説明

ジャーナル軸受

【課題】簡単な構造で高い安定性を有するジャーナル軸受を提供する。
【解決手段】ジャーナル軸受10Aは、回転可能な軸部11と、潤滑液を供給するための供給溝12aを備えて潤滑液を介して軸部11を支持する軸受部12と、潤滑液を供給する潤滑液供給部13と、潤滑液の供給量を調整するための調整弁16と、調整弁16を駆動制御する調整弁駆動制御部20bと、軸受部12内における軸部11の位置を検出する軸部位置検出部18と、潤滑液状態判定部20aと、を備え、潤滑液状態判定部20aは、検出された軸部11の位置に基づいて軸部11の振幅を算出し、算出された振幅が第一の閾値以上である場合に、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定された場合に、調整弁駆動制御部20bは、自励振動の発生を防止するように調整弁16を駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速回転機械の支持要素として用いられるジャーナル軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャーナル軸受は、タービン、コンプレッサ等の高速回転機械の支持要素として用いられている。
近年の省エネルギー化の流れの中で、ジャーナル軸受の小型化及び高速化が要求されており、ジャーナル軸受の安定性の向上が、これまで以上に重要になっている。
【0003】
ジャーナル軸受の安定性を阻害する要因の一つとして、高速化に伴って油膜の非線形性に起因して発生する自励振動(オイルホイップともいう)が挙げられる。
従来、自励振動を抑止可能な安定性の高い軸受として、ティルティングパッド軸受が用いられている。このティルティングパッド軸受は、複雑な構造を有するため高コストであり、組み付けに熟練を要する。
【0004】
従来、真円、楕円、オフセット及び磨耗痕軸受とこれらの特長を組み合わせた軸受に対して軸受設置角度を変数にした最適設計を行い、検討した全ての非真円軸受において軸の偏心方向に関して対称に近い形で油膜圧力を発生させるように軸受を傾けて設置することにより安定性が向上することが知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】松本孝太郎、橋本巨、「非真円ジャーナル軸受の安定性向上に関する研究(軸受設置角度を変化させた場合の安定性解析)、日本機械学会論文集(C)、70、692、2004年、1199
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ティルティングパッド軸受に匹敵する安定性を有するジャーナル軸受は未だに開発されていない。
【0007】
本発明は、前記した事情を鑑みて創案されたものであり、簡単な構造で高い安定性を有するジャーナル軸受を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、回転可能な軸部と、潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、前記軸受部内における前記軸部の位置を検出する軸部位置検出部と、検出された前記軸部の位置に基づいて、自励振動が発生するおそれがある状態であるか否かを判定する潤滑液状態判定部と、を備えたジャーナル軸受であって、前記潤滑液状態判定部は、検出された前記軸部の位置に基づいて前記軸部の振幅を算出し、算出された前記振幅が第一の閾値以上である場合に、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、自励振動の発生を防止するように前記調整弁を駆動制御することを特徴とする。
【0009】
かかる構成によると、自励振動を防止することができるので、軸部の振動が安定化する。したがって、ジャーナル軸受は、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、回転可能な軸部と、潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、前記軸受部内における前記軸部の位置を検出する軸部位置検出部と、検出された前記軸部の位置に基づいて、自励振動が発生するおそれがある状態であるか否かを判定する潤滑液状態判定部と、を備えたジャーナル軸受であって、前記潤滑液状態判定部は、検出された前記軸部の位置に基づいて前記軸部の振動数の変化率を算出し、算出された前記振動数の変化率が第二の閾値以上である場合に、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、自励振動の発生を防止するように前記調整弁を駆動制御することを特徴とする。
【0011】
かかる構成によると、自励振動を防止することができるので、軸部の振動が安定化する。したがって、ジャーナル軸受は、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のジャーナル軸受であって、前記潤滑液状態判定部は、検出された前記軸部の位置に基づいて、前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であるか否かを判定するものであって、検出された前記軸部の位置に基づいて、前記軸部と前記軸受部との間の隙間の最小値である軸受隙間を算出し、算出された前記軸受隙間が第三の閾値未満である場合に、前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定し、前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、前記軸部及び前記軸受部の焼付きの発生を防止するように前記調整弁を駆動制御することを特徴とする。
【0013】
かかる構成によると、軸部及び軸受部の焼付きの発生を防止することができるので、軸部及び軸受部の故障を防止することができる。したがって、ジャーナル軸受は、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のジャーナル軸受であって、前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、前記軸受部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、前記供給溝は、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で30〜60°の範囲内に設けられていることを特徴とする。
【0015】
かかる構成によると、真円軸受において、軸部の上部から軸部の回転方向とは逆方向で30〜60°の範囲内に設けられた供給溝から、スターブ潤滑となるように潤滑液を供給するので、軸部の振動が安定化するとともに、潤滑液による膜厚が最大となる。したがって、ジャーナル軸受は、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のジャーナル軸受であって、前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、前記軸受部は、楕円形状を呈しており、前記供給溝は、前記軸受部の短軸方向に設けられており、かつ、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で90°の位置に設けられていることを特徴とする。
【0017】
かかる構成によると、楕円軸受において、軸部の上部から軸部の回転方向とは逆方向で90°に設けられた供給溝から、スターブ潤滑となるように潤滑液を供給するので、軸部の振動が安定化するとともに、潤滑液による膜厚が最大となる。したがって、ジャーナル軸受は、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡単な構造で高い安定性を有するジャーナル軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図である。
【図2】潤滑液による潤滑状態を模式的に示す図であり、(a)はフラッド潤滑状態、(b)は遷移状態、(c)はスターブ潤滑状態を示す図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図である。
【図4】本発明の第一の参考形態に係るジャーナル軸受を示す図である。
【図5】本発明の第二の参考形態に係るジャーナル軸受を示す図である。
【図6】本発明の第三の参考形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。
【図7】本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=90°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図8】本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=0°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図9】本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=−30°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図10】本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=−60°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図11】本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=−90°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図12】本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図13】本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=0°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図14】本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=−30°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図15】本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=−60°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図16】本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=−90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図17】本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=90°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図18】本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=0°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図19】本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=−30°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図20】本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=−60°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図21】本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=−90°、フラッド潤滑の場合を示す図である。
【図22】本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図23】本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=0°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図24】本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=−30°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図25】本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=−60°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図26】本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=−90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。
【図27】本発明の実施例及び比較例を示す図であり、真円軸受、γ=0°の場合を示す図である。
【図28】本発明の参考例及び比較例を示す図であり、真円軸受、γ=0°の場合を示す図である。
【図29】軸受形式、潤滑状態及び設置角度と、安定性、潤滑液の膜厚及び潤滑液の温度上昇の評価との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同様の部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
<第一の実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aは、軸部11と、軸受部12と、DCモータ13と、ロータ14と、潤滑液供給部15と、調整弁16と、調整弁駆動部17と、軸部位置検出部18と、ポンプ19と、制御部20と、を備えている。
【0022】
軸部11は、回転可能であり、軸受部12は、潤滑液を供給するための供給溝12aを備えて潤滑液を介して軸部11を支持する。ここで、軸部11の外側形状は、軸方向から見て真円形状を呈しており、軸受部12の内側形状は、軸方向から見て真円形状を呈している。供給溝12aは、軸部11の上部から設置角度γの位置に設けられている。
すなわち、第一の実施形態に係る軸部11及び軸受部12は、真円軸受であり、設置角度γは、軸部31の上部から軸部31の回転方向(図1(a)では反時計回り)とは逆方向で30〜60°の範囲内であることが好ましい。この範囲では、潤滑液の膜厚が最大となり、高い安定性が得られる。
【0023】
DCモータ13は、ロータ14を介して軸部11を回転させる。
潤滑液供給部15は、軸受部12に形成された供給溝12aを介して、軸部11と軸受部12との間に潤滑液を供給する。
調整弁16は、潤滑液の供給量を調整するための弁であり、ステッピングモータ17a及び動力伝達機構17bを備えた調整弁駆動部17により駆動される。
ここで、潤滑液による潤滑はスターブ潤滑である。「スターブ潤滑」は、潤滑液が適正な量であり、自励振動を発生するおそれがない潤滑状態である。
【0024】
ここで、潤滑液による潤滑状態について説明する。図2は、潤滑液による潤滑状態を模式的に示す図であり、(a)はフラッド潤滑状態、(b)は遷移状態、(c)はスターブ潤滑状態を示す図である。
図2(a)に示すように、「フラッド潤滑」は、潤滑液1が過剰な量であり、自励振動を発生するおそれがある潤滑状態である。
図2(b)に示すように、「遷移状態」は、「フラッド潤滑」と後記する「スターブ潤滑」との間の潤滑状態であり、軸受隙間のくさび領域が潤滑油1で十分に満たされていない状態である。この遷移状態では、まだ自励振動を発生するおそれがある。
図2(c)に示すように、「スターブ潤滑」は、軸受隙間のくさび領域が潤滑油1で十分には満たされず、軸受隙間の下側の比較的狭い領域が潤滑液1で満たされた状態である。すなわち、「スターブ潤滑」は、潤滑液1が適正な量であり、自励振動を発生するおそれがない潤滑状態である。
なお、軸部11の回転方向に対して軸受隙間が先狭まりになる領域のことを「くさび領域」という。ここで、図2(a)のフラッド潤滑状態において潤滑液1で満たされた領域がくさび領域に相当する。また、軸部11の回転方向に対して軸受隙間が先広がりになる領域のことを「逆くさび領域」という。ここで、図2(a)のフラッド潤滑状態において潤滑液1が存在しない領域が逆くさび領域に相当する。
【0025】
図1に示すように、軸部位置検出部18は、軸受部12内における軸部11の位置を検出するものであり、本実施形態では、二つの渦電流近接プローブ18a,18bを備えている。
渦電流近接プローブ18aは、軸受部12の上部から鉛直方向への軸部11の距離を検出し、渦電流近接プローブ18bは、軸受部12の右部から水平方向への軸部11の距離を検出する。後記する潤滑液状態判定部20aは、これらの距離と軸部11の半径とに基づいて、軸部11の中心の二次元位置(鉛直位置及び水平位置)を算出し、この二次元位置の計時変化から軸部11の振幅を得ることが可能となる。
ポンプ19は、軸部11と軸受部12との間から排出された潤滑液を、潤滑液供給部15に戻す。
【0026】
制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えており、機能部として、潤滑液状態判定部20aと、調整弁駆動制御部20bと、を備えている。
潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18によって検出された軸部11の位置に基づいて、自励振動が発生するおそれがある状態であるか否かを判定する。
潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18による検出結果に基づいて、軸部11の振幅を算出し、算出された振幅が第一の閾値以上である場合には、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、算出された振幅が第一の閾値未満である場合には、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定する。
調整弁駆動制御部20bは、潤滑液状態判定部20aの判定結果に基づいて、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御する。
調整弁駆動制御部20bは、判定結果が「自励振動が発生するおそれがある」である場合に、自励振動を防止するように調整弁16を駆動制御する。すなわち、調整弁16の開量を低減させ、軸部11と軸受部12との間の潤滑液量を減らす。
【0027】
なお、潤滑液状態判定部20aによる自励振動の発生のおそれの判定手法は、軸部11の振幅によるものに限定されない。
例えば、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18による検出結果に基づいて、軸部11の振動数の変化率を算出し、軸部11の振動数の変化率が第二の閾値以上である場合には、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、算出された振動数の変化率が第二の閾値未満である場合には、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定することができる。
【0028】
また、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18による検出結果に基づいて、軸部11の軸受隙間(軸部11と軸受部12との間の隙間の最小値)を算出し、算出された軸受隙間が第三の閾値未満である場合には、軸部11及び軸受部12の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定し、算出された軸受隙間が第三の閾値以上である場合には、軸部11及び軸受部12の焼付きが発生するおそれがない状態であると判定する。ここで、第三の閾値は、第一の閾値よりも小さい。
調整弁駆動制御部20bは、潤滑液状態判定部20aの判定結果に基づいて、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御する。
調整弁駆動制御部20bは、判定結果が「焼付きが発生するおそれがある」である場合に、焼付きを防止するように調整弁16を駆動制御する。すなわち、調整弁16の開量を増大させ、軸部11と軸受部12との間の潤滑液量を増やす。
【0029】
続いて、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aの動作例について説明する。
まず、ジャーナル軸受10Aは、調整弁16を所定の開量とした状態で、DCモータ13により軸部11を回転させる。このとき、潤滑液による潤滑はスターブ潤滑であり、軸受部12から排出液は、ポンプ19により潤滑液供給部15に戻される。
ここで、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18の検出結果に基づいて軸受部12内における軸部11の振幅を算出しており、算出された振幅が第一の閾値以上である場合には、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定する。
そして、自励振動が発生するおそれがあると判定された場合には、調整弁駆動制御部20bは、調整弁16の開量を低減させ、自励振動の発生を防止する。
また、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18の検出結果に基づいて軸受隙間を算出しており、算出された軸受隙間が第三の閾値未満である場合には、軸部11及び軸受部12の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定する。
そして、焼付きが発生するおそれがあると判定された場合には、調整弁駆動制御部20bは、調整弁16の開量を増大させ、焼付きの発生を防止する。
【0030】
ジャーナル軸受10Aは、スターブ潤滑であるので、自励振動の発生を防止することができる。したがって、ジャーナル軸受10Aは、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
また、ジャーナル軸受10Aは、設置角度γを前記したように設定し、潤滑液による潤滑をスターブ潤滑とすることにより、軸部の振動が安定化するとともに、潤滑液による膜厚が最大となる。したがって、ジャーナル軸受10Aは、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
【0031】
前記した第一の閾値、第二の閾値、第三の閾値及び調整弁16の開量の調整量は、予め行った実験に基づいて設定可能である。
【0032】
<第二の実施形態>
続いて、第二の実施形態に係るジャーナル軸受について、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aとの相違点を中心に説明する。図3は、本発明の第二の実施形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図3に示すように、第二の実施形態に係るジャーナル軸受10Bは、軸部11及び軸受部12に代えて、軸部31及び軸受部32を備えている。
【0033】
軸部31は、回転可能であり、軸受部32は、潤滑液を供給するための供給溝32aを備えて潤滑液を介して軸部31を支持する。ここで、軸部31の外側形状は、軸方向から見て真円形状を呈しており、軸受部32の内側形状は、軸方向から見て楕円形状を呈している。供給溝32aは、軸受部32の短径方向に設けられており、軸部31の上部から設置角度γの位置に設けられている。
すなわち、第二の実施形態に係る軸部31及び軸受部32は、楕円軸受であり、設置角度γは、軸部31の上部から軸部31の回転方向(図2(a)では反時計回り)とは逆方向で90°であることが好ましい。この角度では、潤滑液の膜厚が最大となり、高い安定性が得られる。
【0034】
第二の実施形態に係るジャーナル軸受10Bの動作例は、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aの動作例と同様なので、説明を省略する。
【0035】
ジャーナル軸受10Bは、スターブ潤滑であるので、自励振動の発生を防止することができる。したがって、ジャーナル軸受10Bは、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
また、ジャーナル軸受10Bは、設置角度γを前記したように設定し、潤滑液による潤滑をスターブ潤滑とすることにより、軸部の振動が安定化するとともに、潤滑液による膜厚が最大となる。したがって、ジャーナル軸受10Bは、ティルティングパッド軸受と比べて簡単な構造を有し、かつ、ティルティングパッド軸受に匹敵する高い安定性を有することができる。
【0036】
<第一の参考形態>
続いて、第一の参考形態に係るジャーナル軸受について、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aとの相違点を中心に説明する。図4は、本発明の第一の参考形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図4に示すように、本発明の第一の参考形態に係るジャーナル軸受10Cは、軸部位置検出部18及び制御部20に代えて、回転数検出部21及び制御部22を備えている。
【0037】
第一の参考形態に係る軸部11及び軸受部12は、真円軸受であり、設置角度γは、軸部31の上部から軸部11の回転方向(図3(a)では反時計回り)とは逆方向で0°である。
【0038】
回転数検出部21は、例えばロータ14の回転数を検出することにより、軸部11の回転数を検出する。
制御部22は、例えば、CPU、RAM、ROM及び入出力回路を備えており、機能部として、調整弁駆動制御部22bを備えている。
調整弁駆動制御部22bは、検出された回転数が所定値未満の場合には、潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように調整弁16を駆動制御し、検出された回転数が所定値以上の場合には、潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように調整弁16を駆動制御する。かかる構成により、低速回転領域で不安定なフラッド潤滑の欠点を解消し、全ての回転領域で軸部の振動が安定化する。したがって、ジャーナル軸受10Cは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。ここで、所定値は、フラッド潤滑で自励振動が発生するおそれのない、出来るだけ大きい値とすることができ、実験により予め決定することができる。
【0039】
続いて、第一の参考形態に係るジャーナル軸受10Cの動作例について説明する。
まず、ジャーナル軸受10Cは、駆動初期の低速回転領域では、調整弁16を所定の開量とした状態で、DCモータ13により軸部11を回転させる。このとき、潤滑液による潤滑はスターブ潤滑であり、軸受部12から排出液は、ポンプ19により潤滑液供給部15に戻される。
そして、調整弁駆動制御部22bは、回転数検出部21の検出結果が高速回転領域となったときに、調整弁16の開量を増加させ、潤滑液による潤滑をフラッド潤滑とする。
【0040】
<第二の参考形態>
続いて、第二の参考形態に係るジャーナル軸受について、第一の参考形態に係るジャーナル軸受10Cとの相違点を中心に説明する。図5は、本発明の第二の参考形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図5に示すように、本発明の第二の参考形態に係るジャーナル軸受10Dは、軸部11及び軸受部12に代えて、軸部31及び軸受部32を備えている。
【0041】
軸部31は、回転可能であり、軸受部32は、潤滑液を供給するための供給溝32aを備えて潤滑液を介して軸部31を支持する。ここで、軸部31の外側形状は、軸方向から見て真円形状を呈しており、軸受部32の内側形状は、軸方向から見て楕円形状を呈している。供給溝32aは、軸受部32の短径方向に設けられており、軸部31の上部から設置角度γの位置に設けられている。
すなわち、第二の参考形態に係る軸部31及び軸受部32は、楕円軸受であり、設置角度γは、軸部31の上部から軸部31の回転方向(図5(a)では反時計回り)とは逆方向で90°である。
【0042】
この場合には、調整弁駆動制御部22bは、検出された回転数が所定値未満の場合には、潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように調整弁16を駆動制御し、検出された回転数が所定値以上の場合には、潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように調整弁16を駆動制御する。楕円軸受、かつ供給溝32aが軸部31の回転方向とは逆方向で90°の位置に設けられている場合には、フラッド潤滑であっても高速回転領域において回転の安定性が確保される。この場合には、潤滑液による膜厚が大きく、潤滑液の温度上昇が抑制されるというフラッド潤滑の利点が生きる。かかる構成により、全ての回転領域で軸部の振動が安定化する。したがって、ジャーナル軸受10Dは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。
【0043】
第二の参考形態に係るジャーナル軸受10Dの動作例は、第一の参考形態に係るジャーナル軸受10Cの動作例と同様なので、説明を省略する。
【0044】
<第三の参考形態>
続いて、第三の参考形態に係るジャーナル軸受について、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aとの相違点を中心に説明する。図6は、本発明の第三の参考形態に係るジャーナル軸受を示す図であり、(a)は軸部及び軸受部を示す断面図、(b)は全体を示す模式図である。図6に示すように、第三の参考形態に係るジャーナル軸受10Eは、軸部位置検出部18に代えて、軸受部12内の潤滑液を撮像する撮像部18cを備えている。ここで、撮像部18cがビデオカメラであり、透明な軸受部12を介して潤滑液を撮像する構成であってもよく、撮像部18cがCCDカメラであり、軸受部12に埋設されて潤滑液を撮像する構成であってもよい。
【0045】
潤滑液状態判定部20aは、撮像部18cによる撮像結果に基づいて、潤滑液におけるキャビテーションの発生の有無を検出し、キャビテーションが発生していない場合には、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、キャビテーションが発生している場合には、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定することができる。
なお、第二の実施形態に係るジャーナル軸受10Bに撮像部18cを適用することも可能である。
【0046】
第三の参考形態に係るジャーナル軸受10Eの動作例は、判定手法を除いて第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aの動作例とほぼ同様なので、説明を省略する。
【実施例】
【0047】
続いて、第一ないし第二の実施形態及び第一ないし第三の参考形態に係るジャーナル軸受10A〜10Eによる実施例、参考例及び比較例について説明する。なお、以下の参考例及び比較例には、本発明の実施例と同一の状態が含まれているが、これは、かかる状態を本発明の実施例の範囲から除外することを意図するものではない。表1は、真円軸受及び楕円軸受の諸元を示す表である。
【0048】
【表1】

【0049】
楕円軸受、すなわち、軸受部32の楕円率mは、以下の通りである。
m=(C−C)/C=0.34
なお、真円軸受(軸部11及び軸受部12)及び楕円軸受(軸部31及び軸受部32)において、ジャーナル径は24.65mmであり、軸受部の幅は14.5mmである。DCモータ13の回転数は、0rpmから10000rpmまで連続的に変えることができる。ロータ14の質量は0.812kgであり、軸部11,31のバネ定数は5.2×10N/mであり、軸部の固有振動数は40Hzである。軸受部12,32は、透明なアクリルから形成されており、キシレンにより青色に着色された潤滑油(潤滑液)を用いることで、キャビテーションの発生領域を可視化することができる。潤滑油の粘度グレードはVG32であり、供給油温は常温(約25℃)である。潤滑油の供給量の調節は、軸受部12,32の端部から漏れ出す潤滑油の量を体積流量法によって測定し、調整弁16の開度を手動で変更することにより行われた。二つの渦電流近接プローブ18a,18bは、軸受部12,32の設置角度に関わらず、常に鉛直及び水平方向に設置可能となっている。
【0050】
なお、渦電流近接プローブ18a,18bの校正を、以下のように行った。ターゲットをマイクロメータに固定してプローブから徐々に遠ざけるようにマイクロねじを調整し、マイクロメータの読みとプローブの電圧値との関係を用いて校正曲線を作成した。その結果、プローブの測定結果に関して、十分な線形性が得られ、感度低下も生じていないことが確認された。なお、プローブ18a,18bの直径は、5.05mmであった。
【0051】
図7は、本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=0°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図7(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図7(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図7(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図7(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
なお、図7〜図26の(b)及び図27〜図28の(c)において、色が薄い(白い)部分がキャビテーションの発生部位である。
【0052】
図8は、本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=0°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図8(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図8(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図8(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図8(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0053】
図9は、本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=−30°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図9(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図9(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図9(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図9(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0054】
図10は、本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=−60°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図10(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図10(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図10(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図10(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0055】
図11は、本発明の比較例を示す図であり、真円軸受、γ=−90°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図11(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図11(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図11(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図11(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0056】
図12は、本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図12(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図12(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図12(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図12(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0057】
図13は、本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=0°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図13(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図13(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図13(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図13(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0058】
図14は、本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=−30°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図14(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図14(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図14(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図14(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0059】
図15は、本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=−60°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図15(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図15(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図15(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図15(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0060】
図16は、本発明の参考例を示す図であり、真円軸受、γ=−90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図16(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図16(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図16(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図16(b)における角度は、軸受部12の上面を0°、軸部11の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0061】
図7〜図16に示すように、真円軸受、フラッド潤滑の場合には、高速回転時にキャビテーションが消滅し、自励振動が発生した。一方、真円軸受、スターブ潤滑の場合には、いずれの設置角度γでも高い安定性が得られた。特に、−60°≦γ≦−30°の場合に、油膜厚さが最大となり、より高い安定性が得られた。
したがって、真円軸受の場合には、スターブ潤滑とすることにより、高い安定性の真円軸受を具現化することが可能であり、特に、−60°≦γ≦−30°、スターブ潤滑とすることにより、より高い安定性の真円軸受を具現化することが可能であることがわかった。
【0062】
図17は、本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=90°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図17(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図17(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図17(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図17(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0063】
図18は、本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=0°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図18(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図18(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図18(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図18(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0064】
図19は、本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=−30°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図19(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図19(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図19(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図19(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0065】
図20は、本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=−60°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図20(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図20(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図20(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図20(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0066】
図21は、本発明の比較例を示す図であり、楕円軸受、γ=−90°、フラッド潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図21(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図21(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図21(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図21(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=2.5×10−6/sとした。
【0067】
図22は、本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図22(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図22(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図22(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図22(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、0.5×10−6/sとした。
【0068】
図23は、本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=0°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図23(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図23(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図23(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図23(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0069】
図24は、本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=−30°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図24(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図24(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図24(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図24(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0070】
図25は、本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=−60°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図25(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図25(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図25(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図25(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0071】
図26は、本発明の参考例を示す図であり、楕円軸受、γ=−90°、スターブ潤滑の場合を示す図である。詳しくは、図26(a)は、軸部の回転数Nと振幅A及び振動数Fとの関係を示すグラフであり、図26(b)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図であり、図26(c)は、軸部の軸心軌跡を示す図である。
図26(b)における角度は、軸受部32の上面を0°、軸部31の回転方向を正、と定義されたものである。潤滑油の供給量Qは、Q=0.5×10−6/sとした。
【0072】
図17〜図26に示すように、楕円軸受、フラッド潤滑の場合には、γ=−90°の場合に高速回転領域で高い安定性が得られた。しかし、低速回転領域では不安定であった。一方、楕円軸受、スターブ潤滑の場合には、いずれの設置角度γでも高い安定性が得られた。特に、γ=−90°の場合に、油膜厚さが最大となり、より高い安定性が得られた。
したがって、楕円軸受の場合には、スターブ潤滑とすることにより、高い安定性の楕円軸受を具現化することが可能であり、特に、γ=−90°、スターブ潤滑とすることにより、より高い安定性の楕円軸受を具現化することが可能であることがわかった。
【0073】
また、図21及び図26に示すように、第二の参考形態に係るジャーナル軸受10Dは、楕円軸受、γ=−90°とし、検出された回転数が所定値(ここでは3500rpm)未満の場合には、潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように調整弁16を駆動制御し、検出された回転数が所定値(ここでは3500rpm)以上の場合には、潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように調整弁16を駆動制御する。楕円軸受、かつ供給溝32aがγ=−90°の位置に設けられている場合には、フラッド潤滑であっても回転の安定性が確保される。この場合には、潤滑液による膜厚が大きく、潤滑液の温度上昇が抑制されるというフラッド潤滑の利点が生きる。かかる構成により、ジャーナル軸受10Dは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。
【0074】
続いて、第一の実施形態に係るジャーナル軸受10Aによる実施例について説明する。図27は、本発明の実施例及び比較例を示す図であり、真円軸受、γ=0°の場合を示す図である。詳しくは、図27(a)は、フラッド潤滑(Q=2.5×10−6/s)、スターブ潤滑(Q=0.5×10−6/s、Q=1.6×10−6/s)及びその間の遷移領域(Q=1.8×10−6/s)並びに本発明の制御を実施した場合における軸部の回転数Nと振幅Aとの関係を示すグラフであり、図27(b)は、軸部の軸心軌跡を示す図であり、図27(c)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図である。
【0075】
図27(a)に示すように、フラッド潤滑(Q=2.5×10−6/s)では、4000rpmの回転数で振幅Aが急激に増加し(0.15mmを超え)、また、図27(c)に示すように、4500rpm以上の回転数領域でキャビテーションが消滅していることから、4500rpm以上の回転数領域で自励振動が発生していると判断された。これに対し、スターブ潤滑(Q=0.5×10−6/s及びQ=1.6×10−6/s)では、振幅A及び振動数(不図示)の急激な変化は見られず、広範囲の回転数領域で安定であることが分かった。
しかし、図27(b)に示すように、スターブ潤滑における軸部32の中心位置は偏心率εが大きく、潤滑油による油膜厚さが薄くなっていることが分かった。
ここで、遷移状態(Q=1.8×10−6/s)の場合には、4500rpm付近の回転数領域で不安定な傾向があり、キャビテーションが消滅していることから、十分な安定性が得られていないと判断された。
【0076】
一方、スターブ潤滑(Q=1.6×10−6/s)の場合には、4500rpm付近の回転数領域で振幅Aが若干増加する傾向が現れるものの、全ての回転数領域においてキャビテーションが発生しており、高い安定性が得られていると判断された。また、偏心率εは約0.6であり、十分な油膜厚さが確保されていることが分かった。なお、同じスターブ潤滑であるQ=0.5×10−6/sの場合にも、同様の傾向が見られることが分かった。
以上の事項を鑑みて、潤滑液状態判定部20aは、軸部位置検出部18による検出結果に基づいて、軸部11の振幅を算出し、算出された振幅が第一の閾値以上である場合には、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、算出された振幅が第一の閾値未満である場合には、自励振動が発生するおそれがない状態であると判定する。そして、調整弁駆動制御部20bは、潤滑液状態判定部20aの判定結果に基づいて、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御する。すなわち、4500rpm未満の低速回転領域では、ジャーナル軸受10Aはフラッド潤滑(Q=2.5×10−6/s)である。そして、4500rpmで振幅Aが急激に増加して第一の閾値(ここでは、0.15mm)以上となると、潤滑液状態判定部20aは、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、調整弁駆動制御部20bは、調整弁駆動部17を介して調整弁16を駆動制御し、スターブ潤滑(Q=1.6×10−6/s)とする。かかる構成により、ジャーナル軸受10Aは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。
【0077】
続いて、第一の参考形態に係るジャーナル軸受10Cによる参考例について説明する。図28は、本発明の参考例及び比較例を示す図であり、真円軸受、γ=0°の場合を示す図である。詳しくは、図28(a)は、フラッド潤滑(Q=2.5×10−6/s)、スターブ潤滑(Q=0.5×10−6/s、Q=1.6×10−6/s)及びその間の遷移領域(Q=1.8×10−6/s)並びに本発明の制御を実施した場合における軸部の回転数Nと振幅Aとの関係を示すグラフであり、図28(b)は、軸部の軸心軌跡を示す図であり、図28(c)は、軸部の回転数Nとキャビテーションの発生状態とを示す図である。
【0078】
図28(a)に示すように、フラッド潤滑(Q=2.5×10−6/s)では、4000rpmの回転数で振幅Aが急激に増加し、また、図28(c)に示すように、4500rpm以上の回転数領域でキャビテーションが消滅していることから、4500rpm以上の回転数領域で自励振動が発生していると判断された。これに対し、スターブ潤滑(Q=0.5×10−6/s及びQ=1.6×10−6/s)では、振幅A及び振動数(不図示)の急激な変化は見られず、広範囲の回転数領域で安定であることが分かった。
しかし、図27(b)に示すように、スターブ潤滑における軸部32の中心位置は偏心率εが大きく、潤滑油による油膜厚さが薄くなっていることが分かった。
ここで、遷移状態(Q=1.8×10−6/s)の場合には、4500rpm付近の回転数領域で不安定な傾向があり、キャビテーションが消滅していることから、十分な安定性が得られていないと判断された。
【0079】
一方、スターブ潤滑(Q=1.6×10−6/s)の場合には、4500rpm付近の回転数領域で振幅Aが若干増加する傾向が現れるものの、全ての回転数領域においてキャビテーションが発生しており、高い安定性が得られていると判断された。また、偏心率εは約0.6であり、十分な油膜厚さが確保されていることが分かった。なお、同じスターブ潤滑であるQ=0.5×10−6/sの場合にも、同様の傾向が見られることが分かった。
以上の事項を鑑みて、調整弁駆動制御部22bは、検出された回転数が所定値(ここでは4400rpm)未満の場合には、潤滑液による潤滑がフラッド潤滑となるように調整弁16を駆動制御し、検出された回転数が所定値(ここでは4400rpm)以上の場合には、潤滑液による潤滑がスターブ潤滑となるように調整弁を駆動制御する。かかる構成により、ジャーナル軸受10Cは、簡単な構造で高い安定性を有することができる。
【0080】
図29は、ジャーナル軸受の軸受形式、潤滑状態及び設置角度と、安定性、潤滑液(潤滑油)の膜厚及び潤滑液の温度上昇の評価との関係を示す図である。
図29において、評価は4段階であり、「×」は特性が劣ることを表し、「△」は特性がやや劣ることを表し、「○」は特性が優れていることを表し、「◎」は特性が極めて優れていることを表す。
また、安定性(低速)は、4000rpm未満での軸受の回転の安定性の評価であり、安定性(高速)は、4000rpm以上での軸受の回転の安定性の評価である。
また、膜厚は、軸受の水平方向及び垂直方向にそれぞれ設置された非接触式変位計により測定された軸部の中心位置に基づく評価であり、潤滑液の厚み(膜厚)に関する評価である。なお、この結果が、図7〜図26の(c)において、プロットとして示されている。図7〜図26の(c)に記載されている数値は、対応するプロットにおける回転数を表す。この膜厚は、軸部の中心位置が軸受の中心位置に近づくほど、すなわち、偏心率εがゼロに近づくほど高評価となる評価である。また、図7〜図26の(c)及び図27の(b)に記載されている点線による曲線は、軸受における偏心率εの限界を表している。軸部の中心位置がこの曲線上に位置するということは、軸部と軸受部とが接触することを意味する。なお、「楕円、フラッド潤滑、−90°」及び「楕円、スターブ潤滑、−90°」における膜厚の評価は、ともに◎であるが、「楕円、フラッド潤滑、−90°」における膜厚の方が、「楕円、スターブ潤滑、−90°」における膜厚よりも好適である。
また、温度上昇は、実施例、参考例及び比較例における実験中において、温度計によって測定された、軸受の脇から漏れる潤滑液の温度に関する評価であり、温度が上昇しないほど高評価となる評価である。
【符号の説明】
【0081】
10A,10B ジャーナル軸受
11,31 軸部
12,32 軸受部
12a,32a 供給部
15 潤滑液供給部
16 調整弁
18 軸部位置検出部
20a 潤滑液状態判定部
20b 調整弁駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な軸部と、
潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、
前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、
前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、
前記軸受部内における前記軸部の位置を検出する軸部位置検出部と、
検出された前記軸部の位置に基づいて、自励振動が発生するおそれがある状態であるか否かを判定する潤滑液状態判定部と、
を備えたジャーナル軸受であって、
前記潤滑液状態判定部は、検出された前記軸部の位置に基づいて前記軸部の振幅を算出し、算出された前記振幅が第一の閾値以上である場合に、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、
自励振動が発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、自励振動の発生を防止するように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とするジャーナル軸受。
【請求項2】
回転可能な軸部と、
潤滑液を供給するための供給溝を備えて前記潤滑液を介して前記軸部を支持する軸受部と、
前記潤滑液を供給する潤滑液供給部と、
前記潤滑液の供給量を調整するための調整弁と、前記調整弁を駆動制御する調整弁駆動制御部と、
前記軸受部内における前記軸部の位置を検出する軸部位置検出部と、
検出された前記軸部の位置に基づいて、自励振動が発生するおそれがある状態であるか否かを判定する潤滑液状態判定部と、
を備えたジャーナル軸受であって、
前記潤滑液状態判定部は、検出された前記軸部の位置に基づいて前記軸部の振動数の変化率を算出し、算出された前記振動数の変化率が第二の閾値以上である場合に、自励振動が発生するおそれがある状態であると判定し、
自励振動が発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、自励振動の発生を防止するように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とするジャーナル軸受。
【請求項3】
前記潤滑液状態判定部は、検出された前記軸部の位置に基づいて、前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であるか否かを判定するものであって、検出された前記軸部の位置に基づいて、前記軸部と前記軸受部との間の隙間の最小値である軸受隙間を算出し、算出された前記軸受隙間が第三の閾値未満である場合に、前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定し、
前記軸部及び前記軸受部の焼付きが発生するおそれがある状態であると判定された場合に、前記調整弁駆動制御部は、前記軸部及び前記軸受部の焼付きの発生を防止するように前記調整弁を駆動制御する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジャーナル軸受。
【請求項4】
前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記供給溝は、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で30〜60°の範囲内に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のジャーナル軸受。
【請求項5】
前記軸部は、軸方向から見て真円形状を呈しており、
前記軸受部は、楕円形状を呈しており、
前記供給溝は、前記軸受部の短軸方向に設けられており、かつ、前記軸部の上部から前記軸部の回転方向とは逆方向で90°の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のジャーナル軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図29】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−127767(P2011−127767A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28799(P2011−28799)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【分割の表示】特願2007−267252(P2007−267252)の分割
【原出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人日本トライボロジー学会、「トライボロジスト」、第52巻、第4号、2007年4月15日に掲載 社団法人日本トライボロジー学会、 「トライボロジー会議予稿集 東京 2007−5」、2007年4月26日に掲載 「トライボロジー会議」、社団法人日本トライボロジー学会、2007年5月28日〜30日において文書をもって発表
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】