説明

ジペプチジルペプチダーゼ阻害剤の週当たりの投与

2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル及び医薬的に許容されるその塩を含有する医薬組成物、並びに該医薬組成物を含むキット及び製品、並びに該医薬組成物を用いる方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIVを阻害するために使用される化合物及び医薬組成物を投与する方法並びにそのような投与に基づく治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
(関連技術の説明)
ジペプチジルペプチダーゼIV(IUBMB酵素命名法EC.3.4.14.5)は、DPP4、DP4、DAP−IV、FAPβ、アデノシンデアミナーゼ複合化タンパク質2、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV;Xaa−Pro−ジペプチジルアミノペプチダーゼ;Gly−Proナフチルアミダーゼ;ポストプロリンジペプチジルアミノペプチダーゼIV;リンパ球抗原CD26;糖タンパクGP110;ジペプチジルペプチダーゼIV;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;X−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;pep X;白血球抗原CD26;グリシルプロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル−ペプチドヒドロラーゼ;グリシルプロリルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル−アミノペプチダーゼIV;DPP IV/CD26;アミノアシル−プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;T細胞誘発分子Tp103;X−PDAPのような、多種多様な名称によって文献中に言及されているタイプII膜タンパク質である。ジペプチジルペプチダーゼIVは、本明細書では「DPP−IV」と呼ぶ。
【0003】
DPP−IVは、ポリペプチド及びタンパク質のアミノ末端(N末端)からXaa−Proジペプチドを除去する非古典的なセリンアミノジペプチダーゼである。X−Gly又はX−Ser型ジペプチドのDPP−IV依存性持続放出も、いくつかの天然由来ペプチドについて報告されている。
【0004】
DPP−IVは、様々な異なる組織(腸、肝臓、肺、腎臓及び胎盤)の上皮及び内皮細胞上で構成的に発現しており、また体液においても見られる。DPP−IVはまた、循環Tリンパ球でも発現しており、細胞表面抗原CD−26と同義であることが示されている。
【0005】
DPP−IVは、in vivoにおいて、いくつかの内在性ペプチド(GLP−1(7−36)、グルカゴン)の代謝開裂に関与し、またin vitroでは、様々な他のペプチド(GHRH、NPY、GLP−2、VIP)に対するタンパク分解活性を示している。
【0006】
GLP−1(7−36)は、小腸内におけるプログルカゴンの翻訳後プロセシングにより誘導される29アミノ酸のペプチドである。GLP−1(7−36)は、in vivoにおいて、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、満腹感の促進及び胃内容排出の遅延のような、多様な作用を有する。その生理的な特性に基づいて、GLP−1(7−36)の作用は、II型糖尿病及び潜在的肥満症の予防及び治療において有益であると考えられる。例えば、糖尿病患者へのGLP−1(7−36)の外因性投与(持続注入)が、この患者集団において有効であることが明らかになっている。残念なことに、GLP−1(7−36)は、in vivoにおいて急速に分解され、in vivoでは半減期が短い(t1/2=1.5分)ことが示されている。
【0007】
遺伝的に繁殖させたDPP−IVノックアウトマウスの研究及び選択的なDPP−IV阻害剤を用いたin vivo/in vitro研究に基づき、DPP−IVは、in vivoにおけるGLP−1(7−36)の主要な分解酵素であることが示されている。GLP−1(7−36)は、DPP−IVによって効率的にGLP−1(9−36)に分解され、これはGLP−1(7−36)に対する生理的なアンタゴニストとして作用するものと推測されている。それゆえ、in vivoにおいてDPP−IVを阻害することは、GLP−1(7−36)の内因性のレベルを増大させ、且つそのアンタゴニストであるGLP−1(9−36)の形成を低減させるために有用であると考えられている。このように、DPP−IV阻害剤は、DPP−IVにより介される状態、特に糖尿病、より具体的には、2型糖尿病、糖尿病性脂質異常症(diabetic dislipidemia)、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲調節及び肥満症、の予防、進行の遅延及び/又は治療のために有用な薬剤であると考えられる。
【0008】
いくつかの化合物がDPP−IVを阻害することが示されている。それにもかかわらず、新規なDPP−IV阻害剤及び疾患の治療のためのそのような阻害剤の投与方法が依然として求められている。
【発明の概要】
【0009】
発明の開示
(発明の要旨)
患者に対し、週当たりの用量として、1mg/週間から500mg/週間の化合物I、任意で12.5mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から200mg/週間の化合物I、任意で50mg/週間から400mg/週間の化合物I、そして任意で100mg/週間から400mg/週間の化合物Iを投与することを含む方法を提供する。一つの変形においては、週当たりの用量として、3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、400mg又は500mgの化合物Iが投与され、任意で、週当たりの用量として、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg又は400mgの化合物Iが投与される。
【0010】
また、週当たりの用量として、250mg以上の化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iを患者に対して投与することを含む方法も提供する。一つの変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は500mg以下である。別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は400mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は350mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は250mgよりも多く、且つ500mg以下である。更なる変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は250mgよりも多く、且つ400mg以下である。他の変形においては、週当たりの用量として、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iが患者に投与される。
【0011】
さらに更なる変形においては、投与は週に1回行われ、また任意で単回投与として週に1回行ってもよい。任意で、少なくとも1ヶ月の期間、任意で少なくとも2ヶ月の期間、また任意で少なくとも3ヶ月の期間において、週に1回、投与は行われる。一つの変形においては、投与は午前中に行われ、また任意で、午前中に、患者のその日の最初の食事前に行われる。
【0012】
投与は、特に限定されないが、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、口腔内(transbuccally)、鼻腔内、リポソーム、吸入、膣内、眼内、局所送達、皮下、脂肪内、関節内、腹膜内及び鞘内(intrathecally)からなる群より選択される経路のような、広い範囲の投与経路によって行われることができる。一つの特定の変形において、投与は経口で行われる。
【0013】
また、化合物I以外の一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物と組み合わせた化合物Iの投与方法も提供される。一つの変形において、そのような併用療法は、週当たりの用量として、1mg/週間から500mg/週間の化合物I、任意で12.5mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から200mg/週間の化合物I、任意で50mg/週間から400mg/週間の化合物I、そして任意で100mg/週間から400mg/週間の化合物Iを投与して行われる。一つの変形において、週当たりの用量として、3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、400mg又は500mgの化合物Iが、化合物I以外の一以上の抗糖尿病性化合物と組み合わせて患者に投与される。
【0014】
更なる変形においては、そのような併用療法は、週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iが患者に投与されることにより行われる。さらに更なる変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は500mg以下である。別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は400mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は350mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は250mgよりも多く、且つ500mg以下である。更なる変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は250mgよりも多く、且つ400mg以下である。他の変形においては、週当たりの用量として、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iが、化合物I以外の一以上の抗糖尿病性化合物と組み合わせて患者に投与される。
【0015】
上記の実施態様及びそれらの変形のそれぞれに関して、化合物Iは、遊離塩基又はその医薬的に許容される塩として投与されてもよい。特定の変形においては、化合物Iは、化合物IのHCl、メタンスルホン酸、コハク酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、R−(−)マンデル酸又はベンゼンスルホン酸の塩として投与される。
【0016】
また、医薬組成物も提供される。一つの実施態様において、1mg/週間から500mg/週間の化合物I、任意で12.5mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から200mg/週間の化合物I、任意で50mg/週間から400mg/週間の化合物I、そして任意で100mg/週間から400mg/週間の化合物Iを含む単回投与形態で処方された医薬組成物が提供される。特定の変形において、該医薬組成物は、3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。
【0017】
別の実施態様においては、250mgより多い化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iを含む単回投与形態で処方された医薬組成物が提供される。一つの変形において、該医薬組成物は500mg以下の化合物Iを含む。別の変形においては、該医薬組成物は400mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は350mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ500mg以下の化合物Iを含む。更なる変形においては、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ400mg以下の化合物Iを含む。他の変形においては、該医薬組成物は、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。
【0018】
別の実施態様において、単回投与形態で化合物I及び化合物I以外の一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物を含む医薬組成物が提供される。一つの変形において、化合物Iは、投与量が1mg/週間から500mg/週間の化合物I、任意で12.5mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から200mg/週間の化合物I、任意で50mg/週間から400mg/週間の化合物I、そして任意で100mg/週間から400mg/週間の化合物Iである単回投与形態で存在する。特定の変形においては、該医薬組成物は、3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。
【0019】
別の変形において、化合物Iは、投与量が250mgよりも多い化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iである単回投与形態で存在する。更なる変形においては、該医薬組成物は500mg以下の化合物Iを含む。別の変形においては、該医薬組成物は400mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は350mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ500mg以下の化合物Iを含む。更なる変形においては、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ400mg以下の化合物Iを含む。他の変形においては、該医薬組成物は、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。
【0020】
医薬組成物に関する上記の実施態様及びそれらの変形のそれぞれに関して、化合物Iは、遊離塩基又はその医薬的に許容される塩として医薬組成物中に存在してもよい。特定の変形においては、化合物Iは、化合物IのHCl、メタンスルホン酸、コハク酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、R−(−)マンデル酸又はベンゼンスルホン酸の塩として存在する。
【0021】
また、医薬組成物に関する上記の実施態様及びそれらの変形のそれぞれに関して、該医薬組成物は、任意で経口投与に適した単回投与形態であってもよく、任意で経口投与に適した固体製剤であってもよく、また、任意で経口投与に適した錠剤又はカプセルであってもよい。さらに、医薬組成物に関する上記の実施態様及びそれらの変形のそれぞれに関して、医薬組成物は、任意で非経口(皮下(subcutaneous)、静脈内、皮下(subdermal)又は筋肉内)投与に適した単回投与形態であってもよく、任意で非経口投与に適した液剤であってもよく、また、任意で非経口投与に適した懸濁製剤であってもよい。医薬製剤はまた、経口投与に適した徐放性製剤であってもよい。
【0022】
また、医薬組成物に関する上記の実施態様及びそれらの変形のそれぞれに関して、医薬組成物は、糖尿病、より具体的には2型糖尿病;糖尿病性脂質異常症;耐糖能異常(IGT);空腹時血漿グルコース異常(IFG);代謝性アシドーシス;ケトーシス;食欲調節;肥満症;糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症及び腎臓病のような糖尿病と関連する合併症;高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症及び食後高脂血症のような高脂血症;動脈硬化症;高血圧;心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中及びメタボリック症候群のような、DPP−IVによって介される状態を予防又は治療するために用いられてもよい。
【0023】
化合物Iと化合物I以外の一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物との組み合わせは、1)化合物I及び/又は抗糖尿病性若しくはインクレチン化合物の治療効果の増強;2)化合物I及び/又は抗糖尿病性若しくはインクレチン化合物の副作用の低減;及び3)化合物I及び/又は抗糖尿病性若しくはインクレチン化合物の用量の低減のような、優れた効果を提供する。従って、本発明は、一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物と組み合わせた化合物Iの投与方法、及び一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物と共に化合物Iを含む医薬組成物を包含する。特定の抗糖尿病性又はインクレチン化合物の様々な異なる投与量範囲は本明細書中で提供されることに注意されるべきである。本発明の範囲としては、他の抗糖尿病性又はインクレチン化合物について本明細書中に明記された投与量のあらゆる範囲との併用で、化合物Iについて開示されたいかなる範囲にも及ぶ薬剤の組み合わせをも包含することを意図している。
【0024】
化合物I以外の一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物を含む方法及び医薬組成物に関する上記の実施態様及びそれらの変形に関して、該一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物は、任意の様々な公知の抗糖尿病性又はインクレチン化合物から選択してもよい。一つの変形において、化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物又はインクレチン化合物は、任意で、インスリンシグナル経路モジュレーター、無調節な肝糖産生に影響を与える化合物、インスリン感受性エンハンサー、及びインスリン分泌エンハンサーからなる群より選択されてもよい。
【0025】
また、化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物は、任意で、タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤、グルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤、アルファグルコシダーゼ阻害剤、胃内容排出の阻害剤、グルコキナーゼ活性化剤、GLP−1受容体アゴニスト、GLP−2受容体アゴニスト、UCPモジュレーター、RXRモジュレーター、GSK−3阻害剤、PPARモジュレーター、メトホルミン、インスリン、α−アドレナリンアンタゴニスト、デアセチラーゼ(例、レスベラトロール(reservatrol)、サーチュインアゴニスト、ポリフェノール)、及びナトリウム依存性グルコーストランスポーター(SGLT2)阻害剤からなる群より選択されてもよい。
【0026】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物はまた、任意で、GSK−3阻害剤、レチノイドX受容体アゴニスト、ベータ3ARアゴニスト、UCPモジュレーター、抗糖尿病性チアゾリジンジオン、非グリタゾン型PPARガンマアゴニスト、デュアルPPARガンマ/PPARアルファアゴニスト、抗糖尿病性バナジウム含有化合物及びビグアニドからなる群より選択されてもよい。
【0027】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物はまた、任意で、(S)−((3,4−ジヒドロ−2−(フェニル−メチル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)メチル−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(3−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−1−オキソ−プロピル)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(1−メチル−シクロヘキシル)メトキシ)−フェニル]メチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリ)−エトキシ)]ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン、ビス{4−[(2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)−メチル]フェニル}メタン、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−2−ヒドロキシエトキシ]−ベンジル}− −チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[4−(1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルアミノ)−ベンジル]−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニルメチル)−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロ−フェニル])−2−−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロフェニル])−−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニル−スルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(メチル−2−ピリジニル−アミノ)−エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−((3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)メトキシ)−フェニル]−メチル)−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[6−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−ナフタレン−2−イルメチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−([2−(2−ナフチル)−ベンズオキサゾール−5−イル]−メチル}チアゾリジン−2,4−ジオン及び5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)ベンズアミドからなる群から選択されるチアゾリジンジオンであってもよく、医薬的に許容されるこれらのいかなる塩も含み得る。
【0028】
一つの変形において、化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物としては、メトホルミンが挙げられる。一つの特定の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、一以上の医薬的に許容されるその塩を含む。別の特定の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、メトホルミンHCl塩を含む。さらに別の特定の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、1日当たりの用量として125から2550mgが投与される。さらに別の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、1日当たりの用量として250から2550mgが投与される。他の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、即効性又は持続放出性の製剤である。
【0029】
別の変形において、化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物は、一以上のスルホニル尿素誘導体が挙げられる。
【0030】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド、グリメピリド及びグリクラジドからなる群より選択されてもよく、医薬的に許容されるこれらのいかなる塩も含み得る。一つの変形において、化合物Iと組み合わせて投与される一以上の抗糖尿病性化合物としては、グリメピリドが挙げられる。
【0031】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、インクレチンホルモン又はその模倣体、ベータ細胞イミダゾリン受容体アンタゴニスト及び短時間作用型インスリン分泌促進剤からなる群より選択されてもよい。
【0032】
別の変形において、化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物としては、インスリンが挙げられる。
【0033】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、例えばエクステンダチド(extendatide)のような、一以上のGLP−1アゴニストであってもよい。
【0034】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、例えばヒト組換え型GLP−2のような、一以上のGLP−2アゴニストであってもよい。
【0035】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、一以上の抗糖尿病性D−フェニルアラニン誘導体であってもよい。
【0036】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、レパグリニド、ミチグリニド及びナテグリニドからなる群より選択されてもよく、医薬的に許容されるこれらのいかなる塩も含み得る。一つの変形において、化合物Iと組み合わせて投与される一以上の抗糖尿病性化合物としては、ミチグリニドカルシウム塩水和物が挙げられる。
【0037】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、一以上のアルファグルコシダーゼ阻害剤であってもよい。
【0038】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、アカルボース、ボグリボース及びミグリトールからなる群より選択されてもよく、医薬的に許容されるこれらのいかなる塩も含み得る。一つの変形において、化合物Iと組み合わせて投与される一以上の抗糖尿病性化合物としては、ボグリボースが挙げられる。別の変形において、この組み合わせにおけるボグリボースは、1日当たりの用量として0.1から1mgが投与される。
【0039】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意でロシグリタゾンであってもよく、医薬的に許容されるこのいかなる塩も含み得る。一つの変形において、この組み合わせにおけるロシグリタゾンは、ロシグリタゾンマレイン酸塩を含む。
【0040】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、テサグリタザール、ムラグリタザール又はナベグリタザールであってもよく、医薬的に許容されるこれらのいかなる塩も含み得る。
【0041】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、ピオグリタゾンであってもよく、医薬的に許容されるこのいかなる塩も含み得る。一つの変形において、この組み合わせにおけるピオグリタゾンは、ピオグリタゾンHCl塩を含む。別の変形において、この組み合わせにおけるピオグリタゾンは、1日当たりの用量として7.5から60mgが投与される。さらに別の変形においては、この組み合わせにおけるピオグリタゾンは、1日当たりの用量として15から45mgが投与される。
【0042】
化合物Iと組み合わせて用いられる一以上の抗糖尿病性化合物はまた、任意で、メトホルミン及びピオグリタゾンを含んでいてもよい。一つの変形において、この組み合わせにおけるピオグリタゾンは、一以上の医薬的に許容されるその塩を含む。別の変形においては、この組み合わせにおけるピオグリタゾンは、ピオグリタゾンHCl塩を含む。さらに別の変形においては、この組み合わせにおけるピオグリタゾンは、1日当たりの用量として7.5から60mgが投与される。さらに別の変形においては、この組み合わせにおけるピオグリタゾンは、1日当たりの用量として15から45mgが投与される。上記の変形のそれぞれの別の変形において、この組み合わせにおけるメトホルミンは、一以上の医薬的に許容されるその塩を含む。一つの特定の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、メトホルミンHCl塩を含む。別の特定の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、1日当たりの用量として125から2550mgが投与される。さらに別の変形においては、この組み合わせにおけるメトホルミンは、1日当たりの用量として250から2550mgが投与される。
【0043】
化合物I及び化合物Iを含む医薬組成物は、様々な範囲の疾患を治療するために用いられてもよい。一つの変形において、化合物I又は化合物Iを含む医薬組成物の投与は、患者のI型又はII型糖尿病の病態を治療するために行われる。別の変形においては、化合物I又は化合物Iを含む医薬組成物の投与は、前糖尿病患者を治療するために行われる。さらに別の変形においては、化合物I又は化合物Iを含む医薬組成物の投与は、炎症性腸疾患、クローン病、化学療法誘発性腸炎、口腔粘膜炎又は短腸症候群を治療するために行われる。さらに別の変形においては、化合物I又は化合物Iを含む医薬組成物の投与は、骨髄移植後の移植効率を高めるために行われる。別の変形において、化合物I又は化合物Iを含む医薬組成物の投与は、糖尿病、より具体的には2型糖尿病;糖尿病性脂質異常症;耐糖能異常(IGT);空腹時血漿グルコース異常(IFG);代謝性アシドーシス;ケトーシス;食欲調節;肥満症;糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症及び腎臓病のような糖尿病関連合併症;高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症及び食後高脂血症のような高脂血症;動脈硬化症;高血圧;心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中及びメタボリック症候群のような、DPP−IVによって介される状態に罹患している患者を治療するために行われる。
【0044】
さらに、化合物I及び化合物Iを含む医薬組成物は、糖尿病、より具体的には2型糖尿病;糖尿病性脂質異常症;耐糖能異常(IGT);空腹時血漿グルコース異常(IFG);代謝性アシドーシス;ケトーシス;食欲調節;肥満症;糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症及び腎臓病のような糖尿病関連合併症;高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症及び食後高脂血症のような高脂血症;動脈硬化症;高血圧;心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中及びメタボリック症候群のような、DPP−IVによって介される状態を予防又は治療するために用いられてもよい。
【0045】
また、複数回投与の本発明の医薬組成物を含むキットも提供される。一つの変形において、該キットは、該医薬組成物を投与すべき病態の表示、医薬組成物についての保存情報、服用情報及び該医薬組成物の投与方法に関する説明からなる群より選択される一以上の形式の情報を含む説明書をさらに含む。
【0046】
また、複数回投与の本発明の医薬組成物を含む製品も提供される。一つの変形において、製品は、複数回投与の医薬組成物を収納するための容器のような包装材料、並びに又は該化合物を投与すべき病態、保存情報、服用情報及び/又は該組成物の投与方法に関する説明からなる群のうち一以上の要素を表示するラベルをさらに含む。
【0047】
即ち、本発明は、
(1)1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む方法、
(2)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも275mgである、前記(1)に記載の方法、
(3)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも300mgである、前記(1)に記載の方法、
(4)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも350mgである、前記(1)に記載の方法、
(5)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも400mgである、前記(1)に記載の方法、
(6)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、500mg以下である、前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の方法、
(7)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、400mg以下である、前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の方法、
(8)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、350mg以下である、前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の方法、
(9)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、250mgよりも多く、且つ500mg以下である、前記(1)に記載の方法、
(10)患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、250mgよりも多く、且つ400mg以下である、前記(1)に記載の方法、
(11)化合物Iが、遊離塩基として投与される、前記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の方法、
(12)化合物Iが、医薬的に許容される塩として投与される、前記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の方法、
(13)化合物Iが、コハク酸の塩として投与される、前記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の方法、
(14)250mgよりも多い化合物Iを含む単回投与形態で処方された医薬組成物、
(15)単回投与形態が少なくとも275mgの化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(16)単回投与形態が少なくとも300mgの化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(17)単回投与形態が少なくとも350mgの化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(18)単回投与形態が500mg以下の化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(19)単回投与形態が400mg以下の化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(20)単回投与形態が350mg以下の化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(21)単回投与形態が250mgよりも多く、且つ500mg以下の化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(22)単回投与形態が250mgよりも多く、且つ400mg以下の化合物Iを含む、前記(14)に記載の医薬組成物、
(23)化合物Iが、遊離塩基として医薬組成物中に存在する、前記(14)〜(22)のいずれか1つに記載の医薬組成物、
(24)化合物Iが、医薬的に許容される塩として医薬組成物中に存在する、前記(14)〜(22)のいずれか1つに記載の医薬組成物、
(25)化合物Iが、コハク酸の塩の状態で医薬組成物中に存在する、前記(14)〜(22)のいずれか1つに記載の医薬組成物、
(26)前記(14)〜(25)のいずれか1つに記載の医薬組成物の製造のための化合物Iの使用、
(27)1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、糖尿病の治療方法、
(28)1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、癌の治療方法、
(29)1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法、
(30)1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、HIV感染の治療方法;
等に関する。
【0048】
上記の全ての実施態様に関して、該方法は、他の医薬活性物質を患者に投与するというような、これらの明記されたものを超えた更なる作用を含み得るという意味で、該実施態様はオープンエンドとして解釈されるべきであることに注意すべきである。同様に、他に明記されない限り、該医薬組成物、キット及び製品は、他の医薬活性物質のような他の物質をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、ヒトにおける化合物Iの単回経口投与後の血漿中でのDPP IV阻害を示す。
【図2】図2は、ヒトにおける化合物Iの単回経口投与後の血漿中でのDPP IV阻害を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
発明の詳細な説明
(定義)
特に指定のない限り、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる以下の用語は、本出願のために以下の意味を有する。
【0051】
「疾患」は、具体的に、動物又はその一部のいかなる不健康な状態をも含み、また、該動物に適用される医学的又は獣医学的な治療によって引き起こされ得るか、或いは付随し得る不健康な状態、即ち、そのような治療の「副作用」、を含む。
【0052】
「医薬的に許容される」とは、一般に安全で無毒、且つ生物学的にもそれ以外にも望ましい医薬組成物の調製において有用であることを意味し、またヒトの医薬的な使用のほかに獣医学的な使用にも許容されることを包含する。
【0053】
「医薬的に許容される塩」とは、上記に定義されたように、医薬的に許容され、且つ所望の薬理的活性を有する塩を意味する。このような塩としては、特に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;又は酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸と形成された酸付加塩が挙げられる。
【0054】
また、医薬的に許容される塩としては、特に限定されないが、存在する酸性プロトンが無機又は有機塩基と反応できる場合に形成され得る塩基付加塩が挙げられる。許容される無機塩基としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが挙げられる。許容される有機塩基としては、特に限定されないが、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等が挙げられる。
【0055】
「対象」及び「患者」としては、ヒト、ヒト以外の哺乳動物(例、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ等)及び哺乳動物以外の動物(例、鳥類等)が挙げられる。
【0056】
「治療的に有効な量」とは、疾患を治療するために動物に投与する場合に、該疾患のそのような治療に効果を及ぼすのに十分な化合物の量を意味する。
【0057】
「治療」又は「治療する」とは、治療的に有効な量の化合物のあらゆる投与を意味し、以下を包含する:
(1)疾患に罹患しやすいかもしれないが、まだ疾患の病理又は症候を経験していない、若しくは示していない動物において、疾患が発生するのを予防すること、
(2)疾患の病理又は症候を経験している、若しくは示している動物において、該疾患を抑制すること(即ち、病理及び/又は症候の更なる進行を停止させること)、又は
(3)疾患の病理又は症候を経験している、若しくは示している動物において、該疾患を改善すること(即ち、病理及び/又は症候を回復に向かわせること)。
(発明の詳細な説明)
1.2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル及びその組成物
【0058】
本発明は、概して、以下に示した構造である、2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル(本明細書では「化合物I」と称する)の投与に関する。
【0059】
【化1】

【0060】
実施例1は、化合物Iを合成する一つの方法を記載している。化合物Iを合成する他の方法は、当業者に理解されるであろうものとして用いられてもよいことに注意すべきである。以下に詳細に記載したとおり、化合物Iは、長時間効果のあるDPP−IV阻害作用を有する。
【0061】
化合物Iは、その遊離塩基の形態で投与されてもよく、また、塩、水和物及びインビボで化合物Iの遊離塩基形態に変換されるプロドラッグの形態で投与されてもよい。例えば、当該技術分野でよく知られる手順に従って、様々な有機及び無機の酸及び塩基由来の医薬的に許容される塩として化合物Iを投与することは、本発明の範囲内である。本明細書においては、他に特に明記されない限り、化合物Iは、化合物Iの塩、水和物及びプロドラッグを包含することを意図する。
【0062】
化合物Iの医薬的に許容される塩は、好ましくは、遊離塩基形態の化合物Iと比較して改善された薬物動態特性を与える。医薬的に許容される塩はまた、化合物Iがあらかじめ持っていなかった所望の薬物動態特性を化合物Iに与えてもよく、また、体内におけるその治療活性に関して、該化合物の薬力学に正の影響さえも及ぼすことができる。
【0063】
化合物Iの塩、水和物及びプロドラッグの具体例としては、特に限定されないが、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなヒドロハライド;硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等のような他の鉱酸及びそれらに対応する塩;エタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩のようなアルキル及びモノアリールスルホン酸塩;並びに、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩及びアスコルビン酸塩のような他の有機酸及びそれに対応する塩のような、無機又は有機の酸により形成された塩の形態が挙げられる。更なる酸付加塩としては、特に限定されないが:アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン塩(arginate)、アスパラギン酸塩、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、フマル酸塩、ガラクタル酸塩(粘液酸由来)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタオエート(glucoheptaoate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ−酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩及びフタル酸塩が挙げられる。
【0064】
特定の変形において、化合物Iは、化合物IのHCl、メタンスルホン酸、コハク酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、R−(−)マンデル酸又はベンゼンスルホン酸の塩として投与される。実施例1は、TFA、HCl、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、R−(−)マンデル酸及びベンゼンスルホン酸の塩のような、化合物Iの様々な塩の形態の調製について説明する。
2.化合物Iの投与及び使用
【0065】
本発明は、概して、週当たりの用量として1mg/週間から500mg/週間の化合物I、任意で12.5mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から400mg/週間の化合物I、任意で20mg/週間から200mg/週間の化合物I、任意で50mg/週間から400mg/週間の化合物I、そして任意で100mg/週間から400mg/週間の化合物を、患者に対して投与することを含む方法に関する。使用され得る具体的な投与量としては、特に限定されないが、1週間当たり3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、400mg及び500mgの化合物Iが挙げられる。他に具体的に明記されない限り、化合物Iはその遊離塩基の形態又は医薬的に許容される塩として投与され得ることに注意すべきである。しかしながら、本明細書において提供される該投与量及び範囲は、常に化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく。
【0066】
本発明はまた、概して、週当たりの用量として250mgよりも多い化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iを、患者に対して投与することを含む方法にも関する。一つの変形において、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は、500mg以下である。別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は、400mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は、350mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は、250mgよりも多く、且つ500mg以下である。更なる変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は、250mgよりも多く、且つ400mg以下である。他の変形において、週当たりの用量として275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iが、患者に対して投与される。他に具体的に明記されない限り、化合物Iは遊離塩基の形態又は医薬的に許容される塩として投与されてもよいことに注意すべきである。しかしながら、本明細書において提供される該投与量及び範囲は、常に化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく。
【0067】
化合物Iは、あらゆる投与経路によって投与されてもよい。しかしながら、特定の実施態様において、本発明の方法は、化合物Iを経口投与することにより実施される。この投与の形式は、簡易であり、また患者によって自己投与され得るという点で好都合である。
【0068】
化合物Iは、1週間に1回以上投与されてもよい。しかしながら、本発明の利点は、化合物Iが、本明細書中で明記された投与量レベルで1週間に1回効果的に投与され得ることであり、また、単回投与形態として1週間に1回投与されてもよいということである。本明細書中で明記された投与量レベルで1週間に1回経口的に化合物Iを投与できることによって、患者にとって化合物Iを自己投与することがより簡便になり、このようにして、DPP−IV活性のインビボでの阻害が求められる患者の間での使用のコンプライアンスを改善している。
【0069】
有利なことに、化合物Iは、長期の連続使用に適しており、長期間患者に投与されてもよい。従って、該方法は、少なくとも1ヶ月間、任意で少なくとも2ヶ月間、任意で少なくとも3ヶ月間、そして必要であれば、任意で患者の疾患特性が継続する期間、患者に対して毎週(任意で週に1回)化合物Iが投与されるというように行われてもよい。
【0070】
有利なことに、化合物Iは、一日の間のいつの時間に投与されてもよい。任意で、化合物Iは、1週間に1回、午前中の食事前に投与される。化合物Iは、血糖値が100mg/dlに達し、それを上回った時にインスリン分泌を刺激し得るため、食後に血糖値の上昇が起こる前に化合物Iを体循環に入れることが有益であり得る。
【0071】
化合物Iは、DPP−IV活性のインビボでの低減につながる治療過程が有益な、いかなる患者に投与されてもよい。以下に詳細に記載されたとおり、図1及び2は、化合物Iを投与することにより、単回経口投与後のヒト血漿DPP−IV活性に対して見られた効果を示す。図1に示したデータから見られるように、本明細書に明記した投与量レベルで化合物Iを投与することにより、化合物Iは、血漿のDPP−IV活性を低減することが望まれる疾患状態に関して効果的に使用され得る。提示されたデータを考慮して、少なくとも12.5mgの化合物Iが患者に投与された場合は、投与をしてから少なくとも168時間、患者の血漿DPP−IV活性は基準に対して10%を超えて低減され得る;少なくとも50mgの化合物Iが患者に投与された場合は、投与をしてから少なくとも168時間、患者の血漿DPP−IVは基準に対して35%を超えて低減され得る;そして200mg又は400mgの化合物Iが患者に投与された場合は、投与をしてから少なくとも168時間、患者の血漿DPP−IV活性は基準に対して70%を超えて低減され得ると考えられる。
【0072】
化合物I投与の具体的な適用例としては、特に限定されないが、DPP−IVによって介される状態、具体的には糖尿病、より具体的には2型糖尿病、糖尿病性脂質異常症、耐糖能異常(IGT)、空腹時血漿グルコース異常(IFG)、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲調節、肥満症、並びに糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、炎症性腸疾患、クローン病、化学療法誘発性腸炎、口腔粘膜炎、短腸症候群及び腎臓病のような糖尿病と関連する合併症の予防、進行の遅延及び/又は治療が挙げられる。DPP−IVによって介される状態としては、さらに、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症及び食後高脂血症のような高脂血症;動脈硬化症;高血圧;心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳卒中及びメタボリック症候群が挙げられる。
【0073】
I型又はII型糖尿病患者に対して、少なくとも30日間の最低限の治療をした後に化合物Iを投与することは、一以上の心臓血管の測定結果を改善するであろうと考えられる。また、少なくとも30日間の最低限の治療後に、I型又はII型糖尿病患者に対し、一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物と組み合わせて化合物Iを投与することは、一以上の心臓血管の測定結果を改善するであろうと考えられる。改善され得る心臓の測定結果の例としては、平均収縮期血圧の減少、HDLコレステロールの増加、LDL/HDL比の改善及びトリグリセリドの低減が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
また、胃腸炎症障害(炎症性腸疾患、クローン病、化学療法誘発性腸炎、口腔粘膜炎及び短腸症候群が挙げられるが、これらに限定されない)を持つ患者に対して、少なくとも30日間の最低限の治療後に、一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物と組み合わせて化合物Iを投与することは、胃腸管の粘膜内層の健康を改善するであろうと考えられる。胃腸管の粘膜内層の健康の改善は、特に限定されないが、腸の表面積の増加、炎症の低減、及び/又は栄養吸収の増大によって実証され得る。
【0075】
また、本明細書に明記された投与量レベルで1週間に1回、化合物Iを投与することは、2型糖尿病患者に対しても有益なものとなり得る。化合物Iを受ける患者はまた、末梢インスリン感受性組織/器官におけるインスリン抵抗性が高い患者よりもむしろ、膵島からのインスリン分泌の機能不全を有していてもよい。
【0076】
有利なことに、本明細書に明記された投与量レベルでの週1回の化合物Iの投与は、前糖尿病である患者を治療するために使用されてもよい。前糖尿病の患者における化合物Iの投与は、その患者におけるII型糖尿病の進行を遅延させるために役立つと考えられる。血中グルコースの持続的な増大は、膵島の機能を鈍らせ、インスリン分泌を異常にさせる。ベータ細胞におけるサイクリックAMPレベル及びカルシウム動態の改善により、該細胞は、損傷した細胞成分を修復する遺伝子を活性化させ、グルコース毒性に対する脆弱性が低くなる。
【0077】
本明細書に明記された投与量レベルでの週1回の化合物Iの投与は、インビボでの様々な所望の生物学的効果を有することが期待される。例えば、本明細書に明記された投与量レベルでの週1回の化合物Iの投与は、プラセボ対照と比較して、患者の血糖値を低減させる。そのような食後血糖値の減少は、糖尿病患者が低グルコースレベルを維持するのに役立つ。
【0078】
本明細書に明記された投与量レベルでの週1回の化合物Iの投与はまた、患者のインスリンレベル又はインスリン感受性を増大させる作用を有することも期待される。インスリンは、筋肉、脂肪及びいくつかの他の組織の中へのグルコースの流入を促進する。細胞がグルコースを取り込むメカニズムは、インスリン受容体の刺激を通じて促進された拡散による。C−ペプチド及びインスリンは、プロインスリン(不活性なインスリン前駆体)の活性化及び分裂により作り出されたタンパク質鎖である。C−ペプチド及びインスリンは、膵臓のベータ細胞で作り出され、貯蔵される。インスリンが血流に放出される時に、等量のC−ペプチドもまた放出される。これにより、C−ペプチドはインスリン産生のマーカーとして有用となる。本発明の化合物Iの投与は、患者のC−ペプチドレベルを増大させることが期待される。
【0079】
本明細書に明記された投与量レベルでの週1回の化合物Iの投与はまた、化合物Iでの長期治療後、患者のヘモグロビンA1cレベルをプラセボ対照と比較して0.5%を超えて減少させる作用を有することも期待される。さらに、本明細書に明記された投与量レベルでの週1回の化合物Iの投与は、化合物Iでの長期治療後、患者のヘモグロビンA1cレベルをプラセボ対照と比較して0.2%を超えて減少させる作用を有することも期待される。Hb−A1c値は、赤血球の生涯にわたって血中のグルコース濃度に正比例することが知られている。従って、Hb−A1cは、過去のここ90日間にわたり、最近の30日間に偏って、患者の血糖値の指標となる。それゆえ、患者のヘモグロビンA1cレベルの減少が見られたことは、本明細書に明記された投与量レベルで日に1回の化合物Iを投与したことの結果として、患者の血糖値を持続的に低減することを立証する。
3.化合物Iを含む併用療法
【0080】
本発明はまた、一以上の他の抗糖尿病性及び/又はインクレチン化合物と組み合わせた化合物Iの使用にも関する。そのような他の抗糖尿病性化合物の例としては、特に限定されないが、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPase)阻害剤及びグルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤のようなインスリンシグナル経路モジュレーター;グルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)阻害剤、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(F−1,6−BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害剤のような無調節な肝糖産生に影響を与える化合物;ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)阻害剤;インスリン感受性エンハンサー(インスリンセンシタイザー);インスリン分泌エンハンサー(インスリン分泌促進剤);アルファ−グルコシダーゼ阻害剤;胃内容排出の阻害剤;グルコキナーゼ活性化剤、GLP−1受容体アゴニスト、GLP−2受容体アゴニスト、UCPモジュレーター、RXRモジュレーター、GSK−3阻害剤、PPARモジュレーター、メトホルミン、インスリン;及びα−アドレナリンアンタゴニストが挙げられる。化合物Iは、そのような少なくとも一の他の抗糖尿病性化合物と、単回投与として同時に、分割投与として一度に、又は連続的に(即ち、一方が他方を投与する前又は後に投与される)、投与されてもよい。
【0081】
化合物Iと組み合わせて使用され得るPTPase阻害剤の例としては、特に限定されないが、米国特許第6,057,316号、6,001,867号、及びPCT公報第WO99/58518号、WO99/58522号、WO99/46268号、WO99/46267号、WO99/46244号、WO99/46237号、WO99/46236号、及びWO99/15529号に開示されたものが挙げられる。
【0082】
化合物Iと組み合わせて使用され得るGFAT阻害剤の例としては、特に限定されないが、Mol.Cell.Endocrinol.1997,135(1),67−77に開示されたものが挙げられる。
【0083】
化合物Iと組み合わせて使用され得るG6Pase阻害剤の例としては、特に限定されないが、PCT公報第WO00/14090号、WO99/40062号及びWO98/40385号、欧州特許公報第EP682024号及びDiabetes 1998,47,1630−1636に開示されたものが挙げられる。
【0084】
化合物Iと組み合わせて使用され得るF−1,6−BPase阻害剤の例としては、特に限定されないが、PCT公報第WO00/14095号、WO99/47549号、WO98/39344号、WO98/39343号及びWO98/39342号に開示されたものが挙げられる。
【0085】
化合物Iと組み合わせて使用され得るGP阻害剤の例としては、特に限定されないが、米国特許第5,998,463号、PCT公報第WO99/26659号、WO97/31901号、WO96/39384号及びWO9639385号、並びに欧州特許公報第EP978279号及びEP846464号に開示されたものが挙げられる。
【0086】
化合物Iと組み合わせて使用され得るグルカゴン受容体アンタゴニストの例としては、特に限定されないが、米国特許第5,880,139号及び第5,776,954号、PCT公報第WO99/01423号、WO98/22109号、WO98/22108号、WO98/21957号、WO97/16442号及びWO98/04528号に開示されたもの、並びにBioorg Med.Chem.Lett 1992,2,915−918、J.Med.Chem.1998,41,5150−5157、及びJ.Biol Chem.1999,274;8694−8697に開示されたものが挙げられる。
【0087】
化合物Iと組み合わせて使用され得るPEPCK阻害剤の例としては、特に限定されないが、米国特許第6,030,837号及びMol.Biol.Diabetes 1994,2,283−99に開示されたものが挙げられる。
【0088】
化合物Iと組み合わせて使用され得るPDHK阻害剤の例としては、特に限定されないが、J.Med.Chem.42(1999)2741−2746に開示されたものが挙げられる。
【0089】
化合物Iと組み合わせて使用され得るインスリン感受性エンハンサーの例としては、特に限定されないが、GSK−3阻害剤、レチノイドX受容体(RXR)アゴニスト、ベータ−3ARアゴニスト、UCPモジュレーター、抗糖尿病性チアゾリジンジオン(グリタゾン)、非グリタゾン型PPARガンマアゴニスト、デュアルPPARガンマ/PPARアルファアゴニスト、抗糖尿病性バナジウム含有化合物、及びメトホルミンのようなビグアニドが挙げられる。
【0090】
GSK−3阻害剤の例としては、特に限定されないが、PCT公報第WO00/21927号及びWO97/41854号に開示されたものが挙げられる。
【0091】
RXRモジュレーターの例としては、特に限定されないが、米国特許第4,981,784号、第5,071,773号、第5,298,429号及び第5,506,102号並びにPCT公報第WO89/05355号、WO91/06677号、WO92/05447号、WO93/11235号、WO95/18380号、WO94/23068号及びWO93/23431号に開示されたものが挙げられる。
【0092】
ベータ−3ARアゴニストの例としては、特に限定されないが、CL−316,243(Lederle Laboratories)及び米国特許第5,705,515号及びPCT公報第WO99/29672号、WO98/32753号、WO98/20005号、WO98/09625号、WO97/46556号及びWO97/37646号に開示されたものが挙げられる。
【0093】
UCPモジュレーターの例としては、UCP−1、UCP−2及びUCP−3のアゴニストが挙げられる。UCPモジュレーターの例としては、特に限定されないが、Vidal−Puig et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.235(1)pp.79−82(1997)に開示されたものが挙げられる。
【0094】
抗糖尿病性のPPAR調節性チアゾリジンジオン(グリタゾン)の例としては、特に限定されないが、(S)−((3,4−ジヒドロ−2−(フェニル−メチル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)メチル−チアゾリジン−2,4−ジオン(エングリタゾン)、5−{[4−(3−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−1−オキソ−プロピル)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ダルグリタゾン)、5−{[4−(1−メチル−シクロヘキシル)メトキシ]−フェニル}メチル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(シグリタゾン)、5−{[4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(DRF2189)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリ)−エトキシ]}ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(BM−13.1246)、5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(AY−31637)、ビス{4−[(2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)−メチル]フェニル}メタン(YM268)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−2−ヒドロキシエトキシ]−ベンジル}−−チアゾリジン−2,4−ジオン(AD−5075)、5−[4−(1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルアミノ)−ベンジル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(DN−108)5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニルメチル)−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロ−フェニル])−2−−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロフェニル])−−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニル−スルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(メチル−2−ピリジニル−アミノ)−エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ロシグリタゾン)、5−{[4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ピオグリタゾン;商標ACTOSTMで市販されている)、5−[6−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−ナフタレン−2−イルメチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(MCC555)、5−([2−(2−ナフチル)−ベンズオキサゾール−5−イル]−メチル}チアゾリジン−2,4−ジオン(T−174)、エダグリタゾン(BM−13−1258)、リボグリタゾン(CS−011)、及び5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)ベンズアミド(KRP297)が挙げられる。
【0095】
非グリタゾン型PPARガンマアゴニストの例としては、特に限定されないが、GI−262570、レグリキサン(JTT501)及びFK−614のようなN−(2−ベンゾイルフェニル)−L−チロシンアナログ並びにメタグリダセン(MBX−102)が挙げられる。
【0096】
デュアルPPARガンマ/PPARアルファアゴニストの例としては、特に限定されないが、PCT公報第WO99/08501号及びDiabetes 2000,49(5),759−767に記載されたもののようなオメガ.−[(オキソキナゾリニルアルコキシ)フェニル]アルカノエート及びそのアナログ;テサグリタザール、ムラグリタザール及びナベグリタザールが挙げられる。
【0097】
抗糖尿病性バナジウム含有化合物の例としては、特に限定されないが、米国特許第5,866,563号に開示されたものが挙げられる。
【0098】
メトホルミン(ジメチルジグアニド)及びその塩酸塩は、商標GLUCOPHAGETMで市販されている。
【0099】
インスリン分泌エンハンサーの例としては、特に限定されないが、グルカゴン受容体アンタゴニスト(上記に記載した通り)、スルホニル尿素誘導体、インクレチンホルモン又はその模倣体、特にグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)又はGLP−1アゴニスト、ベータ−細胞イミダゾリン受容体アンタゴニスト、並びに抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体、抗糖尿病性D−フェニルアラニン誘導体及びミチグリニドのような短時間作用型インスリン分泌促進剤、並びに医薬的に許容されるそれらの塩が挙げられる。
【0100】
スルホニル尿素誘導体の例としては、特に限定されないが、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド;グリメピリド及びグリクラジドが挙げられる。トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド及びグリメピリドは、それぞれ、RASTINON HOECHSTTM、AZUGLUCONTM、DIAMICRONTTM、GLUBORIDTM、GLURENORMTM、PRO−DIABANTM及びAMARYLTMという商標で市販されている形態で投与されることができる。
【0101】
GLP−1アゴニストの例としては、特に限定されないが、米国特許第5,120,712号、第5,118,666号及び第5,512,549号並びにPCT公報第WO91/11457号に開示されたものが挙げられる。特に、GLP−1アゴニストとしては、Arg36のカルボキシ末端アミド官能基がGLP−1(7−36)NH分子の37位(37th position)においてGlyで置換されている、GLP−1(7−37)のような化合物が挙げられ、また、GLN−GLP−1(7−37)、D−GLN−GLP−1(7−37)、アセチルLYS−GLP−1(7−37)、LYS18−GLP−1(7−37)及び、特に、GLP−1(7−37)OH、VAL−GLP−1(7−37)、GLY−GLP−1(7−37)、THR−GLP−1(7−37)、GLP−1(7−37)及び4−イミダゾプロピオニル−GLP−1のような、その変異体及びアナログが挙げられる。
【0102】
GLP−1アゴニストの一つの具体例は、39アミノ酸のペプチドアミドであるエクステンダチドであり、それは商標BYETTATMで市販されている。エクセナチドは、実験式C1842825060S及び分子量4186.6ダルトンを有する。エクセナチドのアミノ酸配列は以下の通りである:H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
【0103】
グルカゴン様ペプチド−2(GLP−2)又はGLP−2アゴニストの例としては、特に限定されないが、米国特許第7,056,886号及びPCT公報第WO00/53208号、WO01/49314号及びWO03/099854号に開示されたものが挙げられる。GLP−2アゴニストの一つの具体例は、39アミノ酸のペプチドアミドであるTEDUGLUTIDETM(NPS Pharmaceuticals, Inc.)である。
【0104】
ベータ−細胞イミダゾリン受容体アンタゴニストの例としては、特に限定されないが、PCT公報第WO00/78726号及びJ.Pharmacol.Exp.Ther.1996;278;82−89に記載されたものが挙げられる。
【0105】
抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体の例は、レパグリニド及び医薬的に許容されるその塩である。
【0106】
抗糖尿病性D−フェニルアラニン誘導体の例としては、特に限定されないが、ナテグリニド(N−[(トランス4−イソプロピルシクロヘキシル)−カルボニル]−D−フェニルアラニン、EP196222及びEP526171)及びレパグリニド((S)−2−エトキシ−4−{2−[[3−メチル−1−1−[2−(1−ピペリジニル)フェニル]ブチル]−アミノ]−2−オキソエチル}安息香酸、EP0147850A2及びEP0207331A1)が挙げられる。ナテグリニドには、米国特許第5,488,510号及び欧州特許公報第0526171B1に開示された特定の結晶形(多型)が含まれることが意図される。レパグリニド及びナテグリニドは、それぞれ、商標NOVONORMTM及びSTARLIXTMで市販されている形態で投与されることができる。
【0107】
アルファ−グルコシダーゼ阻害剤の例としては、特に限定されないが、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオラミン(ボグリボース)及び1−デオキシノジリマイシン誘導体ミグリトールが挙げられる。アカルボースは、4”,6”−ジデオキシ−4’−[(1S)−(1,4,6/5)−4,5,6−トリヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−2−シクロ−ヘキセニルアミノ)マルトトリオースである。なお、アカルボースの構造は、O−4,6−ジデオキシ−4−{[1S,4R,5S,6S]−4,5,6−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−2−シクロヘキセン−1−イル]−アミノ)−アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−O−アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−D−グルコピラノースとしても記載されることができる(米国特許第4,062,950号及び欧州特許公報第EP0226121号)。アカルボース及びミグリトールは、それぞれ、商標GLUCOBAYTM及びDIASTABOL 50TMで市販されている形態で投与されることができる。
【0108】
GLP−1以外の胃内容排出の阻害剤の例としては、特に限定されないが、J.Clin.Endocrinol.Metab.2000,85(3),1043−1048及びDiabetes Care 1998;21;897−893に開示されたもの、特にアミリン、及びプラムリンチドのようなそのアナログが挙げられる。アミリンは、Diabetologia 39,1996,492−499に記載されている。
【0109】
α−アドレナリンアンタゴニストの例としては、特に限定されないが、Diabetes 36,1987,216−220に記載されたミダグリゾールが挙げられる。化合物Iと組み合わせて使用され得るインスリンとしては、特に限定されないが、ウシ及びブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌又は酵母を使用して遺伝的に合成したヒトインスリン製剤;亜鉛インスリン;プロタミン亜鉛インスリン;インスリンの断片又は誘導体(例、INS−1)及び経口インスリン製剤が挙げられる。
【0110】
一つの特定の実施態様において、化合物Iと組み合わせて投与される抗糖尿病性化合物は、ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニド、メトホルミン、エクステンダチド、ロシグリタゾン、テサグリタザル、ピオグリタゾン、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド、グリメピリド及びグリクラジドからなる群から選択され、医薬的に許容されるこれらのいかなる塩も含む。
【0111】
PTPase阻害剤、GSK−3阻害剤、非小分子模倣化合物、GFAT阻害剤、G6Pase阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、PEPCK阻害剤、F−1,6−BPase阻害剤、GP阻害剤、RXRモジュレーター、ベータ−3ARアゴニスト、PDHK阻害剤、胃内容排出の阻害剤及びUCPモジュレーターの調製及び製剤の例は、本明細書において提供された特許、特許出願及び参考文献に開示されている。
【0112】
化合物Iを用いた併用療法の場合、他の抗糖尿病性化合物が、そのような化合物について自体既知の方法(例、経路及び投与形態)で投与されてもよい。化合物I及び他の抗糖尿病性化合物は、順次(即ち、別々の時点で)又は同時に、二つの別個の投与形態で独立して順々に、或いは一つの組み合わされた単回投与形態で、投与されてもよい。一つの特定の実施態様において、当該他の抗糖尿病性化合物は、単一の組み合わされた投与形態として化合物Iと併せて投与される。抗糖尿病性化合物の用量は、そのような化合物について臨床的に用いられることが知られている範囲から選択されてもよい。糖尿病性合併症の治療化合物、抗高脂血症化合物、抗肥満化合物又は抗高血圧化合物はいずれも、上記抗糖尿病性化合物と同様に、化合物Iと組み合わせて使用することができる。糖尿病性合併症の治療化合物の例としては、特に限定されないが、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT−112及びラニレスタットのようなアルドース還元酵素阻害剤;NGF、NT−3、BDNF、及びWO01/14372に記載されたニューロトロフィン生成−分泌プロモーター(例、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール)のような神経栄養因子及びそれを増加させるような化合物;Y−128のような神経再生促進剤;ルボキシスタウリンメシレートのようなPKC阻害剤;ALT946、ピマゲジン、N−フェナシルチアゾリウムブロマイド(ALT766)、ALT−711、EXO−226、ピリドリン及びピリドキサミンなどのAGE阻害剤;チオクト酸のような活性酸素捕捉剤;チアプリド及びメキシレチンのような脳血管拡張剤;BIM23190のようなソマトスタチン受容体アゴニスト;及びアポトーシスシグナル調節キナーゼ−1(ASK−1)阻害剤が挙げられる。抗高脂血症化合物の例としては、特に限定されないが、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン及びピタバスタチンのようなHMG−CoA還元酵素阻害剤;WO97/10224に記載された化合物(例、N−[[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾキサゼピン−3−イル]アセチル]ピペリジン−4−酢酸)のようなスクアレン合成酵素阻害剤;ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート及びクリノフィブラートのようなフィブラート化合物;アバシミブ及びエフルシミブのようなACAT阻害剤;コレスチラミンのような陰イオン交換樹脂;プロブコール;ニコモール及びニセリトロールのようなニコチン酸系薬剤;イコサペント酸エチル;及び大豆ステロール及びγ−オリザノールのような植物ステロールが挙げられる。抗肥満化合物の例としては、特に限定されないが、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;SB−568849及びSNAP−7941のようなMCH受容体アンタゴニスト;CP−422935のようなニューロペプチドYアンタゴニスト;SR−141716及びSR−147778のようなカンナビノイド受容体アンタゴニスト;グレリンアンタゴニスト;BVT−3498のような11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤;オルリスタット及びATL−962のような膵リパーゼ阻害剤;AJ−9677のようなベータ−3ARアゴニスト;レプチン及びCNTF(毛様体神経栄養因子)のようなペプチド性食欲抑制剤;リンチトリプト及びFPL−15849のようなコレシストキニンアゴニスト;及びP−57のような摂食抑制剤が挙げられる。抗高血圧化合物の例としては、カプトプリル、エナラプリル及びデラプリルのようなアンジオテンシン変換酵素阻害剤;カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、オルメサルタンメドキソミル、タソサルタン及び1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸のようなアンジオテンシンIIアンタゴニスト;マニジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン及びエホニジピンのようなカルシウムチャネル遮断剤;レブクロマカリム、L−27152、AL0671及びNIP−121のようなカリウムチャネル開口剤;クロニジン;レスベラトロール、サーチュインアゴニスト、ポリフェノールのようなデアセチラーゼ;MCR4アゴニスト;ナトリウム依存性グルコーストランスポーター(SGLT2)阻害剤が挙げられる。
【0113】
本明細書において、コード番号、一般名又は商標名で特定した活性剤の構造は、標準的な一覧である「The Merck Index」の現行版又はデータベース、例えばPatents International(例、IMS World Publications)から選び取ることができる。それらの対応する内容は、言及することにより本明細書に組み込まれる。いかなる当業者も、該活性剤を十分に特定することができ、また、これらの参考文献に基づいて、同様に、製造することができ、そして標準的な試験モデルにおける医薬上の適応及び性質をin vitro及びin vivoの両方において試験することができる。
4.化合物Iを含む組成物
【0114】
化合物Iは、様々な投与経路について適用される医薬組成物の中に含まれてもよい。例えば、化合物Iは、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸内、口腔内(transbuccally)、鼻腔内、リポソーム、吸入、膣内、眼内、局所送達(例えば、カテーテル又はステントによる)、皮下、脂肪内、関節内、腹膜内及び鞘内(intrathecally)からなる群より選択される経路によって投与するのに適合した医薬組成物の中に含まれてもよい。そのようなものとして、化合物Iは、注射剤型(例、皮下、静脈内、筋肉内及び腹腔内注射)、点滴、外用形態(例、鼻腔用スプレー製剤、経皮製剤;軟膏など)、及び坐薬(例、肛門及び膣坐薬)のような様々な医薬的に許容される組成物中に処方されてもよい。これらの様々な医薬的に許容される組成物は、医薬業界で通常使用される医薬的に許容される担体と併せて、医薬業界で通常使用される公知技術によって製造することができる。
【0115】
本明細書において使用されるものとして、化合物Iを含む組成物は、特に明記されていない限り、化合物Iの遊離塩基形態や、化合物Iの塩、水和物及びプロドラッグ、並びに、他の活性成分のようなその本来の目的のためにかかる組成物に含まれてもよい他の物質を包含することを意図している。用いられ得る化合物Iの具体的な塩の形態としては、特に限定されないが、化合物IのHCl、メタンスルホン酸、コハク酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、R−(−)マンデル酸又はベンゼンスルホン酸の塩の形態が挙げられる。
【0116】
上記の通り、週当たりの用量として1mg/週から500mg/週の化合物I、任意で12.5mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から200mg/週の化合物I、任意で50mg/週から400mg/週の化合物I、そして任意で100mg/週から400mg/週の化合物Iが患者に投与される場合に、化合物Iは有利に使用され得る。使用され得る具体的な投与量としては、特に限定されないが、1週間当たり3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、400mg及び500mgの化合物Iが挙げられる。また、上記にも示した通り、化合物Iは1週間に1回投与されることが望ましい。従って、本発明の医薬組成物は、1mg/週から500mg/週の化合物I、任意で12.5mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から200mg/週の化合物I、任意で50mg/週から400mg/週の化合物I、そして任意で100mg/週から400mg/週の化合物Iを含む単回投与形式の形態とすることができる。具体的な実施態様において、該医薬組成物は、3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、400mg及び500mgの化合物Iを含む。それぞれの場合において、提供される化合物Iの投与量及び範囲は、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく。
【0117】
化合物Iはまた、患者に対して週当たりの用量として250mgより多い化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iが投与された場合に、有利に使用され得る。一つの変形において、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は500mg以下である。別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は400mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は350mg以下である。さらに別の変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は250mgより多く、且つ500mg以下である。更なる変形においては、患者に投与される化合物Iの週当たりの用量は250mgより多く、且つ400mg以下である。使用され得る具体的な投与量としては、特に限定されないが、1週間当たり275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iが挙げられる。それぞれの場合において、提供される化合物Iの投与量及び範囲は、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく。
【0118】
また、上記にも示した通り、化合物Iは1週間に1回投与されることが望ましい。従って、本発明の医薬組成物は、患者に対して1mg/週から500mg/週の化合物I、任意で12.5mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から200mg/週の化合物I、任意で50mg/週から400mg/週の化合物I、そして任意で100mg/週から400mg/週の化合物Iの用量を含む単回投与形式の形態とすることができる。他の変形において、該医薬組成物は、3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。それぞれの場合において、提供される化合物Iの投与量及び範囲は、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく。
【0119】
本発明の医薬組成物はまた、250mgより多い化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iの用量を含む単回投与形式の形態とすることができる。一つの変形において、該医薬組成物は500mg以下の化合物Iを含む。別の変形においては、該医薬組成物は400mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は350mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ500mg以下の化合物Iを含む。更なる変形においては、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ400mg以下の化合物Iを含む。他の変形において、該医薬組成物は、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。それぞれの場合において、提供される化合物Iの投与量及び範囲は、化合物Iの遊離塩基形態の分子量に基づく。
【0120】
また、上記の通り、化合物Iは経口投与される場合に有利に使用され得る。従って、本発明の組成物は、任意で経口投与に適したものとしてもよい。一つの変形において、そのような医薬組成物は経口投与に適した固体製剤である。これに関して、該組成物は、例えば、錠剤又はカプセルの形態としてもよい。別の変形においては、そのような医薬組成物は経口投与に適した液体製剤である。
【0121】
また、上記の通り、化合物Iは、非経口投与される場合に有利に使用され得る。従って、本発明の組成物は、任意で非経口投与に適したものとしてもよい。一つの変形において、そのような医薬組成物は非経口投与に適した液剤である。別の変形において、そのような医薬組成物は非経口投与に適した懸濁製剤である。
【0122】
上記の通り、化合物Iは、一以上の他の抗糖尿病性及び/又はインクレチン化合物と組み合わせて有利に使用され得る。従って、本発明の組成物は、任意で、併用単回投与形態において、一以上の他の抗糖尿病性又はインクレチン化合物と組み合わせて化合物Iを含有してもよい。一以上の他の抗糖尿病性及び/又はインクレチン化合物と併用して化合物Iを含む、そのような併用単回投与形態は、任意で、経口投与に適合しており、また任意で固体の経口投与形態である。その他として、一以上の他の抗糖尿病性及び/又はインクレチン化合物と併用して化合物Iを含む、そのような併用単回投与形態は、非経口投与に適合することができ、任意で液体の投与形態である。
【0123】
一つの変形において、一以上の他の抗糖尿病性及び/又はインクレチン化合物と組み合わせて化合物Iを含む、かかる併用単回投与形態は、1mg/週から500mg/週の化合物I、任意で12.5mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から400mg/週の化合物I、任意で20mg/週から200mg/週の化合物I、任意で50mg/週から400mg/週の化合物I、そして任意で100mg/週から400mg/週の化合物Iの患者に対する用量を含む。他の変形において、該医薬組成物は、3.125mg、12.5mg、20mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。
【0124】
別の変形において、一以上の他の抗糖尿病性及び/又はインクレチン化合物と組み合わせて化合物Iを含む、そのような併用単回投与形態は、250mgより多い化合物I、任意で少なくとも275mgの化合物I、任意で少なくとも300mgの化合物I、任意で少なくとも350mgの化合物I、そして任意で少なくとも400mgの化合物Iの用量を含む。一つの変形において、該医薬組成物は500mg以下の化合物Iを含む。別の変形においては、該医薬組成物は400mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は350mg以下の化合物Iを含む。さらに別の変形においては、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ500mg以下の化合物Iを含む。更なる変形において、該医薬組成物は250mgよりも多く、且つ400mg以下の化合物Iを含む。他の変形において、該医薬組成物は、275mg、300mg、350mg、400mg又は500mgの化合物Iを含む。
【0125】
あらゆる抗糖尿病性化合物、又は一連の抗糖尿病性化合物を、そのような併用単回投与形態を形成するために化合物Iに組み合わせてもよい。特定の実施態様において、そのような併用単回投与形態は、化合物I、並びに、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPase)阻害剤及びグルタミン−フルクトース−6−リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)阻害剤、フルクトース−1,6−ビスホスファターゼ(F−1,6−BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ(GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)阻害剤のような無調節な肝糖産生に影響を与える化合物、ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)阻害剤、インスリン感受性エンハンサー(インスリンセンシタイザー)、インスリン分泌エンハンサー(インスリン分泌促進剤)、アルファ−グルコシダーゼ阻害剤、胃内容排出の阻害剤、グルコキナーゼ活性化剤、GLP−1受容体アゴニスト、GLP−2受容体アゴニスト、UCPモジュレーター、RXRモジュレーター、GSK−3阻害剤、PPARモジュレーター、メトホルミン、インスリン及びα−アドレナリンアンタゴニストからなる群の1以上の要素を含む。化合物Iは、そのような少なくとも一つの他の抗糖尿病性化合物と、単回投与として同時に、分割投与として一度に、又は連続的に(即ち、一方のが他方を投与する前又は後に投与される)、投与されてもよい。
【0126】
一つの変形において、そのような併用単回投与形態は、化合物I及び抗糖尿病性チアゾリジンジオンを含む。この変形において使用され得るチアゾリジンジオンの具体例としては、特に限定されないが、(S)−((3,4−ジヒドロ−2−(フェニル−メチル)−2H−1−ベンゾピラン−6−イル)メチル−チアゾリジン−2,4−ジオン(エングリタゾン)、5−{[4−(3−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−1−オキソ−プロピル)−フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ダルグリタゾン)、5−{[4−(1−メチル−シクロヘキシル)メトキシ)−フェニル]メチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(シグリタゾン)、5−{[4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(DRF2189)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリ)−エトキシ)]ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(BM−13.1246)、5−(2−ナフチルスルホニル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(AY−31637)、ビス{4−[(2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)−メチル]フェニル}メタン(YM268)、5−{4−[2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)−2−ヒドロキシエトキシ]−ベンジル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(AD−5075)、5−[4−(1−フェニル−1−シクロプロパンカルボニルアミノ)−ベンジル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(DN−108) 5−{[4−(2−(2,3−ジヒドロインドール−1−イル)エトキシ)フェニルメチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロ−フェニル])−2−−プロピニル]−5−フェニルスルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−[3−(4−クロロフェニル])−2−プロピニル]−5−(4−フルオロフェニル−スルホニル)チアゾリジン−2,4−ジオン、5−{[4−(2−(メチル−2−ピリジニル−アミノ)−エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ロシグリタゾン)、5−{[4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ピオグリタゾン)、5−[6−(2−フルオロ−ベンジルオキシ)−ナフタレン−2−イルメチル]−チアゾリジン−2,4−ジオン(MCC555)、5−([2−(2−ナフチル)−ベンズオキサゾール−5−イル]−メチル}チアゾリジン−2,4−ジオン(T−174)、エダグリタゾン(BM−13−1258)、リボグリタゾン(CS−011)及び5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)ベンズアミド(KRP297)が挙げられる。
【0127】
一つの特定の変形において、そのような併用単回投与形態におけるチアゾリジンジオンは、商標ACTOSTMで市販されている5−{[4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル]−メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ピオグリタゾン)及びその塩酸塩である。
【0128】
別の特定の変形において、チアゾリジンジオンは、5−{[4−(2−(メチル−2−ピリジニル−アミノ)−エトキシ)フェニル]メチル}−チアゾリジン−2,4−ジオン(ロシグリタゾン)及びそのマレイン酸塩である。
【0129】
別の変形においては、そのような併用単回投与形態は、化合物I及び非グリタゾン型PPARガンマアゴニストを含有する。
【0130】
別の変形においては、そのような併用単回投与形態は、化合物I及びビグアニドを含む。この変形において使用され得るビグアニドの具体例は、商標GLUCOPHAGETMで市販されているメトホルミン(ジメチルジグアニド)及びその塩酸塩である。
【0131】
別の変形においては、そのような併用単回投与形態は、化合物I及びスルホニル尿素誘導体を含有する。この変形において使用され得るスルホニル尿素誘導体の具体例としては、特に限定されないが、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド、グリメピリド及びグリクラジドが挙げられる。トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド及びグリメピリドは、それぞれ、RASTINON HOECHSTTM、AZUGLUCONTM、DIAMICRONTTM、GLUBORIDTM、GLURENORMTM、PRO−DIABANTM及びAMARYLTMの商標で市販されているような形態で投与されることができる。
【0132】
別の変形においては、そのような併用単回投与形態は、化合物I及び抗糖尿病性D−フェニルアラニン誘導体を含有する。この変形において使用され得るD−フェニルアラニン誘導体の具体例としては、特に限定されないが、NOVONORMTM及びSTARLIXTMの商標でそれぞれ市販されているような形態で投与され得るレパグリニド及びナテグリニドが挙げられる。
【0133】
別の変形においては、そのような併用単回投与形態は、化合物I及びアルファ−グルコシダーゼ阻害剤を含有する。この変形において使用され得るアルファ−グルコシダーゼ阻害剤の具体例としては、特に限定されないが、GLUCOBAYTM、DIASTABOL 50TM及びBASENTMの商標でそれぞれ市販されているような形態で投与され得るアカルボース、ミグリトール及びボグリボースが挙げられる。
【0134】
一つの特定の実施態様において、そのような併用単回投与形態において化合物Iと組み合わせて投与される抗糖尿病性化合物は、ナテグリニド、レパグリニド、メトホルミン、エクステンダチド、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリピシド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド、グリメピリドおよびグリクラジドからなる群より選択され、医薬的に許容されるこれらのいかなる塩をも含み得る。
【0135】
化合物I及び一以上の他の抗糖尿病性化合物の組み合わせを含む、併用単回投与形態についての上記の実施態様及び変形のそれぞれに関して、医薬組成物は、任意で経口投与に適していてもよく、またこれに関しては任意で錠剤又はカプセルのような固体製剤であってもよく、又は代わりに経口投与に適した液体製剤の状態であってもよい。抗糖尿病性化合物の用量は、そのような化合物について臨床的に用いられることが知られる範囲から選択されてもよい。糖尿病性合併症の治療化合物、抗高脂血症化合物、抗肥満化合物又は抗高血圧化合物の任意のものを、上記抗糖尿病性化合物と同様に、化合物Iと組み合わせて使用することができる。糖尿病性合併症の治療化合物の例としては、特に限定されないが、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT−112及びラニレスタットのようなアルドース還元酵素阻害剤;NGF、NT−3、BDNF、及びWO01/14372に記載されたニューロトロフィン生成−分泌プロモーター(例、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール)のような神経栄養因子及びそれを増加させるような化合物;Y−128のような神経再生促進剤;ルボキシスタウリンメシレートのようなPKC阻害剤;ALT946、ピマゲジン、N−フェナシルチアゾリウムブロマイド(ALT766)、ALT−711、EXO−226、ピリドリン及びピリドキサミンのようなAGE阻害剤;チオクト酸のような活性酸素消去薬;チアプリド、メキシレチンのような脳血管拡張剤;BIM23190のようなソマトスタチン受容体アゴニスト;及びアポトーシスシグナル調節キナーゼ−1(ASK−1)阻害剤が挙げられる。抗高脂血症化合物の例としては、特に限定されないが、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン及びピタバスタチンのようなHMG−CoA還元酵素阻害剤;WO97/10224に記載された化合物(例、N−[[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾキサゼピン−3−イル]アセチル]ピペリジン−4−酢酸)のようなスクアレン合成酵素阻害剤;ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート及びクリノフィブラートのようなフィブラート化合物;アバシミブ及びエフルシミブのようなACAT阻害剤;コレスチラミンのような陰イオン交換樹脂;プロブコール;ニコモール及びニセリトロールのようなニコチン酸系薬剤;イコサペント酸エチル;及び大豆ステロール及びγ−オリザノールのような植物ステロールが挙げられる。抗肥満化合物の例としては、特に限定されないが、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;SB−568849及びSNAP−7941のようなMCH受容体アンタゴニスト;CP−422935のようなニューロペプチドYアンタゴニスト;SR−141716及びSR−147778のようなカンナビノイド受容体アンタゴニスト;グレリンアンタゴニスト;BVT−3498のような11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害剤;オルリスタット及びATL−962のような膵リパーゼ阻害剤;AJ−9677のようなベータ−3ARアゴニスト;レプチン及びCNTF(毛様体神経栄養因子)のようなペプチド性食欲抑制剤;リンチトリプト及びFPL−15849のようなコレシストキニンアゴニスト;及びP−57のような摂食抑制剤が挙げられる。抗高血圧化合物の例としては、カプトプリル、エナラプリル及びデラプリルのようなアンジオテンシン変換酵素阻害剤;カンデサルタンシレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、オルメサルタンメドキソミル、タソサルタン及び1−[[2’−(2,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−2−エトキシ−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸のようなアンジオテンシンIIアンタゴニスト;マニジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン及びエホニジピンのようなカルシウムチャネル遮断剤;レブクロマカリム、L−27152、AL0671及びNIP−121のようなカリウムチャネル開口剤;及びクロニジンが挙げられる。
5.化合物Iを含むキット及び製品
【0136】
また本発明は、化合物I(及び任意で一以上の他の抗糖尿病性又はインクレチン化合物)を含む、本発明による医薬組成物を含むキットにも関し、かかるキットは、該医薬組成物を投与すべき病態の表示、該医薬組成物についての保存情報、服用情報及び該医薬組成物を投与する方法に関する説明からなる群より選択される一以上の形態の情報を含む説明書をさらに含む。該キットはまた、包装材料を含んでいてもよい。該包装材料はまた、医薬組成物を収納するための容器を含んでいてもよい。該容器はまた、任意で、医薬組成物を投与すべき病態、保存情報、服用情報及び/又は組成物を投与する方法に関する説明を表示するラベルを含んでいてもよい。該キットはまた、組成物の保存又は投与についての更なる要素を含んでもよい。該キットはまた、単回又は複数回の投与形態の組成物を含んでいてもよい。
【0137】
一つの実施態様において、該キットにおける医薬組成物は、本発明による複数回投与分の医薬組成物を含み、かかる医薬組成物は、本明細書に明記された投与量の範囲の一つにおける化合物Iを含む単回投与形態である。
【0138】
別の実施態様において、該キットにおける医薬組成物は、本発明による複数回投与分の医薬組成物を含み、かかる医薬組成物は、化合物I及び本明細書に明記された一以上の抗糖尿病性又はインクレチン化合物を含む単回投与形態である。
【0139】
また本発明は、化合物I(及び任意で一以上の他の抗糖尿病性又はインクレチン化合物)を含有する本発明の医薬組成物を含む製品にも関し、かかる製品は、さらに包装材料を含む。一つの変形において、該包装材料は、組成物を収納するための容器を含む。別の変形において、本発明は、該容器が、組成物を投与すべき病態、保存情報、服用情報及び/又は組成物を投与する方法に関する説明からなる群の一以上の要素を表示するラベルを含むという製品を提供する。
【0140】
一つの実施態様において、該製品における医薬組成物は、本発明による複数回投与分の医薬組成物を含み、かかる医薬組成物は、本明細書に明記された投与量の範囲の一つにおける化合物Iを含む単回投与形態である。
【0141】
別の実施態様において、該製品における医薬組成物は、本発明による複数回投与分の医薬組成物を含み、かかる医薬組成物は、化合物I及び本明細書に明記された一以上の他の抗糖尿病性又はインクレチン化合物を含む単回投与形態である。
【0142】
本発明によるキット及び製品において使用される包装材料は、分割されたボトル又は分割されたホイルパケットのような複数の分割された容器を形成してもよいことに注意すべきである。該容器は、当該技術分野において知られているようなあらゆる従来の形状又は形態とすることができ、これは、医薬的に許容される材料、例えば、紙若しくはボール箱、ガラス若しくはプラスチックのボトル若しくはジャー、再封可能なバッグ(例えば、別の容器に移すための錠剤の「リフィル」を収容するため)、又は治療のスケジュールに従ってパックから押し出すための個々の投与分が入ったブリスターパックで作られている。用いられる容器は、関連する正確な投与形態に依存する。単回投与形態を市販するため、単一包において一より多い容器を一緒に使用することができる。例えば、錠剤をボトルに収容し、次いでこのボトルを箱に収納してもよい。
【0143】
本発明によるキットの一つの具体例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは包装業界では周知であり、医薬品の単位投与形態(錠剤、カプセル等)の包装のために広く使用されている。ブリスターパックは、一般的に、ホイルで被覆された比較的硬い材料(好ましくは、硬い透明プラスチック材料)のシートからなる。包装工程中に、凹部が硬質材料の中に形成される。該凹部は、包装されるべき個々の錠剤又はカプセルの大きさ及び形状を有し、又は包装されるべき複数の錠剤及び/又はカプセルに適合した大きさ及び形状を有してもよい。次いで、錠剤又はカプセルを適宜該凹部の中に置き、比較的硬い材料のシートを、プラスチックホイルに対し、該凹部が形成された方向と逆のホイルの面で密封する。結果として、錠剤又はカプセルは、所望の通り、ホイルとシートとの間の凹部の中に個々に封入され、或いはまとめて封入される。該シートの強度は、好ましくは、凹部に手で圧力をかけることにより該凹部の位置においてホイルに開口部が形成されて、ブリスターパックから錠剤又はカプセルを取り出すことができるような強度である。それから、前記開口部を介して錠剤又はカプセルを取り出すことができる。
【実施例】
【0144】
1.2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル及び医薬的に許容される塩の調製
【0145】
【化2】

【0146】
DMF(100mL)中の2−ブロモ−5フルオロトルエン(2)(3.5g,18.5mmol)及びCuCN(2g,22mmol)の混合物を24時間還流した。反応物を水で希釈し、ヘキサンで抽出した。有機物をMgSOで乾燥し、溶媒を除去して生成物3を得た(収率60%)。H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.60(dd,J=5.6,8.8Hz,1H),6.93−7.06(m,2H),2.55(s,3H).
2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(4)
【0147】
CCl中の4−フルオロ−2−メチルベンゾニトリル(3)(2g,14.8mmol)、NBS(2.64g,15mmol)及びAIBN(100mg)の混合物を窒素下で2時間還流した。反応物を室温まで冷却した。固体をろ過により除去した。有機溶液を濃縮して油状の粗生成物を得て、これを更なる精製をせずに次の工程で使用した。H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.68(dd,J=5.2,8.4Hz,1H),7.28(dd,J=2.4,8.8Hz,1H),7.12(m,1H),4.6(s,2H).
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(6)
【0148】
DMSO(10mL)中の粗3−メチル−6−クロロウラシル(5)(0.6g,3.8mmol)、2−ブロモメチル−4−フルオロベンゾニトリル(0.86g,4mmol)及びKCO(0.5g,4mmol)の混合物を60℃で2時間撹拌した。反応物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機物をMgSOで乾燥し溶媒を除去した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製した。0.66gの生成物を得た(収率:60%)。H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.73(dd,J=7.2,8.4Hz,1H),7.26(d,J−4.0Hz,1H),7.11−7.17(m,1H),6.94(dd,J=2.0,9.0Hz,1H),6.034(s,2H),3.39(s,3H).MS(ES) [m+H] C13ClFNに対する計算値293.68;実測値293.68.
2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル,TFA塩(1)(化合物IのTFA塩)
【0149】
【化3】

【0150】
2−(6−クロロ−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル)−4−フルオロ−ベンゾニトリル(5)(300mg,1.0mmol)、(R)−3−アミノ−ピペリジン二塩酸塩(266mg,1.5mmol)及び重炭酸ナトリウム(500mg,5.4mmol)を、密封チューブの中においてEtOH(3mL)中で100℃にて2時間撹拌した。HPLC精製後に最終化合物をTFA塩として得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ.7.77−7.84(m,1H),7.16−7.27(m,2H),5.46(s,1H),5.17−5.34(ABq,2H,J=35.2,15.6Hz),3.33−3.47(m,2H),3.22(s,3H),2.98−3.08(m,1H),2.67−2.92(m,2H),2.07−2.17(m,1H),1.82−1.92(m,1H),1.51−1.79(m,2H).MS(ES) [m+H] C1820FNに対する計算値357.38;実測値357.38.
2−[6−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−3−メチル−2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ピリミジン−1−イルメチル]−4−フルオロ−ベンゾニトリル,HCl塩
【0151】
【化4】

【0152】
化合物IのTFA塩をDCM中に懸濁し、次いで飽和NaCOで洗浄した。有機層を乾燥し、真空中で除去した。残渣をアセトニトリルに溶解し、ジオキサン中のHCl(1.5当量)を0℃で加えた。溶媒の除去後にHCl塩を得た。H−NMR(400MHz,CDOD):δ.7.77−7.84(m,1H),7.12−7.26(m,2H),5.47(s,1H),5.21−5.32(ABq,2H,J=32.0,16.0Hz),3.35−3.5(m,2H),3.22(s,3H),3.01−3.1(m,1H),2.69−2.93(m,2H),2.07−2.17(m,1H),1.83−1.93(m,1H),1.55−1.80(m,2H).MS(ES) [m+H] C1820FNに対する計算値357.38;実測値357.38.
化合物Iの塩の調製のための一般的な手順
【0153】
ベンゾニトリル生成物は、所望であれば遊離塩基として単離してもよいが、好ましくは、該生成物は、対応する酸付加塩にさらに変換してもよい。具体的には、MeOH(1mL)溶液中のベンゾニトリル生成物(約10mg)を様々な酸(1.05当量)で処理した。溶液を3日間、空気にさらしたままとした。沈殿が生じた場合には、混合物をろ過し、塩を乾燥した。固体が生じない場合には、混合物を真空中で濃縮し、残渣を単離した。このようにして、以下の酸:安息香酸、p−トルエンスルホン酸、コハク酸、R−(−)−マンデル酸及びベンゼンスルホン酸から化合物Iの塩を製造した。
【0154】
上記のプロセスにおける中間化合物の単離及び/又は精製工程は、反応混合物からの中間物が比較的純粋な化合物として得られ、且つ反応混合物の副生成物又は不純物がその後の反応工程を妨げなければ、任意で回避してもよい。可能であれば、処理時間をより短くするために一以上の単離工程を削除してもよく、また更なる処理を削除すれば、全体の反応収率をより高くすることもできる。
2.血漿DPP−IV活性に対する投与の効果
【0155】
6名のヒトに対して、それぞれ、12.5mg、25mg、50mg、100mg、200mg及び400mgの用量で(計36名のヒト)、化合物Iの単回経口投与を行った。図1は、化合物Iを投与することにより、投薬後のヒト血漿DPP−IV活性に対して見られた効果を示す。図に示されたように、化合物Iは、投与をして168時間後には、基準に対して10%を超えてヒト血漿におけるDPP−IV活性を低減した。従って、図1に示されたデータからわかるように、本明細書に明記された投与量レベルで週に1回、化合物Iを投与することによって、血漿DPP−IV活性を低減することが望まれる病態に対して化合物Iを効果的に使用することができる。示されたデータを考慮すれば、少なくとも50mgの化合物Iを患者に対して投与した場合には、患者の血漿DPP−IV活性は、投与後少なくとも168時間は基準に対して35%を超えて低減し、少なくとも100mgの化合物Iを患者に対して投与した場合には、患者の血漿DPP−IV活性は、投与後少なくとも168時間は基準に対して60%を超えて低減し、そして、少なくとも200mgの化合物Iを患者に対して投与した場合には、患者の血漿DPP−IV活性は、投与後少なくとも168時間は基準に対して70%を超えて低減し得ると考えられる。
3.血漿DPP−IV活性に対する投与の効果
【0156】
ヒトに対して、それぞれ、3.125mg(9名のヒト)、12.5mg(8名のヒト)、50mg(7名のヒト)及び100mg(8名のヒト)の用量で、化合物Iの単回経口投与を行った。図2は、化合物Iを投与することにより、投薬後のヒト血漿DPP−IV活性に対して見られた効果を示す。図に示されたように、化合物Iは、投与をして168時間後には、基準に対して20%を超えてヒト血漿におけるDPP−IV活性を低減した。従って、図2に示されたデータからわかるように、本明細書に明記された投与量レベルで週に1回、化合物Iを投与することによって、血漿DPP−IV活性を低減することが望まれる病態に対して化合物Iを効果的に使用することができる。示されたデータを考慮すれば、少なくとも50mgの化合物Iを患者に対して投与した場合には、患者の血漿DPP−IV活性は、投与後少なくとも168時間は基準に対して65%を超えて低減し得ると考えられる。
【0157】
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明の化合物、組成物、キット及び方法に対して様々な改良及び変形がなされ得ることは、当業者にとって明らかであろう。従って、本発明は、この発明の改良及び変形が添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物の範囲内に入るようであれば、それらに及ぶことを意図している。
【0158】
本出願は、米国特許仮出願番号60/894,624に基づき、その内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む方法。
【請求項2】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも275mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも300mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも350mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、少なくとも400mgである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、500mg以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、400mg以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、350mg以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、250mgよりも多く、且つ500mg以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
患者に投与される化合物Iの週当たりの用量が、250mgよりも多く、且つ400mg以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
化合物Iが、遊離塩基として投与される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
化合物Iが、医薬的に許容される塩として投与される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
化合物Iが、コハク酸の塩として投与される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
250mgよりも多い化合物Iを含む単回投与形態で処方された医薬組成物。
【請求項15】
単回投与形態が少なくとも275mgの化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
単回投与形態が少なくとも300mgの化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
単回投与形態が少なくとも350mgの化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
単回投与形態が500mg以下の化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
単回投与形態が400mg以下の化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
単回投与形態が350mg以下の化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項21】
単回投与形態が250mgよりも多く、且つ500mg以下の化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項22】
単回投与形態が250mgよりも多く、且つ400mg以下の化合物Iを含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項23】
化合物Iが、遊離塩基として医薬組成物中に存在する、請求項14〜22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
化合物Iが、医薬的に許容される塩として医薬組成物中に存在する、請求項14〜22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
化合物Iが、コハク酸の塩の状態で医薬組成物に存在する、請求項14〜22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項14〜25のいずれか1項に記載の医薬組成物の製造のための化合物Iの使用。
【請求項27】
1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、糖尿病の治療方法。
【請求項28】
1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項29】
1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、自己免疫疾患の治療方法。
【請求項30】
1週間に1回投与される週当たりの用量として、250mgよりも多い化合物Iを患者に投与することを含む、HIV感染の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−521417(P2010−521417A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539555(P2009−539555)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【国際出願番号】PCT/JP2008/055028
【国際公開番号】WO2008/114807
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】