説明

ジッタ付加装置およびジッタ付加方法

【課題】
ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達した場合であっても、さらなるジッタ発生量にて試験を続行しながらもユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達したことを把握することができるようにする。
【解決手段】
ジッタの発生量を含むパラメータを任意に設定するとともに、ジッタを付加する種別であるジッタ種別から任意の複数のジッタ種別を設定する操作部10と、ジッタを付加するためのジッタ付加部14とを備えたジッタ付加装置1において、ジッタの発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値を複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶したジッタ発生量記憶部13と、任意に設定したジッタの発生量がジッタ発生量記憶部に記憶された発生量保証値に達したか否かを判定する発生量保証値判定部12bとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望のパラメータ設定をしたジッタを付加対象となる信号に対して付加するジッタ付加装置およびジッタ付加方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディジタル伝送システムにおいて、データ信号の位相のジッタ(位相揺らぎ)や信号の時間的ズレが大きくなると、正常にデータ信号を伝達できなくなる。このため、この種のシステムで使用される電子機器やそれらに使用される部品は、ITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector)で規定されたジッタトレランス(耐力)規格を満足する必要がある。このジッタトレランス規格とは、所定量のジッタを有する信号を被測定装置や部品に入力したときに、その被測定装置や部品が所定量のジッタを有する信号において所定の誤り率で出力できるかを表すものである。また、使用される電子機器やそれらに使用される部品は、汎用の拡張インターフェイス規格であるPCI(Peripheral Component Interconnect)とその関連規格の策定、管理を行っているPCI−SIG (PCI Special Interest Group)で規定されたジッタトレランス(耐力)規格を含む規格を満足する必要がある。
【0003】
ここで、ジッタ耐力を測定するためのジッタ変調された信号であるジッタ信号について図2を用いて説明する。ジッタ信号bは、送信すべき基準信号(ジッタ付加対象となる信号)としての基準矩形波信号aに対して、位相が所定の変動速度で、且つ所定の変動範囲で変化する信号を示し、この位相変動の範囲、すなわち位相変動量をジッタ発生量と定義し、位相の変動速度を変調周波数と定義する。
【0004】
また、ジッタ発生量(以下、「位相変調量」ともいう)の単位は、基準矩形波信号aの周期(UI:Unit Interval)の倍数で示す。たとえば、90°の位相変調量は0.25UIとなり、1周期のジッタ発生量は1UIとなる。なお、変調周波数や位相変調量を随時変更しながらジッタ変調した信号を被試験デバイス100(DUT:Device Under Test)等を含む被測定系に送信してジッタ耐力の試験を行う装置としては、たとえば下記特許文献1に開示されるジッタ付加装置300が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2009/041516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1を含む従来のジッタ付加装置においては、発生するジッタ信号bの変調周波数および位相変調量を任意に設定するとともに、正弦波から発生する正弦波ジッタ(SJ:Sinusoidal Jitter)、ホワイトノイズから発生するランダムジッタ(RJ:Random Jitter)、たとえば三角波や矩形波といった周期的信号から発生する周期的ジッタ(PJ:Periodic Jitter)、および擬似ランダムパターン(PRBS:Pseudo Random Binary Sequence)を帯域制限して生成するジッタ振幅に対する度数の分布がガウス分布に近い周期的無相関波ジッタ(BUJ:Bounded Uncorrelated Jitter)等の各種ジッタ種別を有するジッタを発生させている。そして、図10に例示する従来のジッタ付加装置300では、たとえば表示部315に表示された発生を希望する少なくとも1つのジッタ種別を操作部310から設定し、また発生を希望する変調周波数および位相変調量を数値入力し、制御部312による制御により、ジッタを付加する対象信号50に対してジッタ付加部314に設定されたジッタ種別に対応する変調周波数および位相変調量にてジッタを付加するようにしている。
【0007】
ここで、ジッタ付加装置1が出力可能なジッタ発生量の出力値は、ジッタ付加装置1のハードウエアのジッタ付加能力により制限され、一般にジッタ付加対象となる対象信号50が高い周波数である場合や、また高い変調周波数であるほど大きな位相変調量をかけることができない。そして、ジッタ付加装置1の製造者はジッタ発生量の出力値を保証できる値を発生量保証値としてジッタ付加装置毎に装置としての仕様を定めている。
【0008】
ジッタ付加装置が出力可能なジッタ発生量の発生量保証値に達したときに、ジッタ発生量の出力値が保証可能ではないためにジッタ発生量を頭打ちにする動作や、ジッタ発生を停止させる動作が考えられているが、ユーザによってはジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達した場合であっても、被試験デバイス100のジッタ耐力のマージンを確認するために保証可能なジッタ発生量でなくてもジッタ付加装置が発生可能な出力値の上限値、すなわち発生量上限値までさらなるジッタ発生量にて試験を続行することが望まれている。
【0009】
しかしながら、従来のジッタ付加装置では、各種ジッタ種別を有するジッタを発生させているときに、ジッタ付加装置が出力可能なジッタ発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値に達した場合であっても、ユーザはジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達したことを把握することができず、さらに複数のジッタ種別の出力を同時に行っているときにはジッタ発生量の出力値が発生量保証値を超えやすいにも関わらず把握できない問題があり、解決が望まれていた。
【0010】
さらに、ジッタ付加装置が発生可能な出力値の発生量上限値についても、ジッタ付加装置毎に装置としての仕様として定められていたとしても、その値に達したことをユーザが容易に把握できない問題があり、解決が望まれていた。
【0011】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、各種ジッタ種別を有するジッタを発生させているときに、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達した場合であっても、さらなるジッタ発生量にて試験を続行しながらもユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達したことを把握することができ、またジッタ発生量の発生量上限値に達した場合であっても、ユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量上限値に達したことを把握することができるジッタ付加装置およびジッタ付加方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、請求項1記載のジッタ付加装置は、ジッタ付加対象となる対象信号(50)に対してジッタを付加するために、前記ジッタの発生量を含むパラメータを任意に設定するとともに、前記ジッタを付加する種別であるジッタ種別から任意の複数のジッタ種別を設定する操作部(10)と、
前記ジッタを付加するためのジッタ付加部(14)とを備えたジッタ付加装置(1)において、
前記ジッタの発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶したジッタ発生量記憶部(13)と、
前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量保証値に達したか否かを判定する発生量保証値判定部(12b)とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載のジッタ付加装置は、請求項1のジッタ付加装置(1)において、
前記パラメータ値は、前記ジッタ種別の組合せにおける前記ジッタの位相変動速度である変調周波数に対応するジッタ発生量の総量を少なくとも含んでいることを特徴とする。
【0014】
請求項3記載のジッタ付加装置は、請求項1または2に記載のジッタ付加装置において、
前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量保証値に達したときに、前記発生量保証値に達したことを表示部(15)に表示させる表示制御部(12d)を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項4記載のジッタ付加装置は、請求項3に記載のジッタ付加装置において、
前記ジッタ発生量記憶部には、前記ジッタの発生量の出力値が発生可能な上限である発生量上限値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶しており、
前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量上限値に達したか否かを判定する発生量上限値判定部(12c)とを備え、
前記表示制御部は、前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量上限値に達したときに、前記発生量上限値に達したことを前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0016】
上記した目的を達成するために、請求項5記載のジッタ付加方法は、ジッタ付加対象となる対象信号(50)に対してジッタを付加するために、前記ジッタを付加する種別であるジッタ種別から任意の複数のジッタ種別を設定するジッタ種別設定ステップ(S202)と、
前記ジッタの発生量を任意に設定するジッタ発生量設定ステップ(S203)とを含むジッタ付加方法において、
前記ジッタの発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶させるジッタ発生量保証値記憶ステップ(S201)と、
前記ジッタ発生量設定ステップで任意に設定した前記ジッタの発生量が前記ジッタ発生量保証値記憶ステップにて記憶された前記発生量保証値に達したか否かを判定する発生量保証値判定ステップ(S206)とを含むことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載のジッタ付加方法は、請求項5に記載のジッタ付加方法において、
前記パラメータ値は、前記ジッタ種別の組合せにおける前記ジッタの位相変動速度である変調周波数に対応するジッタ発生量の総量を少なくとも含んでいることを特徴とする。
【0018】
請求項7記載のジッタ付加方法は、請求項5または6に記載のジッタ付加方法において、
前記ジッタ発生量設定ステップで任意に設定した前記ジッタの発生量が前記発生量保証値に達したことを表示させる保証値表示ステップ(S207)とを含むことを特徴とする。
【0019】
請求項8記載のジッタ付加方法は、請求項7に記載のジッタ付加方法において、
前記ジッタの発生量の出力値が発生可能な上限である発生量上限値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶させるジッタ発生量上限値記憶ステップ(S208)と、
前記ジッタ発生量設定ステップで任意に設定した前記ジッタの発生量が前記ジッタ発生量上限値記憶ステップにて記憶された前記発生量上限値に達したか否かを判定する発生量上限値判定ステップ(S209)と、
前記発生量上限値に達したことを表示させる上限値表示ステップ(S210)とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のジッタ付加装置によれば、ジッタの発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値を複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶し、任意に設定したジッタの発生量が発生量保証値に達したか否かを判定しているので、各種ジッタ種別を有するジッタを発生させているときに、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達した場合であっても、さらなるジッタ発生量にて試験を続行しながらもユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達したことを把握することができる。
【0021】
また、本発明のジッタ付加装置によれば、ジッタの発生量の出力値が発生可能な上限である発生量上限値を複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶し、任意に設定したジッタの発生量が発生量上限値に達したか否かを判定し、任意に設定したジッタの発生量が発生量上限値に達したときに、発生量上限値に達したことを表示部に表示させているので、各種ジッタ種別を有するジッタを発生させているときに、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値がジッタ発生量の発生量上限値に達した場合であっても、ユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量上限値に達したことを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るジッタ付加装置の装置構成を示す概略ブロック図である。
【図2】基準矩形波信号とジッタ変調された信号との関係を示す図である。
【図3】本発明に係るジッタ付加装置の装置構成におけるジッタ発生量記憶部のテーブルの構成例を示す図である。
【図4】本発明に係るジッタ付加装置の表示画面例を示す図である。
【図5】同装置の処理動作の一例を示す処理シーケンス図である。
【図6】同装置の処理動作の別の一例を示す処理シーケンス図である。
【図7】同装置のソフトウエア処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】同装置のソフトウエア処理動作の別の一例を示すフローチャートである。
【図9】同装置のソフトウエア処理動作の別の一例を示すフローチャートである。
【図10】従来のジッタ付加装置の装置構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者等によりなされる実施可能な他の形態、実施例および運用技術等はすべて本発明の範疇に含まれる。
【0024】
まず、本発明に係るジッタ付加装置の装置構成について、図1を参照しながら説明する。本例のジッタ付加装置1は、たとえば試験対象となる被測定装置や部品といった被試験デバイス100(DUT:Device Under Test)にジッタを付加した信号を送信し、その被試験デバイス100が所定量のジッタを有する信号において所定の誤り率で出力できるか等を試験する試験システムにおける送信側に具備され、ジッタの付加対象となる内部若しくは外部で発生した信号(以下、「対象信号」という)に対し、変調周波数(f)および位相変調量(UI)の各パラメータを任意に設定したジッタを付加した信号を出力している。
【0025】
図1に示すように、本例のジッタ付加装置1は、操作部10、ジッタ種別設定部11、制御部12、総量算出部12a、発生量保証値判定部12b、発生量上限値判定部12c、表示制御部12d、ジッタ発生量記憶部13、ジッタ付加部14、表示部15、テーブル20を備えている。
【0026】
操作部10は、表示部15の表示画面上における装置駆動に必要な設定項目の設定をするために、たとえばキーボード、ボタン、マウス、タッチパネル等の入力デバイスで構成される。ジッタ種別設定部11は、たとえば操作部10に各種ジッタ種別から任意のジッタ種別の設定をするためのボタン等で構成される。ここで、ジッタ種別とは、対象信号50に付加するジッタのタイプである、たとえば正弦波ジッタ(SJ:Sinusoidal Jitter)、ランダムジッタ(RJ:Random Jitter)、周期的無相関波ジッタ(BUJ:Bounded Uncorrelated Jitter)等である。ジッタ種別設定部11は、少なくとも1つのジッタ種別が設定されると、設定されたジッタ種別の情報をジッタ種別設定情報として、制御部12に出力している。
【0027】
また、操作部10は、発生するジッタ信号bの変調周波数および位相変調量を任意に設定するための値を設定できるボタン等を備えている。従って、ユーザは表示画面上を視認しながら対象信号50に付加するジッタ信号bの変調周波数および位相変調量を任意に設定することができる。そして、操作部10は、設定された変調周波数および位相変調量の情報を変調周波数情報および位相変調量情報として、制御部12に出力している。さらに、ジッタ付加装置1の内部で対象信号50を発生させている場合には、操作部10にてその周波数を任意に設定可能にしてもよい。
【0028】
ジッタ発生量記憶部13は、パラメータ値を記憶しており、たとえば図3に示すテーブルの形式で構成されている。図3の各項目は、任意に設定された複数のジッタ種別の組合せを示す発生ジッタ種別80にそれぞれ対応した各ジッタの変調周波数におけるジッタの発生量保証値81、各ジッタの変調周波数におけるジッタの発生量上限値82となっている。
【0029】
具体的には、図3に示すテーブル20において、任意に設定された複数のジッタ種別の組合せを示す発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎にそれぞれ対応した発生量保証値81と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎にそれぞれ対応した発生量上限値82とが記憶されるようになっている。さらに、発生ジッタ種別80毎の発生量保証値81は、複数の変調周波数の範囲内における発生量保証値として記憶されるようになっている。
【0030】
たとえば、発生ジッタ種別80が「SJ+PJ」である場合、その発生量保証値81は、「60.71UI(@10−1MHz)」、「12.14UI(@1M−10MHz)」、「0.85UI(@10M−250MHz)」のように、それぞれの変調周波数の範囲内における発生量保証値として、それぞれ記憶されるようになっている。
【0031】
また、発生ジッタ種別80毎の発生量上限値82は、複数の変調周波数の範囲内における発生量上限値として記憶されるようになっている。
【0032】
具体的には、図3に示すテーブルにおいて、任意に設定された複数のジッタ種別の組合せを示す発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎にそれぞれ対応した発生量上限値82と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎にそれぞれ対応した発生量上限値82とが記憶されるようになっている。さらに、発生ジッタ種別80毎の発生量上限値82は、複数の変調周波数の範囲内における発生量上限値として記憶されるようになっている。
【0033】
たとえば、発生ジッタ種別80が「SJ+PJ」である場合、その発生量上限値82は、「91UI(@10−1MHz)」、「18.21UI(@1M−10MHz)」、「1.275UI(@10M−250MHz)」のように、それぞれの変調周波数の範囲内における発生量上限値として、それぞれ記憶されるようになっている。
【0034】
制御部12は、たとえばCPUやROM、RAM等のマイクロコンピュータで構成され、任意に設定されたジッタ信号bの任意に設定された複数のジッタ種別の組合せである発生ジッタ種別80、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に対応してジッタ発生量の総量を算出する総量算出部12a、算出された総量がジッタ発生量記憶部13に記憶された発生量保証値81に達したか否かを判定する発生量保証値判定部12b、算出された総量がジッタ発生量記憶部13に記憶された発生量上限値82に達したか否かを判定する発生量上限値判定部12c、表示部15の表示を制御する表示制御部12dとを備えて構成され、ジッタ付加装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。
【0035】
表示制御部12dにおける表示制御例としては、表示部15に表示する各ジッタ種別毎の位相変調量および変調周波数の表示制御、設定されたジッタ種別を表示するための表示制御、たとえばジッタ種別毎に出力の有無を設定するための表示制御、総量算出部12aで算出されたジッタ発生量の総量がジッタ発生量記憶部13に記憶されたジッタの発生量保証値81、発生量上限値82に達したか否かを示すための表示制御、設定されたジッタ種別に応じた変調波形イメージの表示制御等がある。
【0036】
ジッタ付加部14は、たとえばD/Aコンバータと位相変調器とで構成され、たとえばジッタ付加装置1の内部で発生させ、ユーザが任意のレートに設定したクロック信号やデータ信号、またジッタ付加装置1に外部信号源から入力した試験信号等である対象信号50に対し、操作部10で任意に設定された変調周波数および位相変調量のジッタを付加し、指定されたジッタ発生量を有する信号(ジッタ付加信号)として出力している。具体的には、操作部10からディジタル信号として入力された変調周波数情報および位相変調量情報をD/A変換し、アナログの信号を生成して位相変調器に加える変調信号の周波数、振幅、位相を変化させることにより、操作部10で設定された変調周波数情報および位相変調量情報のジッタを発生させ、対象信号50に付加している。
【0037】
表示部15は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示機器で構成され、表示制御部12dの制御に基づく表示内容を表示している。表示部15に表示される表示内容としては、たとえば図4に示すように各ジッタ種別毎の位相変調量と変調周波数を表示する位相変調量および変調周波数の表示欄30a、ジッタ種別毎に出力の有無を設定するジッタ出力設定項目30b、ジッタ種別毎に出力の有無を表示するジッタ出力表示項目30c、総量算出部12aで算出されたジッタ発生量の総量がジッタ発生量記憶部13に記憶されたジッタの発生量保証値81に達している場合に、たとえば「Overload」といった表示が発生量保証値到達表示30dに表示される。また、総量算出部12aで算出されたジッタ発生量の総量がジッタ発生量記憶部13に記憶されたジッタの発生量上限値82に達している場合に、たとえば「Upper Limit」といった表示が発生量上限値到達表示30eに表示される。さらに、ジッタ付加装置1の内部で対象信号50を発生させている場合には、内部対象信号周波数表示30fにてその周波数を表示してもよい。
【0038】
[発生量保証値到達表示に関する処理動作]
次に、上述したジッタ付加装置1における発生量保証値到達表示30dに関する処理動作の一例について図5を参照しながら説明する。なお、パラメータ値の設定、表示を行う際に用いる画面の表示構成としては、図4に示す表示例とする。
【0039】
ユーザは、ジッタ付加装置1において、操作部10を用いて発生するジッタ信号bについて複数のジッタ種別の組合せを任意に設定し、それぞれのジッタ種別毎に変調周波数および位相変調量を任意に設定するためのパラメータ値を操作部10から設定する。
【0040】
たとえば、発生ジッタ種別80が「SJ+PJ」である場合、「SJ」の変調周波数を5MHz、位相変調量を10UIと設定し、「PJ」の変調周波数を7MHz、位相変調量を5UIと設定する。
【0041】
また、操作部10は、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量を総量算出部12aと、ジッタ発生量記憶部13と、ジッタ付加部14とに出力する(ST1)。
【0042】
次に、総量算出部12aは、操作部10から出力され、任意に設定された複数のジッタ種別の組合せと、それぞれのジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいてジッタ発生量の総量を算出し、ジッタ発生量記憶部13に出力する(ST2)。
【0043】
たとえば、発生ジッタ種別80が「SJ+PJ」であり、「SJ」の変調周波数を5MHz、位相変調量を10UIと設定され、「PJ」の変調周波数を7MHz、位相変調量を5UIと設定されていた場合、ジッタ発生量の総量は「SJ」の10UIと、「PJ」の5UIとの和である15UIとなる。
【0044】
また、ジッタ付加部14は、操作部10から出力され、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に応じて対象信号50にジッタを付加する(ST3)。
【0045】
次に、ジッタ発生量記憶部13は、操作部10から出力され、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に対し、予め記憶されたテーブル20に基づいて発生量保証値81を発生量保証値判定部12bに出力する(ST4)。
【0046】
たとえば、発生ジッタ種別80が「SJ+PJ」であり、「SJ」の変調周波数を5MHz、「PJ」の変調周波数を7MHzと設定したときは、図3に示すテーブルに基づいて、発生量保証値81は「SJ+PJ」の「12.14UI(@1M−10MHz)」となる。
【0047】
ここで、発生ジッタ種別80のうち、いずれか1つのジッタ種別(たとえば「PJ」)の変調周波数が、テーブル20の中の複数の変調周波数の範囲において高い変調周波数の範囲に入る場合(たとえば変調周波数20MHz)には、テーブル20の中でその変調周波数を含む高い周波数範囲の発生量保証値(「0.85UI(@10M−250MHz)」)が適用される。
【0048】
次に、発生量保証値判定部12bは、総量算出部12aから出力されたジッタ発生量の総量と、ジッタ発生量記憶部13から出力された発生量保証値81に達しているか否かを比較判定し、判定結果を表示制御部12dに対して出力する(ST5)。
【0049】
たとえば、発生ジッタ種別80が「SJ+PJ」であり、発生量保証値81は予め記憶されたテーブル20に基づいて「12.14UI(@1M−10MHz)」となっており、またジッタ発生量の総量が15UIとなっている場合、ジッタ発生量の総量は発生量保証値81に達しているから、判定結果として発生量保証値に達している旨が表示制御部12dに対して出力される。
【0050】
次に、表示制御部12dは、発生量保証値判定部12bから出力された判定結果に基づいて表示部15に対して発生量保証値81に達しているか否かを表示する制御を行う。表示部15は、表示制御部12dによる制御に従って表示を行う(ST6)。
【0051】
表示部15に表示する表示内容として、発生量保証値81に達している場合には、たとえば「Overload」といった表示を行い、また音声出力や電子音、ジッタ付加装置1の外部への出力を行ってもよい。
【0052】
このように、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいて、発生量保証値81に達したことを表示しているので、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値が発生量保証値81に達した場合であっても、さらなるジッタ発生量にて試験を続行しながらもユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量保証値81に達したことを把握することができる。
【0053】
[発生量上限値到達表示に関する処理動作]
次に、上述したジッタ付加装置1における発生量上限値到達表示30eに関する処理動作の一例について図6を参照しながら説明する。
【0054】
ここで、図6のST11からST16までの各処理は、図5のST1からST6までの各処理とそれぞれ対応しており、また前記した発生量保証値到達表示30dに関する処理動作における発生量保証値判定部12bは、本説明の発生量上限値到達表示30eに関する処理動作における発生量上限値判定部12cと読みかえれば同様の動作であるので、記載を省略する。
【0055】
また、表示部15に表示する表示内容として、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいて、発生量上限値82に達したか否かを判定し、発生量上限値82に達している場合には、たとえば「Upper Limit」といった表示を行い、また音声出力や電子音、ジッタ付加装置1の外部への出力を行ってもよいことも同様である。
【0056】
[発生量保証値到達表示に関する処理動作]
次に、発生量保証値到達表示30dに関するソフトウエア処理動作の一例について、図7を参照しながら本発明に係るジッタ付加方法について説明する。
【0057】
まず、ジッタの発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値81を複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値をたとえばテーブル20として予め記憶させる(S201)。
【0058】
はじめに、ユーザは、発生するジッタ信号bについて複数のジッタ種別の組合せを任意に設定する(S202)。
【0059】
次に、ユーザは、発生するジッタ信号bについてジッタの発生量を任意に設定する。すなわち、S202で任意に設定した複数のジッタ種別の組合せに対し、それぞれのジッタ種別毎に変調周波数および位相変調量を任意に設定する(S203)。
【0060】
次に、それぞれのジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいてジッタ発生量の総量を算出する(S204)。
【0061】
次に、S201で予め記憶されたテーブル20を参照し、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に対応する発生量保証値81を確認する(S205)。
【0062】
次に、S204で算出されたジッタ発生量の総量と、S205で確認された発生量保証値81を用いて、ジッタ発生量の総量が発生量保証値81に達しているか否かを比較判定する(S206)。
【0063】
次に、S206の判定結果に基づいて発生量保証値81に達しているか否かを表示する(S207)。なお、発生量保証値81に達している場合には、たとえば「Overload」といった表示を行い、また音声出力や電子音や外部への出力を行ってもよい。
【0064】
このように、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいて、発生量保証値81に達したことを表示しているので、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値が発生量保証値81に達した場合であっても、さらなるジッタ発生量にて試験を続行しながらもユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量保証値81に達したことを把握することができる。
【0065】
[発生量上限値到達表示に関する処理動作]
次に、発生量上限値到達表示30eに関するソフトウエア処理動作の一例について、図8を参照しながら本発明に係るジッタ付加方法について説明する。
【0066】
ここで、図8のS208からS210までの各処理は、図7のS201からS207までの各処理とそれぞれ対応している。すなわち、図7のS201は、図8のS208に対応しており、また図7のS206は、図8のS210に対応している。このように、前記した発生量保証値到達表示30dに関する処理動作は、本説明の発生量上限値到達表示30eに関する処理動作と読みかえれば同様の動作であるので、記載を省略する。また、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいて、発生量上限値82に達したか否かを判定し、発生量上限値82に達している場合には、たとえば「Upper Limit」といった表示を行い、また音声出力や電子音や外部への出力を行ってもよいことも同様である。
【0067】
このように、それぞれのジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいて、発生量上限値82に達したことを表示しているので、各種ジッタ種別を有するジッタを発生させているときに、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値がジッタ発生量の発生量上限値82に達した場合であっても、ユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量上限値82に達したことを把握することができる。
【0068】
[発生量保証値到達表示および発生量上限値到達表示に関する処理動作]
次に、発生量保証値到達表示30dおよび発生量上限値到達表示30eに関するソフトウエア処理動作の一例について、図9を参照しながら本発明に係るジッタ付加方法について説明する。
【0069】
ここで、図9のS201からS210までの各処理は、図6および図7にそれぞれ記載されたS201からS210までの各処理とそれぞれ対応している。このように、前記した発生量保証値到達表示30dおよび発生量上限値到達表示30eに関する処理動作は、既に記載した各処理と同様の動作であるので、記載を省略する。また、発生量保証値81に達している場合には、たとえば「Overload」といった表示を行い、また音声出力や電子音や外部への出力を行ってもよい。また、発生量上限値82に達したか否かを判定し、発生量上限値82に達している場合には、たとえば「Upper Limit」といった表示を行い、また音声出力や電子音や外部への出力を行ってもよいことも同様である。
【0070】
このように、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいて、発生量保証値81に達したことを表示しているので、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値が発生量保証値81に達した場合であっても、さらなるジッタ発生量にて試験を続行しながらもユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量保証値に達したことを把握することができる。
【0071】
さらに、発生ジッタ種別80と、発生ジッタ種別80に含まれる複数のジッタ種別毎に任意に設定された変調周波数および位相変調量に基づいて、発生量上限値82に達したことを表示しているので、各種ジッタ種別を有するジッタを発生させているときに、ジッタ付加装置のジッタ発生量の出力値がジッタ発生量の発生量上限値82に達した場合であっても、ユーザが直感的にジッタ発生量の出力値が発生量上限値に達したことを把握することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…ジッタ付加装置
10…操作部
11…ジッタ種別設定部
12…制御部(総量算出部12a、発生量保証値判定部12b、発生量上限値判定部12c、表示制御部12d)
13…ジッタ発生量記憶部
14…ジッタ付加部
15…表示部
20…テーブル
30a…位相変調量および変調周波数の表示欄
30b…ジッタ出力設定項目
30c…ジッタ出力表示項目
30d…発生量保証値到達表示
30e…発生量上限値到達表示
30f…内部対象信号周波数表示
50…対象信号
80…発生ジッタ種別
81…発生量保証値
82…発生量上限値
100…被試験デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジッタ付加対象となる対象信号(50)に対してジッタを付加するために、前記ジッタの発生量を含むパラメータを任意に設定するとともに、前記ジッタを付加する種別であるジッタ種別から任意の複数のジッタ種別を設定する操作部(10)と、
前記ジッタを付加するためのジッタ付加部(14)とを備えたジッタ付加装置(1)において、
前記ジッタの発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶したジッタ発生量記憶部(13)と、
前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量保証値に達したか否かを判定する発生量保証値判定部(12b)とを備えたことを特徴とするジッタ付加装置。
【請求項2】
前記パラメータ値は、前記ジッタ種別の組合せにおける前記ジッタの位相変動速度である変調周波数に対応するジッタ発生量の総量を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1に記載のジッタ付加装置。
【請求項3】
前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量保証値に達したときに、前記発生量保証値に達したことを表示部(15)に表示させる表示制御部(12d)を備えたことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のジッタ付加装置。
【請求項4】
前記ジッタ発生量記憶部には、前記ジッタの発生量の出力値が発生可能な上限である発生量上限値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶しており、
前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量上限値に達したか否かを判定する発生量上限値判定部(12c)とを備え、
前記表示制御部は、前記任意に設定したジッタの発生量が前記ジッタ発生量記憶部に記憶された前記発生量上限値に達したときに、前記発生量上限値に達したことを前記表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載のジッタ付加装置。
【請求項5】
ジッタ付加対象となる対象信号(50)に対してジッタを付加するために、前記ジッタを付加する種別であるジッタ種別から任意の複数のジッタ種別を設定するジッタ種別設定ステップ(S202)と、
前記ジッタの発生量を任意に設定するジッタ発生量設定ステップ(S203)とを含むジッタ付加方法において、
前記ジッタの発生量の出力値が保証可能な値である発生量保証値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶させるジッタ発生量保証値記憶ステップ(S201)と、
前記ジッタ発生量設定ステップで任意に設定した前記ジッタの発生量が前記ジッタ発生量保証値記憶ステップにて記憶された前記発生量保証値に達したか否かを判定する発生量保証値判定ステップ(S206)とを含むことを特徴とするジッタ付加方法。
【請求項6】
前記パラメータ値は、前記ジッタ種別の組合せにおける前記ジッタの位相変動速度である変調周波数に対応するジッタ発生量の総量を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項5に記載のジッタ付加方法。
【請求項7】
前記ジッタ発生量設定ステップで任意に設定した前記ジッタの発生量が前記発生量保証値に達したことを表示させる保証値表示ステップ(S207)とを含むことを特徴とする請求項5または6のいずれか1項に記載のジッタ付加方法。
【請求項8】
前記ジッタの発生量の出力値が発生可能な上限である発生量上限値を前記複数のジッタ種別の組合せにそれぞれ対応させてパラメータ値として予め記憶させるジッタ発生量上限値記憶ステップ(S208)と、
前記ジッタ発生量設定ステップで任意に設定した前記ジッタの発生量が前記ジッタ発生量上限値記憶ステップにて記憶された前記発生量上限値に達したか否かを判定する発生量上限値判定ステップ(S209)と、
前記発生量上限値に達したことを表示させる上限値表示ステップ(S210)とを含むことを特徴とする請求項7に記載に記載のジッタ付加方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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