説明

ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法及び処理装置

【課題】DMSOを完全に分解するのではなく、再利用するために排水中から回収し、且つ有機物含有排水を処理すること。
【解決手段】本発明のDMSO含有排水処理装置は、嫌気性処理槽で排水中のDMSOをDMSに分解した後にDMSを気化させ、回収することにより、DMSO合成原料としてDMSの再利用を可能にし、DMSの分解による臭気性ガスの発生を抑制する。嫌気的生物処理後の有機物含有排水は、好気性処理槽においてDMSO以外の有機物を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む排水を効率的に処理する装置に関する。特に硫化メチル(DMS)を気相に分離し、回収する工程を有する排水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体や液晶パネルの製造における剥離、洗浄工程において、多量のDMSOが使用され、これらの製造工場においては、多量のDMSO含有排水が処理されている。また、半導体や液晶パネルの製造量の増加に伴い、DMSO含有排水量も年々増加している。
【0003】
前記のDMSO含有排水の処理は、馴養した細菌を用いた生物処理により実施可能であり、活性汚泥法が広く用いられている。
【0004】
図1は、DMSOの生分解経路を示した図である。排水処理過程においては、図1に示す反応経路により、まずDMSOをDMSに還元し、その後、酸化することにより、硫酸イオンや炭酸ガスにまで分解することができる。
【0005】
図1の反応経路を利用した従来の排水処理方法では、DMSOから生成したDMSを速やかに硫酸イオンにまで分解するために、好気性生物処理槽を十分な好気的条件下に維持する必要がある。しかし、好気性生物処理槽を高度な好気的条件下に維持することは難しく、DMS分解中間物であるメチルメルカプタン(MM)や硫化水素などの臭気性ガスが発生するという問題があった。このため、DMSを含む排水の好気的生物処理では、DMSを含まない排水の好気的生物処理に比べ、より大きな曝気エネルギーが必要であり、多量の余剰汚泥が発生するという問題もあった。
【0006】
これらの問題を解決すべく様々な工夫がなされ、例えば、DMSOの分解効率の向上を図った特許文献1の処理方法や、生物処理手段と、化学的または物理的な処理手段とを併用した特許文献2の処理方法が報告されている。
【0007】
上述のとおり、従来のDMSO含有排水の処理においては、DMSOを分解処理することを目的としてきた。一方で、近年の半導体や液晶パネルの大幅な需要拡大は、今後の大幅なDMSOの需要拡大を予見させるものであり、排水中のDMSOを回収し、再利用する必要性が今後高まることを予想させるものである。
【0008】
【特許文献1】特許第3271322号公報
【特許文献2】特開2000−254661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はDMSOを完全に分解するのではなく、再利用するために排水中から回収し、且つ有機物含有排水を処理することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によると、ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離し、前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理し、前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理し、前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記嫌気的生物処理工程及び前記好気的生物処理工程に返送することを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法が提供される。
【0011】
また、本発明の一実施形態によると、ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水にジメチルスルホキシド以外の有機物を混合し、前記有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離し、前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理し、前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理し、前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記嫌気的生物処理工程及び前記好気的生物処理工程に返送することを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法が提供される。
【0012】
また、前記有機物含有排水に酸素を含まないガスを散気し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離するようにしてもよい。
【0013】
また、生成した前記硫化メチルを含む前記有機物含有排水を散水し、且つ酸素を含まないガスを上向流で散気することによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離してもよい。
【0014】
また、前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収する。
【0015】
また、硝酸で処理された多孔性シリカ又は活性炭を含む吸着剤によって、前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収してもよい。
【0016】
また、ジメチルスルホキシド又はパラフィン系炭化水素を前記硫化メチルが吸着した前記吸着剤に接触させることにより硫化メチル含有溶液を得ることもできる。
【0017】
また、本発明の一実施形態によると、ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第1の槽と、前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置が提供される。
【0018】
また、本発明の一実施形態によると、ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成する第1の槽と、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第4の槽と、前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置が提供される。
【0019】
また、本発明の一実施形態によると、ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水にジメチルスルホキシド以外の有機物を混合し、前記有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第1の槽と、前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置が提供される。
【0020】
また、本発明の一実施形態によると、ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水にジメチルスルホキシド以外の有機物を混合する第1の槽と、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第4の槽と、前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置が提供される。
【0021】
また、前記有機物含有排水に酸素を含まないガスを散気し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離してもよい。
【0022】
また、生成した前記硫化メチルを含む前記有機物含有排水を散水し、且つ酸素を含まないガスを上向流で散気することによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離してもよい。
【0023】
また、前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収する回収装置を備える。
【0024】
また、硝酸で処理された多孔性シリカ又は活性炭を含む吸着剤によって、前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収する吸着装置を備えてもよい。
【0025】
また、ジメチルスルホキシド又はパラフィン系炭化水素を前記硫化メチルが吸着した前記吸着剤に接触させることにより硫化メチル含有溶液を回収する吸着装置を備えてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明のDMSO含有排水処理方法及び処理装置によると、DMSO含有排水から精製されたDMSの回収が可能であり、DMSの分解による臭気性のガスの発生を抑制し、また嫌気性処理槽と、好気性処理槽と、を備えることにより、DMSO以外の有機物含有排水の処理をも行える処理方法として優れた効果を奏する。また、嫌気性処理槽においてDMSがほぼ除去されるため、好気性処理槽における曝気エネルギーの削減及び発生する余剰汚泥の削減を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明のDMSO含有水の処理装置及び処理方法の実施形態について説明する。本発明のDMSO含有水の処理装置及び処理方法は、以下の実施形態に限定されるわけではない。
【0028】
(実施形態1)
図2は、本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理装置100の概略構成図である。本実施形態1に係る本発明のDMSO含有水排水の処理装置100は、嫌気性処理槽である分解混合槽101、好気性処理槽111、固液分離槽121、DMS回収装置131からなる。
【0029】
分解混合槽101は散気管103を有している。また、分解混合槽101には、DMSO含有排水を供給する配管141と、配管142、145aおよび146とが接続されている。
【0030】
好気性処理槽111は散気管113を有している。また、好気性処理槽111には、配管142、143及び145bが接続されている。
【0031】
固液分離槽121には、配管143、144及び145が接続されている。
【0032】
DMS回収装置131には、配管146、147及び148が接続されている。
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理装置100の詳細を説明する。
【0034】
配管141よりDMSOを含む有機物含有排水を分解混合槽101に送給し、好気性菌および通性嫌気性菌、又は好気性菌もしくは通性嫌気性菌と混合する。混合方法としては、例えば、酸素を含まないガスでの攪拌または機械攪拌などある。
【0035】
前記酸素を含まないガスとしては、例えば、窒素ガスやアルゴンガスなどがある。本発明の一実施形態では、窒素ガスを用いた攪拌を行っているが、何らこれらに限定されるものではない。
【0036】
好気性菌もしくは通性嫌気性菌存在下で、DMSOは分解混合槽101内で、嫌気的生物処理され、DMSに分解される。このとき、DMSOからDMSへの還元反応は、排水中の有機物が水素の供給源となり、速やかに進行するものと考えられる。
【0037】
このとき、例えば有機物としてエタノールを用いた場合には、化学反応式(1)と(2)の反応が起きたものと考えられる。
【化1】



・・・(1)
【化2】


・・・(2)
【0038】
生成したDMSは、散気管103から供給されるガスとの接触により気化し、配管146を通して、DMS回収装置131に回収される。このとき、DMSを含む有機物含有排水を分解混合槽101内で散水してもよい。
【0039】
また、生成したDMSの気相への分離方法として、前記ガスとの接触方法以外に、例えば、真空ポンプなどの減圧手段を用いて分解混合槽101内を減圧することにより、DMSを含む有機物含有排水からDMSを気相に移行させて分離する方法を用いてもよい。
【0040】
DMSの回収装置としては、例えば、熱交換器もしくは吸着塔などがある。熱交換器を用いる場合は、DMSの沸点(37.5℃)以下に冷却することにより液化され、配管148より回収される。本発明の一実施形態に係る吸着塔に充填する吸着剤としては、例えば、硝酸で処理された多孔性シリカ又は活性炭などがある。本発明のDMSの回収方法は、何らこれらに限定されるものではない。
【0041】
吸着塔を用いた吸着法によりDMSを回収する場合は、適当な溶媒を溶離液として配管147よりDMS回収装置131に導入し、DMSを吸着剤から溶離し、配管148より回収する。DMSは吸着および溶離の工程を経ることにより濃縮され、精製されることになる。
【0042】
吸着塔を用いてDMSを溶離するための溶媒としては、例えば、DMSO又はパラフィン系炭化水素などがある。本発明の一実施形態のDMSを溶離するための溶媒としては、特にDMSOが好ましいが、何らこれらに限定されるものではない。
【0043】
DMS回収装置131により回収されたDMS含有溶液は、DMSO製造メーカに引き渡すか、回収されたDMSを原料としてDMSOを合成することができる。DMSOで溶離して回収されたDMS含有溶液に、触媒として窒素酸化物を添加することにより、DMSからDMSOを合成することができる(G. A. Wetterholm and K. R. Fossan, U.S. Pat.2,702,824 Feb.22 1955)。また、前記DMSO合成方法を用いた装置を、本発明の一実施形態に係るDMS回収装置131に接続してもよい。
【0044】
DMSが分離された前記有機物含有排水は配管142を通して、好気性処理槽111に送液される。送液された有機物含有排水は散気管113により曝気され、残留する有機物が好気性活性汚泥で好気的に生物処理される。残存する有機物としては、主に嫌気的生物処理で水素供給源として使われた有機物であり、その他に気化しなかったDMS等もある。
【0045】
好気性処理槽としては、例えば、活性汚泥の完全混合方式もしくは、槽内部に充填剤を設置した接触曝気方式などがある。また、好気性処理槽は、1槽もしくは、複数の層を直列に連結したものであってもよい。
【0046】
好気性処理槽111において好気的生物処理された有機物含有排水は、配管143を通して固液分離槽121に送液され、固液分離される。固液分離槽としては、例えば、沈殿槽や脱水機などがある。本発明の一実施形態においては、特に沈殿槽を用いることが好ましい。
【0047】
固液分離槽121において固液分離された上澄水は、処理水として配管144より系外へ排出される。また、固液分離された汚泥は配管145を経て抜き出され、配管145aを通して分解混合槽101へ返送され、配管145bを通して好気性処理槽111へ返送される。返送された汚泥は、再び嫌気的生物処理及び好気的生物処理が行われる。また必要に応じて、固液分離された汚泥の一部は系外へ排出される。
【0048】
返送された汚泥は、好気性処理槽111において好気的に処理されているため、硫酸還元菌などの絶対嫌気性細菌は混入していない。このため、分解混合槽101においては、硫酸還元菌などの混入に起因する、DMSの分解中間物であるメチルメルカプタンや硫化水素などの臭気性ガスの発生を回避することができる。
【0049】
以上説明したとおり、本実施形態に係る本発明のDMSO含有排水処理装置及び処理方法では、精製されたDMSが回収可能であり、DMSの分解による臭気性のガスの発生を抑制し、また嫌気性処理槽と、好気性処理槽と、を備えることにより、DMSO以外の有機物含有排水の処理をも行える処理方法として優れた効果を奏する。また、嫌気性処理槽においてDMSがほぼ除去されるため、好気性処理槽における曝気エネルギーの削減及び発生する余剰汚泥の削減にもつながる、優れたDMSO含有排水の処理装置及び処理方法である。
【0050】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2に係るDMSO含有水の処理装置200の概略構成図である。本実施形態2に係る本発明のDMSO含有水排水の処理装置200は、嫌気性処理槽である分解混合槽201、好気性処理槽111、固液分離槽121、DMS回収装置131および気液分離槽211を有している。なお、実施形態1における構成と同様の構成については、同じ符号を用いて説明する。
【0051】
分解混合槽201には、DMSO含有排水を供給する配管221と、配管222及び145aとが接続されている。
【0052】
気液分離槽211は散水管213および散気管215を有している。また、気液分離槽211には、配管222、223及び224が接続されている。
【0053】
好気性処理槽111は散気管113を有している。また、好気性処理槽111には、配管223と、143及び145bとが接続されている。
【0054】
固液分離槽121には、配管143、144及び145が接続されている。
【0055】
DMS回収装置131には、配管224、147及び148が接続されている。
【0056】
以下、本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理装置200の詳細を説明する。
【0057】
配管221よりDMSOを含む有機物含有排水を分解混合槽201に送給し、好気性菌および通性嫌気性菌、又は好気性菌もしくは通性嫌気性菌と混合する。混合方法としては、上述の実施形態1で説明した方法があり、本実施形態に係る本発明の混合方法はいずれを用いてもよい。
【0058】
好気性菌もしくは通性嫌気性菌存在下の分解混合槽201内で、有機物は嫌気的生物処理され、DMSOはDMSに分解される。生成されたDMSを含む有機物含有排水は、配管222を通して、気液分離槽211へ送液される。
【0059】
気液分離槽201では、例えば、真空ポンプなどの減圧手段を用いて気液分離槽内を減圧することにより、送液されたDMSを含む有機物含有排水からDMSを気相に移行させて分離する方法や、送液されたDMSを含む有機物含有排水を、散水管213から散水させ、散気管215から供給される酸素を含まないガスとの接触により、DMSを気化させる方法などが用いられる。気化したDMSは、配管224を通して、DMS回収装置131に回収される。本実施形態の本発明におけるDMSの気液分離方法は、何らこれらに限定されるものではない。
【0060】
前記酸素を含まないガスとしては、実施形態1で説明したように、例えば、窒素ガスやアルゴンガスなどがある。本発明の一実施形態では、窒素ガスを用いた散気を行っているが、何らこれらに限定されるものではない。
【0061】
気化したDMSは配管224を通して、DMS回収装置131へ送られ、DMSが分離された前記有機物含有排水は配管223を通して、好気性処理槽111に送液される。これ以降のDMS回収装置131における処理、好気性処理槽111における処理、固液分離槽121における処理、分解混合槽201への汚泥返送処理及び好気性処理槽111への汚泥返送処理については、実施形態1に係る本発明の処理装置100と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0062】
以上説明したとおり、本実施形態に係る本発明のDMSO含有排水処理装置及び処理方法では、分解混合槽とは別に気液分離槽を設けることにより、酸素を含まないガスとDMS含有排水との接触効率が高まるため、精製されたDMSの効率のよい回収が可能であり、DMSの分解による臭気性のガスの発生を抑制し、また嫌気性処理槽と、好気性処理槽と、を備えることにより、DMSO以外の有機物含有排水の処理をも行える処理方法として優れた効果を奏する。また、嫌気性処理槽においてDMSがほぼ除去されるため、好気性処理槽における曝気エネルギーの削減及び発生する余剰汚泥の削減にもつながる、優れたDMSO含有排水の処理装置及び処理方法である。
【0063】
(実施形態3)
図4は、本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理装置300の概略構成図である。本実施形態3に係る本発明のDMSO含有水排水の処理装置300は、嫌気性処理槽である分解混合槽301、好気性処理槽111、固液分離槽121、DMS回収装置131、および分解混合槽301に有機物を導入するための配管312を含む。なお、実施形態1における構成と同様の構成については、同じ符号を用いて説明する。
【0064】
分解混合槽301は散気管303を有している。また、分解混合槽301には、DMSO含有排水を供給する配管311、配管312、313、314及び145aが接続されている。
【0065】
好気性処理槽111は散気管113を有している。また、好気性処理槽111には、配管313、143及び145bが接続されている。
【0066】
固液分離槽121には、配管143、144及び145が接続されている。
【0067】
DMS回収装置131には、配管314、147及び148が接続されている。
【0068】
以下、本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理装置300の詳細を説明する。
【0069】
配管311よりDMSO含有排水を分解混合槽301に送給し、且つ、配管312よりDMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物を分解混合槽301に導入し、好気性菌および通性嫌気性菌、又は好気性菌もしくは通性嫌気性菌と混合する。
【0070】
DMSOの嫌気的生物処理を促進するために、DMSO含有排水と混合する有機物としては、生分解性が良好な有機物が好ましい。生分解性が良好な有機物としては、例えば、糖類やアルコール、アミン等がある。具体的には、グルコースやエタノールなどがあり、これらを分解混合槽301に導入するか、イソプロピルアルコールやエタノール含有洗浄排水等の有機物含有排水を分解混合槽301に導入することができる。本発明のDMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物は、何らこれらに限定されるものではない。
【0071】
また、本発明の一実施形態に係るDMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物を分解混合槽301に導入する配管を、DMSO含有排水を分解混合槽301に送給する配管とは別に接続しているが、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物を導入する配管を、DMSO含有排水を分解混合槽301に送給する配管に接続してもよい。本発明のDMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物の導入方法は、何らこれらに限定されるものではない。
【0072】
分解混合槽301における、DMSO含有排水と、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物、好気性菌および通性嫌気性菌、又は好気性菌もしくは通性嫌気性菌との混合方法としては、実施形態1で説明した方法があり、本実施形態に係る本発明の混合方法としては窒素ガスを用いた攪拌を行っているが、何らこれらに限定されるものではない。
【0073】
好気性菌もしくは通性嫌気性菌存在下で、DMSOは分解混合槽301内で、嫌気的生物処理され、DMSに分解される。このとき、DMSOからDMSへの還元反応は、DMSO含有排水と混合された、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物が水素の供給源となり、上記化学反応式(1)及び(2)に示した反応により、速やかに進行するものと考えられる。
【0074】
生成したDMSは、実施形態1で説明したように、分解混合槽301を減圧するか、散気管303から供給される酸素を含まないガスと接触させることにより、DMSを気化させ、配管314を通して、DMS回収装置131に回収する。酸素を含まないガスとの接触によりDMSを気化させる場合には、DMSを含む有機物含有排水を分解混合槽301内で散水してもよい。
【0075】
DMSが分離された前記有機物含有排水は配管313を通して、好気性処理槽111に送液される。これ以降のDMS回収装置131における処理、好気性処理槽111における処理、固液分離槽121における処理、分解混合槽301への汚泥返送処理及び好気性処理槽111への汚泥返送処理については、実施形態1に係る本発明の処理装置100と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0076】
以上説明したとおり、本実施形態に係る本発明のDMSO含有排水処理装置及び処理方法では、DMSO含有排水と、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物と、を混合することによりDMSOの分解を促進するため、精製されたDMSの効率のよい回収が可能であり、DMSの分解による臭気性のガスの発生を抑制し、また嫌気性処理槽と、好気性処理槽と、を備えることにより、DMSO以外の有機物含有排水の処理をも行える処理方法として優れた効果を奏する。また、嫌気性処理槽においてDMSがほぼ除去されるため、好気性処理槽における曝気エネルギーの削減及び発生する余剰汚泥の削減にもつながる、優れたDMSO含有排水の処理装置及び処理方法である。
【0077】
(実施形態4)
図5は、本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理装置400の概略構成図である。本実施形態4に係る本発明のDMSO含有水排水の処理装置400は、嫌気性処理槽である分解混合槽401、好気性処理槽111、固液分離槽121、DMS回収装置131および気液分離槽211からなり、分解混合槽401に有機物を導入するための配管412を含む。なお、実施形態1及び実施形態2における構成と同様の構成については、同じ符号を用いて説明する。
【0078】
分解混合槽401は、DMSO含有排水を供給する配管411、配管412、413および145aが接続されている。
【0079】
気液分離槽211は散水管213および散気管215を有している。また、気液分離槽211には、配管413、223及び224が接続されている。
【0080】
好気性処理槽111は散気管113を有している。また、好気性処理槽111には、配管223、143及び145bが接続されている。
【0081】
固液分離槽121には、配管143、144及び145が接続されている。
【0082】
DMS回収装置131には、配管224、147及び148が接続されている。
【0083】
以下、本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理装置400の詳細を説明する。
【0084】
配管411よりDMSO含有排水を分解混合槽401に送給し、且つ、配管412よりDMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物を分解混合槽401に導入し、好気性菌および通性嫌気性菌、又は好気性菌もしくは通性嫌気性菌と混合する。
【0085】
DMSOの嫌気的生物処理を促進するために、DMSO含有排水と混合する有機物としては、実施形態3で説明したように、生分解性が良好な有機物が好ましい。
【0086】
また、本発明の一実施形態に係るDMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物を分解混合槽401に導入する配管412の接続方法は、実施形態3で説明したように、DMSO含有排水を分解混合槽401に送給する配管411とは別に接続しているが、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物を導入する配管412を、DMSO含有排水を分解混合槽401に送給する配管411に接続してもよい。本発明のDMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物の導入方法は、何らこれらに限定されるものではない。
【0087】
分解混合槽401における、DMSO含有排水と、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物、好気性菌および通性嫌気性菌、又は好気性菌もしくは通性嫌気性菌との混合方法としては、上述の実施形態1で説明した方法があり、本実施形態に係る本発明の混合方法はいずれを用いてもよい。
【0088】
好気性菌もしくは通性嫌気性菌存在下で、DMSOは分解混合槽401内で、嫌気的生物処理され、DMSに分解される。このとき、DMSOからDMSへの還元反応は、DMSO含有排水と混合された、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物が水素の供給源となり、上記化学反応式(1)及び(2)に示した反応により、速やかに進行するものと考えられる。
【0089】
分解されたDMSを含む有機物含有排水は、配管413を通して、気液分離槽211へ送水される。これ以降の気液分離槽211における処理、DMS回収装置131における処理、好気性処理槽111における処理、固液分離槽121における処理、分解混合槽401への汚泥返送処理及び好気性処理槽111への汚泥返送処理については、実施形態2に係る本発明の処理装置200と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0090】
以上説明したとおり、本実施形態に係る本発明のDMSO含有排水処理装置および処理方法では、DMSO含有排水と、DMSOの嫌気的生物処理を促進するための有機物と、を混合することによりDMSOの分解が促進される効果と、分解混合槽とは別に気液分離槽を設けることにより、酸素を含まないガスとDMS含有排水との接触効率が高まる効果と、を有すため、精製されたDMSの効率のよい回収が可能であり、DMSの分解による臭気性のガスの発生を抑制し、また嫌気性処理槽と、好気性処理槽と、を備えることにより、DMSO以外の有機物含有排水の処理をも行える処理方法として優れた効果を奏する。また、嫌気性処理槽においてDMSがほぼ除去されるため、好気性処理槽における曝気エネルギーの削減及び発生する余剰汚泥の削減にもつながる、優れたDMSO含有排水の処理装置及び処理方法である。
【0091】
(実施例)
以下、本発明の実施形態1の処理方法に従い、DMSO含有排水の処理を行なった実施例について詳細に説明する。
【0092】
表1は、本発明の一実施形態に係る実施例と、その比較例におけるとの、各処理槽の運転条件及び、分析結果を示した表である。
【表1】

【0093】
TOC換算で300mg/Lに溶解したDMSO液に、有機物として2−アミノエタノール(MEA)を添加・混合し、DMSO含有合成排水全体のTOC濃度が500mg/Lとなるよう調製した。また、DMSO含有合成排水をpH7となるよう、リン酸緩衝液で調製した。
【0094】
調製したDMSO含有合成排水を、1LのDMSO分解混合槽101に導入し、水温30℃で都市下水処理場の余剰汚泥と混合することにより、嫌気的生物処理を行った。本発明に係る本実施例では、DMSO分解混合槽101が小型であるため、窒素ガスを用いた曝気により、DMSO含有合成排水を混合した。
【0095】
気化したDMSを含む排出ガスを、シリカを充填したDMS回収装置131に導入し、DMSを吸着剤であるシリカに吸着させた。シリカに吸着したDMSは、溶離液としてイソオクタンを用いて、シリカから溶離させ、回収した。
【0096】
回収した溶離液を分析した結果、溶離液中にはDMSが約2%含まれ、DMSO分解混合槽101において、DMSOからDMSへの転換反応が起きたことが認められた。また、溶離液からは他の不純物は検出されなかった。
【0097】
嫌気的生物処理した合成排水は、2Lの好気性処理槽111に送水し、都市下水処理場の余剰汚泥を活性汚泥として用いて曝気することにより、好気的に生物処理した。好気的生物処理後の処理水及び排ガスを回収した。
【0098】
回収された処理水及び排ガスを分析した結果、DMSO分解混合槽出口でのDMS濃度、および好気性活性汚泥の処理水中の残留DMS濃度は、表1に示すとおり検出下限値以下であった。また、好気性処理槽からの排ガス中のDMS濃度も0.1ppm以下と著しく低かった。
【0099】
(比較例)
比較例は、DMSO分解混合槽を用いずに、5リットル容の好気性処理槽(曝気槽)を1槽のみ用い、表1に示すTOC負荷量及び水温にて処理を行なったこと以外は、前記実施例と同様の条件化で処理を行なった。
【0100】
回収した排ガス及び処理水の分析を行った結果、前記表1に示したとおり、処理水中からは7〜20mg/Lの残留DMSが検出された。また、好気性処理槽の排ガス中の残留DMS濃度も10〜60pppmと高濃度であり、DMS分解中間物に起因する臭気が激しかった。
【0101】
以上説明したとおり、本実施形態に係る本発明のDMSO含有排水処理方法では、DMSの精製および回収が可能であり、DMSの分解による臭気性のガスの発生を抑制し、また嫌気性処理槽と、好気性処理槽と、を備えることにより、DMSO以外の有機物含有排水の処理をも行える処理方法として優れた効果を奏する。また、嫌気性処理槽においてDMSがほぼ除去されるため、好気性処理槽における曝気エネルギーの削減及び発生する余剰汚泥の削減にもつながる、優れたDMSO含有排水の処理装置及び処理方法である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】DMSOの生分解経路を示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理方法100の系統図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理方法200の系統図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理方法300の系統図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るDMSO含有水の処理方法400の系統図である。
【符号の説明】
【0103】
100 実施形態1の排水処理装置
101 分解混合槽
103 散気管
111 好気性処理槽
113 散気管
121 固液分離槽
131 DMS回収装置
141 配管
142 配管
143 配管
144 配管
145 配管
145a 配管
145b 配管
146 配管
147 配管
148 配管
200 実施形態2の排水処理装置
201 分解混合槽
211 気液分離槽
213 散水管
215 散気管
221 配管
222 配管
223 配管
224 配管
300 実施形態3の排水処理装置
301 分解混合槽
303 散気管
311 配管
312 配管
313 配管
314 配管
400 実施形態4の排水処理装置
401 分解混合槽
401 配管
412 配管
413 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、
生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離し、
前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理し、
前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理し、
前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記嫌気的生物処理工程及び前記好気的生物処理工程に返送することを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法。
【請求項2】
ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水にジメチルスルホキシド以外の有機物を混合し、
前記有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、
生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離し、
前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理し、
前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理し、
前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記嫌気的生物処理工程及び前記好気的生物処理工程に返送することを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法。
【請求項3】
前記有機物含有排水に酸素を含まないガスを散気し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離することを特徴とする請求項1又は2に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法。
【請求項4】
生成した前記硫化メチルを含む前記有機物含有排水を散水し、且つ酸素を含まないガスを上向流で散気することによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離することを特徴とする請求項1又は2に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法。
【請求項5】
前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法。
【請求項6】
硝酸で処理された多孔性シリカ又は活性炭を含む吸着剤によって、前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収することを特徴とする請求項5に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法。
【請求項7】
ジメチルスルホキシド又はパラフィン系炭化水素を前記硫化メチルが吸着した前記吸着剤に接触させることにより硫化メチル含有溶液を得ることを特徴とする請求項6に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理方法。
【請求項8】
ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第1の槽と、
前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、
前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、
前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、
を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。
【請求項9】
ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成する第1の槽と、
生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第4の槽と、
前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、
前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、
前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、
を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。
【請求項10】
ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水にジメチルスルホキシド以外の有機物を混合し、
前記有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第1の槽と、
前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、
前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、
前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、
を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。
【請求項11】
ジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水にジメチルスルホキシド以外の有機物を混合し、
前記有機物含有排水を嫌気的生物処理することによって、ジメチルスルホキシド以外の前記有機物を分解し且つ硫化メチルを生成する第1の槽と、
生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離する第4の槽と、
前記硫化メチルが分離された前記有機物含有排水を好気的生物処理する第2の槽と、
前記好気的生物処理された前記有機物含有排水を固液分離処理する第3の槽と、
前記固液分離処理された汚泥の少なくとも一部を、前記第1の槽及び前記第2の槽に返送する機構と、
を備えることを特徴とするジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。
【請求項12】
前記有機物含有排水に酸素を含まないガスを散気し、生成した前記硫化メチルを気化させることによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離することを特徴とする請求項8乃至11の何れか一に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。
【請求項13】
生成した前記硫化メチルを含む前記有機物含有排水を散水し、且つ酸素を含まないガスを上向流で散気することによって、前記硫化メチルを前記有機物含有排水から分離することを特徴とする請求項8乃至11の何れか一に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。
【請求項14】
前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収する回収装置を備えることを特徴とする請求項8乃至13の何れか一に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。
【請求項15】
硝酸で処理された多孔性シリカ又は活性炭を含む吸着剤によって、前記有機物含有排水から分離された前記硫化メチルを回収する吸着装置を備えることを特徴とする請求項14に記載のジメチルスルホキシドを含む有機物含有排水の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−17671(P2010−17671A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182085(P2008−182085)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】