説明

ジヒドロピリミジン類

【課題】 新規なジヒドロピリミジン化合物を提供すること。
【解決手段】
【化1】


本発明は一般式(I)又は一般式(Ia)の化合物に関する。該一般式(I)又は(Ia)の化合物は特にB型肝炎の処置及び予防のための薬剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なジヒドロピリミジン化合物、その製造法及び特にB型肝炎(hepatitis B)の処置及び予防のための薬剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓血管性作用を有するジヒドロピリミジン類は特許文献1から既知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第103 796 A2号明細書
【発明の概要】
【0004】
今回、本発明は一般式(I)
【0005】
【化1】

【0006】
の新規なジヒドロピリミジン化合物又はその異性体(Ia)
【0007】
【化2】

【0008】
[式中、
はフェニル、フリル、チエニル、トリアゾリル、ピリジル、炭素数が3〜6のシクロアルキルを示すか、又は式
【0009】
【化3】

【0010】
の基を示し、
ここで、上記の環系は場合によりハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、シアノ、トリフルオロメトキシ、カルボキシル、ヒドロキシル、それ自身が炭素数が6〜10のアリールもしくはハロゲンにより置換されていることができる(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルコキシカルボニル及び(C−C)−アルキルより成る群から選ばれる同一もしくは異なる置換基により一−もしくは多置換されていることができ、
ならびに/あるいは上記の環系は場合により式−S−R、NR、CO−NR10、SO−CF及び−A−CH−R11の基により置換されていることができ、
ここで
は場合によりハロゲンで置換されていることができるフェニルを示し、
、R、R及びR10は同一もしくは異なり、それぞれ水素、フェニル、ヒドロキシ−置換フェニル、ヒドロキシル、(C−C)−アシル又は(C−C)−アルキルを示し、それ自身はヒドロキシル、(C−C)−アルコキシカルボニル、フェニルもしくはヒドロキシ−置換フェニルにより置換されていることができ、
Aは基O、S、SO又はSOを示し、
11は場合によりハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシより成る群から選ばれる同一もしくは異なる置換基により一−〜多置換されていることができるフェニルを示し、
は式−XR12又は−NR1314の基を示し、
ここで
Xは結合又は酸素を示し、
12は水素、直鎖状もしくは分枝鎖状(C−C)−アルコキシカルボニル又は直鎖状、分枝鎖状もしくは環状、飽和もしくは不飽和(C−C)−炭化水素基を示し、それは場合によりO、CO、NH、−NH−(C−C)−アルキル、−N−((C−C)−アルキル)、S及びSOより成る群からの1つもしくは2つの同一もしくは異なる複素鎖メンバーを含有することができ、且つ場合によりハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシル、炭素数が6〜10のアリールもしくは炭素数が6〜10のアラルキル、ヘテロアリール又は式−NR1516の基により置換されていることができ、
ここで
15及びR16は同一もしくは異なり、それぞれ水素、ベンジル又は(C−C)−アルキルを示し、
13及びR14は同一もしくは異なり、それぞれ水素、(C−C)−アルキル又は炭素数が3〜6のシクロアルキルを示し、
は水素、アミノを示すか、又は

【0011】
【化4】

【0012】
の基を示すか、あるいは
ホルミル、シアノ、トリフルオロメチル又はピリジルを示すか、あるいは
炭素数が最高で8の直鎖状、分枝鎖状もしくは環状、飽和もしくは不飽和炭化水素基を示し、それは場合により炭素数が6〜10のアリールオキシ、アジド、シアノ、ヒドロキシル、カルボキシル、それ自身がアジドもしくはアミノにより置換されていることができる(C−C)−アルコキシカルボニル、5−〜7−員複素環式環、(C−C)−アルキルチオ及び(C−C)−アルコキシより成る群からの同一もしくは異なる置換基により、一−もしくは多置換されていることができ、
ならびに/あるいは、それ自身が(C−C)−アルコキシカルボニルにより最高で3回置換されていることができるトリアゾリルにより置換されており、
ならびに/あるいは式−OSO−CH又は(CO)−NR1718の基により
置換されていることができ、
ここで
aは0もしくは1の数を示し、
17及びR18は同一もしくは異なり、それぞれ水素又はアリール、炭素数が6〜10のアラルキルを示すか、
あるいは(C−C)−アルキルを示し、それは場合により(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、フェニルもしくはベンジルにより置換されていることができ、ここでフェニルもしくはベンジルは場合によりヒドロキシル、カルボキシル、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシより成る群からの同一もしくは異なる置換基により一−もしくは多置換されていることができるか
あるいは(C−C)−アルキルは場合により式NH−CO−CH又はNH−CO−CFの基により置換されていることができるか、
あるいは
17及びR18は窒素原子と一緒になってモルホリン、ピペリジニル又はピロリジニル環を形成するか、
あるいは
は場合によりメトキシで置換されていることができるフェニルを示すか、
あるいは
及びRは一緒になって式
【0013】
【化5】

【0014】
の基を形成し、
は水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル、ベンゾイルを示すか、あるいは炭素数が2〜6のアシルを示し、
はピリジルを示し、それはハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキルチオ、カルバルコキシ、(C−C)−アシルオキシ、アミノ、ニトロ、モノ−及び(C−C)−ジアルキルアミノより成る群からの同一もしくは異なる置換基により最高で3回置換されている]
及びそれらの塩を提供する。
【0015】
本発明の範囲内で、炭素数が3〜6のシクロアルキル又は(C−C)−シクロアルキルはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロブチル又はシクロヘキシルを示す。シクロペンチル又はシクロヘキシルが好ましい。
【0016】
アリールは一般に炭素数が6〜10の芳香族基を示す。好ましいアリール基はフェニル及びナフチルである。
【0017】
本発明の範囲内で、(C−C)−アシルは炭素数が1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状アシル基を示す。炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状アシル基が好ましい。特に好ましいアシル基はアセチル及びプロピオニルである。
【0018】
本発明の範囲内で、(C−C)−アルキルは炭素数が1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基を示す。挙げることができる例は:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル及びn−ヘキシルである。
【0019】
炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル基が好ましい。
【0020】
本発明の範囲内で、(C−C)−アルケニルは炭素数が2〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルケニル基を示す。炭素数が3〜5の直鎖状もしくは分枝鎖状アルケニル基が好ましい。挙げることができる例は:エテニル、プロペニル、アルキル、n−ペンテニル及びn−ヘキセニルである。
【0021】
本発明の範囲内で、(C−C)−アルコキシは炭素数が1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ基を示す。炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ基が好ましい。挙げることができる例は:メトキシ、エトキシ及びプロポキシである。
【0022】
本発明の範囲内で、(C−C)−アルキルチオは炭素数が1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルチオ基を示す。炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルチオ基が好ましい。挙げることができる例は:メチルチオ、エチルチオ及びプロピルチオである。
【0023】
本発明の範囲内で、(C−C)−アルコキシカルボニルは炭素数が1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシカルボニル基を示す。炭素数が1〜4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシカルボニル基が好ましい。挙げることができる例は:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル及びプロポキシカルボニルである。
【0024】
直鎖状、分枝鎖状もしくは環状、飽和もしくは不飽和(C−C)−炭化水素基には、例えば上記の(C−C)−アルキル、(C−C)−アルケニル又は(C−C)−シクロアルキル、好ましくは(C−C)−アルキルが含まれる。
【0025】
本発明に従う化合物は、像と鏡像として関連している(エナンチオマー)、又は像と鏡
像として関連していない(ジアステレオマー)立体異性体として存在し得る。本発明はエナンチオマー又はジアステレオマーならびにそれらのそれぞれの混合物の両方に関する。ラセミ体を、ちょうどジアステレオマーと同様に、既知の方法で立体異性体的に均一な成分に分離することができる。
【0026】
本発明の化合物は一般式(I)及び(Ia)の異性体ならびにそれらの混合物を含む。Rが水素の場合、異性体(I)及び(Ia)は互変異性平衡において存在する:
【0027】
【化6】

【0028】
本発明に従う物質は塩として存在することもできる。本発明の範囲内では、生理学的に許容され得る塩が好ましい。
【0029】
生理学的に許容され得る塩は、無機もしくは有機酸との本発明に従う化合物の塩であることができる。無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸もしくは硫酸との塩あるいは有機カルボン酸もしくはスルホン酸、例えば酢酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸又はメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、フェニルスルホン酸、トルエンスルホン酸もしくはナフタレンジスルホン酸との塩が好ましい。
【0030】
生理学的に許容され得る塩は、本発明に従う化合物の金属もしくはアンモニウム塩であることもできる。例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩ならびに又アンモニアから、又は有機アミン、例えばエチルアミン、ジ−もしくはトリエチルアミン、ジ−もしくはトリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、アルギニン、リシン、エチレンジアミン又は2−フェニルエチルアミンから誘導されるアンモニウム塩が特に好ましい。
【0031】
がフェニル、フリル、チエニル、ピリジル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを示すか、
又は式
【0032】
【化7】

【0033】
の基を示し、
ここで、上記の環系は場合によりハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、SO−CF、メチル、シアノ、トリフルオロメトキシ、アミノ、ヒドロキシル、カルボキシル、メトキシカルボニルならびに式−CO−NH−CH−C(CH、−CO−NH(CHOH、−CO−NH−CH−C、−CO−NH−C、−CO−NH−(pOH)−C、−O−CH−C又は−S−pCl−Cの基より成る群から選ばれる同一もしくは異なる置換基により一−もしくは二置換されていることができ、
が式−XR12又は−NR1314の基を示し、
ここで
Xは結合又は酸素原子を示し、
12は水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルコキシカルボニル又は(C−C)−アルキルを示し、それらは場合によりピリジル、シアノ、フェノキシ、ベンジルにより、あるいは式−NR1516の基により置換されていることができ、
ここで
15及びR16は同一もしくは異なり、それぞれ水素、ベンジル又は(C−C)−アルキルを示し
13及びR14は同一もしくは異なり、それぞれ水素、(C−C)−アルキル又はシクロプロピルを示し、
が水素、アミノ又は式
【0034】
【化8】

【0035】
の基を示すか、
あるいは
ホルミル、シアノ、トリフルオロメチル、シクロプロピル又はビリジルを示すか、あるいは
(C−C)−アルキルを示し、それは場合によりハロゲン、(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシルにより、あるいはそれ自身が(C−C)−アルコキシカルボニルにより最高で3回置換されていることができるトリアゾリルにより置換されていることができ、
ならびに/あるいはアルキルは場合により式−OSO−CH又は(CO)−NR1718の基により置換されていることができ、
ここで
aは0又は1の数を示し、
17及びR18は同一もしくは異なり、それぞれ水素、フェニル又はベンジルを示すか、あるいは
−C−アルキルを示し、それは場合により(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、フェニルもしくはベンジルにより置換されていることができ、ここでフェニルもしくはベンジルは場合によりヒドロキシル、カルボキシル、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシより成る群からの同一もしくは異なる置換基により一−もしくは多置換されていることができ、
ならびに/あるいは(C−C)−アルキルは場合により式−NH−CO−CH又は−NH−CO−CFの基により置換されていることができるか、
あるいは
17及びR18は窒素原子と一緒になってモルホリン、ピペリジニルもしくはピロリジニル環を形成するか、
あるいは
が場合によりメトキシで置換されていることができるフェニルを示すか、
あるいは
及びRが一緒になって式
【0036】
【化9】

【0037】
の基を形成し、
が水素、メチル、ベンゾイル又はアセチルを示し、
がピリジルを示し、それはフッ素、塩素、臭素、(C−C)−アルコキシ及び(C−C)−アルキルより成る群からの同一もしくは異なる置換基により最高で2回置換されている
本発明に従う一般式(I)及び(Ia)の化合物ならびにそれらの塩が好ましい。
【0038】
がフェニル、フリル、チエニル、ピリジル、シクロペンチル、シクロヘキシルを示すか、又は

【0039】
【化10】

【0040】
の基を示し、
ここで、上記の環系は場合によりフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシル、トリフルオロメチル、ニトロ、SO−CF、メチル、シアノ、アミノ、トリフルオロメトキシ、カルボキシル、メトキシカルボニル及び式−CO−NH−CH−C(CH、−CO−NH(CHOH、−CO−NH−CH−C、−CO−NH−C、−CO−NH−(pOH)−C、−O−CH−C又は−S−pCl−Cの基より成る群から選ばれる同一もしくは異なる置換基により最高で2回置換されていることができ、
が式−XR12又は−NR1314の基を示し、
ここで
Xは結合又は酸素原子を示し、
12は水素、(C−C)−アルケニル、(C−C)−アルコキシカルボニル又は(C−C)−アルキルを示し、それらは場合によりピリジル、シアノ、フェノキシ、ベンジルにより、又は式−NR1516の基により置換されていることができ、
ここで
15及びR16は同一もしくは異なり、それぞれ水素又はメチルを示し、
13及びR14は同一もしくは異なり、それぞれ水素、(C−C)−アルキル又はシクロプロピルを示し、
が水素、アミノを示すか、又は式
【0041】
【化11】

【0042】
の基を示すか、
あるいは
ホルミル、シアノ、トリフルオロメチル、シクロプロピル又はピリジルを示すか、あるいは
(C−C)−アルキルを示し、それは場合によりフッ素、塩素、(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシルにより、又はそれ自身が(C−C)−アルコキシカルボニルにより最高で3回置換されていることができるトリアゾリルにより置換されて
いることができ、
ならびに/あるいはアルキルは場合により式−OSO−CH又は(CO)−NR1718の基により置換されていることができ、
ここで
aは0又は1の数を示し、
17及びR18は同一もしくは異なり、それぞれ水素、フェニル又はベンジルを示すか、あるいは
(C−C)−アルキルを示し、それは場合により(C−C)−アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、フェニルもしくはベンジルにより置換されていることができ、ここでフェニルもしくはベンジルは場合によりヒドロキシル、カルボキシル、(C−C)−アルキル及び(C−C)−アルコキシより成る群からの同一もしくは異なる置換基により一−もしくは二置換されていることができ、
ならびに/あるいは(C−C)−アルキルは場合により式−NH−CO−CH又は−NH−CO−CFの基により置換されていることができるか、
あるいは
17及びR18は窒素原子と一緒になってモルホリン、ピペリジニルもしくはピロリジニル環を形成するか、
あるいは
が場合によりメトキシで置換されていることができるフェニルを示すか、
あるいは
及びRが一緒になって式
【0043】
【化12】

【0044】
の基を形成し、
が水素、メチル、ベンゾイル又はアセチルを示し、
がピリジルを示し、それはフッ素、塩素、(C−C)−アルコキシ及び(C−C)−アルキルより成る群からの同一もしくは異なる置換基により最高で2回置換されている
本発明に従う一般式(I)及び(Ia)の化合物ならびにそれらの塩が特に好ましい。
【0045】
がフェニルを示し、それは場合によりフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル及びニトロより成る群からの同一もしくは異なる置換基により最高で2回置換されていることができ、
が−XR12を示し、ここでXは酸素を示し、R12は炭素数が最高で4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
がメチル、エチル又はシクロプロピルを示すか、
あるいは
及びRが一緒になって式
【0046】
【化13】

【0047】
の基を形成し、
が水素又はアセチルを示し、
がビリジルを示し、それはフッ素及び塩素より成る群からの同一もしくは異なる置換基により最高で2回置換されている
本発明に従う一般式(I)及び(Ia)の化合物ならびにそれらの塩が特に好ましい。
【0048】
が1つもしくは2つのフッ素原子で置換されていることができる2−ピリジルを示す本発明に従う一般式(I)もしくは(Ia)の化合物がさらにもっと好ましい。
【0049】
表Aに挙げる本発明に従う一般式(I)及び(Ia)の化合物も特に好ましい:
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
【表9】

【0059】
【表10】

【0060】
【表11】

【0061】
【表12】

【0062】
以下の化合物が特に好ましい:
【0063】
【化14】

【0064】
本発明に従う一般式(I)の化合物は、
[A]一般式(II)
−CHO (II)
[式中、
は上記で定義した通りである]
のアルデヒドを式(III)
【0065】
【化15】

【0066】
[式中、
は上記で定義した通りである]
のアミジン又はその塩酸塩及び一般式(IV)
−CO−CH−CO−R (IV)
[式中、
及びRはそれぞれ上記で定義した通りである]
の化合物と、適宜不活性有機溶媒の存在下に、塩基もしくは酸を添加して、又は添加せずに反応させるか、
あるいは
[B]一般式(V)
【0067】
【化16】

【0068】
[式中、
、R及びRはそれぞれ上記で定義した通りである]
の化合物を一般式(III)
【0069】
【化17】

【0070】
[式中、
は上記で定義した通りである]
のアミジンと、適宜不活性有機溶媒の存在下に、20℃〜150℃の温度で、塩基もしくは酸を添加して又は添加せずに反応させるか、
あるいは
[C]一般式(II)
−CHO (II)
[式中、
は上記で定義した通りである]
のアルデヒドを一般式(VI)
【0071】
【化18】

【0072】
[式中、
及びRはそれぞれ上記で定義した通りである]
の化合物及び上記の通りの一般式(III)のアミジンと反応させるか。
あるいは
[D]一般式(II)のアルデヒドを一般式(IV)の化合物及び一般式(VII)
【0073】
【化19】

【0074】
[式中、
は上記で定義した通りであり、
は(C−C)−アルキルを示す]
のイミノエーテルと、アンモニウム塩の存在下で反応させる
ことにより製造され得る。
【0075】
本発明に従う方法を例として以下の式を用いて示すことができる:
【0076】
【化20】

【0077】
すべての変法A、B、C及びDに適した溶媒はすべての不活性有機溶媒である。これらには好ましくはアルコール類、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、エーテル類、例えばジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールモノメチルエーテル、グリコールジメチルエーテルあるいは氷酢酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ピリジン及びヘキサメチルリン酸トリアミドが含まれる。
【0078】
反応温度は比較的広い範囲内で変わることができる。一般に反応は20〜150℃で行われるが、好ましくは問題の溶媒の沸点で行われる。
【0079】
大気圧で、あるいは又、高められた圧力において反応を行うことができる。一般に反応は大気圧で行われる。
【0080】
塩基もしくは酸を添加して、又は添加せずに反応を行うことができる;しかしながら本発明に従う反応は比較的弱い酸、例えば酢酸又はギ酸の存在下で好適に行われることが見
いだされた。
【0081】
出発材料として用いられる一般式(II)のアルデヒドは既知であるか、又は文献から既知の方法により製造され得る[T.D.Harris and G.P.Roth,J.Org.Chem.44,146(1979)、ドイツ公開明細書(German Offenlegungsschrift) 2 165 260,1972年7月、ドイツ公開明細書 2 401 665,1974年7月、Mijano et al.,Chem.Abstr.59,(1963),13 929 c、E.Adler and
H.−D.Becker,Chem.Scand.15,849(1961)、E.P.Papadopoulos,M.Mardin and Ch.Issidoridis,J.Org.Chem.Soc.78,2543(1956)を参照されたい]。
【0082】
出発材料として用いられる式(V)のイリデン−β−ケトエステルは文献から既知の方法により製造され得る[G.Jones,“The Knoevenagel Condensation”,in Organic Reactions,Vol.XV,204及びそれ以下(1967)を参照されたい]。
【0083】
出発材料として用いられる式(VI)のエナミノカルボン酸エステル及び一般式(VII)のイミノエーテルは既知であるか、又は文献から既知の方法により製造され得る[S.A.Glickman and A.C.Cope,J.Am.Chem.Soc.67,1017(1945)を参照されたい]。
【0084】
出発材料として用いられる一般式(IV)のβ−ケトカルボン酸エステルは既知であるか、又は文献から既知の方法により製造され得る[例えばD.Borrmann,“Umsetzung von Diketen mit Alkoholen,Phenolen und Mercaptanen”,in Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,Vol.VII/4,230及びそれ以下(1968);Y.Oikawa,K.Sugano and O.Yonemitsu,J.Org.Chem.43,2087(1978)]。
【0085】
一般式(III)の化合物のいくつかは既知であるか、あるいはRが二フッ素化されたピリジルの場合は新規であり、それは式(VIII)
−CN (VIII)
[式中、
は上記で定義した通りである]
の化合物を通常の方法でイミノエーテルを介し、最後にメタノール中で塩化アンモニウムと反応させることにより[これに関し、W.K.Fife,Heterocycles 22,93−96(1984);T.Sakamoto,S.Kaneda,S.Nishimura,H.Yamanaka,Chem.Pharm.Bull.33,571(1986)を参照されたい]、あるいはGarigipati,Tetrahedron Lett.1990,pp.1969−1972,Boere et al.,J.Organomet.Chem.1987,331,161,Caton et al.,J.Chem.Soc.1967,1204のような文献から既知の他の方法により製造され得る。
【0086】
すべてのプロセス段階は大気圧において、且つ0℃〜130℃、好ましくは20℃〜100℃の温度範囲内で行われる。
【0087】
かくして、本発明は下記の式
【0088】
【化21】

【0089】
の中間体及びその塩にも関し、それから好ましい最終的生成物を製造することができる。この化合物の塩に関しては、上記の酸付加塩、そして特に塩酸塩が挙げられる。この化合物は実施例で記載する通りに製造され、これに関して、下記に示す反応式も挙げられる。
【0090】
式(VIII)の化合物はそれ自体既知であるか、又は実施例I及びIIと類似して既知の方法により、一般式(IX)
−H (IX)
[式中、水素は窒素に対してオルトにあり、Rは上記で定義した通りである]
のピリジンを最初に50〜150℃、好ましくは100℃において、H/氷酢酸中で反応させて対応するN−オキシドを得、続いて文献から既知の方法により上記の不活性溶媒中、好ましくはアセトニトリル、THF、トルエン中で、室温もしくは還流温度で、適宜トリエチルアミンもしくはDBUのような塩化を添加して、シアン化トリメチルシリル(TMSCN)と反応させることにより、
あるいは式(X)
【0091】
【化22】

【0092】
[式中、Y及びZはRの下に言及したピリジル環の置換基を示す]
の化合物において、シアン化カリウム又はシアン化銅のようなシアン化物を用いて塩素をシアニドで置き換えることにより、
あるいはRがジフルオロピリジルを示す場合、式(XI)
【0093】
【化23】

【0094】
[式中、Y’及びZ’は同一もしくは異なり、それぞれ塩素又は臭素を示す]
の化合物を、文献から既知の方法により、例えばポリグリコール及びそのエーテル、DM
SO又はスルホランのような極性溶媒中で、適宜、相間移動触媒を添加して、ハロゲン−フッ素交換反応においてアルカリ金属もしくはアンモニウムフルオリド、好ましくはフッ化カリウムと反応させる
ことにより製造することができる。
【0095】
かくして、本発明は下記の式の化合物にも関し、それから実施例に記載する方法で対応するアミジン中間体を製造することができる:
【0096】
【化24】

【0097】
3,5−ジフルオロピリジル化合物に関し、上記の方法は例として以下の反応式により示される:
【0098】
【化25】

【0099】
本発明に従う化合物の抗ウィルス作用は、Sells et al.(M.A.Sells,M.−L.Chen,and G.Acs(1987)Proc.Natl Acad.Sci.84,1005−1009)及びKorba et al.(B.E.Korba and J.L.Gerin(1992)Antiviral Research 19,55−70)により記載されている方法に従って研究された。
【0100】
96−ウェルミクロタイタープレート(microtitre plates)において抗ウィルス試験を行った。プレートの第1の垂直の列には生育培地及びHepG2.2.15細胞のみを加えた。これはウィルス標準として働いた。
【0101】
試験化合物の倍液(50mM)を最初にDMSO中に溶解し、HepG2.2.15の生育培地中でさらなる希釈液を調製した。本発明に従う化合物をそれぞれミクロタイタープレートの第2の垂直の試験列中に、通常は100μM(第1試験濃度)の試験濃度においてピペットで入れ、続いて生育培地プラス2%の胎児ウシ血清を用いて(容積25μl)、各回に2倍することにより、210倍に希釈した。
【0102】
次いでミクロタイタープレートの各ウェルに生育培地プラス2%の胎児ウシ血清中のHepG2.2.15細胞懸濁液の225μl(5x10細胞/ml)を加えた。
【0103】
試験バッチを37℃、5%COで4日間インキュベーションした。
【0104】
続いて上澄み液をサイホンにより除去して捨て、ウェルに225μlの新しく調製された生育培地を加えた。もう一度、本発明に従う化合物をそれぞれ10倍の濃度の溶液として25μlの容積で加えた。バッチをさらに4日間インキュベーションした。
【0105】
抗ウィルス効果を決定するために上澄み液を収穫する前に、HepG2.2.15細胞を光学顕微鏡下で、又は生化学的検出法(例えばAlamar Blue染色又はTrypan Blue染色)により細胞毒性変化に関して調べた。
【0106】
続いて上澄み液を収穫し、減圧を用いてナイロン膜で覆われた96−ウェル点染チャンバー(dot blot chamber)上にサイホンで吸い上げた(製造者の規定に従って)。
【0107】
細胞毒性の決定
HepG2.2.15細胞における物質−誘導細胞毒性もしくは静細胞性変化を、例えば光学顕微鏡下で細胞の形態における変化として決定した。未処理細胞との比較におけるHepG2.2.15細胞におけるそのような物質−誘導変化は、例えば細胞溶解、空胞化又は変化した細胞形態として観察され得る。50%毒性(Tox.−50)は、細胞の50%が対応する細胞標準と類似の形態を有することを意味する。
【0108】
いくつかの本発明に従う化合物の適合性を、例えばHeLa細胞、一次末梢ヒト血球(primary peripheral human blood cells)又は形質転換された細胞系、例えばH−9細胞のような他の宿主細胞に関してさらに調べた。
>10μMの本発明に従う化合物の濃度において、細胞毒性変化は観察されなかった。
【0109】
抗ウィルス活性の決定
点染装置(上記を参照されたい)のナイロン膜に上澄み液を移した後、HepG2.2.15細胞の上澄み液を変性させ(1.5M NaCl/0.5N NaOH)、中和し(3M NaCl/0.5M トリスHCl、pH7.5)、洗浄した(2xSSC)。続いてフィルターを120℃で2〜4時間インキュベーションすることにより、DNAを膜上に焼き付けた(baked)。
【0110】
DNAのハイブリッド形成
ナイロンフィルター上の処理されたHepG2.2.15細胞のウィルスDNAは通常、非−放射性、ジゴキシゲニン−標識B型肝炎−特異的DNAプローブを用いて検出され、それはそれぞれ製造者の規定に従ってジゴキシゲニンで標識され、精製され、ハイブリッド形成に用いられた。
【0111】
5xSSC、1x遮断薬(blocking reagent)、0.1% N−ラウロイルサルコシン、0.02% SDS及び100μgのニシン精子からのDNA中で予
備ハイブリッド形成及びハイブリッド形成を行った。60℃で30分間予備ハイブリッド形成を行い、特異的ハイブリッド形成は20〜40ng/mlのジゴキシゲニン化、変性HBV−特異的DNAを用いて行った(14時間、60℃)。続いてフィルターを洗浄した。
【0112】
ジゴキシゲニン抗体によるHBV DNAの検出
ジゴキシゲニン−標識DNAは、製造者の規定に従って免疫学的に検出された:
フィルターを洗浄し、遮断薬中で予備ハイブリッド形成させた(製造者の規定に従って)。続いてアルカリ性ホスファターゼに結合している抗−DIG抗体を用いて30分間それをハイブリッド形成させた。洗浄段階の後、アルカリ性ホスファターゼの基質であるCSPDを加え、フィルターと一緒に5分間インキュベーションし、続いてプラスチックフィルム内に包み、37℃でさらに15分間インキュベーションした。B型肝炎−特異的DNAシグナルの化学発光を、X−線フィルム上でフィルターを露出することにより視覚化した(インキュベーションはシグナル強度に依存する:10分〜2時間)。
【0113】
半−最大阻止濃度(IC−50、阻止濃度50%)を、B型肝炎−特異的バンドが本発明に従う化合物により未処理試料と比較して50%減少する濃度として決定した。
【0114】
驚くべきことに、本発明に従う化合物でB型肝炎ウィルス−生産性HepG2.2.15細胞を処理すると、細胞によりビリオンの形態で細胞培養上澄み液中に放出される、細胞培養上澄み液中のウィルスDNAの減少を生じた。
【0115】
本発明に従う化合物はウィルスに対して新規な、予期され得ぬ、且つ有用な作用を示す。驚くべきことに、それはB型肝炎(HBV)に対して抗ウィルス的に活性であり、従ってウィルス−誘導疾患の、特に急性及び慢性的持続性HBVウィルス感染の処置に適している。HBVによって生ずる慢性ウィルス疾患は種々の重度の臨床像に導き得る;既知の通り、慢性B型肝炎ウィルス感染は多くの場合に肝硬変及び/又は肝細胞癌を生ずる。
【0116】
本発明に従って有用である化合物に関して挙げることができる指示領域の例は:
感染性肝炎に導き得る急性及び慢性ウィルス感染、例えばB型肝炎ウィルスによる感染の処置である。慢性B型肝炎感染の処置及び急性B型肝炎ウィルス感染の処置は特に好ましい。
【0117】
本発明は無毒性、不活性で製薬学的に許容され得る賦形剤の他に1種もしくはそれより多い式(I)、(Ia)及び表Aの化合物を含有するか、あるいは1種もしくはそれより多い式(I)及び(Ia)の活性化合物から成る製薬学的調剤を包含し、これらの調剤の調製法も包含する。
【0118】
上記の製薬学的調剤において、式(I)及び(Ia)の活性化合物は、合計混合物の約0.1〜99.5重量%、好ましくは約0.5〜95重量%の濃度で存在しなければならない。
【0119】
上記の製薬学的調剤は、式(I)及び(Ia)の化合物に加え、さらに別の製薬学的活性成分も含むことができる。
【0120】
上記の製薬学的調剤は既知の方法による通常のやり方で、例えば単数もしくは複数の活性化合物を単数もしくは複数の賦形剤と混合することにより調製される。
【0121】
一般に人間の医学及び又、獣医学の両方において、所望の結果を達成するために、単数もしくは複数の活性化合物を24時間当たりに体重の1kgにつき約0.5〜約500、
好ましくは1〜100mgの合計量で、適宜、数回の個別の投薬の形態で投与するのが有利であることが見いだされた。個別の投薬量は、好ましくは体重の1kg当たりに約1〜約80、特に1〜30mgの量で単数もしくは複数の活性化合物を含有する。しかしながら、処置されるべき患者の性質及び体重、疾患の性質及び重度、調剤の型及び薬剤の投与ならびに投与が行われる時間もしくは間隔に依存して、特定した投薬量から変動させることが必要であり得る。
【実施例】
【0122】
出発材料
実施例I
3−フルオロピリジン N−オキシド
【0123】
【化26】

【0124】
11.10g(114.324ミリモル)の3−フルオロピリジンを74.00mlの酢酸中に溶解する。22.20mlのHを加え、混合物を100℃の浴温で7時間撹拌する。次いで混合物を30mlに濃縮し、30mlの水を加え、混合物をもう一度30mlに濃縮する。溶液をジクロロメタンと一緒に撹拌し、KCOの添加によりアルカリ性とし、相を分離し、水相をジクロロメタンで2回抽出し、乾燥し、濃縮する。
収量:11.5g(88.9%)
融点:66〜68℃
【0125】
実施例II
2−シアノ−3−フルオロピリジン
【0126】
【化27】

【0127】
5.20g(45.980ミリモル)の実施例Iからの化合物を50mlのアセトニトリル中に溶解する。アルゴン下で、13.70g(138.092ミリモル)のトリメチルシリルニトリルを加え、12.80mlのトリエチルアミンをゆっくり混合する。溶液を還流下で7時間、及び次いで室温で終夜撹拌する。次いで溶液を水流ポンプを用いて濃縮し、ジクロロメタン中に取り上げ、50mlの2N炭酸ナトリウムと一緒に2回振り、水で洗浄し、乾燥し、濃縮する。収量(粗):5.3g(油)
カラムクロマトグラフィー:メチレンクロリドからメチレンクロリド/酢酸エチル 10:1
油は固化する!
【0128】
実施例III
2−アミジノ−3−フルオロピリジン塩酸塩
【0129】
【化28】

【0130】
10.30g(84.355ミリモル)の実施例IIからの化合物を30mlのメタノール中に溶解する。溶液を65mlのメタノール中の0.40g(17.391ミリモル)のナトリウムの溶液と混合し、20℃で72時間撹拌する。5.44g(101.682ミリモル)の塩化アンモニウム(乳鉢中で粉砕)及び17.39ミリモル(1.04ml)の酢酸を加え、混合物を40℃で28時間撹拌し、冷却する。不溶性の塩を吸引濾過し(1.78g)、濾液を濃縮し、アセトンと一緒に濃縮し、続いてアセトンと一緒に撹拌し、吸引濾過し、洗浄する。
収量:10.6g
融点:約150℃、分解。
【0131】
実施例IV
2−シアノ−3,5−ジクロロ−ピリジン
【0132】
【化29】

【0133】
方法1
26g(0.158モル)の3,5−ジクロロ−ピリジン 1−オキシド(Johnson et al.,J.Chem.Soc.B,1967,1211)を80mlのCHCl中に溶解し、21.8ml(0.174モル)のシアン化トリメチルシリル及び14.6ml(0.158モル)のジメチルカルバモイルクロリドと連続的に混合し、室温で48時間撹拌する。混合物を100mlの10%濃度NaHCO溶液と混合し、10分間激しく撹拌する。相を分離し、水相をCHClで1回抽出し、合わせた有機相を乾燥し、濃縮する。残留物をシリカゲル上でCHClを用いてクロマトグラフィーにかけ、少量のメタノールから再結晶する。これは11g(40.2%)の2−シアノ−3,5−ジクロロ−ピリジンを与える(融点:102℃)。
【0134】
方法2
Troschuetz,R.et al.,J.Heterocycl.Chem.1996,33,1815−1821の方法により、150mlのジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、47.68g(0.261モル)の2,3,5−トリクロロピリジン、2.0g(0.005モル)のテトラフェニルホスホニウムブロミド、4
.0g(0.024モル)の微粉末化ヨウ化カリウム及び75.0g(0.838モル)のシアン化銅(I)を窒素下において加え、混合物を還流において24時間撹拌する。さらに100mlのジグライム、2.0g(0.005モル)のテトラフェニルホスホニウムブロミド、4.0g(0.024モル)の微粉末化KI及び75g(0.838モル)のCuCNを続いて加え、混合物を還流においてさらに89時間撹拌する。混合物を室温に冷却し、吸引濾過し、蒸留により濾液からほとんどのジグライムを除去する。残留物をトルエン中に取り上げ、モール塩の水溶液及び次いでNaHCO溶液で洗浄する(過酸化物試験)。次いで水を用いて混合物を洗浄してジグライムを除去し、セライトを介して濾過し、濾液をMgSO上で乾燥し、溶液を濃縮する。これは18.0g(40.0%)の2−シアノ−3,5−ジクロロピリジンを与える。
【0135】
実施例V
3,5−ジフルオロ−ピリジン−2−カルボニトリル
【0136】
【化30】

【0137】
50g(0.29モル)の3,5−ジクロロピリジン−2−カルボニトリル(実施例IV)、33.6g(0.58モル)のフッ化カリウム及び10gのポリエチレングリコール 800を125mlのDMSOと混合し、160℃で30分間加熱する。冷却後、生成物をDMSOと一緒に高真空下で蒸留し、蒸留物を水中に注ぎ、トルエンで抽出し、NaSO上で乾燥する。生成物をトルエン中の溶液としてさらに反応させる。
(R値:0.43、シクロヘキサン/酢酸エチル=7.3)
【0138】
実施例VI
3,5−ジフルオロ−2−ピリジンカルボキシイミドアミド塩酸塩
【0139】
【化31】

【0140】
33.4g(0.624モル)の塩化アンモニウムを1lのトルエン中に懸濁させ、0〜5℃に冷却する。328mlのトリメチルアルミニウム(ヘキサン中の2M、0.624モル)を滴下し、メタンの発生が止むまで混合物を室温で撹拌する。次いでトルエン中の3,5−ジクロロ−ピリジン−2−カルボニトリルの溶液(実施例Vからの溶液)を滴下し、次いで混合物を80℃で終夜撹拌する。0〜−5℃に冷却した後、気体の発生が止むまでMeOHを滴下し、塩を吸引濾過し、少量のMeOHで2回洗浄する。回転蒸発器を用いて混合物を濃縮し、残留物を500mlのCHCl/MeOH(9:1)中に
溶解し、もう一度吸引濾過して無機塩を除去する。回転蒸発器を用いて混合物を濃縮し、23.6g(39.1%)の3,5−ジフルオロ−2−ピリジンカルボキシイミドアミドを塩酸塩として得る(融点:183℃)。
H−NMR(DMSO−D6):8.3−8.45(m,1H),8.8(d,J=2Hz,1H),9.7(s,ブロード,4H)ppm。
【0141】
実施例VII
2−アセチル−3−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−プロペン酸メチル
【0142】
【化32】

【0143】
50g(315ミリモル)の2−クロロ−4−フルオロ−ベンズアルデヒド及び36.6g(315ミリモル)のアセト酢酸メチルを150mlのイソプロパノール中に溶解し、1.7mlのピペラジンアセテートと混合する。混合物を室温で終夜撹拌し、次いでメチレンクロリドで希釈し、水で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮する。粗生成物をシス−トランス混合物としてさらに反応させる。
【0144】
製造実施例
実施例1
4−(2−ブロモフェニル)−2−(3−フルオロピリジン−2−イル)−6−メチル−1,4−ジヒドロ−ピリミジン−5−カルボン酸エチル
【0145】
【化33】

【0146】
3.00mlのエタノール中の92.50mg(500μモル)の2−ブロモベンズアルデヒドを65.0mgのアセト酢酸エチル、91.80mgの実施例IIIからの化合物及び43.06mgの酢酸ナトリウムと連続的に混合し、混合物を6時間煮沸する。混合物を冷却し、濃縮し、2mlの1N HCl及び4mlのHO及び酢酸エチル中に溶解し、相を分離し、有機相を1mlの1N HCl及び水で抽出し、あわせた水相をエーテルで洗浄する。希アンモニア水を用いて水相をアルカリ性とし、酢酸エチルで抽出し、有機相をHOで洗浄し、乾燥し、濃縮する。残留物を少量のエーテル中に溶解し、結晶化させる。結晶を吸引濾過し、エーテルで洗浄し、60℃で減圧下において乾燥する。
TLC:純粋(トルエン/酢酸エチル=4:1)
収量:92mg(44%)
融点:163〜165℃
【0147】
表1に挙げる化合物は実施例1の方法により製造される:
【0148】
【表13】

【0149】
【表14】

【0150】
【表15】

【0151】
【表16】

【0152】
【表17】

【0153】
【表18】

【0154】
【表19】

【0155】
【表20】

【0156】
【表21】

【0157】
【表22】

【0158】
【表23】

【0159】
【表24】

【0160】
【表25】

【0161】
【表26】

【0162】
【表27】

【0163】
【表28】

【0164】
【表29】

【0165】
【表30】

【0166】
実施例61
4−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−(3,5−ジフルオロ−2−ピリジニル)−6−メチル−1,4−ジヒドロピリミジン−5−カルボン酸メチル(表を参照されたい)
4.5g(23.2ミリモル)の3,5−ジフルオロ−2−ピリジンカルボキシイミドアミド塩酸塩(実施例VI)を7.7g(30ミリモル)の2−アセチル−3−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−プロペン酸メチル(実施例VII)及び2.3g(27.9ミリモル)の酢酸ナトリウムと一緒に120mlのイソプロパノール中に溶解するか、又は懸濁させ、還流下で4時間煮沸する。
【0167】
混合物を室温に冷却し、次いで吸引濾過して無機塩を除去し、濃縮する。残留物を30
mlの1N HCl及び35mlの酢酸エチル中に取り上げ、相を分離する。酢酸エチル相を30mlの1N HClを用いて1回再抽出する。合わせた水相を各回10mlのジエチルエーテルを用いて3回抽出する。NaOHを用いて水相をアルカリ性とし、酢酸エチルで抽出する。有機相をNaSO上で乾燥し、濃縮する。
【0168】
これは7.4g(80%)の生成物を与える(融点:126℃)
H−NMR(DMSO−D:2.4(s,3H),3.5(s,3H),6.0(s,1H),7.2(m,1H),7.4(m,2H),8.0(m,1H),8.55(d,J=2Hz,1H),9.75(s,NH)ppm。
【0169】
キラルカラム(BakerからのChiralpak,AS、移動相n−ヘプタン/エタノール=8:2)上におけるエナンチオマーの分離の後に(−)−エナンチオマーが得られた。
融点:117℃(エタノールから)
比旋光度:−62.8(MeOH)
【0170】
【表31】

【0171】
【表32】

【0172】
【表33】

【0173】
【表34】

【0174】
【表35】

【0175】
【表36】

【0176】
【表37】

【0177】
【表38】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

の化合物又はその異性体(Ia)
【化2】

[式中、
はフェニルを示すか、又は式
【化3】

の基を示し、
ここで、上記の環系は場合によりハロゲン、トリフルオロメチル、ニトロ、ヒドロキシル及び(C−C)−アルキルより成る群から選ばれる同一もしくは異なる置換基により一−もしくは多置換されていることができ、
ならびに/あるいは上記の環系は場合により式NRの基により置換されていることができ、
ここで
及びRは水素を示し、
は式−XR12の基を示し、
ここで
Xは酸素を示し、
12はアリル又は場合によりフェノキシにより置換されていることができる直鎖状もしくは分枝鎖状の(C−C)アルキルを示し、
はアミノ、(C−C)アルキル又はシクロプロピルを示し、
は水素を示し、
はピリジルを示し、それはハロゲン、トリフルオロメチル、(C−C)−アルコキシ及び(C−C)−アルキルより成る群からの同一もしくは異なる1〜3個の置換基により置換されている]
又はそれらの塩、ただし、下記の構造
【化4】

の化合物又はその塩は除く。
【請求項2】
[A]一般式(II)
−CHO (II)
[式中、
は請求項1で定義した通りである]
のアルデヒドを式(III)
【化5】

[式中、
は請求項1で定義した通りである]
のアミジン又はその塩酸塩及び一般式(IV)
−CO−CH−CO−R (IV)
[式中、
及びRはそれぞれ請求項1で定義した通りである]
の化合物と、適宜不活性有機溶媒の存在下に、塩基もしくは酸を添加して又は添加せずに反応させるか、
あるいは
[B]一般式(V)
【化6】

[式中、
、R及びRはそれぞれ上記で定義した通りである]
の化合物を一般式(III)
【化7】

[式中、
は上記で定義した通りである]
のアミジンと、適宜不活性有機溶媒の存在下に、20℃〜150℃の温度で、塩基もしくは酸を添加して又は添加せずに反応させるか、
あるいは
[C]一般式(II)
−CHO (II)
[式中、
は上記で定義した通りである]
のアルデヒドを一般式(VI)
【化8】

[式中、
及びRはそれぞれ上記で定義した通りである]
の化合物及び上記の通りの一般式(III)のアミジンと反応させるか、
あるいは
[D]一般式(II)のアルデヒドを一般式(IV)の化合物及び一般式(VII)
【化9】

[式中、
は上記で定義した通りであり、
は(C−C)−アルキルを示す]
のイミノエーテルと、アンモニウム塩の存在下で反応させる
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物の製造法。

【公開番号】特開2010−241837(P2010−241837A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165860(P2010−165860)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2000−544665(P2000−544665)の分割
【原出願日】平成11年4月7日(1999.4.7)
【出願人】(309020976)バイエル・シエリング・フアーマ・アクチエンゲゼルシヤフト (6)
【Fターム(参考)】