説明

ジブ結合ピン付勢装置

【課題】本発明は、ジブの重量を過度に増加させることなく、ジブの連結作業を行うことが可能なジブ結合ピン付勢装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ジブ結合ピン着脱装置1は、シリンダ11と当該シリンダ11に対して進退可能なロッド12とを有する油圧シリンダ10を備えている。また、ジブ結合ピン着脱装置1は、ロッド12の進退方向と平行な方向へのシリンダ11に対する移動が規制されるようにシリンダ11に対して取り付けられたブラケット20と、ブラケット20に設けられたリンク機構30と、を備えている。リンク機構30は、結合ピン16を単位ジブ103b、103cの結合穴4h、6hに挿入するときに、シリンダ11に作用する反力を、結合する2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cを互いに引き離す向きに単位ジブ103bの副材3a及び単位ジブ103cの副材3bに作用させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジブ結合ピンを着脱可能なジブ結合ピン付勢装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のラッフィングジブが知られている。このラッフィングジブにおける分割ジブ(単位ジブ)は、長手方向一方の端部に位置し、背面側及び腹面側にそれぞれ設けられている一対のラグ片で構成されたエンド部と、長手方向他方の端部に位置し、長手方向一方の端部に位置するエンド部に嵌合可能な片部で構成された受け部を備えている。そして、エンド部に係合手段が設けられている。この係合手段は、エンド部に固定されている油圧シリンダと、油圧シリンダ内で往復可能なピストンと、エンド部の挿通孔に対して係脱可能な係合ピン(ジブ結合ピン)を備えたプランジャ等を備える。
この構成によれば、油圧シリンダを駆動させることで、ジブ結合ピンをエンド部の挿通孔に対して係脱可能であるので、分割ジブの連結作業において作業者が直接エンド部まで移動して作業を行う必要はない。そのため、分割ジブの連結時における作業者の高所作業をなくすことができる。また、分割ジブの連結操作を簡単に行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−291775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の分割ジブによれば、係合手段が常設されているため、分割ジブの重量が大きく増加する。そのため、当該分割ジブを連結して構成されるラッフィングジブの総重量は著しく増加する。この場合、当該ラッフィングジブを用いて吊上げ可能な吊り荷の最大重量が減少してしまう。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、ジブの重量を過度に増加させることなく、ジブの連結作業を行うことが可能なジブ結合ピン付勢装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るジブ結合ピン付勢装置における第1の特徴は、シリンダと当該シリンダに対して進退可能なロッドとを有する油圧シリンダと、前記ロッドの進退方向と平行な方向への前記シリンダに対する移動が規制されるように当該シリンダに対して取り付けられたブラケットと、前記ブラケットに設けられた反力支持手段と、を備え、前記反力支持手段は、前記ロッドでジブの幅方向に向かって結合ピンを付勢して当該結合ピンを当該ジブの結合穴に挿入するときに、前記シリンダに作用する反力に対応する力を、結合する2つの単位ジブを互いに引き離す向きに当該2つの単位ジブに作用させることである。
【0007】
この構成によると、ジブの結合穴に結合ピンを挿入するときに、結合する2つの単位ジブを互いに引き離す向きにブラケットから反力支持手段を介して当該2つの単位ジブに対して反力に対応した力が作用するため、反力支持手段と単位ジブとの間の摩擦力により、ブラケットの反力方向への移動を抑えることができる。
これにより、単位ジブ側にブラケットの反力方向への移動を拘束するための拘束部材を設けなくてもよく、また、仮に設けたとしても低強度の拘束部材でよく、単位ジブの大幅な重量増加を防ぐことができる。
【0008】
また、本発明に係るジブ結合ピン付勢装置における第2の特徴は、前記油圧シリンダは、前記ブラケットを介してジブ上に載置可能であり、前記反力支持手段は、前記ブラケットに対して、第1回動軸回りに回動自在に連結された一対の第1リンクと、前記一対の第1リンクに、それぞれ、前記第1回動軸と平行な第2回動軸回りに回動自在に連結された一対の第2リンクと、を備え、前記油圧シリンダが前記ブラケットを介してジブ上に載置されているときに、前記第1回動軸及び前記第2回動軸が、前記ロッドの進退方向及び結合する2つの単位ジブを互いに引き離す方向に対して垂直になるように構成され、前記ロッドで結合ピンを付勢して当該2つの単位ジブの結合穴に挿入するときに、前記シリンダに作用する反力が、前記ブラケット、一対の前記第1リンク及び一対の第2リンクを介して、当該2つの単位ジブを互いに引き離す向きに当該2つの単位ジブに伝達されるように構成されていることである。
【0009】
この構成によると、第1リンク及び第2リンクを用いた簡易な構成で、シリンダに作用する反力を、結合する2つの単位ジブを互いに引き離す向きに当該2つの単位ジブに作用させることができる。
また、ジブ結合ピン付勢装置を簡易な構成とすることができるため、結果として、ジブ結合ピン付勢装置の軽量化を図ることができる。これにより、ジブ結合ピン付勢装置のハンドリングが容易になり、ジブ組み立ての作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のジブ結合ピン付勢装置を用いることで、ジブの重量を過度に増加させることなく、ジブの連結作業を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】複数の単位ジブが結合されたジブを備えるラッフィングクレーンを示す模式図。
【図2】図1に示す一つの単位ジブを示す模式図。
【図3】本実施形態のジブ結合ピン付勢装置をジブ上に設置した状態を示す平面図。
【図4】図3に示すジブ結合ピン付勢装置を矢印Y1方向から見た図。
【図5】図3に示すジブ結合ピン付勢装置のY2−Y2断面図。
【図6】図3に示す油圧シリンダと結合ピンとの接続状態を説明するための分解図。
【図7】図3に示すブラケットを示す図。
【図8】油圧シリンダで結合ピンを付勢して結合穴に挿入している状態を示す図。
【図9】結合ピンを結合穴に完全に挿入した状態を示す図。
【図10】油圧シリンダで結合ピンを結合穴から引き抜いている状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、複数の単位ジブ(103a〜103g、104a〜104f)が結合されたジブ103及びジブ104を備えるラッフィングクレーン100を示す模式図である。尚、図1は、ジブ103及びジブ104の組立て直後の状態を示している。
後述する、本実施形態のジブ結合ピン着脱装置1(ジブ結合ピン付勢装置)は、当該ラッフィングクレーン100における隣接する2つの単位ジブを互いに結合または分解する際に用いる装置である。具体的には、結合ピンを単位ジブの結合穴に挿入し、また、当該結合ピンを結合穴から引き抜くことが可能な装置である。
【0014】
図1に示すように、ラッフィングクレーン100は、走行台車101の上に旋回自在に搭載された旋回体102の前部に、起伏可能なジブ103がジブフットピンを介して装着されると共に、このジブ103のジブトップに、回動可能にジブ104が装着されてなる自走式のクレーンである。
【0015】
ジブ103及びジブ104は、複数の単位ジブ(103a〜103g、104a〜104f)を直列に連結して構成されている。
ジブ103は、基端ジブ103a、第1継ジブ103b、第2継ジブ103c、第3継ジブ103d、第4継ジブ103e、第5継ジブ103f、及び、先端ジブ103gからなる複数の単位ジブによって構成されている。
基端ジブ103aは、第1ジブ103の最も基端側に位置する単位ジブであり、旋回体102に対して回動自在に取り付けられるものである。先端ジブ103gは、第1ジブ103の最も先端側に位置する単位ジブである。第1〜第5継ジブ103b〜103fは、基端ジブ103aと先端ジブ103gとの間に介装される単位ジブである。
【0016】
同様に、ジブ104は、基端ジブ104a、第1継ジブ104b、第2継ジブ104c、第3継ジブ104d、第4継ジブ104e、及び、先端ジブ104fからなる複数の単位ジブによって構成されている。尚、基端ジブ104aは、第1ジブ103の先端ジブ103gに対して回動可能に取り付けられる。
【0017】
各単位ジブは、複数の骨材(パイプ状部材)を組み合わせたラチス構造を有している。
【0018】
図2は、図1おける第1ジブ103を形成する一の単位ジブである第1継ジブ103bの概略図である。尚、図2(a)は、第1継ジブ103bをジブの背面側(図1における矢印X1方向)から見た図である。図2(b)は、第1継ジブ103bをジブの幅方向と平行な方向(図2(a)において矢印X2方向)から見た図である。また、図2(c)は、第1継ジブ103bをジブの前後方向と平行な方向(図2(a)において矢印X3方向)から見た図である。
【0019】
図2に示すように、第1継ジブ103bは、略四角柱形の各角部に相当する位置に配置された4本の主材2と、隣り合う主材2間を繋ぐ複数の副材3とによってボックス形を呈するように構成されている。尚、このボックス形のジブにおいては、図1において地面に対向する面を腹面、ジブの起立方向を向く面を背面と称する。図2に示すように、第1継ジブ103bは、長手方向の先端部における背面側及び腹面側のそれぞれに、ジブ幅方向において対をなす連結部4A・4B及び連結部5A・5Bを備えている。
【0020】
一対の連結部4A・4B及び一対の連結部5A・5Bは、第1継ジブ103bを構成する主材2の長手方向における端部に設けられている。この連結部4A・4B、5A・5Bは、それぞれ、ジブ幅方向において所定の間隔をあけて対面する一対の片部を備えて構成される。当該一対の片部には、ジブ幅方向に貫通する結合穴4h、5hが形成されている。
【0021】
また、第1継ジブ103bの、長手方向における連結部4A・4B、5A・5Bとは逆側の端部には、前記一対の片部の間に嵌合可能な片部を備える連結部6が設けられている。当該片部には、ジブ幅方向に貫通する結合穴6hが形成されている。
【0022】
第1継ジブ103bは、このように構成されているので、第2継ジブ103cの端部に設けられた連結部6’(第1継ジブ103bの連結部6と同形状の連結部、図3参照)を、第1継ジブ103bの連結部4A・4B、5A・5Bにおける前記一対の片部の間に嵌合させて、結合穴4h、5hと第2継ジブ103cの連結部6’に設けられた結合穴6h’とに結合ピンを挿通することで、当該第1継ジブ103bと当該第2継ジブ103cとを連結できるようになっている。
【0023】
図3は、第1継ジブ103bの一端の連結部4Bと、第2継ジブ103cの一端の連結部6’とを互いに嵌合させた状態で、本実施形態のジブ結合ピン着脱装置1を、当該第1継ジブ103bと第2継ジブ103cとに跨るように、ジブ上に設置した状態を示す平面図である。また、図4は、図3に示すジブ結合ピン着脱装置1を矢印Y1方向から見た図である。尚、図4において、リンク機構30の一部を副材3a、3bに垂直な断面で示している。
また、図5は、図3に示すジブ結合ピン着脱装置1のY2−Y2断面図である。尚、シリンダ11、ロッド12、第1連結部材14、第2連結部材15、及び結合ピン16については、断面ではなく、矢印Y2の向きと同じ方向から見た側面図である。
【0024】
図3〜図5に示すように、ジブ結合ピン着脱装置1は、第1継ジブ103bの連結部4B近傍でジブ幅方向に延びる副材3aと、第2継ジブ103cの連結部6’近傍でジブ幅方向に延びる副材3bと、に跨って、当該副材3a及び副材3bの上に載置されている。
副材3aは、第1継ジブ103bの背面側に位置する2本の主材2の連結部4B及び連結部4A側の端部を連結するように配置される副材である。尚、当該副材3aは、連結部4B及び連結部4Aに形成された結合穴4hの軸方向と平行に延びている。
また、副材3bは、第2継ジブ103cの背面側に位置する2本の主材2の連結部6’側の端部を連結するように配置される副材である。尚、当該副材3bは、連結部6’に形成された結合穴6h’の軸方向と平行に延びている。
第1継ジブ103bの一端にある4つの連結部と、第2継ジブ103cの一端にある4つの連結部とがそれぞれ嵌合した状態において、これらの副材3a及び副材3bは、互いに平行に延びている。
【0025】
ジブ結合ピン着脱装置1は、油圧シリンダ10と、油圧シリンダ10が取り付けられるブラケット20と、ブラケット20に対して回動自在に固定されたリンク機構30とを備えている。
【0026】
図6は、油圧シリンダ10と結合ピン16との接続状態を説明するための分解図である。
図6に示すように、油圧シリンダ10は、シリンダ11と、シリンダ11に対して進退可能なロッド12とを有している。そして、シリンダ11内に圧油を供給することにより、ロッド12を進出方向または退避方向に移動させることができる。
【0027】
シリンダ11の先端には、ロッド12の軸方向から見て矩形状の板状のプレート13がナットで固定されている。
そして、当該プレート13部分を後述するブラケット20の溝に挿入することで、シリンダ11をブラケット20に対して固定することができる。
【0028】
また、ロッド12の先端にはネジ部が形成されており、第1連結部材14にねじ込まれている。そして、当該第1連結部材14の側面を貫通するピンにより固定されている。
【0029】
第1連結部材14は、基端面にロッド12の先端がねじ込まれるネジ穴14aが形成されており、先端側にネジ穴14aの軸方向と垂直な方向に貫通する貫通孔14bが形成された板状部14cが設けられている。
【0030】
そして、第1連結部材14は、第2連結部材15にピン17で固定されている。
第2連結部材15は、一端に所定の間隔をあけて対面する一対の片部15aとを備えて構成され、当該一対の片部15aを貫通する貫通孔15bが形成されている。また、第2連結部材15の他端には、ネジ山が形成された軸部15cが設けられている。尚、軸部15cは、貫通孔15bの軸方向と垂直方向に延びている。
そして、第1連結部材14の板状部14cを一対の片部15aの間に配置し、第1連結部材14の貫通孔14b及び一対の片部15aの貫通孔15bにピン17を貫通させることで、第1連結部材14と第2連結部材15とが固定される。
【0031】
第2連結部材15の軸部15cは、結合ピン16の基端面に形成されたネジ穴16aにねじ込まれる。ネジ穴16aは、結合ピン16の軸と同軸で延びるように形成されている。
【0032】
以上のように、油圧シリンダ10のロッド12は、第1連結部材14及び第2連結部材15を介して、結合ピン16と連結されており、当該結合ピン16をロッド12の軸と同軸に配置することで、ロッド12の付勢力を、当該結合ピン16に伝達することができる。また、ロッド12をシリンダ11内に引き込むことで、結合ピン16をシリンダ11側に引き寄せることができる。
【0033】
図7(a)は、図3に示すブラケット20を抜き出して示す図である。図7(b)は、ブラケット20を連結部4B側から支持棒24と平行に見た図である。図7(c)は、ブラケット20を第1板状部21側から支持棒24と平行に見た図である。図7(d)は、ブラケット20を、副材3b側から見た図である。
図7に示すように、ブラケット20は、端部に設けられた第1板状部21と、第1板状部21の両端近傍部に重なるように溶接された一対の第2板状部22と、一対の第2板状部22における第1板状部21とは逆側の面に重なるように溶接された概略三角形状の一対の第3板状部23と、当該一対の第3板状部23にそれぞれ溶接されて当該第3板状部23と垂直に延びる一対の支持棒24と、当該一対の支持棒24の中間部に溶接された概略三角形状の第4板状部25と、を備えている。尚、図7では省略するが、図3に示すように、ジブ結合ピン着脱装置1において、ブラケット20には、リンク機構30が取り付けられている。
【0034】
第1板状部21は、中央部にU字状の切り欠き21aが形成されている。当該切り欠き21aは、油圧シリンダ10のシリンダ11を嵌め込むことができるように形成されている。
一対の第2板状部22は、矩形状に形成されており、第1板状部21における当該切り欠き21aを挟んで左右対称となるように第1板状部21に対して溶接されている。
【0035】
一対の第3板状部23は、一対の第2板状部22の間隔よりも狭い間隔となるように、切り欠き21aに対して左右対称に当該第2板状部22に溶接されている。これにより、平面視にて、第1板状部21と第2板状部22と第3板状部23とで、凹部28が形成される。当該凹部28に、シリンダ11のプレート13の両端を嵌め込むとともに、シリンダ11を第1板状部21の切り欠き21aに嵌め込むことで、シリンダ11がブラケット20に固定される。
【0036】
また、一対の第3板状部23は、支持棒24の軸と平行な方向から見たときに、ブラケット20の対称面Sが延びる方向を上下方向としたときに、外側(対称面から離れる方向)に向かうほど、下辺が斜め上方に延びるように形成されており、延出端部近傍において凹状の円弧を描くように構成されている(図7(c)参照)。当該円弧の径は、ジブの副材3a、3bの径と等しくなるように形成されている。尚、第3板状部23の上辺は、対称面Sと垂直に延びている。
【0037】
また、第3板状部23における第2板状部22が溶接される面には、当該面に対して垂直な方向に張り出す板状のリンク取り付け部26が溶接されている。当該板状のリンク取り付け部26は、対称面Sと垂直に配置されており、当該板状のリンク取り付け部26を直交するように貫通する貫通孔26aが形成されている。
【0038】
また、第3板状部23と、支持棒24とは、対称面Sと垂直に配置された連結板27で連結されている。当該連結板27は、両端をそれぞれ、第3板状部23における第2板状部22が溶接される面とは逆側の面と、支持棒24とに溶接されている。
【0039】
第4板状部25は、支持棒24が貫通した状態で、当該支持棒24に対して溶接されている。そして、当該第4板状部25を支持棒24の軸と平行な方向から見たときに、支持棒24よりも外側に位置する部分の外縁は、第3板状部23の外縁と一致する(図7(a)参照)。一方、当該第4板状部25における支持棒24から内側に突出する部分の長さは、第3板状部23における支持棒24から内側に突出する部分の長さよりも短くなっている。つまり、一対の第4板状部25の間隔は、一対の第3板状部23の間隔よりも広い。当該一対の第4板状部25の間隔は、結合ピン16が、当該一対の第4板状部25の間を通過可能な間隔である。
【0040】
(リンク機構)
図3及び図4に示すように、リンク取り付け部26には、リンク機構30が取り付けられている。
リンク機構30は、リンク取り付け部26に回動自在に取り付けられた第1リンク31と、第1リンク31に回動自在に取り付けられた第2リンク32とを備えている。
【0041】
第1リンク31は、所定の間隔を空けて対向する2枚の長板が互いに中間部で溶接されて形成されるリンクであり、長手方向両端に2枚の板を同軸で貫通する貫通孔が形成されている。当該第1リンク31の一端は、リンク取り付け部26の貫通孔26aに貫通する第1ピン33により、回動自在に固定されている。尚、リンク取り付け部26は、第1リンク31の一対の長板間に配置される。
【0042】
第2リンク32は、副材3の外周に沿うような円弧面αを有して弓状に形成された先端部材32aと、先端部材32aの基端側から延びる板部32bとからなる。当該板部32bは、先端部材32aにおける、円弧面αの周方向中央部の裏側に相当する位置から、当該円弧面αの径方向外側に、円弧面αの中心軸と平行な面を形成するように延びている。当該板部32bの延出方向端部には、当該板部32bに直交する貫通孔が形成されている。そして、第1リンク31の他端部(リンク取り付け部26との連結端とは逆側の端部)に形成された貫通孔及び当該板部32bに形成された貫通孔を貫通する第2ピン34により、当該板部32bが第1リンク31の他端部に対して回動自在に固定されている。尚、板部32bは、第1リンク31の一対の板間に配置される。
【0043】
第2リンク32における先端部材32aの円弧面αを覆うように、ゴムで形成されたグリップ部材35が設けられている。
グリップ部材35は、断面コの字状で円弧面αの周方向に沿って延びる形状である。当該グリップ部材35は、先端部材32aの円弧面α及び当該先端部材32aを両側面を覆うように、当該先端部材32aに嵌め込まれている。そして、グリップ部材35は、先端部材32aの円弧面α及び両側面に密着している。
【0044】
(結合ピンの着脱動作)
次に、ジブ結合ピン着脱装置1を用いた結合ピン16の着脱動作について説明する。
◆まず、結合ピン16を結合穴4h及び結合穴6hに挿入する動作について説明する。
図8は、油圧シリンダ10で結合ピン16を付勢して結合穴4h及び結合穴6hに挿入している状態を示す図である。
【0045】
まず、図6で説明したように、油圧シリンダ10のロッド12の先端に、第1連結部材14及び第2連結部材15を介して、結合ピン16を取り付ける。
そして、当該油圧シリンダ10をブラケット20に取り付ける。即ち、ブラケット20の凹部28に、シリンダ11のプレート13を嵌め込むとともに、シリンダ11を第1板状部21の切り欠き21aに嵌め込むことで、シリンダ11をブラケット20に対して固定する。尚、ブラケット20には、予め一対のリンク機構30が固定されている。
その後、結合ピン16、油圧シリンダ10、及びブラケット20が一体化されたジブ結合ピン着脱装置1を、図3に示すように、ジブ上に載置する。このとき、第3板状部23及び第4板状部25の端部の円弧状部分が、副材3a、3b上に配置されることで、結合穴4h、6h’の軸とロッド12の軸とが同一直線状となる。
尚、ブラケット20を先にジブ上に載置し、その後、油圧シリンダ10に結合ピン16を取り付けたユニットを、ブラケット20に取り付けても良い。
【0046】
ジブ結合ピン着脱装置1をジブ上に設置した後、リンク機構30を、一対の第2リンク32の円弧面αが、それぞれ、ジブの副材3a及びジブの副材3bに対向し、グリップ部材35が副材3a及び副材3bに当接するように回動させる。即ち、図3において、二点差線で示す状態から実線で示す状態になるようにリンク機構30を回動させる。尚、このとき、第1リンク31が、リンク取り付け部26から、ロッド12の退避方向に対して約45°傾いた方向に延びるように(図3において第1リンク31の両端のピン33、34の中心を結ぶ直線の方向が、ロッド12の進退方向に対して、約45°傾くように)、リンク機構30が構成されている。
【0047】
そして、図3に示す状態で、シリンダ11からロッド12を進出させ、結合ピン16を進出方向に付勢する。
図8に示すように、結合ピン16がロッド12に付勢されて結合穴4h及び結合穴6hに挿入されているとき、シリンダ11は押し込み方向とは逆側に向かって作用する力(反力)を受ける。当該反力は、プレート13を介してブラケット20に作用する。即ち、ブラケット20は、連結部4B及び連結部6’から離れる方向に力を受ける。ここで、第2リンク32は、グリップ部材35を介して副材3a及び副材3bの外周に当接するように配置されており、当該副材3a、3bとの間の摩擦により、第2リンク32の副材3a、3bの軸方向へのスライド移動は拘束されている。そのため、第1リンク31は、第1ピン33及び第2ピン34回りに回動しようとして、結合ピン16の押し込み力に対応した力で、当該第2リンク32を副材3a、3b側に付勢する。結果として、当該付勢力に対応して増加する摩擦力(第2リンク32と副材3a、3bとの間で作用する摩擦力)によって、結合ピン16を押し込む間、ブラケット20が所定の位置に保持される。
【0048】
◆次に、結合ピン16を結合穴4h及び結合穴6hから引き抜く動作について説明する。
図9は、結合ピン16を結合穴4h及び結合穴6hに完全に挿入した状態を示す図である。また、図10は、油圧シリンダ10で結合ピン16を結合穴4h及び結合穴6hから引き抜いている状態を示す図である。
【0049】
結合穴4h及び結合穴6hに完全に挿入された結合ピン16を引き抜く際は、まず、結合ピン16のネジ穴16aに第2連結部材15をねじ込む。そして、ロッド12の先端に第1連結部材14を取り付けた油圧シリンダ10と、リンク機構30を備えるブラケット20とからなるユニットを、結合ピン16で連結されたジブ上の所定位置に載置し、第1連結部材14と第2連結部材15とをピンで固定する。
図9は、上記のようにジブ結合ピン着脱装置1が設置された状態を示している。
この状態で、ロッド12をシリンダ11内に引き込む。このとき、ブラケット20は、シリンダ11がロッド12から受ける反力によりロッド12の進出方向に移動しようとするが、当該移動は、支持棒24の先端が連結部4Bに当接することで規制される。即ち、前記反力は、連結部4Bで支持されることになる。結果として、図10に示すように、ブラケット20が所定の位置に保持された状態で、結合ピン16を結合穴4h及び結合穴6hから引き抜くことができる。
【0050】
(本実施形態の効果)
(1)
以上、説明したように、本実施形態に係るジブ結合ピン着脱装置1(ジブ結合ピン付勢装置)は、シリンダ11と当該シリンダ11に対して進退可能なロッド12とを有する油圧シリンダ10を備えている。また、ジブ結合ピン着脱装置1は、ロッド12の進退方向と平行な方向へのシリンダ11に対する移動が規制されるようにシリンダ11に対して取り付けられたブラケット20と、ブラケット20に設けられたリンク機構30(反力支持手段)と、を備えている。
リンク機構30は、ロッド12でジブ103(単位ジブ103b及び単位ジブ103c)の幅方向に向かって結合ピン16を付勢して当該結合ピン16を単位ジブ103b及び単位ジブ103cの結合穴4h及び結合穴6hに挿入するときに、シリンダ11に作用する反力に対応する力を、結合する2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cを互いに引き離す向きに単位ジブ103bの副材3a及び単位ジブ103cの副材3bに作用させる。
【0051】
この構成によると、結合穴4h及び結合穴6hに結合ピン16を挿入するときに、結合する2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cを互いに引き離す向きにブラケット20からリンク機構30を介して当該単位ジブ103b及び単位ジブ103cに対して作用するため、リンク機構30と単位ジブ103b、103cとの摩擦力により、ブラケット20の反力方向への移動を抑えることができる。
これにより、単位ジブ103b、103c側にブラケット20の反力方向への移動を拘束するための部材を設けなくてもよく、単位ジブの重量増加を防ぐことができるとともに、既存の単位ジブをそのまま使用することができるので、クレーンの製作コストを低減できる。
【0052】
(2)
また、油圧シリンダ10は、ブラケット20を介して単位ジブ103bの副材3a及び単位ジブ103cの副材3b上に跨って載置可能である。更に、リンク機構30は、ブラケット20に対して、第1ピン33(第1回動軸)回りに回動自在に連結された一対の第1リンク31と、一対の第1リンク31に、それぞれ、第1ピンと平行な第2ピン34(第2回動軸)回りに回動自在に連結された一対の第2リンク32と、を備える。
そして、油圧シリンダ10がブラケット20を介して単位ジブ103bの副材3a及び単位ジブ103cの副材3b上に跨って載置されているときに、第1ピン33及び第2ピン34が、ロッド12の進退方向(ジブの幅方向)及び結合する2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cを互いに引き離す方向(ジブの前後方向)に対して垂直になるように構成されている。
また、ロッド12で結合ピン16を付勢して当該2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cの結合穴4h及び結合穴6hに挿入するときに、シリンダ11に作用する反力が、ブラケット20、一対の第1リンク31及び一対の第2リンク32を介して、当該2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cを互いに引き離す向きに当該2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cに伝達されるように構成されている。
【0053】
この構成によると、リンク機構30を用いた簡易な構成で、シリンダ11に作用する反力を、2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cを互いに引き離す向きに当該2つの単位ジブ103b及び単位ジブ103cに作用させることができる。
また、ジブ結合ピン着脱装置1を簡易な構成とすることができるため、結果として、ジブ結合ピン着脱装置1の軽量化を図ることができる。これにより、補助クレーン等を用いることなく、作業者が自身の力でジブ結合ピン着脱装置1を移動させて使用することも可能になる。これにより、ジブ組み立ての作業効率を向上させることができる。
【0054】
尚、本実施形態のジブ結合ピン着脱装置1を用いることで、シリンダ11に作用する反力を、ブラケット20の支持棒24を介して連結部4Bに支持させながら、結合ピン16を結合穴4h、6hから抜くことができる。このように、ジブ結合ピン着脱装置1により、結合ピン16の挿入及び抜出の両方が可能であり、結合ピン16を抜くための付属品を別途取り付けることは不要である。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、単位ジブを互いに結合するために当該単位ジブに設けられた結合穴に結合ピンを挿入するために利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ジブ結合ピン着脱装置1(ジブ結合ピン付勢装置)
10 油圧シリンダ
11 シリンダ
12 ロッド
20 ブラケット
30 リンク機構(反力支持手段)
31 第1リンク
32 第2リンク
33 第1ピン33(第1回動軸)
34 第2ピン34(第2回動軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと当該シリンダに対して進退可能なロッドとを有する油圧シリンダと、
前記ロッドの進退方向と平行な方向への前記シリンダに対する移動が規制されるように当該シリンダに対して取り付けられたブラケットと、
前記ブラケットに設けられた反力支持手段と、
を備え、
前記反力支持手段は、前記ロッドでジブの幅方向に向かって結合ピンを付勢して当該結合ピンを当該ジブの結合穴にを挿入するときに、前記シリンダに作用する反力に対応する力を、結合する2つの単位ジブを互いに引き離す向きに当該2つの単位ジブに作用させる
ジブ結合ピン付勢装置。
【請求項2】
前記油圧シリンダは、前記ブラケットを介してジブ上に載置可能であり、
前記反力支持手段は、
前記ブラケットに対して、第1回動軸回りに回動自在に連結された一対の第1リンクと、
前記一対の第1リンクに、それぞれ、前記第1回動軸と平行な第2回動軸回りに回動自在に連結された一対の第2リンクと、
を備え、
前記油圧シリンダが前記ブラケットを介してジブ上に載置されているときに、前記第1回動軸及び前記第2回動軸が、前記ロッドの進退方向及び結合する2つの単位ジブを互いに引き離す方向に対して垂直になるように構成され、
前記ロッドで結合ピンを付勢して当該2つの単位ジブの結合穴に挿入するときに、前記シリンダに作用する反力が、前記ブラケット、一対の前記第1リンク及び一対の第2リンクを介して、当該2つの単位ジブを互いに引き離す向きに当該2つの単位ジブに伝達されるように構成されている
請求項1に記載のジブ結合ピン付勢装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−42460(P2011−42460A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191880(P2009−191880)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】