反応混合物が触媒床で沸騰する圧力で運転される。本プロセスは、前記反応蒸留塔の塔頂圧力が0〜350psigの範囲、好ましくは170psigで、また、前記反応蒸留塔内の温度が40〜300°Fの範囲、好ましくは平均約210°Fで所定の水素分圧下に運転される。原料の重量時間空間速度(WHSV)は、本明細書では、反応蒸留塔に導入される原料の単位時間当たり重量を接触蒸留構造に含有される触媒の単位重量当たりで表すことを意味すると解釈され、他の条件のパラメータ内で広範囲に変化し得るが、例えば、0.5〜35である。
【0017】
本選択的水素付加プロセスに反応蒸留塔を使用する利点は、アセチレンとジエンの変換に対する優れた選択性、熱の保存、および蒸留による分離にある。蒸留による分離は、幾つかの望ましくない化合物、例えば、重質成分やTBCやC物質を除去し得るし、蒸留は、触媒ゾーンに所望の成分を濃縮し得る。
【0018】
反応蒸留塔の温度は、所与の圧力で存在する液状混合物の沸点で決定される。塔の下の部分の温度は、塔のその部分の物質の成分を反映し、塔頂温度より高くなる。すなわち、定圧では系の温度変化は、塔の中の組成変化を示す。温度を変更するには、圧力を変更する。従って、反応ゾーンの温度制御は圧力変化で行われる。圧力を上げると、系の温度が上がる。逆もまた同様である。
【0019】
から最高Cまでの炭化水素を含有する混合炭化水素流に存在するアセチレンとジエンを選択的に水素付加するための好ましいプロセスにおいて、(a)水素、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブテン、およびジエンを含有する流れを反応蒸留塔の中の二段の選択的水素付加触媒床の間に導入するステップと、(b)二段の選択的水素付加触媒床の最下段の下に水素を供給するステップと、(c)前記反応蒸留塔の中で、(i)前記アセチレンとジエンの少なくとも一部を水素と反応させ、モノオレフィンを生成するステップと、(ii)混合炭化水素流を低沸物流と高沸物流とに分別蒸留によって分離するステップと、を同時に行うステップと、(d)前記低沸物流を塔頂物(overheads)として反応蒸留塔から取り出すステップと、(e)前記高沸物流を塔底物(bottoms)として反応蒸留塔から取り出すステップと、
を含むことを特徴とするアセチレンとジエンの選択的水素付加プロセスが提供される。
【0020】
さて、添付の図を参照すると、本発明の実施の形態の一つの概略フローダイアグラムが示されている。水素、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブテン、およびジエンを含有する流れ(完全な説明には表1を参照のこと)が、反応蒸留塔10の中の記載の二段の触媒床12と14の間に流れライン11経由で導入される。触媒床の上下は、標準形式の蒸留構造物11と13で、例えば、シーブトレイ、バブルキャップトレイまたは不活性材質の充填物である。特に下段の触媒床14の反応をサポートする追加的水素は、流れライン102経由で導入される。低沸物成分、特にC〜Cは、上段の触媒床12に蒸発し、ここでジエンとアセチレンがエチレン、プロピレン、およびブテンに選択的に水素化される。高沸物成分、特にC〜重質成分は、下段の触媒床14に蒸留で落とされ、ここで残余のアセチレンと重質のジエンがモノオレフィンに選択的に水素化される。流れライン102から供給された上方に流れる水素は、下段触媒床12に残余の低沸成分を上段触媒床14に放散し、塔頂物と一緒に外に排出するサポートを行う。
【0021】
と軽質成分は、流れライン103経由で塔頂物として取り出される。Cは凝縮器30で凝縮され、受槽/分離槽20に集められる。未凝縮のCと軽質成分は、流れライン106経由で受槽/分離槽20から取り出され、生成物回収に送られる。凝縮されたCは流れライン109経由で取り出され、流れライン110経由で生成物回収に送られる。凝縮されたCの一部分は、流れライン105経由で還流として反応蒸留塔10に戻される。
【0022】
と重質成分は、流れライン104経由で塔底物として取り出される。一部分は、流れライン107経由で再沸器30を通って反応蒸留塔10の底部に再循環される。塔底製品は流れライン108経由で取り出される。
【0023】
示された実施の形態では、Cと軽質成分を塔頂物として、Cと重質成分を塔底物として取り出す脱ブタン塔として反応蒸留塔が運転されている。しかし、反応蒸留塔は、原料流と所望の製品流の組成に依存して、脱プロパン塔、脱ペンタン塔、または脱ヘキサン塔としても運転可能である。
【実施例1】
【0024】
実施例を以下に示す。
【0025】
熱分解プラントから表2に示される組成を有する典型的な生成物流を、記載の触媒と構造物を有する反応蒸留塔に供給した。条件は以下表1の通りであった。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
反応器における転化率は以下の通りであった。
【表3】

【0029】
結果はエチレンとプロピレン双方とも顕著に増加することを示した。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の好ましい実施の形態の概要を示すフローダイアグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
〜C炭化水素を含有する混合炭化水素流中のアセチレンとジエンの選択的水素化反応を行わせるプロセスであって、エチレンとアセチレンとジエンとを含むC〜C炭化水素を含有する混合炭化水素流と水素とを(A)触媒全重量基準で1〜30重量%のニッケルのみ、またはニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素との触媒成分を(B)1〜約100m/gのBET表面積と0.2〜約0.9cc/gの全窒素細孔容積と約110〜450Åの平均細孔径を有する担体に担持した触媒に、アセチレンとジエンを選択的に水素化するに適切な温度と圧力の下にて、接触させることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記触媒成分がニッケルであることを特徴とするプロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記触媒成分が、ニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素とであることを特徴とするプロセス。
【請求項4】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記担体が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、タルサイト、シリカアルミナ、および活性炭から成る群から選択されることを特徴とするプロセス。
【請求項5】
請求項4に記載のプロセスにおいて、前記担体が、アルミナであることを特徴とするプロセス。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセスにおいて、前記アルミナが、700〜1,200℃の範囲の温度で仮焼されたものであることを特徴とするプロセス。
【請求項7】
請求項6に記載のプロセスにおいて、前記触媒が、細孔径100Å超の細孔を少なくとも約30%と、約0.2cc/g〜約0.9cc/gの全細孔容積と、約0.35〜約0.75g/ccのABDとを有することを特徴とするプロセス。
【請求項8】
請求項7に記載のプロセスにおいて、前記細孔の少なくとも50%が、100Å超の径であることを特徴とするプロセス。
【請求項9】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記混合炭化水素流がスチーム熱分解プラントからのものであることを特徴とするプロセス。
【請求項10】
から最高Cまでの炭化水素を含有する混合炭化水素流に存在するアセチレンとジエンを選択的に水素化するためのプロセスにおいて、
(a)水素、エチレン、プロピレン、アセチレン、ブテン、およびジエ
ンを含有する流れを反応蒸留塔の中の二段の選択的水素付加
触媒床の間に導入するステップと、
(b)二段選択的水素付加触媒床の最下段の下に水素を供給するステップと、
(c)前記反応蒸留塔の中で、
(i)前記アセチレンとジエンの少なくと一部を水素と反応させて、
モノオレフィンを生成するステップと、
(ii)混合炭化水素流を低沸物流と高沸物流とに分別蒸留によ
って分離するステップと、
を同時に行うステップと、
(d)前記低沸物流を塔頂物として反応蒸留塔から取り出すステップと、
(e)前記高沸物流を塔底物として反応蒸留塔から取り出すステップと、
を含むことを特徴とするアセチレンとジエンの選択的水素付加プロセス。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスにおいて、前記低沸物流がCと軽質成分を含み、前記高沸物流がCと重質成分を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項12】
請求項10に記載のプロセスにおいて、前記低沸物流がCと軽質成分を含み、前記高沸物流がCと重質成分を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項13】
請求項10に記載のプロセスにおいて、前記選択的水素付加触媒が、ニッケルのみ、またはニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素とを、1〜約100m/gのBET表面積と0.2〜約0.9cc/gの全窒素細孔容積と約110〜450Åの平均細孔径とを有する担体に担持したものであることを特徴とするプロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスにおいて、前記担体が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、タルサイト、シリカアルミナ、および活性炭から成る群から選択されることを特徴とするプロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスにおいて、前記触媒成分が、触媒の全重量基準で1〜30重量%の濃度で触媒上に存在することを特徴とするプロセス。
【請求項16】
請求項10に記載のプロセスにおいて、塔頂物の一部分が、凝縮され、還流として反応蒸留塔に戻されることを特徴とするプロセス。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスにおいて、前記反応蒸留塔の内の圧力が約170psigで、平均触媒床温度が約210°Fで、還流比が約5:1であることを特徴とするプロセス。
【請求項18】
請求項16に記載のプロセスにおいて、前記混合炭化水素流が、炭化水素スチーム熱分解炉の急冷システムから生じる気相生成物流であって、水素、メタン、C〜Cオレフィンとパラフィン、C〜Cアセチレンとジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、および他のC成分を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項19】
(A)触媒全重量基準で1〜30重量%のニッケルのみ、またはニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素との触媒成分を(B)1〜約100m/gのBET表面積と0.2〜約0.9cc/gの全窒素細孔容積と約110〜450Åの平均細孔径を有する担体に担持したことを特徴とする触媒。
【請求項20】
請求項19に記載の触媒において、前記担体が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、タルサイト、シリカアルミナ、および活性炭から成る群から選択されることを特徴とする触媒。
【請求項21】
請求項20に記載の触媒において、前記触媒が、細孔径100Å超の細孔を少なくとも約30%と、約0.2cc/g〜約0.9cc/gの全細孔容積と、約0.35〜約0.75g/ccのABDとを有することを特徴とする触媒。
【請求項22】
請求項19に記載の触媒において、前記触媒成分がニッケルであることを特徴とする触媒。
【請求項23】
請求項19に記載の触媒において、前記触媒成分が、ニッケルと、銅、レニウム、パラジウム、亜鉛、金、銀、マグネシウム、モリブデン、カルシウム、およびビスマスから成る群から選択される一つまたは複数の元素とであることを特徴とする触媒。
【請求項24】
請求項20に記載の触媒において、前記担体がアルミナであることを特徴とする触媒。
【請求項25】
請求項24に記載の触媒において、前記アルミナが、700〜1,200℃の範囲の温度で仮焼されたものであることを特徴とする触媒。
【請求項26】
請求項21に記載の触媒において、前記細孔の少なくとも50%が、100Å超の径であることを特徴とする触媒。

【図1】
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【公表番号】特表2008−528684(P2008−528684A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554070(P2007−554070)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/038926
【国際公開番号】WO2006/083336
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(599003073)キャタリティック・ディスティレイション・テクノロジーズ (28)
【Fターム(参考)】