説明

ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤

【課題】ガスの発生量(発泡量)を増大させることによって、洗浄力及び殺菌効果を向上することができるジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤を提供すること。
【解決手段】ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムに、有機酸、炭酸塩、炭酸水素塩及び過炭酸塩を配合したジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤に関し、特に、水中で分解、分散(溶解)して、殺菌、洗浄、脱臭等の作用を奏する錠剤の洗浄力及び殺菌効果を向上することができるようにしたジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤は、家族全員が入浴した風呂水を翌日に炊き返して使用する風呂水の濁りや異臭を低減させる風呂水浄化剤やパイプ洗浄剤として広く利用されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0003】
ところで、これらの風呂水浄化剤やパイプ洗浄剤は、ガスの発生は有機酸と炭酸水素塩による炭酸ガスの発泡であり、洗浄力が不足するという問題があった。
【特許文献1】特公昭58−41111号公報
【特許文献2】特公昭61−11929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤の有する問題点に鑑み、ガスの発生量(発泡量)を増大させることによって、洗浄力及び殺菌効果を向上することができるジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムに、有機酸、炭酸塩、炭酸水素塩及び過炭酸塩を配合したことを特徴とする。
【0006】
この場合において、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム35重量部に対して、過炭酸塩を0.5〜15重量部配合することができる。
【0007】
また、顆粒状の過炭酸塩を配合することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤によれば、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムに、有機酸、炭酸塩、炭酸水素塩及び過炭酸塩を配合することにより、特に、過炭酸塩を配合することによって、ガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)、特に、酸素ガスの発生量を増大させることができ、これによって、洗浄力及び殺菌効果を向上することができるジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤を提供することができる。
【0009】
また、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム35重量部に対して、過炭酸塩を0.5〜15重量部配合することにより、過炭酸塩の配合分量を変化させ、ガスの発生量(発泡量)を容易に調整、管理することができる
【0010】
また、顆粒状の過炭酸塩を配合することにより、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤の打錠性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤の実施の形態を具体例を挙げて説明する。
【実施例】
【0012】
本発明のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムに、有機酸、炭酸塩、炭酸水素塩及び過炭酸塩を配合するようにしたものである。
【0013】
ここで、有機酸には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、クエン酸等の有機酸の一種を単独で用いたり、また複数種を併用することができる。
また、炭酸塩には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム等の炭酸塩を単独で用いたり、また複数種を併用することができる。
また、炭酸水素塩には、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素塩を単独で用いたり、また複数種を併用することができる。
【0014】
また、過炭酸塩には、過炭酸ナトリウム(NaCO・1.5H)、過ホウ酸ナトリウム(NaBNO・1.4H)、過硫酸カリウム(K)、過硫酸ナトリウム(Na)等の過炭酸塩を単独で用いたり、また複数種を併用することができる。
【0015】
この場合において、過炭酸塩、例えば、過炭酸ナトリウムに、顆粒状のものを使用することができ、これにより、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤の打錠性を向上することができ、打錠を円滑に行うことができる。
【0016】
そして、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム35重量部に対して、過炭酸塩を0.5〜15重量部配合することができる。
この場合、過炭酸塩の配合分量の増減に対して、炭酸塩や炭酸水素塩の配合分量の変動させることが好ましい。
【0017】
表1に、本発明のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤のより具体的な実施例の各成分の配合量の割合を示す。
【0018】
【表1】

【0019】
表中、Aはジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、Bはコハク酸、Cは炭酸ナトリウム、Dは炭酸水素ナトリウム、Eは過炭酸ナトリウムを示す。
【0020】
表2に、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤のガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)の計測結果を示す。
試験方法は、2リットルのビーカーに1リットルの水を入れ、表1に記載の成分割合の粉体を打錠成型した錠剤(固形発泡剤)5.5gの発泡終了までのガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)を計測した。
【0021】
【表2】

【0022】
表2に示すとおり、過炭酸ナトリウムを配合成分全体の10重量%〜3重量%含有させた実施例1〜実施例3のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤は、ガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)が、過炭酸ナトリウムを含有しない市販品の2.5倍〜1.5倍となり、ガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)を増大させることができることを確認した。
なお、表には示さないが、過炭酸ナトリウムを配合成分全体の0.5〜15重量%含有させる(過炭酸ナトリウムをジクロロイソシアヌル酸ナトリウム35重量部に対して0.5〜15重量部配合する)ことにより、ガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)を増大させることができることを確認した。
【0023】
このように、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤のガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)は、過炭酸塩(過炭酸ナトリウム)の配合成分量に比例して変化し、過炭酸塩の配合成分量を変更させることによって、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤のガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)を容易に調整、管理することができることを確認した。
【0024】
以上、本発明のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤は、ガス(炭酸ガス及び酸素ガス)の発生量(発泡量)を容易に調整、管理することができるという特性を有していることから、風呂水浄化剤やパイプ洗浄剤の用途に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムに、有機酸、炭酸塩、炭酸水素塩及び過炭酸塩を配合したことを特徴とするジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤。
【請求項2】
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム35重量部に対して、過炭酸塩を0.5〜15重量部配合したことを特徴とする請求項1記載のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤。
【請求項3】
顆粒状の過炭酸塩を配合したことを特徴とする請求項1又は2記載のジクロロイソシアヌル酸ナトリウム含有錠剤。

【公開番号】特開2009−263413(P2009−263413A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111353(P2008−111353)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(500140943)ライオンケミカル株式会社 (10)
【Fターム(参考)】