説明

ジヒドロピリジン誘導体の酸付加塩を含有する医薬

【課題】
優れた高血圧症等の治療もしくは予防のための医薬を提供する。
【解決手段】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩は、高血圧症等の治療もしくは予防のための医薬として有用である。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたカルシウム拮抗作用、血圧降下作用、血管拡張作用、心保護作用、抗動脈硬化作用、利尿作用、腎障害抑制作用、および、過酸化脂質生成阻害作用を示す、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩;
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩を有効成分として含有する医薬組成物、好適には、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療もしくは予防のための医薬組成物、より好適には、高血圧症、または、心疾患の治療もしくは予防のための医薬組成物、最も好適には、高血圧症の治療もしくは予防のための医薬組成物;
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩の薬理学的有効量を温血動物(好適には、ヒト)に投与することによる疾患、好適には、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害、より好適には、高血圧症、または、心疾患、最も好適には、高血圧症の治療もしくは予防のための方法;および、
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩の製造方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤である2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル[以下、化合物(I)ともいう]は、カルシウム拮抗作用および血圧降下作用等の薬理活性を有し、高血圧症等の治療のための医薬として有用であることが知られている(特許文献1または2参照)。また、カルシウム拮抗作用を有する化合物が心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療薬として有用であることも知られている[例えば、(i) Goodman & Gilman’s The pharmacological basis of therapeutics, 第32章,p.767-774;(ii) Annual Report of Sankyo Research Laboratories, 2002年,第54巻, p.1-64;(iii) The American Journal of Medicine, 1989年,第86巻(suppl 4A),p.27-32;(iv)The American Journal of Hypertention, 1993年,第6巻,p.251S-259S]。
【0003】
化合物(I)の酸付加塩として、化合物(I)の二塩酸塩が知られているが(特許文献1または2参照)、その他の酸付加塩は知られていない。当該二塩酸塩は、塩酸ガスを使用する方法により製造され、アモルファス状の固体である。これまで、化合物(I)の酸付加塩であって、結晶状の固体として得ることのできるものは知られていない。
【0004】
フリー体である化合物(I)に比較して溶解性、経口吸収性、血中濃度、バイオアベイラビリティー(bioavailability; BA)等の点でより優れた性質を有する化合物を見出すことは有用である。また、一定の品質を有する医薬品化合物の工業的規模での供給という観点からは、結晶状の固体として得ることのできる化合物(I)の酸付加塩を見出すことは有用である。
【特許文献1】特公平3−31715号公報
【特許文献2】米国特許第4772596号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、化合物(I)の酸付加塩について鋭意研究を行い、化合物(I)の特定の酸付加塩は、優れたカルシウム拮抗作用および血圧降下作用等を示し、また、バイオアベイラビリティー、結晶性、熱的安定性等の点で医薬品化合物として優れた性質を有することから、医薬として、特に、高血圧症等の治療もしくは予防のための医薬として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、優れたカルシウム拮抗作用、血圧降下作用、血管拡張作用、心保護作用、抗動脈硬化作用、利尿作用、腎障害抑制作用、および、過酸化脂質生成阻害作用を示す、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩;
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩を有効成分として含有する医薬組成物、好適には、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療もしくは予防のための医薬組成物、より好適には、高血圧症、または、心疾患の治療もしくは予防のための医薬組成物、最も好適には、高血圧症の治療もしくは予防のための医薬組成物;
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩の薬理学的有効量を温血動物(好適には、ヒト)に投与することによる疾患、好適には、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害、より好適には、高血圧症、または、心疾患、最も好適には、高血圧症の治療もしくは予防のための方法;および、
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩の製造方法
を提供する。
【0007】
本発明は、一つの観点からは、以下の知見に基づくものである。
【0008】
(i)化合物(I)の特定の酸付加塩は、フリー体である化合物(I)または化合物(I)の他の酸付加塩に比較して、優れた薬物動力学的性質(特に、バイオアベイラビリティーおよび血中濃度)を有する。
【0009】
また本発明は、別の観点からは、以下の知見に基づくものである。
【0010】
(ii)化合物(I)は、特定の酸と酸付加塩を形成するが、他の酸とは酸付加塩を形成しない。すなわち、化合物(I)は、特定の酸に対して優れた塩形成性を有する。
【0011】
(iii)取得できる化合物(I)の酸付加塩において、化合物(I)の特定の酸付加塩は、結晶状の固体として得ることができるが、他の酸付加塩は、アモルファス状の固体としてのみ得ることができる。すなわち、化合物(I)の特定の酸付加塩は、他の酸付加塩に比較して優れた結晶性を有する。
【0012】
(iv)取得できる化合物(I)の酸付加塩において、酸付加塩の種類により熱的安定性に差異がある。すなわち、化合物(I)の特定の酸付加塩は、他の酸付加塩に比較して優れた熱的安定性を有する。
【0013】
さらに本発明は、別の観点からは、以下の知見に基づくものである。
【0014】
(v)化合物(I)は、2個のエステル基を有することから、強酸および水の存在下では、加水分解によるエステル残基の脱離が起こることが通常予想される。また、酸付加塩は一般に水に溶解しやすいことから、水の存在下では酸付加塩の取得が困難であることが通常予想される。しかしながらこれらの予想に反して、化合物(I)の特定の酸付加塩は、強酸および水の存在する反応条件下にて、結晶状の固体として収率よく得ることができる。
【0015】
上記の(i)乃至(v)の知見はいずれも、これまで知れられている先行技術からは予測困難なことである。
【0016】

本発明は、一つの観点からは、
(1)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの臭化水素酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、または、ナフタレンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(2)(1)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、または、p−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(3)(2)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの臭化水素酸塩を有効成分として含有する医薬、
(4)(3)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二臭化水素酸塩を有効成分として含有する医薬、
(5)(4)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二臭化水素酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬、
(6)(5)において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が16、4.4、3.9、3.1、および、3.0オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬、
(7)(2)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルのメタンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(8)(7)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二メタンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(9)(8)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二メタンスルホン酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬、
(10)(9)において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が12、7.8、6.1、4.8、および、4.5オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬、
(11)(7)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの三メタンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(12)(11)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの三メタンスルホン酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬、
(13)(12)において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が11、4.6、4.4、3.9、および、3.6オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬、
(14)(2)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルのp−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(15)(14)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二p−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(16)(15)において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二p−トルエンスルホン酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬、
(17)(16)において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が6.8、4.9、4.7、および、4.2オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬、
(18)(1)乃至(17)のいずれかにおいて、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療もしくは予防のための医薬、または、
(19)(18)において、高血圧症の治療もしくは予防のための医薬
を提供する。
【0017】

本発明において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルは、以下の構造式(Ia)を有する化合物である。
【0018】
【化1】


【0019】
本発明において、化合物(I)の酸付加塩の酸部分は、化合物(I)と酸付加塩を形成し得る酸であれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、または、ナフタレンスルホン酸であり得、好適には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、または、ナフタレンスルホン酸であり、より好適には、臭化水素酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、または、ナフタレンスルホン酸であり、さらに好適には、臭化水素酸、メタンスルホン酸、または、p−トルエンスルホン酸であり、さらにより好適には、臭化水素酸またはメタンスルホン酸であり、最も好適には、臭化水素酸である。
【0020】
本発明において、化合物(I)は3個の塩基性基(アミノ基、アゼチジン−3−イル基、および、ジヒドロピリジル基)を有する。化合物(I)および一価、二価または三価の酸から形成される酸付加塩において、化合物(I)および酸のモル比[化合物(I)/酸]は、それぞれ、一価の酸の場合には1/1、1/2または1/3、二価の酸の場合には、例えば2/1、1/1または2/3、三価の酸の場合には、例えば3/1、3/2または1/1であり得る。その各々の酸付加塩またはそれらの混合物は本発明に包含される。
【0021】
本発明において、化合物(I)の臭化水素酸塩は、一臭化水素酸塩、二臭化水素酸塩および三臭化水素酸塩を包含し、好適には、二臭化水素酸塩である。化合物(I)のクエン酸塩は、例えば一/三クエン酸塩、二/三クエン酸塩および一クエン酸塩を包含し、好適には、一クエン酸塩である。化合物(I)のメタンスルホン酸塩は、一メタンスルホン酸塩、二メタンスルホン酸塩および三メタンスルホン酸塩を包含し、好適には、二メタンスルホン酸塩または三メタンスルホン酸塩であり、最も好適には、三メタンスルホン酸塩である。化合物(I)のベンゼンスルホン酸塩は、一ベンゼンスルホン酸塩、二ベンゼンスルホン酸塩および三ベンゼンスルホン酸塩を包含し、好適には、二ベンゼンスルホン酸塩である。化合物(I)のp−トルエンスルホン酸塩は、一p−トルエンスルホン酸塩、二p−トルエンスルホン酸塩および三p−トルエンスルホン酸塩を包含し、好適には、二p−トルエンスルホン酸塩である。化合物(I)のナフタレンスルホン酸塩は、一ナフタレンスルホン酸塩、二ナフタレンスルホン酸塩および三ナフタレンスルホン酸塩を包含し、好適には、二ナフタレンスルホン酸塩である。
【0022】
本発明において、三酸塩は、
(i)3個の塩基性基がプロトン化された化合物(I)(1モル)と1個のプロトンが解離した酸(3モル)から形成される塩;
(ii)2個の塩基性基がプロトン化された化合物(I)(1モル)と1個のプロトンが解離した酸(2モル)から形成される塩、および、プロトンが解離していない酸(1モル)から形成される付加体;ならびに、
(iii)1個の塩基性基がプロトン化された化合物(I)(1モル)と1個のプロトンが解離した酸(1モル)から形成される塩、および、プロトンが解離していない酸(2モル)から形成される付加体
を包含し、好適には、上記(i)に示される塩、または、上記(ii)に示される付加体であり、最も好適には、上記(ii)に示される付加体である。例えば、化合物(I)の三メタンスルホン酸塩は、
(i-1)3個の塩基性基がプロトン化された化合物(I)(1モル)とメタンスルホネートアニオン(MeSO3-)(3モル)から形成される塩;
(ii-1)2個の塩基性基がプロトン化された化合物(I)(1モル)とメタンスルホネートアニオン(2モル)から形成される塩、および、メタンスルホン酸(1モル)から形成される付加体;ならびに、
(iii-1)1個の塩基性基がプロトン化された化合物(I)(1モル)とメタンスルホネートアニオン(1モル)から形成される塩、および、メタンスルホン酸(2モル)から形成される付加体
を包含し、好適には、上記(i-1)に示される塩、または、上記(ii-1)に示される付加体であり、最も好適には、上記(ii-1)に示される付加体である。
【0023】
本発明において、化合物(I)の酸付加塩は、水和物または溶媒和物として存在することができ、その各々またはそれらの混合物は本発明に包含される。本発明において、水和物は、任意の量の水を含有する水和物(例えば、一/二水和物、一水和物、二水和物等)を包含し、溶媒和物は、任意の量の溶媒を含有する溶媒和物(例えば、一/二溶媒和物、一溶媒和物、二溶媒和物等)を包含する。
【0024】
本発明において、化合物(I)の酸付加塩は1個の不斉中心を有し、光学異性体が存在し得、これらの各異性体およびその混合物は、式(Ia)のような単一の式で記載される。本発明は、これらの各異性体および任意の割合のそれらの混合物(ラセミ体を含む)のいずれも包含する。
【0025】
本発明において、化合物(I)の酸付加塩またはそれらの水和物もしくは溶媒和物は、反応条件および結晶化条件により、複数の異なる内部構造および物理化学的性質を有する結晶(結晶多形)を生成することがあり得、その各々の結晶または任意の割合のそれらの混合物は本発明に包含される。また、結晶状の固体およびアモルファス状(無定形)の固体が混在する場合があるが、任意の割合のそれらの混合物は本発明に包含される。すなわち、本発明の特定の結晶形を有する結晶は、他の結晶形を有する結晶またはアモルファス状の固体を含有してもよく、当該特定の結晶形の含有率は、好適には、50%以上であり、より好適には、80%以上であり、さらに好適には、90%以上であり、さらにより好適には、93%以上であり、特に好適には、95%以上であり、最も好適には、97%以上である。
【0026】
本発明において、結晶とは、その内部構造が三次元的に構成原子(またはその集団)の規則正しい繰返しからなる固体を示し、そのような規則正しい内部構造を有さないアモルファス状の固体とは区別される。ある固体が結晶であるか否かは、結晶学的に周知の方法(例えば、粉末X線結晶解析、示差走査熱量分析等)で調べることができる。例えば、ある固体について銅のKα線の照射で得られるX線による粉末X線結晶解析を行い、そのX線回折図において明確なピークが観測される場合には、その固体は結晶であると決定され、明確なピークが観測されない場合にはその固体はアモルファス状であると決定される。当該ピークを読み取ることはできるがピークが明確でない(例えば、ブロードである)場合には、その固体は結晶化度の低い結晶であると決定され、そのような結晶化度の低い結晶も本発明の結晶に包含される。
【0027】
銅のKα線を使用した粉末X線結晶解析においては、通常銅のKα線(Kα1線およびKα2線が分離されていないもの)が試料に照射される。X線回折図は、Kα線に由来する回折を解析して得ることができ、また、Kα線に由来する回折から取り出されたKα1線に由来する回折のみを解析して得ることもできる。本発明において、Kα線の照射で得られる粉末X線回折図は、Kα線に由来する回折を解析して得られるX線回折図、および、Kα1線に由来する回折を解析して得られるX線回折図を包含し、好適には、Kα1線に由来する回折を解析して得られるX線回折図である。
【0028】
以下の図1乃至11の粉末X線回折図において、縦軸には回折強度[カウント/秒(cps)]を示し、横軸には回折角度2θ(度)を示す。また、面間隔d(オングストローム)は、式2dsinθ=nλにおいてn=1として算出することができる。上記式において、Kα線の波長λは、1.54オングストロームであり、Kα1線の波長λは、1.541オングストロームである。面間隔dは、測定条件等によりその位置および相対強度が多少変化し得るものであるため、面間隔dがわずかに異なる場合であっても、適宜スペクトル全体のパターンを参照して結晶形の同一性は認定されるべきである。
【0029】
本発明の化合物(I)の二臭化水素酸塩の結晶は、例えば、図1に示されるような、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔dが16、4.4、3.9、3.1、および、3.0オングストロームに主要なピークを示す結晶であり得る。ここで主要なピークは、面間隔dが16オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が30以上のピークである。
【0030】
本発明の化合物(I)の二メタンスルホン酸塩の結晶は、例えば、図2に示されるような、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔dが12、7.8、6.1、4.8、および、4.5オングストロームに主要なピークを示す結晶であり得る。ここで主要なピークは、面間隔dが12オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が55以上のピークである。
【0031】
本発明の化合物(I)の三メタンスルホン酸塩の結晶は、例えば、図3に示されるような、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔dが11、4.6、4.4、3.9、および、3.6オングストロームに主要なピークを示す結晶であり得る。ここで主要なピークは、面間隔dが11オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が25以上のピークである。
【0032】
本発明の化合物(I)の二p−トルエンスルホン酸塩の結晶は、例えば、図4に示されるような、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔dが6.8、4.9、4.7、および、4.2オングストロームに主要なピークを示す結晶であり得る。ここで主要なピークは、面間隔dが6.8オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が45以上のピークである。
【0033】
本発明において、心疾患には、狭心症が包含される。また、心疾患、動脈硬化症または腎障害には、高血圧症に起因する心疾患、動脈硬化症または腎障害がそれぞれ包含され、高血圧症には、心疾患、動脈硬化症または腎障害に起因する高血圧症が包含される。
【発明の効果】
【0034】
本発明の2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩は、優れたカルシウム拮抗作用、血圧降下作用、血管拡張作用、心保護作用、抗動脈硬化作用、利尿作用、腎障害抑制作用、および、過酸化脂質生成阻害作用を示し、また、物理化学的性質、熱的安定性、保存および取り扱い安定性、残留溶媒比率、吸湿性、潮解性、溶解性、薬理学的性質、薬物動力学的性質、経口吸収性、血中濃度、バイオアベイラビリティー、体内動態、安全性、および、毒性の点で医薬品化合物として優れた性質を有することから、医薬として、好適には、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療もしくは予防のための医薬として、より好適には、高血圧症または心疾患の治療もしくは予防のための医薬として、最も好適には、高血圧症の治療もしくは予防のための医薬として有用である。また、本発明の化合物(I)の特定の酸付加塩は、胃内pHの変化による血中濃度の変動が小さく、食事の影響を受けにくいとの優れた性質を有する可能性があり、温血動物用の医薬として、好適には、ヒト用の医薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明において、化合物(I)の酸付加塩は、以下の方法により製造することができる:
(工程1)化合物(I)を不活性溶媒または含水不活性溶媒に溶解して、当該溶液中に酸または酸の水溶液もしくは不活性溶媒溶液を滴下する;
(工程2)一定温度条件下(好適には、室温条件下)にて一定時間撹拌する;および、
(工程3)生成した固体を濾取して乾燥する。
また必要に応じて、工程2の前または後に、以下の工程からなる群より選択される1以上の工程を行ってもよい:
(工程4−1)種結晶を加える;
(工程4−2)溶媒を一部留去する;
(工程4−3)貧溶媒(酸付加塩を溶解しない不活性溶媒)を加える;および、
(工程4−4)超音波刺激もしくは反応容器の表面の擦過等の機械的刺激を与えることにより結晶の析出を開始もしくは促進させる。
工程1および2においては、水が存在すること、または、酸の水和物を用いることが好適である。また、工程1においては、化合物(I)の不活性溶媒溶液中に酸の水溶液を滴下することが好適である。
【0036】
上記製造方法において使用される化合物(I)は、特公平3−31715号公報(米国特許第4772596号明細書)の実施例1に記載された方法にしたがって製造することができる。化合物(I)としては、単離し精製されたもの、固体状の反応粗生物、または、反応粗生物の溶液のいずれのものでも使用することができる。
【0037】
使用される不活性溶媒は、反応を阻害せず出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、sec−ブチルメチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールのようなアルコール類;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;水;または、これらの混合物であり得、好適には、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類、アルコール類、水、または、これらの混合物であり、より好適には、トルエン、tert−ブチルメチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、または、これらの溶媒と水の混合物であり、さらに好適には、トルエン、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、または、これらの溶媒と水の混合物である。化合物(I)の二臭化水素酸塩の製造において使用される不活性溶媒は、好適には、アセトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、または、これらの溶媒と水の混合物であり、より好適には、アセトン、メタノール、または、これらの溶媒と水の混合物であり、最も好適には、メタノールまたはメタノールと水の混合物である。化合物(I)の三メタンスルホン酸塩の製造において使用される不活性溶媒は、好適には、トルエン、または、酢酸エチルであり、最も好適には、酢酸エチルである。また、反応溶液中に適量の水が存在することは、好適である。
【0038】
使用される酸が一価の酸である場合、酸の使用量は、例えば、化合物(I)1モル(mol)に対して0.4乃至10モルであり得、好適には、0.6乃至6モルであり、より好適には、0.8乃至5モルである。
【0039】
使用される酸が二価の酸である場合、酸の使用量は、例えば、化合物(I)1モルに対して0.2乃至10モルであり得、好適には、0.3乃至6モルであり、より好適には、0.4乃至4モルである。
【0040】
使用される酸が三価の酸である場合、酸の使用量は、例えば、化合物(I)1モルに対して0.1乃至10モルであり得、好適には、0.2乃至6モルであり、より好適には、0.3乃至4モルである。
【0041】
使用される酸の水溶液、または、不活性溶媒溶液の濃度は、例えば、0.1モル/リットル(mol/l)乃至飽和溶液であり得、好適には、1乃至20モル/リットルであり、より好適には、3乃至15モル/リットルである。
【0042】
反応温度は、通常、−20℃乃至150℃であり、好適には、0℃乃至100℃であり、より好適には、10℃乃至60℃である。
【0043】
反応時間は、使用される酸、溶媒、または、反応温度等によって異なるが、通常、5分間乃至24時間であり、好適には、10分間乃至12時間であり、より好適には、20分間乃至6時間である。
【0044】
生成した固体は、例えば、濾過、遠心分離、または、傾斜法によって単離することができる。単離された固体は、必要に応じて、不活性溶媒(好適には、反応で使用された不活性溶媒)で洗浄することができる。
【0045】
単離された固体は、通常20乃至80℃で、好適には、30乃至60℃で、減圧下にて、乾燥することができる。乾燥時間は、通常重量がほぼ変化しなくなるまでの時間であるが、好適には、30分間乃至12時間であり、より好適には、1乃至6時間である。固体の乾燥は、必要に応じて、シリカゲル、および/または、塩化カルシウム等の乾燥剤の存在下にて行うことができる。
【0046】
上記反応条件は、化合物(I)の2個のエステル基の加水分解反応が起こらない条件であることが好ましい。
【0047】
本発明の化合物(I)の酸付加塩を医薬として使用する場合には、それ自体(原末のまま)で投与することができ、あるいは、適宜の薬理学的に許容される賦形剤、希釈剤等と混合して製造される、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤もしくはシロップ剤等の製剤として、経口的に、または、同様に製造される注射剤もしくは坐剤等の製剤として、非経口的に(好適には、経口的に)投与することができる。
【0048】
これらの製剤は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、および/または、希釈剤等の添加剤を用いて、周知の方法で製造される。
【0049】
賦形剤は、例えば、有機系賦形剤または無機系賦形剤であり得る。有機系賦形剤は、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−デンプン、デキストリンのようなデンプン誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;または、プルランであり得る。無機系賦形剤は、例えば、軽質無水珪酸;または、硫酸カルシウムのような硫酸塩であり得る。
【0050】
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス、ゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;または、上記賦形剤におけるデンプン誘導体であり得る。
【0051】
結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、または、上記賦形剤で示された化合物であり得る。
【0052】
崩壊剤は、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドン;または、カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウムのような化学修飾されたデンプン・セルロース類であり得る。
【0053】
乳化剤は、例えば、ベントナイト、ビーガムのようなコロイド性粘土;ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;または、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤であり得る。
【0054】
安定剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;または、ソルビン酸であり得る。
【0055】
矯味矯臭剤は、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテームのような甘味料;クエン酸、リンゴ酸、酒石酸のような酸味料;または、メントール、レモンエキス、オレンジエキスのような香料であり得る。
【0056】
希釈剤は、通常希釈剤として用いられる化合物であり得、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖、硫酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、デンプン、ポリビニルピロリドン、または、これらの混合物であり得る。
【0057】
本発明の化合物(I)の酸付加塩の投与量は、患者の症状、年齢、体重等の条件により変化し得るが、経口投与の場合には、各々、1回当たり下限0.005mg/kg(好適には、0.02mg/kg)、上限20mg/kg(好適には、10mg/kg)を、非経口的投与の場合には、1回当たり下限0.0005mg/kg(好適には、0.002mg/kg)、上限20mg/kg(好適には、10mg/kg)を、成人に対して1日当たり1乃至6回、症状に応じて投与することができる。
【実施例】
【0058】
以下に実施例、比較例、試験例、および、製剤例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。以下の実施例において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルは、特公平3−31715号公報(米国特許第4772596号明細書)の実施例1に記載された方法にしたがって製造することができる。
【0059】

(実施例1)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二臭化水素酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル2.91g(5.00mmol)のメタノール12ml溶液に、25℃で、47wt%臭化水素酸1.27ml(11.0mmol)を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に30分間撹拌した。生成した粗結晶を濾取した後、メタノール12mlで洗浄し、50℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物2.90g(78%)を白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.00(d;J=6Hz,3H), 1.19(d;J=6Hz,3H), 2.29(s,3H), 4.01-4.38(m,4H), 4.74-4.92(m,2H), 4.96-5.23(m,1H), 5.78-6.11(m,1H), 6.85(brs,2H), 7.37-7.77(m,12H), 7.94-8.09(m,2H), 8.98(brs,1H), 11.17-11.77(m,1H)。
【0060】
本化合物の粉末X線回折図を図1に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0061】
本化合物は、溶媒としてtert−ブチルメチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、エタノール、1−プロパノール、または、2−プロパノールを用いて製造することもできる。本化合物の製造に使用される溶媒は、好適には、アセトン、酢酸エチル、メタノール、または、エタノールであり、より好適には、アセトンまたはメタノールであり、最も好適には、メタノールである。
【0062】

(実施例2)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 一クエン酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル3.24g(5.56mmol)のアセトン11.1ml溶液に、25℃で、クエン酸1.11g(5.83mmol)のアセトン11.1ml溶液を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に40分間撹拌した。生成した粗結晶を濾取した後、アセトン5mlで洗浄し、50℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物3.42g(79%)を黄色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):0.99(d;J=6Hz,3H), 1.18(d;J=6Hz,3H), 2.27(s,3H), 2.30-2.42(m,1H), 2.64(d;J=15Hz,2H), 2.75(d;J=15Hz,2H), 2.86-2.97(m,1H), 3.28-3.40(m,1H),3.49-3.58(m,1H), 4.21(s,1H), 4.72-4.91(m,3H), 6.75(brs,2H), 7.12-7.41(m,10H), 7.54-7.67(m,2H), 8.02-8.12(m,2H), 8.80(brs,1H), 12.34(brs,1H)。
【0063】
本化合物の粉末X線回折図を図5に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0064】

(実施例3)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二メタンスルホン酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル4.66g(8.00mmol)の酢酸エチル32ml溶液に、25℃で、メタンスルホン酸1.04ml(16.0mmol)を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に30分間撹拌した。生成した粗結晶を濾取した後、酢酸エチル20mlで洗浄し、40℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物6.01g(97%)を白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.00(d;J=6Hz,3H), 1.18(d;J=6Hz,3H), 2.28(s,3H), 2.38(s,6H), 4.03-4.42(m,4H), 4.73-4.89(m,2H), 4.96-5.18(m,1H), 5.73-6.01(m,1H), 6.85(brs,2H), 7.37-7.67(m,12H), 7.93-8.04(m,2H), 8.96(brs,1H), 11.01-11.42(m,1H)。
【0065】
本化合物の粉末X線回折図を図2に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0066】
本化合物は、溶媒としてtert−ブチルメチルエーテル、メタノール、エタノール、または、2−プロパノールを用いて製造することもできる。
【0067】

(実施例4)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 三メタンスルホン酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル4.66g(8.00mmol)の酢酸エチル32ml溶液に、25℃で、メタンスルホン酸1.71ml(26.4mmol)を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に30分間撹拌した。生成した粗結晶を濾取した後、酢酸エチル20mlで洗浄し、40℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物6.78g(97%)を白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.00(d;J=6Hz,3H), 1.19(d;J=6Hz,3H), 2.28(s,3H), 2.40(s,9H), 4.02-4.42(m,4H), 4.75-4.88(m,2H), 4.98-5.18(m,1H), 5.73-6.10(m,1H), 6.84(brs,2H), 7.35-7.69(m,12H), 7.91-8.07(m,2H), 8.97(brs,1H), 11.01-11.45(m,1H)。
【0068】
本化合物の粉末X線回折図を図3に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0069】
本化合物は、溶媒としてトルエンを用いて製造することもできる。
【0070】

(実施例5)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二ベンゼンスルホン酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル4.66g(8.00mmol)の酢酸エチル32ml溶液に、25℃で、ベンゼンスルホン酸一水和物4.23g(24.0mmol)の酢酸エチル15ml溶液を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に30分間撹拌した。生成した粗結晶を濾取した後、酢酸エチル20mlで洗浄し、40℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物7.13g(99%)を白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.00(d;J=6Hz,3H), 1.19(dd;J=6Hz,2Hz,3H), 2.28(s,3H), 3.98-4.44(m,4H), 4.72-4.96(m,2H), 4.94-5.18(m,1H), 5.72-6.00(m,1H), 6.84(brs,2H), 7.26-7.67(m,22H), 7.93-8.03(m,2H), 8.92(brs,1H), 10.88-11.38(m,1H)。
【0071】
本化合物の粉末X線回折図を図6に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0072】

(実施例6)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二p−トルエンスルホン酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル4.66g(8.00mmol)の酢酸エチル32ml溶液に、25℃で、p-トルエンスルホン酸一水和物4.57g(24.0mmol)の酢酸エチル20ml溶液を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に30分間撹拌した。生成した粗結晶を濾取した後、酢酸エチル20mlで洗浄し、40℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物7.65g(定量的)を白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.00(d;J=6Hz,3H), 1.18(dd;J=6Hz,2Hz,3H), 2.28(s,3H), 2.29(s,6H), 4.08-4.43(m,4H), 4.73-4.90(m,2H), 4.96-5.19(m,1H), 5.74-6.00(m,1H), 6.85(brs,2H), 7.10-7.16(m,4H), 7.38-7.66(m,16H), 7.94-8.05(m,2H), 8.92(brs,1H), 10.93-11.42(m,1H)。
【0073】
本化合物の粉末X線回折図を図4に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0074】

(実施例7)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二ナフタレンスルホン酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル4.66g(8.00mmol)の酢酸エチル32ml溶液に、25℃で、2−ナフタレンスルホン酸一水和物5.97g(26.4mmol)の酢酸エチル120ml溶液を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に30分間撹拌した。反応溶液を2℃にて4日間静置することにより固体が析出した。析出した粗固体を濾取した後、酢酸エチル100mlで洗浄し、45℃で3時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物7.72g(97%)を白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.00(d;J=6Hz,3H), 1.18(dd;J=6Hz,2Hz,3H), 2.28(s,3H), 4.06-4.42(m,4H), 4.74-4.90(m,2H), 4.96-5.18(m,1H), 5.73-6.00(m,1H), 6.84(brs,2H), 7.37-7.57(m,15H), 7.60-7.66(m,1H), 7.70-7.76(m,2H), 7.85-8.04(m,8H), 8.14-8.18(m,2H), 8.92(brs,1H), 10.88-11.37(m,1H)。
【0075】
本化合物の粉末X線回折図を図7に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0076】

(比較例1)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二塩酸塩 (水溶液法)
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル4.66g(8.00mmol)の酢酸エチル32ml溶液に、25℃で、36wt%塩酸1.49ml(17.6mmol)を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に30分間撹拌した。生成した粗結晶を濾取した後、酢酸エチル10mlで洗浄し、50℃で1時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物5.26g(92%)を白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):0.99(d;J=6Hz,3H), 1.19(dd;J=6Hz,3Hz,3H), 2.29(s,3H), 3.90-4.28(m,4H), 4.70-5.32(m,3H), 5.68-6.03(m,1H), 6.93(brs,2H), 7.32-7.77(m,12H), 7.91-8.06(m,2H), 9.21-9.38(m,1H), 12.58-12.91(m,1H)。
【0077】
本化合物の粉末X線回折図を図8に示す。水溶液法で得られた本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。
【0078】

(比較例2)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二塩酸塩 (ガス法)
特公平3−31715号公報(米国特許第4772596号明細書)の実施例1に記載された方法にしたがって、下記のとおり標記化合物を製造した。
【0079】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル2.91g(5.00mmol)のクロロホルム66.7ml溶液に、25℃で、塩化水素ガスを5分間吹き込みながら撹拌した。反応溶液を減圧下にて濃縮し、得られた固体を50℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物3.65g(定量的)を淡黄色固体として得た。
【0080】
本化合物の1H−NMRスペクトルは、比較例1の化合物のものと同様であった。
【0081】
本化合物の粉末X線回折図を図9に示す。ガス法で得られた本化合物は、X線回折図において明確なピークを有さず、アモルファス状の固体であった。
【0082】
比較例1および2の結果より、結晶状の化合物(I)の酸付加塩を得るために酸の水溶液を使用する製造方法が有用であることが示された。
【0083】

(比較例3)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 一硫酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル6.99g(12.0mmol)のアセトン24ml溶液に、25℃で、96%硫酸0.70ml(12.6mmol)を30分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に20分間撹拌した。生成した黄色粘性固体をそのまま2時間放置した後、固化した固体をアセトン30mlで洗浄し、45℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物7.55g(92%)を黄白色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):1.00(d;J=6Hz,3H), 1.18(d;J=6Hz,3H), 2.28(s,3H), 4.00-4.43(m,4H), 4.72-4.90(m,2H), 4.96-5.18(m,1H), 5.64-6.02(m,1H), 6.85(brs,2H), 7.33-7.70(m,12H), 7.92-8.08(m,2H), 8.93(brs,1H), 10.93-11.41(m,1H)。
【0084】
本化合物の粉末X線回折図を図10に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。しかしながら、上記製造工程において、結晶を生成させるために黄色粘性固体を放置して固化させることが必要であり、本化合物は、本発明の化合物(I)の特定の酸付加塩に比較して結晶性が低かった。
【0085】

(比較例4)2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 一/二フマル酸塩
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル5.00g(8.58mmol)の酢酸エチル15ml溶液に、25℃で、フマル酸997mg(8.59mmol)のテトラヒドロフラン24ml溶液を35分間で滴下した。滴下終了後、反応溶液を更に15分間撹拌した後、ジイソプロピルエーテル78mlを加えた。生成した固体を濾取した後、酢酸エチル5mlで洗浄し、45℃で2時間減圧下にて乾燥して、標記の化合物5.14g(93%)を黄色粉末として得た。
1H−NMRスペクトル(DMSO-d6,δppm):0.99(d;J=6Hz,3H), 1.18(d;J=6Hz,3H), 2.22-2.39(m,4H), 2.85-2.92(m,1H), 3.22-3.50(m,2H), 4.18(s,1H), 4.72-4.91(m,3H), 6.63(s,1H), 6.77(brs,2H), 7.13-7.41(m,10H), 7.55-7.66(m,2H), 8.03-8.12(m,2H), 8.83(brs,1H), 13.12 (brs,1H)。
【0086】
本化合物の粉末X線回折図を図11に示す。本化合物は、X線回折図において明確なピークを有し、結晶状の固体であった。しかしながら、上記製造工程において、結晶を生成させるために貧溶媒(ジイソプロピルエーテル)を加えることが必要であり、本化合物は、本発明の化合物(I)の特定の酸付加塩に比較して結晶性が低かった。
【0087】

(試験例1)熱的安定性試験
試験化合物をガラス瓶に入れ、下記(1)および(2)の条件下にて静置して、一定時間経過後に試験化合物中の有効成分[化合物(I)]の残存率を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0088】
(1):密閉状態、60℃;
(2):非密閉状態、40℃、湿度75%。
【0089】
高速液体クロマトグラフィーの測定条件は、以下の通りである。
【0090】
カラム:L-column ODS [4.6mm×250 mm,化学物質評価研究機構製]
移動層:アセトニトリル/22mMリン酸二水素カリウム緩衝液/メタノール=455 / 350 / 195 (V/V/V)(リン酸でpH5.5に調整)
流量:1ml/min
カラム温度:40℃
検出波長:220 nm
残存率(%)は下記の式で算出した。
【0091】
残存率(%)=[1−(不純物および分解物のピーク面積百分率の総和)]×100
上記の条件(1)および(2)における結果をそれぞれ表1および2に示す。
【0092】

[表1][条件(1)]
____________________________________
試験化合物 化合物(I)の残存率(%)
番号 時間(月): 0 1 3 6
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実施例1 99.9 99.7 99.7 99.6
実施例2 98.8 96.9 95.8
実施例3 99.6 98.7 98.5
実施例4 99.5 98.6 98.1
実施例5 99.7 98.6 96.5 93.3
実施例6 99.6 98.8 98.3 97.3
実施例7 99.4 97.3 95.4 93.0
____________________________________
比較例1 98.1 60.0 58.9
比較例2 97.3 10.3
比較例3 99.5 96.9 94.9 92.8
比較例4 99.7 96.7 93.0
____________________________________

表1の結果より、アモルファス状の固体である比較例2の化合物は安定性が非常に低く、比較例1の化合物は、結晶状の固体であるにもかかわらず安定性が非常に低かった。また、比較例3および4の化合物は、結晶状の固体であるにもかかわらず安定性は高くなかった。それに比較して、本発明の実施例1乃至7の化合物は、結晶状の固体であり、且つ優れた安定性を示した。本発明の実施例2、5および7の化合物は、安定性においては比較例3および4の化合物と同等であったが、結晶性においては優れていた(上記比較例3および4参照)。
【0093】

[表2][条件(2)]
____________________________________
試験化合物 化合物(I)の残存率(%)
番号 時間(月): 0 1 3 6
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実施例1 99.9 99.5 99.1 98.9
実施例4 99.5 99.1 98.8
実施例6 99.6 97.5 96.4 94.5
____________________________________
比較例1 98.1 62.9 59.0
比較例2 97.3 11.3
比較例3 99.5 93.9 88.9 84.8
比較例4 99.7 94.8 91.3
____________________________________

表2の結果より、アモルファス状の固体である比較例2の化合物は安定性が非常に低く、比較例1、3および4の化合物は、結晶状の固体であるにもかかわらず安定性が低かった。それに比較して、本発明の実施例1、4および6の化合物は、結晶状の固体であり、且つ優れた安定性を示した。
【0094】
表1および2の結果は、結晶状の固体として取得できる化合物(I)の酸付加塩の全てが優れた熱的安定性を有するものではなく、本発明の化合物(I)の特定の酸付加塩が他の酸付加塩に比較して優れた熱的安定性を有することを示す。
【0095】

(試験例2)イヌにおける吸収性試験
(1)方法
試験化合物の投与30分前、投与直前、および、投与30分後にテトラガストリン(6μg/kg)を絶食した雄性ビーグル犬(体重:約10kg,n=4)の後足大腿部に筋肉注射して、胃内pHを酸性に調整した。試験化合物は100mg/bodyの用量でゼラチンカプセルに封入し、経口投与した。投与0.5、1、2、3、4、6、8および24時間後に、ヘパリン処理した注射筒を用いて前腕正中皮静脈より約3ml採血した。採取した血液を遠心分離して血漿を得て、試験化合物の濃度測定の時まで−20℃で冷凍保存した。融解した血漿100μlに50%メタノール100μl、精製水800μl、0.1N塩酸水100μl、および、内部標準液[化合物(I)のd7体を50%メタノールに溶解した溶液,50ng/ml]100μlを加えて混和し、OASIS HLBを用いて固相抽出して得られた溶出液を蒸発乾固した後、75%メタノール400μlに溶解したものをLC/MS/MSにて分析した。
【0096】
検量線の作成は、薬物を投与していないイヌコントロール血漿100μlおよび検量線用標準液[化合物(I)を50%メタノールに溶解した溶液,0.1-1000ng/ml]100μlを用いて、上記と同様に操作することにより行った。
【0097】
以下にLC/MS/MSの分析条件を示す。
[MS/MS]
システム:API4000 LC/MS/MS System(Applied Biosystems/MDS SCIEX製)
イオン源:TurboIonSpray
ターボヒーターガス:Air,650 ℃,70 psi
ネブライザーガス:Air,70 psi
カーテンガス:N2,40
オリフィス電圧:化合物(I) 106 V
化合物(I)のd7体 106 V
イオンスプレー電圧: 5500 V
コリジョンガス:N2,3
コリジョンエネルギー:化合物(I) 35 V
化合物(I)のd7体 35 V
測定モード:positive/MRM
モニターイオン:化合物(I) m/z 583 → 167
化合物(I)のd7体 m/z 590 → 167
[HPLC]
システム:Agilent 1100 Series(Agilent Technologies製)
カラム:Inertsil ODS-3 5 μm,2.1mm I.D.×150 mm(GLサイエンス製)
移動相:メタノール/水/ジフルオロ酢酸 (700/300/0.75)
流速:0.15 ml/min
カラム温度:40 ℃
注入量:5 μl
(2)結果
試験化合物として実施例1の化合物および化合物(I)を用いて上記方法にしたがって得られた結果より、薬物吸収性の指標となる薬物速度論的パラメーターである血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0-24h)および最高血漿中濃度(Cmax)を算出した。結果を表3に示す。

[表3]
_________________________________
試験化合物番号 AUC0-24h[ng・h/ml] Cmax[ng/ml]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実施例1 2933 248
_________________________________
化合物(I) 1813 178
_________________________________

本発明の実施例1の化合物は、フリー体である化合物(I)に比較して優れたバイオアベイラビリティーおよび血中濃度(AUC0-24hおよびCmax)を示した。
【0098】

(試験例3)溶出試験
(1)方法
試験化合物を充填したゼラチンカプセル(100 mg当量/カプセル)1個を、および、試験液として崩壊試験第1液(第14改正日本薬局方、pH 1.2)900 mlを用い、溶出試験法第2法(第14改正日本薬局方、パドル法)にしたがい、毎分250回転の条件下で試験を行った。ゼラチンカプセルの浮遊を防ぐためにシンカー(第14改正日本薬局方溶出試験法)を用いた。溶出試験を開始して、5、10、15、20、30、45、60、75、90、105および120分後に、試験液約20 mlを孔径10μmのフィルター(VARIAN製, Full Flow Filters 10 μm)で濾過し、直接循環系中のフローセル(光路長0.5 cm)内に送り込み、フォトダイオードアレイ型分光光度計(HP 8452A)で吸光度を測定した。各試験液採取時における試験液中の化合物(I)の吸光度を下記標準液の吸光度と比較することにより、試験液中の化合物(I)の濃度を測定した。
【0099】
標準液は以下のように調整した。化合物(I)約28 mgを精密に量り、500 mlのメスフラスコへ加えた。エタノール(99.5%、試薬特級)5 mlを加え、必要に応じて超音波刺激を与えながら、化合物(I)を溶解した。崩壊試験第1液を加えて正確に500 mlとして、得られた溶液を標準液とした。
【0100】
以下に溶出試験システムを示す。
溶出試験装置:DT-600(日本分光製)
紫外可視部分光光度計:HP 8452A Diode-array UV-Visible Spectrophotometer(Hewlett Packard:現Agilent Technologies製)
セルポジショナー:HP 89075C Multicell Transport(Hewlett Packard製)
送液ポンプ:HP 89092A Multichannel Pump(Hewlett Packard製)
溶出試験ソフトウェア:Hewlett Packard Dissolution Testing Software,Revision 03.01(Hewlett Packard製)
分析波長:254〜258 nm
対照波長:322〜326 nm
積算時間:1 sec
石英セルの光路長:0.5 cm
(2)結果
試験化合物として実施例1の化合物および化合物(I)を用いて上記試験において測定された試験液中の化合物(I)の濃度より計算した溶出率を表4に示す。
【0101】

[表4]
____________________________________
試験化合物 溶出率(%)
番号 時間(分):5 10 15 20 30 45
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実施例1 1.0 1.9 3.3 5.0 9.9 23.5
____________________________________
化合物(I) 0.5 0.7 1.0 1.3 1.8 2.5
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____________________________________
試験化合物 溶出率(%)
番号 時間(分):60 75 90 105 120
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実施例1 35.5 40.8 45.1 49.6 52.6
____________________________________
化合物(I) 3.1 3.6 4.1 4.5 5.0
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

本発明の実施例1の化合物は、フリー体である化合物(I)に比較して優れた溶出性を示したことから、より良好な経口吸収性を示すものと考えられる。
【0102】

(試験例4)ラット大脳皮質膜画分を用いたカルシウムチャンネル受容体結合試験
L型カルシウムチャネルのソースとしてラット大脳皮質膜画分を、またL型カルシウムチャネルのリガンドとして3H-(+)-イスラジピンを用いた。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(Tris-HCl;50 mM、pH 7.4)緩衝液中で膜画分(5.0 mg蛋白/ml)、3H-(+)-イスラジピン(0.5 nM)および試験化合物を室温で60分間反応させ、膜画分に結合した3H-(+)-イスラジピンを液体シンチレーションカウンターで測定した。測定されたカウントから非標識のニトレンジピン存在下でのカウント(非特異的結合量)を引き、特異的結合量を算出した。各試験化合物について、特異的結合の濃度と結合阻害率の関係をlogit-logモデルにあてはめ、IC50値(特異的結合の50%阻害濃度;nM)およびKi値(解離定数;nM)を算出した。
【0103】
実施例1から7の化合物は、4.8から9.2nMのKi値を示した。本発明の化合物(I)の特定の酸付加塩は、優れたカルシウムチャンネル受容体拮抗作用を示し、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療もしくは予防のための医薬として有用である。
【0104】
試験例4は、L型カルシウムチャネルのソースとしてブタ心筋ミクロソームを用いて行うこともできる。
【0105】

(試験例5)高血圧ラットにおける血圧降下作用試験
雄性高血圧自然発症ラットを用い、無麻酔下で試験化合物を経口投与し、5分ごとに24時間にわたり、テレメトリー法で血圧を測定した。試験化合物は0.5%メチルセルロース溶液に懸濁してラットに投与した。各測定時点における血圧の降下率より、投与時から投与24時間後までの面積を台形法で算出して、血圧降下率面積値(%・hr)を求めた。
【0106】
実施例1から7の化合物は、132から242(%・hr)の血圧降下率面積値を示した。本発明の化合物(I)の特定の酸付加塩は、優れた血圧降下作用を示し、高血圧症等の治療もしくは予防のための医薬として有用である。
【0107】

(製剤例1)カプセル剤
実施例化合物(10.0mg)、乳糖(168.7mg)、トウモロコシデンプン(70.0mg)、および、ステアリン酸マグネシウム(1.3mg)(計250mg)の粉末を混合して、60メッシュのふるいに通した後、この粉末を2号ゼラチンカプセルに入れてカプセル剤とする。
【0108】

(製剤例2)錠剤
実施例化合物(10.0mg)、乳糖(149.0mg)、トウモロコシデンプン(40.0mg)、および、ステアリン酸マグネシウム(1.0mg)(計200mg)の粉末を混合し、打錠機により打錠して1錠200mgの錠剤とする。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの特定の酸付加塩は、優れたカルシウム拮抗作用、血圧降下作用、血管拡張作用、心保護作用、抗動脈硬化作用、利尿作用、腎障害抑制作用、および、過酸化脂質生成阻害作用を示し、また、物理化学的性質、熱的安定性、保存および取り扱い安定性、残留溶媒比率、吸湿性、潮解性、溶解性、薬理学的性質、薬物動力学的性質、経口吸収性、血中濃度、バイオアベイラビリティー、体内動態、安全性、および、毒性の点で医薬品化合物として優れた性質を有することから、医薬として、好適には、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療もしくは予防のための医薬として、より好適には、高血圧症、または、心疾患の治療もしくは予防のための医薬として、最も好適には、高血圧症の治療もしくは予防のための医薬として有用である。また、本発明の化合物(I)の特定の酸付加塩は、胃内pHの変化による血中濃度の変動が小さく、食事の影響を受けにくいとの優れた性質を有する可能性があり、温血動物用の医薬として、好適には、ヒト用の医薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施例1で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二臭化水素酸塩の粉末X線回折図。
【図2】実施例3で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二メタンスルホン酸塩の粉末X線回折図。
【図3】実施例4で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 三メタンスルホン酸塩の粉末X線回折図。
【図4】実施例6で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二p−トルエンスルホン酸塩の粉末X線回折図。
【図5】実施例2で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 一クエン酸塩の粉末X線回折図。
【図6】実施例5で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二ベンゼンスルホン酸塩の粉末X線回折図。
【図7】実施例7で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二ナフタレンスルホン酸塩の粉末X線回折図。
【図8】比較例1で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二塩酸塩の粉末X線回折図。
【図9】比較例2で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 二塩酸塩の粉末X線回折図。
【図10】比較例3で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 一硫酸塩の粉末X線回折図。
【図11】比較例4で得られる2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステル 一/二フマル酸塩の粉末X線回折図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの臭化水素酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、または、ナフタレンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項2】
請求項1において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの臭化水素酸塩、メタンスルホン酸塩、または、p−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項3】
請求項2において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの臭化水素酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項4】
請求項3において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二臭化水素酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項5】
請求項4において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二臭化水素酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項6】
請求項5において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が16、4.4、3.9、3.1、および、3.0オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項7】
請求項2において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルのメタンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項8】
請求項7において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二メタンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項9】
請求項8において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二メタンスルホン酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項10】
請求項9において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が12、7.8、6.1、4.8、および、4.5オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項11】
請求項7において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの三メタンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項12】
請求項11において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの三メタンスルホン酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項13】
請求項12において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が11、4.6、4.4、3.9、および、3.6オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項14】
請求項2において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルのp−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項15】
請求項14において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二p−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項16】
請求項15において、2−アミノ−1,4−ジヒドロ−6−メチル−4−(3−ニトロフェニル)−3,5−ピリジンジカルボン酸 3−(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル 5−イソプロピルエステルの二p−トルエンスルホン酸塩の結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項17】
請求項16において、銅のKα線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が6.8、4.9、4.7、および、4.2オングストロームに主要なピークを示す結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかにおいて、高血圧症、心疾患、動脈硬化症、または、腎障害の治療もしくは予防のための医薬。
【請求項19】
請求項18において、高血圧症の治療もしくは予防のための医薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−290989(P2008−290989A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140037(P2007−140037)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】