説明

ジャー炊飯器

【課題】保温中の再加熱で発生する蒸気を用いて過熱蒸気を生成させ、再加熱中のご飯に放射させることで再加熱による乾燥を防止し、鍋内のご飯の加熱において不足する上方からの加熱を行うことができ、また、鍋内にて発生した蒸気を過熱蒸気として循環させる為、すばやくご飯温度を上昇させ、かつ乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型の蒸気再加熱を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【解決手段】着脱自在な鍋2と、上面に有底筒状の鍋収納部1aを有する本体と、鍋2を加熱する加熱手段7と、鍋2の開口部を覆う蓋15と、蓋15内に操作部を有し、操作部に保温中にご飯を加熱する再加熱を任意で行える再加熱ボタンと、再加熱ボタンの操作により、再加熱中に発生する蒸気を蒸気循環手段60を介して循環流動させるための蒸気循環路と、蒸気循環路を流動する蒸気を加熱して過熱蒸気とする蒸気過熱手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、あるいは業務用に使用する再加熱(保温中に70℃前後の飯を90℃程度に加熱する)機能を有するジャー炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の機器の構成は以下のようなものであった。特許文献1によれば、鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋内に設けられた蓋加熱手段と、前記蓋内に設けられた蓋温度検知手段と、前記鍋内に蒸気を投入する蒸気発生手段とを備え、保温中の飯を前記鍋加熱手段により加熱する際に、前記蒸気発生手段を動作させるとともに、前記蓋温度検知手段の出力に基づき前記蓋加熱手段を制御する炊飯器としたものである。これにより、保温中の飯を鍋加熱手段により加熱する時に、鍋内に蒸気を投入するので、飯を乾燥させることなく加熱することができる。さらに、蓋温度検知手段の出力に基づき蓋を加熱するので、鍋内に投入された蒸気が蓋に結露することがない炊飯器である。
【特許文献1】特開2005−87358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような炊飯器では再加熱時に必要な水を水容器へ予め入れておく必要があり、また、水から蒸気を生成する為、蒸気を発生させるまでに時間がかかっていた。さらに、給水手段、水容器を構成するスペースも必要であった。
【0004】
また、給水手段、水容器を搭載しない炊飯器では、再加熱時にご飯が乾燥し、所定の温度まで上昇させるのに時間がかかっていた。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、保温中の再加熱で発生する蒸気を用いて過熱蒸気を生成させ、再加熱中のご飯に放射させることで再加熱による乾燥を防止し、鍋内のご飯の加熱において不足する上方からの加熱を行うことができ、また、鍋内にて発生した蒸気を過熱蒸気として循環させる為、すばやくご飯温度を上昇させ、かつ乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型の蒸気再加熱を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋内に操作部を有し、前記操作部に保温中にご飯を加熱する再加熱を任意で行える再加熱ボタンと、前記再加熱ボタンの操作により、再加熱中に発生する蒸気を蒸気循環手段を介して循環流動させるための蒸気循環路と、前記蒸気循環路を流動する蒸気を加熱して過熱蒸気とする蒸気過熱手段とを有したジャー炊飯器である。
【0007】
これにより、保温中の再加熱で発生する蒸気を用いて過熱蒸気を生成させ、再加熱中のご飯に放射させることで再加熱による乾燥を防止し、鍋内のご飯の加熱において不足する上方からの加熱を行うことができ、また、鍋内にて発生した蒸気を過熱蒸気として循環させる為、すばやくご飯温度を上昇させ、かつ乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型の蒸気再加熱を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器は、保温中の再加熱で発生する蒸気を用いて過熱蒸気を生成させ、再加熱中のご飯に供給することで再加熱による乾燥を防止し、鍋内のご飯の加熱において不足する上方からの加熱を行うことができ、また、鍋内にて発生した蒸気を過熱蒸気として循環させる為、すばやくご飯温度を上昇させ、かつ乾燥を防止することで食味を非常によくし、さらに小型の蒸気再加熱を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋内に操作部を有し、前記操作部に保温中にご飯を加熱する再加熱を任意で行える再加熱ボタンと、前記再加熱ボタンの操作により、再加熱中に発生する蒸気を蒸気循環手段を介して循環流動させるための蒸気循環路と、前記蒸気循環路を流動する蒸気を加熱して過熱蒸気とする蒸気過熱手段とを有した炊飯器である。
【0010】
これにより、保温中の再加熱で鍋内にて発生した蒸気を用いて蒸気を循環させ、再加熱中のご飯に放射させることで、上方からの加熱を行うことができ、かつ乾燥を防止することで保湿効果となり、食味を非常によくし、さらに小型の蒸気再加熱を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。また、鍋内に発生した蒸気を蒸気過熱手段によって過熱蒸気に生成し、鍋内の雰囲気をより高温にし、すばやくかつ、あつあつのご飯を提供する。
【0011】
第2の発明は、特に第1の発明において、蓋体の鍋側に配置され、間に蒸気循環路を一部となる空間を形成する上下2枚の蓋板、および少なくとも一方の蓋板を加熱する加熱源で蒸気過熱手段を構成した炊飯器である。
【0012】
より具体的には、上部蓋板上に加熱源となる電磁誘導コイルを配置するとともに、下部蓋板を磁性材で、上部蓋板を非磁性材でそれぞれ形成したものである。
【0013】
これにより、電磁誘導コイルからの電磁線の殆どは非磁性材からなる上部蓋板を通過して、磁性材からなる下部蓋板を誘導加熱(発熱)し、また、上部蓋板にも若干の渦電流が流れて加熱(発熱)され、したがって、それらの間に形成された蒸気循環路を流動する蒸気が加熱されて過熱蒸気化されるものである。
【0014】
第3の発明は、特に第1または2の発明において、蒸気循環手段は気密型に設定されたポンプである炊飯器である。
【0015】
これにより、保温中の再加熱で発生する蒸気を用いて過熱蒸気を生成させ、再加熱中のご飯に放射させることで、鍋内のご飯の加熱において不足する上方からの加熱を行うことができ、また、鍋内にて発生した蒸気を循環させる為、すばやく蒸気温度を上昇させ、かつ乾燥を防止することで、食味を非常によくし、さらに小型の蒸気再加熱を実現するとともに、使い勝手のよい炊飯器を提供する。
【0016】
第4の発明は、特に第1または2の発明において、ご飯の温度を検知するご飯温度検知手段を有し、前記ご飯温度検知手段が所定の温度へ達した直後に蒸気循環手段を動作させてなる炊飯器である。
【0017】
これにより、保温中の再加熱で発生する蒸気を用いて過熱蒸気を生成させ、再加熱中のご飯に放射させることで、鍋内のご飯の加熱において不足する上方からの加熱を行うことができ、また、ご飯温度検知手段によってタイミングよく鍋内にて発生した蒸気を循環させる為、すばやく蒸気温度を上昇させ、かつ乾燥を防止することができる。
【0018】
第5の発明は、特に第4の発明において、加熱手段を動作させる制御手段を有し、前記制御手段よりの発熱を冷却する冷却ファンを有したものであって、蒸気循環手段動作時は前記冷却ファンの回転数を低下もしくは停止してなる炊飯器である。
【0019】
これにより、冷却ファンと蒸気循環手段が同時に動作することによる騒音や許容電力量の増加を抑えることができる。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における炊飯器ついて、図1から図3を用いて説明する。
【0021】
図1において、炊飯器本体1は上面を構成する上枠3と側面および底面を構成するボディ4でその外郭が構成されている。上枠3は円筒状の穴部3a有し、穴部より連なる筒状で金属製の保護枠胴5と皿状の保護枠6により有底筒状の鍋収納部1aを構成し、着脱自在に鍋2を収納する。保護枠6の底部に設けられた底誘導コイル7が鍋加熱手段となり、鍋2を誘導加熱し炊飯・保温を行う。ここで磁性材料にて構成された複数の底フェライト8が底誘導コイル7に対向しかつ底誘導コイル7に直交した配置で鍋2と反対側に設けられている。
【0022】
9は底センサーで、鍋2の底面に当接して、鍋2の温度を検知し、マイコン10へ信号を送る。マイコン10は底センサー9の信号より底誘導コイル7の通電量を変化させ、鍋2の加熱電力送出部12から底誘導コイル7へ供給する高周波電流を可変することで鍋2の温度を炊飯・保温時に適温に制御する。
【0023】
加熱電力送出部12はアルミやアルミダイキャスト等でできたヒートシンク13を有し、ヒートシンク13に外気を送風する底ファンモーター54が取り付けてある。底誘導コイル7の外周には反射枠32が環状に設けてある。
【0024】
本体後方で上枠3の上面にはヒンジ部14が設けられており、蓋体15がヒンジ部14に取り付けたヒンジ軸16にて軸支され、開閉自在に本体上面を覆っている。ヒンジ部14にはヒンジバネ17が蓋体15と本体1双方に係合するように取り付けてあり、蓋体15に対し開放する方向の付勢力を有している。そして、ヒンジ部14の後部はヒンジカバー45がその外郭を覆い、外部よりヒンジ軸16やヒンジバネ17が見えないようにしている。
【0025】
本体前方のフックレバー18はヒンジバネ17の力に対し、蓋が開かないよう蓋体15先端に設けたフック嵌合部15aと嵌合し、閉蓋状態を保つ。フックレバー18を押すと、フック嵌合部15aとフックレバー18の嵌合が外れ、蓋はヒンジバネ17の力で開く。蓋体15のヒンジ部14近傍にはヒンジブレーキ板19が設けてある。また、ヒンジ部14にはヒンジキャップ20が設けてあり、ヒンジブレーキ板19とヒンジキャップ20は蓋開き時のブレーキ機構を構成する。そして、通常若干床面から浮いた本体後方には本体後方脚部1b配設されている。保護枠胴5の外周には側面加熱手段である側面ヒーター20が巻かれている。そして、側面ヒーター20の外周には筒状の側面断熱材21が配設されている。
【0026】
図2に示すように、蓋体15はその表面を外蓋22で構成し、鍋2側は外蓋カバー23で構成されている。
【0027】
外蓋カバー23は筒状に穴部を有し、穴部には非磁性金属かつその厚さが0.5mm以下の薄板でできた蒸気加熱板24が取り付けられている。ここで非磁性金属の代表的なも
のとしてはオーステナイト系ステンレスなどがある。蒸気加熱板(蓋板)24の上部には蓋コイル支え25に載置された環状の蓋誘導コイル26が設けてある。蓋コイル支え25と蓋コイル26に挟持される形で蓋温度ヒューズ27が設置されている。蓋誘導コイル26の上方には蓋反射板34があり、蓋誘導コイルからの高周波磁界が外部に漏れ出すのを防止している。
【0028】
外蓋カバー23の鍋側には加熱板支え28にカシメ結合で一体に保持され、蓋体15より加熱板支え28と一体となった状態で着脱自在な磁性金属製の加熱板(蓋板)29がある。ここで磁性金属の代表的なものとしては、鉄板やフェライト系ステンレスなどがある。
【0029】
加熱板(蓋板)29と鍋2のフランジ部2aの間は加熱板支え28で加熱板(蓋板)29と一体に結合された鍋パッキン31が加熱板(蓋板)29と鍋2のフランジ部2aを水密にシールしている。また、蒸気加熱板(蓋板)24と加熱板(蓋板)29の間には蒸気加熱板パッキン47がその外周部に設けてあり、加熱板(蓋板)29と蒸気加熱板(蓋板)24の間を水密にシールする。
【0030】
30は蓋センサーで蓋センサーバネ33による押し圧で加熱板29に当接し、加熱板の温度を検知する。また蓋センサー30と蒸気加熱板24の間には蓋センサーパッキン46が設けてある。
【0031】
図3に示すように、加熱板29には蒸気吸入口29aがあり、蒸気吸入口29aに臨む位置に蒸気吸入経路パッキン48が設けてある。蒸気吸入経路パッキン48とシロッコファン50は蒸気吸入経路49で結ばれ、鍋2とシロッコファン50が通気可能となっている。そして、蒸気加熱板24には蒸気入口穴24aがあり、蒸気入口穴24aに臨む位置に蒸気排気経路パッキン51が設けてある。蒸気排気経路パッキン51とシロッコファン50は蒸気排気経路52結ばれ、蒸気加熱板24と加熱板29の間の蒸気加熱空間53とシロッコファン50の間を通気可能としている。蒸気吸入経路パッキン48と蒸気排気経路パッキン51にはいずれも弁部48a、51aが設けてある。この弁はシロッコファン50の動作により、蒸気吸入経路49および蒸気排気経路52の内圧が下降もしくは上昇することによる鍋内との圧力差によって開閉する。これら蒸気吸入経路49からシロッコファン50および蒸気加熱空間53を経て、図3の矢印に示すような鍋内へ蒸気を高温蒸気として再投入する蒸気循環部を構成する。
【0032】
外蓋22の内部には、操作部15bと表示部15cを構成する操作基板35が基板カバー36に覆われて設置されている。操作基板35上の液晶39は炊飯器の設定状態や動作状態を表示する。外蓋22はその一部を透明な樹脂で構成されており、その表面をフィルム22bで一体に覆われている。そして、部分的にフィルムのみの部分からなるエンボス部22aを有している。エンボス部22aは上下に撓み、エンボス部22aと操作基板35上に設けたキートップ37およびタクトSW38で操作スイッチを構成し、複数の操作スイッチにより操作部15bを構成している。
【0033】
基板カバーパッキン40は基板カバー36の外周部と外蓋22に設けた基板カバーシールリブ22cで挟持され、基板カバー36と外蓋22の間を水密にシールし、万が一、蓋体15内に蒸気が侵入しても基板35が結露しないようにしてある。
【0034】
基板カバー36のおよそ中心部分には蒸気通路部36aが設けてある。蒸気通路部36aは外蓋を貫通して外部へと臨む形の筒状で、蒸気筒41を着脱自在に保持する。蒸気通路部36a外周と外蓋22の間は蒸気通路パッキン42で水密にシールされている。この基板カバーパッキン40と蒸気通路パッキン42によるシールで蓋体15内部に配置した
操作基板35は外部からの水や蒸気が直接かからない構成となっている。また蒸気板パッキン45は蒸気通路部36aと蒸気加熱板24および加熱板29を水密にシールする。
【0035】
蒸気筒41はおよそヒンジ軸16の長手方向と直交する方向に動作するマグネット43を有し、マグネット43と蒸気筒41に対向する部分に設けたリードSW44で炊飯時のふきこぼれ検知手段と蓋開閉検知手段を構成する。
【0036】
次に上記構成において動作を説明する。フックレバー18を押し、蓋を開け、炊飯を行う米とその米量に対応する水を鍋2に入れ、鍋収納部1aの所定の状態に内挿する。ここで、ヒンジブレーキ板19がヒンジ部14に設けたヒンジキャップ20を蓋開き時に挟持し、蓋の開放動作により蓋が完全に開いたときに蓋の開放の勢いで本体がバウンドしないよう、蓋開き時のブレーキ力を発生する。これにより蓋体15はフックレバー18を押すと自動で開放しつつも、蓋の勢いによる本体のバウンド等も発生しない。加えて、蓋開き時に本体の重心が後方に移動するが、その勢いで本体が後方へ倒れないよう、通常若干床面から浮いた本体後方脚部1bが床面に当接し、勢いによる本体後方への倒れも防止する。よって使用者は蓋のバウンド等の心配なく安心感をもって蓋を開けることができる。
【0037】
ところで、蓋体15が開放状態になったとき、マグネット43は重力によってリードSW44から遠ざかり、リードSWの接点が開放となる。これにより蓋の開閉が検知可能となる。
【0038】
底センサー9は鍋2の底面の温度を検知し、マイコン10へと信号を送る。底センサー9よりの信号を受けマイコン10は加熱工程、高温維持工程、蒸気循環工程の再加熱工程のそれぞれにおいて鍋2の内部のご飯が適正値として設定された温度に所定時間内(約10分以内)に上昇するよう、加熱電力送出部12より通電される底誘導コイル7や蓋誘導コイル26や側面ヒーター20の通電量を出力として制御する。
【0039】
誘導加熱方式は、各誘導コイルに通電した高周波電流から発生する高周波磁界が被加熱金属を通過する際に誘導加熱を引き起こし発熱する。ここで、加熱電力送出部12は高周波電流を各誘導コイルへ供給する際、電気抵抗ロスおよび高周波発生時のスイッチングロスで自己発熱する。加熱電力送出部12が自己発熱で加熱電力送出部12が許容温度以上に高温となると、加熱電力送出部12が破壊する場合があるので、加熱電力送出部12はアルミやアルミダイキャスト等でできたヒートシンク13を有し、ヒートシンク13を通じで自己発熱によるを放熱する。また、底ファンモーター54でヒートシンク13は冷却され、効率的に加熱電力送出部12は冷却される。
【0040】
底誘導コイル7は加熱電力送出部12より供給される電流で誘導加熱により鍋2の底面を発熱させる。ここで、底フェライト8は磁性材料で構成されており、底誘導コイル7から発生する磁界を効率よく鍋側へ集める。これにより鍋2周辺に高密度の磁界が発生し、鍋はより高効率に高発熱する。また、反射枠32が底誘導コイル7からの高周波磁界が本体1の外部に漏れ出すのを防止し、周囲の機器に影響を及ぼさないような工夫がなされている。
【0041】
蓋誘導コイル26は加熱電力送出部12より供給される電流で誘導加熱により蒸気加熱板24と加熱板29を同時に発熱させる。ここで蒸気加熱板24は前出のとおり非磁性金属かつ0.4mm以下の薄板で構成されるため、蓋誘導コイル26から発生する高周波磁界を透過しつつ誘導加熱で自己発熱する。蒸気加熱板24を透過した高周波磁界は磁性金属でできた加熱板29の誘導加熱を引き起こし、加熱板29を自己発熱させる。これにより、蒸気加熱板24と加熱板29は同時発熱が可能となる。また蒸気加熱板24と加熱板29の発熱比は蓋誘導コイル26からの距離と蒸気加熱板24の材料物性や板圧にて任意
に設定が可能である。また蓋誘導コイル26の上方の蓋反射板34が蓋誘導コイルからの高周波磁界が外部に漏れ出すのを防止し、マイコン10や周囲の機器に影響を及ぼさないような工夫がなされている。
【0042】
側面ヒーター20は加熱電力送出部12より供給される電流で自己発熱し、保護枠胴を加熱する。保護枠胴が熱せられることによる輻射熱および対流熱で鍋2の側面を加熱する。
【0043】
つづいて再加熱の動作について説明する。
【0044】
再加熱は保温中に使用者が操作部15bの再加熱ボタン37を押すと、マイコン10が再加熱開始ボタン37よりの入力を受け、再加熱が実施され、最初に加熱工程から始まる。
【0045】
加熱工程はご飯をある所定の温度(たとえば、約80℃、又は保温温度から約+5〜10℃程度)まで上昇させる。そのとき底センサー9がご飯の温度を検知し、ご飯を所定の温度まで焦げずに温度が上昇するように、加熱電力送出部12より供給する高周波電流をマイコン10が制御する。
【0046】
底誘導コイル7を通電し、鍋2を発熱させる。また、底センサー9によりご飯温度が所定の温度に達したと検知した場合、次工程の高温維持工程へ移行する。
【0047】
次に、高温維持工程ではご飯温度が底センサー9により所定の温度(たとえば、約80℃、又は保温温度から約+5〜10℃程度)を保つように加熱電力送出部12より供給する高周波電流をマイコン10が制御する。また、所定の温度(たとえば、約80℃、又は保温温度から約+5〜10℃程度)に達したと同時に蒸気循環工程も開始する。
【0048】
蒸気循環工程では、底誘導コイル7の通電量低下に伴い、底ファンモーター54はその回転数を低下させるか停止する。あわせて、シロッコファン50が回転し、鍋内の蒸気を蒸気加熱空間53へ送り込む。このとき蓋誘導コイル26が通電され、蒸気加熱板24および加熱板29が高温に加熱され、送り込まれた蒸気をおよそ130℃の過熱蒸気へと加熱する。加熱された過熱蒸気は加熱板29に設けた蒸気投入口29bより鍋内へ送り込まれ、鍋内を高温・高湿状態とする。さらには、側面ヒーター20が鍋2の側面を加熱し、鍋内を包み込むように高温状態にする。
【0049】
ここで、蓋センサーパッキン46と蒸気加熱板パッキン47によりシロッコファン50から送り込まれた蒸気は外部や蓋内部に漏れることなく、また蒸気板パッキン45にて蒸気通路部36aへも漏れることなく確実に高温蒸気に加熱され鍋内へと送り込まれる。
【0050】
また、高温維持工程では底センサー9がご飯の温度を検知し、所定の温度で鍋2全体を高温の状態に保っている。そして、シロッコファン50により蒸気を循環させる為、水から発生させることをしなくても、鍋2内で発生した蒸気をもう一度過熱蒸気として戻すことで消費電力を抑えることができる。また、蒸気を循環させることにより外部へ排出される蒸気を減らすことができ、ご飯の乾燥を防ぐことができる。また、実施例のように100℃以上の高温蒸気をご飯に供給することにより、ご飯の乾燥を防止しながら、鍋2内のご飯の温度を上げることができ、保湿効果を高めることができる。さらには、蒸気加熱板24と加熱板29の2枚の熱板で蒸気を挟み込むように加熱することで、蒸気の温度を瞬時にかつ効率よく高温蒸気とすることができるので、より早くご飯を温めることができる。また加熱板29は100℃以上の高温となっているため、過熱後に加熱板29に露付き等が発生することもない。そして、加熱工程直後は鍋内にご飯が加熱されて発生する蒸気
が存在し、ご飯を満遍なく温めるのに十分な蒸気量を確保できる。また、シロッコファン51は動作するものの、底ファンモーター54はその回転数を低下させるか停止することができるので、ファンの騒音が大きくなったり、ファンの動作による消費電力量の増加といったこともない。
【0051】
(実施の形態2)
本発明実施の形態2のおける炊飯器について図4を用いて説明する。
【0052】
図4において、シロッコファン50の代わりに気密型ポンプ60が取り付けられている。
【0053】
気密型ポンプ60は、モーター60aと循環部60bによって構成されるエアポンプまたはウォーターポンプである。
【0054】
また、蒸気吸入経路パッキン49および蒸気排気経路パッキン51には弁部などはない。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0055】
上述のような構成の炊飯器において、ポンプ停止時は蒸気吸入経路は閉空間への通路であるので、蒸気吸入経路は特に弁部などを設けなくとも汚れるようなことはない。保温時・再加熱時は蒸気しか発生しない為、汚れないのでお手入れの必要性がなく、使い勝手がよいだけでなく、弁部などがないので部品の構成も簡単で済み、低コストで構成可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように本発明の炊飯器は、必要なときに過熱蒸気を確実に鍋上方へ供給することができ、これにより、優れた食味の炊飯ができ、一般家庭用はもとより業務用炊飯装置への利用も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の断面図
【図2】本発明の実施の形態1の炊飯器の蓋体部面図
【図3】本発明の実施の形態1の炊飯器の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態2の炊飯器の要部断面図
【符号の説明】
【0058】
1 炊飯器本体
1a 鍋収納部
2 鍋
7 底誘導コイル(加熱手段)
9 底センサー(ご飯温度検知手段)
15 蓋体
24 蒸気加熱板(蓋板)
24a 蒸気入口
26 蓋誘導コイル
29 加熱板(蓋板)
29a 蒸気吸入口
29b 蒸気投入口
37 再加熱ボタン
48 蒸気吸入経路パッキン
49 蒸気吸入経路
49a 弁部
50 シロッコファン(蒸気循環手段)
51 蒸気排出経路パッキン
51a 弁部
52 蒸気排出経路
53 蒸気加熱空間
54 底ファンモーター
60 気密型ポンプ(蒸気循環手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な鍋と、上面に有底筒状の鍋収納部を有する本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、前記蓋内に操作部を有し、前記操作部に保温中にご飯を加熱する再加熱を任意で行える再加熱ボタンと、前記再加熱ボタンの操作により、再加熱中に発生する蒸気を蒸気循環手段を介して循環流動させるための蒸気循環路と、前記蒸気循環路を流動する蒸気を加熱して過熱蒸気とする蒸気過熱手段とを有したジャー炊飯器。
【請求項2】
前記蓋体の鍋側に配置され、間に蒸気循環路を一部となる空間を形成する上下2枚の蓋板、および少なくとも一方の蓋板を加熱する加熱源で蒸気過熱手段を構成した請求項1記載のジャー炊飯器。
【請求項3】
蒸気循環手段は気密型に設定されたポンプである請求項1または2記載のジャー炊飯器。
【請求項4】
ご飯の温度を検知するご飯温度検知手段を有し、前記ご飯温度検知手段が所定の温度へ達した直後に蒸気循環手段を動作させてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のジャー炊飯器。
【請求項5】
加熱手段を動作させる制御手段を有し、前記制御手段よりの発熱を冷却する冷却ファンを有したものであって、蒸気循環手段動作時は前記冷却ファンの回転数を低下もしくは停止してなる請求項4記載のジャー炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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